JP3214648B2 - 補強用メッシュ織物プリプレグ、メッシュ状繊維強化プラスチックおよび繊維強化セメント系材料 - Google Patents

補強用メッシュ織物プリプレグ、メッシュ状繊維強化プラスチックおよび繊維強化セメント系材料

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維強化複合材料
用として優れた特性を発揮する補強用メッシュ織物プリ
プレグおよびメッシュ状繊維強化プラスチックに関し、
とくにコンクリートやモルタルを用いたセメント系材料
の補強に用いて好適な補強用メッシュ織物プリプレグお
よびメッシュ状繊維強化プラスチック、およびそれを用
いた繊維強化セメント系材料に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、コンクリートやモルタルを用いた
セメント系材料の補強用として、補強織物を含む繊維強
化プラスチック(以下、FRPという)、とくに炭素繊
維強化プラスチック(以下、CFRPという)が注目さ
れ始めている(たとえば特公平4−55139号公
報)。このようなFRPやCFRPを用いたセメント系
材料は、鉄筋を用いた場合のように錆の発生や疲労に伴
う強度、耐久性の低下がないので、長期間安定して目標
とする強度や耐久性を確保できる。
【0003】そして上記FRPやCFRPは、モルタル
や、砂や砂利を含むコンクリートとの複合体とされるか
ら、目の粗いメッシュ状のものとする必要があり、それ
に使用する補強織物も補強用メッシュ織物とする必要が
ある。
【0004】通常の補強用メッシュ織物を含むメッシュ
状FRPは(たとえば、特公平4−55139号公報に
記載のもの)、補強用メッシュ織物のたて糸およびよこ
糸の断面が円または楕円形状であるので、たて糸とよこ
糸の交錯点での、たて糸とよこ糸が接着する面積が小さ
く、交錯点での接着強さが弱い。交錯点での接着強さが
弱いと、織物自身、ひいては成形されたFRPが剪断変
形しやすいものとなり、それを用いたセメント系材料は
曲げ剛性や曲げ強度等の向上効果が小さくなり、補強効
果が薄くなる。
【0005】また、織糸の断面が円や楕円形状である
と、メッシュ織物といえども織糸のクリンプが比較的大
きくなり、補強繊維の配向が局所的に乱れて補強繊維の
有する強度特性を十分に発揮できないとともに均一な特
性を発揮できないおそれがある。またクリンプが比較的
大きいと、表面が平滑なセメント系材料を構成しにくい
という問題もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような従来技術における問題点に着目し、補強用メッ
シュ織物における織糸間の接着強さが高く、FRPにし
た際にも剪断変形の生じにくい、セメント系材料の補強
用FRPに用いて好適な補強用メッシュ織物プリプレグ
およびメッシュ状繊維強化プラスチック、およびそれを
用いた繊維強化セメント系材料を提供することにある。
【0007】
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の補強用メッシュ織物プリプレグは、たて糸
およびよこ糸が扁平で実質的に撚りがなく、糸幅が4〜
16mm、糸幅/糸厚み比が30以上である補強繊維マ
ルチフィラメント糸からなり、かつ、たて糸およびよこ
糸が扁平状態で交錯するとともに形成する目の大きさが
10〜300mmであるメッシュ織物に30〜70重量
%のマトリクス樹脂が含浸されていることを特徴とする
ものからなる。
【0009】この補強用メッシュ織物プリプレグにおけ
補強用メッシュ織物においては、たて糸およびよこ糸
が扁平で実質的に撚りがない補強繊維マルチフィラメン
ト糸からなる「実質的に撚りがない」とは、糸長1m
当たりに1ターン以上の撚りがない状態をいう。つま
り、現実的に無撚の状態をいう。織糸に撚りがあると、
その撚りがある部分で糸幅が狭く集束して分厚くなり、
製織された織物の表面に凹凸が発生する。このため、製
織された織物は、外力が作用した際にその撚り部分に応
力が集中し、FRP等に成形した場合に強度特性が不均
一となってしまう。
【0010】織物におけるたて糸およびよこ糸が扁平で
あると、たて糸とよこ糸の交錯点における接着面積を大
きく確保することができる。つまり、通常のメッシュ織
物からなるメッシュ状FRPは、前述の如く、たて糸お
よびよこ糸の断面が円または楕円形状であるので、たて
糸とよこ糸との交錯点での、たて糸とよこ糸が接着する
面積が小さく、交錯点での接着強さが弱い。これに対し
本発明では、たて糸とよこ糸を扁平にすることにより、
これらの交錯点での接着面積が大きくすることができ、
交錯点での接着強さの強いメッシュ状FRPが得られ
る。
【0011】また、たて糸とよこ糸の接着強さが強いの
で、剪断強さや剪断剛性の強いメッシュ状FRPとな
る。したがって、面状のセメント材料を補強すると、面
板の剪断剛性が大きくなると同時に、曲げ剛性や曲げ強
度も高くなる。
【0012】さらに、このようなメッシュ状FRPをセ
メントに埋め込んだセメント系材料に引張応力が働く
と、引張応力に直角方向に位置するたて糸またはよこ糸
を含むFRP部の側面全体で応力をささえることになる
が、本発明の補強用メッシュ織物は交錯点での接着強さ
が強いので、それを用いたFRPにおいては、たて糸ま
たはよこ糸を含むFRP部に働く力を、それと直交する
よこ糸またはたて糸を含むFRP部に伝えることがで
き、曲げ強度が高くなる。
【0013】また、、補強繊維マルチフィラメント糸の
糸幅が4〜16mm、糸幅/糸厚み比が30以上の扁平
度の大きなものとすることにより、上述の織糸間の接着
面積、接着強度の増大がより助長される。また、織糸の
クリンプが小さくなり、補強繊維の有する強度を十分に
発揮できる。
【0014】上記本発明における補強用メッシュ織物に
おいては、織物の段階ではたて糸とよこ糸がそれらの交
錯点で接着されていることは必ずしも必要ではなく、F
RPにした段階でマトリクス樹脂を介して接着されてい
ればよいが、所定のメッシュ形態や所定の織糸間の目の
大きさを保つためには、織物の形態においてたて糸とよ
こ糸がそれらの交錯部において接着されていること、い
わゆる目止めされていることが望ましい。
【0015】織物における補強繊維糸が目止めされてい
ると、織物取扱い時やプリプレグへの加工時の目ずれを
防止できる。すなわち、メッシュ織物は一般に目ずれし
やすく、生織物の取扱い時やプリプレグ加工時に目ずれ
しやすく、補強繊維糸の間隔や方向が乱れてしまうおそ
れがある。上記の目止めによりこれらの問題を防ぐこと
ができる。
【0016】目止め剤としては、低融点ポリマー、たと
えば低融点ナイロンポリマー、低融点ポリエステルポリ
マー、ナイロンポリマー、ポリエステルポリマー、ポリ
エチレンポリマー、ポリプロピレンポリマーなどが使用
できる。なかでも、共重合ナイロンによる低融点ナイロ
ンポリマーは接着力が大きいので、少量で目的を達成す
ることができる。このような目止め剤は、たとえば、補
強用メッシュ織物製織の段階で、低融点ポリマー糸とし
て供給できる。
【0017】目止め剤の使用量は、1〜50g/m2
度であるが、目止め剤はFRPのマトリクス樹脂とは異
質のものであるので、目止めの目的が達成される限り、
少ないほど良い。
【0018】また、本発明における補強用メッシュ織物
は、たて糸およびよこ糸が形成する空隙部の大きさが、
長さ、幅ともに10〜300mmの範囲にある。このよ
うな補強用メッシュ織物を用いて成形したFRPも、同
様の形状のメッシュ状のものとなる。このような目の粗
いメッシュ状FRPに、砂や砂利などの骨材の入ったモ
ルタルやコンクリートを流し込みにより成形しても、メ
ッシュ状FRPの空隙部で骨材が詰まることはなく、ま
た流し込み側と反対側にも均一にモルタルやコンクリー
トが充填され、ボイドが残ることもなく、均一に複合さ
れた表面が平滑なセメント系材料が得られる。
【0019】本発明における補強用メッシュ織物は、各
種形態に製織できる。各形態の織物においては、織物厚
みおよび織物目付は以下のような範囲が好ましい。
【0020】前記扁平な補強繊維マルチフィラメント糸
を単に一本ずつのたて糸およびよこ糸とする織物とする
場合には、織物厚みが0.1〜0.4mm、織物目付が
30〜200g/m2 であることが好ましい(織物−
1)。
【0021】上記織物において、補強繊維マルチフィラ
メント糸を炭素繊維糸とする場合には、該炭素繊維糸の
フィラメント数が6,000〜24,000本、繊度が
3,000〜20,000デニールであることが好まし
い。
【0022】また、扁平な補強繊維マルチフィラメント
糸をたて糸とよこ糸とする織物であって、該たて糸とよ
こ糸の少なくとも一方が補強繊維マルチフィラメント糸
が複数積層されてなる織物とすることもできる(織物−
2)。この場合には、織物厚みが0.2〜0.6mm、
織物目付が60〜500g/m2 であることが好まし
い。扁平な織糸であるため、このように複数積層した状
態で織成しても、クリンプは小さく抑えられる。
【0023】このような織糸を積層した織物において、
補強繊維マルチフィラメント糸を炭素繊維糸とする場合
には、該炭素繊維糸のフィラメント数が3,000〜1
2,000本、繊度が1,500〜10,000デニー
ルであることが好ましい。
【0024】上述の如く、繊度が3,000〜20,0
00デニール、あるいは1,500〜10,000デニ
ールの太い糸を用いても、上記最適な織物目付の範囲と
することにより、扁平糸の扁平状態が潰されたりするこ
とはなく、樹脂の含浸性が悪化したりすることを防止で
きる。
【0025】本発明における補強用メッシュ織物におい
ては、とくに補強繊維が炭素繊維である場合、炭素繊維
は剛性や強度が大きいので、繊維量が少量で十分な補強
効果が得られる。したがって、セメント系材料への異物
(メッシュ状FRP)の混入割合が少なくなり、マトリ
クス剤であるセメントにおける応力集中が小さくなり、
セメント材料の強度が大きくなる。
【0026】また、炭素繊維は吸水することがなく、ま
たアルカリに対しても侵されることはない。したがっ
て、セメントに埋め込んで使用しても、炭素繊維は劣化
することはなく、長年補強効果を発揮することができ
る。
【0027】使用する炭素繊維としては、その引張強度
が200kgf/mm2 以上、引張弾性率が15,00
0kgf/mm2 以上のものが好ましい。
【0028】上述のような本発明における補強用メッシ
ュ織物の織組織は、とくには限定されないが、たて糸と
よこ糸が接着される交錯点の数を多く確保すること、表
裏の組織差をなくして反り等の発生しない均一な物性の
FRPを成形すること等から、平組織が好ましい。
【0029】たとえば図1に例示するように、たて糸1
およびよこ糸2が扁平で撚りのない補強繊維マルチフィ
ラメント糸からなり、これらが所定の大きさの目3を形
成するように、平組織のメッシュ織物に製織された補強
用メッシュ織物4である。
【0030】以上のような本発明における補強用メッシ
ュ織物は、たとえば目止めされた織物とする場合には、
次のように製造される。すなわち、本発明に係る補強用
メッシュ織物の製造方法は、たて糸およびよこ糸に扁平
で実質的に撚りがない補強繊維マルチフィラメント糸を
使用し、たて糸および/またはよこ糸と一体に、または
たて糸および/またはよこ糸とともに、たて糸および/
またはよこ糸の長さ方向に線状または点状に延びる低融
点ポリマー糸を供給し、たて糸とよこ糸をそれらの間に
形成される目の大きさが10〜300mmとなるように
製織してメッシュ織物とした後、その織物を加熱し、前
記低融点ポリマー糸を溶融させてたて糸とよこ糸を接着
することを特徴とする方法からなる。つまり、織機上で
目止めを行う。
【0031】目止め用の低融点ポリマーは、線状構成と
する場合には目止め糸の形で公知の方法により製織中に
供給することができ、点状構成とする場合には、予め補
強繊維マルチフィラメント糸中に点状に配置しておくこ
とができる。
【0032】上記目止めにより、プリプレグにする際、
あるいは直接FRPを成形する際、所定の補強用メッシ
ュ織物の形態が保たれる。
【0033】本発明に係る補強用メッシュ織物プリプレ
グは、上述のような補強用メッシュ織物に30〜70重
量%のマトリクス樹脂を含浸したものからなり、前述の
如き構成を有する。より好ましい樹脂量は35〜45重
量%である。
【0034】使用するマトリクス樹脂としては、エポキ
シ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フ
ェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの
熱硬化性樹脂は、織物に含浸された状態ではBステージ
である。また、マトリクス樹脂として、ナイロン樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ビスマ
レイミド樹脂等の熱可塑性樹脂も使用することができ
る。
【0035】このようなプリプレグを用いたFRPにお
けるマイクロクラックの発生を防ぐためには、マトリク
ス樹脂の硬化または固化状態における引張破断伸度を補
強メッシュ織物の補強繊維マルチフィラメント糸の引張
破断伸度よりも大きくすることが効果的である。たとえ
ば、マトリクス樹脂が、硬化状態における引張破断伸度
が3.5〜10%の熱硬化性樹脂または固化状態におけ
る引張破断伸度が8〜200%の熱可塑性樹脂であるこ
とが好ましい。
【0036】また、本発明に係るメッシュ状FRPは、
本発明に係る補強用メッシュ織物プリプレグを用いて形
成されたものであり、前述の補強用メッシュ織物を含
み、かつ、30〜70重量%のマトリクス樹脂を含むも
のからなる。マトリクス樹脂としては、前記と同様の熱
硬化性樹脂または熱可塑性樹脂が使用できる。また、マ
トリクス樹脂の引張破断伸度が補強メッシュ織物の補強
繊維マルチフィラメント糸の引張破断伸度よりも大きい
ことが好ましく、引張破断伸度が3.5〜10%の熱硬
化性樹脂または引張破断伸度が8〜200%の熱可塑性
樹脂を使用することが好ましい。
【0037】プリプレグを用いたFRPは公知の方法で
成形することができる。プリプレグを所定の枚数を所定
の方向に積層し、マトリクス樹脂が熱硬化性樹脂の場合
は100〜200℃で加熱しながら4〜10kg/cm
2 の加圧下で樹脂を硬化することによって、熱可塑性樹
脂の場合は7〜30kg/cm2 の加圧下で樹脂の融点
以上に加熱して、樹脂を溶融し冷却することによって成
形することができる。
【0038】本発明に係る補強用メッシュ織物プリプレ
グを複数積層する場合には、各メッシュ織物がそのたて
糸およびよこ糸が互いに重なり合うように積層される。
このような積層により、成形されたFRP全体として
も、同様のメッシュ構造を確保でき、セメント系材料等
の補強に供される。
【0039】なお、メッシュ状のプリプレグを作製する
には、前述の如く製造された補強用メッシュ織物に、連
続的にあるいは別のラインにて樹脂を含浸させ、しかる
後に必要に応じて所定の乾燥を行えばよい。乾燥後に
は、プリプレグのシートとして巻き取ることができる。
【0040】たとえば、メッシュ状FRPのマトリクス
となるエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノ
ール樹脂やビニルエステル樹脂などの熱硬化性樹脂を、
メチルエチルケトン、トルエン、メタノールなどの希釈
剤で薄めたものをメッシュ織物に含浸し、あと希釈剤を
乾燥させることによって、間隙部に樹脂が存在しないメ
ッシュ構造のプリプレグを製造することができる。マト
リクス樹脂としては、好ましくはセメントとの接着がよ
いエポキシ樹脂である。
【0041】
【実施例】
実施例1 糸幅が6.5mmの扁平な、東レ(株)社製 炭素繊維
マルチフィラメント“トレカ”T700S−12K(繊
度7,200デニール)と低融点ナイロン糸300デニ
ールを準備し、レピア織機を用いて以下に説明する方法
に従い、平織組織で、それぞれの織糸間隔を50mm
で、32g/m2 目付のメッシュ織物を製織した。
【0042】まず、たて糸の炭素繊維糸は横取りで解舒
し、炭素繊維糸の扁平状態を保持しながら横長矩形の綜
絖メールに供給する。そして、低融点ナイロン糸は、前
記炭素繊維糸の上方から導いて、各炭素繊維糸が供給さ
れた綜絖の上側のメールに供給する。そのような供給方
法により、低融点ナイロン糸は確実に扁平な炭素繊維糸
の真上に安定的に配置させることができ、低融点ナイロ
ン糸を溶融させることによって、その上に位置するよこ
糸と確実に接着させることができる。
【0043】一方、よこ糸に関しては織機の回転と同期
したよこ糸供給ニップローラーにより横取り方式で、一
定速度で引取りながら解舒させ、よこ糸の間欠給糸に対
して作用する貯留装置で弛みが生じるのを防止し、扁平
な炭素繊維糸に捩じれないようにレピアに供給した。よ
こ糸側にも低融点ナイロン糸を供給し、該低融点ナイロ
ン糸は、通常のよこ糸用テンサーおよびガイドを経て、
前記扁平な炭素繊維糸の上に配置させレピアに把持させ
るようにして供給した。
【0044】以上のよこ糸供給方法によりよこ糸を供給
し、製織された織物を織機上に取り付けたヒータで低融
点ナイロン糸を溶融させ、たて糸とよこ糸を接着させて
目止めし、形態の安定した補強用メッシュ織物を得た。
得られた補強用メッシュ織物のたて糸およびよこ糸の糸
幅は7mmと、使用した炭素繊維織糸より若干広くな
り、織物の空隙部の間隔は、たて糸間およびよこ糸間と
も43mmであった。
【0045】次に、このメッシュ織物を、メチルエチル
ケトンの溶媒で希釈したエポキシ樹脂に含浸し、樹脂重
量割合が45%のプリプレグを作製し、たて糸およびよ
こ糸同士が重なり合うように4枚積層し、加熱加圧して
硬化させてメッシュ状CFRPを得た。このメッシュ状
CFRPの交点での剪断強さを、JIS−G−3551
−8.2(3)項に準じて測定した結果、794kgf
と非常に大きかった。
【0046】比較例1 糸幅が2mmの東レ(株)社製 炭素繊維マルチフィラ
メント“トレカ”T300S−12K(繊度7,200
デニール)をたて糸およびよこ糸とし、低融点ナイロン
糸300デニールをたて糸に引き揃えて、レピア織機を
用いて通常の製織方法で、平織組織で、それぞれの織糸
間隔を50mmで、32g/m2 目付のメッシュ織物を
製織した。製織された織物を織機上に取り付けたヒータ
で低融点ナイロン糸を溶融させ、たて糸とよこ糸を接着
させて目止めした。得られたメッシュ織物は、炭素繊維
糸の断面が楕円形状なので、低融点ナイロン糸の炭素繊
維糸に対する位置がばらつき、織物の全面に対して均一
に目止めすることができず、形態が不安定であった。ま
た、得られたメッシュ織物のたて糸およびよこ糸の糸幅
は2.5mmと狭く、織物の空隙部の間隔は、たて糸間
およびよこ糸間とも47.5mmであった。
【0047】次に、このメッシュ織物を、メチルエチル
ケトンの溶媒で希釈したエポキシ樹脂に含浸し、樹脂重
量割合が45%のプリプレグを作製し、たて糸およびよ
こ糸同士が重なり合うように4枚積層し、加熱加圧して
硬化させてメッシュ状CFRPを得た。このメッシュ状
CFRPの交点での剪断強さを、JIS−G−3551
−8.2(3)項に準じて測定した結果、258kgf
と低かった。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の補強用メ
ッシュ織物プリプレグによれば、補強用メッシュ織物に
おける織糸を扁平で撚りがないものとし交錯点での接着
面積の大きなものとするとともに、所定の大きさの目を
確保するようにしたので、織糸間の接着強さが高く、
のプリプレグを用いてFRPにした際にも剪断変形の生
じにくい、セメント系材料の補強用FRPに用いて好適
な補強用メッシュ織物プリプレグを得ることができる。
【0049】このような補強用メッシュ織物プリプレグ
を用いたメッシュ状FRPは、強度や剛性が高く、かつ
表面が平滑で全体形状としても平らなものとなるため取
扱い性に優れるとともに、モルタルやコンクリートを容
易に流し込めると同時にこれらとの良好な接触複合状態
を実現でき、優れた特性のセメント系材料の成形に供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係る補強用メッシュ織物
の斜視図である。
【符号の説明】
1 たて糸 2 よこ糸 3 目 4 補強用メッシュ織物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // C04B 26/02 C04B 26/02 (56)参考文献 特開 平4−281037(JP,A) 特開 昭58−191244(JP,A) 特開 昭62−276053(JP,A) 特開 昭63−111045(JP,A) 特開 昭63−55146(JP,A) 特開 平1−40632(JP,A) 特開 平4−294136(JP,A) 特許2955145(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D03D 1/00 - 27/18 C08J 5/24

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 たて糸およびよこ糸が扁平で実質的に撚
    りがなく、糸幅が4〜16mm、糸幅/糸厚み比が30
    以上である補強繊維マルチフィラメント糸からなり、
    つ、たて糸およびよこ糸が扁平状態で交錯するとともに
    形成する目の大きさが10〜300mmであるメッシュ
    織物に30〜70重量%のマトリクス樹脂が含浸されて
    いることを特徴とする補強用メッシュ織物プリプレグ
  2. 【請求項2】 前記たて糸とよこ糸がそれらの交錯部に
    おいて接着されている、請求項1の補強用メッシュ織物
    プリプレグ
  3. 【請求項3】 織物厚みが0.1〜0.4mm、織物目
    付が30〜200g/m 2 である、請求項1または2の
    補強用メッシュ織物プリプレグ
  4. 【請求項4】 前記補強繊維マルチフィラメント糸が炭
    素繊維糸であり、該炭素繊維糸のフィラメント数が6,
    000〜24,000本、繊度が3,000〜20,0
    00デニールである、請求項1ないし3のいずれかに記
    載の補強用メッシュ織物プリプレグ
  5. 【請求項5】 前記たて糸とよこ糸の少なくとも一方は
    前記補強繊維マルチフィラメント糸が複数積層されてな
    り、織物厚みが0.2〜0.6mm、織物目付が60〜
    500g/m 2 である、請求項1ないし4のいずれかに
    記載の補強用メッシュ織物プリプレグ
  6. 【請求項6】 前記補強繊維マルチフィラメント糸が炭
    素繊維糸であり、該炭素繊維糸のフィラメント数が3,
    000〜12,000本、繊度が1,500〜10,0
    00デニールである、請求項1、2および5のいずれか
    に記載の補強用メッシュ織物プリプレグ
  7. 【請求項7】 前記メッシュ織物が平組織されてなる、
    請求項1ないし6のいずれかに記載の補強用メッシュ織
    プリプレグ
  8. 【請求項8】 前記マトリクス樹脂が熱硬化性樹脂また
    は熱可塑性樹脂である、請求項1ないし7のいずれかに
    記載の補強用メッシュ織物プリプレグ
  9. 【請求項9】 前記マトリクス樹脂の硬化または固化状
    態における引張破断伸度が前記メッシュ織物の補強繊維
    マルチフィラメント糸の引張破断伸度よりも大きい、請
    求項1ないし8のいずれかに記載の補強用メッシュ織物
    プリプレグ。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし9のいずれかに記載の
    補強用メッシュ織物プリプレグを用いて形成されたこと
    を特徴とするメッシュ状繊維強化プラスチック。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし9のいずれかに記載の
    補強用メッシュ織物プリプレグを複数枚を用いて形成さ
    れ、各補強用メッシュ織物プリプレグにおけるメッシュ
    織物の各たて糸および各よこ糸同士が互いに重なり合う
    ように積層されている、請求項10のメッシュ状繊維強
    化プラスチック。
  12. 【請求項12】 請求項10または11に記載のメッシ
    ュ状繊維強化プラスチックを含む繊維強化セメント系材
    料。
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