JP3279048B2 - 補強織物とそれを用いたfrp - Google Patents

補強織物とそれを用いたfrp

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JP3279048B2 JP05982494A JP5982494A JP3279048B2 JP 3279048 B2 JP3279048 B2 JP 3279048B2 JP 05982494 A JP05982494 A JP 05982494A JP 5982494 A JP5982494 A JP 5982494A JP 3279048 B2 JP3279048 B2 JP 3279048B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維強化複合材料用と
して優れた特性を発揮する補強織物、およびそれを用い
た繊維強化プラスチック(以下「FRP」という)に関
する。
【0002】
【従来の技術】繊維強化複合材料、とくにFRPには、
炭素繊維糸やガラス繊維糸、ポリアラミド繊維糸等を用
いて織物の形態にした補強織物が多用されている。中で
も、比弾性率が大きく、かつ、比強度が大きい炭素繊維
からなる炭素繊維織物は、通常、一般のシャトル織機や
レピア織機により製織されており、合成樹脂と複合して
所定形状に形成することにより炭素繊維強化プラスチッ
ク(以下、「CFRP」という)等の複合材料に用いる
補強基材として多用されている。
【0003】このような補強基材を用いた複合材料は、
例えば、CFRPは、その優れた性能を活かして航空機
の構造材等に使われ始めているが、現状におけるCFR
P材料は従来の金属材料に比べてコストが高いという問
題があり、CFRPのコストダウンが大きな課題であ
る。コストダウンを狙う一つの方策として、炭素繊維の
有する高性能な特性を最大限発揮させる補強基材の開発
も重要である。
【0004】この補強基材としての通常の補強織物は、
強化繊維をほぼ円形断面に収束させた強化繊維糸を用い
て織物にしているので、織り込まれた状態においては、
たて糸とよこ糸が交錯する交錯部における強化繊維糸の
断面が楕円形で、織糸が大きくクリンプしている。特
に、太い強化繊維糸を使用した補強織物では、太いよこ
糸と太いたて糸が交錯しているのでこの傾向が大きくな
る。
【0005】このため、強化繊維糸が大きくクリンプし
た補強織物では、FRP材料にし、その材料に応力が作
用した場合には、織糸がクリンプした交錯部に応力が集
中して強化繊維の特徴である高強度特性が充分に発揮で
きない。さらには、織物内の繊維密度が不均一となって
成形時の樹脂含浸性が悪く、成形品にボイドが多く存在
する問題や、成形品の表面が凹凸する問題がある。
【0006】特に、織糸のクリンプを小さくする手立て
として、織糸同士の交錯点を少なくした朱子織組織があ
る。この組織にすることにより織糸のクリンプを小さく
することができ、高い強度発現が可能となるが、この織
物には表裏が存在するので、成形品にと樹脂の硬化収縮
によって反りが発生する問題があり、精度が要求される
部材には採用出来ない。
【0007】上述した従来の問題点に対して、特公昭5
7−52221号公報において、織糸に屈曲を発生させ
ない織物構造(いわゆるノンクリンプ織物)が提案され
ている。この織物構造によると炭素繊維からなる織糸は
応力が集中するような屈曲を有せず真っ直ぐ延びている
ので、炭素繊維の持つ高強度特性が充分に発揮されると
いう特徴を有している。
【0008】しかしながら、たて糸とよこ糸が層をな
し、補助糸で一体化されているだけであるから、たて糸
とよこ糸の交絡効果がなく、例えばCFRP面に垂直方
向な方向からの衝撃が加わった場合、簡単にたて糸層と
よこ糸層が剥離してしまう問題がある。また、織物の厚
み方向中心に対して非対称であるため、成形板にすると
反りが発生する。さらには、補助糸として別の繊維糸が
存在することになり、製造上も厄介であるし、成形品と
しても重量が増大する問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した従来の問題点を解決し、力学的特性に優れたFRP
を成形することができる補強織物およびそれを用いたF
RPを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の補強織物は、繊度が7,200〜20,0
00デニールである炭素繊維マルチフィラメント糸をた
て糸とよこ糸とした平織組織の織物からなり、織物の断
面において、互いに隣接する2本のたて糸またはよこ糸
の中心を通る2本の垂線と該たて糸またはよこ糸と交錯
する1本のよこ糸またはたて糸の中心線との交点を結ん
だ線と、前記たて糸またはよこ糸の配列方向に平行な線
とのなす角度θが1度以下であり、かつ、カバーファク
ターが90%以上であることを特徴とするものからな
る。
【0011】上記補強織物における角度θについて、図
面を参照してより詳しく説明する。図1は、強化繊維糸
(たて糸1、よこ糸2)を織糸とする平織物からなる補
強織物3の部分平面図、図2は、図1のA−A線に沿っ
てみた、従来の補強織物4の断面図、図3は、同じく図
1のA−A線に沿ってみた、本発明の係る補強織物5の
断面図である。
【0012】図2において、互いに隣接する2本のたて
糸1aの中心を通る2本の垂線6a、6bと該たて糸1
aと交錯する1本のよこ糸2aの中心線2cとの交点7
a、7b間を結んだ線8と、たて糸1aの配列方向に平
行な線9とのなす角度θが、上記本発明でいう角度θで
ある(以下、織糸角度θということもある)。
【0013】図3に示す本発明に係る補強織物5におい
ても同様に、互いに隣接する2本のたて糸1bの中心を
通る2本の垂線10a、10bと該たて糸1bと交錯す
る1本のよこ糸2bの中心線2dとの交点11a、11
b間を結んだ線12と、たて糸1bの配列方向に平行な
線13とのなす角度θが、上記本発明でいう角度θであ
る。なお、図2、図3にはたて糸配列方向に関する織糸
角度θを示したが、よこ糸配列方向に関する織糸角度θ
についても図1のB−B断面について同様に規定でき
る。
【0014】したがって、図2、図3に示した態様にお
いては、たて糸1a、1bの中心間距離をL、織物の厚
みをtとすると、上記織糸角度θは次式により簡便的に
求めることができる。 織糸角度θ=tan-1(t/2L) なお、織物の厚みtは、JIS−R7602に準拠して
容易に測定できる。すなわち、ダイアルゲージを用いて
50,000Pa(510gf/cm2 )の荷重をかけ
た際の厚みである。
【0015】そして、本発明の補強織物においては、上
記織糸角度θが1度以下であることが必要である。この
ように、織糸角度θを1度以下にすることで、織糸はほ
とんど真っ直ぐであるから、FRPにして織糸方向に応
力が作用しても交錯する織糸との交錯部で応力集中が生
じなく強化繊維の有する高い強度、弾性率が余すことな
く発揮される。
【0016】上記のようにほとんどクリンプのない、本
発明に係る補強織物においては、高いカバーファクター
の実現で可能である。カバーファクターとしては90%
以上とされる。
【0017】高いカバーファクターの補強織物にするこ
とにより、強化繊維充填密度の高い繊維強化樹脂材料が
得られ、また、繊維強化樹脂材料にした場合に樹脂の偏
在した部分が存在することがなく、強化繊維が均一に分
散し、高い強度、弾性率の材料となり、繊維強化複合材
料の大きな特徴である高い比強度、比弾性率が十分に発
揮される。
【0018】ここで、カバーファクターCfとは、織糸
間に形成される空隙部の大きさに関係する要素で、織物
上に面積S1 の領域を設定したとき、面積S1 内におい
て織糸に形成される空隙部の面積をS2 とすると、次式
で定義される値をいう。 カバーファクターCf=[(S1 −S2 )/S1 ]×1
00
【0019】前記した織糸角度θの算出式から分かるよ
うに織糸間隔Lを大きくすれば、当然織糸角度θが小さ
くなり、交錯部での応力集中は回避できるものである
が、単に織糸間隔Lを大きくすれば、織糸間に大きい隙
間が生じ、その部分に樹脂が偏在し、CFRPに成形す
る際に樹脂が多く必要となり、強化繊維の含有率の低い
FRPとなってしまう。また、樹脂が多く偏在した部分
が弱点となり、応力が作用するとその部分からクラック
が生じ、強度の低い材料となってしまう。
【0020】そのようなことから、本発明においては、
織糸角度θが1度以下であって、かつカバーファクター
を90%以上とできるから、前記したような問題が生じ
ず、強化繊維の有する特性を充分に発揮させることがで
きるものである。
【0021】上記のような織糸角度1度以下、さらには
高いカバーファクターの補強織物は、たとえば扁平で実
質的に撚りがない強化繊維マルチフィラメント糸を織糸
とすることにより製造できる。
【0022】ここで「実質的に撚りがない」とは、糸長
1m当たりに1ターン以上の撚りがない状態をいう。つ
まり、現実的に無撚の状態をいう。
【0023】織糸に撚りがあると、その撚りがある部分
で糸幅が狭く収束して分厚くなり、製織された織物の表
面に凹凸が発生する。このため、製織された織物は、外
力が作用した際にその撚り部分に応力が集中し、FRP
等に成形した場合に強度特性が不均一となってしまう。
【0024】このような扁平状態の、実質的に撚りがな
い織糸からなる補強織物は、織糸の繊度を大きくして
も、また繊維密度を大きくしても、各織糸の交錯部にお
けるクリンプは極めて小さく抑えられ、FRPやCFR
Pにした際に高い強度特性が得られる。織糸の繊度を上
げられることから、織糸、ひいては補強織物が、より安
価に製造される。
【0025】また、クリンプが極めて小さく抑えられる
ので、織物目付を高く設定でき、かつ、織糸の扁平状態
を確保した状態にてカバーファクターを100%近くに
設定することが可能となる。したがって、FRP等にお
いて、繊維含有率を高く設定できるとともに、織糸間の
樹脂リッチな部分を極めて小さく抑えることができ、高
強度でかつ均一な強度特性を有する複合材料が得られ
る。
【0026】さらに、織物の形態で各織糸が扁平な状態
に維持されているから、樹脂の含浸性が極めてよい。し
たがって、一層均一な特性の複合材料が得られ、目標と
する強度特性が容易に得られる。
【0027】このような補強織物においては、上記強化
繊維マルチフィラメント糸の糸厚みが0.05〜0.2
mm、糸幅/糸厚み比が30以上であることが好まし
い。糸厚みが上記範囲未満であると、薄すぎて扁平糸の
形態を保持するのが困難となり、上記範囲を越えると、
クリンプを小さく抑えることが困難となる。また、糸幅
/糸厚み比が30未満であると、扁平糸の形態の維持と
同時にクリンプを抑えることの両方を同時に達成するこ
とが難しくなる。糸幅/糸厚み比の上限は特に限定しな
いが、現実の製織工程の行い易さを考慮すると、上限値
は150程度である。また、糸幅としては、4〜16m
mの範囲程度が製織しやすい。
【0028】上記のような扁平な強化繊維マルチフィラ
メント糸をたて糸およびよこ糸とする織物とする場合に
は、織物厚みが0.07〜0.4mm、織物目付が10
0〜300g/m2 であることが好ましい。
【0029】そして、強化繊維マルチフィラメント糸
炭素繊維マルチフィラメント糸とされ、該炭素繊維マル
チフィラメント糸の繊度が7,200〜20,000デ
ニールの範囲とされる。とくにこの範囲の下限値7,2
00デニールの値は後述の実施例における値である。
【0030】本発明は、このように繊度が7,200
20,000デニールと太い炭素繊維糸についてとくに
効果を発揮するものである。すなわち、通常の織物にお
いては、織糸が太ければ太い程織糸のクリンプが大きく
なり、しかも織物表面が凸凹する問題がある。本発明に
おいては、織糸の繊度に関係なく、織糸角度θを1度以
下に押さえたものであるので、特に太い繊度の織糸を使
用した織物で効果を発揮する。太い繊度の織糸で、織糸
角度θを1度以下に押さえるためには、織糸の幅を薄く
拡げることで可能にするものである。
【0031】また、上記のような炭素繊維マルチフィラ
メント糸を用いた補強織物とする場合、より高いカバー
ファクターの実現が可能である。たとえば、織物目付と
前記炭素繊維マルチフィラメント糸の繊度とが次式の関
係を満たし、かつ、カバーファクターが95%以上であ
る補強織物とできる。 W=k・D1/2 但し、W:織物目付(g/m2 ) k:比例定数(1.2〜3.5) D:炭素繊維マルチフィラメント糸の繊度(デニール)
【0032】また炭素繊維糸の炭素繊維としては直径が
5〜10ミクロンμmで、JISR7601に基づく引
張破断伸度が1.5〜2.3%、引張破断強度が200
〜800kg・f/mm2 、引張弾性率が20,000
〜70,000kg・f/mm2 のものが好ましい。
【0033】このような炭素繊維を用いることにより、
より高い力学的特性を有したCFRPが得られる。
【0034】なお、本発明の補強織物はたて糸とよこ糸
が1本交互に浮き沈みして交錯する平織組織である。そ
うすることにより、たて糸とよこ糸を面内で交絡させて
おくことにより、面に垂直な衝撃力、あるいは繊維軸方
向圧縮応力などあらゆる応力が作用してもたて糸とよこ
糸の二つの面が剥離するようなことがなく、高い力学的
特性を発揮することになる。
【0035】本発明に係る補強織物は、たとえば次のよ
うな方法により製造できる。前述のような扁平で実質的
に撚りがない強化繊維マルチフィラメント糸をたて糸お
よび/またはよこ糸とし、その織糸の扁平度がくずれな
いように、かつ解舒撚りがかからないように横取り解舒
し、織糸角度θが本発明範囲内に収まるように製織す
る。必要に応じて、製織中あるいは製織後に各織糸を開
繊、拡幅するとよい。
【0036】上記のような本発明に係る補強織物は、プ
リフォームやプリプレグ、さらにはFRPやCFRPの
成形に供され、補強基材として優れた特性を発揮する。
【0037】本発明に係るプリフォームは、前記いずれ
かの本発明に係る補強織物を少なくとも1枚用いたもの
である。織物の織糸角度θが小さく、凹凸が極めて小さ
いので、これを用いたプリフォームは型へのフィット性
が極めて良好であり、FRPに成形した際にも表面が平
滑になる。
【0038】また、本発明に係るプリプレグは、前述の
本発明の補強織物に30〜70重量%のマトリクス樹脂
を含浸したものからなる。より好ましい樹脂量は35〜
45重量%である。
【0039】使用するマトリクス樹脂としては、エポキ
シ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フ
ェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの
熱硬化性樹脂は、織物に含浸された状態ではBステージ
である。また、マトリクス樹脂として、ナイロン樹脂、
ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ビスマ
レイミド樹脂等の熱可塑性樹脂も使用することができ
る。
【0040】このようなプリプレグを用いた繊維強化複
合材料におけるマイクロクラックの発生を防ぐために
は、マトリクス樹脂の硬化または固化状態における引張
破断伸度を補強織物の強化繊維糸の引張破断伸度よりも
大きくすることが効果的である。たとえば、マトリクス
樹脂が、硬化状態における引張破断伸度が3.5〜10
%の熱硬化性樹脂または固化状態における引張破断伸度
が8〜200%の熱可塑性樹脂であることが好ましい。
【0041】また、本発明に係るFRPは、前述の本発
明の補強織物を含み、かつ、30〜70重量%のマトリ
クス樹脂を含むものからなる。マトリクス樹脂として
は、前記と同様の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂が使
用できる。また、マトリクス樹脂の引張破断伸度が補強
織物の強化繊維糸の引張の破断伸度よりも大きいことが
好ましく、引張破断伸度が3.5〜10%の熱硬化性樹
脂または引張破断伸度が8〜200%の熱可塑性樹脂を
使用することが好ましい。
【0042】プリプレグを用いたFRPは公知の方法で
成形することができる。プリプレグを所定の枚数を所定
の方向に積層し、マトリクス樹脂が熱硬化性樹脂の場合
は100〜200℃で加熱しながら4〜10kg/cm
2 の加圧下で樹脂を硬化することによって、熱可塑性樹
脂の場合は7〜30kg/cm2 の加圧下で樹脂の融点
以上に加熱して、樹脂を溶融し冷却することによって成
形することができる。
【0043】また、本発明に係る補強織物は、織糸角度
θが1度以下と極めて小さく、平滑で、しかもカバーフ
ァクターが高いものであるから、FRPを成形する際、
織物自身、プリプレグやプリフォーム等の補強基材を型
に沿わせる際のドレープ性に極めて優れており、かつ成
形された状態で強化繊維が全体にわたって均一に分布し
ているので、極めて高強度でかつ均一な物性のFRPと
なる。
【0044】したがって、この補強織物を含む補強基材
は、目開き等を生じることなく、深絞りで容易に所定形
状に賦形できる。すなわち、本発明に係る繊維強化プラ
スチックの製造方法は、前述したいずれかの態様の補強
織物を含む補強基材を、該補強織物の織糸の方向が深絞
り中心を向く方向に対して斜めの方向となる各々の隅を
固定し、固定された補強基材を深絞りにより賦形するこ
と特徴とする方法からなる。
【0045】上記のように固定部分を特定して深絞りす
れば、賦形の際に各織糸の交差角を容易に変化させるこ
とができ、高いカバーファクターを維持しつつ型へのド
レープ性が大幅に向上され、所望の成形が極めて容易に
行える。
【0046】
【実施例】
実施例1 引張破断強度が430kgf/mm2 、引張弾性率が2
3,500kgf/mm2 、破断伸度が1.8%の炭素
繊維(東レ(株)社製 トレカT300J−12K(繊
度7,200デニール))からなり、その炭素繊維を糸
幅6.5mmの扁平状に拡げてサイジング剤で形態保持
させた糸条をたて糸とよこ糸とし、平織組織で、それぞ
れの織密度を1.25本/cmで、かつ扁平状を保持し
ながら製織し、目付が200g/m2 の織物を得た。得
られた織物のカバーファクターは95%であった。ま
た、織物の厚みは0.21mmと非常に薄い織物で、織
物表面が非常に均一であった。また、織糸間隔と厚みか
ら求めた織糸角度θは0.75度であった。
【0047】得られた上記織物にエポキシ樹脂を含浸さ
せ、これを同方向に4枚積層させてオートクレーブ成形
法で硬化板を作製し、JIS−K7073のCFRPの
引張試験法に準拠して引張強度を測定した。その結果
を、炭素繊維の体積含有率および引張弾性率と共に表1
に示す。
【0048】比較例1 比較のために、実施例1と同じ特性を持つ炭素繊維で、
糸の繊度が1,800デニール(東レ(株)社製 トレ
カT300J−3K))からなる炭素繊維糸をたて糸と
よこ糸とし、平織組織で、それぞれの織密度を5.0本
/cmで、従来の製織法により平織組織で製織し、目付
が200g/m2 の織物を得た。得られた炭素繊維織物
は、厚さが0.27mm、カバーファクターが93%で
あった。また、実施例1と同様にして求めた織糸角度θ
は3.9度で、実施例1に比較して大きい値であった。
【0049】この炭素繊維織物を実施例1と同様に、エ
ポキシ樹脂を含浸させ、これを同方向に4枚積層させて
オートクレーブ成形法で硬化板を作製した。得られた硬
化板を、実施例1と同様に、引張破断強度を評価し、そ
の結果を炭素繊維の体積含有率および引張弾性率と共に
表1に示した。
【0050】比較例2 さらに、比較例1と同じ炭素繊維糸(東レ(株)社製
トレカT300J−3K(繊度1,800デニール))
を用い、平織組織で、それぞれの織密度を1.25本/
cmで、従来の製織法により製織し、目付が50g/m
2 の織物を得た。得られた炭素繊維織物の糸幅が3〜5
mmと狭いために、織物のカバーファクターが75%と
メッシュ状であった。また織物の厚さは、0.16mm
と薄い織物であり、しかも織糸間隔が大きいために、織
糸角度θは0.57度と小さいものであった。
【0051】この炭素繊維織物を実施例1と同様にエポ
キシ樹脂を含浸させ、これを同方向に4枚積層させてオ
ートクレーブ成形で硬化板を作製した。その結果、積層
工程において、織物空隙部の樹脂が離型フイルムに取ら
れて樹脂が欠けてしまい、その分樹脂を追加しなければ
ならなかった。また、得られた硬化板は、表面が織物の
空隙部が窪んで凸凹しており、ボイドが多く見られた。
得られた硬化板を実施例1と同様に、引張破断強度を評
価し、その結果を炭素繊維の体積含有率および引張弾性
率と共に表1に示した。
【0052】比較例1との比較において分かるように、
本発明の織物は織糸角度θが小さいため高い引張強度特
性が得られる。比較例2との比較において、織糸角度θ
が小さくてもカバーファクターが小さいと繊維含有率が
低くなるので高い引張強度特性が得られない問題があ
る。
【0053】
【表1】
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の補強織物
は、織糸角度θが1度以下であるクリンプの極めて小さ
い平織物であるから、FRPやCFRPに成形した硬化
板に応力が作用しても交錯する織糸との交錯部で応力集
中が生じなく強化繊維の有する高い強度、弾性率を余す
ことなく発揮することができる。また、織糸の繊度を大
きくしても、繊維密度の高い平滑な織物とでき、所望の
補強織物を安価に製造できる。さらに、カバーファクタ
ーを容易に高めることができ、織糸間の隙間の発生を抑
えることができるので、FRPに作製した場合、強化繊
維の含有率が高くなり、全体にわたって均一に非常に高
い強度特性を発揮することができる。
【0055】したがって、この補強織物を用いて成形し
たFRPは、凹凸がほとんどなく表面が平滑で、かつ高
い繊維含有率の達成が可能で、しかも強化繊維が全体に
わたって均一に含有されたものとなり、航空機の構造材
にも十分に適用できる、優れた特性を有するものとな
る。
【0056】また、上記凹凸の少ない補強織物は、型に
沿うためのドレープ性に極めて優れており、型に沿わせ
て成形する際にも目開き等の不都合を発生させないの
で、深絞り成形し易いものであり、目標とする深絞りF
RP成形品が容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】平組織の補強織物の部分平面図である。
【図2】図1のA−A線に沿う、従来の補強織物の縦断
面図である。
【図3】図1のA−A線に沿う、本発明に係る補強織物
の部分縦断面図である。
【符号の説明】
1、1a、1b たて糸 2、2a、2b よこ糸 2c、2d よこ糸の中心線 3、4、5 補強織物 6a、6b、10a、10b 垂線 7a、7b、11a、11b 交点 8、12 交点間を結ぶ線 9、13 たて糸配列方向に平行な線 θ 角度(織糸角度)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−191244(JP,A) 特開 昭62−276053(JP,A) 特開 平10−331047(JP,A) 特開 平11−1840(JP,A) 特開 平4−281037(JP,A) 特開 平7−243149(JP,A) 実開 平2−2124(JP,U) 特許2955145(JP,B2) 特許2836457(JP,B2) 特許3089984(JP,B2) 特許3094835(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D03D 1/00 - 27/18 B29B 11/16 C08J 5/24

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊度が7,200〜20,000デニー
    ルである炭素繊維マルチフィラメント糸をたて糸とよこ
    糸とした平織組織の織物からなり、織物の断面におい
    て、互いに隣接する2本のたて糸またはよこ糸の中心を
    通る2本の垂線と該たて糸またはよこ糸と交錯する1本
    のよこ糸またはたて糸の中心線との交点を結んだ線と、
    前記たて糸またはよこ糸の配列方向に平行な線とのなす
    角度θが1度以下であり、かつ、カバーファクターが9
    0%以上であることを特徴とする補強織物。
  2. 【請求項2】 織糸が扁平で実質的に撚りがない炭素繊
    維マルチフィラメント糸からなる、請求項1の補強織
    物。
  3. 【請求項3】 前記炭素繊維マルチフィラメント糸の糸
    厚みが0.05〜0.2mm、糸幅/糸厚み比が30以
    上である、請求項2の補強織物。
  4. 【請求項4】 前記炭素繊維マルチフィラメント糸をた
    て糸およびよこ糸とする織物であって、織物厚みが0.
    07〜0.4mm、織物目付が100〜300g/m 2
    である、請求項2または3の補強織物。
  5. 【請求項5】 織物目付と前記炭素繊維マルチフィラメ
    ント糸の繊度とが次式の関係を満たし、かつ、カバーフ
    ァクターが95%以上である、請求項1ないし4のいず
    れかに記載の補強織物。W=k・D 1/2 但し、W:織物目付(g/m 2 k:比例定数(1.2〜3.5) D:炭素繊維マルチフィラメント糸の繊度(デニール)
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の補
    強織物を用いたプリフォーム。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし5のいずれかに記載の補
    強織物に30〜70重量%のマトリクス樹脂が含浸され
    ているプリプレグ。
  8. 【請求項8】 前記マトリクス樹脂の硬化または固化状
    態における引張破断伸度が補強織物の前記炭素繊維マル
    チフィラメント糸の引張破断伸度よりも大きい、請求項
    7のプリプレグ。
  9. 【請求項9】 請求項1ないしのいずれかに記載の補
    強織物を含み、かつ、30〜70重量%のマトリクス樹
    脂を含む繊維強化プラスチック。
  10. 【請求項10】 前記マトリクス樹脂が熱硬化性樹脂ま
    たは熱可塑性樹脂である、請求項9の繊維強化プラスチ
    ック。
  11. 【請求項11】 前記マトリクス樹脂の引張破断伸度が
    補強織物の前記炭素繊維マルチフィラメント糸の引張破
    断伸度よりも大きい、請求項9または10の繊維強化プ
    ラスチック。
  12. 【請求項12】 前記マトリクス樹脂が、引張破断伸度
    が3.5〜10%の熱硬化性樹脂または引張破断伸度が
    8〜200%の熱可塑性樹脂である、請求項9ないし1
    1のいずれかに記載の繊維強化プラスチック。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし5のいずれかに記載の
    補強織物を含む補強基材を、該補強織物の織糸の方向が
    深絞り中心を向く方向に対して斜めの方向となる各々の
    隅を固定し、固定された補強基材を深絞りにより賦形す
    ることを特徴とする、繊維強化プラスチックの製造方
    法。
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