以下、添付図面を参照しながら本発明による磁気記憶装置の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る磁気記憶装置1の全体構成を示す概念図である。磁気記憶装置1は、記憶部2、ビット選択回路11、ワード選択回路12、ビット配線13、14、並びにワード配線15、16を備える。記憶部2には、複数の記憶領域3がm行n列(m、nは2以上の整数)の二次元状(アレイ状)に配列されている。図2に拡大して示されるように、各記憶領域3は、TMR素子4、読み書き兼用配線5、読み書き兼用トランジスタ6、読み出し配線7、強磁性ヨーク構造体20等を有する。なお、読み書き兼用配線5は、ビット配線13から引き込まれるように配設されていることから、記憶領域3毎に、読み書き兼用配線5、強磁性ヨーク構造体20などが独立して配設されるようになっている。
TMR(磁気抵抗効果)素子4は、磁化方向を変化させると、それに基づいて自身の抵抗値が変化する機能を有する。この抵抗値の変化状態によって、TMR素子4に二値データが書き込まれる。このTMR素子4の磁化方向を変化させる外部磁界は、読み書き兼用配線5によって発生させる。
読み書き兼用配線5の一端は、読み書き兼用トランジスタ6を介してビット配線13に電気的に接続されている。読み書き兼用配線5の他端は、ビット配線14に電気的に接続される。読み書き兼用トランジスタ6は、読み書き兼用配線5における書き込み電流及び読み出し電流の導通を制御するためのスイッチ手段であり、ドレイン及びソースの一方に読み書き兼用配線5が接続され、他方にビット配線13が接続される。更に、ゲートにはワード配線15が接続される。これにより、読み書き兼用配線5には、読み書き兼用トランジスタ6によって電流が流され、その電流によって周囲に磁界を生じさせる。
読み出し配線7は、一方がTMR素子4に接続されると共に、他方がワード配線16に接続され、両端間にはダイオードが配置されている。TMR素子4において、このワード配線16が接続される側と反対側の面には、読み書き兼用配線5に接続されるので、TMR素子4に読み出し電流を供給できるようになる。なお、読み出し配線7のダイオードの存在により、ワード配線16からTMR素子4側に流れる回り込み電流を防止することができる。
ビット配線13、14は、アレイ状に配置される複数の記憶領域3の列毎に配設されている。ビット配線13は、対応列に属する全記憶領域3の読み書き兼用トランジスタ6に接続され、この読み書き兼用トランジスタ6を介して読み書き兼用配線5の一端に接続される。また、ビット配線14は、対応列に属する全記憶領域3の読み書き兼用配線5の他端に接続される。ビット配線13とビット配線14間に電位差を付与しつつ、読み書き兼用トランジスタ6によって導通を許可すれば、読み書き兼用配線5に電流が流れるようになる。
ワード配線15、16は、記憶領域3の各行に配設される。ワード配線15は、対応行に属する全記憶領域3において、読み書き兼用トランジスタ6のゲートに接続されている。また、ワード配線16は、対応行に属する全記憶領域3において、読み出し配線7を介してTMR素子4に接続される。
図1に戻って、ビット選択回路11は、各記憶領域3の読み書き兼用配線5に正または負の書き込み電流を提供する機能を備える。具体的にビット選択回路11は、内部または外部から指示されたアドレスに応じて、アレイ状に配置される記憶領域3から所定列を選択するアドレスデコーダ回路と、この選択した所定列に対応するビット配線13、14間に正または負の電位差を付与して、この所定列のビット配線13、14間に設置される読み書き兼用配線5に書き込み電流を供給するカレントドライブ回路を含んでいる。
ワード選択回路12は、内部または外部から指示されたアドレスに応じて、アレイ状に配置される記憶領域3から所定行を選択するアドレスデコーダ回路と、この所定行に対応するワード配線15、16に所定の電圧を供給するカレントドライブ回路を含んでいる。従って、ワード選択回路12を用いて、所定行に相当するワード配線15に制御電圧を印加すれば、読み書き兼用トランジスタ6を導通状態にすることができる。この導通制御により、上記ビット選択回路11によって選択されたアドレスの読み書き兼用配線5に対して、書込み電流を流すか流さないかを選択できるようになる。更にワード選択回路12は、ワード配線16に所定の電圧を印加する事で、読み出し電流の制御も可能となっている。具体的には、ビット選択回路11において、内部または外部から指示されたアドレスに対応する列をアドレスデコーダ回路によって選択し、そのビット配線13に所定電圧を印加する。これと同時に、ワード選択回路12では、アドレスデコーダ回路によってアドレスに対応する行を選択して、その行に対応するワード配線16に所定電圧を印加する事で、このビット配線13とワード配線16との間に読み出し電流を供給する。この際に、選択された所定行のワード配線15にも電圧を印加して、読み書き兼用トランジスタ6に基づいて読み出し電流を流すように制御する。
次に、この磁気記憶装置1における記憶領域3の具体的構造について詳細に説明する。図3は、記憶領域3の配線状態等を立体的に示した斜視図である。記憶領域3は、大きくは下側から半導体層、配線層、磁性材料層を備えている。半導体層は特に図示しない半導体基板を含み、記憶領域3全体の機械的強度を維持しながら、読み書き兼用トランジスタ6等の半導体デバイスが形成される。最上位の磁性材料層には、TMR素子4、TMR素子4に磁界を効率的に与えるための強磁性ヨーク構造体20といった磁性素材による構成物が形成される。中間に位置する配線層は、ビット配線13及び14並びにワード配線15及び16、読み書き兼用配線5の一部、読み出し配線7等が形成される。
半導体層における読み書き兼用トランジスタ6は、絶縁領域に取り囲まれるように形成されており、隣接する複数の読み書き兼用トランジスタ6が互いに電気的に分離されている。絶縁領域には例えばSiO2といった絶縁性材料が用いられ、又、半導体基板は例えばSi基板から構成され、そこにp型またはn型の不純物がドープされることになる。
図4に拡大して示されるように、読み書き兼用トランジスタ6は、半導体基板30の反対導電型となるドレイン領域6A、ソース領域6B、ゲート電極6C等によって構成されている。従って、ドレイン領域6Aとソース領域6Bの間には半導体基板30が介在しており、その半導体基板30上に所定の間隔を空けてゲート電極6Cが配置されている。このゲート電極6Cはワード配線15によって構成されており、この構成により、ワード配線15に電圧が印加されると、読み書き兼用トランジスタ6のドレイン領域6A及びソース領域6Cが互いに導通して、ビット配線13から供給される電流が読み書き兼用配線5に流れるようになっている。
図3に戻って、配線層におけるビット配線13及び14、ワード配線15及び16等の各配線以外の領域は、すべて絶縁領域によって占められる。この絶縁領域の材料としては、半導体層の絶縁領域と同様にSiO2といった絶縁性材料を用いる。また、配線の材料としては例えばWやAlを用いることができる。
TMR素子4に隣接する読み書き兼用配線5は、記憶領域3のアレイ面(平面)方向に延在しながらも、この平面内でL字上に屈曲した形状となっている。更に、読み書き兼用配線5の一端は平面に対して垂直方向に屈曲して垂直配線となり、その下方側においてビット配線14に接続される。読み書き兼用配線5の他端は、同様に平面に対して垂直方向に屈曲して垂直配線となり、その下端において読み書き兼用トランジスタ6のドレイン領域6Aとオーミック接合される。
また、ビット配線13には、各記憶領域3の引き込み線13Aが平面方向に分岐形成されており、その先方で垂直方向に屈曲して、読み書き兼用トランジスタ6のソース領域6Bにオーミック接合される。読み出し配線7も平面方向に延在しており、その一端はTMR素子4に電気的に接続され、他端は垂直方向に屈曲して下方側においてワード配線16に接続される。
行方向に延びるワード配線15は、その一部がゲート電極6Cを兼ねている。このことは、ワード配線15が読み書き兼用トランジスタ6のゲート電極6Cに電気的に接続されることと同義である。
次に、図5等を用いて磁性材料層について説明する。磁性材料層は、TMR素子4と、強磁性ヨーク構造体20と、読み書き兼用配線5の一部と、読み出し配線7の一部等を有する。なお、磁性材料層においては、以下に説明する構成や他の配線以外の領域は、絶縁領域24によって占められている。
図6に拡大して示されるように、TMR素子4は、第1磁性層(フリー層/感磁層)4A、非磁性絶縁層(絶縁体層)4B、第2磁性層4C、非磁性金属層4D、第3磁性層4E、反強磁性層4Fをこの順に備えている。第1磁性層4Aは外部磁界によって磁化方向(a)が変化するようになっており、反強磁性層4Fは第3磁性層4Eの磁化方向(e)を固定(ピン止め)する。非磁性金属層4Dの膜厚を調整することにより、第2磁性層4Cの磁化方向(c)が、第3磁性層4E(e)の磁化方向と反平行となっている。これは第2磁性層4Cと第3磁性層4Eの間に交換相互作用が生じているからである。この結果、第2磁性層4Cは、反強磁性層4Fによって、第3強磁性層4Eを介して間接的に磁化状態が固定されていることになる。
更にこのTMR素子4では、第3磁性層4Eの膜厚が、第2磁性層4Cの膜厚よりも大きく設定されている。従って、第2磁性層4Cよりも第3磁性層4Eが強い磁界を有している。
TMR素子4は、外部磁界を受けて第1磁性層4Aの磁化方向(a)が変化すると、第1磁性層4A、第2磁性層4C及び第3磁性層4Eとの間の抵抗値が変化するようになっている。この抵抗値の差によって、二値データを記録することができる。なお、第1磁性層4Aの材料としては、例えばCo、CoFe、NiFe、NiFeCo、CoPtなどの強磁性材料を用いることができる。
第3磁性層4Eは、反強磁性層4Dとの接合面における交換結合により磁化方向(e)が一方向に配向された状態で安定している。また、この第3磁性層4Eの磁化容易軸方向は、第1磁性層4Aの磁化容易軸方向(a)に沿うように設定される。第2磁性層4C、第3磁性層4Eの材料としては、例えばCo、CoFe、NiFe、NiFeCo、CoPtなどの強磁性材料を単独で、或いは複合させて用いることができる。また、反強磁性層4Fの材料としては、IrMn、PtMn、FeMn、PtPdMn、NiO、またはこれらを任意に組み合わせた材料を用いることができる。また、非磁性金属層4Dの材料としては、Ru、Rh、Ir、Cu、Agなどが好適である。
非磁性絶縁層4Bは、非磁性且つ絶縁性の材料からなる層であり、第1磁性層4Aと第2磁性層4Cとの間に介在して、トンネル磁気抵抗効果(TMR)が生じるようにしている。詳細には、第1磁性層4Aの磁化方向(a)と第2磁性層4Cの磁化方向(c)との相対関係(即ち、平行または反平行)によって、電気抵抗値が異なる特性を有している。非磁性絶縁層4Bの材料としては、例えばAl、Zn、Mgといった金属の酸化物または窒化物が好適である。
第1磁性層4Aには、第2磁性層4Cとの境界に形成される微小凹凸の波長によって結合磁界HNが作用している。この結合磁界HNの磁化方向は、第2磁性層4Cの磁化方向(c)と平行となる。また、第2磁性層4C及び第3磁性層4Eの側面からは、側部漏洩磁界Sが発生している。既に述べたように、第3磁性層4Eの膜厚は、第2磁性層4Cの膜厚よりも大きく設定されていることから、この側部漏洩磁界Sは第3磁性層4Eからの漏洩が中心となる。この側部漏洩磁界Sは、第2及び第3磁性層4C、4Eの側面で反転して第1磁性層4Aに漏洩磁界HSとして作用する。この結果、TMR素子4内のみで考えると、漏洩磁界HSは結合磁界HNに対して平行することになり、第1磁性層4Aに対するバイアス磁界を強めるように作用するが、後述するように、これらは強磁性ヨーク構造体20の増幅効果によって相殺されることになる。
TMR素子4の反強磁性層4Fは、金属層19を介して読み書き兼用配線5と電気的に接続されている。TMR素子4の第1磁性層4Aは読み出し配線7に電気的に接続される。この構成により、読み出し電流を、読み書き兼用配線5からTMR素子4を介して読み出し配線7へ流すことが可能となり、TMR素子4の抵抗値の変化を検出する事が出来るようになる。なお、強磁性ヨーク構造体20は、読み書き兼用配線5におけるTMR素子4との隣接領域5A(図3参照)を取り囲むように配置されている。なお、TMR素子4の第1磁性層4Aの磁化容易軸は、読み書き兼用配線5の長手方向と交差する方向(すなわち、書き込み電流の方向と交差する方向)に沿うよう設定される。
図5に戻って、強磁性ヨーク構造体20はTMR素子4の外部磁界保護構造として機能するものであり、延在する読み書き兼用配線5におけるTMR素子4側に近接配置される素子側ヨーク20Aと、読み書き兼用配線5におけるTMR素子4の反対側に近接配置される反素子側ヨーク20Bを備える。又、素子側ヨーク20Aの両端と反素子側ヨーク20Bの両端には、両者を連結して略環状とする一対のヨーク接合部20C、20Cが構成されている。従って、TMR素子4を基準に考えると、素子側ヨーク20AがTMR素子4に近接しており、反素子側ヨーク20BはTMR素子4から離れている。又、この強磁性ヨーク構造体20自体は読み書き兼用配線5の外周の一部を覆っていることになる。反素子側ヨーク20Bは、読み書き兼用配線5の上方に位置するトップ領域20Tと、このトップ領域20Tの両端側、即ちヨーク接合部20C、20Cの近傍に位置するする傾斜領域20S、20Sとを備えて構成される。
素子側ヨーク20Aは、環状方向の中間に空隙20Eが形成されており、その空隙20EにTMR素子4が介在配置されている。従って、強磁性ヨーク構造体20を軸視した場合、周方向の一部に開放端20Ea、20Ebを備えた略C字形状となっている。この開放端20Ea、20Ebは、素子側ヨーク20Aの突端としてTMR素子4の側面近傍に配置されることになる。
傾斜領域20S、20S及びヨーク接合部20C、20Cは、トップ領域20Tに生じる磁界を素子側ヨーク20A側(即ちTMR素子4側)に誘導する。従って、トップ領域20Tに生じた内部磁界は、傾斜領域20S、20S及びヨーク接合部20C、20Cを介して反転し、素子側ヨーク20Aでは反対方向の内部磁界となる。又、反素子側ヨーク20Bにおいては、傾斜領域20S、20Sが、素子側ヨーク20A側に傾倒するようになっている。詳細には、トップ領域20Tと傾斜領域20S、20Sの角度P(図7参照)が鈍角に設定され、一方、ヨーク接合部20C、20Cにおける素子側ヨーク20Aと傾斜領域20S、20Sの連結角度が鋭角に設定される。また、傾斜領域20Sの厚みは、素子側ヨーク20Aと比較して大きく設定されている。
図7に示されるように、反素子側ヨーク20Bのトップ領域20Tの厚みTZは、素子側ヨーク20Aの厚みBZと比較して大きく設定されている。例えば厚さTZは、50nm以上、100nm以下に設定される。また、反素子側ヨーク20Bよりも薄い素子側ヨーク20Aの厚さBZは10nmより大きく且つ30nmより小さい範囲内に設定されている。また、傾斜領域20Sの厚さSZは、平均すると20nmより大きく且つ100nmより小さい範囲内に設定されている。素子平面4Aを基準とした反素子側ヨーク20Bの最大高さHは、例えば300nm以下に設定される。
なお、この強磁性ヨーク構造体20を製造する際には、傾斜領域20Sとトップ領域20Tを一連のプロセスで一体的に製膜することが好ましく、製造コストを低減することが可能になる。なお、強磁性ヨーク構造体20を構成する強磁性材料としては、例えばNi、Fe、Coのうち少なくとも一つの元素を含む金属が好適である。
次に、本第1実施形態の磁気記憶装置1におけるTMR素子4への情報書き込み動作について説明する。
図7の状態において、読み書き兼用配線5に電流が流れていない場合、この読み書き兼用配線5による磁界が生じない。従って、強磁性ヨーク構造体20の形状効果により、強磁性ヨーク構造体20の磁化状態Xは、読み書き兼用配線5の延在方向と略一致した状態で単磁区化されているか、又は、各種方向の磁区が複数形成されている。従って、強磁性ヨーク構造体20が、読み書き兼用配線5の周方向に単磁区化することが抑制されている。又、TMR素子4における第2磁性層4Cの磁化方向Bと第1磁性層4Aの磁化方向Aが、ここでは互いに一致している。本実施例では、磁化方向A、Bが一致している場合、二値データの0が書き込まれていると定義する。
図8に示されるように、読み書き兼用配線5に書き込み電流I1が流れると、読み書き兼用配線5の周囲に、周方向磁界F1が発生する。磁界F1は、その周囲に設けられた強磁性ヨーク構造体20の内部を周回して閉じた経路を形成する。強磁性ヨーク構造体20の磁化状態Xは、この磁界F1に誘導されるようにして、内部磁界の影響力に抗しながら、滑らかに磁化方向を90度回転させて磁界F1の方向に一致する。この際、反素子側ヨーク20B(特にトップ領域20T)が肉厚に設定されているので、磁界F1の漏れが効果的に抑制され、TMR素子4側に誘導できることになる。
この結果、読み書き兼用配線5から生じる磁化状態F1と、強磁性ヨーク構造体20に生じる磁化状態Xが合成された強い磁界が、薄肉の素子側ヨーク20Aで集中化され、TMR素子4における第1磁性層4Aに作用してその磁化方向Aを反転させる。この状態で読み書き兼用配線5の電流I1を止めると、TMR素子4の磁化方向Aは、図8のように反転したまま維持される。磁化方向A、Bが反対となったまま維持されることから、ここでは二値データの1が書き込まれた事になる。
次に、図9に示されるように、読み書き兼用配線5において、I1と反対方向となる書き込み電流I2が流れると、読み書き兼用配線5の周囲に周方向の磁界F2が発生する。磁界F2は、その周囲に設けられた強磁性ヨーク構造体20の内部を周回する閉じた経路を形成する。強磁性ヨーク構造体20の磁化状態Xは、この磁界F2に誘導されるようにして、滑らかに磁化方向を90度回転させて磁界F2の方向に一致させる。
この結果、読み書き兼用配線5から生じる磁化状態F2と、強磁性ヨーク構造体20に生じる磁化状態Xが合成され、その強い磁界がTMR素子4における第1磁性層4Aに作用し、磁化方向Aが反転して再び第2磁性層4Cの磁化方向Bと一致する。TMR素子4は、磁化方向A、Bが一致しているので、ここでは二値データの0が再び書き込まれた事になる。
なお、TMR素子4に書き込まれた二値データを読み出す際には、読み書き兼用配線5と読み出し配線7との間に読み出し電流を流し、その両配線間の電位差の変化を検出する。これによりTMR素子4の抵抗値が明らかとなり、二値データのいずれかを記録しているか(すなわち、第1磁性層4Aの磁化方向Aが第2磁性層4Cの磁化方向Bと平行か反平行か)を判別する。例えば、第1磁性層4Aの磁化方向Aが第2磁性層4Cの磁化方向Bと同方向である場合、非磁性絶縁層4Cにおけるトンネル磁気抵抗効果(TMR)によって、第1磁性層4Aと第2磁性層4Cとの間の抵抗値が比較的小さくなる。反対に、磁化方向Aと磁化方向Bが対向方向となる場合、トンネル磁気抵抗効果によって、第1磁性層4Aと第2磁性層4Cとの間の抵抗値が比較的大きくなる。
次に、このTMR素子4と強磁性ヨーク構造体20によるオフセット低減作用について説明する。
図10に拡大して示されるように、TMR素子4の側面には、強磁性ヨーク構造体20における素子側ヨーク20Aの開放端20Ea、20Ebが接近している。又、第1磁性層4Aには、第2磁性層4Cの磁化方向(c)と平行となる結合磁界HNが作用している。
また、第2磁性層4C及び第3磁性層4Eの側部漏洩磁界Sは、主に、開放端20Ea、20Ebを介して素子側ヨーク20A側に積極的に漏洩して、素子側ヨーク20A内にヨーク側漏洩磁界HSYを発生させる。第3磁性層4Eの膜厚が第2磁性層4Cよりも大きく設定されていることから、強磁性ヨーク構造体20内には第3磁性層4Eの磁化方向(e)と同方向のヨーク側漏洩磁界HSYが発生して強められ、第1磁性層4Aに作用する。一方、第1磁性層4A側に直接的に漏洩する漏洩磁界HSは結合磁界HNと平行となるものの、その大きさは強磁性ヨーク構造体20の存在によって弱められる。この結果、第1磁性層4Aでは、同方向となる結合磁界HNと漏洩磁界HSの合成磁界に対して、強磁性ヨーク構造体20で強められたヨーク側漏洩磁界HSYが反平行状態となるので、双方向の磁界が互いに強められた状態で打ち消し合うようになっている。
この結果、第1磁性層4Aの磁化状態が、外部磁界の影響を受け難くなるので、書込み磁界のオフセット値を安定させることが可能になる。これは、読み書き兼用配線5で要求される書込み電流(書き込み用外部磁界)の安定化に繋がる。また、強磁性ヨーク構造体20は、読み書き兼用配線5の磁界を強めることが出来るので、書込み電流を小さくすることが出来る。即ち、強磁性ヨーク構造体20を有効利用して第1磁性層4Aの内部磁界を打ち消すようにしているので、電流のオフセット値の低減と、書き込み電流値の低減を同時に達成でき、低消費電力で安定した書込み動作を実現できることになる。
次に、この読み書き兼用配線5による書込み用電流I1、I2以外の要因によって生じる外部磁界の影響について説明する。
図1で示したように、複数の記憶領域3がアレイ状に配置されている場合、特定のTMR素子4に対する書き込み用の磁界が、隣接するTMR素子4に作用してしまう状況が生じる。特に記憶領域3を高密度に配置すると互いの距離が近づくので、その影響は顕著になる。
例えば図11に示されるように、TMR素子4に対してその書込み方向(磁化容易軸方向)と一致する外部磁界Vが作用した場合、この外部磁界Vは、TMR素子4の第1磁性層4Aに対して直接作用するので、漏洩磁界HSや結合磁界HNを内包する第1磁性層4Aの磁化状態が不安定になりやすい。しかし、この強磁性ヨーク構造体20にも外部磁界Vが印加されるので、反素子側ヨーク20Bにおけるトップ領域20Tの内部磁界X1が積極的に回転して外部磁界Vと一致するようになる。また、傾斜領域20S、20Sの内部磁界X2についても、トップ領域20Tに対して緩やかに傾倒していることから、トップ領域20Tの内部磁界X1と連続する方向に向かう。即ち、反素子側ヨーク20Bでは、トップ領域20Tと傾斜領域20S、20Sが一体となって外部磁界Vに沿った周方向内部磁界(X1、X2)を生じさせる。この周方向内部磁界は、ヨーク接合部20C、20Cを介して素子側ヨーク20A側に誘導される。従って、素子側ヨーク20Aには、反素子側ヨーク20Bの内部磁界X1、X2と反対方向の内部磁界X3が生じる。素子側ヨーク20Aは、この内部磁界X3をTMR素子4に付与する。
従って、外部磁界VがTMR素子4に直接作用しようとすると、強磁性ヨーク構造体20がその外部磁界Vと反対方向の内部磁界X3を素子側ヨーク20A内に発生させて、外部磁界Vを打ち消すように作用する。この結果、漏洩磁界HSや結合磁界HNを内包する第1磁性層4Aが、外部磁界の影響を受け難くなり、オフセット値を安定させることが出来る。つまり、シンセティック・フェリ構造等のTMR素子4に対して強磁性ヨーク構造体20を採用することで、外部磁界の影響を低減させることができる。
以上、本実施形態の磁気記憶装置によれば、シンセティック・フェリ構造のTMR素子4に対して強磁性ヨーク構造体20を配置しているので、TMR素子4の記憶動作を安定させることが可能になる。特に、第3磁性層4Eの膜厚を第2磁性層4Cの膜厚よりも大きく設定しているので、第3磁性層4Eと同方向の漏洩磁界を、強磁性ヨーク構造体20で強めた上で第1磁性層4Aに作用させることが可能となり、結合磁界を効果的に打ち消すことが可能となり、書込み電流のオフセット値を略零にすることが可能となる。更に、この強磁性ヨーク構造体20によって、書込み電流自体も低減されるので、安定性に優れた極めて低消費電力の磁気記憶装置1を得ることができる。
また、本第1実施形態の磁気記憶装置1では、素子側ヨーク20Aに形成された空隙20EにTMR素子4が収容されているので、TMR素子4から素子側ヨーク20A側に効果的に磁界を漏洩させることができる。特に、TMR素子4の平面方向と、素子側ヨーク20Aの延在方向を一致させて、素子側ヨーク20Aの開放端20Ea、20EbをTMR素子4の端面に接近させているので、ヨーク側漏洩磁界NSYを強めることができる。
(実施例1、比較例1、比較例2)
次に、図12(A)の比較例1、(B)の比較例2、(C)の実施例1を参照することで、磁気記憶装置の読み書き兼用配線5に電流Iw(mA)を流した際にTMR素子4のMR比(%)が変動する状態について説明する。(A)の比較例1に係る磁気記憶装置は、強磁性ヨーク構造体20が備えていない。(B)の比較例2に係る磁気記憶装置は、強磁性ヨーク構造体20を備えているが、第2磁性層4Cの膜厚が第3磁性層4Eの膜厚よりも大幅に大きく設定されている。又(C)の実施例1に係る磁気記憶装置1は、第1実施形態で示した磁気記憶装置1と同様の強磁性ヨーク構造体20及びTMR素子4を備えている。なお、MR比とは、第1磁性層4Aの磁化方向Aと第2磁性層4Cの磁化方向Bが一致している場合におけるTMR素子4の抵抗値をR(a=b)、第1磁性層4Aの磁化方向Aと第2磁性層4Cの磁化方向Bが反対となる場合のTMR素子4の抵抗値をR(a≠b)とした場合に、{R(a≠b)−R(a=b)}/R(a=b)で示される比率である。従って、このMR比によって2値書込みの動作状況を明らかに出来る。
図12(A)からも明らかなように、比較例1の磁気記憶装置では磁界を反転させる為の書込み電流の最大値Imaxが非常に大きくなってしまい、消費電力が大きいことが分かる。一方、図12(B)から明らかなように、比較例2の磁気記憶装置では、書込み電流の最大値Imaxは大幅に低減される反面、オフセット値Ioは低減されていないことが分かる。つまり、ヨーク構造体20を採用することで書込み電流は低減できるが、第2及び第3磁性層の漏洩磁界をヨーク構造体20が強めてしまう結果、本来であれば書込み電流と共に低減されるべきオフセット値Ioが、そのまま維持されてしまっている。特にこの比較例2では、TMR素子4の最大書込み電流Imax(ここでは約−4mA)の2分の1よりも、オフセット値Ioが大きくなっており、正逆の電流による2値のデータの書込みを行うことが実質的に困難となっている。一方、図12(C)からも明らかなように、実施例1の磁気記憶装置1では、書込み電流Iwのオフセット値Ioが略零になっていることが分かる。特に、TMR素子4に2値情報が書き込まれる際の最大書込み電流Imax(ここでは約±1.5mA)の2分の1よりも、オフセット値Ioが大幅に小さくなっている。また、強磁性ヨーク構造体20によって、書込み電流自体も低減されていることが分かる。
以上のことから、TMR素子4についてシンセティック・フェリ構造を採用した際に、強磁性ヨーク構造体20を採用することによって、オフセット値の低減と、書込み電流の低減の両立が可能であることが分かる。
(実施例2、比較例3)
次に、強磁性ヨーク構造体20を採用し、そのTMR素子4における第2磁性層4Cと第3磁性層4Eの膜厚比率を変化させた磁気記憶装置1を複数用意し、各磁気記憶装置1の平均オフセット値を計測した結果を図13に示す。具体的にここでは、TMR素子4の平面サイズが0.3×0.2(μm)となる磁気記憶装置1を3種類(図中の「■」でプロット)、TMR素子4の平面サイズが0.5×0.2(μm)となる磁気記憶装置1を4種類(図中の「●」でプロット)、TMR素子4の平面サイズが0.8×0.32(μm)となる磁気記憶装置1を5種類(図中の「▲」でプロット)用意し、各グループにおいて、「第2磁性層4Cの膜厚(Inner−pin thickness)」−「第3磁性層4Eの膜厚(Outer−pin thickness)」の値を20Å〜0Å(参考:1Å=10−10m)で変化させるようにした。
図13からわかるように、強磁性ヨーク構造体20を採用した場合、第2磁性層4Cの膜厚(Inner−pin thickness)と第3磁性層4Eの膜厚(Outer−pin thickness)の差が小さいほど、オフセット値が低減していくことが分かる。例えば、オフセット値(縦軸)をy、上記膜厚差(横軸)をxとした場合、図中「■」でプロットされた磁気記憶装置1群の場合、その傾向を示す直線がy=0.041×x+0.68となり、図中「●」でプロットされた磁気記憶装置1群の場合、その傾向を示す直線がy=0.064×x+1.39となり、図中「▲」でプロットされた磁気記憶装置1群の場合、その傾向を示す直線がy=0.129×x+2.60となっている。これらの傾向からも明らかなように、第2磁性層4Cの膜厚に対して第3磁性層4Eの膜厚が大きくする、即ち、図13の膜厚差を0より小さくすると、オフセット値の低減に効果的であることが分かる。より具体的に第2磁性層4Cの膜厚と比較して第3磁性層4Eの膜厚が5Å(0.5nm)以上大きいことが好ましく、より好ましくは、15Å(1.5nm)以上大きくなるようにする。これらの傾向(傾斜)は、磁気記憶装置1において強磁性ヨーク構造体20が存在しない場合と全く逆になっている。なお、この膜厚差は、本実施例2における具体例を示したものである。実際には、磁気記憶装置1のサイズや製造工程等の違いによって結合磁界HNの大きさが異なるので、この結合磁界HNの大きさに応じて膜厚差を適宜設定すればよい。
この実施例2に対応する比較例3として、強磁性ヨーク構造体20を採用しない磁気記憶装置を複数用意し、そのTMR素子における第2磁性層と第3磁性層の膜厚比率を変化させた場合の平均オフセット値を計測した結果を図14に示す。具体的にここでは、TMR素子4の平面サイズが0.4×0.2(μm)となる磁気記憶装置を4種類(図中の「■」でプロット)、TMR素子4の平面サイズが0.5×0.25(μm)となる磁気記憶装置を4種類(図中の「●」でプロット)、TMR素子4の平面サイズが0.8×0.32(μm)となる磁気記憶装置を3種類(図中の「▲」でプロット)用意し、各グループにおいて、「第2磁性層の膜厚(Inner−pin thickness)」−「第3磁性層の膜厚(Outer−pin thickness)」の値を20Å〜0Å(参考:1Å=10−10m)で変化させるようにした。
図14の結果からも明らかなように、強磁性ヨーク構造体20を採用しない場合は、第2磁性層4Cの膜厚(Inner−pin thickness)と第3磁性層4Eの膜厚(Outer−pin thickness)の差が大きいほど、オフセット値が低減することが分かる。つまり、実施例2と比較例3とでは、膜厚差に関して全く反対の結果が得られることになる。
なおここでは、配線5とTMR素子4とは金属層19によって電気的に接続するようにしたが、配線5とTMR素子4の間は絶縁状態として書込み専用配線としておき、TMR素子4の一方の面に読み出し専用電流を導通させるための金属薄膜配線等を別途形成するようにしてもよい。また、強磁性ヨーク構造体20とその内部の読み書き兼用配線5との間、及び、素子側ヨーク20AとTMR素子4との間は、絶縁体22が挿入されており、互いに接触して電気的にショートしないようになっている。
図15には、本発明の第2の実施形態に係る磁気記憶装置101の全体構成が示されている。なお、磁気記憶装置101の説明は、第1実施形態と異なる点を中心に行うものとし、第1実施形態と共通する部分・部材については、図面の符号下2桁を一致させる事で説明を省略する。
図16に拡大して示されるように、この磁気記憶装置101における記憶部102の各記憶領域103は、TMR素子104、書込み専用配線105A、読み出し専用配線105B、書込み専用トランジスタ106A、読み出し専用トランジスタ106B等を有する。従って、読み書き兼用配線を利用した第1実施形態と異なり、第2実施形態の磁気記憶装置101では、書込み専用配線105Aと読み出し専用配線105Bを別々に配置することで、回り込み電流等のノイズ要因を低減できるようになっている。
書込み専用配線105Aの両端は、2本のビット配線113、114に接続されており、更にこの両端の間に書込み専用トランジスタ106Aが配置されている。従って、ビット配線113、114間に電圧を印加して、書込み専用トランジスタ106AをONにすることで、書込み専用配線105Aに電流を流す事が可能となり、近接配置されるTMR素子104の周囲に磁界を発生させる事ができる。また、読み出し専用配線105Bの両端も2本のビット配線113、114に接続されており、更に、この両端間に読み出し専用トランジスタ106B及びTMR素子104が配置されている。従って、ビット配線113、114間に電圧を印加して、読み出し専用トランジスタ106BをONにすることで、読み出し専用配線105Bに電流を流す事が可能となり、TMR素子104の抵抗値の変化を検出する事ができる。なお、書込み専用トランジスタ106Aはワード配線115に接続されており、読み出し専用トランジスタ106Bはワード配線116に接続されている。従って、このワード配線115、116に印加する電圧を利用して、各トランジスタ106A、106Bの導通状態を個別に切り替えるようになっている。この結果、必要に応じてビット配線113、114からワード配線115に対して電流を流すこともできる。
図17には、強磁性ヨーク構造体120が拡大して示されている。この強磁性ヨーク構造体120は、書込み専用配線105AにおけるTMR素子104側に近接配置される素子側ヨーク120Aと、書込み専用配線105AにおけるTMR素子104の反対側に近接配置される反素子側ヨーク120Bと、素子側ヨーク120Aの両端と反素子側ヨーク120Bの両端を連結して略環状とする一対のヨーク接合部120C、120Cとを備えて構成される。なお、素子側ヨーク120Aに形成される空隙には、TMR素子104が配置されている。
このTMR素子104と書込み専用配線105Aは、絶縁体122によって相互に絶縁状態となっている。一方、このTMR素子104の上端面及び下端面は読み出し専用配線105Bに接続されている。なお、上端側の読み出し専用配線105Bは、断面が下に凸となる薄膜構造となっており、書込み専用配線105AとTMR素子104を可能な限り接近させるようにしている。なお、強磁性ヨーク構造体120の詳細寸法等は第1実施形態と同様である。
この第2実施形態の磁気記憶装置101においても、第1実施形態と同様の強磁性ヨーク構造体120を備えているので、書込み電流を低減と、オフセット値の低減を両立させることが可能となっている。また、これに加えて書込み専用配線105Aと読み出し専用配線105Bが独立しているので、書込み動作時には、書込み専用配線105Aのみに電流を流すことができる。一方、読み出し動作時には、読み出し専用配線105Bのみに電流を流すことができる。この結果、ダイオード等を配置しなくても回り込み電流等を回避することが可能になるので、書き込み及び読み出し動作を更に安定させることができる。
以上、第1及び第2実施形態に係る磁気記憶装置を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では磁気抵抗効果素子としてTMR素子を用いているが、巨大磁気抵抗(GMR:Giant magneto−Resistive)効果を利用したGMR素子を用いてもよい。GMR効果とは、非磁性層を挟んだ2つの強磁性層の磁化方向のなす角度により、積層方向と直交する方向における強磁性層の抵抗値が変化する現象である。すなわち、GMR素子においては、2つの強磁性層の磁化方向が互いに平行である場合に強磁性層の抵抗値が最小となり、2つの強磁性層の磁化方向が互いに反平行である場合に強磁性層の抵抗値が最大となる。なお、TMR素子やGMR素子には、2つの強磁性層の保磁力の差を利用して書き込み/読み出しを行う疑似スピンバルブ型と、一方の強磁性層の磁化方向を反強磁性層との交換結合により固定するスピンバルブ型とがある。また、GMR素子におけるデータ読み出しは、積層方向と直交する方向における強磁性層の抵抗値の変化を検出することにより行われる。また、GMR素子におけるデータ書き込みは、書き込み電流により生じる磁界によって一方の強磁性層の磁化方向を反転させることにより行われる。
また、第1及び第2実施形態に係る磁気記憶装置では、非磁性金属層の膜厚調整によって、第2磁性層の磁化方向を第3磁性層と反平行に固定する場合に限って示したが、本発明はそれに限定されない。例えば、第2磁性層と第3磁性層を独立させて、個別に磁化方向を固定してもかまわない。この場合、第1磁性層と第2磁性層の間の結合磁界を打ち消すことができるように、第3磁性層の磁化方向を第2磁性層と反平行に設定すればよい。
また、上記実施形態では、書き込み電流及び読み出し電流を制御するためのスイッチ手段としてトランジスタ(読み書き兼用トランジスタ)を用いているが、このスイッチ手段としては、必要に応じて電流を遮断/導通させる機能を有する様々な手段を適用することができる。
なお、本発明でいう「素子側ヨークに形成されている空隙」は、強磁性ヨーク構造体20の最終的な形状を意味しており、連続的な素子側ヨーク20Aを形成した後に、空隙を形成するために分断加工を行う場合に限定されるものではない。例えば、(分断されたような状態となり得る)一対の素子側ヨーク20Aを個別に形成するようにして、その間にTMR素子4を介在させてもよい。
また、本発明の磁気記憶装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。