JP2007309241A - 小型滑走艇用内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関の暖機前の過冷却を防止するとともに、暖機後の内燃機関の冷却を効率良く行うことができる小型滑走艇用内燃機関を供する。
【解決手段】ジェット推進ポンプ10から導入された冷却水が排気マニホールド44を経由して内燃機関本体20Aに向う第1冷却水経路Bと、ジェット推進ポンプ10から導入された冷却水がオイルクーラ100を経由して排気管47aに向う第2冷却水経路Cと、第2冷却水経路Cのオイルクーラ100から流出する冷却水の一部を分岐して第1冷却水経路Bの内燃機関本体20Aへ流入する冷却水に合流させるバイパス冷却水経路Dとを備える小型滑走艇用内燃機関。
【選択図】図20

Description

本発明は、ジェット推進ポンプを駆動して水上を走行する小型滑走艇に搭載される内燃機関に関する。
小型滑走艇に搭載される内燃機関は、小型滑走艇を浮かべている水を冷却水として利用して内燃機関の冷却を行っており、内燃機関により駆動されるジェット推進ポンプの下流正圧側から水を導入して内燃機関の所要部に供給されるようになっている。
陸上を走行する車両に搭載される内燃機関の冷却系は、冷却水が循環するが、小型滑走艇に搭載される内燃機関の冷却系は、常に新しい冷却水が供給されて内燃機関を冷却するので、冷間時には内燃機関の暖機前に過冷却となることがある。
内燃機関が過冷却状態になると、ピストンとシリンダの隙間を抜けるブローバイガスが増加し燃料が潤滑油に溶け込み潤滑油が希釈化される所謂ダイリューションが進行して潤滑油の劣化が早まってしまう。
そこで、小型滑走艇に搭載される内燃機関では、冷却水が内燃機関本体に供給される前に、排気系を経由するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−49645号公報
同特許文献1に開示された水ジェット推進艇(小型滑走艇)の内燃機関における冷却系は、ジェット推進機の水吸引口から導入された冷却水が分岐されて2つの冷却水経路が構成されている。
その一方の冷却水経路は、上流側排気管,排気マニホールドを経由して内燃機関本体のシリンダ、次いでシリンダヘッドに向かう経路であり、上流側排気管および排気マニホールドで昇温された冷却水がシリンダおよびシリンダヘッドのウォータジャケットに供給されるようにして、内燃機関が暖機前に過冷却となるのを防止して潤滑油のダイリューションを緩和している。
他方の冷却水経路は、オイルタンクを経由して下流側排気管、次いでマフラーに向かう経路であり、オイルタンクでオイルを冷却した冷却水が下流側排気管およびマフラーに供給されて、排気管の下流側およびマフラーを冷却するようになっている。
しかし、内燃機関が暖機された後は、前者の内燃機関本体を冷却する冷却水経路において、上流側排気管および排気マニホールドを経た冷却水の温度は高過ぎ、かかる高温の冷却水がシリンダおよびシリンダヘッドのウォータジャケットに供給されることになり、内燃機関を効率良く冷却することができない。
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、内燃機関の暖機前の過冷却を防止するとともに、暖機後の内燃機関の冷却を効率良く行うことができる小型滑走艇用内燃機関を供する点にある。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、内燃機関により駆動されるジェット推進ポンプから供給される冷却水を内燃機関に導いて冷却を行う小型滑走艇用内燃機関において、ジェット推進ポンプから導入された冷却水が排気マニホールドを経由して内燃機関本体に向う第1冷却水経路と、ジェット推進ポンプから導入された冷却水がオイルクーラを経由して排気管に向う第2冷却水経路と、前記第2冷却水経路の前記オイルクーラから流出する冷却水の一部を分岐して前記第1冷却水経路の内燃機関本体へ流入する冷却水に合流させるバイパス冷却水経路とを備える小型滑走艇用内燃機関とした。
請求項2記載の発明は、内燃機関により駆動されるジェット推進ポンプから供給される冷却水を内燃機関に導いて冷却を行う過給機付きの小型滑走艇用内燃機関において、ジェット推進ポンプから導入された冷却水が過給機により加圧された吸気を冷却するインタークーラを冷却した後に排気マニホールドを経由して内燃機関本体に向う第1冷却水経路と、ジェット推進ポンプから導入された冷却水がオイルクーラを冷却した後に前記過給機を経由して排気管に向う第2冷却水経路と、前記第2冷却水経路の前記オイルクーラから流出する冷却水の一部を分岐して前記第1冷却水経路の内燃機関本体へ流入する冷却水に合流させるバイパス冷却水経路とを備える小型滑走艇用内燃機関である。
請求項1記載の小型滑走艇用内燃機関によれば、第1冷却水経路において、暖まるのが早い排気マニホールドを経て昇温された冷却水が、内燃機関本体のシリンダブロックやシリンダヘッドに供給されるので、暖機前の内燃機関の過冷却が防止されて潤滑油のダイリューションを緩和することができ、暖機後は排気マニホールドを経て昇温された冷却水は高温すぎるので、バイパス冷却水経路を介してオイルクーラからの冷却水の一部を合流させて温度を下げた状態で内燃機関本体に供給することができ、内燃機関を効率良く冷却することができる。
請求項2記載の小型滑走艇用内燃機関によれば、過給機とインタークーラとを備えた小型滑走艇用内燃機関において、前記第1冷却水経路における排気マニホールドの上流側にインタークーラを介装することで、ジェット推進ポンプから導入された冷却水はインタークーラで吸気を冷却できるとともに、インタークーラを冷却した冷却水が排気マニホールドに流れて昇温されることになり、この昇温された冷却水が、内燃機関本体のシリンダブロックやシリンダヘッドに供給されるので、暖機前の内燃機関の過冷却が防止されて潤滑油のダイリューションを緩和することができる。
また、暖機後は排気マニホールドを経て昇温された冷却水は高温すぎるので、バイパス冷却水経路を介して過給機より上流のオイルクーラからの冷却水の一部を合流させて温度を下げた状態で内燃機関本体に供給することができ、内燃機関を効率良く冷却することができる。
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図20に基づいて説明する。
本実施の形態に係る小型滑走艇用内燃機関20を搭載した小型滑走艇1の側面図を図1に、同平面図を図2に、その断面図を図3に図示する。
本小型滑走艇1は、下側の船底を形成するハル3と上側のデッキ4により内部に空間を形成して浮体構造をなす船体2が構成され、船体2内の空間に内燃機関20が収容され、船体2上のデッキ4の中央のシート5に乗員が1人〜3人鞍乗りに着座し、シート5の前方のバーハンドル6を操作して操縦する小型鞍乗り型船舶である。
この小型滑走艇1の推進手段は、内燃機関20により駆動されるジェット推進ポンプ10であり、ハル3の後部に配置されている。
ジェット推進ポンプ10は、軸流式ポンプで、船底に開口した取水口12から船体後端に開口した噴流口に設けられたノズル13に至る流路にインペラ11が介装された構造(図20参照)をしており、インペラ11のシャフト15が内燃機関20のクランクシャフト21に継手56を介して連結されている。
したがって、内燃機関20によりシャフト15を介してインペラ11が回転駆動されると、船底の取水口12から吸引された水が噴射口からノズル13を経て噴出され、その反作用で船体2が推進され小型滑走艇1は水上を滑走する。
ジェット推進ポンプ10による推進力は、バーハンドル6に付設されたスロットルレバー7の操作で制御され、バーハンドル6の操舵で操作ワイヤを介して前記ノズル13が回動操作され、ノズル13の出口の方向を変えることで進路方向を変更する。
内燃機関20は、船体2内の略中央でシート5の下方に配置され、船体2の前部は収納室8を有し、収納室8と内燃機関20との間には燃料タンク9が設けられている。
内燃機関20は、DOHC型4ストロークサイクルの直列4気筒内燃機関であり、クランクシャフト21を船体2の前後方向に指向させて縦置きに船体2内に配置される。
内燃機関本体20Aは、図8を参照して上下割りされたシリンダブロック22とクランクケース23が割り面24にクランクシャフト21を回転自在に軸支するように接合され、シリンダブロック22の上にシリンダヘッド25を重ね合わせ、さらにその上にシリンダヘッドカバー26を被せて構成されている。
また、クランクケース23の下にはオイルパン27が取り付けられている。
なお、本明細書において船体の進行方向を向いたときを基準に左右を決める。
シリンダブロック22の右側面の下端前後にマウントブラケット22a,22aが斜め上方に
向けて突設されており(図8,図11参照)、一方クランクケース23に左側面から前後一対のマウントブラケット23a,23aが割り面24に平行に突設されている(図8,図13参照)。
したがって、内燃機関本体20Aの左右に突設されたマウントブラケット22aとマウントブラケット23aとは互いに鈍角の角度を持って突出しており、図4に図示するように、船体内2のハル3の左右に設けられた架台28L,28Rに、それぞれマウントブラケット22a,23aが防振ラバー部材29,29を介して同じ水平高さで取り付けられて内燃機関20が架設支持されている。
したがって、シリンダブロック22とクランクケース23の割り面24は、左側マウントブラケット23aの突出方向と平行であり、よって水平線Hに対して左上がりに角度を有して傾斜している(図4,図8参照)。
内燃機関本体20Aは、シリンダブロック22のシリンダ22bが割り面24に垂直に延出形成され、その延長方向にシリンダヘッド25,シリンダヘッドカバー26が設けられるとともに、オイルパン27も割り面24に垂直方向にクランクケース23に取り付けられるので、図4(および図8)に示すように内燃機関本体20Aは、全体的に右側に傾いて船体2に搭載される。
図8に示すように、右傾したシリンダ22b内をピストン30が往復動し、コネクティングロッド31を介してクランクシャフト21が回転される。
シリンダ22bに重ねられたシリンダヘッド25は、ピストン30の頂面に対向して燃焼室32が形成され、同燃焼室32に開口を有して吸気ポート33Iと排気ポート33Eが左右に延出形成されている。
吸気ポート33Iの開口を開閉する吸気バルブ34Iと、排気ポート33Eの開口を開閉する排気バルブ34Eをそれぞれ摺動させるカムシャフト35I,35Eが、シリンダヘッド25とシリンダヘッドカバー26との合わせ面位置に設けられている。
内燃機関本体20Aの左側には、吸気ポート33Iに連通する吸気マニホールド40が接続し突設配置され、内燃機関20の右側には、排気ポート33Eに連通する排気マニホールド44が接続されている(図4,図5参照)。
内燃機関本体20Aの後方には、ターボチャージャ43と同ターボチャージャ43により加圧された吸気を冷却するインタークーラ42とが配設される(図5,図6,図7参照)。
なお、ターボチャージャ43は、過給機としてスーパーチャージャであってもよい。
図6に示すようにインタークーラ42は、シリンダヘッド25とシリンダヘッドカバー26の合せ面の高さ位置にあり、ターボチャージャ43は、シリンダヘッド25とクランクケース23との合せ面の高さ位置にあって、インタークーラ42の直下に近接して配設されている。
内燃機関本体20Aの左側面にインタークーラ42と略同じ高さで吸気マニホールド40が突設され、同吸気マニホールド40と内燃機関本体20Aの後方に配設されたインタークーラ42とを、スロットルボディ41が連結している。
図5に示すように、各気筒へ連なる吸気管の集合した吸気マニホールド40が内燃機関本体20Aの左側面に沿って後方へ屈曲されて各気筒共通のスロットルボディ41に接続され、同スロットルボディ41が内燃機関本体20Aの後方へ回り込むように斜めに指向してインタークーラ42に接続されている。
スロットルボディ41は、内燃機関本体20Aの後方に回り込むように配設され、内燃機関本体20Aの後方に位置するインタークーラ42に近づくので、スロットルボディ41は別途配管を用いることなくインタークーラ42に直接接続されている。
図5に図示するように、吸気マニホールド40は、左舷側外側縁が後端側ほど内燃機関本体20Aの中心に近づくように湾曲しており、インタークーラ42からスロットルボディ41を経て吸気マニホールド40に至る吸気経路が、内燃機関本体20Aの後面から左側面に沿って滑らかに湾曲している。
インタークーラ42、スロットルボディ41および吸気マニホールド40は、内燃機関本体20Aの後面から左側面に沿って集約的に配設されるとともに、スロットルボディ41が内燃機関本体20Aの後方に回り込むように配設され内燃機関本体20Aの後方の左右幅を狭くしている。
また、スロットルボディ41は、内燃機関本体20Aの後方に回り込むように配設され、内燃機関本体20Aの後方に位置するインタークーラ42に近づくので、スロットルボディ41をインタークーラ42に直接接続して配管等を削減できる。
インタークーラ42の直下に配置されるターボチャージャ43は、そのタービン部43Tが排気マニホールド44の排気導出路44aと接続され、コンプレッサ部43Cが上方のインタークーラ42と接続される。
すなわち、インタークーラ42の直下にターボチャージャ43は配置されるので、図7に示すように、インタークーラ42から下方へ延出した接続管42iがコンプレッサ部43Cの上方へ延出した接続管43oと直接接続されている。
したがって、特別接続用の配管等を必要としない。
こうしてターボチャージャ43からインタークーラ42を経て吸気マニホールド40に至る吸気経路が滑らかに湾曲し効率良く構成されて同吸気経路の距離が最短となり、吸気抵抗は最小となって吸気効率が向上する。
一方、本内燃機関20の排気経路は、排気マニホールド44から排気導出路44aを介してターボチャージャ43のタービン部43Tに至っており、タービン部43Tでタービンホイールを回転させた排気は、図1および図2に示すように、また図20を参照して、排気管47a,逆流防止室47b(転覆時にターボチャージャ等へ水が侵入しないように水の逆流を防止する室),ウォータマフラ47c,配管47dを順次経て水中に通じるウォータチャンバ47eに至り、水中内へと排出されるようになっている。
前記したように、クランクシャフト21は、シリンダブロック22とクランクケース23の割り面24の各軸受に回転自在に軸支されるが、同軸受に2次振動を打ち消す2軸のバランサシャフト36L,36Rがクランクシャフト21の左右に回転自在に軸支される。
クランクシャフト21の4つの気筒に対応する4対のクランクウエブ21w間の3つのクランクジャーナル21jと前後2つのクランクジャーナル21jの計5つのクランクジャーナル21jが、シリンダブロック22とクランクケース23の上下両側にそれぞれ形成された前後方向に垂直な壁をなす5つのリブ22r、23rに形成された半円弧状の軸受にメタルベアリングを介して挟まれて回転自在に軸支される(図7および図9参照)。
図9のシリンダブロック22の下面図に示すように、クランクシャフト21をその軸受で軸支する5つのリブ22rのうち中央のリブ22rcを除いた4つのリブ22rが左右両端に至るまで屈曲することなく平坦であるのに対して、中央のリブ22rcは、その左右端部が屈曲してクランクシャフト21を軸支する軸受部より前方(図9において左方)に偏倚している。
この中央のリブ22rcの前方に偏倚した左右部分に、バランサシャフト36L,36Rの後側軸受部が設けられ、バランサシャフト36L,36Rの前側軸受部は、最前側の外壁をなすリブ22rの左右部分に設けられている。
すなわち、バランサシャフト36L,36Rは、クランクシャフト21の左右に平行に並んで最前側のリブ22rの軸受と中央のリブ22rcの軸受にメタルベアリングを介して回転自在に前後を軸支され、シリンダブロック22の前側に偏って配設されている。
そして、バランサシャフト36L,36Rは、そのバランスウエイトが中央のリブ22rcにより分割され、中央のリブ22rcとその前隣りのリブ25rとの間にバランスウエイト36Lw,36Rwを有するとともに、中央のリブ22rcより後方に片持ち状態に突出したバランスウエイト36Lw,36Rwを備えている。
シリンダブロック22は、バランサシャフト36L,36Rが配設される前側の左右幅が大きく、バランサシャフト36L,36Rがない後側は狭くなっている。
図9および図11に示すように、シリンダブロック22およびクランクケース23の最前側の外壁をなすリブ22r,23rの内面に沿って回転するクランクシャフト21のクランクウエブ21wの外周にドライブギア21gが形成されている。
一方、バランサシャフト36L,36Rも最前側の外壁をなすリブ22r,23rの内面に沿ってドリブンギア36Lg,36Rgが形成されている。
そして左側バランサシャフト36Lのドリブンギア36Lgとクランクシャフト21のクランクウエブ21w外周のドライブギア21gとが直接噛合っている。
他方、図8に示すように、右側バランサシャフト36Rのドリブンギア36Rgの斜め左寄り上方には、中間軸37がシリンダブロック22のリブ22rに支持され、同中間軸37に回転自在に軸支された中間ギア37gが右側バランサシャフト36Rのドリブンギア36Rgと噛合うと同時にクランクシャフト21のクランクウエブ21w外周のドライブギア21gとも噛合っている。
したがって、左右のバランサシャフト36L,36Rは、クランクシャフト21の回転により、互いに反対方向に回転し、クランクシャフト21の2倍の回転速度で回転して2次振動を打ち消すように働く。
クランクシャフト21の回転を左右のバランサシャフト36L,36Rに伝達するドライブギア21g,中間ギア37g,ドリブンギア36Lg,36Rgのギア機構は、最前側の外壁をなすリブ22r,23rの内面に沿ってシリンダブロック22およびクランクケース23の内側に配設され、シリンダブロック22およびクランクケース23のマウントブラケット22a,23aと前後方向同一位置で側面視において重なる位置にある。
したがって、シリンダブロック22およびクランクケース23における回転動力を伝達するギア機構の周囲およびバランサシャフト36L,36Rの軸受部の剛性が、特別な構造を付加することなく十分高く確保される。
クランクシャフト21のシリンダブロック22およびクランクケース23の外壁をなすリブ22r,23rより外側に突出した部分には、図11に示すようにワンウェイクラッチ50を介してスタータ用ドリブンギア51がリブ22r,23rの外面に沿って設けられるとともに、同スタータ用ドリブンギア51より前方にACジェネレータ54のアウタロータ54rが取り付けられる(図9参照)。
図8に2点鎖線で示すように、スタータ用ドリブンギア51には、減速ギア軸52に回転自在に支持された小径ギア52aが噛み合い、小径ギア52aと一体の大径ギア52bが左側バランサシャフト36Lの上方に位置するスタータモータ53の駆動軸に嵌着したドライブギア53aに噛み合っている。
一方、クランクシャフト21の後部は、図9に示すように、シリンダブロック22およびクランクケース23の後壁の軸受部にベアリング55を介して軸支されて後方に突出しており、この後端部が前記ジェット推進ポンプ10のインペラ11に接続されるシャフト15に継手56を介して連結される。
図9を参照して、シリンダブロック22およびクランクケース23の後壁と最後側のリブ22r,23rとの間はカムチェーン室57が形成されていて、同カムチェーン室57でクランクシャフト21にはドライブスプロケット58が嵌着され、図12に示すように上方の前記カムシャフト35I,35Eの後端部に嵌着されたドリブンスプロケット59I,59Eとの間にカムチェーン60が架渡されている。
カムチェーン室57において、左右のカムチェーンガイド65,66がシリンダヘッド25からシリンダブロック22にかけてカムチェーン60に沿って設けられている。
右舷側のカムチェーンガイド66は、上端をシリンダヘッド25に突設された支軸67に揺動自在に軸支され、下部をシリンダブロック22に取り付けられたカムチェーンテンショナ68によって付勢されてカムチェーン60を押さえつけ適当なテンションを与えているようにしている(図12参照)。
このカムチェーンガイド66の取り付けに際しては、シリンダヘッド25におけるカムチェーン室57の上端開口からカムチェーンガイド66を挿入して上端軸支部を支軸67に軸支させるようにするが、支軸67がカムチェーン室57の上端開口から幾らか深い位置にあるので、上端軸支部を支軸67に軸支させる作業が容易ではない。
そこで、本カムチェーンガイド66には上端から上方へ延出して屈曲したつまみ部66aが形成されていて、同つまみ部66aを掴んで上端軸支部を支軸67に軸支させる作業を容易にしている。
なお、カムチェーンガイド66の取り外しに際しても、カムチェーンガイド66につまみ部66aを有することで、取り外し作業も容易である。
クランクケース23の下面には、図13に図示するように、前後方向に長尺矩形の開口を有し、その開口周縁に合せ面23bが形成されており、この合せ面23bに合せてオイルパン27が下方から取り付けられる。
矩形の合せ面23bには、ねじ孔23pが形成され、図14および図15に示すように、オイルパン27の矩形の周縁合せ面27bに形成された取付孔27pにボルト61を貫通してねじ孔23pに螺入しオイルパン27がクランクケース23に取り付けられる。
図13を参照して、クランクケース23の下面に沿って前後方向にメインオイル通路23Cが貫通してクランクケース23の前壁に開口しており、5つのリブ23rのオイル通路23Cをまたぐ左右にボルト孔23dが形成されていて、同ボルト孔23dを貫通した締付ボルト38がシリンダブロック22に螺入してクランクケース23とシリンダブロック22を締付け結合する(図8参照)。
なお、メインオイル通路23Cの左右に左右バランサシャフト36L,36Rの軸受にオイルを供給する左右バランサ用オイル通路23L,23Rが、メインオイル通路23Cに平行に設けられて、左右バランサ用オイル通路23L,23Rともにクランクケース23の前壁に開口している(図8参照)。
また、クランクケース23の矩形の合せ面23b内には、後半部に前後方向に長尺の長方形状をした枠壁70が形成されており、枠壁70は前辺、左辺、右辺の3辺と後辺として合せ面23bの壁の以上4辺からなり、枠壁70内は上底面71を有して下方を開放している(図13参照)。
枠壁70の下端面は、オイルパン27との合せ面23bと同一高さにある。
一方、オイルパン27の内部には、図14および図15に示すように、クランクケース23の枠壁70のうち左辺と右辺の後部を除く側壁に対応してオイル通路を形成する枠壁72が底面から立設されている。
枠壁72の前側壁に円開口を有して前方へ真っ直ぐオイル回収通路73が延設され、オイル回収通路73はオイルパン27の前壁に開口して(図8参照)、後記するオイルポンプ90に連通する。
図15を参照して、鉛直壁である枠壁72の左側壁と右側壁の各後部がコ字状に欠損して連通口が形成され、その連通口の3辺の各内縁部には溝条72L,72Rが形成されている。
なお、左側壁の連通口は左右方向に対して垂直であるが、右側壁の連通口は右側壁の後部が中央寄りに屈曲し後方に行くに従い中央に近づくように傾斜している。
したがって、左側壁の連通口の溝条72Lと右側壁の連通口の溝条72Rは、図15の上面視で、後方を近づけた略V字状をなすように形成されている。
この溝条72L,72Rにそれぞれ横長矩形のオイルストレーナ74L,74Rが略鉛直姿勢で嵌合されるので、オイルストレーナ74L,74Rも略V字状に配置される。
オイルストレーナ74Lの側面図を図16に示す。
枠壁72の左側壁の連通口に対応する長方形のオイルスクリーン74Laの周縁部のフレームにゴム部材74Lbが周設されている。
他方のオイルストレーナ74Rも枠壁72の右側壁の連通口に対応する長方形のオイルスクリーン74Raの周縁部のフレームにゴム部材74Rbが周設された同じ構造のものであるが(図9参照)、後部が中央寄りに傾斜している分長尺であり、オイルスクリーン74Raの面積はより大きい。
このオイルストレーナ74L,74Rが、枠壁72の各連通口の溝条72L,72Rにそれぞれ嵌合された状態で、オイルパン27がクランクケース23に取り付けられると、クランクケース23側の枠壁70とオイルパン27側の枠壁72がその端面どうしを突き合わせ、オイルストレーナ74L,74Rの上端ゴム部材74Lb,74Rbが枠壁70の左側壁と右側壁に当接して、オイルパン27内の空間を枠壁70,72、上底面71、オイルパン底面およびオイルストレーナ74L,74Rが仕切って直方体状のオイル通路をなすキャビティ79が形成される。
キャビティ79は、枠壁72の前側壁の開口からオイル回収通路73に連通している。
したがって、オイルパン27内に溜まったオイルは、オイルストレーナ74L,74Rのオイルスクリーン74La,74Raを通ってキャビティ79に流入し、オイル回収通路73に入る。
オイルパン27にオイルストレーナ74L,74Rが鉛直姿勢で配置されるので、水平姿勢で配置されるのに比べ、オイルパン27の左右幅を狭めることが可能で、小型滑走艇の船底の中央の左右上がりに形成されるハル3の形状に合わせることが容易であり、またオイルパンの上下幅を小さくしてもオイルストレーナの左右に十分な空間を備えることができ、オイルパン自体の上下幅を小さくし、内燃機関の全高を低くできる。
また、オイルパン27の後部にオイルストレーナ74L,74Rが略V字状に配置されるので、加速時にオイルパン27内の後方に集まったオイルをろ過し易く、オイルストレーナ74L,74R自体を小型化できる。
また、シリンダヘッド25の各部を潤滑し、カムチェーン室57を通って落ちてくるオイルの流れを阻害せずに、オイルパン27に戻すことができる。
このオイルストレーナ74L,74Rにより仕切られるキャビティ79は、クランクケース23に形成された枠壁70と上底面71およびオイルパン27に形成された枠壁72とオイルパン底面とで画成されるので、特別専用部品を必要とせず、部品点数の削減を図ることができる。
また、オイルストレーナ74L,74Rもクランクケース23とオイルパン27に挟持される構造なので、組付け性に優れている。
以上のシリンダブロック22、クランクケース23およびオイルパン27の前面には同一平面をなす合わせ面22f,23f,27fが形成され(図8参照)、同合わせ面22f,23f,27fにオイルタンク80のタンク本体81が接合される。
なお、オイルタンク80は、このタンク本体81とタンク本体81の前面に被せられるタンクカバー88とから構成されている。
図4および図9に示すように、タンク本体81は、シリンダブロック22、クランクケース23およびオイルパン27の前面の合わせ面22f,23f,27fに接合する合わせ面81rとタンクカバー88との合わせ面81fを平行に有し、合わせ面81rより前方に膨出してACジェネレータ54や減速ギア52a,52bを覆うACGカバー部82が形成され、そのACGカバー部82の上方および左右側方にかけて全体で縦長のオイル収容部83が形成され、さらにオイル収容部83の右側にクランクシャフト21より高い位置で一部張り出すように水冷式のオイルクーラ収容部85が形成されている。
なお、図4は、シリンダブロック22、クランクケース23およびオイルパン27の前面にタンク本体81を取り付けた状態の前面図である。
オイル収容部83の上部空間にはブリーザ室84が設けられている。
図9に示すように、前記ACジェネレータ54のアウタロータ54rは、カップリング62aとともにボルト63によりクランクシャフト21の先端部に固着されている。
カップリング62aは、次記するオイルポンプ90のポンプ軸95の後端のカップリング62bと連結される。
このカップリング62a,62b部分を覆うカップリングカバー部82aがACGカバー部82の中央に後方に突出して形成されて、このカップリングカバー部82aに固定されてACジェネレータ54のインナステータ54sが支持されている。
このACジェネレータ54を前方から覆うACGカバー部82の前方にオイルポンプ90が設けられる。
オイルポンプ90は、前記タンク本体81に前方から接合される第1ケース92と、さらに前方から接合されてボルト94により第1ケース92とともにタンク本体81に取り付けられる第2ケース93とを有し、これら前後の第1,第2ケース92,93をクランクシャフト21と同軸に貫通したポンプ軸95が、ACGカバー部82を貫通し、その後端に前記カップリング62bが後方よりボルト95aにより固着されている。
このポンプ軸95における第1ケース92内の軸部にインナロータが嵌着されてスキャベンジングポンプ90Sが設けられ、第2ケース93内の軸部にインナロータが嵌着されてフィードポンプ90Fが設けられている。
したがって、クランクシャフト21の回転が、カップリング62a,62bを介してポンプ軸95の回転に伝達されてスキャベンジングポンプ90Sとフィードポンプ90Fが駆動される。
図4および図9を参照して、タンク本体81の下部には、オイルパン27のオイル回収通路73に連結するオイル回収通路86が形成され、オイル回収通路86は、第1ケース92の後面にその一部が形成されて上方に延びてスキャベンジングポンプ90Sに至っている。
したがって、スキャベンジングポンプ90Sの駆動により、オイルパン27に溜まった潤滑油がオイルストレーナ74L,74Rを通ってオイル回収通路73を前方に吸入され、オイル回収通路86を通って上方のスキャベンジングポンプ90Sに至る。
図9を参照して、スキャベンジングポンプ90Sの上方には、第1ケース92の後面とタンク本体81の前面により共通の回収オイル吐出路87が形成されていて、回収オイル吐出路87の上端は、オイルタンク80のオイル収容部83に開口している。
したがって、スキャベンジングポンプ90Sの駆動により吐出された回収オイルは、回収オイル吐出路87を通って、オイルタンク80のオイル収容部83に回収される。
また、図9に示すように、第1ケース92の前面と第2ケース93の後面とで、供給オイル吸入路96がフィードポンプ90Fの下方に形成されるとともに、供給オイル吐出路98がフィードポンプ90Fの上方に形成される。
供給オイル吸入路96の下端は、オイル収容部83の底面に近い高さに開口しており、上端はフィードポンプ90Fの吸込口に連通しており、途中にスクリーンオイルフィルタ97が介装されている。
供給オイル吐出路98は、フィードポンプ90Fの吐出口から上方に延びた後、後方に屈曲して、タンク本体81に形成された横孔98aに連結される。
横孔98aは、同じタンク本体81に形成された縦孔98bに連通して上方に向かっており、この縦孔98bの上端は、後記するオイルフィルタ110の取付面に環状になって開口しており、オイルフィルタ110のオイル入口111に連通している(図10参照)。
したがって、フィードポンプ90Fが駆動されると、オイルタンク80のオイル収容部83の下部から供給オイル吸入路96を通って潤滑油が吸い上げられ、供給オイル吐出路98に吐出され、タンク本体81に形成された横孔98aおよび縦孔98bを上方に圧送されてオイルフィルタ110に至る。
なお、供給オイル吐出路98の途中にはリリーフバルブ99がオイル収容部83との間で介装されており、供給オイルの吐出圧が大き過ぎるときは、余分なオイルをオイル収容部83に戻すようにしている。
図4および図10に示すように、水冷式のオイルクーラ100は、タンク本体81の前面に縦長に画成されたオイルクーラ収容部85に突設される。
オイルクーラ100は、オイルが通る複数枚の熱交換用プレート100aと、このプレート100a内に上部で連通する上流側パイプ100bと、プレート100a内に下部で連通する下流側パイプ100cとからなり、タンク本体81側に形成された上穴と下穴に、それぞれ上流側パイプ100bと下流側パイプ100cが連結されてオイルクーラ100はタンク本体81に取り付けられる。
このオイルクーラ100は、図10に示すようにタンクカバー88の一部により前方から覆われて内部のオイルクーラ収容部85に冷却水が流入・流出され、オイルクーラ100内のオイルが冷却される。
タンク本体81において、オイルクーラ100の上流側パイプ100bが連結される上穴は、図10に示すように、上流側パイプ100bの後方で切換弁105aを備えるオイルサーモスタット105の一方の出口に連通し、オイルクーラ100の下流側パイプ100cが連結される下穴は、オイルクーラ100の下流側油路である下方へ延びるオイル縦通路107に連通している。
オイルサーモスタット105のもう1つ別の出口は、オイルクーラ100を迂回してオイル縦通路107に連結するバイパス油路106に連通している。
また、図10に示すように、オイルサーモスタット105の入口は、同オイルサーモスタット105の上方に取り付けられたオイルフィルタ110のオイル出口112とオイルクーラ100の上流側油路113を介して連通している。
オイルフィルタ110は、前記したようにフィードポンプ90Fにより圧送されたオイルがオイル入口111から流入されて、ろ過されたオイルがオイル出口112に流出する。
オイルサーモスタット105は、切換弁105aの移動により潤滑油が所定温度以上のとき、オイルクーラ100側を開放してバイパス油路106側を閉じ、潤滑油が所定温度未満であると、バイパス油路106側を開放してオイルクーラ100側を閉じる。
バイパス油路106には、低圧用オイルスイッチ115が取付けられて油圧の異常低下を検出するとともに、オイルクーラ100およびバイパス油路106より下流のオイル縦通路107には、高圧用オイルスイッチ116が取付けられて油圧の異常上昇を検出するようになっている。
図10に示すように、低圧用オイルスイッチ115は、バイパス油路106に右側に突出するように取付けられているのに対して、高圧用オイルスイッチ116は、上下方向に延びるオイル縦通路107にオイルクーラ100の下方空間を利用して前方に突出するように取付けられている。
図4に破線で示すように、オイル縦通路107は、タンク本体81の下部で左方に屈曲してオイル横通路108に連通し、同オイル横通路108は後方に向かって3本の分岐路を有し、中央に内燃機関20のメインギャラリにオイルを供給するメインギャラリ用供給路109c、左右端にそれぞれ左右のバランサシャフト36L,36Rの軸受部にオイルを供給する左バランサ用供給路109lと右バランサ用供給路109rが設けられている(図13参照)。
図9に示すように、メインギャラリ用供給路109cは、前記クランクケース23のメインオイル通路23Cに連結され、メインオイル通路23Cからクランクシャフト21の各軸受部へリブ23r内の通路に分配されてオイルが供給される。
左バランサ用供給路109lと右バランサ用供給路109rは、前記左バランサ用オイル通路23Lと右バランサ用オイル通路23Rにそれぞれ連結され(図13参照)、左バランサ用オイル通路23Lと右バランサ用オイル通路23Rからそれぞれ上方に延出するオイル縦通路23La,23Raが左右バランサシャフト36L,36Rの軸受に通じており、各軸受にオイルが供給される(図8参照)。
また、右側のオイル縦通路23Raは、クランクケース23とシリンダブロック22との割り面24に達し、さらにシリンダブロック22に形成されたオイル縦通路22Raに連通し、オイル縦通路22Raは、中間軸37の軸受に至っており、中間軸37の軸受にオイルが供給される。
クランクケース23側のオイル縦通路23Raとシリンダブロック22側のオイル縦通路22Raとの連結部を示す図17を参照して、オイル縦通路22Raの下部は内径が拡径した中径円孔部、さらに中径円孔部が拡径して大径円孔部が順次形成されて大径円孔部が割り面24に開口してクランクケース23側のオイル縦通路23Raと連通する。
そして、フランジ付きの有底円筒状をなし底部に小孔118aを有するオリフィス部材118が、円筒部をオイル縦通路22Raの中径円孔部に嵌入し、フランジ部を大径円孔部に嵌合して装着され、さらにフランジ部に重ねて中空円板状のフィルタ119が大径円孔部に嵌合されている。
フィルタ119は、大径円孔部と同じ外径を有し、中空の円孔119aがオイル縦通路22Raと略同じ内径を有し、図18に図示するように、オイル縦通路22Raの大径円孔部に嵌合したとき下側となる面にV字溝119bが十字に穿設されている。
オイル縦通路22Raの大径円孔部に、オリフィス部材118のフランジ部とフィルタ119が嵌合すると、フィルタ119の下面はシリンダブロック22の割り面24と同一面をなし、シリンダブロック22とクランクケース23を重ね合わせたとき、オイル縦通路23Raの開口端面がフィルタ119の外周縁部を押えてフィルタ119がオリフィス部材118とともに支持される。
したがって、オイル縦通路23Raおよびオイル縦通路22Raを通って中間軸37の軸受に供給されるオイルは、割り面24のところでオリフィス部材118により絞られるが、その直前にフィルタ119が配置され、オリフィス部材118の小孔118aを詰まらせるような異物が流れてきてもフィルタ119の下面で留め、オイルは十字に穿設されたV字溝119bを介して流れるようにして、中間軸37の軸受へのオイルの供給は常に確保されるようにしている。
以上のほかに、メインオイル通路23Cから上方のカムシャフト35I,35Eの軸受へオイルが供給されるとともに、ターボチャージャ43にもオイルが供給され、それぞれオイルパン27に戻る循環経路が形成されている。
以上の潤滑油の循環経路図を図19に示し、全体を説明する。
オイルパン27に溜まった潤滑油は、スキャベンジングポンプ90Sの駆動により吸引され、オイルストレーナ74L,74Rを経てろ過されてオイル回収通路73,86を通ってスキャベンジングポンプ90Sに吸入され、スキャベンジングポンプ90Sから吐出された潤滑油は、オイルタンク80内に回収される。
オイルタンク80内に回収された潤滑油は、フィードポンプ90Fの駆動により吸引され、スクリーンオイルフィルタ97を経てフィードポンプ90Fに吸入され、フィードポンプ90Fから吐出された潤滑油は、横孔98aおよび縦孔98bを通って途中リリーフバルブ99を経てオイルフィルタ110に流入しろ過されてオイルサーモスタット105に至る。
オイルサーモスタット105は、潤滑油が所定温度以上のとき切換弁105aがオイルクーラ100側を開放して潤滑油がオイルクーラ100を流れて冷却され、他方潤滑油が所定温度未満のとき切換弁105aがバイパス油路106側を開放して潤滑油がバイパス油路106を流れて冷却されずに下流のオイル縦通路107に流れる。
なお、バイパス油路106には低圧用オイルスイッチ115が取付けられ、オイル縦通路107には高圧用オイルスイッチ116が取付けられている。
オイル縦通路107を下方に流れる潤滑油は、下端のオイル横通路108で3本の分岐路に分岐してクランクケース23の下部を後方へ流れる。
左右のバランサ用供給路109l,109rに分岐した潤滑油は、それぞれ左右のバランサ用オイル通路23L,23Rを通って、左右バランサシャフト36L,36Rの軸受に供給される。
なお、前記したように右バランサシャフト36Rに供給された潤滑油がさらに中間軸37にも供給される。
中央のメインギャラリ用供給路109cに分岐した潤滑油は、メインオイル通路23Cを通りながら、さらに分岐してクランクシャフト21の各軸受部に供給される。
なお、クランクシャフト21の各軸受部に供給された潤滑油は、クランクシャフト21内に形成された油路を通ってコネクティングロッド31の大端部との連結部に供給される。
また、メインオイル通路23Cからは上方に向かってカムシャフト用オイル供給路120が形成されていて、カムシャフト用オイル供給路120を上昇した潤滑油は、左右のカムシャフト35I,35Eの各軸内油路に流れ、軸内油路から各軸受および各カム面に供給される。
クランクシャフト21,左右バランサシャフト36L,36Rおよび左右カムシャフト35I,35E等を潤滑した潤滑油は、最終的にオイルパン27に戻る。
さらに、メインオイル通路23Cからはオイルフィルタ121を介してターボチャージャ43にターボ用オイル供給管122が延出しており、メインオイル通路23Cに流れた潤滑油の一部は、ターボ用オイル供給管121を通ってターボチャージャ43に供給される。
ターボチャージャ43に供給された潤滑油は、軸受を潤滑するのとタービン側で熱を遮断して冷却するのと分流し、2つの流れは2本のオイル排出管123,124によってオイルパン27に戻される。
一方、小型滑走艇1に搭載される本内燃機関20の冷却系は、小型滑走艇1を浮かべている水を利用しており、図20に冷却水の循環経路を示す。
ジェット推進ポンプ10のインペラ11の下流正圧側の冷却水取込み口131から冷却水導入ホースAを介して冷却水が導入され、冷却水導入ホースAはワンウエイバルブ132の下流で冷却水ホースB1と冷却水ホースC1に分岐して第1冷却水経路Bと第2冷却水経路Cに分かれている。
一方の第1冷却水経路Bは、インタークーラ42と排気マニホールド44を経由して内燃機関本体20Aに向かう経路であり、冷却水ホースB1はインタークーラ42の左側の流入接続管42aに接続され、インタークーラ42の右側の流出接続管42bから他方に延出した冷却水ホースB2が排気マニホールド44のウォータジャケットの後部に取り付けられた流入継手部材44bに接続されている(図5,図6,図7参照)。
図5および図6に示すように、排気マニホールド44の上部に取り付けられた流出継手部材44cには冷却水ホースB3が接続され、冷却水ホースB3に分岐接続管Dを介して冷却水ホースB4が接続され、冷却水ホースB4はシリンダブロック22の導入継手部材22aに接続されている。
シリンダブロック22のウォータジャケットは、シリンダヘッド23のウォータジャケットに連通している。
したがって、第1冷却水経路Bは、冷却水ホースB1を通った冷却水が、インタークーラ42に流入して吸気を冷却し、その後冷却水ホースB2を通って排気マニホールド44に形成されたウォータジャケットに流入して排気マニホールド44を冷却し、その後冷却水ホースB3,B4を通って内燃機関20のシリンダブロック22のウォータジャケットに流入し、シリンダブロック22のウォータジャケットおよびシリンダヘッド23のウォータジャケットを循環して内燃機関本体20Aを冷却して船外に排出される。
他方の第2冷却水経路Cは、オイルクーラ100を経由して排気管47aに向かう経路であり、冷却水ホースC1はオイルクーラ100におけるオイルクーラ収容部85の下部の流入接続管85aに接続され、オイルクーラ収容部85の上部の冷却水流出部85bから延出した冷却水ホースC2が前記分岐接続管Dを介して冷却水ホースC3に接続され、冷却水ホースC3は排気マニホールド44の上部に設置された接続管135を介して冷却水ホースC4に接続され、冷却水ホースC4はシリンダヘッドカバー26の右側面に沿って後方へ延びてターボチャージャ43の流入接続管43aに接続されている(図5,図6参照)。
ターボチャージャ43に流入した冷却水は、図20に示すように、排気管47aに形成されたウォータジャケットに至り、排気管47aから逆流防止室47b,ウォータマフラ47c,配管47dを順次経てウォータチャンバ47eに至る。
したがって、第2冷却水経路Cは、冷却水ホースC1を通った冷却水が、オイルクーラ100のオイルクーラ収容部85に流入して潤滑油を冷却し、その後冷却水ホースC2,C3,C4を通ってターボチャージャ43のウォータジャケットに流入してターボチャージャ43を冷却した後、排気管47aのウォータジャケットに至り、排気管47aを冷却するとともに、排気を取り込んで、逆流防止室47b,ウォータマフラ47c,配管47dを順次経て水中に通じるウォータチャンバ47eに至り、水中内へと排出される。
以上の第1冷却水経路Bと第2冷却水経路Cが共通に使用している分岐接続管Dは、オイルクーラ100のオイルクーラ収容部85の下流の冷却水ホースC2とシリンダブロック22のウォータジャケットの上流の冷却水ホースB4とを連通するバイパス通路も形成している。
したがって、オイルクーラ100を通った冷却水の一部が、分岐接続管Dのバイパス流路を経て排気マニホールド44のウォータジャケットから流出した冷却水に混入されてシリンダブロック22のウォータジャケットに流入する。
本内燃機関20の冷却系は、以上のように構成されている。
ジェット推進ポンプ10の冷却水取込み口131から導入した冷却水を、内燃機関20のシリンダブロック22およびシリンダヘッド23のウォータジャケットに直接流すと、内燃機関20が暖機される前に過冷却状態となることがあり、燃料がピストンとシリンダの隙間を通って潤滑油に溶け込んで潤滑油が希釈化される所謂ダイリューションが起こる。
そこで、本冷却系では、前記第1冷却水経路Bにおいて、暖まるのが早い排気マニホールド44を経て昇温された冷却水が、冷却水ホースB3,B4を介してシリンダブロック22のウォータジャケットに流入するようにし、内燃機関20の過冷却を防止してダイリューションを緩和し、オイル劣化を抑制している。
内燃機関20が暖機された後は、今度は排気マニホールド44を経た冷却水は温度が高過ぎるので、本冷却系には、第2冷却水経路Cにおけるオイルクーラ収容部85の下流の冷却水ホースC2と第1冷却水経路Bにおける冷却水ホースB4とを連通するバイパス通路を兼ねる分岐接続管Dを備えており、ターボチャージャ43の上流側でオイルクーラ100を通ったそれ程温度の高くない冷却水の一部が、分岐接続管Dを経て排気マニホールド44を通った冷却水に混入されるようにし、シリンダブロック22のウォータジャケットに流入される冷却水を適温に保つようにして内燃機関20を効率良く冷却できるようにしている。
オイルクーラ100を通った冷却水のうち一部が分岐接続管Dのバイパス通路に分流し、残りが全部本来の第2冷却水経路Cにあってターボチャージャ43のウォータジャケットに流入してターボチャージャ43を冷却し、次いで排気管47a等を冷却する。
また、前記した潤滑系において、オイルサーモスタット105は、潤滑油が所定温度以上のときオイルクーラ100側を開放して潤滑油を冷却することで、内燃機関20の冷却を促進することができる。
一方で、潤滑油が所定温度未満のときはバイパス油路106側を開放して潤滑油がオイルクーラ100を通らずにバイパスして冷却されず暖機運転を促進するとともに、冷間時に過冷却が未然に防止されるようにしている。
本発明の一実施の形態に係る内燃機関を搭載した小型滑走艇の側面図である。 同平面図である。 図1におけるIII-III線で切断した断面図である。 一部断面一部省略した船体および内燃機関の正面図である。 同内燃機関の上面図である。 同内燃機関の左側面図である。 同内燃機関の後面図である。 同内燃機関の一部断面一部省略した正面図である。 同内燃機関の側断面図である。 同内燃機関の一部切欠き一部省略した右側面図である。 クランクシャフトを断面としてシリンダブロックを下面から見た図である。 カムチェーン室内を示す後面図である。 クランクケースを下面図である。 オイルパンの下面図である。 同オイルパンの上面図である。 オイルストレーナの側面図である。 オイル縦通路の要部拡大断面図である。 フィルタの斜視図である。 潤滑油の循環経路を示す図である。 冷却水の循環経路を示す図である。
符号の説明
1…小型滑走艇、10…ジェット推進ポンプ、11…インペラ、12…取水口、20…内燃機関、20A…内燃機関本体、21…クランクシャフト、22…シリンダブロック、23…クランクケース、25…シリンダヘッド、42…インタークーラ、43…ターボチャージャ、44…排気マニホールド、47a…排気管、47b…逆流防止室、47c…ウォータマフラ、47d…配管、47e…ウォータチャンバ、80…オイルタンク、85…オイルクーラ収容部、88…タンクカバー、100…オイルクーラ、131…冷却水取込み口、132…ワンウエイバルブ、135…接続管、
A…冷却水導入ホース、
B…第1冷却水経路、B1,B2,B3,B4…冷却水ホース、
C…第2冷却水経路、C1,C2,C3,C4,C5…冷却水ホース。

Claims (2)

  1. 内燃機関により駆動されるジェット推進ポンプから供給される冷却水を内燃機関に導いて冷却を行う小型滑走艇用内燃機関において、
    ジェット推進ポンプから導入された冷却水が排気マニホールドを経由して内燃機関本体に向う第1冷却水経路と、
    ジェット推進ポンプから導入された冷却水がオイルクーラを経由して排気管に向う第2冷却水経路と、
    前記第2冷却水経路の前記オイルクーラから流出する冷却水の一部を分岐して前記第1冷却水経路の内燃機関本体へ流入する冷却水に合流させるバイパス冷却水経路とを備えることを特徴とする小型滑走艇用内燃機関。
  2. 内燃機関により駆動されるジェット推進ポンプから供給される冷却水を内燃機関に導いて冷却を行う過給機付きの小型滑走艇用内燃機関において、
    ジェット推進ポンプから導入された冷却水が過給機により加圧された吸気を冷却するインタークーラを冷却した後に排気マニホールドを経由して内燃機関本体に向う第1冷却水経路と、
    ジェット推進ポンプから導入された冷却水がオイルクーラを冷却した後に前記過給機を経由して排気管に向う第2冷却水経路と、
    前記第2冷却水経路の前記オイルクーラから流出する冷却水の一部を分岐して前記第1冷却水経路の内燃機関本体へ流入する冷却水に合流させるバイパス冷却水経路とを備えることを特徴とする小型滑走艇用内燃機関。



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