JP2007308631A - ジルコニア含有エポキシ樹脂組成物とこれを含有する透明複合体および発光素子並びに光半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のジルコニア含有エポキシ樹脂組成物は、表面修飾剤により表面が修飾され、かつ、分散粒径が1nm以上かつ20nm以下の正方晶ジルコニア粒子と、芳香環を水素化した水添エポキシ樹脂とを含有してなることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
この樹脂とフィラーを複合化する方法としては、無機酸化物を水および/または有機溶媒に分散させた分散液と樹脂を、種々の方法によって混合することにより、樹脂中にフィラーを分散させる方法が挙げられる。
また、LEDでは、半導体素子を保護するために、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの透明な封止樹脂によって半導体素子を封止している。しかしながら、LEDの短波長化や高輝度化の要求が高まるに伴って、LEDから放出されるエネルギーが増加するため、封止樹脂が黄変して、LEDの輝度が低下するという問題があった。
一方、エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピ−ビス型樹脂)やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が用いられているが、これらのエポキシ樹脂はベンゼン環すなわち不飽和結合を有しているため、紫外線を吸収し易いという性質がある。したがって、これらのエポキシ樹脂は、吸収した紫外線のエネルギーによって発生したラジカルにより酸化し易くなり、結果として、黄変し易くなるといった問題があった。
本発明のジルコニア含有エポキシ樹脂組成物は、前記ジルコニア粒子の含有率は10重量%以上かつ60重量%以下であることが好ましい。
したがって、光取り出し効率を向上させることができ、高い発光輝度を得ることができ、さらには、長期に亘って信頼性を向上させることができる。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1中、符号1はIII−V族化合物半導体からなるLEDチップ、2はLEDチップ1が搭載されるリードフレーム、3はリードフレーム2から外部へ引き出される外部端子、4はLEDチップ1およびリードフレーム2を封止する保護機能およびレンズ機能を兼ねた封止材、5はLEDチップ1およびリードフレーム2を収納するメタルケース、6は外部端子3を絶縁するための絶縁体、7はメタルケース5に形成された開口部である。
封止材4は、分散粒径が1nm以上かつ20nm以下のジルコニア粒子を透明な樹脂中に分散した透明複合体である。
ジルコニア粒子として正方晶ジルコニア粒子が好ましい理由は、微粒子合成の立場からは微粒子の粒径が20nm以下のように小さくなると、正方晶の方が従来知られている単斜晶よりも安定になることと、硬度が高く、ジルコニア粒子を樹脂中に分散させた樹脂複合体の機械的特性を向上させることができる上に、この樹脂複合体においては、単斜晶ジルコニア粒子を添加した場合と比べて、マルテンサイト変態と称される体積膨張により高い靭性を示すからである。
このように、ジルコニア粒子は、ナノサイズの粒子であるから、樹脂と複合化した樹脂複合体においても、光散乱が小さく、樹脂の透明性を維持することが可能である。
ジルコニア粒子の含有率が10重量%未満では、エポキシ樹脂の屈折率の上昇が十分ではなく、LEDに用いた場合に、LEDの発光効率を向上することができない上に、機械的特性を向上することができない。一方、ジルコニア粒子の含有率が60重量%を超えると、エポキシ樹脂自体が脆くなる。
これらの水添エポキシ樹脂の中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂の芳香環を直接水素化した水添エポキシ樹脂は、水添率(水素化率)が高いため特に好ましい。
酸無水物硬化剤としては、無水グルタル酸、無水2−メチルグルタル酸、無水2,2−ジメチルグルタル酸、無水2,2−ジメチルグルタル酸, 無水2,4−ジメチルグルタル酸、無水2,2−ジエチルグルタル酸, 無水2,4−ジエチルグルタル酸、無水2−プロピルグルタル酸、 無水2−ブチルグルタル酸などが挙げられる。
酸無水物硬化剤の添加量は、表面修飾剤および水添エポキシ樹脂の総量を100重量部とした場合に、20重量部以上かつ100重量部以下であることが好ましく、40重量部以上かつ80重量部以下であることがより好ましい。
硬化促進剤としては、3級アミン類およびその塩類、イミダゾール類およびその塩類、有機ホスフィン類、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫などが挙げられる。これらの硬化促進剤の中でも、有機ホスフィン類が特に好ましい。
硬化促進剤の添加量は、酸無水物硬化剤100重量部に対して、0.01重量部以上かつ10重量部以下であることが好ましく、0.05重量部以上かつ5重量部以下であることがより好ましい。
モノフェノール類としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどが挙げられる。
酸化防止剤の添加量は、表面修飾剤および水添エポキシ樹脂の総量を100重量部とした場合に、0.01重量部以上かつ10重量部以下であることが好ましく、0.05重量部以上かつ5重量部以下であることがより好ましい。
先ず、オキシ塩化ジルコニウム8水塩などのジルコニウム塩を純水に溶解させたジルコニウム塩溶液に、希アンモニア水を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体スラリーを調製する。
次いで、このスラリーに、硫酸ナトリウムなどの無機塩の水溶液を攪拌しながら加える。このときの無機塩の添加量は、ジルコニウム塩溶液中のジルコニウムイオンのジルコニア換算値に対して20〜40重量%とする。
次いで、この混合物を、乾燥器を用いて、大気中、100〜150℃にて24時間〜36時間、乾燥させ、固形物を得る。
次いで、この固形物を自動乳鉢などにより粉砕した後、電気炉を用いて、大気中、500℃にて1時間〜5時間焼成する。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した無機塩を十分に除去した後、乾燥器にて乾燥させ、ジルコニア粒子を作製する。
次いで、このジルコニア粒子に、分散媒として有機溶媒、表面修飾剤を加えて混合し、その後、0.05mmφ〜1mmφのジルコニアビーズを用いたビーズミルなどの湿式混合機により分散処理を行うと同時に、表面修飾剤によるジルコニア粒子の表面修飾を行い、ジルコニア分散液を調製する。
シランカップリング剤、アルキルアルコキシシラン化合物としては、下記の一般式(1)で表される化合物である。
SiRx(OR’)4−x (1)
この一般式(1)において、Rは、ビニル基;アリル基;3−グリシドキシプロピル基;2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチル基;3−アクリロキシプロピル基;3−メタクリロプロピル基;スチリル基;3−アミノプロピル基;N−2(アミノエチル)3−アミノプロピル基;N−フェニル−3−アミノプロピル基;炭素数が1以上、20以下のアルキル基;フェニル基の群から選択された1種または2種以上である。
また、この一般式(1)において、R’は、炭素数が1以上、20以下のアルキル基;フェニル基、メチルカルボキシ基の群から選択された1種または2種以上である。
シリコーンレジンとしては、メチルシリコーンレジン、メチルフェニルシリコーンレジンなどが挙げられる。
陰イオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウムなどの脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸エステルスルフォン酸ナトリウムなどの脂肪酸系界面活性剤、アルキルリン酸エステルナトリウムなどのリン酸系界面活性剤、アルファオレインスルフォン酸ナトリウムなどのオレフィン系界面活性剤、アルキル硫酸ナトリウムなどのアルコール系界面活性剤、アルキルベンゼン系界面活性剤などが用いられる。
両性イオン界面活性剤としては、アルキルアミノカルボン酸塩などのカルボン酸系界面活性剤、フォスフォベタインなどのリン酸エステル系界面活性剤などが用いられる。
非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラノリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの脂肪酸系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アルカノールアミドなどが用いられる。
表面修飾剤の含有率が5重量%未満では、ジルコニア粒子と水添エポキシ樹脂との相溶が困難となり、樹脂上への複合化の際、透明性が失われる。一方、表面修飾剤の含有率が200重量%を超えると、表面修飾剤が水添エポキシ樹脂特性へ及ぼす影響が大きくなり、屈折率などの複合体特性が低下するからである。
この透明複合体は、ジルコニア粒子の含有率が10重量%以上かつ60重量%以下であり、波長350nm以上かつ800nm以下の光の透過率が80%以上である。
この光の透過率は、透明複合体におけるジルコニア粒子の含有率により異なり、ジルコニア粒子の含有率が1重量%では90%以上、ジルコニア粒子の含有率が40重量%では80%以上である。
また、正方晶ジルコニア粒子は、単斜晶ジルコニア粒子に比べてマルテンサイト変態による靭性値の向上が期待でき、しかも、靭性、硬度が高く、透明複合体の機械的特性向上に適している。
また、正方晶ジルコニア粒子は、ナノサイズの粒子であるから、樹脂と複合化させた場合においても、光散乱が小さく、複合材料の透明性を維持することが可能である。
したがって、発光ダイオードの光の取り出し効率が向上し、その結果、発光輝度が向上する。
まず、LEDチップ1をリードフレーム2上の所定位置に搭載し、このLEDチップ1とリードフレーム2とをワイヤボンディング(図示略)により電気的に接続し、リードフレーム2のリードの不要部分をカットし、残ったリードに曲げ加工を施し、外部端子3とする。
次いで、このLEDチップ1およびリードフレーム2を分散粒径が1nm以上かつ20nm以下のジルコニア粒子を透明な水添エポキシ樹脂中に分散した透明複合体からなる封止材4により封止する。
この封止材4をなす透明複合体を作製する際に、上述のジルコニア含有エポキシ樹脂組成物を用いる。
上記のジルコニア含有エポキシ樹脂組成物をLEDチップ1およびリードフレーム2を覆うように塗布し、次いで、この塗膜を加熱、あるいは紫外線や赤外線などの照射を施し、この塗膜を硬化させる。
この封止後、LEDチップ1、リードフレーム2および封止材4を覆うように、メタルケース5を装着し、外部端子3を絶縁体6により絶縁処理する。
以上により、図1に示す本実施形態の発光ダイオードを作製することができる。
したがって、光の取り出し効率を向上させることができ、発光輝度を向上させることができる。
(正方晶ジルコニア分散液の調製)
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40L(リットル)に溶解させたジルコニウム塩溶液に、28%アンモニア水344gを純水20Lに溶解させた希アンモニア水を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体スラリーを調製した。
次いで、このスラリーに、硫酸ナトリウム300gを5Lの純水に溶解させた硫酸ナトリウム水溶液を攪拌しながら加えた。このときの硫酸ナトリウムの添加量は、ジルコニウム塩溶液中のジルコニウムイオンのジルコニア換算値に対して30重量%であった。
次いで、この混合物を、乾燥器を用いて、大気中、130℃にて24時間、乾燥させ、固形物を得た。
次いで、この固形物を自動乳鉢などにより粉砕した後、電気炉を用いて、大気中、500℃にて1時間焼成した。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した硫酸ナトリウムを十分に除去した後、乾燥器にて乾燥させ、ジルコニア粒子を作製した。
このジルコニア粒子の結晶系を、X線回折装置を用いて調べたところ、図2に示すX線回折図形(チャート)から、ジルコニア粒子の結晶系が正方晶系であることが確認された。
次いで、この正方晶ジルコニア粒子10gに、分散媒としてトルエンを80g、表面修飾剤として「シランカップリング剤系」(KBM−503、信越化学(株)社製)を10g加えて混合し、その後、0.1mmφのジルコニアビーズを用いたビーズミルにより分散処理を行い、正方晶ジルコニア分散液を調製した。
この正方晶ジルコニア分散液の正方晶ジルコニア粒子の分散粒径を、動的光散乱式粒径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定したところ、10nmであった。
次いで、この正方晶ジルコニア分散液100gに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を直接水素化した水添エポキシ樹脂として、エポキシ樹脂エピコートYX8000(水素化率100%、ジャパンエポキシレジン(株)社製)6g、硬化剤として、無水グルタル酸(東京化成工業(株)社製)3.7g 、硬化促進剤として、ヒシコーリンPX−4ET(日本化学工業(株)社製)0.15g、および、酸化防止剤として、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(関東化学(株)社製)0.15gを加え、真空乾燥により脱溶剤化し、ジルコニア含有エポキシ樹脂組成物を作製した。
次いで、このジルコニア含有エポキシ樹脂組成物を、ガラス板で組み上げた型の中に厚みが1mmになるように流し込み、次いで、100℃にて30分間、次いで、140℃にて3時間加熱して硬化させ、ジルコニア含有エポキシ樹脂複合体を作製した。このジルコニア含有エポキシ樹脂複合体の正方晶ジルコニア粒子の含有率は50重量%であった。
実施例1と同様にして、正方晶ジルコニア粒子を調製した。
次いで、この正方晶ジルコニア粒子10gに、分散媒としてトルエンを80g、表面修飾剤として「シランカップリング剤系」(A−1504、東京化成工業(株)社製)を10g加えて混合し、その後、0.1mmφのジルコニアビーズを用いたビーズミルにより分散処理を行い、正方晶ジルコニア分散液を調製した。
この正方晶ジルコニア分散液の正方晶ジルコニア粒子の分散粒径を、動的光散乱式粒径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定したところ、10nmであった。
次いで、この正方晶ジルコニア分散液100gを用い、実施例1と同様にして、ジルコニア含有エポキシ樹脂組成物を作製した。
次いで、このジルコニア含有エポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして、ジルコニア含有エポキシ樹脂複合体を作製した。このジルコニア含有エポキシ樹脂複合体の正方晶ジルコニア粒子の含有率は50重量%であった。
実施例1と同様にして、正方晶ジルコニア粒子を調製した。
次いで、この正方晶ジルコニア粒子10gに、分散媒としてトルエンを80g、表面修飾剤として「シリコーンレジン系」(KR−213、信越化学(株)社製)を10g加えて混合し、その後、0.1mmφのジルコニアビーズを用いたビーズミルにより分散処理を行い、正方晶ジルコニア分散液を調製した。
この正方晶ジルコニア分散液の正方晶ジルコニア粒子の分散粒径を、動的光散乱式粒径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定したところ、10nmであった。
次いで、この正方晶ジルコニア分散液100gを用い、実施例1と同様にして、ジルコニア含有エポキシ樹脂組成物を作製した。
次いで、このジルコニア含有エポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして、ジルコニア含有エポキシ樹脂複合体を作製した。このジルコニア含有エポキシ樹脂複合体の正方晶ジルコニア粒子の含有率は50重量%であった。
実施例1と同様にして、正方晶ジルコニア粒子を調製した。
次いで、この正方晶ジルコニア粒子10gに、分散媒としてトルエンを80g、表面修飾剤として「シランカップリング剤系」(KBM−503、信越化学(株)社製)を10g加えて混合し、その後、0.1mmφのジルコニアビーズを用いたビーズミルにより分散処理を行い、正方晶ジルコニア分散液を調製した。
この正方晶ジルコニア分散液の正方晶ジルコニア粒子の分散粒径を、動的光散乱式粒径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定したところ、10nmであった。
次いで、この正方晶ジルコニア分散液100gに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂エピコート828、ジャパンエポキシレジン(株)社製)7g、および、硬化剤(エピキュア3080、ジャパンエポキシレジン(株)社製)3gを加え、真空乾燥により脱溶剤化し、ジルコニア含有エポキシ樹脂組成物を作製した。
次いで、このジルコニア含有エポキシ樹脂組成物を、ガラス板で組み上げた型の中に厚みが1mmになるように流し込み、次いで、100℃にて30分間、次いで、140℃にて3時間加熱して硬化させ、ジルコニア含有エポキシ樹脂複合体を作製した。このジルコニア含有エポキシ樹脂複合体の正方晶ジルコニア粒子の含有率は50重量%であった。
実施例1と同様にして、正方晶ジルコニア粒子を調製した。
次いで、この正方晶ジルコニア粒子10gに、分散媒としてトルエンを90g加えて混合し、その後、0.1mmφのジルコニアビーズを用いたビーズミルにより分散処理を行った。
分散処理後の処理液は白濁し、ジルコニア粒子は沈降した。
ジルコニア粒子として単斜晶および正方晶ジルコニア粒子を含むRC−100(第一希元素(株)社製)を用いた。
このジルコニア粒子10gに、分散媒としてトルエンを80g、表面修飾剤として「シランカップリング剤系」(A−1504、東京化成工業(株)社製)を10g加えて混合し、その後、0.1mmφのジルコニアビーズを用いたビーズミルにより分散処理を行い、ジルコニア分散液を調製した。
このジルコニア分散液のジルコニア粒子の分散粒径を、動的光散乱式粒径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定したところ、100nmであった。
次いで、このジルコニア分散液100gを用い、実施例1と同様にして、ジルコニア含有エポキシ樹脂組成物を作製した。
次いで、このジルコニア含有エポキシ樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして、ジルコニア含有エポキシ樹脂複合体を作製した。このジルコニア含有エポキシ樹脂複合体のジルコニア粒子の含有率は50重量%であった。
ジルコニア粒子として単斜晶および正方晶ジルコニア粒子を含むRC−100(第一希元素(株)社製)を用いた。
このジルコニア粒子10gに、分散媒としてトルエンを80g、表面修飾剤として「シランカップリング剤系」(KBM−503、信越化学(株)社製)を10g加えて混合し、その後、0.1mmφのジルコニアビーズを用いたビーズミルにより分散処理を行い、ジルコニア分散液を調製した。
このジルコニア分散液のジルコニア粒子の分散粒径を、動的光散乱式粒径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定したところ、100nmであった。
次いで、この正方晶ジルコニア分散液100gに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂エピコート828、ジャパンエポキシレジン(株)社製)7g、および、硬化剤(エピキュア3080、ジャパンエポキシレジン(株)社製)3gを加え、真空乾燥により脱溶剤化し、ジルコニア含有エポキシ樹脂組成物を作製した。
次いで、このジルコニア含有エポキシ樹脂組成物を、ガラス板で組み上げた型の中に厚みが1mmになるように流し込み、次いで、100℃にて30分間、次いで、140℃にて3時間加熱して硬化させ、ジルコニア含有エポキシ樹脂複合体を作製した。このジルコニア含有エポキシ樹脂複合体のジルコニア粒子の含有率は50重量%であった。
実施例1と同様にして、正方晶ジルコニア粒子を調製した。
次いで、この正方晶ジルコニア粒子10gに、分散媒としてトルエンを80g、表面修飾剤として「シランカップリング剤系」(KBM−503、信越化学(株)社製)を10g加えて混合し、その後、0.1mmφのジルコニアビーズを用いたビーズミルにより分散処理を行い、正方晶ジルコニア分散液を調製した。
この正方晶ジルコニア分散液の正方晶ジルコニア粒子の分散粒径を、動的光散乱式粒径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定したところ、10nmであった。
次いで、この正方晶ジルコニア分散液10gに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を直接水素化した水添エポキシ樹脂として、エポキシ樹脂エピコートYX8000(水素化率100%、ジャパンエポキシレジン(株)社製)6g、硬化剤として、無水グルタル酸(東京化成工業(株)社製)3.7g 、硬化促進剤として、ヒシコーリンPX−4ET(日本化学工業(株)社製)0.15g、および、酸化防止剤として、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(関東化学(株)社製)0.15gを加え、真空乾燥により脱溶剤化し、ジルコニア含有エポキシ樹脂組成物を作製した。
次いで、このジルコニア含有エポキシ樹脂組成物を、ガラス板で組み上げた型の中に厚みが1mmになるように流し込み、次いで、100℃にて30分間、次いで、140℃にて3時間加熱して硬化させ、ジルコニア含有エポキシ樹脂複合体を作製した。このジルコニア含有エポキシ樹脂複合体の正方晶ジルコニア粒子の含有率は50重量%であった。
実施例1〜3および比較例1〜5それぞれのジルコニア含有エポキシ樹脂複合体について、可視光透過率、ヘーズおよび屈折率の3点について、下記の装置または方法により評価を行った。
(1)可視光透過率
分光光度計V−570(日本分光社製)を用いて、波長350nm〜800nmの光の透過率を測定した。なお、空気の波長350nm〜800nmの光の透過率を100%とした。
ここでは、測定用試料を100×100×1mmの大きさのバルク体とした。
(2)ヘーズ
日本工業規格:JIS K 7136「プラスチック−透明材料のヘーズの求め方」に準拠し、ヘーズメーター(NDH−2000、日本電色工業社製)により、ヘーズ値を測定した。なお、空気のヘーズ値を0%とした。
(3)屈折率
日本工業規格:JIS K 7142「プラスチックの屈折率測定方法」に準拠し、アッベ屈折計により測定した。
ここでは、ジルコニアを添加していない樹脂を基準として、屈折率が0.05以上向上した場合を「○」、屈折率が0.05未満しか向上しなかった場合を「×」とした。
なお、屈折率の評価の基準となる樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ樹脂エピコート828、ジャパンエポキシレジン(株)社製)10g、および、硬化剤(エピキュア3080、ジャパンエポキシレジン(株)社製)7gからなるエポキシ樹脂組成物を硬化したものを用いた。この樹脂の可視光透過率は75%、ヘーズ値は0.20%であった。
また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を直接水素化した水添エポキシ樹脂(水素化率100%、エポキシ樹脂エピコートYX8000、ジャパンエポキシレジン(株)社製)10g、硬化剤として、無水グルタル酸(東京化成工業(株)社製)7g 、硬化促進剤(ヒシコーリンPX−4ET、日本化学工業(株)社製)0.1g、および、酸化防止剤として、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(関東化学(株)社製)0.1gからなるエポキシ樹脂組成物を硬化したものの可視光透過率は85%、ヘーズ値は0.20%であった。
以上の評価結果を表1に示す。
一方、比較例1〜5のジルコニア含有エポキシ樹脂複合体では、可視光透過率、ヘーズ、屈折率のいずれかの特性が実施例1〜3と比べて劣っていた。
Claims (7)
- 表面修飾剤により表面が修飾され、かつ、分散粒径が1nm以上かつ20nm以下のジルコニア粒子と、芳香族エポキシ樹脂の芳香環を水素化した水添エポキシ樹脂とを含有してなることを特徴とするジルコニア含有エポキシ樹脂組成物。
- 前記表面修飾剤は、シロキサン化合物および/または界面活性剤であることを特徴とする請求項1記載のジルコニア含有エポキシ樹脂組成物。
- 前記ジルコニア粒子の含有率は10重量%以上かつ60重量%以下であることを特徴とする請求項1または2記載のジルコニア含有エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1ないし3のいずれか1項記載のジルコニア含有エポキシ樹脂組成物を含有してなることを特徴とする透明複合体。
- 前記透明複合体において、ジルコニア粒子の含有率が10重量%以上かつ60重量%以下の場合、波長350nm以上かつ800nm以下の光の透過率が80%以上であることを特徴とする請求項4記載の透明複合体。
- 少なくとも光透過領域を、請求項4または5記載の透明複合体により封止してなることを特徴とする発光素子。
- 請求項6記載の発光素子を備えてなることを特徴とする光半導体装置。
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