JP2010209186A - 光学材料と無機微粒子分散液及び光学材料の製造方法並びに発光素子 - Google Patents

光学材料と無機微粒子分散液及び光学材料の製造方法並びに発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】高屈折率かつ透明であり、樹脂に対する含有率が高く、かつ10μm以上の光路長においても透明性を損なわない無機微粒子と樹脂とを複合一体化した光学材料、この高屈折率かつ透明な無機微粒子を分散媒中に分散させた無機微粒子分散液、及びこの無機微粒子分散液を用いた光学材料の製造方法、並びに、この光学材料を光透過領域に適用した発光素子を提供する。
【解決手段】本発明の光学材料は、無機微粒子を樹脂中に分散してなる光学材料であり、この無機微粒子は、分散粒子径が10nm以上かつ50nm以下、屈折率が1.6以上であり、この無機微粒子の表面は、この無機微粒子の1質量%以上かつ20質量%以下の有機ケイ素化合物からなる表面処理材にて修飾されている。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学材料と無機微粒子分散液及び光学材料の製造方法並びに発光素子に関し、更に詳しくは、高屈折率かつ透明な無機微粒子を樹脂中に分散した光学材料と、高屈折率かつ透明な無機微粒子を分散媒中に分散した無機微粒子分散液、及びこの光学材料の製造方法、並びに、この光学材料を用いた発光素子に関するものである。
近年、白色光を発光する半導体発光素子を透明樹脂で封止した発光ダイオード(LED)が、大幅な省エネルギーを実現しうる照明用光源として注目されている。しかしながら、この発光ダイオードでは、半導体発光領域で発生した光の一部が発光ダイオード内で消滅するために、外部への光取り出し効率が悪いという問題点があった。その理由は、半導体発光素子の発光領域自体の屈折率が約2.5程度と非常に高く、また、発光領域を形成する結晶基板としてよく用いられるサファイア基板の屈折率も1.76と高いのに対し、この半導体発光素子を封止するエポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の封止樹脂の屈折率が1.4〜1.5程度と低いために、発光領域と封止樹脂との間の屈折率差が大きくなり過ぎてしまい、その結果、発光領域と封止樹脂との界面で全反射し、サファイア基板側へ伝搬する光の量が多くなるからである。
そこで、封止樹脂の屈折率を1.6〜1.9程度に高めることができれば、半導体発光素子の発光領域と封止樹脂との間の屈折率差を小さくすることができるので、発光領域と封止樹脂との界面での全反射光を大幅に減少することができ、光の取り出し効率を向上させることができる。この場合、上述したように半導体発光素子の発光領域自体の屈折率が高いので、封止樹脂の屈折率が高ければ高い程、光の取り出し効率が向上することとなる。
従来より、封止樹脂の屈折率を高めるために、屈折率の高い無機微粒子を混合・分散させた樹脂材料が知られている。この樹脂材料では、無機微粒子による光の散乱を防ぐために、無機微粒子の分散粒子径を10nm未満とするのが好ましい。このような無機微粒子は、樹脂との親和性を高めるために表面処理を施す必要があるが、無機微粒子の分散粒子径を小さくすると、無機微粒子の表面積が著しく大きくなるために、この無機微粒子の表面処理に要する表面処理材の量も多くなり、表面処理を施した無機微粒子の屈折率が低下してしまうこととなる。そこで、屈折率をより高めるために無機微粒子の添加量を更に増量しようとすると、樹脂の粘性が極めて高くなり、その結果、ハンドリング性がなくなったり、あるいは樹脂成型ができなくなったりする不具合が生じ、自ずと無機微粒子の混合割合が制限され、樹脂の屈折率を高めるには限界があった。
このように、従来の樹脂材料では透明性と高屈折率を両立させることができず、これらを両立させることができる樹脂材料が求められていた。
一方、無機微粒子を樹脂中に分散した樹脂材料における光散乱は、ミー散乱とレイリー散乱によることが知られている。一般にミー散乱は、分散粒子径が200nm〜800nm の範囲で光散乱が大きくなることにより生じ、また、レイリー散乱は、分散粒子径が20nm〜200nmの範囲で光散乱が大きくなることにより生じる。したがって、光散乱性の大きい粒子を樹脂中に分散すると、光の後方散乱により樹脂の屈折率を高めることは可能になるが、光の前方成分が減少するために、結果として光の取り出し効率は向上しないことになる。
そこで、微粒子の大きさを光散乱のない程度に小さくした平均粒子径が50nm以下の酸化チタン微粒子を、光硬化性樹脂に混入した光学材料が提案されている(特許文献1参照)。
特開2004−221405号公報
ところで、上述した従来の光学材料においては、酸化チタン微粒子の大きさを平均粒子径が50nm以下と規定しているだけであるから、必然的に50nm以上の粒子径を有する酸化チタン微粒子も混入することとなり、したがって、平均粒子径のみを規定した酸化チタン微粒子を用いて分散液や光学材料を作製すると、得られた分散液や光学材料の透明性が著しく低下する虞があった。したがって、この酸化チタン微粒子の光硬化性樹脂に対する含有率を高くしたり、光路長を10μm以上に長く取ることができず、その結果、光学材料、特に発光素子封止用材料への適用が難しいという問題点があった。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであって、高屈折率かつ透明であり、樹脂に対する含有率が高く、かつ10μm以上の光路長においても透明性を損なわない無機微粒子と樹脂とを複合一体化した光学材料、この高屈折率かつ透明な無機微粒子を分散媒中に分散させた無機微粒子分散液、及びこの無機微粒子分散液を用いた光学材料の製造方法、並びに、この光学材料を光透過領域に適用した発光素子を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、光学材料中の無機微粒子の分散粒子径を10nm以上かつ50nm以下、屈折率を1.6以上とし、この無機微粒子の表面を、該無機微粒子の1質量%以上かつ20質量%以下の表面処理材にて修飾することとすれば、光学材料中の無機微粒子の分散粒子径が厳密に制御され、光学材料の透明性を維持しながら高屈折率化が可能であることを見出し、この無機微粒子を分散媒中に分散させることにより、無機微粒子の分散粒子径が厳密に制御され、透明性が維持された無機微粒子分散液が可能であることを見出し、この無機微粒子分散液と樹脂を複合化させることにより、透明性を維持しながら高屈折率化された光学材料が容易に得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の光学材料は、無機微粒子を樹脂中に分散してなる光学材料であって、前記無機微粒子は、分散粒子径が10nm以上かつ50nm以下、屈折率が1.6以上であり、前記無機微粒子の表面は、該無機微粒子の1質量%以上かつ20質量%以下の表面処理材にて修飾されていることを特徴とする。
前記表面処理材は、有機ケイ素化合物であることが好ましい。
本発明の無機微粒子分散液は、無機微粒子を分散媒中に分散してなる無機微粒子分散液であって、前記無機微粒子は、分散粒子径が10nm以上かつ50nm以下、屈折率が1.6以上であり、前記無機微粒子の表面は、該無機微粒子の1質量%以上かつ20質量%以下の表面処理材にて修飾されていることを特徴とする。
前記表面処理材は、有機ケイ素化合物であることが好ましい。
本発明の光学材料の製造方法は、本発明の無機微粒子分散液を樹脂中に分散・混合して混合物とし、次いで、この混合物を硬化することを特徴とする。
本発明の発光素子は、本発明の光学材料を光透過領域に用いたことを特徴とする。
本発明の光学材料によれば、無機微粒子の分散粒子径を10nm以上かつ50nm以下、その屈折率を1.6以上とし、この無機微粒子の表面を、該無機微粒子の1質量%以上かつ20質量%以下の表面処理材にて修飾したので、無機微粒子による光の散乱、特に可視光線領域中の350nm〜800nmの波長帯域の光の散乱を抑制しつつ、高屈折率かつ透明な無機微粒子の含有率を高めることができる。したがって、光学材料の透明性を維持しつつ高屈折率化を図ることができる。
本発明の無機微粒子分散液によれば、無機微粒子の分散粒子径を10nm以上かつ50nm以下、その屈折率を1.6以上とし、この無機微粒子の表面を、該無機微粒子の1質量%以上かつ20質量%以下の表面処理材にて修飾したので、分散液の透明性を維持しつつ、高屈折率かつ透明な無機微粒子の含有率を高めることができる。したがって、この無機微粒子分散液を用いて光学材料を作製すれば、透明性が維持されかつ高屈折率化された光学材料を容易に得ることができる。
本発明の光学材料の製造方法によれば、本発明の無機微粒子分散液を樹脂中に分散・混合して混合物とし、次いで、この混合物を硬化するので、透明性が維持されかつ高屈折率化された光学材料を容易に得ることができる。
本発明の発光素子によれば、本発明の光学材料を光透過領域に用いたので、発光素子の発光領域と光透過領域との間の屈折率差を抑制することができる。したがって、発光素子の発光領域と光透過領域との界面での全反射光を大幅に減少させることができ、その結果、光の取り出し効率を向上させることができ、輝度を向上させることができる。
本発明の一実施形態の発光ダイオードを示す断面図である。 本発明の実施例1の酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径の測定結果を示す図である。
本発明の光学材料と無機微粒子分散液及び光学材料の製造方法並びに発光素子を実施するための形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[光学材料]
本実施形態の光学材料は、無機微粒子を樹脂中に分散してなる光学材料であって、この無機微粒子は、分散粒子径が10nm以上かつ50nm以下、屈折率が1.6以上であり、この無機微粒子の表面は、この無機微粒子の1質量%以上かつ20質量%以下の表面処理材にて修飾されている。
無機微粒子は、その分散粒子径が10nm以上かつ50nm以下である。
ここで、分散粒子径を50nm以下としたのは、レイリー散乱が生じるのは分散粒子径が20nm〜200nmの範囲であり、特に分散粒子径が50nmを越えると、レイリー散乱による透過光の損失が無視できなくなるため、分散粒子径を50nm以下とすることで、レイリー散乱による透過光の損失を最小限に抑えることができるからである。
また、分散粒子径を10nm以上としたのは、分散粒子径が10nm未満では、微粒子の比表面積が増大し、これにより樹脂との親和性を高めるために施す表面処理材の必要量も著しく多くなり、その結果、無機微粒子としての屈折率を低下させることとなり、無機微粒子を添加する効果が得にくくなるからである。
このように、分散粒子径が10nm以上かつ50nm以下の範囲であれば、表面処理材の量を無機微粒子に対して1質量%から20質量%の間に制御することで、表面処理材の使用量を抑えつつ、樹脂に対して良好な親和性を得ることが可能となる。
この無機微粒子としては、屈折率が1.60以上の金属酸化物微粒子が好ましい。
このような無機微粒子としては、Zr、Ti、Sn、Ce、Ta、Nb、Znの群から選択される1種または2種以上を含有してなる金属酸化物が好ましく、屈折率と経済効果を併せて考慮すると、酸化チタンや酸化ジルコニウムが特に好ましい。
これらの無機微粒子は、樹脂との親和性を向上させるために、その表面が、この無機微粒子の1質量%以上かつ20質量%以下の表面処理材にて修飾されている。
この表面処理材としては、有機ケイ素化合物であることが好ましく、この有機ケイ素化合物としては、シリコン系カップリング剤、シリコーンオイル等が挙げられる。
シリコン系カップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシランメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のシランカップリング剤、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシランカップリング剤、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシランカップリング剤、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリロキシシランカップリング剤、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクロキシシランカップリング剤、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシランカップリング剤が挙げられる。
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイルが挙げられる。
これらのシリコン系カップリング剤やシリコーンオイルは、1種のみを用いることもでき、2種以上を混合して用いることもできる。
特に、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイルの群から選択される1種または2種以上を、無機微粒子の表面処理剤として用いることにより、樹脂との親和性が著しく向上し、その使用量を無機微粒子の質量に対して1質量%以上かつ20質量%以下の間に抑えても、透明性の高い光学材料を得ることができる。
ここで、無機微粒子の表面処理に用いられる表面処理剤の使用量を1質量%未満とした場合、表面処理剤が無機微粒子の表面を十分に覆うことができなくなり、したがって、無機微粒子と樹脂との親和性が十分に得られず、無機微粒子の樹脂に対する分散性が低下し、その結果、無機微粒子が樹脂中で凝集し、透明性が低下するので好ましくない。
一方、表面処理剤を20質量%を越えて使用した場合、表面処理剤が無機微粒子の表面を十分に覆うことができるので、無機微粒子の樹脂に対する分散性には問題が無いが、無機微粒子に比べて屈折率が低い表面処理材の相対量が増加することにより、高屈折率の無機微粒子を添加する効果を相殺してしまうので、好ましくない。
本実施形態の光学材料で用いる樹脂としては、可視光線または近赤外線等の所定の波長帯域の光に対して透明性を有する樹脂であればよく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、可視光線や紫外線や赤外線等により硬化する光(電磁波)硬化性樹脂、電子線照射により硬化する電子線硬化性樹脂等の硬化性樹脂が好適に用いられる。
このような硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。特に、シリコーン樹脂は、耐熱性及び耐光性に優れ、さらに無機微粒子の表面処理剤との親和性も高いので好ましい。
シリコーン樹脂は、硬化性オルガノポリシロキサン樹脂と硬化剤とからなるもので、硬化性オルガノポリシロキサン樹脂としては、例えば、ジメチルシリコーン樹脂、メチルフェニルシリコーン樹脂、ビニル基含有シリコーン樹脂、アミノ基含有シリコーン樹脂、メタクリル基含有シリコーン樹脂、カルボキシ基含有シリコーン樹脂、エポキシ基含有シリコーン樹脂、カルビノール基含有シリコーン樹脂、フェニル基含有シリコーン樹脂、オルガノハイドロジェンシリコーン樹脂、脂環式エポキシ基変性シリコーン樹脂、多環式炭化水素含有シリコーン樹脂、芳香環炭化水素含有シリコーン樹脂等、フェニルシルセスキオキサン樹脂等が挙げられる。
これらは、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、硬化剤としては、ヒドロシリル化反応触媒としてアルミニウム化合物、白金化合物、ロジウム化合物、パラジウム化合物等が挙げられる。これらは、単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の光学材料は、その透明性と高屈折率特性から光学用途として有用に用いることができる。例えば、プラスチックレンズに適用した場合には、その高い屈折率のレベルに応じて厚みを薄くすることができ、さらに焦点距離も短かくすることができ、光学製品の薄型軽量化に有用な材料となる。
また、後述するように、本実施形態の光学材料を発光素子の封止用材料として用いることが有用である。
また、本実施形態の光学材料の形状は、バルク状、フィルム状、シート状等、用途に応じて適宜選択可能である。
本実施形態の光学材料は、用いる無機微粒子及び樹脂の種類により屈折率が異なるので、無機微粒子と樹脂との比率を一律に制限することはできないが、この光学材料を発光素子の光透過領域に適用する場合には、光学材料の屈折率を1.6〜1.9の範囲に制御できるように、無機微粒子及び樹脂の種類、及び無機微粒子の含有率を調整することが好ましい。このように、無機微粒子及び樹脂の種類、及び無機微粒子の含有率を規定することにより、発光素子の発光領域と光透過領域との界面における全反射を低減することができ、その結果、発光素子の光取り出し効率を大幅に改善することができる。
例えば、屈折率が2.2の酸化ジルコニウム粒子と、屈折率が1.5のフェニルシリコーン樹脂とを用いて光学材料を作製する場合、フェニルシリコーン樹脂100質量部に対して、酸化ジルコニウム粒子を50質量部〜85質量部の範囲で含有することにより、屈折率が1.6〜1.9の高屈折率の光学材料を作製することができる。
このように、無機微粒子と樹脂との比率は、光学材料の屈折率を1.6以上とする比率であればよく、概ね、光学材料中に含まれる無機微粒子の含有率は40質量%程度以上とすることが好ましい。
本実施形態の光学材料によれば、無機微粒子の分散粒子径を10nm以上かつ50nm以下、その屈折率を1.6以上とし、この無機微粒子の表面を、該無機微粒子の1質量%以上かつ20質量%以下のシリコーンオイル等の表面処理材にて修飾したので、無機微粒子による光の散乱、特に可視光線領域中の350nm〜800nmの波長帯域の光の散乱を抑制しつつ、高屈折率かつ透明な無機微粒子の含有率を高めることができる。したがって、光学材料の透明性を維持しつつ高屈折率化を図ることができる。
[無機微粒子分散液]
本実施形態の無機微粒子分散液は、無機微粒子を分散媒中に分散してなる無機微粒子分散液であって、この無機微粒子は、分散粒子径が10nm以上かつ50nm以下、屈折率が1.6以上であり、この無機微粒子の表面は、この無機微粒子の1質量%以上かつ20質量%以下の表面処理材にて修飾されている。
ここで、この無機微粒子分散液中の無機微粒子の分散粒子径を10nm以上かつ50nm以下とした理由は、後述する光学材料の製造方法において、この無機微粒子分散液を樹脂中に分散・混合して本実施形態の光学材料を得る際に、光学材料中の無機微粒子の分散粒子径を10nm以上かつ50nm以下に制御することが好ましいからである。
すなわち、分散粒子径を50nm以下としたのは、レイリー散乱が生じるのは分散粒子径が20nm〜200nmの範囲であり、特に分散粒子径が50nmを越えると、レイリー散乱による透過光の損失が無視できなくなるため、分散液中や光学材料中の無機微粒子の分散粒子径を50nm以下とすることで、レイリー散乱による透過光の損失を最小限に抑えることができるからである。
また、分散粒子径を10nm以上としたのは、分散粒子径が10nm未満では、微粒子の比表面積が増大し、後述する光学材料の製造方法において、この無機微粒子分散液を樹脂中に分散・混合して混合物とし、この混合物から溶媒を散逸させて除去し、光学材料を得る際に、無機微粒子の表面に樹脂との親和性を高めるために施す表面処理材の必要量が著しく多くなり、その結果、無機微粒子としての屈折率を低下させることとなり、無機微粒子を添加する効果が得にくくなるからである。
このように、分散粒子径が10nm以上かつ50nm以下の範囲であれば、表面処理材の量を無機微粒子に対して1質量%から20質量%の間に制御することで、表面処理材の使用量を抑えつつ、樹脂に対して良好な親和性を得ることが可能となる。
この無機微粒子としては、屈折率が1.60以上の金属酸化物微粒子が好ましい。
これは、この分散液、及びこの分散液を用いて得られる本実施形態の光学材料を高屈折率化させるために必要であり、このような無機微粒子としては、Zr、Ti、Sn、Ce、Ta、Nb、Znの群から選択される1種または2種以上を含有してなる金属酸化物が好ましく、屈折率と経済効果を併せて考慮すると、酸化チタンや酸化ジルコニウムが特に好ましい。
分散媒としては、無機微粒子を分散させることができ、後述する光学材料の製造方法において、この分散液を未硬化の樹脂中に分散・混合して混合物とする際に、この未硬化の樹脂に対して相溶性が高いものを選択する必要がある。
このような未硬化の樹脂に対して相溶性が高い分散媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げられ、これらの溶媒のうち1種のみ、または2種以上を混合して用いることができる。
この分散液中の無機微粒子の含有率は、1質量%以上かつ80質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以上かつ70質量%以下である。
無機微粒子の含有率が1質量%未満では、分散液としてもほとんど屈折率の上昇効果が認められず、また、この分散液を樹脂中へ分散させて本実施形態の光学材料を得ようとする場合においても添加量が多くなり、ハンドリング性が悪化する等の不具合が生じるからである。
また、含有率が80質量%を超えると、分散液の分散安定性が悪化し、無機微粒子の凝集が生じ易くなり、分散粒子径が50nmを超えてしまうという不具合が生じる虞があるので、好ましくない。
これらの無機微粒子は、後述する光学材料の製造方法において、この無機微粒子分散液を樹脂中に分散・混合して本実施形態の光学材料を得る際に、樹脂との親和性を向上させるために、その表面を表面処理材、好ましくは有機ケイ素化合物にて修飾することが好ましい。
この有機ケイ素化合物としては、シリコン系カップリング剤、シリコーンオイル等が挙げられる。
シリコン系カップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシランメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のシランカップリング剤、ビニルトリメトキことがシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシランカップリング剤、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシランカップリング剤、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアクリロキシシランカップリング剤、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のメタクロキシシランカップリング剤、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシランカップリング剤が挙げられる。
シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイルが挙げられる。
これらのシリコン系カップリング剤やシリコーンオイルは、1種のみを用いることもでき、2種以上を混合して用いることもできる。
特に、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイルの群から選択される1種または2種以上を、無機微粒子の表面処理剤として用いることにより、樹脂との親和性が著しく向上し、その使用量を無機微粒子の質量に対して1質量%以上かつ20質量%以下の間に抑えても、透明性の高い光学材料を得ることができる。
本実施形態の無機微粒子分散液によれば、無機微粒子の分散粒子径を10nm以上かつ50nm以下、その屈折率を1.6以上とし、この無機微粒子の表面を、この無機微粒子の1質量%以上かつ20質量%以下のシリコーンオイル等の表面処理材にて修飾したので、分散液の透明性を維持しつつ、高屈折率かつ透明な無機微粒子の含有率を80質量%以下にまで高めることができる。
[光学材料の製造方法]
本実施形態の光学材料の製造方法は、上述した無機微粒子分散液を樹脂中に分散・混合して混合物とし、次いで、この混合物を硬化する方法である。
以下、この光学材料の製造方法について詳細に説明する。
まず、上述した無機微粒子分散液を未硬化の樹脂中に混合し、無機微粒子を樹脂中に均一に分散させ、混合物とする。ここで、分散液が未硬化の樹脂中に均一に混合できないと、無機微粒子が樹脂中に均一に分散できないことから、分散液の分散媒は未硬化の樹脂に対して相溶性が高いものを選択することが好ましい。
この無機微粒子分散液と未硬化の樹脂との混合比は、使用する無機微粒子と樹脂の屈折率に因るので一概には言えないが、光学材料の屈折率を1.6以上とするためには、概ね、光学材料中の無機微粒子の含有率を40重量%程度以上とすることが好ましい。
次いで、この混合物から分散液に含まれる分散媒を蒸発させて除去する。分散媒の蒸発は、この混合物を単純に静置させることで行っても良いが、無機微粒子と未硬化の樹脂とを混錬させながら行う方が、無機微粒子の凝集を防ぐことができ、分散媒の蒸発を促進させることができるので好ましい。なお、分散媒の蒸発を急激に行うと、発生した分散媒の蒸気が樹脂中にて気泡となり、光学材料の透明性を低下させるので注意を要する。
次いで、未硬化の樹脂を硬化させ、光学材料とする。
硬化の方法は、使用する樹脂に合わせればよく、熱硬化性樹脂であれば、加熱炉等を用いて、所定の温度にて所定時間、加熱すればよい。また、光(電磁波)硬化性樹脂であれば、可視光線や紫外線や赤外線等を所定の強度にて所定時間、照射すればよい。また、電子線硬化性樹脂であれば、電子線を所定の強度にて所定時間、照射すればよい。また、熱可塑性樹脂であれば、予め加熱軟化させた樹脂と上述した無機微粒子分散液を混合し、この分散液中の分散媒を除去後、冷却・硬化させればよい。
なお、いずれの場合においても、急激な硬化は透明性の低下を招くので好ましくない。
本実施形態の光学材料の製造方法によれば、上述した無機微粒子分散液を樹脂中に混合して無機微粒子を樹脂中に均一に分散させ、次いで、分散液に含まれる分散媒を除去し、樹脂を硬化させるという簡単な操作で、透明性が維持されかつ高屈折率化された光学材料を容易に得ることができる。
「発光素子」
本実施形態の発光素子は、上述した光学材料を、少なくとも光透過領域の封止材(封止用材料)として用いたものである。
図1は、本発明の一実施形態の発光ダイオード(LED:発光素子)を示す断面図である。
図において、1はIII−V族化合物半導体からなるLEDチップ、2はLEDチップ1が搭載されるリードフレーム、3はリードフレーム2から外部へ引き出される外部端子、4はLEDチップ1およびリードフレーム2を封止する保護機能およびレンズ機能を兼ねた封止材、5はLEDチップ1およびリードフレーム2を収納するメタルケース、6は外部端子3を絶縁するための絶縁体、7はメタルケース5に形成された開口部である。
この発光ダイオードでは、LEDチップ1からメタルケース5の開口部7に至る領域が、LEDチップ1の発光領域1aから放出される光が透過する光透過領域8とされている。
LEDチップ1は、サファイア等の結晶基板上にIII−V族化合物半導体、例えば、GaN、GaAlN、InGaN、InAlGaN等の窒化ガリウム系化合物半導体を積層したチップである。
封止材4は、上述した光学材料であり、ここでは、光透過領域8を含むLEDチップ1の前面及び側面を覆うように形成されている。
この発光ダイオードでは、光透過領域8を封止材4により封止することで、LEDチップ1の発光領域1aと封止材4との間の屈折率差を抑制する。すなわち、封止材4の屈折率を高くすることで、発光領域1aと封止材4との界面での全反射光が大幅に減少し、光の取り出し効率が向上している。
ここで、上述した光学材料を封止材4として用いる場合、上述した無機微粒子分散液を樹脂中に分散混合し、得られた混合物から分散液に含まれる分散媒を蒸発させて除去したもの、すなわち、未硬化の光学材料を、ディスペンサー等を用いてメタルケース5内にLEDチップ1を覆うように直接注入するか、あるいは、LEDチップ1およびリードフレーム2を配置した金型内に注入し、次いで、加熱、可視光線や紫外線や赤外線等の光照射、電子線照射等の硬化手段を施して硬化させればよい。
この封止材4には、LEDチップ1の発光領域1aから放出される光で励起されて発光する蛍光体粒子を含有させてもよい。
蛍光体粒子の種類としては、特に制限するものではないが、例えば、白色LED用としては、下記に挙げるような蛍光体が好適に用いられる。
例えば、黄色蛍光体としては、(Y,Gd)Al12;Ce、TbAl12;Ce、CaGaS;Eu、SrSiO;Eu等が挙げられる。
赤色蛍光体としては、(Sr,Ca)S;Eu、(Ca,Sr)Si;Eu、CaSiN;Eu、CaAlSiN;Eu、YS;Eu、LaS;Eu、LiW;EuSm、(Sr,Ca,Mg,Ba)10(POCl;Eu,Mn、BaMgSi;EuMn等が挙げられる。
緑色蛍光体としては、Y(Al,Ga)12;Ce、SrGa;Eu、CaScSi12;Ce、Sr−SiON;Eu、ZnS;Cu,Al、BaMgAl1017;Eu,Mn、SrAl12;Eu等が挙げられる。
青色蛍光体としては、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl;Eu、(Ba,Sr)MgAl1017;Eu、(Sr,Ba)MgSi;Eu等が挙げられる。
この発光素子によれば、屈折率が約2.5と高いLEDチップ1の発光領域1aに対して、光透過領域8を含むLEDチップ1の前面及び側面を覆うように、本実施形態の光学材料である透明性が高くかつ屈折率が1.6〜1.9の範囲に制御された封止材4により封止したので、発光領域1aと封止材4との間の屈折率差を従来に比べて低減することができる。したがって、発光領域1aと封止材4との界面での全反射光を低減することができ、発光素子の光取り出し効率を改善することができる。
さらに、この封止材4は、無機微粒子の分散粒子径を10nm以上かつ50nm以下の範囲に厳密に制御したので、無機微粒子の分散に起因する反射光を十分に抑制することができる。したがって、光透過領域8を含むLEDチップ1の前面及び側面を覆うように形成することにより、発光素子の光取り出し効率をより改善することができ、その結果、発光輝度を著しく向上させることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
「無機微粒子分散液の作製及び評価」
「実施例1」
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40L(リットル)に溶解させたジルコニウム塩溶液に、28%アンモニア水344gを純水20Lに溶解させた希アンモニア水を攪拌しながら加え、酸化ジルコニウム前駆体スラリーを調製した。
次いで、このスラリーに、硫酸ナトリウム300gを5Lの純水に溶解させた硫酸ナトリウム水溶液を攪拌しながら加えた。このときの硫酸ナトリウムの添加量は、ジルコニウム塩溶液中のジルコニウムイオンの酸化ジルコニウム換算値に対して30質量%であった。
次いで、この混合物を、乾燥器を用いて、大気中、130℃にて24時間、乾燥させ、固形物を得た。
次いで、この固形物を自動乳鉢により粉砕した後、電気炉を用いて、大気中、600℃にて2時間焼成した。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した硫酸ナトリウムを十分に除去した。その後、乾燥器にて乾燥させ、酸化ジルコニウム微粒子(Z1)を作製した。
次いで、この酸化ジルコニウム微粒子(Z1)10gに、分散媒としてMEKを89.5g、表面処理材としてジメチルシリコーンオイルKF−96(信越化学(株)社製)を0.5g加えて混合し、その後分散処理を行った。得られた分散液をフィルタ処理し、分散粒子径が50nmを越える粒子および10nm未満の粒子を取り除き、酸化ジルコニウム分散液(ZD1)を作製した。
得られた酸化ジルコニウム分散液(ZD1)における酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。ここでは、データ解析条件として粒子径基準を体積基準とした。測定結果を図2に示す。
図2から明らかなように、酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径は25nm以上かつ45nm以下の範囲内であった。
「実施例2」
実施例1の酸化ジルコニウム微粒子(Z1)10gに、分散媒としてMEKを89.5g、表面処理材としてシランカップリング剤KBM−503(信越化学(株)社製)を0.5g加えて混合し、その後分散処理を行った。得られた分散液をフィルタ処理し、分散粒子径が50nmを越える粒子および10nm未満の粒子を取り除き、酸化ジルコニウム分散液(ZD2)を作製した。
得られた酸化ジルコニウム分散液(ZD2)における酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。ここでは、データ解析条件として粒子径基準を体積基準とした。その結果、酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径は10nm以上かつ50nm以下の範囲内であった。
「実施例3」
実施例1の酸化ジルコニウム微粒子(Z1)10gに、分散媒としてMEKを89.9g、表面処理材としてジメチルシリコーンオイルKF−96(信越化学(株)社製)を0.1g加えて混合し、その後分散処理を行った。得られた分散液をフィルタ処理し、分散粒子径が50nmを越える粒子および10nm未満の粒子を取り除き、酸化ジルコニウム分散液(ZD3)を作製した。
得られた酸化ジルコニウム分散液(ZD3)における酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。ここでは、データ解析条件として粒子径基準を体積基準とした。その結果、酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径は10nm以上かつ50nm以下の範囲内であった。
「実施例4」
4塩化チタン1540gに純水40L(リットル)をゆっくりと加えてチタン塩溶液を調製し、更に28%アンモニア水344gを純水20Lに溶解させた希アンモニア水を攪拌しながら加え、酸化チタン前駆体スラリーを調製した。
次いで、このスラリーに、硫酸ナトリウム300gを5Lの純水に溶解させた硫酸ナトリウム水溶液を攪拌しながら加えた。このときの硫酸ナトリウムの添加量は、チタン塩溶液中のチタンイオンの酸化チタン換算値に対して30質量%であった。
次いで、この混合物を、乾燥器を用いて、大気中、130℃にて24時間、乾燥させ、固形物を得た。
次いで、この固形物を自動乳鉢により粉砕した後、電気炉を用いて、大気中、600℃にて1時間焼成した。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した硫酸ナトリウムを十分に除去した。その後、乾燥器にて乾燥させ、酸化チタン微粒子(T1)を作製した。
次いで、この酸化チタン微粒子(T1)10gに、分散媒としてMEKを89.5g、表面処理材としてメチルハイドロジェンシリコーンオイルKF−99(信越化学(株)社製)を0.5g加えて混合し、その後分散処理を行なった。得られた分散液をフィルタ処理し、分散粒子径が50nmを越える粒子および10nm未満の粒子を取り除き、酸化チタン分散液(TD1)を作製した。
得られた酸化チタン分散液(TD1)における酸化チタン微粒子の分散粒子径を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。ここでは、データ解析条件として粒子径基準を体積基準とした。その結果、酸化チタン微粒子の分散粒子径は10nm以上かつ50nm以下の範囲内であった。
「実施例5」
実施例4の酸化チタン微粒子(T1)10gに、分散媒としてMEKを89.5g、表面処理材としてシランカップリング剤KBM−303(信越化学(株)社製)を0.5g加えて混合し、その後分散処理を行なった。得られた分散液をフィルタ処理し、分散粒子径が50nmを越える粒子および10nm未満の粒子を取り除き、分散粒子径が10nm以上かつ50nm以下の酸化チタン分散液(TD2)を作製した。
得られた酸化チタン分散液(TD2)における酸化チタン微粒子の分散粒子径を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。ここでは、データ解析条件として粒子径基準を体積基準とした。その結果、酸化チタン微粒子の分散粒子径は10nm以上かつ50nm以下の範囲内であった。
「実施例6」
実施例4の酸化チタン微粒子(T1)10gに、分散媒としてMEKを89.9g、表面処理材としてメチルハイドロジェンシリコーンオイルKF−99(信越化学(株)社製)を0.1g加えて混合し、その後分散処理を行なった。得られた分散液をフィルタ処理し、分散粒子径が50nmを越える粒子および10nm未満の粒子を取り除き、酸化チタン分散液(TD3)を作製した。
得られた酸化チタン分散液(TD3)における酸化チタン微粒子の分散粒子径を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。ここでは、データ解析条件として粒子径基準を体積基準とした。その結果、酸化チタン微粒子の分散粒子径は10nm以上かつ50nm以下の範囲内であった。
「比較例1」
実施例1の酸化ジルコニウム微粒子(Z1)10gに、分散媒としてMEKを85g、表面処理材としてジメチルシリコーンオイルKF−96(信越化学(株)社製)を5g加えて混合し、その後分散処理を行なった。得られた分散液をフィルタ処理し、分散粒子径が50nmを越える粒子および10nm未満の粒子を取り除き、酸化ジルコニウム分散液(ZD4)を作製した。
得られた酸化ジルコニウム分散液(ZD4)における酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。ここでは、データ解析条件として粒子径基準を体積基準とした。その結果、酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径は25nm以上かつ45nm以下の範囲内であった。
「比較例2」
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40L(リットル)に溶解させたジルコニウム塩溶液に、28%アンモニア水344gを純水20Lに溶解させた希アンモニア水を攪拌しながら加え、酸化ジルコニウム前駆体スラリーを調製した。
次いで、このスラリーに、硫酸ナトリウム300gを5Lの純水に溶解させた硫酸ナトリウム水溶液を攪拌しながら加えた。このときの硫酸ナトリウムの添加量は、ジルコニウム塩溶液中のジルコニウムイオンの酸化ジルコニウム換算値に対して30質量%であった。
次いで、この混合物を、乾燥器を用いて、大気中、130℃にて24時間、乾燥させ、固形物を得た。
次いで、この固形物を自動乳鉢により粉砕した後、電気炉を用いて、大気中、500℃にて1時間焼成した。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した硫酸ナトリウムを十分に除去した。その後、乾燥器にて乾燥させ、酸化ジルコニウム微粒子(Z2)を作製した。
次いで、この酸化ジルコニウム微粒子(Z2)10gに、分散媒としてMEKを85g、表面処理材としてシランカップリング剤KBM−503(信越化学(株)社製)を5g加えて混合し、その後分散処理を行なった。得られた分散液をフィルタ処理し、分散粒子径が10nmを越える粒子を取り除き、酸化ジルコニウム分散液(ZD5)を作製した。
得られた酸化ジルコニウム分散液(ZD5)における酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。ここでは、データ解析条件として粒子径基準を体積基準とした。その結果、酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径は3nm以上かつ10nm以下の範囲内であった。
「比較例3」
実施例1の酸化ジルコニウム微粒子(Z1)10gに、分散媒としてMEKを89.92g、表面処理材としてジメチルシリコーンオイルKF−96(信越化学(株)社製)を0.08g加えて混合し、その後分散処理を行い、酸化ジルコニウム分散液(ZD6)を作製した。ここでは、分散粒子径を調整するためのフィルタ処理は行わなかった。
得られた酸化ジルコニウム分散液(ZD6)における酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。ここでは、データ解析条件として粒子径基準を体積基準とした。その結果、酸化ジルコニウム微粒子の分散粒子径は30nm以上かつ100nm以下の範囲内であった。
「比較例4」
実施例4の酸化チタン微粒子(T1)10gに、分散媒としてMEKを89.92g、表面処理材としてシランカップリング剤KBM−303(信越化学(株)社製)を0.08g加えて混合し、その後分散処理を行い、酸化チタン分散液(TD4)を作製した。ここでは、分散粒子径を調整するためのフィルタ処理は行わなかった。
得られた酸化チタン分散液(TD4)における酸化チタン微粒子の分散粒子径を、動的光散乱式粒子径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定した。ここでは、データ解析条件として粒子径基準を体積基準とした。その結果、酸化チタン微粒子の分散粒子径は30nm以上かつ100nm以下の範囲内であった。
「評価」
実施例1〜6及び比較例1〜4各々の無機微粒子分散液の可視光線透過率を、分光光度計(日本分光社製)を用いて測定した。
ここでは、無機微粒子分散液中の無機微粒子の含有率をMEKを用いて5質量%に調製した試料を石英セル(10mm×10mm幅)に入れ、この試料の光路長を10mmとしたときの可視光線透過率を測定し、可視光線透過率が80%以上を「○」、80%未満を「×」とした。
「光学材料及びLEDの作製及び評価」
「実施例7」
実施例1の酸化ジルコニウム分散液(ZD1)35gに、樹脂成分として変性シリコーンオイル(メチルハイドロジェンポリシロキサンと両末端に各々ビニル基を有するオルガノポリシロキサンとの混合物)6.5gを加え、さらに重合開始剤(触媒)として塩化白金酸を変性シリコーンオイル100質量部に対して20ppmとなるように加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、実施例7の樹脂組成物(ZP1)を作製した。
次いで、この樹脂組成物(ZP1)をガラス板で組み上げた型の中に厚みが1mmになるように流し込み、次いで、150℃にて2時間加熱して硬化させ、実施例7の光学材料(ZS1)を作製した。この光学材料(ZS1)の酸化ジルコニウムの含有率は35質量%であった。
また、この樹脂組成物(ZP1)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、150℃にて2時間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、実施例7のLED(ZL1)を作製した。
「実施例8」
実施例2の酸化ジルコニウム分散液(ZD2)35gに、樹脂成分としてエポキシレジン:エピコート828を4.6gおよび硬化剤としてエピキュア3080を1.9g(いずれもジャパンエポキシレジン(株)社製)を加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、実施例8の樹脂組成物(ZP2)を作製した。
次いで、この樹脂組成物(ZP2)をガラス板で組み上げた型の中に厚みが1mmになるように流し込み、次いで、80℃にて30分間加熱して硬化させ、実施例8の光学材料(ZS2)を作製した。この光学材料(ZS2)の酸化ジルコニウムの含有率は35質量%であった。
また、この樹脂組成物(ZP2)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、80℃にて30分間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、実施例8のLED(ZL2)を作製した。
「実施例9」
実施例2の酸化ジルコニウム分散液(ZD2)35gに、樹脂成分として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート3.3g、ペンタエリスリトールトリアクリレート1.6g、ペンタエリスリトールテトラアクリレート1.3g、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.3gを加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、実施例9の樹脂組成物(ZP3)を作製した。
次いで、この樹脂組成物(ZP3)をガラス板で組み上げた型の中に厚みが1mmになるように流し込み、60℃にて5時間、続いて120℃にて2時間加熱して硬化させ、実施例9の光学材料(ZS3)を作製した。この光学材料(ZS3)の酸化ジルコニウムの含有率は35質量%であった。
また、この樹脂組成物(ZP3)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、120℃にて2時間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、実施例9のLED(ZL3)を作製した。
「実施例10」
実施例3の酸化ジルコニウム分散液(ZD3)35gに、樹脂成分として変性シリコーンオイル(メチルハイドロジェンポリシロキサンと両末端に各々ビニル基を有するオルガノポリシロキサンとの混合物)6.5gを加え、さらに重合開始剤(触媒)として塩化白金酸を変性シリコーンオイル100質量部に対して20ppmとなるように加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、実施例10の樹脂組成物(ZP4)を作製した。
次いで、この樹脂組成物(ZP4)をガラス板で組み上げた型の中に厚みが1mmになるように流し込み、次いで、150℃にて2時間加熱して硬化させ、実施例10の光学材料(ZS4)を作製した。この光学材料(ZS4)の酸化ジルコニウムの含有率は35質量%であった。
また、この樹脂組成物(ZP4)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、150℃にて2時間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、実施例10のLED(ZL4)を作製した。
「実施例11」
実施例4の酸化チタン分散液(TD1)35gに、樹脂成分として変性シリコーンオイル(メチルハイドロジェンポリシロキサンと両末端に各々ビニル基を有するオルガノポリシロキサンとの混合物)6.5gを加え、さらに重合開始剤(触媒)として塩化白金酸を変性シリコーンオイル100質量部に対して20ppmとなるように加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、実施例11の樹脂組成物(TP1)を作製した。
次いで、この樹脂組成物(TP1)をガラス板で組み上げた型の中に厚みが1mmになるように流し込み、次いで、150℃にて2時間加熱して硬化させ、実施例11の光学材料(TS1)を作製した。この光学材料(TS1)の酸化チタンの含有率は35質量%であった。
また、この樹脂組成物(TP1)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、150℃にて2時間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、実施例11のLED(TL1)を作製した。
「実施例12」
実施例5の酸化チタン分散液(TD2)35gに、樹脂成分としてエポキシレジン:エピコート828を4.6gおよび硬化剤としてエピキュア3080を1.9g(いずれもジャパンエポキシレジン(株)社製)を加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、実施例12の樹脂組成物(TP2)を作製した。
次いで、この樹脂組成物(TP2)をガラス板で組み上げた型の中に厚みが1mmになるように流し込み、次いで、80℃にて30分間加熱して硬化させ、実施例12の光学材料(TS2)を作製した。この光学材料(TS2)の酸化チタンの含有率は35質量%であった。
また、この樹脂組成物(TP2)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、80℃にて30分間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、実施例12のLED(TL2)を作製した。
「実施例13」
実施例5の酸化チタン分散液(TD2)35gに、樹脂成分として1,6−ヘキサンジオールジアクリレート3.3g、ペンタエリスリトールトリアクリレート1.6g、ペンタエリスリトールテトラアクリレート1.3g、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.3gを加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、実施例13の樹脂組成物(TP3)を作製した。
次いで、この樹脂組成物(TP3)をガラス板で組み上げた型の中に厚みが1mmになるように流し込み、60℃にて5時間、続いて120℃にて2時間加熱して硬化させ、実施例13の光学材料(TS3)を作製した。この光学材料(TS3)の酸化チタンの含有率は35質量%であった。
また、この樹脂組成物(TP3)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、120℃にて2時間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、実施例13のLED(TL3)を作製した。
「実施例14」
実施例6の酸化チタン分散液(TD3)35gに、樹脂成分として変性シリコーンオイル(メチルハイドロジェンポリシロキサンと両末端に各々ビニル基を有するオルガノポリシロキサンとの混合物)6.5gを加え、さらに重合開始剤(触媒)として塩化白金酸を変性シリコーンオイル100重量部に対して20ppmとなるように加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、実施例14の樹脂組成物(TP4)を作製した。
次いで、この樹脂組成物(TP4)をガラス板で組み上げた型の中に厚みが1mmになるように流し込み、次いで、150℃にて2時間加熱して硬化させ、実施例14の光学材料(TS4)を作製した。この光学材料(TS4)の酸化チタンの含有率は35質量%であった。
また、この樹脂組成物(TP4)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、150℃にて2時間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、実施例14のLED(TL4)を作製した。
「比較例5」
比較例1の酸化ジルコニウム分散液(ZD4)23gに、樹脂成分として変性シリコーンオイル(メチルハイドロジェンポリシロキサンと両末端に各々ビニル基を有するオルガノポリシロキサンとの混合物)7.7gを加え、さらに塩化白金酸を変性シリコーンオイル100質量部に対して20ppmとなるように加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、比較例5の樹脂組成物(ZP5)を作製した。
次いで、この樹脂組成物(ZP5)をガラス板で組み上げた型の中に厚みが1mmになるように流し込み、次いで、150℃にて2時間加熱して硬化させ、比較例5の光学材料(ZS5)を作製した。この光学材料(ZS5)の酸化ジルコニウムの含有率は23質量%であった。
また、この樹脂組成物(ZP5)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、150℃にて2時間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、比較例5のLED(ZL5)を作製した。
「比較例6」
比較例2の酸化ジルコニウム分散液(ZD5)23gに、樹脂成分としてエポキシレジン:エピコート828を5.4gおよび硬化剤としてエピキュア3080を2.3g(いずれもジャパンエポキシレジン(株)社製)を加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、比較例6の樹脂組成物(ZP6)を作製した。
次いで、この樹脂組成物(ZP6)をガラス板で組み上げた型の中に厚みが1mmになるように流し込み、次いで、80℃にて30分間加熱して硬化させ、比較例6の光学材料(ZS6)を作製した。この光学材料(ZS6)の酸化ジルコニウムの含有率は23質量%であった。
また、この樹脂組成物(ZP6)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、80℃にて30分間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、比較例6のLED(ZL6)を作製した。
「比較例7」
比較例3の酸化ジルコニウム分散液(ZD6)35gに、樹脂成分として変性シリコーンオイル(メチルハイドロジェンポリシロキサンと両末端に各々ビニル基を有するオルガノポリシロキサンとの混合物)6.5gを加え、さらに塩化白金酸を変性シリコーンオイル100質量部に対して20ppmとなるように加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、比較例7の樹脂組成物(ZP7)を作製した。
次いで、この樹脂組成物(ZP7)をガラス板で組み上げた型の中に厚みが1mmになるように流し込み、次いで、150℃にて2時間加熱して硬化させ、比較例7の光学材料(ZS7)を作製した。この光学材料(ZS7)の酸化ジルコニウムの含有率は35質量%であった。
また、この樹脂組成物(ZP7)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、150℃にて2時間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、比較例7のLED(ZL7)を作製した。
「比較例8」
比較例4の酸化チタン分散液(TD4)35gに、樹脂成分としてエポキシレジン:エピコート828を4.6gおよび硬化剤としてエピキュア3080を1.9g(いずれもジャパンエポキシレジン(株)社製)を加え、次いで、真空乾燥により溶媒を散逸させ、比較例8の樹脂組成物(TP5)を作製した。
次いで、この樹脂組成物(TP5)をガラス板で組み上げた型の中に厚みが1mmになるように流し込み、次いで、80℃にて30分間加熱して硬化させ、比較例8の光学材料(TS5)を作製した。この光学材料(TS5)の酸化チタンの含有率は35質量%であった。
また、この樹脂組成物(TP5)を、LEDチップ及びリードフレームを収納したメタルケースに流し込み、80℃にて30分間加熱し硬化させてLEDチップをリードフレームごと封止し、比較例8のLED(TL5)を作製した。
「光学材料の評価」
実施例7〜14及び比較例5〜8各々の光学材料について、下記の装置または方法により可視光線透過率および屈折率の評価を行った。
(1)可視光線透過率
分光光度計(日本分光社製)を用いて可視光線の透過率を測定した。
試料は100mm×100mm×1mmの大きさのバルク体とし、その厚み方向の可視光線透過率を測定し、可視光線透過率が80%以上を「○」、80%未満を「×」とした。
(2)屈折率
日本工業規格JIS K 7142「プラスチックの屈折率測定方法」に準拠し、アッベ屈折計により測定した。
ここでは、無機微粒子を添加していない樹脂単体を基準として、屈折率が0.05以上向上した場合を「○」、屈折率が0.05未満しか向上しなかった場合を「×」とした。
「LEDの評価」
実施例7〜14及び比較例5〜8各々のLEDについて、室温にて順方向に電流を20mA通電した際の光出力を測定した。
ここでは、無機微粒子を含有しない樹脂のみで封止したLEDの光出力を基準とし、光出力が10%以上向上した場合を「○」、10%未満しか向上しなかった場合を「×」とした。
実施例1〜6及び比較例1〜4各々の無機微粒子分散液の製造条件及び評価結果を表1に示す。
また、実施例7〜14及び比較例5〜8各々の光学材料及びLEDの製造条件及び評価結果を表2に示す。
Figure 2010209186
Figure 2010209186
実施例1〜6の分散液では、分散液中に分散された無機微粒子の分散粒子径が10nm以上かつ50nm以下、屈折率が1.6以上であり、かつ無機微粒子の表面が、この無機微粒子の1質量%以上かつ20質量%以下の表面処理材で修飾されているので、良好な可視光線透過性を有していた。
また、実施例7〜14の光学材料では、樹脂中に分散された無機微粒子の分散粒子径が10nm以上かつ50nm以下、屈折率が1.6以上であり、かつ無機微粒子の表面が、この無機微粒子の1質量%以上かつ20質量%以下の表面処理材で修飾されているので、良好な可視光線透過性を有するとともに、高屈折率材料として必要な屈折率が得られており、LED等の発光素子封止用材料として有効であることが分かった。
また、実施例7〜14のLEDでは、LEDチップの封止に用いた光学材料の屈折率が高く、したがって、LEDの光透過領域における屈折率が高く、LEDの光出力が10%以上向上していることが確認された。
一方、比較例1、2の分散液では、分散液中に分散された無機微粒子の分散粒子径が10nm以上かつ50nm以下であり、かつ無機微粒子の表面が、この無機微粒子の50質量%の表面処理材で修飾されているが、表面処理材の量は可視光線透過性に影響を及ぼさないので、良好な可視光線透過性を有していた。
比較例3、4の分散液では、表面修飾材の量が不足しているために、無機微粒子が凝集して、その分散粒子径が30nm〜100nmと大きくなっており、その結果、この無機微粒子による光の散乱が発生し、可視光線透過性が低下していた。
また、比較例5の光学材料では、使用した表面処理材の量が過大であり、比較例6の光学材料では、無機微粒子の分散粒子径が小さく、この無機微粒子の分散に要する表面処理材の量が多いことから、いずれの場合においても、無機微粒子の実効的な屈折率(無機微粒子自体と表面処理剤を合わせたものの屈折率)が低下しており、本発明の光学材料として必要な屈折率を得ることができなかった。
また、比較例5、6のLEDでは、封止用に用いた光学材料の屈折率が低く、したがって光透過領域の屈折率を十分高くすることができず、光出力は5%未満しか向上しなかった。
比較例7、8の光学材料では、表面修飾材の量が不足しているために、無機微粒子が凝集して、その分散粒子径が30nm〜100nmと大きくなっており、その結果、この無機微粒子による光の散乱が発生し、可視光線透過性が低下していた。
また、比較例7、8のLEDでは、封止用に用いた光学材料における光散乱のために、光透過領域での散乱光が多く、光出力の向上はほとんど認められなかった。
1 LEDチップ
1a 発光領域
2 リードフレーム
3 外部端子
4 封止材
5 メタルケース
6 絶縁体
7 開口部
8 光透過領域

Claims (6)

  1. 無機微粒子を樹脂中に分散してなる光学材料であって、
    前記無機微粒子は、分散粒子径が10nm以上かつ50nm以下、屈折率が1.6以上であり、
    前記無機微粒子の表面は、該無機微粒子の1質量%以上かつ20質量%以下の表面処理材にて修飾されていることを特徴とする光学材料。
  2. 前記表面処理材は、有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項1記載の光学材料。
  3. 無機微粒子を分散媒中に分散してなる無機微粒子分散液であって、
    前記無機微粒子は、分散粒子径が10nm以上かつ50nm以下、屈折率が1.6以上であり、
    前記無機微粒子の表面は、該無機微粒子の1質量%以上かつ20質量%以下の表面処理材にて修飾されていることを特徴とする無機微粒子分散液。
  4. 前記表面処理材は、有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項3記載の無機微粒子分散液。
  5. 請求項3または4記載の無機微粒子分散液を樹脂中に分散・混合して混合物とし、次いで、この混合物を硬化することを特徴とする光学材料の製造方法。
  6. 請求項1または2記載の光学材料を光透過領域に用いたことを特徴とする発光素子。
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