JP2008034833A - 照明装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 特定構造のレンズや遮光部材を等の特別な光学部材を用いることがなく構造が簡易であり、照射面において色や輝度にムラやリングを生じることなく、発光の均一性に優れ、かつ、演色性に優れる照明装置を提供する。
【解決手段】 照明装置は、1個以上の発光装置1を備えている。発光装置は、350nm〜430nmの波長範囲にピークを有する励起光を発する半導体発光素子10と、半導体発光素子10からの光を吸収し、異なる発光スペクトルの光を発する発光体21および封止部材22を有する発光部20と、を有している。発光装置1は、励起光の可視成分が発光装置1の合成光の混色にどの程度関与しているかを定量的に与える指標である励起光淀ΔEが0.005以下であり、かつ平均演色評価数Raが70以上である。
【選択図】 図3
Description
この問題を解決するため、特許文献1、特許文献2においては、発光光を外部に放出する凸レンズ形状の中央放射面を有するレンズを設ける方法や、発光光の周辺部分をカットする遮光部材を設ける等の方法が提案されている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、特定構造のレンズや遮光部材を等の特別な光学部材を用いることがなく構造が簡易であり、照射面において色や輝度にムラやリングを生じることなく、発光の均一性に優れ、かつ、演色性に優れる照明装置を提供することを目的とする。
[A]350nm〜430nmの波長範囲に発光のピークを有する第1の発光スペクトルを持つ光を発する半導体発光素子と、
前記第1の発光スペクトルの光の少なくとも一部を吸収し、前記第1の発光スペクトルと異なる発光スペクトルの光を発する蛍光体及び封止部材を有する発光部と、
を有する発光装置を1個以上備えてなる照明装置であって、
以下に定義される励起光寄与度ΔEが0.005以下であり、かつ、平均演色評価数Raが70以上であることを特徴とする照明装置。
下記(式IV)で求められる、前記スペクトルFLED(λ)から前記スペクトルFex(λ)を差し引いた差スペクトルFd(λ)から得られたCIE色度座標値をxd、ydとした場合に、下記(式V)で求められる値を励起光寄与度ΔEとする。
(但し、nはFLED(λ)のスペクトル中に含まれている半導体発光素子からの光のスペクトル成分のピーク値にFex(λ)のピーク値が等しくなるように規格化するための値である。)
蛍光体1:発光スペクトルにおいて、主発光ピーク波長が430nm〜500nm、主発光ピークの半値幅が1nm〜100nmであり、励起波長405nmにおける内部量子効率が60〜100である蛍光体。
蛍光体2:発光スペクトルにおいて、主発光ピーク波長が500nm〜580nm、主発光ピークの半値幅が1nm〜120nmであり、励起波長405nmにおける内部量子効率が50〜100である蛍光体。
蛍光体3:発光スペクトルにおいて、主発光ピーク波長が580nm〜700nm、主発光ピークの半値幅が1nm〜120nmであり、励起波長405nmにおける内部量子効率が40〜100である蛍光体。
(1)固体Si−核磁気共鳴スペクトルにおいて、下記(i)及び/又は(ii)のピークを少なくとも1つ有する。
(i)ピークトップの位置がケミカルシフト−40ppm以上、0ppm以下の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上、3.0ppm以下であるピーク。
(2)ケイ素含有率が20重量%以上である。
(3)シラノール含有率が0.01重量%以上、10重量%以下である。
[D]封止部材が、さらに下記(4)を満足するものであることを特徴とする上記[C]に記載の照明装置。
(4)デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)が5以上、90以下である。
本発明の照明装置は、350nm〜430nmの波長範囲に発光のピークを有する第1の発光スペクトルを持つ光を発する半導体発光素子と、前記第1の発光スペクトルの光の少なくとも一部を吸収し、前記第1の発光スペクトルと異なる発光スペクトルの光を発する蛍光体及び封止部材を有する発光部とを有する発光装置を1個以上備えてなる。本発明の照明装置は、さらに、以下に定義される励起光寄与度ΔEが0.005以下であり、かつ、平均演色評価数Raが70以上であることを特徴とする。
下記(式IV)で求められる、スペクトルFLED(λ)からスペクトルFex(λ)を差し引いた差スペクトルFd(λ)から得られたCIE色度座標値をxd、ydとした場合に、下記(式V)で求められる値を励起光寄与度ΔEとする。
(但し、nはFLED(λ)のスペクトル中に含まれている半導体発光素子からの光のスペクトル成分のピーク値にFex(λ)のピーク値が等しくなるように規格化するための値である。)
[1]発光装置
本発明の照明装置に用いられる発光装置は、上記(式V)で求められる励起光寄与度ΔEが通常0.005以下、好ましくは0.003以下、特に好ましくは0.001以下である。
(1)実測されたスペクトルに谷間(極小値)がある場合
実測されたスペクトルFLED(λ)において、半導体発光素子から放出された光(励起光スペクトル)のスペクトルのピーク波長と蛍光体(実質的には青色系蛍光体)のピーク波長の間に極小値が一つ以上存在する場合は、最短波長側の強度極小値から波長380nmで強度ゼロとなるように直線で近似したスペクトルをFd(λ)とする。
・実測されたスペクトルに肩がある場合
実測されたスペクトルFLED(λ)において、半導体発光素子から放出された光のスペクトル(励起光スペクトル)のピーク波長域が肩として存在する場合は、長波長側の強度変曲点から波長380nmで強度ゼロとなるように直線で近似したスペクトルをFd(λ)とする。
・実測されたスペクトルに肩がない場合
実測されたスペクトルFLED(λ)において、半導体発光素子から放出された光のスペクトル(励起光スペクトル)が実質的に認めらない場合は、蛍光体の発光スペクトルに埋もれる程度に励起光スペクトルの影響が小さいので、この場合はFd(λ)=FLED(λ)と近似する。
本発明の照明装置における半導体発光素子は、蛍光体を励起する光を発光するものである。半導体発光素子の発光波長は、蛍光体の吸収波長と重複するものであれば、特に制限されず、幅広い発光波長領域の半導体発光素子を使用することができるが、本発明においては、紫外から近紫外領域までの発光波長を有する半導体発光素子が使用され、具体的数値としては、通常350nm以上、好ましくは380nm以上、また、通常430nm以下、好ましくは420nm以下のピーク発光波長を有する半導体発光素子が使用される。この半導体発光素子としては、具体的には発光ダイオード(以下、適宜「LED」と略称する。)や半導体レーザーダイオード(以下、適宜「LD」と略称する。)等が使用できる。
GaN系LEDはこれら発光層、p層、n層、電極、及び基板を基本構成要素としたものであり、発光層をn型とp型のAlXGaYN層、GaN層、又はInXGaYN層などでサンドイッチにしたヘテロ構造を有しているものが、発光効率が高く、好ましく、さらにヘテロ構造を量子井戸構造にしたものが、発光効率がさらに高く、より好ましい。
また、発光層で発生した光をより多く外部に取り出すための種々の構造(電極構造、反射層構造、上下を逆に実装し得るフリップチップ構造など)などを適宜設けることが好ましい。
本発明の照明装置は、半導体発光素子からの発光で励起されて波長変換する下記蛍光体1〜3を発光部に含有するものである。
これらの蛍光体は、通常350nm以上、好ましくは380nm以上、また、通常430nm以下、好ましくは420nm以下の波長範囲で励起可能である。励起可能な波長が上記範囲より長い場合は、発光装置や照明装置が暗くなる虞があり、また、短い場合は蛍光体が励起し難くなる虞がある。
蛍光体1:
蛍光体1は、発光スペクトルにおいて、主発光ピーク波長が通常430nm以上、好ましくは440nm以上であり、また、通常500nm以下、好ましくは480nm以下、特に好ましくは460nm以下である。また、主発光ピークの半値幅が通常1nm以上、好ましくは10nm以上、特に好ましくは30nm以上で有り、また通常100nm以下、好ましくは80nm以下、特に好ましくは70nm以下である。
さらに、蛍光体1は、励起波長405nmにおける内部量子効率が通常60以上、好ましくは70以上、特に好ましくは80以上であり、またその上限は100以下である。内部量子効率が上記範囲外の場合は、発光装置や照明装置とした場合の発光効率が低下する虞がある。
蛍光体2は、発光スペクトルにおいて、主発光ピーク波長が通常500nm以上、好ましくは510nm以上、特に好ましくは520nm以上であり、また、通常580nm以下、好ましくは570nm以下、特に好ましくは560nm以下である。また、主発光ピークの半値幅が通常1nm以上、好ましくは10nm以上、特に好ましくは30nm以上であり、また、通常120nm以下、好ましくは90nm以下、特に好ましくは60nm以下である。
さらに、蛍光体2は励起波長405nmにおける内部量子効率が通常50以上、好ましくは60以上、特に好ましくは65以上であり、またその上限は100以下である。内部量子効率が上記範囲外の場合は、発光装置や照明装置とした場合の発光効率が低下する虞がある。
蛍光体3は、発光スペクトルにおいて、主発光ピーク波長が通常580nm以上、好ましくは570nm以上、特に好ましくは610nm以上であり、また、通常700nm以下、好ましくは680nm以下、特に好ましくは660nm以下である。また、主発光ピークの半値幅が通常1nm以上、好ましくは10nm以上、特に好ましくは30nm以上であり、また通常120nm以下、好ましくは110nm以下、特に好ましくは100nm以下である。
さらに、蛍光体3は励起波長405nmにおける内部量子効率が通常40以上、好ましくは50以上、より好ましくは55以上であり、またその上限は100以下である。内部量子効率が上記範囲外の場合は、発光装置や照明装置とした場合の発光効率が低下する虞がある。
蛍光体の重量メジアン径(D50)が上記範囲にある場合は、半導体発光素子から発する光が充分に散乱される。また、半導体発光素子から発する光が充分に蛍光体粒子に吸収されるため、波長変換が高効率に行われると共に、蛍光体から発せられる光が全方向に照射される。これにより、3種類の蛍光体からの光を混色して白色にすることができると共に、均一な白色が得られるため、本発明に係る発光装置や照明装置による照射面において、均一な白色光と照度が得られる。
ここで、蛍光体の内部量子効率ηiを求める方法を説明する。
まず、後者の励起光の全フォトン数Nを、次のようにして求める。すなわち、励起光に対してほぼ100%の反射率Rを持つ物質、例えばLabsphere製「Spectralon」(405nmの励起光に対して98%の反射率を持つ。)等の反射板を、測定対象として該分光光度計に取り付け、反射スペクトルIref(λ)を測定する。ここでこの反射スペクトルIref(λ)から下記(式I)で求められた数値は、Nに比例する。
前者のサンプルによって吸収された励起光のフォトン数Nabsは下記(式II)で求められる量に比例する。
(式II)の積分範囲は(式I)で定めた積分範囲と同じにする。このように積分範囲を限定することで、(式II)の第二項は、対象サンプルが励起光を反射することによって生じたフォトン数に対応したもの、すなわち、対象サンプルから生ずる全フォトンのうち励起光によるフォトルミネッセンスで生じたフォトンを除いたものに対応したものになる。実際のスペクトル測定値は、一般にはλに関するある有限のバンド幅で区切ったデジタルデータとして得られるため、(式I)および(式II)の積分は、そのバンド幅に基づいた和分によって求まる。
αq=Nabs/N=(式II)/(式I)
と求められる。
内部量子効率ηiは、フォトルミネッセンスによって生じたフォトンの数NPLをサンプルが吸収したフォトンの数Nabsで割った値である。
ここで、NPLは、下記(式III)で求められる量に比例する。
ッセンス由来のスペクトルを含むのに好適な範囲を上端とする。
以上により、
と求められる。
なお、デジタルデータとなったスペクトルから積分を行うことに関しては、αqを求めた場合と同様である。
なお、本明細書中の蛍光体の組成式において、各組成式の区切りは読点(、)で区切って表わす。また、組成式中、括弧内にカンマ(,)で区切って複数の元素を列記する場合には、列記された元素のうち一種又は二種以上を任意の組み合わせ及び組成で含有していてもよいことを示している。例えば、「(Ba,Sr,Ca)Al2O4:Eu」という組成式は、「BaAl2O4:Eu」と、「SrAl2O4:Eu」と、「CaAl2O4:Eu」と、「Ba1−xSrxAl2O4:Eu」と、「Ba1−xCaxAl2O4:Eu」と、「Sr1−xCaxAl2O4:Eu」と、「Ba1−x−ySrxCayAl2O4:Eu」とを全て包括的に示しているものとする(但し、前記式中、0<x<1、0<y<1、0<x+y<1)。
蛍光体1としては、酸化物系蛍光体、塩化物系蛍光体等の青色系蛍光体を用いることができる。好ましくは、Eu付活アルミン酸塩蛍光体、Eu付活シリケート系蛍光体、Eu付活アパタイト系蛍光体等が好適に用いられる。また、六方晶系の結晶構造を持つものが好適に用いられる。
このような蛍光体としては、例えば、(Ba,Sr)MgAl10O17:Eu、Mx(Si,Al)12(N,O)16等が挙げられるが、特に(Ba,Sr)MgAl10O17:Euが好ましい。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
蛍光体2としては、酸化物系蛍光体、酸窒化物系蛍光体、窒化物系蛍光体、硫化物系蛍光体等の緑色系蛍光体を用いることができる。好ましくは、Eu付活シリケート系蛍光体、Ce付活ガーネット系蛍光体、Eu,Mn共付活アルミン酸塩蛍光体、Eu付活βサイアロン系蛍光体、Ce付活酸化スカンジウム系蛍光体、Eu付活オキシナイトライド系蛍光体等が好適に用いられる。また、立方晶系、斜方晶系または六方晶系の結晶構造を持つものが好適に用いられる。
Ca,Sr)Sc2O4:Ce、(Ca,Mg,Zn,Sr,Ba)Si2N2O2:Eu、Si6−zAlzOzN8−z:Eu等を挙げることができる。
特に(MI(1−γ)MII γ)αSiOβ:Euで表されるEu付活シリケート系蛍光体(ここで、MIは、Ba、Ca、Sr、Zn及びMgからなる群より選ばれる1種以上の元素を表し、MIIは、2価及び3価の原子価を取りうる1種以上の金属元素を表わす。但し、MII全体に対する2価の元素のモル比が0.5以上、1以下である。γ、α及びβは各々、0.01≦γ<0.3、1.5≦α≦2.5、及び、3.5≦β≦4.5を満たす数を表わす。)、M1xBayM2zLuOvNwで表される蛍光体(ここで、M1はCr、Mn、Fe、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも1種類の付活元素を示し、M2はSr、Ca、Mg及びZnから選ばれる少なくとも1種類の二価の金属元素を示し、Lは周期律表第4族又は14族に属する金属元素から選ばれる金属元素を示し、x、y、z、u、v及びwは、それぞれ以下の範囲の数値である。
0.00001≦x≦3
0≦y≦2.99999
2.6≦x+y+z≦3
0<u≦11
6<v≦25
0<w≦17)が好ましい。その中でも、Ba3Si6O9N4:Eu、(Ba,Sr)2SiO4:Euが好ましく、(Ba,Sr)2SiO4:Euが特に好ましい。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
蛍光体3としては、窒化物系蛍光体、硫化物系蛍光体、酸硫化物系蛍光体、酸窒化物系蛍光体等の赤色系蛍光体を用いることができる。好ましくは、Eu付活シリコンナイトライド系蛍光体、Eu付活アルカリ土類金属硫化物系蛍光体、Eu付活αサイアロン系蛍光体、Eu付活希土類酸硫化物系蛍光体等が好適に用いられる。また、斜方晶系または六方晶系の結晶構造を持つものが好適に用いられる。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
量部〜90重量部:10重量部〜90重量部:10重量部〜90重量部であることが望ましい。この範囲を外れた場合は、充分な照度が得られない虞がある。また、必要に応じて、蛍光体1として上記以外の青色系蛍光体、蛍光体2として上記以外の緑色系蛍光体、蛍光体3として上記以外の赤色系蛍光体をさらに用いたり、上記蛍光体1〜3以外の蛍光体をさらに用いたりすることができる。
本発明の照明装置の発光部は、上記蛍光体と封止部材を含有するものである。発光部に含まれる蛍光体の量は、発光部の総重量に対して、通常5重量%〜60重量%、好ましくは10重量%〜50重量%、より好ましくは15重量%〜40重量%、特に好ましくは20重量%〜30重量%である。ここで、発光部の重量とは、発光部に含まれる蛍光体の総重量、封止部材の封止材の重量、粘度調整剤、拡散剤、紫外線吸収剤等の添加剤の重量の総和をいう。
好ましい材料としては、下記の無機系材料および/または有機系材料が使用できる。
無機系材料としては、例えば、金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液、またはこれらの組み合わせを固化した無機系材料(例えばシロキサン結合を有する無機系材料)等を挙げることができる。
珪素含有化合物とは分子中に珪素原子を有する化合物をいい、ポリオルガノシロキサン等の有機材料(シリコーン系材料)、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等の無機材料、及びホウケイ酸塩、ホスホケイ酸塩、アルカリケイ酸塩等のガラス材料を挙げることができる。中でも、ハンドリングの容易さ等の点から、シリコーン系材料が好ましい。
シリコーン系材料とは、通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、例えば一般組成式で表される化合物及び/またはそれらの混合物が挙げられる。
(R1R2R3SiO1/2)M(R4R5SiO2/2)D(R6SiO3/2)T(SiO4/2)Q
ここで、R1からR6は同じであっても異なってもよく、有機官能基、水酸基、水素原子からなる群から選択される。またM、D、T及びQは0から1未満であり、M+D+T+Q=1を
満足する数である。
シリコーン系材料を硬化のメカニズムにより分類すると、通常付加重合硬化タイプ、縮重合硬化タイプ、紫外線硬化タイプ、パーオキサイド架硫タイプなどのシリコーン系材料
を挙げることができる。これらの中では、付加重合硬化タイプ(付加型シリコーン樹脂)、縮合硬化タイプ(縮合型シリコーン樹脂)、紫外線硬化タイプが好適である。以下、付加型シリコーン系材料、及び縮合型シリコーン系材料について説明する。
具体的には、下記一般式(1)及び/又は(2)で表わされる化合物、及び/又はそのオリゴマーを加水分解・重縮合して得られる重縮合物が挙げられる。
(式(1)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンより選択される少なくとも1種の元素を表わし、Xは、加水分解性基を表わし、Y1は、1価の有機基を
表わし、mは、Mの価数を表わす1以上の整数を表わし、nは、X基の数を表わす1以上の整数を表わす。但し、m≧nである。)
(式(2)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンより選択される少なくとも1種の元素を表わし、Xは、加水分解性基を表わし、Y1は、1価の有機基を
表わし、Y2は、u価の有機基を表わし、sは、Mの価数を表わす1以上の整数を表わし
、tは、1以上、s−1以下の整数を表わし、uは、2以上の整数を表わす。)
また、硬化触媒としては、例えば金属キレート化合物などを好適なものとして用いることができる。金属キレート化合物は、Ti、Ta、Zrのいずれか1以上を含むものが好ましく、Zrを含むものがさらに好ましい。
このような、シリコーン系材料のうちでは、特に、以下の特徴(1)〜(3)を有するシリコーン系材料が好ましい。
(1)固体Si−核磁気共鳴(NMR)スペクトルにおいて、下記(i)及び/又は(ii)のピークを少なくとも1つ有する。
(i)ピークトップの位置がケミカルシフト−40ppm以上、0ppm以下の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上、3.0ppm以下であるピーク。
(ii)ピークトップの位置がケミカルシフト−80ppm以上、−40ppm未満の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上5.0ppm以下であるピーク。
(2)ケイ素含有率が20重量%以上である。
(3)シラノール含有率が0.01重量%以上、10重量%以下である。
以下、これらの特徴(1)〜(3)について説明する。
ケイ素を主成分とする化合物は、SiO2・nH2Oの示性式で表されるが、構造的には、ケイ素原子Siの四面体の各頂点に酸素原子Oが結合され、これらの酸素原子Oに更にケイ素原子Siが結合してネット状に広がった構造を有する。そして、以下に示す模式図(A)および(B)は、上記の四面体構造を無視し、Si−Oのネット構造を表したものであるが、Si−O−Si−O−の繰り返し単位において、酸素原子Oの一部が他の成員(例えば−H、−CH3など)で置換されているものもあり、一つのケイ素原子Siに注目した場合、模式図の(A)に示す様に4個の−OSiを有するケイ素原子Si(Q4)、模式図の(B)に示す様に3個の−OSiを有するケイ素原子Si(Q3)等が存在する。そして、固体Si−NMR測定において、上記の各ケイ素原子Siに基づくピークは、順次に、Q4ピーク、Q3ピーク、・・・と呼ばれる。
これに対し、酸素原子が3つ結合し、それ以外の原子(通常は炭素である。)が1つ結合しているケイ素原子は、一般にTサイトと総称される。Tサイトに由来するピークはQサイトの場合と同様に、T0〜T3の各ピークとして観測される。本発明においてはTサイトに由来する各ピークをTnピーク群と呼ぶこととする。Tnピーク群は一般にQnピーク群より高磁場側(通常ケミカルシフト−80〜−40ppm)の領域に連続した多峰性のピークとして観測される。
基の炭素原子と結合していないケイ素原子に由来するQnピーク群とが、各々異なる領域に出現する。これらのピークのうち−80ppm未満のピークは前述の通りQnピークに該当し、−80ppm以上のピークはDn、Tnピークに該当する。本発明のシリコーン系材料においてはQnピークは必須ではないが、Dn、Tnピーク領域に少なくとも1本、好ましくは複数本のピークが観測される。
なお、シリコーン系材料のケミカルシフトの値は、例えば以下の方法を用いて固体Si−NMR測定を行ない、その結果に基づいて算出することができる。また、測定データの解析(半値幅やシラノール量解析)は、例えばガウス関数やローレンツ関数を使用した波形分離解析等により、各ピークを分割して抽出する方法で行なう。
シリコーン系材料について固体Si−NMRスペクトルを行なう場合、以下の条件で固体Si−NMRスペクトル測定及び波形分離解析を行なうことができる。また、得られた波形データより、シリコーン系材料について、各々のピークの半値幅を求めることができる。
装置:Chemagnetics社 Infinity CMX−400 核磁気共鳴分光装置
29Si共鳴周波数:79.436MHz
プローブ:7.5mmφCP/MAS用プローブ
測定温度:室温
試料回転数:4kHz
測定法:シングルパルス法
1Hデカップリング周波数:50kHz
29Siフリップ角:90゜
29Si90゜パルス幅:5.0μs
くり返し時間:600s
積算回数:128回
観測幅:30kHz
ブロードニングファクター:20Hz
<データ処理例>
シリコーン系材料については、512ポイントを測定データとして取り込み、8192ポイントにゼロフィリングしてフーリエ変換する。
フーリエ変換後のスペクトルの各ピークについてローレンツ波形及びガウス波形或いは両者の混合により作成したピーク形状の中心位置、高さ、半値幅を可変パラメータとして、非線形最小二乗法により最適化計算を行なう。
なお、ピークの同定は、AIChE Journal,44(5),p.1141,1998年等を参考にする。
本発明のシリコーン系材料は、ケイ素含有率が20重量%以上である(特徴(2))。従来のシリコーン系材料の基本骨格は炭素−炭素及び炭素−酸素結合を基本骨格としたエポキシ樹脂等の有機樹脂であるが、これに対し本発明のシリコーン系材料の基本骨格はガラス(ケイ酸塩ガラス)などと同じ無機質のシロキサン結合である。このシロキサン結合は、下記表1の化学結合の比較表からも明らかなように、シリコーン系材料として優れた以下の特徴がある。
(I)結合エネルギーが大きく、熱分解・光分解しにくいため、耐光性が良好である。
(II)電気的に若干分極している。
(III)鎖状構造の自由度は大きく、フレキシブル性に富む構造が可能であり、シロキサ
ン鎖中心に自由回転可能である。
(IV)酸化度が大きく、これ以上酸化されない。
(V)電気絶縁性に富む。
なお、シリコーン系材料のケイ素含有率は、例えば以下の方法を用いて誘導結合高周波プラズマ分光(inductively coupled plasma spectrometry:以下適宜「ICP」と略する。)分析を行ない、その結果に基づいて算出することができる。
シリコーン系材料の単独硬化物を粒径が100μm程度になるまで粉砕し、白金るつぼ中にて大気中、450℃で1時間、次いで750℃で1時間、950℃で1.5時間保持して焼成し、炭素成分を除去した後、得られた残渣少量に10倍量以上の炭酸ナトリウムを加えてバーナー加熱し溶融させ、これを冷却して脱塩水を加え、更に塩酸にてpHを中性程度に調整しつつケイ素として数ppm程度になるよう定容し、ICP分析を行なう。
本発明のシリコーン系材料は、シラノール含有率が、通常0.01重量%以上、また、通常10重量%以下、好ましくは8重量%以下、更に好ましくは5重量%以下の範囲である(特徴(3))。
通常、アルコキシシランを原料としてゾルゲル法により得られるガラス体は、150℃、3時間程度の温和な硬化条件では完全に重合して酸化物になることは無く、一定量のシラノールが残存する。テトラアルコキシシランのみより得られるガラス体は高硬度・高耐光性であるが、架橋度が高いため分子鎖の自由度が小さく、完全な縮合が起こらないため残存シラノールの量が多い。また、加水分解・縮合液を乾燥硬化する際には、架橋点が多いため増粘が速く、乾燥と硬化が同時に進むため大きな歪みを持ったバルク体となる。このような部材は、長期使用時には残存シラノールの縮合による新たな内部応力が発生し、クラックや剥離などの不具合を生じやすい。また、部材の破断面にはシラノールがより多く、透湿性は少ないものの表面吸湿性が高く水分の浸入を招きやすい。
なお、シリコーン系材料のシラノール含有率は、例えば、項目[4−1−1A]「固体Si−NMRスペクトル測定」において説明した方法を用いて固体Si−NMRスペクトル測定を行ない、全ピーク面積に対するシラノール由来のピーク面積の比率より、全ケイ素原子中のシラノールとなっているケイ素原子の比率(%)を求め、別に分析したケイ素含有率と比較することにより算出することができる。
本発明のシリコーン系材料は、上述の(1)〜(3)の特徴を備えることにより、厚膜部分でもクラックを生じず緻密に硬化し、ケースとの密着性・チップの封止特性に優れ、硬化後の光・熱に対する耐久性に優れる硬化物を得ることができる。この理由は定かではないが、次のように推測される。
の強度があり、多少の線膨張係数の違いは吸収可能となるが、溶媒乾燥による体積減のために薄膜の場合とは異なる内部応力発生が新たな課題となる。すなわち、開口面積の狭い深型容器にモールドを行なう場合、膜深部での乾燥が不十分な状態で加熱硬化を行なうと、架橋後に溶媒揮発が起こり体積減となるため大きなクラックや発泡を生じる。このような膜には大きな内部応力がかかっており、この膜の固体Si−NMRを測定すると、検出されるDn、Tn、Qnピーク群は内部応力が小さい場合よりもシロキサン結合角に分布を生じ、各々、よりブロードなピークとなる。この事実は、Siに対して2個の−OSiで表される結合角にひずみが大きいことを意味する。すなわち同じ原料からなる膜でも、これらのピークの半値幅が狭いほどクラックが起きにくく高品質の膜となる。
本発明のシリコーン系材料において、−80ppm以上の領域に観測されるピークの半値幅は、これまでにゾルゲル法にて知られているシリコーン系材料の半値幅範囲より小さい(狭い)ことを特徴とする。
同様に、ピークトップの位置が−40ppm以上0ppm以下に観測されるDnピーク群の半値幅は、分子運動の拘束が小さいために全般にTnピーク群の場合より小さく、通常3.0ppm以下、好ましくは2.0ppm以下、また、通常0.3ppm以上の範囲である。
さらに、上述したように、本発明のシリコーン系材料の固体Si−核磁気共鳴スペクトルにおいては、Dn、Tnピーク領域に少なくとも1本、好ましくは複数本のピークが観測される。したがって、本発明のシリコーン系材料の固体Si−核磁気共鳴スペクトルは、上述した範囲の半値幅を有するDnピーク群及びTnピーク群からなる群より選ばれるピークを、少なくとも1本、好ましくは2本以上有することが望ましい。
また、本発明のシリコーン系材料は、適当量のシラノールを含有しているため、デバイス表面に存在する極性部分にシラノールが水素結合し、密着性が発現する。極性部分としては、例えば、水酸基やメタロキサン結合の酸素等が挙げられる。
することができる。
一方、シラノールが多すぎると、系内が増粘して塗布が困難になったり、活性が高くなり加熱により軽沸分が揮発する前に固化したりすることによって、発泡や内部応力の増大が生じ、クラックなどを誘起する虞がある。
本発明のシリコーン系材料は、好ましくは、エラストマー状を呈する部材である。具体的には、以下の特徴(4)を有している。
(4)デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)が、通常5以上、好ましくは7以上、より好ましくは10以上、また、通常90以下、好ましくは80以下、より好ましくは70以下である。
なお、上記の硬度測定値(ショアA)は、JIS K6253に記載の方法により測定することができる。具体的には、古里精機製作所製のA型ゴム硬度計を用いて測定を行なうことができる。
本発明のシリコーン系材料は、次の特徴(4’)を満たすことが好ましい。
(4’)固体Si−核磁気共鳴スペクトルにおいて、(ケミカルシフト−40ppm以上0ppm以下のピークの総面積)/(ケミカルシフト−40ppm未満のピークの総面積)の比(以下適宜、本発明のシリコーン系材料の説明において単に「ピーク面積比」と称す。)が、通常3以上、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、また、通常200以下、好ましくは100以下、より好ましくは50以下である。
本発明のシリコーン系材料は、膜厚0.5mmでの、通常300nm以上、好ましくは350nm以上、また、通常900nm以下、好ましくは500nm以下の範囲の波長の
光の透過率が、通常80%以上、中でも85%以上、更には90%以上であることが好ましい。
なお、シリコーン系材料の光透過率は、例えば以下の手法により、膜厚0.5mmに成形した平滑な表面の単独硬化物膜のサンプルを用いて、紫外分光光度計により測定することができる。
シリコーン系材料よりなる、厚さ約0.5mmの、傷や凹凸による散乱の無い表面平滑な単独硬化物膜を用いて、紫外分光光度計(島津製作所製 UV−3100)を使用し、波長380nm〜700nmにおいて光透過率の測定を行なう。
本発明のシリコーン系材料を製造する方法は特に制限されないが、例えば、前述の一般式(1)や一般式(2)で表わされる化合物及び/又はそれらのオリゴマーを加水分解・重縮合し、重縮合物(加水分解・重縮合物)を乾燥させることにより得ることができる。ただし、本発明のシリコーン系材料において、高い耐久性のエラストマー状シリコーン系材料を得ようとする場合には、シロキサン結合を主体とし、且つ、架橋密度を低減することが好ましい。したがって、一般式(1)で表わされる化合物又はオリゴマーを原料の主体とし、且つ、2官能単位を主体とする組成のものを原料の主体とすることが望ましい。また、このように2官能単位を原料の主体とした場合には、系が安定となり、ゲル化が起こりにくくなる。したがって、この場合、加水分解・重縮合物が溶媒を含有している場合には、乾燥させる前に事前に溶媒を留去するようにしてもよい。
<原料>
原料としては、下記一般式(1)で表わされる化合物(以下適宜、本発明のシリコーン系材料の説明において「化合物(1)」という。)及び/又はそのオリゴマーを用いる。
Mm+XnY1 m−n (1)
一般式(1)中、Mは、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、及びチタンからなる群より選択される少なくとも1種の元素である。中でも、ケイ素が好ましい。
一般式(1)中、Xは、溶液中の水や空気中の水分などにより加水分解されて、反応性に富む水酸基を生成する加水分解性基であり、従来公知のものを任意に使用することができる。例えば、C1〜C5の低級アルコキシ基、アセトキシ基、ブタノキシム基、クロル基等が挙げられる。なお、ここでCi(iは自然数)という表記は、炭素数がi個であることを表わす。また、これらの加水分解性基は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに、一般式(1)中でXがアセトキシ基やクロル基である場合には、加水分解反応後に酢酸や塩酸を遊離するため、絶縁性が必要とされるシリコーン系材料として使用する場合には、酸成分を除去する工程を付加することが好ましい。
材料の製造方法において一般式(1)におけるY1として特に有用な有機基とは、以下のY0に表される群(有用有機基群)から選ばれるものである。さらに、発光装置や照明装置を構成する他の材料との親和性向上、密着性向上、シリコーン系材料の屈折率調整などのために、適宜、他の有機基を選択するようにしてもよい。
Y0:脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物、脂肪芳香族化合物より誘導される1価以上の有機基である。また、群Y0に属する有機基の炭素数は、通常1以上、また、通常1000以下、好ましくは500以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは50以下である。
ただし、群Y0に属する有機基の水素と置換可能な置換基として例示したもののなかでも、有機官能基は、導入しやすいものの一例であり、使用目的に応じてこの他各種の物理化学的機能性を持つ有機官能基を導入しても良い。
一般式(1)中、Y1は、上記の有用有機基群Y0に属する有機基などから、その目的により様々な基を選択できるが、耐紫外線性、耐熱性に優れる点から、メチル基を主体とすることが好ましい。
また、化合物(1)のうち、Mがジルコニウムである化合物としては、例えば、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラn−プロポキシド、ジルコニウムテトラi−プロポキシド、ジルコニウムテトラn−ブトキシド、ジルコニウムテトラi−ブトキシド、ジルコニウムテトラt−ブトキシド、ジルコニウムジメタクリレートジブトキシドなどが挙げられる。
ただし、これらに具体的に例示した化合物は、入手容易な市販のカップリング剤の一部であり、更に詳しくは、例えば、科学技術総合研究所発行の「カップリング剤最適利用技術」9章のカップリング剤及び関連製品一覧表により示すことが出来る。また、当然のことながら、本発明のシリコーン系材料の製造方法に使用できるカップリング剤は、これらの例示により制限されるものではない。
また、下記一般式(2)で表される化合物(以下適宜、本発明のシリコーン系材料の説明において「化合物(2)」という。)及び/又はそのオリゴマーも、上記化合物(1)及び/又はそのオリゴマーと同様に使用することが出来る。
一般式(2)において、M、X及びY1は、それぞれ独立に、一般式(1)と同様のものを表わす。特にY1としては、一般式(1)の場合と同様、上記の有用有機基群Y0に属する有機基などから、その目的により様々な基を選択できるが、耐紫外線性、耐熱性に優れる点から、メチル基を主体とすることが好ましい。
さらに、一般式(2)において、Y2は、u価の有機基を表わす。ただし、uは2以上の整数を表わす。したがって、一般式(2)中、Y2は、いわゆるシランカップリング剤の有機基として公知のもののうち2価以上のものを、任意に選択して使用することができる。また、一般式(2)において、tは、1以上、s−1以下の整数を表わす。但し、t≦sである。
上記化合物(2)の具体例及びその製品名を以下に挙げる。
・ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
(信越化学製、KBE−846)
・2−ジエトキシメチルエチルシリルジメチル−2−フラニルシラン
(信越化学製、LS−7740)
・N,N’−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン
(チッソ製、サイラエースXS1003)
・N−グリシジル−N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]アミン
(東芝シリコーン製、TSL8227)
・N−グリシジル−N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン
(東芝シリコーン製、TSL8228)
・N,N−ビス[(メチルジメトキシシリル)プロピル]アミン
(東芝シリコーン製、TSL8206)
・N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン
(東芝シリコーン製、TSL8212)
・N,N−ビス[(メチルジメトキシシリル)プロピル]メタクリルアミド
(東芝シリコーン製、TSL8213)
・N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン
(東芝シリコーン製、TSL8208)
・N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン
(東芝シリコーン製、TSL8214)
・N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]メタクリルアミド
(東芝シリコーン製、TSL8215)
・N,N’,N”−トリス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート
(ヒドラス化学製、12267−1)
・1,4−ビスヒドロキシジメチルシリルベンゼン
(信越化学製、LS−7325)
合物(2)のオリゴマーを用いる場合には、オリゴマーを予め用意するようにしてもよいが、製造工程の中でオリゴマーを調製するようにしてもよい。即ち、化合物(1)又は化合物(2)のようなモノマーを原料とし、これを製造工程中で一旦オリゴマーとして、このオリゴマーから後の反応を進行させるようにしてもよい。
例えば従来のゾルゲル法により製造されていたシリコーン系材料では、その原料を加水分解及び重縮合させた加水分解・重縮合物(塗布液(加水分解液)に含有されたもの等を含む)は、高い反応活性を有していた。したがって、その加水分解・重縮合物をアルコール等の溶媒で希釈しないと系内の重合が進み、すぐに硬化するため、成形や取り扱いが困難であった。例えば、従来は溶媒で希釈しない場合には、温度が40℃〜50℃程度であっても硬化することがあった。したがって、加水分解後に得られた加水分解・重縮合物の取り扱い性を確保するためには、加水分解・重縮合物に溶媒を共存させることが必須であった。
さらに、上記の内部応力を緩和するためにシリコーン系材料を柔軟化する目的で原料として2官能成分モノマーを多用すると、重縮合体中の低沸環状体が多くなる虞があった。低沸環状体は硬化時に揮発してしまうため、低沸環状体が多くなると重量歩留まりが低下することになる。また、低沸環状体は硬化物からも揮発し、応力発生の原因となることがある。さらに、低沸環状体を多く含むシリコーン系材料は耐熱性が低くなることがある。これらの理由により、従来は、シリコーン系材料を、性能の良いエラストマー状硬化体として得ることは困難であった。
本発明のシリコーン系材料の製造方法ではまず、上述の化合物(1)、化合物(2)、及び/又はそれらのオリゴマーを加水分解・重縮合反応させる(加水分解・重縮合工程)。この加水分解・重縮合反応は、公知の方法によって行なうことができる。なお、以下適宜、本発明のシリコーン系材料の説明において化合物(1)、化合物(2)、及びそのオリゴマーを区別せずに指す場合、「原料化合物」という。
本発明のシリコーン系材料の製造方法の説明では、この加水分解時に必要な水の理論量、即ち、加水分解性基の総量の1/2モル比に相当する水の量を基準(加水分解率100%)とし、加水分解時に使用する水の量をこの基準量に対する百分率、即ち「加水分解率」で表わす。
加水分解・重縮合反応時に系内が分液し不均一となる場合には、溶媒を使用しても良い。溶媒としては、例えば、炭素数1〜3の低級アルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルエチルケトン、その他の水と均一に混合できる溶媒を任意に用いることができるが、中でも強い酸性や塩基性を示さないものが加水分解・重縮合に悪影響を与えない理由から好ましい。溶媒は1種を単独で使用しても良いが、複数種を併用することもできる。溶媒使用量は自由に選択できるが、半導体発光素子等に塗布する際には溶媒を除去することが多いため、必要最低限の量とすることが好ましい。また、溶媒除去を容易にするため、沸点が100℃以下、より好ましくは80℃以下の溶媒を選択することが好ましい。なお、外部より溶媒を添加しなくても加水分解反応によりアルコール等の溶媒が生成するため、反応当初は不均一でも反応中に均一になる場合もある。
加水分解・重縮合反応時間は反応温度により異なるが、通常0.1時間以上、好ましくは1時間以上、更に好ましくは3時間以上、また、通常100時間以下、好ましくは20時間以下、更に好ましくは15時間以下の範囲で実施される。
くなり、系内のシラノール量が減少し、塗布時に密着性不良が生じたり硬化が早すぎて硬化物の構造が不均一となり、クラックを生じやすくなる。以上の傾向を踏まえて、所望の物性値に応じて条件を適宜選択することが望ましい。
上記の加水分解・重縮合工程において溶媒を用いた場合には、通常、乾燥の前に加水分解・重縮合物から溶媒を留去することが好ましい(溶媒留去工程)。これにより、溶媒を含まない液状の加水分解・重縮合物を得ることができる。上述したように、従来は溶媒を留去すると加水分解・重縮合物が硬化してしまうために加水分解・重縮合物の取り扱いが困難となっていた。しかし、本発明のシリコーン系材料の製造方法では、2官能成分オリゴマーを使用すると加水分解・重縮合物の反応性が抑制されるため、乾燥の前に溶媒を留去しても加水分解・重縮合物は硬化しなくなり、溶媒の留去が可能である。溶媒を乾燥前に留去しておくことにより、脱溶媒収縮によるクラック、剥離などを防止することができる。
溶媒を留去する方法は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、加水分解・重縮合物の硬化開始温度以上の温度で溶媒の留去を行なうことは避けるようにする。
また、溶媒の留去を行なう際の圧力条件は、通常は常圧である。さらに、必要に応じて溶媒留去時の反応液沸点が硬化開始温度(通常は120℃以上)に達しないように減圧する。また、圧力の下限は、加水分解・重縮合物の主成分が留出しない程度である。
上述の加水分解・重縮合反応により得られた加水分解・重縮合物を乾燥させる(乾燥工程。または、硬化工程)ことにより、本発明のシリコーン系材料を得ることができる。この加水分解・重縮合物は上述のように通常は液状であるが、これを目的とする形状の型に入れた状態で乾燥を行なうことにより、目的とする形状を有する本発明のシリコーン系材
料を形成することが可能となる。また、この加水分解・重縮合物を目的とする部位に塗布した状態で乾燥を行なうことにより、目的とする部位に直接、本発明のシリコーン系材料を形成することが可能となる。なお、この液状の加水分解・重縮合物を、本発明のシリコーン系材料の製造方法の説明では適宜「加水分解・重縮合液」又は「シリコーン系材料形成液」というものとする。また、乾燥工程では必ずしも溶媒が気化するわけではないが、ここでは、流動性を有する加水分解・重縮合物が流動性を失って硬化する現象を含めて、乾燥工程と呼ぶものとする。したがって、溶媒の気化を伴わない場合には、上記「乾燥」は「硬化」と読み替えて認識してもよい。
乾燥の際には、加水分解・重縮合物を所定の硬化温度まで加熱して硬化させるようにする。具体的な温度範囲は加水分解・重縮合物の乾燥が可能である限り任意であるが、メタロキサン結合は通常100℃以上で効率良く形成されるため、好ましくは120℃以上、更に好ましくは150℃以上で実施される。但し、通常は発光装置や照明装置の構成部品の耐熱温度以下の温度、好ましくは200℃以下で乾燥を実施することが好ましい。
なお、乾燥工程における昇温条件は特に制限されない。即ち、乾燥工程の間、一定の温度で保持しても良く、連続的又は断続的に温度を変化させても良い。また、乾燥工程を更に複数回に分けて行なってもよい。さらに、乾燥工程において、温度を段階的に変化させるようにしてもよい。温度を段階的に変化させることにより、残留溶媒や溶存水蒸気による発泡を防ぐことができるという利点を得ることができる。
ただし、第1の乾燥工程中でも硬化が進行するはありえるし、第2の乾燥工程中にも溶媒除去が進行する場合はありえる。しかし、第1の乾燥工程中の硬化や第2の乾燥工程中の溶媒除去は、通常は本発明の効果に影響を及ぼさない程度に小さいものである。
ところで、本発明のシリコーン系材料をエラストマー状にしない場合、即ち、いわば硬いシリコーン系材料を製造する場合には、一般式(1)や一般式(2)で表わされる化合物及び/又はそれらのオリゴマーを加水分解・重縮合し、重縮合物(加水分解・重縮合物)を乾燥させるという点では上述した方法と同様であるが、適宜、原料や操作などについて上述した方法とは異なる部分がある。以下、このような、いわば硬いシリコーン系材料を製造する場合について説明する。
硬いシリコーン系材料を製造する場合も、エラストマー状のシリコーン系材料を製造する場合と同様の原料を使用することができる。ただし、原料として化合物(1)を用いる場合、製造されるシリコーン系材料の硬度を硬くしようとするのであれば、原料として2官能の化合物(1)に対する3官能以上の化合物(1)(即ち、3官能又は4官能の化合物(1))の比率を大きくすることが好ましい。3官能以上の化合物は架橋成分となりうることから、3官能以上の化合物の比率を大きくすることにより、シリコーン系材料の架橋を促進することが出来るためである。
このように、固体Si−NMRのピーク半値幅が本発明の範囲であるシリコーン系材料は、2官能のモノマー単位と3官能以上のモノマー単位との比率を制御することにより架橋度が調整され、応力歪が少なく、シリコーン系材料として有用な適度の可とう性を得ることができるようになっている。
硬いシリコーン系材料を製造する場合も、エラストマー状のシリコーン系材料を製造する場合と同様に、加水分解・重縮合工程を行なう。ただし、硬いシリコーン系材料を製造する場合は、加水分解・重縮合反応は、溶媒の存在下にて行なうことが好ましい。
また、硬いシリコーン系材料を製造する場合にも、乾燥工程を行なう。ただし、硬いシリコーン系材料を製造する場合は、乾燥工程を、溶媒の沸点以下の温度にて溶媒を実質的に除去する第1の乾燥工程と、溶媒の沸点以上の温度にて乾燥する第2の乾燥工程とに分けて行なうことが好ましい。第1の乾燥工程の詳細は、第1の乾燥工程にて得られる生成物が、通常は水素結合により粘稠な液或いは柔らかい膜状になったものであり、溶媒が除去されて加水分解・重縮合物が液状で存在しているものとならない他は、エラストマー状のシリコーン系材料を製造する場合と同様である。また、第2の乾燥工程の詳細は、エラストマー状のシリコーン系材料を製造する場合と同様である。
このように溶媒除去の工程(第1の乾燥工程)と硬化の工程(第2の乾燥工程)とを明確に分けることにより、硬いシリコーン系材料を製造する場合であっても、本発明のシリコーン系材料の物性を持つ耐光性、耐熱性に優れるシリコーン系材料をクラック・剥離することなく得ることが可能となる。
封止部材には、光学的特性や作業性を向上させるため、また、以下の〔1〕〜〔5〕の何れかの効果を得ることを目的として、更に無機粒子を含有させても良い。なお、無機粒子は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
〔1〕封止部材に無機粒子を光散乱剤として含有させることにより、当該封止部材で形成された層を散乱層とする。これにより、光源から伝送された光を散乱層において散乱させることができ、外部に放射される光の指向角を広げることが可能となる。また、蛍光体と組み合わせて無機粒子を光散乱剤として含有させれば、蛍光体に当たる光量を増加させ、波長変換効率を向上させることが可能となる。
〔2〕封止部材に無機粒子を結合剤として含有させることにより、当該封止部材で形成された層においてクラックの発生を防止することができる。
〔3〕封止部材に無機粒子を粘度調整剤として含有させることにより、当該封止部材の粘度を高くすることができる。
〔4〕封止部材に無機粒子を含有させることにより、当該封止部材で形成された層の収縮を低減することができる。
〔5〕封止部材に無機粒子を含有させることにより、当該封止部材で形成された層の屈折率を調整して、光取り出し効率を向上させることができる。
例えば、無機粒子が粒径約10nmの超微粒子状シリカ、ヒュームドシリカ(乾式シリカ。例えば、「日本アエロジル株式会社製、商品名:AEROSIL#200」、「トクヤマ社製、商品名:レオロシール」等)の場合、封止部材のチクソトロピック性が増大するため、上記〔3〕の効果が大きい。
また、例えば、封止部材に用いられる他の化合物(前記の無機系材料及び/又は有機系材料など)とは屈折率が異なる粒径約1μmの無機粒子を用いると、前記化合物と無機粒子との界面における光散乱が大きくなるので、上記〔1〕の効果が大きい。
従って、混合する無機粒子の種類は目的に応じて選択すれば良い。また、その種類は単一でも良く、複数種を組み合わせてもよい。また、分散性を改善するためにシランカップリング剤などの表面処理剤で表面処理されていても良い。
使用する無機粒子の種類としては、例えば、シリカ、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化イットリウムなどの無機酸化物粒子やダイヤモンド粒子が挙げられるが、目的に応じて他の物質を選択することもでき、これらに限定されるものではない。
無機粒子の形態は粉体状、スラリー状等、目的に応じいかなる形態でもよいが、透明性を保つ必要がある場合は、当該無機粒子を含有させる層に含有されるその他の材料と屈折率を同等としたり、水系・溶媒系の透明ゾルとして硬化性材料に加えたりすることが好ま
しい。
これらの無機粒子(一次粒子)の中央粒径は特に限定されないが、通常、蛍光体粒子の1/10以下程度である。具体的には、目的に応じて以下の中央粒径のものが用いられる。例えば、無機粒子を光散乱材として用いるのであれば、その中央粒径は通常0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上、また、通常50μm以下、好ましくは20μm以下である。また、例えば、無機粒子を骨材として用いるのであれば、その中央粒径は1μm〜10μmが好適である。また、例えば、無機粒子を増粘剤(チキソ剤)として用いるのであれば、その中央粒子は10〜100nmが好適である。また、例えば、無機粒子を屈折率調整剤として用いるのであれば、その中央粒径は1〜10nmが好適である。
無機粒子を混合する方法は特に制限されない。通常は、蛍光体と同様に遊星攪拌ミキサー等を用いて脱泡しつつ混合することが推奨される。例えばアエロジルのような凝集しやすい小粒子を混合する場合には、粒子混合後必要に応じビーズミルや三本ロールなどを用いて凝集粒子の解砕を行なってから蛍光体等の混合容易な大粒子成分を混合しても良い。
硬化性材料中における無機粒子の含有率は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であり、その適用形態により自由に選定できる。ただし、当該無機粒子を含有する層における無機粒子の含有率は、その適用形態により選定することが好ましい。例えば、無機粒子を光散乱剤として用いる場合は、その層内における含有率は0.01〜10重量%が好適である。また、例えば、無機粒子を骨材として用いる場合は、その層内における含有率は1〜50重量%が好適である。また、例えば、無機粒子を増粘剤(チキソ剤)として用いる場合は、その層内における含有率は0.1〜20重量%が好適である。また、例えば、無機粒子を屈折率調整剤として用いる場合は、その層内における含有率は10〜80重量%が好適である。無機粒子の量が少なすぎると所望の効果が得られなくなる可能性があり、多すぎると硬化した封止部材の密着性、透明性、硬度等の諸特性に悪影響を及ぼす可能性がある。また、流体状の封止部材が溶媒等を含有している場合など、当該封止部材が乾燥工程において重量変化する場合は、その溶媒等を除いた封止部材における無機粒子の含有率が、形成される層における無機粒子の含有率と同様になるようにすればよい。
さらに、封止部材としてアルキルアルコキシシランの加水分解・重縮合物を用いる場合には、当該加水分解・重縮合物はエポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの他の硬化性材料と比較して低粘度であり、かつ蛍光体や無機粒子とのなじみが良く、高濃度の無機粒子を分散しても十分に塗布性能を維持することが出来る利点を有する。また、必要に応じて重合度の調整やアエロジル等のチキソトロープ材を含有させることにより高粘度にすることも可能であり、目的の無機粒子含有量に応じた粘度の調整幅が大きく、塗布対象物の種類や形状さらにはポッティング、スピンコート、印刷などの各種塗布方法に柔軟に対応できる塗布液を提供することが出来る。
本発明の照明装置は、上述のような発光部の周囲を、任意に可視光透光性樹脂で被覆(モールド)した発光装置を1個以上、好ましくは複数個集積してなるものである。集積する発光装置の数及び配置は、照明装置の大きさ、照度に応じて適宜選択することができる。
発光部の周囲をモールドする可視光透光性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン樹脂等を用いることができるが、特にエポキシ樹脂を用いること
が好ましい。モールドする可視光透光性樹脂中には、必要に応じて粘度調整剤、拡散剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有させてもよい。
次に、上述した発光装置および照明装置の具体的な構造の一例について説明する。
図1を参照すると、本発明の一実施形態による発光装置1が示される。発光装置1は、半導体発光素子10と、半導体発光素子10からの光の少なくとも一部を吸収し、半導体発光素子が発する光とは異なる発光スペクトルの光を発する発光部20と、を有し、発光部20は任意に可視光透光性樹脂30によって被覆されている。
実装基板40は、絶縁性の基板であれば、例えばガラスエポキシ基板など任意の基板を使用できる。ただし半導体発光素子10での発熱を効率よく放熱するためには高放熱基板が好ましく、例えばアルミナや窒化アルミニウムなどのセラミック基板などを好適に用いることができる。
発光部20は半導体発光素子10を封止する封止部材22を有しており、蛍光体21はこの封止部材22に分散した状態で保持されている。
可視光透光性樹脂30はレンズ機能を担保するために、任意に設けられていてもよい。
半導体発光素子、封止部材、蛍光体として以下のものを用いて、以下の発光装置を作製し、その評価を行った。
(半導体発光素子)
半導体発光素子(以下、チップと言う)として、ピーク波長が405nm、半値幅30nm、サイズ350μm×350μm方形のGaN系発光ダイオード(LED)を用いた。
両末端シラノールジメチルシリコーンオイル(東芝シリコーン社製XC96−723)50g、フェニルトリメトキシシラン5.0g、及び、触媒としてジルコニウムテトラn−プロポキシド溶液(ジルコニウムテトラn−プロポキシドの75重量%n−プロパノール溶液5重量部をトルエン95重量部で希釈したもの)11gを、室温・大気圧下において15分間撹拌し、初期加水分解を行なった後、50℃に加熱しながら更に8時間撹拌を続けた。その後、反応液を室温まで冷却してから、減圧加熱条件(50℃、1mPa)下で30分間保持することにより、シリコーン系封止部材形成液を得た(これを以下適宜「封止部材形成液1」という。また、この封止部材形成液を硬化させたものを適宜「封止部材1」という。)。なお、封止部材形成液の加水分解率は148%である。
なお、封止部材として、以下の封止材形成液(これを以下適宜「封止部材形成液2」という。また、この封止部材形成液を硬化させたものを適宜「封止部材2」という。)を硬化させたものを用いても同様の効果が得られるが、耐熱性の観点より、封止部材2を用いる照明装置はさらに高性能である。
GE東芝シリコーン製両末端シラノールジメチルシリコーンオイルXC96−723を140g、フェニルトリメトキシシランを14g、及び、触媒としてジルコニウムテトラアセチルアセトネート粉末を0.308g用意し、これを攪拌翼とコンデンサとを取り付けた三つ口コルベン中に計量し、室温にて15分触媒が十分溶解するまで攪拌した。この後、反応液を120℃まで昇温し、120℃全還流下で30分間攪拌しつつ初期加水分解を行った。
う。
窒素の吹き込みを停止し反応液をいったん室温まで冷却した後、ナス型フラスコに反応液を移し、ロータリーエバポレーターを用いてオイルバス上120℃、1kPaで20分間微量に残留しているメタノール及び水分、低沸ケイ素成分を留去し、無溶剤の封止部材形成液2を得た。
蛍光体として以下の蛍光体を用いた。
蛍光体1:青色蛍光体 Ba0.7Eu0.3MgAl10O17、主発光ピークのピーク波長457nm、主発光ピークの半値幅57nm、内部量子効率86.3、重量メジアン径11μm。
蛍光体2:緑色蛍光体 Ba1.39Sr0.46Eu0.15SiO4、主発光ピークのピーク波長525nm、主発光ピークの半値幅65nm、内部量子効率70.5、重量メジアン径20μm。
蛍光体3:赤色蛍光体 Sr0.792Eu0.008Ca0.2AlSiN3:Eu、主発光ピークのピーク波長628nm、主発光ピークの半値幅86nm、内部量子効率61.6、重量メジアン径9μm。
銀メッキした銅製のリードフレームの先端にカップを有するマウントリードに半導体発光素子をダイボンディングした。その後、チップの電極部のマウントリード及びインナーリードとをそれぞれ直径30nmの金線でワイヤーボンドし電気的導通を取った。次に、このチップを設けたマウントリードのカップ凹部内に、マイクロピペットを用いて、各色蛍光体と粘度調整のためのチクソ剤(アエロジル(登録商標)925)を前記封止部材形成液に分散させた液体をカップ部の上縁より約150μm盛り上がるように滴下した。次いで、120℃で1時間、続いて150℃で3時間保持してこの封止部材を硬化させて発光部を形成した。さらに、この発光部と透光性のエポキシ樹脂を外径5mmの砲弾型の型枠に流し込み、150℃で5時間保持してエポキシ樹脂を硬化させて、発光装置を作製した。
上述の製造方法において、表2に示すように蛍光体1〜3の組成比、発光部における蛍光体(総量)、チクソ剤および封止部材の割合を調整し、実施例1〜3および比較例1〜3を得た。
10 半導体発光素子
20 発光部
21 蛍光体
22 封止部材
30 可視光透光性樹脂
40 実装基板
100 照明装置
110 回路基板
Claims (4)
- 350nm〜430nmの波長範囲に発光のピークを有する第1の発光スペクトルを持つ光を発する半導体発光素子と、
前記第1の発光スペクトルの光の少なくとも一部を吸収し、前記第1の発光スペクトルと異なる発光スペクトルの光を発する蛍光体及び封止部材とを有する発光部と、
を有する発光装置を1個以上備えてなる照明装置であって、
以下に定義される励起光寄与度ΔEが0.005以下であり、かつ、平均演色評価数Raが70以上であることを特徴とする照明装置。
励起光寄与度:半導体発光素子から放出された光のスペクトルをFex(λ)、発光装置から放射された光のスペクトルをFLED(λ)、このスペクトルFLED(λ)から得られたCIE色度座標値をxLED、yLEDとし、
下記(式IV)で求められる、前記スペクトルFLED(λ)から前記スペクトルFex(λ)を差し引いた差スペクトルFd(λ)から得られたCIE色度座標値をxd、ydとした場合に、下記(式V)で求められる値を励起光寄与度ΔEとする。
Fd(λ)=FLED(λ)−nFex(λ) (式IV)
(但し、nはFLED(λ)のスペクトル中に含まれている半導体発光素子からの光のスペクトル成分のピーク値にFex(λ)のピーク値が等しくなるように規格化するための値である。)
- 蛍光体として、下記の蛍光体1〜3を含有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
蛍光体1:発光スペクトルにおいて、主発光ピーク波長が430nm〜500nm、主発光ピークの半値幅が1nm〜100nmであり、励起波長405nmにおける内部量子効率が60〜100である蛍光体。
蛍光体2:発光スペクトルにおいて、主発光ピーク波長が500nm〜580nm、主発光ピークの半値幅が1nm〜120nmであり、励起波長405nmにおける内部量子効率が50〜100である蛍光体。
蛍光体3:発光スペクトルにおいて、主発光ピーク波長が580nm〜700nm、主発光ピークの半値幅が1nm〜120nmであり、励起波長405nmにおける内部量子効率が40〜100である蛍光体。 - 封止部材が、下記(1)〜(3)を満足するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の照明装置。
(1)固体Si−核磁気共鳴スペクトルにおいて、下記(i)及び/又は(ii)のピークを少なくとも1つ有する。
(i)ピークトップの位置がケミカルシフト−40ppm以上、0ppm以下の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上、3.0ppm以下であるピーク
(ii)ピークトップの位置がケミカルシフト−80ppm以上、−40ppm未満の領域にあり、ピークの半値幅が0.3ppm以上5.0ppm以下であるピーク
(2)ケイ素含有率が20重量%以上である。
(3)シラノール含有率が0.01重量%以上、10重量%以下である。 - 封止部材が、さらに下記(4)を満足するものであることを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
(4)デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)が5以上、90以下である。
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