JP6354119B2 - 表面修飾金属酸化物粒子材料、分散液、シリコーン樹脂組成物、シリコーン樹脂複合体、光半導体発光装置、照明器具及び液晶画像装置 - Google Patents
表面修飾金属酸化物粒子材料、分散液、シリコーン樹脂組成物、シリコーン樹脂複合体、光半導体発光装置、照明器具及び液晶画像装置 Download PDFInfo
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Description
特に、光半導体発光素子の一種である発光ダイオード(LED)の封止材料としては、有機変性シリコーン樹脂、フェニル(又はメチルフェニル)シリコーン樹脂(例えば、特許文献1参照)、ジメチルシリコーン樹脂(例えば、特許文献2参照)等がある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、具体的には、光半導体発光装置用の封止材等に用いられた場合に、高い耐熱性(すなわち、熱負荷時の着色や、熱負荷時の粒子凝集による透過率低下が抑制されていること)を有し、高いガスバリア性を発揮し得る表面修飾金属酸化物粒子材料、該表面修飾金属酸化物粒子材料を含有する分散液、シリコーン樹脂組成物及びシリコーン樹脂複合体、並びに該シリコーン樹脂複合体を封止材に用いた光半導体発光装置、該光半導体発光装置を具備する照明器具及び液晶画像装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は下記の通りである。
[2] 上記[1]に記載の表面修飾金属酸化物粒子材料を含む分散液。
[3] 上記[1]に記載の表面修飾金属酸化物粒子材料と、フェニルシリコーン樹脂形成成分及びメチルフェニルシリコーン樹脂形成成分から選択される1種以上を含有するシリコーン樹脂形成成分と、ヒドロシリル化触媒とを少なくとも含み、該シリコーン樹脂形成成分がアルケニル基及びアルキニル基から選択される1種以上を有するシリコーン樹脂組成物。
[4] 上記[3]に記載のシリコーン樹脂組成物を硬化させてなるシリコーン樹脂複合体。
[5] 半導体発光素子が封止材により封止されてなる光半導体発光装置であって、
前記封止材が[4]に記載のシリコーン樹脂複合体からなり、当該封止材からなる封止層の厚さが50μm以上である光半導体発光装置。
[6] 上記[5]に記載の光半導体発光装置を備えてなる照明器具。
[7] 上記[5]に記載の光半導体発光装置を備えてなる液晶画像装置。
[1.表面修飾金属酸化物粒子材料]
本発明における表面修飾金属酸化物粒子材料は、特定粒子径の金属酸化物粒子に対し、少なくともフェニル基及びハイドロジェン基を有する表面修飾材料によって表面修飾されてなる。なお、本発明における「ハイドロジェン基」とは、有機ケイ素化合物中のケイ素原子に直接結合する水素(Si−H結合におけるH)を意味する。また、ハイドロジェン基を「Si−H基」と表記する場合がある。
(金属酸化物粒子)
金属酸化物粒子の種類は特に限定はないが、封止材等の透明性を保持する観点からナノメートルサイズの粒子径を得ることができる種類が好ましく、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、酸化カルシウム等が挙げられる。中でも、酸化ケイ素はシリコーン樹脂との屈折率差が少なく、粒子径が大きい場合でも透明性を低下させることなく分散させることができることで好ましい。
また、シリコーン樹脂に比べ屈折率が高い金属酸化物粒子を用いることにより、シリコーン樹脂複合体の屈折率を高められ、当該シリコーン樹脂複合体を光半導体発光装置の封止材に用いた場合、光の取り出し効率を向上させることができるので好ましい。この金属酸化物粒子の屈折率は1.5以上であることが好ましく、1.7以上であることがより好ましく、1.9以上であることがさらに好ましい。このような金属酸化物粒子としては、酸化チタンや酸化ジルコニウム(ジルコニア)が好ましく、特にジルコニアが好ましい。
なお、本明細書において、「X〜Y」(X、Yは任意の数字)と表現する場合は、特にことわらない限り「X以上Y以下」を意味する。
平均一次粒子径は、4nm〜8nmであることが好ましく、4nm〜6nmであることがより好ましい。
金属酸化物粒子の表面修飾に用いられる表面修飾材料は、少なくともフェニル基とハイドロジェン基(Si−H結合)とを含有している。当該表面修飾材料は、1つの材料中にフェニル基とハイドロジェン基との両方を含有するものでもよく、フェニル基を含有する修飾材料とハイドロジェン基を含有する修飾材料との両方を併用したものでもよい。
また、シリコーン樹脂複合体や組成物中で表面修飾金属酸化物粒子材料を均一に分散安定化させる目的で、その他の構造を有する修飾材料を併用してもよい。
そして、表面修飾材料とマトリックスシリコーン樹脂との整合性が向上し一体化しているから、ガスバリア性も高い。
このように、耐熱性に優れる表面修飾材料を用いることによって、マトリックスシリコーン樹脂の耐熱性を損なうことなく、ガスの透過性を抑えることができる。なおここで、上記耐熱性に優れるとは、熱負荷試験(150℃、1000時間)後において表面修飾構造や表面修飾材料に変化のないこと(すなわち樹脂組成物中での表面修飾金属酸化物粒子材料が熱負荷により凝集を起こして分散性が変化することや、樹脂組成物や樹脂複合体中での表面修飾材料が熱負荷により着色を起こすことがないこと)を意味する。
これらの中で、耐熱性にも優れるという観点からは、アルコキシ基含有フェニルシリコーン樹脂、アルコキシ基含有メチルフェニルシリコーン樹脂が好ましい。
これらの中で、耐熱性にも優れるという観点からは、トリエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジエトキシメチルシランが好ましい。
上記アルケニル基を有する表面修飾材料としては、例えばビニルトリメトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、アルコキシ片末端ビニル片末端ジメチルシリコーン、アルコキシ片末端ビニル片末端フェニルシリコーン、アルコキシ片末端ビニル片末端メチルフェニルシリコーン等が挙げられる。
ところで、マトリックスシリコーン樹脂形成成分の硬化は、後述のように、付加硬化型が選択されることが好ましい。この付加硬化とは、シリコーン樹脂形成成分中のシロキサンポリマーに配されたアルケニル基ないしはアルキニル基と、同じくシロキサンポリマー中のハイドロジェン基とが、白金族金属系触媒による付加反応(ヒドロシリル化反応)により重合することで硬化するものである。従って、マトリックスシリコーン樹脂形成成分は、少なくともアルケニル基またはアルキニル基を含有するシリコーン樹脂形成成分と、ハイドロジェン基を含有するシリコーン樹脂形成成分とを含有している。
そこで、金属酸化物粒子表面にハイドロジェン基だけでなくアルケニル基やアルキニル基も修飾担持させることにより、金属酸化物粒子表面のハイドロジェン基とマトリックスシリコーン樹脂形成成分中のアルケニル基やアルキニル基が架橋反応できるだけでなく、金属酸化物粒子表面のアルケニル基やアルキニル基とマトリックスシリコーン樹脂形成成分中のハイドロジェン基も架橋反応できるので、金属酸化物粒子とマトリックスシリコーン樹脂との一体化をより図ることができる。
上記表面修飾量は、10〜30質量%であることがより好ましい。
なお、上記表面修飾量は、150℃乾燥後の表面修飾金属酸化物粒子を750℃で熱処理し、熱処理後の質量減少量を表面修飾材料の質量として算出したものである。
本発明の分散液は、前記本発明の表面修飾金属酸化物粒子材料を分散媒に分散させたものである。本発明の分散液によれば、本発明の表面修飾金属酸化物粒子材料を分散媒中に分散してなることとしたので、これとマトリックスシリコーン樹脂形成成分とを組み合わせる際に、表面修飾金属酸化物粒子材料をマトリックスシリコーン樹脂形成成分中に均一かつ良好な分散状態で分散させることができ、よって成形性、加工性に優れ、また透明性に優れたシリコーン樹脂組成物、さらにこれを硬化させたシリコーン樹脂複合体を得ることができる。
分散剤や表面処理剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、オルガノアルコキシシランやオルガノクロロシランなどのシランカップリング剤、ポリエチレンイミン系高分子分散剤、ポリウレタン系高分子分散剤、ポリアリルアミン系高分子分散剤等の高分子分散剤が好適に用いられ、これらの分散剤や表面処理剤は複合微粒子の粒子径や目的とする分散媒の種類により適宜選択すればよく、上記分散剤の1種又は2種以上を混合して用いても良い。水溶性バインダーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシセルロース、ポリアクリル酸等を用いることができる。
分散液中の配合量としては、分散剤等(固形分量)の総量が、粒子材料に対して1〜15質量%の範囲であることが好ましく、2〜10質量%の範囲であることがより好ましい。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、少なくとも前述の本発明の表面修飾金属酸化物粒子材料と、フェニルシリコーン樹脂形成成分及びメチルフェニルシリコーン樹脂形成成分から選択される1種以上を含有するシリコーン樹脂形成成分と、ヒドロシリル化触媒とを含んでなり、該シリコーン樹脂形成成分がアルケニル基及びアルキニル基から選択される1種以上を有する組成物である。
なおここで「樹脂組成物」とは、流動性を有することで特定の形状を有さず、一度変形すると元の形状には戻らない不可逆的な変形性を有するものであって、後述の透明な樹脂複合体の原料となるものである。この樹脂組成物の状態としては、例えば、液状やチクソトロピー性を有するゲル状の状態にあるものを示すことができる。また、「樹脂形成成分」とは、後述の樹脂複合体における樹脂成分を形成するための成分であり、通常は樹脂成分のモノマー、オリゴマーやプレポリマーであって液状のものが含まれる。
シリコーン樹脂形成成分は、フェニルシリコーン樹脂形成性成分及びメチルフェニルシリコーン樹脂形成成分から選択される1種以上を含有する。
フェニルシリコーン樹脂形成成分としては、シロキサンポリマーにフェニル基を配したものが挙げられる。メチルフェニルシリコーン樹脂形成成分としては、シロキサンポリマーにフェニル基とメチル基(アルキル基)を配したものが挙げられる。また、その他にフェニル基を配したシロキサン構造とエポキシ基や他の炭化水素を組み合わせた変性シリコーン樹脂がある。構造としては直鎖状のほかに、二次元構造の鎖状のものや三次元網状構造のレジン、かご型構造などがある。
フェニルシリコーン樹脂形成成分及びメチルフェニルシリコーン樹脂形成成分は単独で用いてもよく、両成分を組み合わせて用いてもよい(以下、フェニルシリコーン樹脂形成成分、メチルフェニルシリコーン樹脂形成成分、及び両成分を組み合わせたものをまとめて「(メチル)フェニルシリコーン樹脂形成成分」ということがある)。また、上記のような各種構造を有するものを組み合わせてもよく、さらに上記のような変性シリコーン樹脂を加えてもよい。
ここで、上記シリコーン樹脂形成成分には、(メチル)フェニルシリコーン樹脂形成成分以外に他のシリコーン樹脂形成成分が含まれていてもよい。すなわち、本発明におけるシリコーン樹脂形成成分がアルケニル基及びアルキニル基から選択される1種以上の基を有するとは、(メチル)フェニルシリコーン樹脂形成成分中にアルケニル基及びアルキニル基から選択される1種以上の基が含まれていてもよいこと、その他のシリコーン樹脂形成成分中にアルケニル基及びアルキニル基から選択される1種以上の基が含まれていてもよいこと(このシリコーン樹脂形成成分を「アルケニル/アルキニル基含有シリコーン樹脂形成成分」ということがある)、さらにはこれらの両者にアルケニル基及びアルキニル基から選択される1種以上の基が含まれていてもよいことを意味する。
なお、アルケニル基やアルキニル基の組み合わせは、前記(メチル)フェニルシリコーン樹脂形成成分中にアルケニル基及びアルキニル基から選択される1種以上の基を有するものと同様に任意であり、特段の限定はない。さらに、例えばアルケニル基を有するフェニルシリコーン樹脂形成成分と、アルキニル基を有するアルケニル基等含有シリコーン樹脂形成成分とを組み合わせてもよい。
付加硬化型とは、シリコーン樹脂形成成分中のシロキサンポリマーに配されたアルケニル基ないしはアルキニル基と、同じくシロキサンポリマー中のハイドロジェン基(Si−H結合)とが、白金族金属系触媒による付加反応(ヒドロシリル化反応)により結合してシロキサンポリマー同士が重合することで硬化するものである。従って、シリコーン樹脂形成成分としては、少なくともアルケニル基またはアルキニル基を含有するシリコーン樹脂形成成分と、ハイドロジェン基を含有するシリコーン樹脂形成成分と、白金族金属系触媒とを含有してなる組成物である。
縮合硬化型とは、シロキサンポリマー末端に配された水酸基又は加水分解性基と、シラン化合物中のケイ素原子に結合した加水分解可能基とが、アミノキシ基、アミノ基、ケトオキシム基等を含有する縮合触媒により脱水等の縮合反応を起こして重合することにより硬化するものである。従って、シリコーン樹脂形成成分としては、少なくとも分子鎖末端が水酸基又は加水分解性基で封鎖されたシリコーン樹脂形成成分と、ケイ素原子に結合した加水分解可能な基を1分子中に3個以上含有するシラン化合物と、アミノキシ基、アミノ基、ケトオキシム基等を含有する縮合触媒とを含有してなる組成物であり、上記水酸基又は加水分解性基と加水分解可能な基とが脱水等の縮合反応を起こし、シロキサンポリマーとシラン化合物とが結合することでシリコーン樹脂形成成分とシラン化合物とが重合して硬化するものである。従って、シリコーン樹脂形成成分としては、少なくとも分子鎖末端が水酸基又は加水分解性基で封鎖されたシリコーン樹脂形成成分と、ケイ素原子に結合した加水分解可能な基を1分子中に3個以上含有するシラン化合物と、アミノキシ基、アミノ基、ケトオキシム基等を含有する縮合触媒とを含有してなる組成物である。なお、前述の通り、本発明においてはこれらのシリコーン樹脂形成成分中にフェニル基やメチル基(アルキル基)が配されている。
一方、本発明においては、シリコーン樹脂形成成分のアルケニル基やアルキニル基と表面修飾材料のハイドロジェン基とを架橋反応(ヒドロシリル化反応)により結合することで一体化させて、表面修飾金属酸化物粒子材料とマトリックスシリコーン樹脂との相分離を防ぎ、表面修飾金属酸化物粒子材料とマトリックスシリコーン樹脂とを近接させてガスの透過性を抑えることを可能としている。ここで、この架橋反応と、前記付加硬化型の付加反応とは、その反応基、反応状態や触媒から理解できるように同一の反応である。従って、マトリックスシリコーン樹脂形成成分として付加硬化型のものを選択すれば、表面修飾金属酸化物粒子材料とマトリックスシリコーン樹脂との架橋による一体化と、マトリックスシリコーン樹脂自体の硬化とを、同時にかつ単一の反応方法で行えるので好ましい。また、付加硬化型であれば重合時に水等の副生成物が発生しないため、副生成物が混在するための影響や副生成物の除去が不要となることも好ましい。
さらに、前述のように、ハイドロジェン基と、アルケニル基やアルキニル基との双方を修飾担持させた金属酸化物粒子を用いれば、金属酸化物粒子表面のハイドロジェン基とマトリックスシリコーン樹脂形成成分中のアルケニル基やアルキニル基との架橋反応だけでなく、金属酸化物粒子表面のアルケニル基やアルキニル基とマトリックスシリコーン樹脂形成成分中のハイドロジェン基も架橋反応できるので、金属酸化物粒子とマトリックスシリコーン樹脂との一体化をより図ることができる。
未硬化の(メチル)フェニルシリコーン樹脂形成成分やアルケニル/アルキニル基含有シリコーン樹脂形成成分の屈折率や粘度は、シロキサンポリマーの構造や鎖長、シロキサンポリマー中のフェニル基やメチル基やその他のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基の量や炭素鎖長等に応じて変化し、これらの特性値は硬化後のシリコーン樹脂にも反映する。従って、未硬化の状態で複数の樹脂を混合・調整することにより、硬化後のマトリックスシリコーン樹脂として必要な屈折率を有し、かつ成形性や作業性のよいシリコーン樹脂組成物を得ることができる。さらに、上記のフェニルシリコーン樹脂とメチルフェニルシリコーン樹脂の組み合わせや、アルケニル基を含有するシリコーン樹脂形成成分とアルキニル基を含有するシリコーン樹脂形成成分の組み合わせのほかに、加える変性シリコーン樹脂の種類や量等を調整することにより、得られるシリコーン樹脂複合体の硬さ、タック性、基材との密着性等の特性を制御することができる。
なお、成形性や作業性の点等からシリコーン樹脂組成物を低粘度化したい場合には、(メチル)フェニルシリコーン樹脂形成成分やアルケニル/アルキニル基含有シリコーン樹脂形成成分と相溶性を有し、かつ表面修飾金属酸化物粒子の分散性を阻害しないような有機溶媒を加えてもよい。このような有機溶媒としては、例えば前記分散液に用いられる分散媒を挙げることができる。
本発明では、シリコーン樹脂形成成分のアルケニル基やアルキニル基と表面修飾材料のハイドロジェン基とを架橋反応(ヒドロシリル化反応)により一体化する。従って、本発明のシリコーン樹脂組成物は、ヒドロシリル化触媒を含有することが必要である。
本発明におけるヒドロシリル化反応用触媒としては、白金系触媒、ロジウム系触媒、パラジウム系触媒が例示され、特にヒドロシリル化反応がスムーズに進行することから、白金系触媒であることが好ましい。この白金系触媒としては、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、白金のオレフィン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体が例示される。
また、マトリックスシリコーン樹脂形成成分として付加硬化型を選択した場合には、マトリックスシリコーン樹脂の硬化もヒドロシリル化反応によるため、触媒量を前記条件に合致するように増加させることが好ましい。すなわち、白金金属の質量が、アルケニル基やアルキニル基を含有するシリコーン樹脂形成成分と、ハイドロジェン基を含有するシリコーン樹脂形成成分と、ハイドロジェン基を含有する表面修飾材料との合計量に対して0.1〜100ppmであることが好ましく、1〜50ppmであればより好ましい。
さらに、前述のように、ハイドロジェン基と、アルケニル基やアルキニル基との双方を修飾担持させた金属酸化物粒子を用いた場合には、金属酸化物粒子表面のアルケニル基やアルキニル基とマトリックスシリコーン樹脂形成成分中のハイドロジェン基も架橋反応するので、同様に触媒量を増加させることが好ましい。すなわち、白金金属の質量が、アルケニル基やアルキニル基を含有するシリコーン樹脂形成成分と、ハイドロジェン基を含有するシリコーン樹脂形成成分と、ハイドロジェン基を含有する表面修飾材料と、アルケニル基やアルキニル基を含有する表面修飾材料との合計量に対して0.1〜100ppmであることが好ましく、1〜50ppmであればより好ましい。
上記いずれかの方法により両者を混合することで、本発明のシリコーン樹脂組成物が得られる。なお、本発明のシリコーン樹脂組成物は、上記混合過程で用いる有機溶剤等を含むものであってもよい。
本発明のシリコーン樹脂複合体は、上記本発明のシリコーン樹脂組成物中のマトリックスシリコーン樹脂形成成分を付加反応や縮合反応等により重合硬化させるとともに、金属酸化物粒子の表面修飾材料とマトリックスシリコーン樹脂形成成分とを架橋反応により結合して表面修飾金属酸化物粒子とマトリックスシリコーン樹脂とを一体化させることにより得られる。
なおここで、「樹脂複合体」とは特定の形状を有するものを意味するが、この「所定の形状を有する」とは、樹脂複合体が液状、ゲル状等の不可逆的な変形性を有しておらず、使用の目的や方法に合わせた一定の形状を維持することができることを示すものである。すなわち、通常のほとんど変形しない固体状の他、ゴム状等の弾性変形性(形状復元性)を有するものを含むものであり、形状自体が特定の形状であることを示すものではない。
この際、使用するシリコーン樹脂組成物の粘度が高く成形性が悪い場合には、予め、有機溶媒等を添加し撹拌・混合して粘度を低下させ、成形や充填に適した粘度となるように調整しておいてもよい。
一方、使用するシリコーン樹脂組成物の粘度が低い場合には、予め、マトリックスシリコーン樹脂形成成分の一部や、マトリックスシリコーン樹脂形成成分と表面修飾材料の一部とを重合や架橋させておくことで粘度を高め、成形や充填に適した粘度となるように調整しておくことができる。また、シリコーン樹脂組成物が有機溶媒を含む場合には、この有機溶媒の一部あるいは全部を揮発させる等で除去することで、粘度を高めることもできる。さらに、上記シリコーン樹脂組成物をマスターバッチとして他の樹脂に混合して用いてもよい。
なお、この成形体または充填物に有機溶媒が残留する場合には、予めこの有機溶媒を揮発除去しておくことが好ましい。
これにより、この成形体または充填物は、金型や容器から外した後、外力を加えても、一定の形状を維持できる状態、すなわちシリコーン樹脂複合体が得られる。
なお、シリコーン樹脂複合体は、用途において問題が無ければ、必ずしも金型や容器から外す必要はない。例えば、後述の光半導体発光装置では、装置自体が容器を形成した形である。
また、光路長0.5mmとした場合の波長450nmにおける透過率は、40%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。透過率がこの範囲であれば、例えばシリコーン樹脂複合体を光学部品として用いた場合に、構成部材として光透過損失の低下を抑制することができる。
なお、上記シリコーン樹脂複合体の屈折率は公知の方法を用いて測定すればよいが、例えば、アルミニウム基板上に形成した複合体(1mm厚)を用い、プリズムカプラーによって室温で波長594nmの値を測定することによって求められる。透過率の測定方法については後述する。
本発明の光半導体発光装置は、半導体発光素子が封止材により封止されてなり、該封止材が本発明のシリコーン樹脂複合体からなり、その封止材からなる封止層の厚さが50μm以上となっている。封止層の厚さが50μm未満だとガスバリア性を高めることができない。封止層の厚さは、100μm以上であることが好ましく、200μm以上であることがより好ましい。
本発明の光半導体発光装置は、上記のように封止層のガスバリア性に優れるため、例えば発光ダイオード(LED)パッケージ内に設けられる銀メッキ反射板の劣化を抑制でき、発光ダイオードパッケージからの放射光の輝度を高く保ちつつその低下を少なくすることができるので、これを備えた照明器具や液晶画像装置として有効に利用することができる。
本発明に係る第1の態様(発光装置10)は、図1に示すように、反射カップ12の凹部12Aに発光素子14が配置され、発光素子14に接して凹部を埋め込むように、本発明のシリコーン樹脂複合体からなる封止材により構成された第1の封止層16が形成されてなる。
かかる装置によれば、発光素子14から出射された光は封止材との境界面を通過した後、封止材内を通り、直接に、あるいは反射カップ12の壁面で反射されて外部に取り出される。
本発明の光半導体発光装置においては、封止材の屈折率を高めることにより、発光層と封止材間、あるいはサファイア基板と封止材間において全反射する発光光量を低減させ、光の取り出し効率を高めることができる。この点からは、封止材の屈折率は1.54より高いことが好ましく、1.56以上であることがより好ましく、1.58以上であればさらに好ましく、1.6以上であれば最も好ましい。また、光路長0.5mmとした場合の波長450nmにおける透過率は40%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
組成の異なる第2封止層18の材料としては、メチルシリコーン、変性シリコーン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂又は樹脂複合体が挙げられる。第2の封止層18の屈折率は、第1の封止層16と第2の封止層18との界面反射をより少なくするとともに、第2の封止層18と外部の界面反射をもより少なくするために、第1の封止層16の屈折率以下かつ1(大気の屈折率)以上であることが好ましい。また、第2の封止層18の屈折率を調整する目的で、第2の封止層中に本発明に係る表面修飾金属酸化物粒子を含有してもよい。
特に、コスト面で蛍光体の使用量を削減する場合や発光素子近傍に蛍光体を集中的に配置して光変換効率を高める場合を考慮すると、第2の態様における第1の封止層に蛍光体を含有させることが好ましい。蛍光体は、第1の封止層の質量に対して5〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることがより好ましい。なお、第2の封止層にも蛍光体を含有させることができる。
このような、発光素子と蛍光体とを組み合わせた光半導体発光装置としては、白色発光ダイオード(例えば、紫外または青色発光ダイオードと蛍光体粒子とを組み合わせて白色光を出射する発光ダイオード)を例示することができる。
(金属酸化物粒子の平均一次粒子径)
金属酸化物粒子の平均一次粒子径は、X線回折ピークの半値幅から計算によって得られるシェラー径とした。これは、一次粒子径がナノメートルサイズであれば、1粒子が複数個の結晶子で構成される可能性が低くなることで、平均一次粒子径とシェラー径とが実質的に同一となるからである。
シリコーン樹脂複合体の透過率は、ガラス基材上に形成した実施例の複合体(0.5mm厚)を用い、分光光度計(積分球)を用いて測定し、波長450nmにおける透過率を求めた。
シリコーン樹脂複合体の耐熱性評価は、ガラス基材上に形成した実施例の複合体(0.5mm厚)を用い、分光光度計(積分球)を用いて透過率を測定することより行った。具体的には、120℃の乾燥器の中にシリコーン樹脂複合体を投入し、1000時間後の450nmにおける透過率と初期の透過率と比較して、初期に対する透過率の低下率が5%未満を「○」、5%以上25%未満を「△」、25%以上を「×」とした。
シリコーン樹脂複合体の硬度評価は、シリコーン樹脂複合体を作製した際にクラックがない場合を「○」、クラックが発生した場合は「×」とした。
シリコーン樹脂複合体のガス透過性は、下記のようにして評価した。
まず、銀メッキ反射板を有するLEDパッケージにシリコーン樹脂組成物を封止し、シリコーン樹脂組成物を150℃で3時間加熱処理して硬化させ、実施例の複合体を得た。該パッケージを500mlの耐圧ガラス容器に0.3gの硫黄粉末とともに密封し、80℃に保持した。そして、銀メッキ反射板の外観の黒色化(硫黄ガスによる銀メッキの腐食(黒化変色))を目視観察し、別途作製した基準板(銀メッキ反射板を直接硫黄ガスで黒色化させたもの)と同程度になるまでの時間で評価した。なお、ガスバリア性が低い複合体ほど、黒色化までの時間は短い。
シリコーン樹脂複合体からなる封止層の厚さは、上記パッケージの断面をSEMで観察して測定した。
(ジルコニア粒子の作製)
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40L(リットル)に溶解させたジルコニウム塩溶液に、28%アンモニア水344gを純水20Lに溶解させた希アンモニア水を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体スラリーを調製した。
次いで、このスラリーに、硫酸ナトリウム300gを5Lの純水に溶解させた硫酸ナトリウム水溶液を攪拌しながら加えた。このときの硫酸ナトリウムの添加量は、ジルコニウム塩溶液中のジルコニウムイオンのジルコニア換算値に対して30質量%であった。
次いで、この固形物を自動乳鉢で粉砕した後、電気炉を用いて、大気中、500℃にて1時間焼成した。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した硫酸ナトリウムを十分に除去した後、乾燥器にて乾燥させ、平均一次粒子径4nmのジルコニア粒子を得た。
次いで、ジルコニア粒子10gに、トルエン82g、メトキシ基含有フェニルシリコーンレジン(信越化学工業社製:KR217)5gを加えて、混合し、ビーズミルで6時間、表面修飾処理を行った後、ビーズを除去した。次いで、ジメチルエトキシシラン(信越化学工業社製:LS490)を3g添加し、130℃にて6時間環流下で表面修飾及び分散処理を行い、フェニル基を有する表面修飾材料及びハイドロジェン基を有する表面修飾材料により表面処理されたジルコニア粒子透明分散液を作製した。
上記ジルコニア粒子透明分散液50gに、フェニルシリコーン樹脂として商品名:OE−6520(東レ・ダウコーニング社製 屈折率1.54 A液/B液配合比=1/1)7.6g(A液3.8g、B液3.8g)を加え、撹拌した後、減圧乾燥によりトルエンを除去し、表面修飾ジルコニア粒子とフェニルシリコーン樹脂と反応触媒とを含有したシリコーン樹脂組成物(ジルコニア粒子含有量:30質量%)を得た。
なお、OE−6520については、NMR分析によりアルケニル基であるC=C二重結合(ビニル基)とSi−H結合(ハイドロジェン基)の存在を確認しており、また、発光分析により白金の存在を確認している。すなわち、OE−6520はヒドロシリル化反応により重合硬化する、付加硬化型のシリコーン樹脂である。したがって、ジルコニア粒子表面修飾材料中のハイドロジェン基とOE−6520中のビニル基とはヒドロシリル化反応により結合することができ、また、OE−6520中に含まれるヒドロシリル化触媒である白金触媒は、当該OE−6520中のシリコーン樹脂形成成分がヒドロシリル化重合硬化するのに十分な量が添加されているから、これに(シリコーン樹脂に対しては少量の)表面修飾材料が加わっても、触媒としての量や効果は十分に有していると判断できる。
上記シリコーン樹脂組成物を150℃で3時間加熱処理して硬化することで、シリコーン樹脂複合体を得た。
このシリコーン樹脂複合体を用いて既述の各種評価を行った。なお、ガスバリア性の評価では、封止層の厚みを500μmとした。
(チタニア粒子の作製)
四塩化チタン242.1gと、塩化スズ(IV)5水和物111.9gとを、5℃の純水1.5L(リットル)に投入し、撹拌して混合溶液を作製した。
次いで、この混合溶液を加温して温度を25℃に調整し、この混合溶液に濃度が10質量%の炭酸アンモニウム水溶液を加えてpHを1.5に調整し、その後、25℃にて24時間熟成した後、限外濾過法により過剰の塩化物イオンを取り除いた。
次いで、エバポレータを用いてこの混合溶液から水分を除去し、その後乾燥させ、酸化チタン粒子を作製した。得られた酸化チタン(チタニア)粒子の平均一次粒子径は4nmであった。
ジルコニア粒子の平均一次粒子径を4nmから5nmに変更し、表面修飾材料として、ジメチルエトキシシランからジエトキシメチルシラン(信越化学工業社製:LS880)に変更し、さらにビニルトリメトキシシラン(信越化学工業社製:KBM−1003)をモル比でハイドロジェン基/ビニル基=4になるように加えて表面修飾及び分散処理を行った以外は、実施例1と同様にして、フェニル基を有する表面修飾材料、ハイドロジェン基を有する表面修飾材料及びビニル基を有する表面修飾材料により表面処理されたジルコニア粒子透明分散液を作製し、次いで、実施例1と同様にして、シリコーン樹脂組成物及びシリコーン樹脂複合体を作製し、各種評価を行った。
表面修飾材料としてのジメチルエトキシシランに、さらにビニルトリメトキシシランをモル比でハイドロジェン基/ビニル基=6になるように加えて表面修飾及び分散処理を行った以外は、実施例1と同様にして、フェニル基を有する表面修飾材料、ハイドロジェン基を有する表面修飾材料及びビニル基を有する表面修飾材料により表面処理されたジルコニア粒子透明分散液を作製し、次いで、実施例1と同様にして、シリコーン樹脂組成物及びシリコーン樹脂複合体を作製し、各種評価を行った。
金属酸化物粒子として、平均一次粒子径6nmのシリカ粒子(スノーテックスXS、日産化学工業社製)を使用した。
このシリカ粒子10gに、トルエン82g、メトキシ基含有フェニルシリコーンレジン5gを加えて、混合し、ビーズミルで6時間、表面修飾処理を行った後、ビーズを除去した。次いでエチルジクロロシラン(信越化学工業社製:LS140)を3g添加し、130℃にて6時間環流下で表面修飾及び分散処理を行った。得られた分散液をアルミナゲルが充填されたカラムに通すことで、塩化物イオンを1質量ppm以下となるまで除去した。なお、塩素量は塩素イオンメータ測定による。その後、表面修飾シリカ粒子を再度トルエンに分散させることによって、フェニル基を有する表面修飾材料及びハイドロジェン基を有する表面修飾材料により表面処理されたシリカ粒子の透明分散液を作製した。
次いで、実施例1と同様にして、シリコーン樹脂組成物及びシリコーン樹脂複合体を作製し、各種評価を行った。
実施例1で用いたシリコーン樹脂(但し、金属酸化物粒子無添加)について、150℃で3時間加熱処理して硬化させ、この硬化体について実施例1と同様な各種評価を行った。
実施例1の金属酸化物粒子の表面修飾において、ジメチルエトキシシランをビニルトリメトキシシランにした以外は、実施例1と同様にして、フェニル基を有する表面修飾材料及びビニル基を有する表面修飾材料により表面処理されたジルコニア粒子分散液を作製し、次いで、実施例1と同様にして、シリコーン樹脂組成物、さらにシリコーン樹脂複合体を作製し、各種評価を行った。
実施例1におけるジルコニア粒子の平均一次粒子径を4nmから20nmに変更した以外は、実施例1と同様にして、フェニル基を有する表面修飾材料及びハイドロジェン基を有する表面修飾材料により表面処理されたジルコニア粒子分散液を作製し、次いで、実施例1と同様にして、シリコーン樹脂組成物、さらにシリコーン樹脂複合体を作製し、各種評価を行った。
実施例3の金属酸化物粒子の表面修飾において、ジエトキシメチルシラン及びビニルトリメトキシシランの配合比をモル比でハイドロジェン基/ビニル基=0.1となるようにした以外は、実施例3と同様にして、フェニル基を有する表面修飾材料、ハイドロジェン基を有する表面修飾材料及びビニル基を有する表面修飾材料により表面処理されたジルコニア粒子分散液を作製し、次いで、実施例1と同様にして、シリコーン樹脂組成物、さらにシリコーン樹脂複合体を作製し、各種評価を行った。
実施例1の金属酸化物粒子の表面修飾において、ジメチルエトキシシランをドデシルトリメトキシシランにした以外は、実施例1と同様にして、フェニル基を有する表面修飾材料及び炭素鎖を有する表面修飾材料により表面処理されたジルコニア粒子分散液を作製し、次いで、実施例1と同様にして、シリコーン樹脂組成物、さらにシリコーン樹脂複合体を作製し、各種評価を行った。
実施例1におけるジルコニア粒子の平均一次粒子径を4nmから2nmにした以外は、実施例1と同様にして、フェニル基を有する表面修飾材料及びハイドロジェン基を有する表面修飾材料により表面処理されたジルコニア粒子分散液を作製し、次いで、実施例1と同様にして、シリコーン樹脂組成物、さらにシリコーン樹脂複合体を作製し、各種評価を行った。
以上の各実施例、比較例におけるシリコーン樹脂複合体の詳細及び評価結果をまとめて第1表、第2表に示す。
特にガスバリア性については、基準とするシリコーン樹脂単体である比較例1に対して明確に向上していることが示されており、これは、表面修飾材料として使用したジメチルエトキシシラン、ジエトキシメチルシラン及びエチルジクロロシランに基づく表面修飾材料中のハイドロジェン基と、マトリックスシリコーン樹脂原料であるOE−6520中のビニル基とが、樹脂組成物の硬化時にヒドロシリル反応により架橋反応して結合し、金属酸化物粒子とマトリックスシリコーン樹脂とが一体化した効果と考えられる。
またこれら実施例の内でも、特に実施例3、4はガスバリア性が高かった。これは表面修飾材料中のハイドロジェン基と、マトリックスシリコーン樹脂原料であるOE−6520中のビニル基とのヒドロシリル反応による架橋反応による結合だけではなく、表面修飾材料として使用したビニルトリメトキシシランに基づく表面修飾材料中のビニル基と、マトリックスシリコーン樹脂原料であるOE−6520中のハイドロジェン基とが架橋反応して結合することにより、金属酸化物粒子とマトリックスシリコーン樹脂とがより強固に一体化した効果と考えられる。
また比較例3については、光の透過率が低下していた。これは、金属酸化物の粒子径が大きいために光の散乱が生じているためと考えられる。
また比較例4については、耐熱性評価試験後に黄変していた。これは、表面修飾材料として、ジエトシキメチルシランとともに多量のビニルトリメトキシシランを用いているため、シリコーン樹脂複合体中に未反応のビニル基が過剰に残存していたためと考えられる。なお、ガスバリア性はシリコーン樹脂単体に比べて向上していたが、これはジエトシキメチルシランに基づく表面修飾材料中のハイドロジェン基と、マトリックスシリコーン樹脂原料であるOE−6520中のビニル基とが、樹脂組成物の硬化時にヒドロシリル反応により架橋重合した効果と、表面修飾材料中のビニル基と、マトリックスシリコーン樹脂原料であるOE−6520中のハイドロジェン基とが、樹脂組成物の硬化時にヒドロシリル反応により架橋反応した効果との併用と考えられる。
また比較例5については、耐熱性評価試験後に黄変していた。これは、表面修飾材料として、ジメチルエトキシシランではなくドデシルトリメトキシシランを用いているため、ドデシルトリメトキシシランの炭素鎖部分が熱変質ためと考えられる。
また比較例6については、ガス透過性が高く十分なガスバリア性が得られなかった。これは、金属酸化物の粒子径が小さくシリコーン樹脂組成物の粘度が高いために作業性が悪く、封止自体を十分に行えなかったためと考えられる。
12:反射カップ
12A:凹部
14:発光素子
16:第1の封止層
18:第2の封止層
Claims (7)
- 平均一次粒子径が3nm以上10nm以下である金属酸化物粒子が、少なくともフェニル基を有する表面修飾材料及びハイドロジェン基を有する表面修飾材料によってそれぞれ表面修飾されており、
前記表面修飾材料の表面修飾量(表面修飾材料/金属酸化物粒子)が5〜40質量%であり、
前記フェニル基を含有する表面修飾材料が、下記式(1)で示される構造の材料、下記式(2)で示される構造の材料、及びフェニル基とアルコキシ基を含有するレジン構造(三次元網状構造)のシリコーン材料から選択される1種以上であり、
前記ハイドロジェン基を含有する表面修飾材料が、トリエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジエトキシメチルシラン、ジメチルクロロシラン、及びエチルジクロロシランから選択される1種以上である、表面修飾金属酸化物粒子材料。
(式(1)中、nは1〜3の整数である。Xはメトキシ基、エトキシ基、水酸基、ハロゲン原子、及びカルボキシ基から選択され、4−nが2以上の場合、全てのXが同一でもよく、又は異なっていてもよい。)
(式(2)中、aは1〜100の整数であり、bは0〜100の整数であり、cは1〜3の整数である。A、B、C、Dはフェニル基または炭素数1〜6のアルキル基から選択される1ないし2種以上であり、少なくともA、Bの内いずれかはフェニル基である。A、B、C、D全てがフェニル基であってもよい。また、Si・A・B・Oにより構成される部位と、Si・C・D・Oにより構成される部位の位置及び配列は任意であり、ランダムポリマー型である。Xはメトキシ基、エトキシ基、水酸基、ハロゲン原子、及びカルボキシ基から選択され、cが2以上の場合、全てのXが同一でもよく、又は異なっていてもよい。) - 請求項1に記載の表面修飾金属酸化物粒子材料を含む分散液。
- 請求項1に記載の表面修飾金属酸化物粒子材料と、フェニルシリコーン樹脂形成成分及びメチルフェニルシリコーン樹脂形成成分から選択される1種以上を含有するシリコーン樹脂形成成分と、ヒドロシリル化触媒とを少なくとも含み、該シリコーン樹脂形成成分がアルケニル基及びアルキニル基から選択される1種以上を有するシリコーン樹脂組成物。
- 請求項3に記載のシリコーン樹脂組成物を硬化させてなるシリコーン樹脂複合体。
- 半導体発光素子が封止材により封止されてなる光半導体発光装置であって、
前記封止材が請求項4に記載のシリコーン樹脂複合体からなり、当該封止材からなる封止層の厚さが50μm以上である光半導体発光装置。 - 請求項5に記載の光半導体発光装置を備えてなる照明器具。
- 請求項5に記載の光半導体発光装置を備えてなる液晶画像装置。
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