JP5104337B2 - ジルコニア含有シリコーン樹脂組成物 - Google Patents
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Description
この樹脂とフィラーとを複合化する方法としては、無機酸化物を水および/または有機溶媒に分散させた分散液と樹脂とを、種々の方法によって混合することにより、樹脂中にフィラーを分散させる方法が挙げられる。
また、LEDでは、半導体素子を保護するために、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの透明な封止樹脂によって半導体素子を封止している。しかしながら、LEDの短波長化や高輝度化の要求が高まるに伴って、LEDから放出されるエネルギーが増加するため、封止樹脂が黄変して、LEDの輝度が低下するという問題があった。
そこで、水添エポキシ樹脂に、酸無水物、硬化促進剤、酸化防止剤などを配合し、その配合割合を最適化することによって、耐熱性を向上した水添エポキシ樹脂が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
これに対して、LEDの封止樹脂として、シリコーン樹脂、特にジメチルシリコーン樹脂を用いた場合、ジメチルシリコーン樹脂は、エポキシ樹脂と比較して耐熱性や耐光性に優れているものの、半導体素子との接着性が十分でない上に、屈折率が低いため、LEDからの光の取り出し効率が低下するという問題があった。
また、その他に、シリコーン樹脂を高屈折率化する方法として、シリコーン樹脂にジルコニアなどの屈折率の高い無機酸化物粒子を相溶させる方法が挙げられる。シリコーン樹脂に無機酸化物粒子を相溶させる技術としては、表面処理剤により無機酸化物粒子の表面に表面処理を施し、その無機酸化物粒子とシリコーン樹脂を混錬することによって、シリコーン樹脂相溶体を得る方法が一般的である。
この無機酸化物粒子表面に残存している未反応の水酸基(表面水酸基)は、無機酸化物粒子と樹脂とを相溶させる場合、粘度を上昇させたり、経時的に粘性が高くなるなどの現象を引き起こす原因となる。そこで、これらの問題を解決する一般的な手法として、アルキルシラザンにより、無機酸化物粒子の表面水酸基をシリル化することが行われている (例えば、特許文献3参照)。
前記ジルコニア粒子の含有率が10質量%以上かつ60質量%以下の場合に、波長350nm以上かつ800nm以下の波長の光の透過率が80%以上であることが好ましい。
前記一次表面修飾剤の含有率は、前記ジルコニア粒子に対して50質量%以上かつ100質量%以下であることが好ましい。
前記二次表面修飾剤の含有率は、前記ジルコニア粒子に対して50質量%以上かつ100質量%以下であることが好ましい。
前記三次表面修飾剤の含有率は、前記ジルコニア粒子に対して150質量%以上かつ300質量%以下であることが好ましい。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本発明のジルコニア含有シリコーン樹脂組成物は、表面修飾剤により表面が修飾され、分散粒径が1nm以上かつ20nm以下のジルコニア粒子と、シリコーン樹脂とを含有してなるジルコニア含有シリコーン樹脂組成物であって、前記表面修飾剤は、一次表面修飾剤と、該一次表面修飾剤により修飾された表面を修飾する二次表面修飾剤と、該二次表面修飾剤により修飾された表面を修飾する三次表面修飾剤とから樹脂組成物である。
ジルコニア粒子として正方晶ジルコニア粒子が好ましい理由は、微粒子合成の立場からは微粒子の粒径が20nm以下のように小さくなると、正方晶の方が従来知られている単斜晶よりも安定になることと、硬度が高く、ジルコニア粒子を樹脂中に分散させた樹脂複合体の機械的特性を向上させることができる上に、この樹脂複合体においては、単斜晶ジルコニア粒子を添加した場合と比べて、マルテンサイト変態と称される体積膨張により高い靭性を示すからである。
このように、ジルコニア粒子は、ナノサイズの粒子であるから、樹脂と複合化した樹脂複合体においても、光散乱が小さく、樹脂の透明性を維持することが可能である。
ジルコニア粒子の含有率が10質量%以上かつ60質量%以下の場合、シリコーン樹脂の屈折率を十分に上昇させることができるとともに、波長350nm以上かつ800nm以下の光の光透過率が80%以上となる。
また、ジルコニア粒子の含有率が10質量%未満では、シリコーン樹脂、特にジメチルシリコーン樹脂の屈折率の上昇が十分ではなく、LEDに用いた場合に、LEDの発光効率を向上することができない上に、機械的特性を向上することができない。一方、ジルコニア粒子の含有率が60質量%を超えると、シリコーン樹脂、特にジメチルシリコーン樹脂自体が脆くなる。
シランカップリング剤、アルキルアルコキシシラン化合物としては、下記の一般式(1)で表される化合物である。
SiRx(OR’)4−x (1)
この一般式(1)において、Rは、ビニル基;アリル基;3−グリシドキシプロピル基;2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチル基;3−アクリロキシプロピル基;3−メタクリロプロピル基;スチリル基;3−アミノプロピル基;N−2(アミノエチル)3−アミノプロピル基;N−フェニル−3−アミノプロピル基;炭素数が1以上、20以下のアルキル基;フェニル基の群から選択された1種または2種以上である。
また、この一般式(1)において、R’は、炭素数が1以上、20以下のアルキル基;フェニル基、メチルカルボキシ基の群から選択された1種または2種以上である。
シリコーンレジンとしては、メチルシリコーンレジン、メチルフェニルシリコーンレジンなどが挙げられる。
陰イオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウムなどの脂肪酸ナトリウム;脂肪酸カリウム、脂肪酸エステルスルフォン酸ナトリウムなどの脂肪酸系界面活性剤;アルキルリン酸エステルナトリウムなどのリン酸系界面活性剤;アルファオレインスルフォン酸ナトリウムなどのオレフィン系界面活性剤;アルキル硫酸ナトリウムなどのアルコール系界面活性剤;アルキルベンゼン系界面活性剤などが用いられる。
両性イオン界面活性剤としては、アルキルアミノカルボン酸塩などのカルボン酸系界面活性剤;フォスフォベタインなどのリン酸エステル系界面活性剤などが用いられる。
非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラノリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの脂肪酸系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;脂肪酸アルカノールアミドなどが用いられる。
一次表面修飾剤の含有率が50質量%未満では、ジルコニア粒子の疎水化が不十分であり、溶媒に対するジルコニア粒子の分散性が十分ではなく、二次表面修飾剤によりジルコニア粒子を均一に表面処理することが困難である。一方、一次表面修飾剤の含有率が100質量%を超えると、シリコーン樹脂の屈折率の低下が大きくなり、LEDに用いた場合に、LEDの発光効率を向上することができない。
シロキサン結合を有する表面修飾剤としては、変性シリコーン、シリコーンレジンなどが挙げられる。
(OR)3−[Si(R’,R”)−O] n −Si(CH3)3 (2)
二次表面修飾剤の含有率が50質量%未満では、溶媒に対するジルコニア粒子の分散性が十分ではなく、一方、二次表面修飾剤の含有率が100質量%を超えると、シリコーン樹脂の屈折率の低下が大きくなり、LEDに用いた場合に、LEDの発光効率を向上することができない。
ケイ素−窒素結合を有する有機ケイ素化合物としては、アルキルシラザンが挙げられる。
三次表面修飾剤の含有率が150質量%未満では、シリコーン樹脂に対するジルコニア粒子の分散性が十分ではなく、一方、三次表面修飾剤の含有率が300質量%を超えると、シリコーン樹脂の屈折率の低下が大きくなり、LEDに用いた場合に、LEDの発光効率を向上することができない。
(a)1分子中のケイ素原子に結合した官能基のうち少なくとも2つがアルケニル基であるオルガノポリシロキサン、(b)1分子中のケイ素原子に結合した官能基のうち少なくとも2つが水素原子であるか、または分子鎖の両端が水素原子で封鎖された直鎖状のオルガノポリシロキサン、(c)ヒドロシリル化反応用触媒。
また、このアルケニル基以外のケイ素原子に結合した官能基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基などのアリール基;ベンジル基、フェネチル基などのアラルキル基などが挙げられ、特に、メチル基が好ましい。
また、(b)成分の含有量は、(a)成分に含まれている合計アルケニル基1モルに対して水素原子が0.1〜10モルの範囲内となる量であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5モルの範囲内となる量であり、さらに好ましくは0.5〜2モルの範囲内となる量である。
この白金系触媒としては、白金微粉末、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金カルボニル錯体などが挙げられ、特に、塩化白金酸が好ましい。
このシリコーン樹脂については、本発明の目的を損なわないかぎり、その他任意の成分として、耐熱剤、染料、顔料、難燃性付与剤などを含有してもよい。
次に、このジルコニア含有シリコーン樹脂組成物の製造方法について説明する。
先ず、オキシ塩化ジルコニウム8水塩などのジルコニウム塩を純水に溶解させたジルコニウム塩溶液に、希アンモニア水を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体スラリーを調製する。
次いで、このスラリーに、硫酸ナトリウムなどの無機塩の水溶液を攪拌しながら加える。このときの無機塩の添加量は、ジルコニウム塩溶液中のジルコニウムイオンのジルコニア換算値に対して20〜40質量%とする。
次いで、この混合物を、乾燥器を用いて、大気中、100〜150℃にて24時間〜36時間、乾燥させ、固形物を得る。
次いで、この固形物を自動乳鉢などにより粉砕した後、電気炉を用いて、大気中、500℃にて1時間〜5時間焼成する。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した無機塩を十分に除去した後、乾燥器にて乾燥させ、ジルコニア粒子を作製する。
次いで、このジルコニア粒子に、分散媒として有機溶媒、一次表面修飾剤を加えて混合し、その後、0.05mmφ〜1mmφのジルコニアビーズを用いたビーズミルなどの湿式混合機により分散処理を行うと同時に、表面修飾剤によるジルコニア粒子の一次表面修飾を行い、ジルコニア分散液を調製する。
次いで、二次表面修飾剤を加えたジルコニア分散液に、三次表面修飾剤を加えて混合し、二次表面修飾剤により表面が修飾されたジルコニア粒子の三次表面修飾を行う。
次いで、三次表面修飾剤を加えたジルコニア分散液に、シリコーン樹脂を加え、真空乾燥により脱溶剤化し、ジルコニア含有シリコーン樹脂組成物を作製する。
本発明のジルコニア含有シリコーン樹脂組成物を硬化することにより、透明複合体が得られる。
この透明複合体は、ジルコニア含有シリコーン樹脂組成物を含有してなり、このジルコニア含有シリコーン樹脂組成物を硬化してなるものである。
また、正方晶ジルコニア粒子は、単斜晶ジルコニア粒子に比べてマルテンサイト変態による靭性値の向上が期待でき、しかも、靭性、硬度が高く、透明複合体の機械的特性向上に適している。
また、正方晶ジルコニア粒子は、ナノサイズの粒子であるから、樹脂と複合化させた場合においても、光散乱が小さく、複合材料の透明性を維持することが可能である。
また、少なくとも光透過領域を、本発明のジルコニア含有シリコーン樹脂組成物を用いて形成してなる透明複合体により封止することにより、LEDなどの発光素子が得られる。
したがって、光の取り出し効率を向上させることができ、発光輝度を向上させることができる。
[ジルコニア透明分散液の調製]
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40L(リットル)に溶解させたジルコニウム塩溶液に、28%アンモニア水344gを純水20Lに溶解させた希アンモニア水を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体スラリーを調製した。
次いで、このスラリーに、硫酸ナトリウム300gを5Lの純水に溶解させた硫酸ナトリウム水溶液を攪拌しながら加えた。このときの硫酸ナトリウムの添加量は、ジルコニウム塩溶液中のジルコニウムイオンのジルコニア換算値に対して30重量%であった。
次いで、この混合物を、乾燥器を用いて、大気中、130℃にて24時間、乾燥させ、固形物を得た。
次いで、この固形物を自動乳鉢などにより粉砕した後、電気炉を用いて、大気中、500℃にて1時間焼成した。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した硫酸ナトリウムを十分に除去した後、乾燥器にて乾燥させ、ジルコニア粒子を作製した。
このジルコニア粒子の結晶系を、X線回折装置を用いて調べたところ、図1に示すX線回折図形(チャート)から、ジルコニア粒子の結晶系が正方晶系であることが確認された。
次いで、この正方晶ジルコニア粒子10gに、分散媒としてトルエンを82.5g、一次表面修飾剤としてイソブチルトリメトキシシランを7.5g加えて混合し、その後、0.1mmφのジルコニアビーズを用いたビーズミルにより分散処理を行い、正方晶ジルコニア分散液を調製した。
この正方晶ジルコニア分散液の正方晶ジルコニア粒子の分散粒径を、動的光散乱式粒径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定したところ、10nmであった。
次いで、この正方晶ジルコニア分散液100gに、二次表面修飾剤としてトリメトキシ変性アルキルポリシロキサン(重合度約30)7.5gを加え、60℃にて6時間、攪拌混合した。
さらに、二次表面修飾剤を加えた正方晶ジルコニア分散液に、窒素パージ中、三次表面修飾剤としてヘキサメチルジシラザン20gを加え、6時間還流した。
次いで、このトリメトキシ変性アルキルポリシロキサンおよびヘキサメチルジシラザンを加えた正方晶ジルコニア分散液100gに、粘度10cStおよび100cStのジメチルシリコーン10gを加え、攪拌混合した後、真空乾燥により脱溶剤化し、ジルコニア含有シリコーン樹脂組成物を作製した。
上記の各成分の配合を表1に示す。
実施例1と同様にして、ジルコニア粒子を調製した。
次いで、このジルコニア粒子10gに、分散媒としてトルエンを82.5g、一次表面修飾剤としてイソブチルトリメトキシシランを7.5g加えて混合し、その後、0.1mmφのジルコニアビーズを用いたビーズミルにより分散処理を行い、正方晶ジルコニア分散液を調製した。
この正方晶ジルコニア分散液の正方晶ジルコニア粒子の分散粒径を、動的光散乱式粒径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定したところ、10nmであった。
次いで、この正方晶ジルコニア分散液100gに、二次表面修飾剤としてトリメトキシ変性アルキルポリシロキサン(重合度約30)7.5gを加え、60℃にて6時間、攪拌混合した。
次いで、このトリメトキシ変性アルキルポリシロキサンを加えた正方晶ジルコニア分散液100gに、粘度10cStのジメチルシリコーン10gを加え、攪拌混合した後、真空乾燥により脱溶剤化し、ジルコニア含有シリコーン樹脂組成物を作製した。
上記の各成分の配合を表1に示す。
実施例1と同様にして、ジルコニア粒子を調製した。
次いで、このジルコニア粒子10gに、分散媒としてトルエンを82.5g、一次表面修飾剤としてイソブチルトリメトキシシランを7.5g加えて混合し、その後、0.1mmφのジルコニアビーズを用いたビーズミルにより分散処理を行い、正方晶ジルコニア分散液を調製した。
この正方晶ジルコニア分散液の正方晶ジルコニア粒子の分散粒径を、動的光散乱式粒径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定したところ、10nmであった。
次いで、この正方晶ジルコニア分散液100gに、二次表面修飾剤としてトリメトキシ変性アルキルポリシロキサン(重合度約30)7.5gを加え、60℃にて6時間、攪拌混合した。
さらに、二次表面修飾剤を加えた正方晶ジルコニア分散液に、窒素パージ中、三次表面修飾剤としてヘキサメチルジシラザン5gを加え、6時間還流した。
次いで、このトリメトキシ変性アルキルポリシロキサンおよびヘキサメチルジシラザンを加えた正方晶ジルコニア分散液100gに、粘度10cStおよび100cStのジメチルシリコーン10gを加え、攪拌混合した後、真空乾燥により脱溶剤化し、ジルコニア含有シリコーン樹脂組成物を作製した。
上記の各成分の配合を表1に示す。
実施例1と同様にして、ジルコニア粒子を調製した。
次いで、このジルコニア粒子10gに、分散媒としてトルエンを82.5g、一次表面修飾剤としてイソブチルトリメトキシシランを7.5g加えて混合し、その後、0.1mmφのジルコニアビーズを用いたビーズミルにより分散処理を行い、正方晶ジルコニア分散液を調製した。
この正方晶ジルコニア分散液の正方晶ジルコニア粒子の分散粒径を、動的光散乱式粒径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定したところ、10nmであった。
次いで、この正方晶ジルコニア分散液100gに、二次表面修飾剤としてデシルトリメトキシシラン7.5gを加え、60℃にて6時間、攪拌混合した。
さらに、二次表面修飾剤を加えた正方晶ジルコニア分散液に、窒素パージ中、三次表面修飾剤としてヘキサメチルジシラザン20gを加え、6時間還流した。
次いで、このデシルトリメトキシシランおよびヘキサメチルジシラザンを加えた正方晶ジルコニア分散液100gに、粘度10cStおよび100cStのジメチルシリコーン10gを加え、攪拌混合した後、真空乾燥により脱溶剤化し、ジルコニア含有シリコーン樹脂組成物を作製した。
上記の各成分の配合を表1に示す。
実施例1と同様にして、ジルコニア粒子を調製した。
次いで、このジルコニア粒子10gに、分散媒としてトルエンを86.0g、一次表面修飾剤としてイソブチルトリメトキシシランを4.0g加えて混合し、その後、0.1mmφのジルコニアビーズを用いたビーズミルにより分散処理を行い、正方晶ジルコニア分散液を調製した。
この正方晶ジルコニア分散液の正方晶ジルコニア粒子の分散粒径を、動的光散乱式粒径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定したところ、10nmであった。
次いで、この正方晶ジルコニア分散液100gに、二次表面修飾剤としてトリメトキシ変性アルキルポリシロキサン(重合度約30)7.5gを加え、60℃にて6時間、攪拌混合した。
さらに、二次表面修飾剤を加えた正方晶ジルコニア分散液に、窒素パージ中、三次表面修飾剤としてヘキサメチルジシラザン20gを加え、6時間還流した。
次いで、このトリメトキシ変性アルキルポリシロキサンおよびヘキサメチルジシラザンを加えた正方晶ジルコニア分散液100gに、粘度10cStおよび100cStのジメチルシリコーン10gを加え、攪拌混合した後、真空乾燥により脱溶剤化し、ジルコニア含有シリコーン樹脂組成物を作製した。
上記の各成分の配合を表1に示す。
実施例1と同様にして、ジルコニア粒子を調製した。
次いで、このジルコニア粒子10gに、分散媒としてトルエンを82.5g、一次表面修飾剤としてイソブチルトリメトキシシランを7.5g加えて混合し、その後、0.1mmφのジルコニアビーズを用いたビーズミルにより分散処理を行い、正方晶ジルコニア分散液を調製した。
この正方晶ジルコニア分散液の正方晶ジルコニア粒子の分散粒径を、動的光散乱式粒径分布測定装置(Malvern社製)を用いて測定したところ、10nmであった。
次いで、この正方晶ジルコニア分散液100gに、二次表面修飾剤としてトリメトキシ変性アルキルポリシロキサン(重合度約30)2.5gを加え、60℃にて6時間、攪拌混合した。
さらに、二次表面修飾剤を加えた正方晶ジルコニア分散液に、窒素パージ中、三次表面修飾剤としてヘキサメチルジシラザン20gを加え、6時間還流した。
次いで、このトリメトキシ変性アルキルポリシロキサンおよびヘキサメチルジシラザンを加えた正方晶ジルコニア分散液100gに、粘度10cStおよび100cStのジメチルシリコーン10gを加え、攪拌混合した後、真空乾燥により脱溶剤化し、ジルコニア含有シリコーン樹脂組成物を作製した。
上記の各成分の配合を表1に示す。
実施例1および比較例1〜5のジルコニア含有シリコーン樹脂組成物について、下記の装置または方法により、粘度を測定した。
VAR−DAR型レオメーター(ジャスコインタナショナル社製)を用いて、ジルコニア含有シリコーン樹脂組成物の粘度を測定した。なお、ジルコニア含有シリコーン樹脂組成物の粘度は、剪断速度=1.0(1/s)における値を測定した。
この測定結果を表2に示す。
実施例1および比較例1〜5のジルコニア含有シリコーン樹脂組成物を用いて形成した透明複合体について、下記の装置または方法により、可視光透過率および屈折率を評価した。
分光光度計(V−570、日本分光社製)を用いて、波長350nm〜800nmの範囲で、空気を100%とした場合において、可視光線の透過率を測定した。
ここでは、可視光線の透過率が80%以上を「○」、80%未満を「×」とした。
この測定結果を表2に示す。
日本工業規格:JIS K 7142「プラスチックの屈折率測定方法」に準拠し、アッベ屈折計により測定した。
ここでは、ジルコニアを添加していないシリコーン樹脂を基準として、屈折率が0.05以上向上した場合を「○」、屈折率が0.05未満しか向上しなかった場合を「×」とした。
この測定結果を表2に示す。
一方、比較例1〜5のジルコニア含有シリコーン樹脂組成物では、可視光透過率および屈折率が実施例1と比べて劣っていた。
また、実施例1のジルコニア含有シリコーン樹脂組成物と、比較例1のジルコニア含有シリコーン樹脂組成物とを比較すると、ヘキサメチルジシラザンによるジルコニア粒子の三次表面修飾を行うことにより、ジルコニア粒子と粘度100cStのジメチルシリコーンとが相溶することが分かった。
実施例1のジルコニア含有シリコーン樹脂組成物と、比較例2のジルコニア含有シリコーン樹脂組成物とを比較すると、ヘキサメチルジシラザンの添加量を50質量%にすると、ジルコニア粒子と粘度100cStのジメチルシリコーンとを混合した場合、白濁することが分かった。
実施例1のジルコニア含有シリコーン樹脂組成物と、比較例3のジルコニア含有シリコーン樹脂組成物とを比較すると、二次表面修飾剤が変性シリコーンでないと、ジルコニア粒子とジメチルシリコーンとが相溶しないことが分かった。
実施例1のジルコニア含有シリコーン樹脂組成物と、比較例4および5のジルコニア含有シリコーン樹脂組成物とを比較すると、一次表面修飾剤の添加量はジルコニア粒子に対して50質量%以上かつ100質量%以下、二次表面修飾剤の添加量はジルコニア粒子に対して50質量%以上かつ100質量%以下でないと、十分な可視光透過率および屈折率が得られないことが分かった。
Claims (5)
- 表面修飾剤により表面が修飾され、分散粒径が1nm以上かつ20nm以下のジルコニア粒子と、シリコーン樹脂とを含有してなるジルコニア含有シリコーン樹脂組成物であって、
前記表面修飾剤は、一次表面修飾剤と、該一次表面修飾剤により修飾された表面を修飾する二次表面修飾剤と、該二次表面修飾剤により修飾された表面を修飾する三次表面修飾剤とからなり、
前記一次表面修飾剤の含有率は、前記ジルコニア粒子に対して50質量%以上かつ100質量%以下であり、
前記二次表面修飾剤は、シロキサン骨格を有する表面処理剤であり、
前記二次表面修飾剤の含有率は、前記ジルコニア粒子に対して50質量%以上かつ100質量%以下であり、
前記三次表面修飾剤の含有率は、前記ジルコニア粒子に対して150質量%以上かつ300質量%以下であり、
前記ジルコニア粒子の含有率が10質量%以上かつ60質量%以下であることを特徴とするジルコニア含有シリコーン樹脂組成物。 - 前記シリコーン樹脂は、ジメチルシリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のジルコニア含有シリコーン樹脂組成物。
- 波長350nm以上かつ800nm以下の波長の光の透過率が80%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のジルコニア含有シリコーン樹脂組成物。
- 前記一次表面修飾剤は、シランカップリング剤と界面活性剤の少なくとも一方、又は、アルキルアルコキシシラン化合物と界面活性剤の少なくとも一方であることであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のジルコニア含有シリコーン樹脂組成物。
- 前記三次表面修飾剤は、アルキルシラザン系表面処理剤であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のジルコニア含有シリコーン樹脂組成物。
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