JP5573059B2 - アルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子透明分散液及び透明複合体 - Google Patents
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チタニアは、可視光線に対して透明な金属酸化物であり、しかも屈折率が大きいので、樹脂中に分散させた場合、得られた複合体は高い屈折率を示す。
ところで、このチタニアは、太陽光線や蛍光灯の発する光に含まれる紫外線により励起されて強酸化性のオゾンを生成し、このオゾンにより有機物を分解させる、いわゆる光触媒としての機能を有する物質であるから、樹脂中に分散させた場合、複合体の耐久性を著しく悪化させてしまうという大きな問題がある。
また、分散粒径が1nm〜20nmの正方晶ジルコニア粒子を用いることで、屈折率および機械的特性を向上させるとともに、透明性を維持することができるジルコニア透明分散液および透明複合体が提案されている(特許文献2)。
特許文献1に記載されている硬化膜は、高々数μm以下の厚みの膜であるから、上述した様々なデバイスで求められている数μm以上の厚みの高屈折率の透明複合体に対しては、対応することが困難であった。
したがって、このアルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子透明分散液を樹脂中に分散させて樹脂組成物とすれば、屈折率が高く、透明性に優れ、しかも耐久性に優れた透明複合体を容易に得ることができる。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本実施形態のアルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子透明分散液は、アルカリ土類金属酸化物をジルコニアに固溶してなる分散粒径が1nm以上かつ20nm以下のアルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子を、分散媒中に分散した透明分散液である。
また、正方晶ジルコニアは、単斜晶ジルコニアと比べてマルテンサイト変態による靱性値の向上が期待でき、しかも、靱性及び硬度が高く、樹脂中に分散させて得られた透明複合体の機械的特性の向上に適している。
アルカリ土類金属酸化物(MO)は、塩基性金属からなる酸化物で、その表面が塩基性を示している。一方、ジルコニア(ZrO2)は、その表面が強酸性で、この表面の水酸基は極めて多く、この表面をカップリング剤等の表面修飾剤で表面処理する場合には、多量の表面修飾剤を必要とする。ところで、この表面修飾剤は、その屈折率がジルコニアと比較して概ね0.7程度も小さいので、この表面修飾剤にて表面処理されたジルコニア粒子は、その屈折率が大きく低下してしまうこととなる。
これにより、ジルコニアナノ粒子の表面の強酸性は低下し、このジルコニアナノ粒子の屈折率も大きく低下する虞がなくなる。
ここで、平均粒子径を1nm以上かつ20nm以下としたのは、このアルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子の平均粒子径を上記の範囲に限定することで、樹脂との複合体を作製した場合に、粒子を高充填することができ、しかも高い透明性を維持することができ、高屈折率の光学機能複合体や耐熱性に優れた有機無機複合体が得られるからである。
平均粒子径が1nm未満では、粒子の充填密度が低下し、高充填することができなくなり、一方、平均粒子径が20nmを超えると、透明性が低下し、機械的特性等も低下する等、特性の低下を招くので好ましくない。
アルカリ土類金属酸化物の含有率が5mol%未満では、ジルコニア微粒子の表面の酸性活性を抑制することができず、一方、30mol%を超えると、ジルコニア微粒子に固溶しない粗大なアルカリ土類金属酸化物微粒子が出現し、ジルコニア微粒子とアルカリ土類金属酸化物微粒子とが混在してしまうので好ましくない。
ここで、アルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子の分散粒径を上記の範囲に限定した理由は、分散粒径が1nm未満では、ナノ粒子の結晶性が乏しくなり、屈折率も低下し、したがって、ナノ粒子の特徴的な特性を発現することが難しくなるからであり、一方、分散粒径が20nmを超えると、透明分散液の状態で、あるいは透明複合体とした場合に、透明性が低下するからである。
このように、アルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子はナノメートル級の粒子であるから、このアルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子を樹脂中に分散させて透明複合体とした場合においても、光散乱が小さく、透明複合体の透明性を維持することが可能である。
アルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子の含有率を上記の範囲に限定した理由は、この範囲がアルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子が良好な分散状態を取り得るからである。ここで、含有率が1質量%未満であると、アルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子としての効果が低下することとなり、また、70質量%を超えると、透明分散液がゲル化したり、あるいは凝集して沈殿物が生じることとなり、分散液としての特徴を消失するので好ましくない。
上記の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、エタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミノアルコール類、流動パラフィン、シリコーンオイル等のオイル類が好適に用いられ、これらの溶媒のうち1種または2種以上を用いることができる。
また、上記の液状の樹脂オリゴマーとしては、ウレタンアクリレート系オリゴマー、エポキシアクリレート系オリゴマー、アクリレート系オリゴマー等が好適に用いられる。
アルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子以外の無機微粒子の例としては、酸化チタン、酸化セリウム、酸化ニオブ、チタン酸バリウム、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化イットリウム、酸化サマリウム、酸化ガドリニウム等の比較的屈折率の高い無機酸化物微粒子;硫化カドミウム等の化合物半導体微粒子;カーボンブラック等の有機顔料からなる微粒子等が挙げられる。
分散剤としては、リン酸エステル系分散剤、ポリカルボン酸系分散剤等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
アルミニウムカップリング剤としては、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
ジルコニウムカップリング剤としては、例えば、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルジルコネート等が挙げられる。
湿式法とは、表面修飾剤とアルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子を溶媒中に投入し混合することにより、このアルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子の表面を修飾する方法である。
乾式法とは、表面修飾剤と乾燥したアルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子をミキサー等の乾式混合機に投入し混合することにより、このアルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子の表面を修飾する方法である。
ここで、修飾部分の質量比を5質量%以上かつ100質量%以下と限定した理由は、修飾部分の質量比が5質量%未満では、アルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子の溶媒や樹脂との相溶が困難となり、樹脂と複合化した場合に透明性が失われる虞があるからであり、一方、修飾部分の質量比が100質量%を超えると、樹脂と複合化した場合に、表面処理剤が樹脂特性ヘ及ぼす影響が大きくなり、屈折率や機械的特性が低下するからである。
本実施形態の透明複合体は、上記のアルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子を、樹脂中に分散してなる透明性を有する複合体である。
樹脂としては、可視光線あるいは近赤外線等の所定の波長帯域の光に対して透明性を有する樹脂であればよく、熱可塑性、熱硬化性、可視光線や紫外線や赤外線等による光(電磁波)硬化性、電子線照射による電子線硬化性等の硬化性樹脂が好適に用いられる。
(a)1分子中のケイ素原子に結合した官能基のうち少なくとも2つがアルケニル基であるオルガノポリシロキサン
(b)1分子中のケイ素原子に結合した官能基のうち少なくとも2つが水素原子であるか、または分子鎖の両端が水素原子で封鎖された直鎖状のオルガノポリシロキサン
(c)ヒドロシリル化反応用触媒
また、このアルケニル基以外のケイ素原子に結合した官能基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等が挙げられ、特に、メチル基が好ましい。
また、(b)成分の含有量は、(a)成分に含まれている合計アルケニル基1モルに対して水素原子が0.1〜10モルの範囲内となる量であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5モルの範囲内となる量であり、さらに好ましくは0.5〜2モルの範囲内となる量である。
この白金系触媒としては、白金微粉末、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金カルボニル錯体等が挙げられ、特に、塩化白金酸が好ましい。
このシリコーン樹脂については、本発明の目的を損なわないかぎり、その他任意の成分として、耐熱剤、染料、顔料、難燃性付与剤等を含有してもよい。
単官能アクリレート及び多官能アクリレートそれぞれの具体例について次に挙げる。
(a)脂肪族単官能(メタ)アクリレートとしては、
ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート
メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート
(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のN−置換アクリルアミド等が挙げられる。
1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1.4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブタンジオールジ(メタ)アクリレート、等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート
ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート等のトリ(メタ)アクリレート
ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート等のテトラ(メタ)アクリレート
ジペンタエリスリトール(モノヒドロキシ)ペンタアクリレート等のペンタ(メタ)アクリレート
等が挙げられる。
(d)芳香族(メタ)アクリレートのうち、単官能型としては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等が、また、多官能型としては、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等のジアクリレート類、ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(f)エポキシ(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ノボラック型エポキシアクリレート等が挙げられる。
ここで、アルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子の含有率を1質量%以上かつ80質量%以下と限定した理由は、下限値の1質量%は、屈折率、弾性率等の機械的特性、耐熱性や熱膨張率等の熱的特性の向上が可能となる添加率の最小値であるからであり、一方、上限値の80質量%は、樹脂自体の特性(柔軟性、形状保持等)を維持することができる添加率の最大値であるからである。
この可視光線透過率は、透明複合体におけるアルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子の含有率により異なり、アルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子の含有率が1質量%では95%以上、アルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子の含有率が40質量%では80%以上である。
(アルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子透明分散液の作製及び評価)
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40L(リットル)に溶解させたジルコニウム塩水溶液に、炭酸水素アンモニウム896gを純水11Lに溶解させた炭酸水素アンモニウム水溶液を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体ゾルを作製した。このジルコニア前駆体ゾルのpHは2.4であった。
次いで、このジルコニア前駆体ゾルに硝酸マグネシウム6水和物734.2gを加えて溶解させ、マグネシウムイオンを含むジルコニア前駆体ゾルを作製した。
次いで、この混合物を乾燥機を用いて、大気中、130℃にて24時間乾燥させ、固形物を得た。
次いで、この固形物を自動乳鉢を用いて粉砕し、次いで、電気炉を用いて、大気中、550℃にて2時間、焼成(加熱)し、焼成物を得た。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した炭酸カリウムを十分に除去した後、乾燥させて、マグネシアドープジルコニアナノ粒子を得た。
(1)分散粒径
動的光散乱式粒径分布測定装置(Malvern社製)を用い、上記の透明分散液(Z1)中のマグネシアドープジルコニアナノ粒子の含有率をトルエンを用いて1質量%に調整したものを測定用試料とした。また、データ解析条件としては、粒子径基準を体積基準とし、分散粒子であるマグネシアドープジルコニアナノ粒子の屈折率を2.15、分散媒であるトルエンの屈折率を1.49とした。
上記の透明分散液(Z1)中のマグネシアドープジルコニアナノ粒子の含有率をトルエンを用いて5質量%に調整した試料を石英セル(10mm×10mm)に入れ、この試料の光路長を10mmとしたときの可視光線透過率を分光光度計(日本分光社製)を用いて測定した。ここでは、透過率が80%以上を「○」、80%未満を「×」とした。
上記の透明分散液(Z1)100gに、エポキシレジン:ビスフェノールA型エポキシレジン j ER806(ジャパンエポキシレジン(株)社製)8gを加え、真空乾燥により脱分散媒し、透明な樹脂組成物を得た。
次いで、この樹脂組成物に硬化剤j ER LV11(ジャパンエポキシレジン(株)社製)2gを加え、混練し、次いで、ガラス板で組み上げた型の中に厚みが1mmになるように注型し、150℃にて30分間加熱して硬化させ、実施例1の透明複合体を得た。
この透明複合体におけるマグネシアドープジルコニアナノ粒子の含有率は50質量%であった。
(1)可視光線透過率
分光光度計(日本分光社製)を用いて可視光線の透過率を測定した。
ここでは、測定用試料を100×100×1mmの大きさのバルク体とし、透過率が80%以上を「○」、80%未満を「×」とした。
日本工業規格:JIS K 7142「プラスチックの屈折率測定方法」に準拠し、アッベ屈折計により測定した。
ここでは、ジルコニア粒子を添加していない樹脂を基準として、屈折率が0.05以上向上した場合を「○」、屈折率が0.05未満しか向上しなかった場合を「×」とした。
(3)耐久性
透明複合体を乾燥機中に120℃にて100時間静置させた後の変色度、すなわち色差(ΔE*)を測色色差計 ZE600(日本電色工業(株)社製)を用いて測定した。これらの評価結果を表1に示す。
また、このマグネシアドープジルコニアナノ粒子透明分散液(Z1)の分散粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)像を図1に示す。
(アルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子透明分散液の作製及び評価)
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40L(リットル)に溶解させたジルコニウム塩水溶液に、炭酸水素アンモニウム896gを純水11Lに溶解させた炭酸水素アンモニウム水溶液を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体ゾルを作製した。このジルコニア前駆体ゾルのpHは2.4であった。
次いで、このジルコニア前駆体ゾルに硝酸マグネシウム6水和物1387gを加えて溶解させ、マグネシウムイオンを含むジルコニア前駆体ゾルを作製した。
次いで、この混合物を乾燥機を用いて、大気中、130℃にて24時間乾燥させ、固形物を得た。
次いで、この固形物を自動乳鉢を用いて粉砕し、次いで、電気炉を用いて、大気中、550℃にて2時間、焼成(加熱)し、焼成物を得た。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した炭酸カリウムを十分に除去した後、乾燥させて、マグネシアドープジルコニアナノ粒子を得た。
さらに、このマグネシアドープジルコニアナノ粒子透明分散液(Z2)を用いて、実施例1に準じて、実施例2の透明複合体を得た。
この透明複合体におけるマグネシアドープジルコニアナノ粒子の含有率は50質量%であった。
この透明複合体の評価を、実施例1に準じて行った。これらの評価結果を表1に示す。
(ジルコニアナノ粒子透明分散液の作製及び評価)
オキシ塩化ジルコニウム8水塩2615gを純水40L(リットル)に溶解させたジルコニウム塩水溶液に、炭酸水素アンモニウム896gを純水11Lに溶解させた炭酸水素アンモニウム水溶液を攪拌しながら加え、ジルコニア前駆体ゾルを作製した。このジルコニア前駆体ゾルのpHは2.4であった。
次いで、この混合物を乾燥機を用いて、大気中、130℃にて24時間乾燥させ、固形物を得た。
次いで、この固形物を自動乳鉢を用いて粉砕し、次いで、電気炉を用いて、大気中、550℃にて2時間、焼成(加熱)し、焼成物を得た。
次いで、この焼成物を純水中に投入し、攪拌してスラリー状とした後、遠心分離器を用いて洗浄を行い、添加した炭酸カリウムを十分に除去した後、乾燥させて、ジルコニアナノ粒子を得た。
さらに、このジルコニアナノ粒子透明分散液(Z3)を用いて、実施例1に準じて、比較例1の透明複合体を得た。
この透明複合体におけるジルコニアナノ粒子の含有率は50質量%であった。
この透明複合体の評価を、実施例1に準じて行った。これらの評価結果を表1に示す。
一方、比較例1では、可視光線透過率及び屈折率は、実施例1、2と遜色がないものの、耐久性は、色差(ΔE*)が8.3と実施例1、2と比べて高く、しかも、目視により明らかに黄変していることが認められ、実施例1、2と比べて劣っていた。
Claims (2)
- アルカリ土類金属酸化物をジルコニアに固溶してなる分散粒径が1nm以上かつ20nm以下のアルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子を、1質量%以上かつ70質量%以下の含有率にて分散媒中に分散してなり、
前記アルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子は、前記アルカリ土類金属酸化物を該アルカリ土類金属酸化物と前記ジルコニアの合計量に対して5mol%以上かつ30mol%以下含有し、かつ、その表面をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤及びジルコニウムカップリング剤の群から選択される1種の表面処理剤により表面処理してなり、
前記分散媒は、有機溶媒、液状の樹脂モノマー、液状の樹脂オリゴマーのうち1種または2種以上を含有しており、
前記アルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子の含有率を5質量%に調整した場合、光路長を10mmとしたときの可視光線透過率は90%以上であることを特徴とするアルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子透明分散液。 - 請求項1記載のアルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子透明分散液を含む樹脂組成物を硬化してなる透明複合体であって、
前記アルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子を、1質量%以上かつ80質量%以下の含有率にて樹脂中に分散してなり、
前記アルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子は、前記アルカリ土類金属酸化物を該アルカリ土類金属酸化物と前記ジルコニアの合計量に対して5mol%以上かつ30mol%以下含有し、かつ、その表面をシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤及びジルコニウムカップリング剤の群から選択される1種の表面処理剤により表面処理してなり、
前記アルカリ土類金属酸化物ドープジルコニアナノ粒子の含有率を25質量%に調整した場合、光路長を1mmとしたときの可視光線透過率は90%以上であることを特徴とする透明複合体。
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