JP2007294432A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリコンを負極活物質として用いた非水電解液二次電池において、充放電サイクル特性に優れ、かつ充電保存特性に優れた非水電解液二次電池を得る。
【解決手段】正極活物質を含む正極と、シリコンを負極活物質として含む負極と、溶質及び溶媒を含む非水電解液とを備える非水電解液二次電池であって、溶媒として、フッ素化鎖状カーボネートとフルオロエチレンカーボネートを用い、溶質としてLiBFを含むことを特徴としている。
【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解液二次電池及びそれに用いる非水電解液に関するものである。
近年、携帯電話、ノートパソコン、PDAなどモバイル機器の小型化・軽量化は著しく進行しており、また多機能化に伴い消費電力も増加している。このため、電源として使用されるリチウム二次電池にも軽量化・高容量化の要望が高まっている。リチウム二次電池用の負極として現在黒鉛等の炭素材料が用いられているが、黒鉛材料では理論容量の限界(372mAh/g)まで使用されており、今後の更なる高容量化の需要に応えられないところまできている。
この要望に対して、近年、炭素系負極に比べて単位質量及び単位体積あたりの充放電容量に優れる材料として、SiやGe、Sn等の合金系負極が提案されている。特にSiは活物質1gあたり約4000mAhの高い理論容量を示すことから負極材料として有望である。
しかしながら、Siを負極活物質として用いた場合、充放電を行うことにより膨張伸縮が起こる。特に充電反応でSiが膨張した際、露出する新生面が活性であるため、電解液と副反応を起こし、充放電サイクルが低下する。この副反応を抑制する方法として、本出願人は電解液中にフルオロエチレンカーボネート(FEC)を添加することが有効であることを見出している。
特許文献1においては、黒鉛などの炭素材料を負極に用いたリチウム二次電池において、フルオロエチレンカーボネートを電解液に含有させることにより充放電サイクル特性を向上させたリチウム二次電池が開示されているが、シリコンを負極活物質として用いたリチウム二次電池における作用効果については何ら開示されていない。
上述のように、電解液の溶媒としてフルオロエチレンカーボネートを用いることにより、充放電サイクル特性を向上させることができるが、充電状態での高温保存時にガスが発生し、厚みや内部抵抗の増加を引き起こすという問題を生じる。従って、充放電サイクル特性の向上と充電保存特性の向上を両立させることが望まれる。
特開2005−71678号公報
本発明の目的は、シリコンを負極活物質として含む非水電解液二次電池において、充放電サイクル特性に優れ、かつ充電保存特性に優れた非水電解液二次電池を提供することにある。
本発明は、正極活物質を含む正極と、シリコンを負極活物質として含む負極と、溶質及び溶媒を含む非水電解液とを備える非水電解液二次電池であって、溶媒として、フッ素化鎖状カーボネートとフルオロエチレンカーボネートを用い、溶質としてLiBFを含むことを特徴としている。
本発明に従い、溶媒として、フッ素化鎖状カーボネートとフルオロエチレンカーボネートを用い、溶質としてLiBFを含むことにより、優れた充放電サイクル特性を維持しながら、充電保存特性を向上させることができる。
フルオロエチレンカーボネートに、フッ素化鎖状カーボネートを混合して用いることにより、サイクル特性改善の効果を長期に持続することができる。また、溶質としてLiBFを添加することにより、正極表面の状態に変化が生じ、特に充電保存時のフルオロエチレンカーボネートの分解量を減少させることができる。このため、フルオロエチレンカーボネートの添加量を増加した場合においても、充電保存時のガス発生量を増加させることなく、より長期のサイクル改善効果を得ることが可能となる。
本発明において、フルオロエチレンカーボネートの非水電解液の溶媒中の含有量は、2〜50体積%であることが好ましい。フルオロエチレンカーボネートの含有量が2体積%未満であると、サイクル改善の効果が不十分となる場合がある。また、フルオロエチレンカーボネートの含有量が50体積%を超えると、ガス発生量が増加し、電池の膨化や内部抵抗の上昇等の電池特性の低下を生じる場合がある。
本発明において、フッ素化鎖状カーボネートの非水電解液の溶媒中の含有量は、50〜98体積%であることが好ましい。フッ素化鎖状カーボネートの含有量が50体積%未満であると、充放電サイクル時における副反応抑制の効果が不十分となる場合があり、サイクル改善の劣化を生じる場合がある。また、フッ素化鎖状カーボネートの含有量が、98体積%を超えると、相対的にフルオロエチレンカーボネートの含有量が不十分となるため、サイクル特性の改善の効果を十分に得ることができない場合がある。
本発明において用いるフッ素化鎖状カーボネートとしては、メチル2,2,2−トリフルオロエチルカーボネート、エチル2,2,2−トリフルオロエチルカーボネートなどが挙げられる。
本発明において、LiBFは、非水電解液中に0.1〜1.0モル/リットル含有されていることが好ましい。LiBFの含有量が0.1モル/リットル未満であると、充電保存時におけるフルオロエチレンカーボネートの分解の抑制効果が不十分となり、充電保存特性が低下する場合がある。また、LiBFの含有量が1.0モル/リットルを超えると、電解液の粘度が上昇し、十分なサイクル特性が得られない場合がある。
本発明において、溶質の総量は2.0モル/リットル以下であることが好ましい。溶質の総量が2.0モル/リットルを超えると、電解液の粘度が上昇するため、十分なサイクル特性を得ることができない場合がある。
本発明においては、溶質として、LiPFをさらに含むことが好ましい。溶質としてLiPFを含むことにより、電解液の伝導度を向上させることができ、より優れたサイクル特性を得ることができる。LiBFとLiPFは、モル比(LiBF:LiPF)で、1:20〜10:1であれば良いが、好ましくは5:95〜70:30、最も好ましくは20:80〜60:40の範囲で混合して用いられることが特に好ましい。
本発明の非水電解液二次電池において、満充電状態における電圧は、4.25〜4.4Vの範囲となるように設計されていることが好ましい。満充電状態の電圧をこのような範囲に設定することにより、充電電圧の上昇に伴うフルオロエチレンカーボネートの分解を抑制することができ、充電保存特性をさらに向上させることができる。
本発明の非水電解液は、正極活物質を含む正極と、シリコンを負極活物質として含む負極と、溶質及び溶媒を含む非水電解液とを備える非水電解液二次電池に用いる非水電解液であって、フッ素化鎖状カーボネートとフルオロエチレンカーボネートを溶媒として用い、LiBFを活物質として含むことを特徴としている。
本発明の非水電解液を用いることにより、シリコンを負極活物質として含む非水電解液二次電池において、良好な充放電サイクル特性と良好な充電保存特性を両立させることができる。
本発明における負極は、シリコンを含む負極活物質を用いた負極であり、このような負極としては、銅箔などの金属箔などからなる負極集電体の上に、CVD法、スパッタリング法、蒸着法、溶射法、またはめっき法などにより、非晶質シリコン薄膜、非結晶シリコン薄膜などのシリコンを含む薄膜を堆積させて形成させたものを好ましく用いることができる。シリコンを含む薄膜としては、シリコンと、コバルト、鉄、ジルコニウムなどとの合金薄膜であってもよい。
上記負極において、薄膜は、その厚み方向に形成された切れ目によって柱状に分離されており該柱状部分の底部が負極集電体と密着していることが好ましい。このような電極構造をとることにより、柱状部分の周囲の空隙で、充放電サイクルに伴う活物質の膨張・収縮の体積変化を受け入れることができ、充放電反応により生じる応力を緩和して、良好な充放電サイクル特性を得ることができる。厚み方向の切れ目は、一般に充放電反応で形成される。
また、本発明の負極は、シリコンを含む活物質粒子から形成されたものであってもよい。このような活物質粒子とバインダーを含むスラリーを集電体上に塗布して、負極を形成することができる。このような活物質粒子としては、ケイ素粒子、ケイ素合金粒子などが挙げられる。
本発明において用いられる正極活物質は、非水電解液二次電池に用いることができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウムなどのリチウム遷移金属酸化物等を挙げることができる。これらの酸化物は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明によれば、シリコン負極活物質として用いた非水電解液二次電池において、良好な充放電サイクル特性及び良好な充電保存特性を両立させることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
(実験1)
〔正極の作製〕
正極活物質としてのコバルト酸リチウムと、導電助剤としてアセチレンブラックと、結着剤としてのフッ素樹脂とを重量比で90:5:5の割合で混合し、これをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解してペーストとした。
このペーストをドクターブレード法により、厚み20μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布した。次に、加熱した乾燥機中で、100〜150℃の温度で真空熱処理して、NMPを除去した後、厚みが0.16mmになるようにロールプレス機により圧延して正極を作製した。
〔負極の作製1〕
厚み18μm、表面粗さRa=0.188μmの電解銅箔上の両面に、Arのイオンビームを圧力0.05Pa、イオン電流密度0.27mA/cmで照射した後、蒸着材料に単結晶シリコンを用い、電子ビーム蒸着法によりシリコン薄膜を形成した。
薄膜を堆積した集電体の断面SEM観察を行い、膜厚を測定したところ、集電体の両側に厚み約7μmの薄膜が堆積されていた。また、薄膜は、ラマン分光法を用いた測定において、波長480cm−1近傍のピークは検出されたが、520cm−1近傍のピークは検出されなかったことから、非晶質薄膜であることが判明した。
〔負極の作製2〕
活物質材料として平均粒径10μmのケイ素粉末(シリコン粉末)80重量部を、バインダーとしてのガラス転移温度190℃の熱可塑性ポリイミド20重量部を含む8重量%のNMP溶液に混合し、負極合剤スラリーとした。
この負極合剤スラリーを、集電体としての、電解銅めっきにより粗面化した表面粗さRa0.7μm、厚み35μmのCu−0.03重量%Zr合金箔の両面に塗布し乾燥した。得られたものを圧延した後、アルゴン雰囲気下で400℃、1時間熱処理し、焼結して負極とした。負極の厚み(集電体を含む)は65μmであった。
〔電解液の作製〕
フルオロエチレンカーボネート(FEC)と、エチレンカーボネート(EC)と、メチル2,2,2−トリフルオロエチルカーボネート(MFEC)と、メチルエチルカーボネート(MEC)と、ジエチルカーボネート(DEC)とを、以下の表1に示す割合(体積比)で混合し、混合溶媒を作製し、これに以下の表1に示す割合でLiPF及び/またはLiBFを溶質として溶解し、電解液1〜7を作製した。
Figure 2007294432
〔リチウム二次電池の作製〕
上記の方法で作製した正極及び負極を所定の大きさに切り出し、集電体である金属箔に集電タブを取付け、ポリオレフィン系微多孔膜からなる厚さ20μmのセパレータをこれらの電極の間に挟んで積層し、これを巻き取り、最外周をテープで止めて、渦巻状電極体とした後、偏平に押しつぶして渦巻状電極体とした。
この渦巻状電極体を、PET(ポリエチレンテレフタート)及びアルミニウムを積層して作製したラミネート材からなる外装体中に挿入し、開口部から集電タブが外部に突き出る状態とした。
次に、上記の外装体の開口部から、上記電解液2mlを注入し、その後、開口部を封止することにより、リチウム二次電池を作製した。作製した電池は、放電容量250mAhであった。
蒸着法により形成したシリコン薄膜を活物質とした負極については、電解質1〜6を用いたものを比較例1〜6とし、電解質7を用いたものを実施例1とした。
シリコン粉末を活物質とした負極については、電解液1〜6を用いたものを比較例7〜12とし、電解液7を用いたものについては実施例2とした。
〔サイクル特性の評価〕
シリコン薄膜を活物質とした実施例1及び比較例1〜6の各電池並びにシリコン粉末を活物質とした実施例2及び比較例7〜12の各電池について、室温における充放電サイクル試験を行った。室温の環境中において、250mAの定電流定電圧充電を上限電圧4.2Vまで行った後、250mAの定電流放電を下限電圧2.75Vまで行い、同一の充放電条件で充放電を100回繰り返し、1サイクル目の放電容量を100とした場合の100サイクル目の容量維持率(%)を求めた。
また、充電電圧を4.3Vに上昇させたサイクル試験を以下のようにして行った。
室温の環境中において、300mAの定電流定電圧充電を上限電圧4.3Vまで行った後、300mAの定電流放電を下限電圧2.75Vまで行い、同一の充放電条件で充放電を100回繰り返し、1サイクル目の放電容量を100とした場合の100サイクル目の容量維持率(%)を求めた。シリコン薄膜を活物質とした実施例1及び比較例6についての測定結果を表2に、シリコン粉末を活物質とした実施例2及び比較例7〜12についての測定結果を表3に、それぞれ示す。
〔充電保存特性の評価〕
上記各電池について、充電保存特性を評価した。250mAの定電流定電圧充電を上限電圧4.2Vまで行った後、60℃の恒温槽中に20日間保存した。その後、電池の厚みを測定し、保存前の電池厚みと保存後の電池厚みの差から、電池厚み増加量を求めた。
また、充電電圧を4.3Vに上昇させたときの充電保存試験も以下のようにして行った。
300mAの定電流定電圧充電を上限電圧4.3Vまで行った後、電池厚みを測定した。この電池を60℃の恒温槽中に20日間保存した後、電池の厚みを測定し、保存前の電池厚みと保存後の電池厚みの差から、電池厚み増加量を求めた。
シリコン薄膜を活物質とした実施例1及び比較例1〜6については表2に、シリコン粉末を活物質とした実施例2及び比較例7〜12については表3に結果を示す。
Figure 2007294432
Figure 2007294432
電解質としてLiPFを単独で用いた比較例1,3及び4並びに比較例7,9及び10を比較した場合、溶媒として通常のカーボネート(EC及びDEC)を用いた場合(比較例1及び7)に比べ、フッ素化鎖状カーボネート(MFEC)を使用すること(比較例3及び9)で電池厚みの増加量は減少した。しかし、電圧を上昇させた場合にはガス発生量が増加し、実使用は困難なレベルとなった。また、FECの添加量を10体積%まで増加させた場合(比較例4及び10)には、充放電サイクル特性は十分に改善されるものの、低い充電電圧でも充電保存時の膨れを十分に抑制することはできなかった。
さらに、電解質としてLiPFとLiBFを混合して用いた比較例2,5及び6並びに比較例8,11及び12では、膨れの少ない比較例2はサイクル改善効果が不十分であり、また、十分なサイクル改善効果を示した比較例5及び6は充電保存時のガス発生が多く、問題を解決することができなかった。
しかし、電解質としてはLiPFとLiBFを混合して用い、かつ溶媒としてフッ素化カーボネートを用いた実施例1及び2では、充電電圧を上昇し、FECの添加量を増加した場合においても、サイクル特性と充電保存特性が両立され、優れた電池特性を示した。
Siを負極活物質として用いる場合、FECは負極表面で還元分解され、フッ素が離脱する。このフッ素が反応することで、Si表面にFを含む層を形成すると共に、その分解生成物が更に反応し、表面に皮膜を形成する。FECを含有する電解液を用いた場合には、上記の反応が支配的に進行するため、Siに特有のサイクルに伴う副反応が抑制され、サイクル特性が大幅に改善する。
一般に、溶媒としてフッ素化鎖状カーボネートを用いた場合、充放電サイクル時の副反応が減少するためサイクル特性は向上する。しかし、特に使用電圧を上昇させた場合には、副反応が増加するため、サイクル特性が低下する。また、フッ素化鎖状カーボネートを用いる場合においても、十分なサイクル特性を得るためにはFEC添加量を増加する必要が生じ、これらのことにより充電保存時のガス発生量が増加することとなり、サイクル特性と充電保存特性は両立困難な関係となる。
また、LiBFに関しても、負極としてSiを用いた場合には電池作製初期に負極表面で分解し、フッ素をSiに供給することとなる。このフッ素が反応することで、Si表面にFを含む層が形成されることとなる。この反応により、Siに特有のサイクルに伴う副反応が抑制され、サイクル特性が大幅に改善する。
更に、電解質としてLiBFを用いることで、正極表面での反応性に変化が生じ、特にFECの分解によるガス発生量が減少する。しかし、サイクル特性を改善するためには更にFECの添加量を増加する必要があり、この場合、LiBF添加によるガス発生抑制効果のみでは十分な特性を得ることができない。
本発明に従い、電解質としてLiBFを用い、かつ溶媒としてフッ素化鎖状カーボネートとフルオロエチレンカーボネートを用いた場合、LiBF添加による正極表面の反応性低下との相乗効果が生じるために、サイクル特性改善に必要な量のFECを添加した場合においても、充電保存時のガス発生を抑制することが可能となり、サイクル特性と充電保存特性の両立が可能となる。
(実験2)
実験1と同様のシリコン粉末を負極活物質とした負極を用い、表4に示す組成の溶質及び溶媒を用いた実施例3〜8の各電池を作製し、実験1と同様にしてサイクル特性及び充電保存特性を評価した。なお、実験1においては充電電圧を4.2Vと4.3Vで行っているが、本実験では4.3Vのみとした。評価結果を表4に示す。
また、比較例13及び14においては、以下のようにして作製した黒鉛負極を用い、図4に示す組成の溶質及び溶媒を用いて、実験1と同様にして電池を作製し、サイクル特性及び充電保存特性を評価した。
〔負極の作製3:黒鉛電極〕
増粘剤であるカルボキシメチルセルロースを水に溶かした水溶液中に、負極活物質として一次粒子の形状が鱗片状である人造黒鉛と、結着剤としてのスチレン−ブタジエンゴムとを、活物質、結着剤及び増粘剤の重量比が97.5:1.0:1.5となるように加えた後混練して、負極合剤スラリーを作製した。
この負極合剤スラリーを、負極の作製2において用いた集電体の上に塗布した後、乾燥し、その後圧延ローラーを用いて負極合剤層密度が0.96g/cmになるまで圧延し、負極とした。
なお、黒鉛負極を用いた場合、充電状態の黒鉛負極は、充電状態のシリコン電極よりも電位が低いため、シリコン負極を用いた場合と同じ充電終止電圧にすると、正極電位が異なる。正極電位が異なると、これによって電池特性が変化するので、シリコン負極における4.3V充電の場合と同じ正極電位となるように、充電終止電圧を4.4Vに設定した。
評価結果を表4に併せて示す。
Figure 2007294432
表4においては、容量維持率が80%以上である場合にサイクル特性が良好であると判断することができ、また電池厚みの増加量が0.5mm以下である場合に充電保存特性が良好であると判断することができる。
実施例3〜5に示すように、溶媒中におけるFECの含有量を2〜50体積%に変化させ、MFECの含有量を98〜50体積%に変化させた場合においても、良好なサイクル特性及び良好な充電保存特性が得られている。
また、実施例6〜8に示すように、LiBFの含有量を0.3〜0.7モル/リットルの範囲で変化させた場合においても、良好なサイクル特性及び良好な充電保存特性が得られている。
比較例13及び14は、上述のように、負極活物質として黒鉛を用いたものであるが、比較例14では、良好なサイクル特性が得られているが、充電保存時の電池厚み増加量が大きく、充電保存特性において悪くなっている。比較例13では、溶媒としてFECとMFECを、溶質としてLiBFを用いているが、充電保存特性は向上するものの、サイクル特性が著しく低下している。従って、本発明の効果は、シリコンを負極活物質とした場合に特有の効果であることがわかる。黒鉛を負極活物質として用いた場合、負極活物質と電解液の界面近傍において、LiBFやMFECが分解されてしまうため、本発明のような効果が得られないものと思われる。

Claims (8)

  1. 正極活物質を含む正極と、シリコンを負極活物質として含む負極と、溶質及び溶媒を含む非水電解液とを備える非水電解液二次電池であって、
    前記溶媒として、フッ素化鎖状カーボネートとフルオロエチレンカーボネートを用い、前記溶質としてLiBFを含むことを特徴とする非水電解液二次電池。
  2. 前記フルオロエチレンカーボネートの非水電解液の溶媒中の含有量が2〜50体積%であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液二次電池。
  3. 前記フッ素化鎖状カーボネートの非水電解液の溶媒中の含有量が50〜98体積%であることを特徴とする請求項1または2に記載の非水電解液二次電池。
  4. 前記フッ素化鎖状カーボネートが、メチル2,2,2−トリフルオロエチルカーボネートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池。
  5. LiBFを前記非水電解液中に0.1〜1.0モル/リットル含有し、前記溶質の総量が2.0モル/リットル以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池。
  6. 前記溶質としてLiPFをさらに含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池。
  7. 満充電状態における電圧が、4.25〜4.4Vの範囲となるように設計されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池。
  8. 正極活物質を含む正極と、シリコンを負極活物質として含む負極と、溶質及び溶媒を含む非水電解液とを備える非水電解液二次電池に用いる非水電解液であって、
    フッ素化鎖状カーボネートとフルオロエチレンカーボネートを溶媒として用い、LiBFを活物質として含むことを特徴とする非水電解液二次電池用非水電解液。
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