JP2007292096A - シフトアクチュエータ - Google Patents

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Abstract

【課題】 ニュートラル状態へのシフト動作時、ポジションセンサによるフィードバック制御を不要としながら中間停止機能を実現し、かつ、安定して速いニュートラル状態へのシフト動作を達成することができるシフトアクチュエータを提供すること。
【解決手段】 アクチュエータピストン54cに連結されている2−4シフトフォーク44をシフト方向に動作させる流体圧式の2−4シフトアクチュエータ54において、アクチュエータピストン54cの両側の流体圧室のそれぞれにピストンA,Bをストローク可能に配置し、両ピストンA,Bに対してアクチュエータピストン54cへ向かうストロークを生じさせる加圧流体を供給すると、両ピストンA,Bのストローク量が規定され、それぞれのピストンA,Bのストローク限界状態でアクチュエータピストン54cをニュートラル位置に停止させる手段とした。
【選択図】 図3

Description

本発明は、シフト時、作動流体を動作媒体とし、アクチュエータピストンに連結されているシフト操作部材をシフト方向に動作させる流体圧式のシフトアクチュエータの技術分野に属する。
従来、シフトフォークをシフト方向に動作させるシフトアクチュエータとしては、アクチュエータボディのアクチュエータ摺動穴にストローク可能に配置されると共にシフトフォークが連結されたアクチュエータピストンと、該アクチュエータピストンの両端面位置に形成された流体圧室と、該流体圧室にそれぞれ接続された給排共用の作動流体回路を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−326016号公報
しかしながら、上記従来のシフトアクチュエータにあっては、シフト時、前記両流体圧室のうち一方の流体圧室に加圧流体を供給することで行う構成であるため、アクチュエータピストンを第1シフト状態と第2シフト状態の両端位置で停止させることはできても、アクチュエータピストンを第1シフト状態と第2シフト状態の中間位置であるニュートラル状態で停止させる中間停止機能を実現するにあたり、以下の課題が存在する。
・ポジションセンサによる複雑なフィードバック制御が必要となる。
・ニュートラル状態へのシフト動作が不安定である。
シフト状態からニュートラルにする場合、オーバーシュートし(ニュートラル位置を飛び越えて)、反対側のギアに入るおそれがある。
・ニュートラル状態へのシフト動作が遅い。
オーバーシュートを回避するため、精度良くコントロールしようとすると、必然的にシフト動作が遅くなる。
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、ニュートラル状態へのシフト動作時、ポジションセンサによるフィードバック制御を不要としながら中間停止機能を実現し、かつ、安定して速いニュートラル状態へのシフト動作を達成することができるシフトアクチュエータを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明では、アクチュエータボディのアクチュエータ摺動穴にストローク可能に配置されると共にシフト操作部材が連結されたアクチュエータピストンと、該アクチュエータピストンの両端面位置に形成された流体圧室と、を備え、
シフト時、前記両流体圧室のうち一方の流体圧室に加圧流体を供給することで、アクチュエータピストンに連結されているシフト操作部材をシフト方向に動作させる流体圧式のシフトアクチュエータにおいて、
前記両流体圧室のそれぞれにピストン摺動穴を形成し、該ピストン摺動穴のそれぞれにピストンをストローク可能に配置し、
前記両ピストンと前記ピストン摺動穴との間に、前記両ピストンに対してアクチュエータピストンへ向かうストロークを生じさせる加圧流体供給時、両ピストンのストローク量を、それぞれのピストンのストローク限界状態でアクチュエータピストンをニュートラル位置に停止させるストローク量に規定するストローク規定構造を設けたことを特徴とする。
よって、本発明のシフトアクチュエータにあっては、両流体圧室のそれぞれに配置した両ピストンに対してアクチュエータピストンへ向かうストロークを生じさせる加圧流体を供給すると、ストローク規定構造により両ピストンのストローク量が規定され、それぞれのピストンのストローク限界状態でアクチュエータピストンがニュートラル位置に停止する。
すなわち、両ピストンに対してアクチュエータピストンへ向かうストロークを生じさせる加圧流体を供給するだけで、機械的な位置制御により、アクチュエータピストンをニュートラル位置に停止させる中間停止機能が実現される。
そして、中間停止機能をフィードバック制御ではなく機械的な位置制御により実現するため、シフト状態からニュートラルにする場合、オーバーシュートをすることなく、ニュートラル状態へのシフト動作が安定する。
さらに、フィードバック制御とは異なり、オーバーシュートの回避を考える必要が無いため、ニュートラル状態へのシフト動作が速くなる。
この結果、ニュートラル状態へのシフト動作時、ポジションセンサによるフィードバック制御を不要としながら中間停止機能を実現し、かつ、安定して速いニュートラル状態へのシフト動作を達成することができる。
以下、本発明のシフトアクチュエータを実施するための最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は実施例1のシフトアクチュエータを適用したツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッションを示すスケルトン図である。
[変速機入力部および軸の構成]
以下、実施例1のシフトアクチュエータを適用したツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッションにおける変速機入力部および軸の構成について説明する。
ツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッションは、図1に示すように、変速機入力部に、複数の変速段のうち奇数変速段グループの選択時に締結される第1クラッチCAと、複数の変速段のうち偶数変速段グループの選択時に締結される第2クラッチCBと、を備えている。そして、トランスミッションケース1と、駆動入力軸2と、トーショナルダンパ3と、オイルポンプ4と、第1変速機入力軸5と、第2変速機入力軸6と、を備えている。
前記第1クラッチCAは、奇数変速段(第1速、第3速、第5速、後退)用であり、第2クラッチCBは、偶数変速段(第2速、第4速、第6速)用である。
両クラッチCA,CBのドライブ側は、トーショナルダンパ3を介し、エンジン等の動力源からの回転駆動力を入力する駆動入力軸2に連結される。
第1クラッチCAのドリブン側は、奇数変速段の選択による締結時、エンジン等の動力源からの回転駆動力を第1変速機入力軸5に入力する。
第2クラッチCBのドリブン側は、偶数変速段の選択による締結時、エンジン等の動力源からの回転駆動力を第2変速機入力軸6に入力する。
前記オイルポンプ4は、エンジンEにより常時作動し、このオイルポンプ4からの吐出油を油圧源とし、両クラッチCA,CBの締結・開放制御と、シフトアクチュエータによる変速段選択制御と、を実行し、余剰の油を潤滑油として必要部位に対する潤滑を行う。
前記第2変速機入力軸6は中空軸とし、前記第1変速機入力軸5は中実軸とし、第1変速機入力軸5に対し、フロント側ニードルベアリング7及びリヤ側ニードルベアリング8を介し、同心状態で第2変速機入力軸6を回転自在に支持する。
前記第2変速機入力軸6は、トランスミッションケース1の前壁1aに対しボールベアリング9により回転自在に支持する。前記第1変速機入力軸5は、第2変速機入力軸6の後端から突出させ、突出した第1変速機入力軸5の後端部5aを、トランスミッションケース1の中間壁1bを貫通すると共に、中間壁1bに対しボールベアリング10により回転自在に支持する。
前記第1変速機入力軸5の後端部5aは、同軸上に変速機出力軸11を設け、この変速機出力軸11を、テーパーローラベアリング12およびアキシャルベアリング13によりトランスミッションケース1の後端壁1cに回転自在に支持すると共に、ニードルベアリング14を介して第1変速機入力軸5の後端部5aに回転自在に支持する。
前記第1変速機入力軸5、第2変速機入力軸6、および変速機出力軸11に対し、平行配置によりカウンターシャフト15を設け、これをローラベアリング16,17,18を介し、トランスミッションケース1の前端壁1a、中間壁1b、および後端壁1cに回転自在に支持する。
[変速機構の構成]
次に、実施例1のシフトアクチュエータを適用したツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッションにおける変速機構の構成について説明する。
ツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッションは、図1に示すように、変速機構として、同期噛合機構を有し、歯数比の異なる複数のギヤ対により前進6速・後退1速を達成する常時噛み合い式のギヤトレーンを備えている。
前記カウンターシャフト15の後端には、パークギヤ69及びカウンターギヤ19を一体に設け、前記変速機出力軸11には、出力歯車20を設け、カウンターギヤ19と出力歯車20を互いに噛合させてカウンターシャフト15を変速機出力軸11に駆動結合する。なお、カウンターギヤ19と出力歯車20により、第5速歯車組G5を構成する。
前記第1変速機入力軸5の後端部5aとカウンターシャフト15との間には、奇数変速段グループ(第1速、第3速、後退)の歯車組、つまり、フロント側から順に、第1速歯車組G1、後退歯車組GR、および第3速歯車組G3を配置する。
前記第1速歯車組G1は、第1変速機入力軸5の後端部5aに設けた第1速入力歯車21と、カウンターシャフト15上に設けた第1速出力歯車22と、を互いに噛み合わせて構成する。
前記後退歯車組GRは、第1変速機入力軸5の後端部5aに設けた後退入力歯車23と、カウンターシャフト15上に設けた後退出力歯車24と、両歯車23,24に噛み合うリバースアイドラギヤ25と、により構成する。なお、リバースアイドラギヤ25は、トランスミッションケース1の中間壁1bから突設したリバースアイドラシャフト25aに対し回転可能に支持されている。
前記第3速歯車組G3は、第1変速機入力軸5の後端部5aに設けた第3速入力歯車26と、カウンターシャフト15上に設けた第3速出力歯車27と、を互いに噛み合わせて構成する。
前記第1速歯車組G1と後退歯車組GRとの間のカウンターシャフト15上には、1−R同期噛合機構28を設ける。そして、1−R同期噛合機構28のカップリングスリーブ28aを、図示の中立位置から左方向にストロークさせ、クラッチギヤ28bにスプライン嵌合させることで、第1速出力歯車22をカウンターシャフト15に駆動結合し、第1速を選択可能とする。また、1−R同期噛合機構28のカップリングスリーブ28aを、図示の中立位置から右方向にストロークさせ、クラッチギヤ28cにスプライン嵌合させることで、後退出力歯車24をカウンターシャフト15に駆動結合し、後退速を選択可能とする。
前記第3速歯車組G3と出力歯車20との間の第1変速機入力軸5の後端部5a上には、3−5同期噛合機構29を設ける。そして、3−5同期噛合機構29のカップリングスリーブ29aを、図示の中立位置から左方向にストロークさせ、クラッチギヤ29bにスプライン嵌合させることで、第3速入力歯車26を第1変速機入力軸5に駆動結合し、第3速を選択可能とする。また、3−5同期噛合機構29のカップリングスリーブ29aを、図示の中立位置から右方向にストロークさせ、クラッチギヤ29cにスプライン嵌合させることで、第1変速機入力軸5と出力歯車20とを直結し、第5速を選択可能とする。
前記第2変速機入力軸6とカウンターシャフト15との間には、偶数変速段グループ(第2速、第4速、第6速)の歯車組、つまり、フロント側から順に、第6速歯車組G6、第2速歯車組G2、および第4速歯車組G4を配置する。
前記第6速歯車組G6は、第2変速機入力軸6に設けた第6速入力歯車30と、カウンターシャフト15上に設けた第6速出力歯車31と、を互いに噛み合わせて構成する。
前記第2速歯車組G2は、第2変速機入力軸6に設けた第2速入力歯車32と、カウンターシャフト15上に設けた第2速出力歯車33と、を互いに噛み合わせて構成する。
前記第4速歯車組G4は、第2変速機入力軸6に設けた第4速入力歯車34と、カウンターシャフト15上に設けた第4速出力歯車35と、を互いに噛み合わせて構成する。
前記第6速歯車組G6の側部のカウンターシャフト15上には、6−N同期噛合機構37を設ける。そして、6−N同期噛合機構37のカップリングスリーブ37aを、図示の中立位置から左方向にストロークさせ、クラッチギヤ37bにスプライン嵌合させることで、第6速出力歯車31をカウンターシャフト15に駆動結合し、第6速を選択可能とする。
前記第2速歯車組G2と第4速歯車組G4との間のカウンターシャフト15上には、2−4同期噛合機構38を設ける。そして、2−4同期噛合機構38のカップリングスリーブ38aを、図示の中立位置から左方向にストロークさせ、クラッチギヤ38bにスプライン嵌合させることで、第2速出力歯車33をカウンターシャフト15に駆動結合し、第2速を選択可能とする。また、2−4同期噛合機構38のカップリングスリーブ38aを、図示の中立位置から右方向にストロークさせ、クラッチギヤ38cにスプライン嵌合させることで、第4速出力歯車35をカウンターシャフト15に駆動結合し、第4速を選択可能とする。
[変速油圧制御系および電子制御系の構成]
図2は実施例1のシフトアクチュエータを適用したツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッションにおける変速油圧制御系および電子制御系を示す制御系統図である。
ツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッションは、変速油圧制御系および電子制御系として、図2に示すように、3−5シフトフォーク41と、1−Rシフトフォーク42と、6−Nシフトフォーク43と、2−4シフトフォーク44と、第1コントロールバルブユニット45と、第2コントロールバルブユニット46と、自動MTコントローラ47と、を備えている。
前記3−5シフトフォーク41は、前記3−5同期噛合機構29のカップリングスリーブ29aに係合し、第1シフトロッド48に固定されている。この第1シフトロッド48は、トランスミッションケース1の前端壁1aと中間壁1bに対し軸方向に移動可能に支持される。そして、第1シフトロッド48に3−5シフトブラケット49を固定し、この3−5シフトブラケット49の端部は、3−5シフトアクチュエータ50のスプール連結軸部に遊装支持される。つまり、前記3−5シフトフォーク41は、3−5シフトアクチュエータ50のスプール動作にしたがって、図示の中立位置から左方向(第3速選択時)または右方向(第5速選択時)にストロークする。
前記1−Rシフトフォーク42は、1−R同期噛合機構28のカップリングスリーブ28aに係合し、第2シフトロッド51に軸方向にストローク可能に設けられる。この第2シフトロッド51は、トランスミッションケース1の前端壁1aと中間壁1bに対し軸方向の固定状態で設けられる。そして、1−Rシフトフォーク42のブラケット円筒部42aに一体形成されたブラケット腕部42bの端部は、1−Rシフトアクチュエータ52のスプール連結軸部に遊装支持される。つまり、前記1−Rシフトフォーク42は、1−Rシフトアクチュエータ52のスプール動作にしたがって、図示の中立位置から左方向(第1速選択時)または右方向(後退速選択時)にストロークする。
前記6−Nシフトフォーク43は、6−N同期噛合機構37のカップリングスリーブ37aに係合し、トランスミッションケース1に対し軸方向固定の第2シフトロッド51に軸方向にストローク可能に設けられる。そして、6−Nシフトフォーク43のブラケット円筒部43aに一体形成されたブラケット腕部43bの端部は、6−Nシフトアクチュエータ53のスプール連結軸部に遊装支持される。つまり、前記6−Nシフトフォーク43は、6−Nシフトアクチュエータ53のスプール動作にしたがって、図示の中立位置から左方向(第6速選択時)にストロークする。
前記2−4シフトフォーク44は、2−4同期噛合機構38のカップリングスリーブ38aに係合し、トランスミッションケース1に対し軸方向固定の第2シフトロッド51に軸方向にストローク可能に設けられる。そして、2−4シフトフォーク44のブラケット円筒部44aに一体形成されたブラケット腕部44bの端部は、2−4シフトアクチュエータ54のスプール連結軸部に遊装支持される。つまり、前記2−4シフトフォーク44は、2−4シフトアクチュエータ54のスプール動作にしたがって、図示の中立位置から左方向(第2速選択時)または右方向(第4速選択時)にストロークする。
前記第1コントロールバルブユニット45は、図2に示すように、第1バルブボディ81に、オイルポンプ4からの吐出油に基づいてライン圧PLを調圧するライン圧ソレノイドバルブ70と、前記シフトアクチュエータ50,51,52,53へのアクチュエータ作動圧を作り出すアクチュエータ油圧コントロールバルブ59からの偶数変速段圧Peに基づいて第1クラッチCAへのクラッチ制御圧を作り出す第1クラッチ圧ソレノイドバルブ71と、奇数変速段圧Poに基づいて第2クラッチCBへのクラッチ制御圧を作り出す第2クラッチ圧ソレノイドバルブ72と、を有して構成される。
そして、前記オイルポンプ4とライン圧ソレノイドバルブ70とは、ポンプ圧油路73により連結されている。
前記ライン圧ソレノイドバルブ70とアクチュエータ油圧コントロールバルブ59とは、ライン圧油路74により連結されている。
前記第1クラッチ圧ソレノイドバルブ71とアクチュエータ油圧コントロールバルブ59とは、偶数変速段圧油路75により連結されている。
前記第2クラッチ圧ソレノイドバルブ72とアクチュエータ油圧コントロールバルブ59とは、奇数変速段圧油路76により連結されている。
前記第1クラッチ圧ソレノイドバルブ71と第1クラッチCAのクラッチ油室とは、第1クラッチ圧油路77により連結されている。なお、第1クラッチ圧油路77には、図外の第1クラッチ圧センサが設けられている。
前記第2クラッチ圧ソレノイドバルブ72と第2クラッチCBのクラッチ油室とは、第2クラッチ圧油路78により連結されている。なお、第2クラッチ圧油路78には、図外の第2クラッチ圧センサが設けられている。
前記第2コントロールバルブユニット46は、図2に示すように、第2バルブボディ82に、3−5シフトアクチュエータ50と、1−Rシフトアクチュエータ52と、6−Nシフトアクチュエータ53と、2−4シフトアクチュエータ54と、3−5シフト位置センサ55と、1−Rシフト位置センサ56と、6−Nシフト位置センサ57と、2−4シフト位置センサ58と、アクチュエータ油圧コントロールバルブ59(シフト制御用コントロールバルブ)と、を一体に有するユニットである。
前記アクチュエータ油圧コントロールバルブ59は、第1コントロールバルブユニット45にて調圧されたライン圧PLに基づき、偶数変速段圧Peと奇数変速段圧Poを作り出し、さらに、選択された変速段に応じて各シフトアクチュエータ50,52,53,54への各変速圧油路にアクチュエータ作動圧を供給する。
前記自動MTコントローラ47は、車速センサ60、アクセル開度センサ61、レンジ位置センサ62、他のセンサ・スイッチ63から情報を入力し、前記第1コントロールバルブユニット45の各バルブソレノイドに対しクラッチ締結制御指令(ライン圧制御指令も含む。)を出力すると共に、前記アクチュエータ油圧コントロールバルブ59の各バルブソレノイドに対し変速段選択の制御指令を出力する。
[コントロールバルブユニットの配置構成]
次に、第1コントロールバルブユニット45と、第2コントロールバルブユニット46と、の配置構成について説明する。
まず、実施例1では、図1および図2に示すように、トランスミッションケース1に、変速時に油圧作動する変速要素への制御油圧を作り出す油圧コントロールバルブを備えたツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッションにおいて、前記油圧コントロールバルブのうち、変速機入力部に設けられた両クラッチCA,CBを制御するクラッチ制御用コントロールバルブ70,71,72を選別し、前記選別したクラッチ制御用コントロールバルブ70,71,72を、前記クラッチCA,CBの近接位置に配置している。
前記クラッチ制御用コントロールバルブ70,71,72は、図1に示すように、前記変速機入力部に設けられた両クラッチCA,CBの側部であって、該両クラッチCA,CBとは同じ高さ以上の位置に配置している。
前記油圧コントロールバルブのバルブボディを、前記クラッチ制御用コントロールバルブ70,71,72を収める第1バルブボディ81と、変速機構の変速比を制御するアクチュエータ油圧コントロールバルブ59を収める第2バルブボディ82と、に分割し、前記クラッチ制御用コントロールバルブ70,71,72と第1バルブボディ81により第1コントロールバルブユニット45を構成し、前記アクチュエータ油圧コントロールバルブ59と第2バルブボディ82により第2コントロールバルブユニット46を構成し、前記トランスミッションケース1の異なる位置に、前記第1コントロールバルブユニット45と前記第2コントロールバルブユニット46とを配置している。
具体的なバルブユニット配置は、図1に示すように、前記トランスミッションケース1を、変速機入力部に設けられたオイルポンプ4と両クラッチCA,CBを収めるクラッチケース部1dと、ギヤトレーンを収める第1変速機構ケース部1eおよび第2変速機構ケース部1fと、に分割し、前記第1コントロールバルブユニット45を、前記クラッチケース部1dの側部位置に配置し、前記第2コントロールバルブユニット46を、前記両変速機構ケース部1e,1fの底部位置に配置している。
[シフトアクチュエータの構成]
次に、実施例1のシフトアクチュエータの構成について図3及び図4に基づき説明する。
図3は実施例1の2−4シフトアクチュエータ54を備えた2−4シフト操作系の構成を示す概略図、図4は実施例1の2−4シフトアクチュエータ54の作動流体回路に設けられたシフトソレノイド及びソレノイド作動表を示す図である。
ここでは、2−4シフトアクチュエータ54を例にとって説明するが、他の3−5シフトアクチュエータ50、1−Rシフトアクチュエータ52、6−Nシフトアクチュエータ53も同様の構成を備えている。
実施例1の2−4シフトアクチュエータ54は、図3に示すように、アクチュエータボディ54a,54aのアクチュエータ摺動穴54b,54bにストローク可能に配置されると共に2−4シフトフォーク44(シフト操作部材)が連結されたアクチュエータピストン54cと、該アクチュエータピストン54cの両端面位置に形成された流体圧室と、を備え、シフト時、前記両流体圧室のうち一方の流体圧室に加圧流体を供給することで、アクチュエータピストン54cに連結されている2−4シフトフォーク44をシフト方向に動作させる流体圧式のシフトアクチュエータである。
前記両流体圧室のそれぞれにピストン摺動穴54d,54dを形成し、該ピストン摺動穴54d,54dのそれぞれにピストン54e,54eをストローク可能に配置し、前記両ピストン54e,54eと前記ピストン摺動穴54d,54dとの間に、前記両ピストン54e,54eに対してアクチュエータピストン54cへ向かうストロークを生じさせる加圧流体供給時、両ピストン54e,54eのストローク量を、それぞれのピストン54e,54eのストローク限界状態でアクチュエータピストン54cをニュートラル位置に停止させるストローク量に規定するストローク規定構造を設けている。
前記ピストン54e,54eを、ピストン小径部とピストン大径部と段差面を有する段差付きピストンとし、前記ピストン摺動穴54d,54dを、ピストン小径摺動穴54d1,54d1とピストン大径摺動穴54d2,54d2とピストンストッパ面54d3,54d3を有する段付きピストン摺動穴とし、前記ピストン小径部の端面側に内側流体圧室54f,54fを形成し、前記ピストン大径部の端面側に外側流体圧室54g,54gを形成している。
前記ストローク規定構造は、前記段差付きピストン54e,54eの段差面と前記段付きピストン摺動穴54d,54dのピストンストッパ面54d3,54d3により構成し、前記両ピストンストッパ面間長さLは、アクチュエータピストン54cの長さLaと、両ピストン54e,54eによる2つのピストン小径部長さLp,Lpと、の合計長さ(La+Lp+Lp)と等しく設定している。
前記両ピストン54e,54eのうち、一方のピストン54e(以下、「ピストンA」という。)の内側流体圧室54fと外側流体圧室54gに加圧流体を供給可能な第1流体圧路54hと、他方のピストン54e(以下、「ピストンB」という。)の内側流体圧室54fと外側流体圧室54gに加圧流体を供給可能な第2流体圧路54iと、を設け、前記アクチュエータピストン54cを端部までストロークさせるシフト動作時には、第1流体圧路54hまたは第2流体圧路54iの一方のみに加圧流体を供給し、前記アクチュエータピストン54cをニュートラル位置とするシフト動作時には、第1流体圧路54hおよび第2流体圧路54iの両方に加圧流体を供給するシフト動作制御手段を設けている。
なお、シフト動作制御手段としては、図4(a)に示すように、第1流体圧路54h(油路A)の途中位置に第1ソレノイドバルブ54jを設け、第2流体圧路54i(油路B)の途中位置に第2ソレノイドバルブ54kを設けている。
そして、図4(b)に示すように、第2速出力歯車33をカウンターシャフト15に駆動結合する2速を選択時、第1ソレノイドバルブ54jをONとし、第2ソレノイドバルブ54kをOFFとし、第4速出力歯車35をカウンターシャフト15に駆動結合する4速を選択時、第1ソレノイドバルブ54jをOFFとし、第2ソレノイドバルブ54kをONとし、ニュートラル状態へのシフト動作に、第1ソレノイドバルブ54jと第2ソレノイドバルブ54kとを共にONとするシフト動作制御を行う。
前記アクチュエータピストン54cを一端部までストロークさせる2速シフト動作時に2速シフト状態で保持し、前記アクチュエータピストン54cを他端部までストロークさせる4速シフト動作時に4速シフト状態で保持し、前記アクチュエータピストン54cをニュートラル位置にて停止させるシフト動作時にニュートラル状態で保持するディテント機構90を2−4シフトフォーク44の下端部位置に設けている。
前記シフト動作制御手段は、シフト動作後、前記ディテント機構90により2速シフト状態、または、4速シフト状態、または、ニュートラル状態で保持されると、第1流体圧路54hと第2流体圧路54iの少なくとも一方に供給されている加圧流体を抜く制御を行う。
次に、作用を説明する。
マニュアルトランスミッション(手動変速機)は、構造が簡単で効率が良いという利点があるが、運転者が全て変速操作しなければならない。そこで、この手動変速機の利点を残して、変速操作を自動化する機構を追加したものが、自動マニュアルトランスミッションと呼ばれるものである。
この自動マニュアルトランスミッションの課題は、変速時、一旦クラッチを切って変速させるため、自動変速時にトルクが途切れることによる違和感が残ることである。この問題を解消するには、トルクのとぎれを無くすことが必要となる。通常の手動変速機は、クラッチが1組であるが、それにクラッチをもう1組追加し、2組のクラッチを繋ぎ替えてトルクの途切れを無くしたものがツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッションである。
このツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッションでは、隣り合う変速段への変速時、まず、アクチュエータ油圧コントロールバルブ59において、クラッチ掛け替え制御に先行し、開放されているクラッチの変速段グループの中から次の変速段を選択し、選択された変速段を得る方向にシフトフォークを動作させるシフトアクチュエータへの変速油圧を作り出し、次いで、クラッチ制御用コントロールバルブ70,71,72において、第1クラッチCAと第2クラッチCBの掛け替え制御油圧を作り出し、トルクのとぎれを無くした変速を行う。以下、実施例1のシフトアクチュエータが適用されたツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッションでの変速作用を説明する。
[変速作用]
中立位置(Nレンジ)や駐車位置(Pレンジ)の選択時には、クラッチCA,CBの双方を開放しておき、かつ、シフトアクチュエータ50,52,53,54は、全て図2に示す中立位置にしておく。つまり、同期噛合機構28,29,37,38のカップリングスリーブ28a,29a,37a,38aを全て中立位置に維持し、ツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッションが動力伝達を行わないようにする。
動力伝達を希望するDレンジやRレンジやマニュアルモード(=ドライバ操作による手動変速モード)の選択時には、基本的に、以下の手順にしたがって変速が行われる。
第1速時には、1−Rシフトアクチュエータ52を図3の左方向に動作させる制御を行うことで、同期噛合機構28のカップリングスリーブ28aを図2の左方向に移動させて歯車22をカウンターシャフト15に駆動結合し、その後、第1クラッチCAを締結する。
これにより、第1クラッチCAからの駆動入力が、第1変速機入力軸5→第1速歯車組G1→カウンターシャフト15→出力歯車組19,20を介して変速機出力軸11により軸方向に出力され、第1速の動力伝達が行われる。
第1速から第2速へのアップシフトに際しては、2−4シフトアクチュエータ54を図3の左方向に動作させる制御を行うことで、同期噛合機構38のカップリングスリーブ38aを図2の左方向に移動させて歯車33をカウンターシャフト15に駆動結合し、その後、第1クラッチCAを開放すると共に第2クラッチCBを締結すること(クラッチの掛け替え)により第1速から第2速へのアップシフトを行う。
これにより、第2クラッチCBからの駆動入力が、第2変速機入力軸6→第2速歯車組G2→カウンターシャフト15→出力歯車組19,20を介して変速機出力軸11により軸方向に出力され、第2速の動力伝達が行われる。
第2速から第3速へのアップシフトに際しては、3−5シフトアクチュエータ50を図3の左方向に動作させる制御を行うことで、同期噛合機構29のカップリングスリーブ29aを図2の左方向に移動させて歯車26を第1変速機入力軸5に駆動結合し、その後、第2クラッチCBを開放すると共に第1クラッチCAを締結すること(クラッチの掛け替え)により第1速から第2速へのアップシフトを行う。
これにより、第1クラッチCAからの駆動入力が、第1変速機入力軸5→第3速歯車組G3→カウンターシャフト15→出力歯車組19,20を介して変速機出力軸11により軸方向に出力され、第3速の動力伝達が行われる。
第3速から第4速へのアップシフトに際しては、2−4シフトアクチュエータ54を図3の右方向に動作させる制御を行うことで、同期噛合機構38のカップリングスリーブ38aを図2の右方向に移動させて歯車35をカウンターシャフト15に駆動結合し、その後、第1クラッチCAを開放すると共に第2クラッチCBを締結すること(クラッチの掛け替え)により第3速から第4速へのアップシフトを行う。
これにより、第2クラッチCBからの駆動入力が、第2変速機入力軸6→第4速歯車組G4→カウンターシャフト15→出力歯車組19,20を介して変速機出力軸11により軸方向に出力され、第4速の動力伝達が行われる。
第4速から第5速へのアップシフトに際しては、3−5シフトアクチュエータ50を図3の右方向に動作させる制御を行うことで、同期噛合機構29のカップリングスリーブ29aを図2の右方向に移動させて第1変速機入力軸5を変速機出力軸11に直結し、その後、第2クラッチCBを開放すると共に第1クラッチCAを締結すること(クラッチの掛け替え)により第4速から第5速へのアップシフトを行う。
これにより、第1クラッチCAからの駆動入力が、第1変速機入力軸5→第3速歯車組G3→カウンターシャフト15→出力歯車組19,20を介して変速機出力軸11により軸方向に出力され、第5速(変速比1)の動力伝達が行われる。
第5速から第6速へのアップシフトに際しては、6−Nシフトアクチュエータ53を図3の左方向に動作させる制御を行うことで、同期噛合機構37のカップリングスリーブ37aを図2の左方向に移動させて歯車31をカウンターシャフト15に駆動結合し、その後、第1クラッチCAを開放すると共に第2クラッチCBを締結すること(クラッチの掛け替え)により第5速から第6速へのアップシフトを行う。
これにより、第2クラッチCBからの駆動入力が、第2変速機入力軸6→第6速歯車組G6→カウンターシャフト15→出力歯車組19,20を介して変速機出力軸11により軸方向に出力され、第6速の動力伝達が行われる。なお、第6速から順次第1速へとダウンシフトさせるに際しても、上記アップシフトとは逆の制御を行う。
Rレンジ選択時には、1−Rシフトアクチュエータ52を図3の右方向に動作させる制御を行うことで、同期噛合機構28のカップリングスリーブ28aを図2の右方向に移動させて歯車24をカウンターシャフト15に駆動結合し、その後、第1クラッチCAを締結する。
これにより、第1クラッチCAからの駆動入力が、第1変速機入力軸5→後退速歯車組GR→カウンターシャフト15→出力歯車組19,20を介して変速機出力軸11により軸方向に出力され、後退速の動力伝達が行われる。
[従来のシフトアクチュエータによるシフト動作]
従来、シフトフォークをシフト方向に動作させるシフトアクチュエータとしては、図5に示すように、アクチュエータボディのアクチュエータ摺動穴にストローク可能に配置されると共にシフトフォークが連結されたアクチュエータピストンと、該アクチュエータピストンの両端面位置に形成された油圧室A,油圧室Bと、該油圧室A,油圧室Bにそれぞれ接続された油路A,油路Bを備えたものが知られている。
この従来のシフトアクチュエータでは、図6に示すように、ギア1を入れるシフト動作時には、ソレノイドバルブAをONとし、ソレノイドバルブBをOFFとし、ギア2を入れるシフト動作時には、ソレノイドバルブAをOFFとし、ソレノイドバルブBをONとし、ニュートラル状態へのシフト動作時には、ポジションセンサからの位置信号を用いたフィードバック制御によりソレノイドバルブA,Bに対しON,OFFの制御指令を出力している。
一方、シフト動作には、図7に示すように、(1)ギア1シフト、(2)ギア2シフト、(3)ニュートラルの3状態があり、ニュートラル状態を実現するため、シフトアクチュエータは中間停止機能を要する。
各々の状態にするための制御方法は、以下の通りである。
(1)ギア1シフト
・油路Aに油を供給し、油圧室Aの油圧を立てる。
・アクチュエータピストンは、油圧室Aの油圧により発生した推力をシフトフォーク及びシンクロカップリングに伝える。
・シフト動作完了後、油路Aを開放し、油圧室Aの油圧を抜く。シフト状態は、ディテント機構により保持される。
(2)ギア2シフト
・油路Bに油を供給し、油圧室Bの油圧を立てる。
・アクチュエータピストンは、油圧室Bの油圧により発生した推力をシフトフォーク及びシンクロカップリングに伝える。
・シフト動作完了後、油路Bを開放し、油圧室Bの油圧を抜く。シフト状態は、ディテント機構により保持される。
(3)ニュートラル
・油路A(又はB)に油を供給し、油圧室A(又はB)の油圧を立てる。
・アクチュエータピストンは、油圧室A(又はB)の油圧により発生した推力をシフトフォーク及びシンクロカップリングに伝える。このとき、油圧室A(又はB)の油圧は、ポジションセンサによる位置検出信号のフィードバックによりコントロールされる。
・ニュートラル位置停止後、油路A(又はB)を開放し、油圧室A(又はB)の油圧を抜く。ニュートラル状態は、ディテント機構により保持される。
しかしながら、中間停止機能を実現するにあたり、以下の課題が存在する。
・ポジションセンサによる複雑なフィードバック制御が必要となる。
・ニュートラル状態へのシフト動作が不安定である。
シフト状態からニュートラルにする場合、オーバーシュートし(ニュートラル位置を飛び越えて)、反対側のギアに入るおそれがある。
・ニュートラル状態へのシフト動作が遅い。
オーバーシュートを回避するため、精度良くコントロールしようとすると、必然的にシフト動作が遅くなる。
[実施例1のシフトアクチュエータによるシフト動作]
これに対し、実施例1のシフトアクチュエータでは、ニュートラル状態へのシフト動作時、ポジションセンサによるフィードバック制御を不要としながら中間停止機能を実現し、かつ、安定して速いニュートラル状態へのシフト動作を達成することができるようにした。
すなわち、複雑なフィードバック制御を不要とするシフト動作制御により中間停止機能を実現できれば、シフト動作の安定性や応答性を向上させることができる点に着目し、アクチュエータピストン54cの両側の流体圧室のそれぞれにピストンA,Bをストローク可能に配置し、両ピストンA,Bに対してアクチュエータピストン54cへ向かうストロークを生じさせる加圧流体を供給すると、両ピストンA,Bのストローク量が規定され、それぞれのピストンA,Bのストローク限界状態でアクチュエータピストン54cをニュートラル位置に停止させる構成を採用した。
したがって、両ピストンA,Bに対してアクチュエータピストン54cへ向かうストロークを生じさせる加圧流体を供給するだけで、機械的な位置制御により、アクチュエータピストン54cをニュートラル位置に停止させる中間停止機能が実現される。
そして、中間停止機能をフィードバック制御ではなく機械的な位置制御により実現するため、シフト状態からニュートラルにする場合、オーバーシュートをすることなく、ニュートラル状態へのシフト動作が安定する。
さらに、フィードバック制御とは異なり、オーバーシュートの回避を考える必要が無いため、ニュートラル状態へのシフト動作が速くなる。
この結果、ニュートラル状態へのシフト動作時、ポジションセンサによるフィードバック制御を不要としながら中間停止機能を実現し、かつ、安定して速いニュートラル状態へのシフト動作を達成することができる。
[2−4シフトアクチュエータによるシフト動作]
シフトアクチュエータによるシフト動作の一例として、2−4シフトアクチュエータ54によるニュートラル状態から2速へのシフト動作(図8)と2速からニュートラル状態へのシフト動作(図9)について説明する。
まず、ニュートラル状態が選択されている時には、図8(a)に示すように、ピストンAの内側流体圧室54f及び外側流体圧室54gと、ピストンBの内側流体圧室54f及び外側流体圧室54gと、の全ての流体圧室から加圧流体が抜かれている。ニュートラル状態は、ディテント機構90により保持されている。
ニュートラル状態から2速へのシフト時には、図8(b)に示すように、第1流体圧路54hからピストンAの内側流体圧室54f及び外側流体圧室54gに加圧流体を供給する。これにより、ピストンAは、内側流体圧室54fと外側流体圧室54gにより大径と小径の面積差分の推力が発生し、ストッパ面54d3に押し付けられる。
アクチュエータピストン54cは、図8(c)に示すように、内側流体圧室54fの流体圧により発生した推力を、2−4シフトフォーク44及び2−4同期噛合機構38のカップリングスリーブ38aに伝える。
2速へのシフト動作が完了した後、第1流体圧路54hを大気開放し、図9(a)に示すように、ピストンAの内側流体圧室54f及び外側流体圧室54gの加圧流体を抜く。この2速のシフト状態は、ディテント機構90により保持される。
2速シフト状態からニュートラル状態にシフト動作させるときは、図9(b)に示すように、ピストンAの内側流体圧室54f及び外側流体圧室54gと、ピストンBの内側流体圧室54f及び外側流体圧室54gと、の全ての流体圧室に加圧流体を供給する。
ピストンAは、内側流体圧室54f及び外側流体圧室54gへの加圧流体の供給により、大径と小径の面積差分の推力が発生し、図9の左方向へストロークしてストッパ面54d3に押し付けられる。
アクチュエータピストン54cは、両内側流体圧室54f,54fから流体圧が両端に作用するが、油圧レベルも受圧面積も等しいため、推力を発生しない。
ピストンBは、内側流体圧室54f及び外側流体圧室54gへの加圧流体の供給により、大径と小径の面積差分の推力が発生し、この推力をアクチュエータピストン54cに伝える。
アクチュエータピストン54cは、ピストンBから受けた推力により、図9の右方向にストロークし、2−4シフトフォーク44及び2−4同期噛合機構38のカップリングスリーブ38aに伝える。
そして、ピストンBが図9の右方向にストロークしてストッパ面54d3に押し付けられると、図9(c)に示すように、アクチュエータピストン54cが両側のピストンAとピストンBとで挟持された状態となり、2−4シフトフォーク44が設けられたアクチュエータピストン54cは、ストッパ面54d3,54d3により規定されたニュートラル位置で停止する。
そして、ニュートラル状態で停止した後は、図8(a)に示すように、ピストンAの内側流体圧室54f及び外側流体圧室54gと、ピストンBの内側流体圧室54f及び外側流体圧室54gと、の全ての流体圧室から加圧流体が抜かれ、ニュートラル状態は、ディテント機構90により保持される。
なお、ニュートラル状態から4速へシフト動作させる場合は、2速へシフト動作させる場合のピストンAの内側流体圧室54f及び外側流体圧室54gへの加圧流体の供給に代え、ピストンBの内側流体圧室54f及び外側流体圧室54gへ加圧流体を供給することにより達成できる。
上記のように、実施例1の2−4シフトアクチュエータ54では、ニュートラル状態へシフトさせる時、ピストンAの内側流体圧室54f及び外側流体圧室54gと、ピストンBの内側流体圧室54f及び外側流体圧室54gと、の全ての流体圧室に加圧流体を供給するだけで、2−4シフトフォーク44が設けられたアクチュエータピストン54cは、ストッパ面54d3,54d3により規定されたニュートラル位置で停止するため、コストダウン及び変速時間短縮に対する効果を期待することができる。
次に、効果を説明する。
実施例1のシフトアクチュエータにあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
(1) アクチュエータボディ54a,54aのアクチュエータ摺動穴54b,54bにストローク可能に配置されると共に2−4シフトフォーク44が連結されたアクチュエータピストン54cと、該アクチュエータピストン54cの両端面位置に形成された流体圧室と、を備え、シフト時、前記両流体圧室のうち一方の流体圧室に加圧流体を供給することで、アクチュエータピストン54cに連結されている2−4シフトフォーク44をシフト方向に動作させる流体圧式のシフトアクチュエータにおいて、前記両流体圧室のそれぞれにピストン摺動穴54d,54dを形成し、該ピストン摺動穴54d,54dのそれぞれにピストンA,Bをストローク可能に配置し、前記両ピストンA,Bと前記ピストン摺動穴54d,54dとの間に、前記両ピストンA,Bに対してアクチュエータピストン54cへ向かうストロークを生じさせる加圧流体供給時、両ピストンA,Bのストローク量を、それぞれのピストンA,Bのストローク限界状態でアクチュエータピストン54cをニュートラル位置に停止させるストローク量に規定するストローク規定構造を設けたため、ニュートラル状態へのシフト動作時、ポジションセンサによるフィードバック制御を不要としながら中間停止機能を実現し、かつ、安定して速いニュートラル状態へのシフト動作を達成することができる。
(2) 前記ピストンA,Bを、ピストン小径部とピストン大径部と段差面を有する段差付きピストンとし、前記ピストン摺動穴54d,54dを、ピストン小径摺動穴54d1,54d1とピストン大径摺動穴54d2,54d2とピストンストッパ面54d3,54d3を有する段付きピストン摺動穴とし、前記ピストン小径部の端面側に内側流体圧室54f,54fを形成し、前記ピストン大径部の端面側に外側流体圧室54g,54gを形成し、前記ストローク規定構造は、前記段差付きピストンA,Bの段差面と前記段付きピストン摺動穴54d,54dのピストンストッパ面54d3,54d3により構成し、前記両ピストンストッパ面間長さLは、アクチュエータピストン54cの長さLaと、両ピストンA,Bによる2つのピストン小径部長さLp,Lpと、の合計長さ(La+Lp+Lp)と等しく設定したため、2つの変速位置へのシフト動作時、段差付きピストンAまたはBがアクチュエータピストン54cから離れる方向のストロークが無く、また、ニュートラル位置へのシフト動作時、確実に段差付きピストンA,Bのストローク量を規定することで、変速応答性の高い2つの変速位置へのシフト動作と、確実なニュートラル位置へのシフト動作と、の両立を達成することができる。
(3) 前記両ピストンA,Bのうち、一方のピストンAの内側流体圧室54fと外側流体圧室54gに加圧流体を供給可能な第1流体圧路54hと、他方のピストンBの内側流体圧室54fと外側流体圧室54gに加圧流体を供給可能な第2流体圧路54iと、を設け、前記アクチュエータピストン54cを端部までストロークさせるシフト動作時には、第1流体圧路54hまたは第2流体圧路54iの一方のみに加圧流体を供給し、前記アクチュエータピストン54cをニュートラル位置とするシフト動作時には、第1流体圧路54hおよび第2流体圧路54iの両方に加圧流体を供給するシフト動作制御手段を設けたため、2つの流体圧路54h,54iを介する加圧流体のON/OFF組み合わせという簡単な制御により、中間停止機能によるニュートラル状態を含めた3つのシフト状態の動作制御を行うことができる。
(4) 前記アクチュエータピストン54cを一端部までストロークさせる2速シフト動作時に2速シフト状態で保持し、前記アクチュエータピストン54cを他端部までストロークさせる4速シフト動作時に4速シフト状態で保持し、前記アクチュエータピストン54cをニュートラル位置にて停止させるシフト動作時にニュートラル状態で保持するディテント機構90を設け、前記シフト動作制御手段は、シフト動作後、前記ディテント機構90により2速シフト状態、または、4速シフト状態、または、ニュートラル状態で保持されると、第1流体圧路54hと第2流体圧路54iの少なくとも一方に供給されている加圧流体を抜くため、シフト動作時にのみ加圧流体を供給するシフト動作制御となり、無駄な加圧流体の供給維持を無くし、燃費性能を向上することができる。
(5) 前記2−4シフトフォーク44を有する変速機は、複数の変速段のうち奇数変速段グループの選択時に締結される第1クラッチCAと、複数の変速段のうち偶数変速段グループの選択時に締結される第2クラッチCBと、同期噛合機構を有し、歯数比の異なる複数のギヤ対により複数の変速段を達成する常時噛み合い式のギヤトレーンと、を備え、隣り合う変速段への変速時、前記第1クラッチCAと前記第2クラッチCBの掛け替え制御に先行し、開放されているクラッチの変速段グループの中から次の変速段を選択し、アクチュエータ油圧コントロールバルブ59により作り出された変速油圧により選択された変速段を得る方向にシフトフォークを動作させるツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッションであるため、自動や手動による変速モードでのシフト動作時、高い変速レスポンスによりシフト動作を完了することができる。
以上、本発明のシフトアクチュエータを実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、中間停止機能を実現するピストンとして、段差付きピストンを適用した例を示したが、例えば、ピストン摺動穴とピストンとの間にストッパ構造を持つ同径ピストンを用い、内側流体室と外側流体室とにそれぞれ独立に加圧流体を制御する流体圧路を接続するような例としても良い。
要するに、アクチュエータピストンの両端面位置に形成された両流体圧室のそれぞれにピストンをストローク可能に配置し、両ピストンとピストン摺動穴との間に、両ピストンに対してアクチュエータピストンへ向かうストロークを生じさせる加圧流体供給時、両ピストンのストローク量を、それぞれのピストンのストローク限界状態でアクチュエータピストンをニュートラル位置に停止させるストローク量に規定するストローク規定構造を設けたものであれば本発明に含まれる。
実施例1では、ツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッションに適用したシフトアクチュエータの例を示したが、他の変速機のシフトアクチュエータに適用しても良い。要するに、シフト時、アクチュエータピストンの両端面位置に形成された流体圧室のうち一方の流体圧室に加圧流体を供給することで、アクチュエータピストンに連結されているシフト操作部材をシフト方向に動作させる流体圧式のシフトアクチュエータには適用することができる。
実施例1のシフトアクチュエータが適用されたツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッションを示すスケルトン図である。 実施例1のシフトアクチュエータが適用されたツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッションにおける変速油圧制御系および電子制御系を示す制御系統図である。 実施例1の2−4シフトアクチュエータ54を備えた2−4シフト操作系の構成を示す概略図である。 実施例1の2−4シフトアクチュエータ54の作動流体回路に設けられたシフトソレノイド及びソレノイド作動表を示す図である。 従来のシフトアクチュエータを備えたシフト操作系の構成を示す概略図である。 従来のシフトアクチュエータの作動流体回路に設けられたシフトソレノイドに対するソレノイド作動表を示す図である。 従来のシフトアクチュエータによるギア1シフト・ギア2シフト・ニュートラルの各シフト動作状態を示す作用説明図である。 実施例1の2−4シフトアクチュエータ54によるニュートラル状態から2速へのシフト動作を示す作用説明図である。 実施例1の2−4シフトアクチュエータ54による2速からニュートラル状態へのシフト動作を示す作用説明図である。
符号の説明
CA 第1クラッチ
CB 第2クラッチ
G1 第1速歯車組
G2 第2速歯車組
G3 第3速歯車組
G4 第4速歯車組
G5 第5速歯車組
G6 第6速歯車組
GR 後退歯車組
1 トランスミッションケース
2 駆動入力軸
4 オイルポンプ
5 第1変速機入力軸
6 第2変速機入力軸
11 変速機出力軸
15 カウンターシャフト
41,42,43,44 シフトフォーク(シフト操作部材)
45 第1コントロールバルブユニット
46 第2コントロールバルブユニット
50,52,53,54 シフトアクチュエータ
59 アクチュエータ油圧コントロールバルブ(シフト制御用コントロールバルブ)
54a アクチュエータボディ
54b アクチュエータ摺動穴
54c アクチュエータピストン
54d ピストン摺動穴
54d1 ピストン小径摺動穴
54d2 ピストン大径摺動穴
54d3 ピストンストッパ面
54e ピストン(A,B)
54f 内側流体圧室
54g 外側流体圧室
L 両ピストンストッパ面間長さ
La アクチュエータピストンの長さ
Lp ピストンA小径部長さ
Lp ピストンB小径部長さ
54h 第1流体圧路
54i 第2流体圧路
54j 第1ソレノイドバルブ
54k 第2ソレノイドバルブ
90 ディテント機構

Claims (6)

  1. アクチュエータボディのアクチュエータ摺動穴にストローク可能に配置されると共にシフト操作部材が連結されたアクチュエータピストンと、該アクチュエータピストンの両端面位置に形成された流体圧室と、を備え、
    シフト時、前記両流体圧室のうち一方の流体圧室に加圧流体を供給することで、アクチュエータピストンに連結されているシフト操作部材をシフト方向に動作させる流体圧式のシフトアクチュエータにおいて、
    前記両流体圧室のそれぞれにピストン摺動穴を形成し、該ピストン摺動穴のそれぞれにピストンをストローク可能に配置し、
    前記両ピストンと前記ピストン摺動穴との間に、前記両ピストンに対してアクチュエータピストンへ向かうストロークを生じさせる加圧流体供給時、両ピストンのストローク量を、それぞれのピストンのストローク限界状態でアクチュエータピストンをニュートラル位置に停止させるストローク量に規定するストローク規定構造を設けたことを特徴とするシフトアクチュエータ。
  2. 請求項1に記載されたシフトアクチュエータにおいて、
    前記ピストンを、ピストン小径部とピストン大径部と段差面を有する段差付きピストンとし、前記ピストン摺動穴を、ピストン小径摺動穴とピストン大径摺動穴とピストンストッパ面を有する段付きピストン摺動穴とし、
    前記ピストン小径部の端面側に内側流体圧室を形成し、前記ピストン大径部の端面側に外側流体圧室を形成し、
    前記ストローク規定構造は、前記段差付きピストンの段差面と前記段付きピストン摺動穴のピストンストッパ面により構成し、
    前記両ピストンストッパ面間長さは、アクチュエータピストンの長さと、両ピストンによる2つのピストン小径部長さと、の合計長さと等しく設定したことを特徴とするシフトアクチュエータ。
  3. 請求項2に記載されたシフトアクチュエータにおいて、
    前記両ピストンのうち、一方のピストンの内側流体圧室と外側流体圧室に加圧流体を供給可能な第1流体圧路と、他方のピストンの内側流体圧室と外側流体圧室に加圧流体を供給可能な第2流体圧路と、を設け、
    前記アクチュエータピストンを端部までストロークさせるシフト動作時には、第1流体圧路または第2流体圧路の一方のみに加圧流体を供給し、前記アクチュエータピストンをニュートラル位置とするシフト動作時には、第1流体圧路および第2流体圧路の両方に加圧流体を供給するシフト動作制御手段を設けたことを特徴とするシフトアクチュエータ。
  4. 請求項3に記載されたシフトアクチュエータにおいて、
    前記アクチュエータピストンを一端部までストロークさせる第1シフト動作時に第1シフト状態で保持し、前記アクチュエータピストンを他端部までストロークさせる第2シフト動作時に第2シフト状態で保持し、前記アクチュエータピストンをニュートラル位置にて停止させるシフト動作時にニュートラル状態で保持するディテント機構を設け、
    前記シフト動作制御手段は、シフト動作後、前記ディテント機構により第1シフト状態、または、第2シフト状態、または、ニュートラル状態で保持されると、第1流体圧路と第2流体圧路の少なくとも一方に供給されている加圧流体を抜くことを特徴とするシフトアクチュエータ。
  5. 請求項1乃至4の何れか1項に記載されたシフトアクチュエータにおいて、
    前記シフト操作部材を有する変速機は、複数の変速段のうち奇数変速段グループの選択時に締結される第1クラッチと、複数の変速段のうち偶数変速段グループの選択時に締結される第2クラッチと、同期噛合機構を有し、歯数比の異なる複数のギヤ対により複数の変速段を達成する常時噛み合い式のギヤトレーンと、を備え、
    隣り合う変速段への変速時、前記第1クラッチと前記第2クラッチの掛け替え制御に先行し、開放されているクラッチの変速段グループの中から次の変速段を選択し、シフト制御用コントロールバルブにより作り出された変速油圧により選択された変速段を得る方向にシフトフォークを動作させるツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッションであることを特徴とするシフトアクチュエータ。
  6. アクチュエータボディのアクチュエータ摺動穴にストローク可能に配置されると共にシフト操作部材が連結されたアクチュエータピストンと、該アクチュエータピストンの両端面位置に形成された流体圧室と、を備え、
    シフト時、前記両流体圧室のうち一方の流体圧室に加圧流体を供給することで、アクチュエータピストンに連結されているシフト操作部材をシフト方向に動作させる流体圧式のシフトアクチュエータにおいて、
    前記両流体圧室のそれぞれにピストン摺動穴を形成し、該ピストン摺動穴のそれぞれにピストンをストローク可能に配置し、
    前記両ピストンに対してアクチュエータピストンへ向かうストロークを生じさせる加圧流体を供給すると、両ピストンのストローク量が規定され、それぞれのピストンのストローク限界状態でアクチュエータピストンをニュートラル位置に停止させることを特徴とするシフトアクチュエータ。
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