以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。各実施形態の説明において、実質的に同一構成部分については同一符号を付して説明する。図1は本発明の変速制御装置が適用可能な第1実施形態のツインクラッチ式変速機2のスケルトン図を示している。このツインクラッチ式変速機は自動変速機の一種である。
ツインクラッチ式変速機2は変速機ケース4中に収容されている。符号6は回転可能に支持された入力軸であり、トルクコンバータ8を介して図示しないエンジンのクランクシャフト10に接続されている。
12は入力軸6の周りに入力軸6と同軸的に配置された中空の第1駆動軸である。第1駆動軸12は偶数段用の第1クラッチ14により選択的に入力軸6に結合される。第1クラッチ14は、例えば良く知られた湿式多板クラッチである。
16は入力軸6と平行に回転可能に支持された第2駆動軸である。入力軸6のトルクコンバータ8と反対側の端部には第1ギヤ18が固定されており、第2駆動軸16の端部には第2ギヤ20が回転自在に設けられている。第2ギヤ20はアイドル軸22に回転自在に設けられたアイドルギヤ24を介して第1ギヤ18に連結される。
よって、入力軸6の動力は、第1ギヤ18、アイドルギヤ24、及び第2ギヤ20からなる動力伝達手段を介して第2駆動軸16に伝達される。第2駆動軸16は第2クラッチ26により動力伝達手段の第2ギヤ20に選択的に結合される。
28は入力軸6と平行に回転自在に支持された出力軸(カウンタシャフト)である。図から明らかなように、第1クラッチ14及び第2クラッチ26は出力軸28と径方向に重ならない位置に配置されている。
第1駆動軸12にはトルクコンバータ8側から順に、2速駆動ギヤ30、4速駆動ギヤ32、6速駆動ギヤ34が回転自在に設けられ、リバース駆動ギヤ36が固定されている。
2速駆動ギヤ30に隣接して従来公知のシンクロメッシュ機構38が第1駆動軸12に配置されている。シンクロメッシュ機構38のシンクロハブが第1駆動軸12に固定され、スリーブがシンクロハブに対して軸方向に摺動可能に取り付けられている。4速駆動ギヤ32と6速駆動ギヤ34の間の第1駆動軸12には、シンクロメッシュ機構38と同様な構造のシンクロメッシュ機構40が配置されている。
第2駆動軸16にはトルクコンバータ8側から順に、1速駆動ギヤ42が固定され、3速駆動ギヤ44及び5速駆動ギヤ46が回転自在に配置されている。3速駆動ギヤ44と5速駆動ギヤ46の間の第2駆動軸16上には、シンクロメッシュ機構38と同様な構造のシンクロメッシュ機構48が配置されている。シンクロメッシュ機構38,40,48にはそれぞれ従来周知のディテント機構が設けられ、油圧サーボに油圧が供給されていない状態では以前の位置を保持する。
出力軸28にはトルクコンバータ8側から順に、ファイナル駆動ギヤ50が固定され、1速従動ギヤ52がワンウエイクラッチ54を介して固定され、2速従動ギヤ56が固定され、3速−4速従動ギヤ58が固定され、5速−6速従動ギヤ60が固定されている。
1速従動ギヤ52は1速駆動ギヤ42に常に噛合しており、2速従動ギヤ56は2速駆動ギヤ30に常に噛合しており、3速−4速従動ギヤ58は3速駆動ギヤ44及び4速駆動ギヤ32に常に噛合しており、5速−6速従動ギヤ60は5速駆動ギヤ46及び6速駆動ギヤ34に常に噛合している。
出力軸28上には更に、リバース従動ギヤ62が回転自在に設けられている。リバース従動ギヤ62はドグ歯クラッチ64により選択的に出力軸28に結合される。リバース従動ギヤ62は図示しないリバースアイドルギヤを介してリバース駆動ギヤ36に連結されている。
次に、上述した第1実施形態のツインクラッチ式変速機の変速動作について説明する。
まず、変速段が中立レンジ(Nレンジ)では、クラッチ14及び26とも非作動状態(非締結状態)である。シンクロメッシュ機構38,40,48及びドグ歯クラッチ64も非作動状態である。
シフトレバーがNレンジからDレンジにシフトされると、まず、ECUから一速段への変速指令が出力される。1速段では、第2クラッチ26が作動(締結)されて、第2駆動軸16は第1ギヤ18、アイドルギヤ24及び第2ギヤ20からなる動力伝達手段を介して入力軸6に連結される。
よって、エンジンからの駆動力は、トルクコンバータ8、入力軸6、第1ギヤ18、アイドルギヤ24、第2ギヤ20、第2クラッチ26を介して第2駆動軸16に伝達される。
第2駆動軸16の駆動力は、1速駆動ギヤ42、1速従動ギヤ52、ワンウエイクラッチ54、出力軸28、ファイナル駆動ギヤ50及びディファレンシャル装置のファイナル従動ギヤ70を介して左右の駆動輪に伝達され、駆動輪を1速(LOW)で駆動する。
車速が増加して2速段への変速指令がECUから出力されると、シンクロメッシュ機構38は2速駆動ギヤ30を第1駆動軸12に結合し、第2クラッチ26が非作動(非締結)とされ、第1クラッチ14が作動(締結)される。
よって、エンジンからの駆動力は、トルクコンバータ8、入力軸6、第1クラッチ14、第1駆動軸12、2速駆動ギヤ30、2速従動ギヤ56、出力軸28、ファイナル駆動ギヤ50及びディファレンシャル装置のファイナル従動ギヤ70を介して左右の駆動輪に伝達され、駆動輪を2速で駆動する。
車速が更に上昇してECUから3速段への変速指令が出力されると、シンクロメッシュ機構48が3速駆動ギヤ44を第2駆動軸16に結合する。第1クラッチ14が非作動とされ、第2クラッチ26が作動される。
これにより、エンジンからの駆動力は、トルクコンバータ8、入力軸6、動力伝達手段18,24,20、第2クラッチ26、第2駆動軸16、3速駆動ギヤ44、3速−4速従動ギヤ58、出力軸28、ファイナル駆動ギヤ50及びディファレンシャル装置のファイナル従動ギヤ70を介して左右の駆動輪に伝達され、駆動輪を3速で駆動する。
車速が更に上昇されてECUから4速段への変速指令が出力されると、シンクロメッシュ機構40が4速駆動ギヤ32を第1駆動軸12に結合する。第2クラッチ26が非作動とされ、第1クラッチ14が作動される。
これにより、エンジンからの駆動力は、トルクコンバータ8、入力軸6、第1クラッチ14、第1駆動軸12、4速駆動ギヤ32、4速−5速従動ギヤ58、出力軸28、ファイナル駆動ギヤ50及びディファレンシャル装置のファイナル従動ギヤ70を介して左右の駆動輪に伝達され、駆動輪を4速で駆動する。
車速が更に上昇してECUから5速段への変速指令が出力されると、シンクロメッシュ機構48が5速駆動ギヤ46を第2駆動軸16に結合する。第1クラッチ14が非作動とされ、第2クラッチ26が作動される。
これにより、エンジンからの駆動力は、トルクコンバータ8、入力軸6、動力伝達手段18,24,20、第2クラッチ26、第2駆動軸16、5速駆動ギヤ46、5速−6速従動ギヤ60、出力軸28、ファイナル駆動ギヤ50及びディファレンシャル装置のファイナル従動ギヤ70を介して左右の駆動輪に伝達され、駆動輪を5速で駆動する。
車速が更に上昇してECUから6速段への変速指令が出力されると、シンクロメッシュ機構40が6速駆動ギヤ34を第1駆動軸12に結合する。第2クラッチ26が非作動とされ、第1クラッチ14が作動される。
これにより、エンジンからの駆動力は、トルクコンバータ8、入力軸6、第1クラッチ14、6速駆動ギヤ34、5速−6速従動ギヤ60、出力軸28、ファイナル駆動ギヤ50及びディファレンシャル装置のファイナル従動ギヤ70を介して左右の駆動輪に伝達され、駆動輪を6速で駆動する。
ダウンシフト時には、上述したアップシフト時とは逆の動作により順次ダウンシフトされる。上述した説明から明らかなように、第1クラッチ14は偶数段で作動(締結)され、第2クラッチ26は奇数段で作動(締結)される。
一方、シフトレバーがDレンジからRレンジ、又はNレンジからRレンジへシフトされて、ECUからリバースへの変速指令が出力されると、ドグ歯クラッチ64がリバース従動ギヤ62を出力軸28に結合する。第2クラッチ26が非作動状態とされ、第1クラッチ14が作動される。
これにより、エンジンからの駆動力は、トルクコンバータ8、入力軸6、第1クラッチ14、第1駆動軸12、リバース駆動ギヤ36、図示しないリバースアイドルギヤ及びリバース従動ギヤ62を介して出力軸28に伝達され、出力軸28を前進時とは逆方向に回転する。
出力軸28の駆動力は、ファイナル駆動ギヤ50及びディファレンシャル装置のファイナル従動ギヤ70を介して左右の駆動輪に伝達され、駆動輪を前進時とは逆方向に駆動する。
次に、図2を参照すると、本発明の変速制御装置が適用可能な第2実施形態に係るツインクラッチ式変速機2Aのスケルトン図が示されている。このツインクラッチ式変速機2Aは自動変速機の一種である。
図1に示したツインクラッチ式変速機2と同様に、入力軸6はトルクコンバータ8を介して図示しないエンジンのクランクシャフト10に接続されている。
第1駆動軸12は入力軸6の周りに入力軸6と同軸的に配置されている。第1駆動軸12は第1クラッチ14により選択的に入力軸6に結合される。第2駆動軸16は第1駆動軸12の周りに第1駆動軸12と同軸的に配置されており、第2クラッチ26により選択的に入力軸6に結合される。
第1入力軸12には、トルクコンバータ8側から順に、2速駆動ギヤ30及び4速駆動ギヤ32が固定されている。第2駆動軸16には、トルクコンバータ8側から順に、5速駆動ギヤ46及び3速駆動ギヤ44が固定されている。
出力軸28には、トルクコンバータ8側から順に、ファイナル駆動ギヤ50が固定され、1速−2速従動ギヤ52´、4速従動ギヤ56´、5速−6速従動ギヤ60及び3速従動ギヤ58´が回転自在に設けられている。
3速従動ギヤ58´と5速−6速従動ギヤ60の間には従来公知のシンクロメッシュ機構48が設けられている。シンクロメッシュ機構48のスリーブを左方向に摺動すると、3速従動ギヤ58´が出力軸28に選択的に結合され、右方向に摺動すると5速−6速従動ギヤ60が出力軸28に選択的に結合される。
同様に、4速従動ギヤ56´と1速−2速従動ギヤ52´の間にも従来公知のシンクロメッシュ機構40が設けられている。シンクロメッシュ機構40のスリーブを左方向に摺動すると4速従動ギヤ56´が出力軸28に選択的に結合され、右方向に摺動すると、1速−2速従動ギヤ52´が出力軸28に選択的に結合される。
3速従動ギヤ58´は3速駆動ギヤ44に常に噛合しており、5速−6速従動ギヤ60は5速駆動ギヤ46に常に噛合している。更に、4速従動ギヤ56´は4速駆動ギヤ32に常に噛合しており、1速−2速従動ギヤ52´は2速駆動ギヤ30に常に噛合している。ファイナル駆動ギヤ50は、図示を省略したディファレンシャル装置のファイナル従動ギヤ(リングギヤ)に噛合している。
66は入力軸6と平行に配置され、回転自在に支持された副軸である。副軸66にはトルクコンバータ8側から順に、リバースギヤ72が回転自在に設けられ、第2ギヤ70が固定され、第1ギヤ68が回転自在に設けられている。
第1ギヤ68は3速駆動ギヤ44及び3速従動ギヤ58´に常に噛合しており、第2ギヤ70は4速駆動ギヤ32に常に噛合している。リバースギヤ72は2速駆動ギヤ30に常に噛合している。
38は従来公知のシンクロメッシュ機構であり、シンクロメッシュ機構38のスリーブが左方向に摺動すると、第1ギヤ68が副軸66に結合される。64は従来公知のドグ歯クラッチであり、ドグ歯が左方向に摺動すると、リバースギヤ72が副軸66に結合される。
次に、上述した第2実施形態に係るツインクラッチ式変速機の変速動作について説明する。
まず、変速段が中立レンジ(Nレンジ)では、クラッチ14及び26とも非作動状態(非締結状態)である。シンクロメッシュ機構38,40,48及びドグ歯クラッチ64も非作動状態である。
シフトレバーがNレンジからDレンジにシフトされると、まずECUから1速段への変速指令が出力される。1速段では、シンクロメッシュ機構40が1速−2速従動ギヤ52´を出力軸28に結合し、シンクロメッシュ機構38が第1ギヤ68を副軸66に結合し、更に、第2クラッチ26が作動(締結)され、第2駆動軸16が入力軸6に連結される。
よって、エンジンからの駆動力は、トルクコンバータ8、入力軸6、第2クラッチ26、第2駆動軸16、3速駆動ギヤ44、第1ギヤ68、副軸66、第2ギヤ70、4速駆動ギヤ32を介して所定の減速比で第1駆動軸12を駆動する。
第1駆動軸12の駆動力は、2速駆動ギヤ30、1速−2速従動ギヤ52´、出力軸28、ファイナル駆動ギヤ50及び図示しないディファレンシャル装置を介して左右の駆動輪に伝達され、駆動輪を1速(LOW)で駆動する。
車速が増加して2速段への変速指令がECUから出力されると、シンクロメッシュ機構40は1速−2速従動ギヤ52´を出力軸28に結合したまま保持され、第2クラッチ26が非作動(非締結)とされ、第1クラッチ14が作動(締結)される。
よって、エンジンからの駆動力は、トルクコンバータ8、入力軸6、第1クラッチ14、第1駆動軸12、2速駆動ギヤ30、1速−2速従動ギヤ52´、出力軸28、ファイナル駆動ギヤ50及び図示しないディファレンシャル装置を介して左右の駆動輪に伝達され、駆動輪を2速で駆動する。
車速が更に上昇してECUから3速段への変速指令が出力されると、シンクロメッシュ機構48は3速従動ギヤ58´を出力軸28に結合する。第1クラッチ14が非作動とされ、第2クラッチ26が作動される。
これにより、エンジンからの駆動力は、トルクコンバータ8、入力軸6、第2クラッチ26、第2駆動軸16、3速駆動ギヤ44、3速従動ギヤ58´、出力軸28、ファイナル駆動ギヤ50及び図示しないディファレンシャル装置を介して左右の駆動輪に伝達され、駆動輪を3速で駆動する。
車速が更に上昇されてECUから4速段への変速指令が出力されると、シンクロメッシュ機構40が4速従動ギヤ56´を出力軸28に結合する。第2クラッチ26が非作動とされ、第1クラッチ14が作動される。
これにより、エンジンからの駆動力は、トルクコンバータ8、入力軸6、第1クラッチ14、第1駆動軸12、4速駆動ギヤ32、4速従動ギヤ56´、出力軸28、ファイナル駆動ギヤ50及び図示しないディファレンシャル装置を介して左右の駆動輪に伝達され、駆動輪を4速で駆動する。
車速が更に上昇してECUから5速段への変速指令が出力されると、シンクロメッシュ機構48が5速−6速従動ギヤ60を出力軸28に結合する。第1クラッチ14が非作動とされ、第2クラッチ26が作動される。
これにより、エンジンからの駆動力は、トルクコンバータ8、入力軸6、第2クラッチ26、第2駆動軸16、5速駆動ギヤ46、5速−6速従動ギヤ60、出力軸28、ファイナル駆動ギヤ50及び図示しないディファレンシャル装置を介して左右の駆動輪に伝達され、駆動輪を5速で駆動する。
車速が更に上昇してECUから6速段への変速指令が出力されると、シンクロメッシュ機構48は5速−6速従動ギヤ60を出力軸28に結合したままの状態で保持され、第1ギヤ68がシンクロメッシュ機構38により副軸66に結合される。第2クラッチ26が非作動とされ、第1クラッチ14が作動される。
これにより、エンジンからの駆動力は、トルクコンバータ8、入力軸6、第1クラッチ14、第1駆動軸12、4速駆動ギヤ32、第2ギヤ70、副軸66、第1ギヤ68、3速駆動ギヤ44を介して第2駆動軸16を所定の増速比で駆動する。
更に、第2駆動軸16の駆動力は、5速駆動ギヤ46、5速−6速従動ギヤ60、出力軸28、ファイナル駆動ギヤ50及び図示しないディファレンシャル装置を介して左右の駆動輪に伝達され、駆動輪を6速で駆動する。
ダウンシフト時には、上述したアップシフト時とは逆の動作により順次ダウンシフトされる。上述した説明から明らかなように、第1クラッチ14は偶数段で作動(締結)され、第2クラッチ26は奇数段で作動(締結)される。
一方、シフトレバーがDレンジからRレンジ、又はNレンジからRレンジへシフトされて、ECUからリバースへの変速指令が出力されると、シンクロメッシュ機構48が3速従動ギヤ58´を出力軸28に結合し、シンクロメッシュ機構38が第1ギヤ68を副軸66に結合し、ドグ歯クラッチ64がリバースギヤ72を副軸66に結合する。更に、第2クラッチ26が非作動とされ、第1クラッチ14が作動される。
これにより、エンジンからの駆動力は、トルクコンバータ8、入力軸6、第1クラッチ14、第1駆動軸12、2速駆動ギヤ30、リバースギヤ72、副軸66、第1ギヤ68、3速従動ギヤ58´を介して出力軸28に伝達され、出力軸28を前進時とは逆方向に回転する。出力軸28の駆動力はファイナル駆動ギヤ50及び図示しないディファレンシャル装置を介して左右の駆動輪に伝達され、駆動輪を前進時とは逆方向に駆動する。
上述したツインクラッチ式変速機において、変速制御を行わせる変速制御バルブを有する油圧回路を図3及び図5〜図10に示しており、これについて以下に説明する。尚、図5〜図10は図3における一点鎖線A〜Fにより6分割された部分をそれぞれ拡大して示す。また、この油圧回路図において、油路が開放しているところはドレイン(オイルタンク)に繋がる。
この油圧回路は、オイルタンクOTの作動油を吐出するオイルポンプOPを有しており、オイルポンプOPはエンジンにより駆動されて油路11に作動油を供給する。油路11は油路11aを介してメインレギュレータバルブ74に繋がり、ここで調圧されて油路11,11aにライン圧PLが発生する。
このライン圧PLは油路11bを介してマニュアルバルブ76に供給される。油路11bは、マニュアルバルブ76のポートを介して油路11cと常時繋がっており(マニュアルバルブ76の作動の如何に拘わらず常に繋がっており)、油路11cを介してライン圧PLが第1及び第2オン・オフソレノイドバルブ78,80、第1〜第3デューティソレノイドバルブ82,84,86及び第1リニアソレノイドバルブ88に常時供給される。
メインレギュレータバルブ74においてライン圧PLを調圧した余剰油は油路13に供給され、更に油路15に供給される。油路13に供給された余剰油は、ロックアップシフトバルブ95、ロックアップコントロールバルブ96、トルクコンバータチェックバルブ98により制御され、トルクコンバータTCのロックアップ制御及び作動油供給に用いられ、この後、オイルクーラー100を通ってオイルタンクOTに戻される。
尚、トルクコンバータTCの制御については、本発明に直接関係しないため、作動説明は省略する。また、油路15に供給された余剰油は、潤滑リリーフバルブ102により調圧されて各部の潤滑油として供給される。
マニュアルバルブ76がDレンジにシフトされると、油路11bは油路17に接続され、ライン圧PLがサーボバルブ94の右側油室94aに導入され、更に油路19を介して第2リニアソレノイドバルブ90に供給される。
また、マニュアルバルブ76がDレンジの場合には、ライン圧PLは油路17の分岐油路17aを介して第3リニアソレノイドバルブ92に供給される。第3リニアソレノイドバルブ92はトルクコンバータTCのロックアップクラッチの制御にのみ使用されるため、ここではその作動説明を省略する。
この油圧回路図においては、ツインクラッチ式変速機を構成する第1クラッチ14及び第2クラッチ26が示されており、第1クラッチ14は第1アキュムレータ104に油路を介して接続され、第2クラッチ26は第2アキュムレータ106に油路を介して接続されている。
また、シンクロメッシュ機構38を作動する第1油圧サーボ108、シンクロメッシュ機構48を作動する第2油圧サーボ110及びシンクロメッシュ機構40を作動する第3油圧サーボ112が図示のように配設されている。
第1及び第2クラッチ14,26、第1〜第3油圧サーボ108,110,112への作動油圧供給制御を行うため、第1シフトバルブ114、第2シフトバルブ116、第3シフトバルブ118が図示のように配設されている。
そして、これらのバルブの作動制御、及び第1、第2クラッチ14,26、第1〜第3油圧サーボ108,110,112への供給油圧制御を行うため、第1、第2オン・オフソレノイドバルブ78,80、第1〜第3デューティソレノイドバルブ82,84,86、第1〜第3リニアソレノイドバルブ88,90,92が図示のように配設されている。
以上のような構成を有する油圧回路からなる変速制御装置を図1に示した第1実施形態のツインクラッチ式変速機2に適用した場合の作動を、各変速段毎に分けて以下に説明する。
各速度段の設定は、シフトレバーの操作に対応してマニュアルバルブ76のスプール76aが移動されて油路の切り替えが行われるとともに、電子制御ユニットECUに第1、第2オン・オフソレノイドバルブ78,80、第1〜第3デューティソレノイドバルブ82,84,86及び第1、第2リニアソレノイドバルブ88,90の作動を図4に示すように設定して行われる。
尚、これらの第1、第2オン・オフソレノイドバルブ78,80、第1〜第3デューティソレノイドバルブ82,84,86及び第1、第2リニアソレノイドバルブ88,90はノーマルクローズタイプのソレノイドバルブであり、通電時(オン時)に開放作動され油圧信号を発生させる。
図4において、S1,S2は第1及び第2オン・オフソレノイドバルブ78,80を示し、D1は第1デューティソレノイドバルブ82、D2は第2デューティソレノイドバルブ84、D3は第3デューティソレノイドバルブ86をそれぞれ示し、LAは第1リニアソレノイドバルブ88、LBは第2リニアソレノイドバルブ90をそれぞれ示す。
また、C1は第1クラッチ14、C2は第2クラッチ26をそれぞれ示す。更に、N−2はシンクロメッシュ機構38、3−5はシンクロメッシュ機構48、4−6はシンクロメッシュ機構40をそれぞれ示す。また、Mはマニュアルバルブ76、N−Rはドグ歯クラッチ64、Nはニュートラルを示す。
図4において、S1及びS2が○及び×は、それぞれオン・オフソレノイドバルブS1,S2が通電オン及びオフとなることを意味する。N−2で○印はシンクロメッシュ機構38の位置を示し、3−5で○印はシンクロメッシュ機構48の位置を示し、4−6で○印はシンクロメッシュ機構40の位置をそれぞれ示す。
クラッチの油圧スイッチの欄で、○印はクラッチC1及びクラッチC2の油圧スイッチがオンであることを示し、サーボのニュートラルスイッチの欄で○印はN−2シンクロメッシュ機構38、3−5シンクロメッシュ機構48及び4−6シンクロメッシュ機構40がニュートラル位置であることを示す。
図4においては、シフトレバーがリバース(R)ポジション、ニュートラル(N)ポジション及び前進(D)ポジションにあるときに設定される各種モードを表示している。
シフトレバーがNポジションのときには、第1オン・オフソレノイドバルブ78がオフ、第2オン・オフソレノイドバルブ80がオン制御される。また、第1クラッチ14及び第2クラッチ26は共に解放制御される。
第2オン・オフソレノイドバルブ80がオンとなるので、油路21を介して第2シフトバルブ116の右端ポート116aに油圧が作用し、スプール116cがスプリング116bの付勢力に抗して左方向に移動され、第2シフトバルブ116が作動状態となる。第1オン・オフソレノイドバルブ78はオフであるので、第1シフトバルブ114は図示されたセット状態である。
Nポジションでは、第1〜第3デューティソレノイドバルブ82,84,86はオンとなる。よって、第1デューティソレノイドバルブ82の出力圧は、油路23、作動状態の第2シフトバルブ116、油路25、セット状態の第1シフトバルブ114、油路27を介して第1油圧サーボ108の右室108bに供給される。
第1油圧サーボ108の左室108aは油路29及びセット状態の第1シフトバルブ114を介してドレインに繋がるので、シンクロメッシュ機構38はニュートラル状態となり、2速駆動ギヤ30は非係合状態となる。
また、第2油圧サーボ110の左室110aは油路31及びセット状態の第1シフトバルブ114を介してドレインに繋がり、右室110bは油路33及びセット状態の第1シフトバルブ114を介してドレインに繋がるので、シンクロメッシュ機構48は中立状態となる。
更に、第2デューティソレノイドバルブ84の出力圧は、油路35、作動状態の第2シフトバルブ116、油路37、セット状態の第1シフトバルブ114、油路39を介して第3油圧サーボ112の左室112aに供給され、第3デューティソレノイドバルブ86の出力圧は、油路41、作動状態の第2シフトバルブ116、油路43、セット状態の第1シフトバルブ114、油路45を介して第3油圧サーボ112の右室112bに供給されるので、第3油圧サーボ112は中立制御され、シンクロメッシュ機構40はニュートラル位置となる。
シフトレバーがDポジションに操作されると、図4に示すような12種類のモードが設定される。この時マニュアルバルブ76のスプール76aは溝部76bが図9のDポジションに移動し、油路11bのライン圧PLが油路17にも供給される。
まず、シフトレバーが中立(N)ポジションから前進(D)ポジションに操作されたときの初期段階に設定されるLOWインギヤモード、即ち0−1変速モードについて説明する。
このモードでは、第1オン・オフソレノイドバルブ78がオンとなり、第2オン・オフソレノイドバルブ80がオフとなる。更に、第1デューティソレノイドバルブ82がオンとなり、第1リニアソレノイドバルブ88もオンとなる。
よって、第2シフトバルブ116の右端ポート116aには油圧が作用しないため、第2シフトバルブ116はセット状態に切り替わる。第1オン・オフソレノイドバルブ78がオンとなるため、第1オン・オフソレノイドバルブ78の出力圧が油路47を介して第1シフトバルブ114の右端ポート114aに供給され、第1シフトバルブ114のスプール114cはスプリング114bの付勢力に抗して左方向に移動され、第1シフトバルブ114が作動状態となる。
第1リニアソレノイドバルブ88がオン作動されるため、第1リニアソレノイドバルブ88の出力圧が、油路49、D位置のマニュアルバルブ76、油路51、セット状態の第2シフトバルブ116、油路53、作動状態の第1シフトバルブ114、油路55を介して第2クラッチ26に供給され、第2クラッチ26を係合する。第2リニアソレノイドバルブ90はオフであるため、第1クラッチ14は解放される。
第1デューティソレノイドバルブ82がオンとなるため、第1デューティソレノイドバルブ82の出力圧は、油路23、セット状態の第2シフトバルブ116、油路57、作動状態の第1シフトバルブ114、油路29を介して第1油圧サーボ108の左室108aに供給される。
よって、第1油圧サーボ108により作動されるシフトフォークにより、図1でシンクロメッシュ機構38のスリーブが左方向に摺動されて、2速駆動ギヤ30が第1駆動軸12に結合される。第2油圧サーボ110及び第3油圧サーボ112は中立状態に維持される。
次に、LOWモードについて説明する。LOWモードにおいては、LOWインギヤモードの状態から第2オン・オフソレノイドバルブ82がオン作動される。これにより、第2シフトバルブ116が作動状態となる。第1リニアソレノイドバルブ88の出力圧が第2クラッチ26に供給されるため、第2クラッチ26は完全に係合される。
一方、第1クラッチ14は油路59,作動状態の第2シフトバルブ116、油路61、作動状態の第1シフトバルブ114、油路63、サーボバルブ94を介してドレインに繋がるため、第1クラッチ14は解放されたままである。
このとき、第1油圧サーボ108の左室108aは油路29、作動状態の第1シフトバルブ114、油路57、作動状態の第2シフトバルブ116を介してドレインに繋がり、右室108bは油路27及び作動状態の第1シフトバルブ114を介してドレインに繋がるため、第1油圧サーボ108は非作動状態となり、シンクロメッシュ機構38により2速駆動ギヤ30が第1駆動軸12に結合したまま維持される。
第2油圧サーボ110の左室110aは、油路31、作動状態の第1シフトバルブ114、油路65、作動状態の第2シフトバルブ116を介してドレインに繋がり、右室110bは、油路33、作動状態の第1シフトバルブ114、油路67、作動状態の第2シフトバルブ116を介してドレインに繋がるため、第2油圧サーボ110は非作動状態となる。
また、第3油圧サーボ112の左室112aは、油路39、作動状態の第1シフトバルブ114を介してドレインに繋がり、右室112bは油路45、作動状態の第1シフトバルブ114を介してドレインに繋がるため、第3油圧サーボ112は非作動状態となる。
LOWモードにおいては、第1クラッチ14は、油路59、作動状態の第2シフトバルブ116、油路61、作動状態の第1シフトバルブ114、油路63、サーボバルブ94のスプール溝を介してドレインに接続されるため、第1クラッチ14は完全に解放される。
次に、このようにLOW変速段が設定されたLOWモードから2速段に変速する制御を説明する。このときには、まず1−2変速モードが設定されて2速段への変速が行われる。
1−2変速モードでは、LOWモードの状態から第2オン・オフソレノイドバルブ80がオフ作動され、第1デューティソレノイドバルブ82がオン作動され、第2リニアソレノイドバルブ90がオン作動されて設定される。第2オン・オフソレノイドバルブ80がオフとなるため、第2シフトバルブ116はセット状態となる。
第1デューティソレノイドバルブ82がオン作動されるため、第1デューティソレノイドバルブ82の出力圧は第1油圧サーボ108の左室108aに供給され、これによりシンクロメッシュ機構38が2速駆動ギヤ30を第1駆動軸12に結合したまま保持する。第2油圧サーボ110及び第3油圧サーボ112は中立状態のまま維持される。
1−2変速モードにおいては、第1リニアソレノイドバルブ88は、油路49、マニュアルバルブ76のスプール溝、油路51、セット状態の第2シフトバルブ116、作動状態の第1シフトバルブ114、油路55を介して第2クラッチ26に連通し、第2リニアソレノイドバルブ90は、油路69、セット状態の第2シフトバルブ116、油路59を介して第1クラッチ14に連通するため、第2クラッチ26が解放制御されながら第1クラッチ14が係合制御される。
このように、1−2変速モードにおいては、第1リニアソレノイドバルブ88からの制御油圧により第2クラッチ26の係合を解除させながら、第2リニアソレノイドバルブ90からの制御油圧により第1クラッチ14を係合させる制御を行って、LOW変速段から2速段への変速制御が行われる。
このようにして、1−2変速モードにおいて第2クラッチ26が解放されて第1クラッチ14が係合されると、2NDモードに移行する。2NDモードにおいては、1−2変速モードの状態から第1オン・オフソレノイドバルブ78がオフ作動され、第1シフトバルブ114がセット状態となる。更に、第1デューティソレノイドバルブ82及び第1リニアソレノイドバルブ88がオフ作動される。
2NDモードにおいては、第2クラッチ26は油路55、セット状態の第1シフトバルブ114、油路71、セット状態の第2シフトバルブ116を介してドレインに連通されるため、第2クラッチ26は完全に解放される。
次に、このように2速段が設定された2NDモードから3速段に変速する制御を説明する。このときには、まず2−3変速モードが設定された後に3RDモードが設定されて3速段への変速が行われる。
2−3変速モードでは、2NDモードの状態から第1オン・オフソレノイドバルブ78がオン作動され、第3デューティソレノイドバルブ86がオン作動され、第1リニアソレノイドバルブ88がオン作動されて設定される。
第1オン・オフソレノイドバルブ78がオン作動されるため、第1シフトバルブ114は作動状態となる。よって、第3デューティソレノイドバルブ86の制御油圧が、油路41、セット状態の第2シフトバルブ116、油路67、作動状態の第1シフトバルブ114、油路33を介して第2油圧サーボ110の右室110bに供給され、図1においてシンクロメッシュ機構48が3速駆動ギヤ44を第2駆動軸16に結合する。
第1油圧サーボ108の右室108bは油路27、作動状態の第1シフトバルブ114を介してドレインに繋がるため、図1のシンクロメッシュ機構38のスリーブは左動されたまま保持される。
また、第3油圧サーボ112の左室112aは油路39及び作動状態の第1シフトバルブ114を介してドレインに繋がり、右室112bは油路45及び作動状態の第1シフトバルブ114を介してドレインに繋がるため、第3油圧サーボ112は非作動状態となり、シンクロメッシュ機構40は中立状態で保持される。
この2−3変速モードにおいては、第1リニアソレノイドバルブ88の制御油圧が、油路49、マニュアルバルブ76のスプール溝、油路51、セット状態の第2シフトバルブ116、油路53、作動状態の第1シフトバルブ114、油路55を介して第2クラッチ26に連通し、第2リニアソレノイドバルブ90の制御油圧が、油路69、セット状態の第2シフトバルブ116、油路59を介して第1クラッチ14に連通する。
よって、2−3変速モードにおいては、第2リニアソレノイドバルブ90からの制御油圧により第1クラッチ14の係合を解除させながら、第1リニアソレノイドバルブ88からの制御油圧により第2クラッチ26を係合させる制御を行って、2速段から3速段への変速制御が行われる。
このようにして2−3変速モードにおいて、第1クラッチ14が解放されて第2クラッチ26が係合されると、3RDモードに移行する。3RDモードにおいては、2−3変速モードの状態から第2オン・オフソレノイドバルブ80がオン作動され、第3デューテイソレノイドバルブ86がオフ作動され、さらに第2リニアソレノイドバルブ90がオフ作動されて設定される。第2オン・オフソレノイドバルブがオン作動されるため、第2シフトバルブ116は作動状態となる。
よって、第1クラッチ14は、油路59、作動状態の第2シフトバルブ116、油路61、作動状態の第1シフトバルブ114、油路63、サーボバルブ94のスプール溝を介してドレインに繋がり、第1クラッチ14は完全に解放される。
この3RDモードにおいては、第1、第2及び第3油圧サーボ108,110,112はそれぞれドレインに連通して非作動状態とされる。よって、図1において、2速駆動ギヤ30はシンクロメッシュ機構38により第1駆動軸12に結合したまま保持され、3速駆動ギヤ44はシンクロメッシュ機構48により2速駆動ギヤ16に結合したまま保持される。
次に、3速段が設定された3RDモードから4速段に変速する制御を説明する。このときには、まず3−4変速モードが設定された後に4THモードが設定されて4速段への変速が行われる。
3−4変速モードは、3RDモードの状態から第1オン・オフソレノイドバルブ78をオフ作動し、第1及び第3デューティソレノイドバルブ82,86をオン作動し、第2リニアソレノイドバルブ90をオン作動することにより設定される。
第1オン・オフソレノイドバルブ78がオフ作動されるため、第1シフトバルブ114はセット状態となる。よって、第1デューティソレノイドバルブ82の制御油圧が、油路23、作動状態の第2シフトバルブ116、油路25、セット状態の第1シフトバルブ114、油路27を介して第1油圧サーボ108の右室108bに供給される。
第1油圧サーボ108の左室108aは油路29及びセット状態の第1シフトバルブ114を介してドレインに連通するため、第1油圧サーボ108は2速駆動ギヤ30を非係合制御する。即ち、第1油圧サーボ108でシフトフォークを移動させて、シンクロメッシュ機構38のスリーブを図1で右方向に移動して、2速駆動ギヤ30の第1駆動軸12との係合を解除する。
第2油圧サーボ110はドレインに連通するため、3速駆動ギヤ44は第2駆動軸16に結合したまま保持される。一方、第3デューティソレノイドバルブ86の制御油圧が、油路41、作動状態の第2シフトバルブ116、油路43、セット状態の第1シフトバルブ114、油路45を介して第3油圧サーボ112の右室112bに供給されるため、第3油圧サーボ112は4速係合制御を実行する。即ち、シンクロメッシュ機構40のスリーブが図1で右方向に移動されて、4速駆動ギヤ32が第1駆動軸12に結合される。
1−2変速モードと同様に、3−4変速モードにおいては、第1リニアソレノイドバルブ88の制御油圧により第2クラッチ26の係合を解除させながら、第2リニアソレノイドバルブ90からの制御油圧により第1クラッチ14を係合させる制御を行って、3速段から4速段への変速制御が行われる。
3−4変速モードにおいて、第2クラッチ26が解放されて、第1クラッチ14が完全係合されると、4THモードに移行する。4THモードにおいては、3−4変速モードの状態から第2オン・オフソレノイドバルブ80をオフ作動し、第1及び第3デューティソレノイドバルブ82,86をオフ作動し、第1リニアソレノイドバルブ88をオフ作動することにより設定される。
第2オン・オフソレノイドバルブ80をオフ作動することにより、第2シフトバルブ116はセット状態となる。よって、第1油圧サーボ108の左室108aは油路29及びセット状態の第1シフトバルブ114を介してドレインに連通し、右室108bは油路27、セット状態の第1シフトバルブ114、油路25、セット状態の第2シフトバルブ116を介してドレインに連通するため、第1油圧サーボ108は非作動状態となり、2速駆動ギヤ30と第1駆動軸12の係合が断たれたまま保持される。
第2油圧サーボ110の左右室110a,110bはドレインに連通するため、第2油圧サーボ110は非作動状態となり、シンクロメッシュ機構48は3速駆動ギヤ44を第2駆動軸16に結合したまま保持する。
また、第3油圧サーボ112の左室112aは、油路39、セット状態の第1シフトバルブ114、油路37、セット状態の第2シフトバルブ116を介してドレインに連通し、右室112bは、油路45、セット状態の第1シフトバルブ114、油路43、セット状態の第2シフトバルブ116を介してドレインに連通するため、第3油圧サーボ112は非作動状態となる。よって、シンクロメッシュ機構40は4速駆動ギヤ32を第1駆動軸12に結合したまま保持する。
第2クラッチ26は、油路55、セット状態の第1シフトバルブ114、油路71、セット状態の第2シフトバルブ116を介してドレーンに連通し、第2リニアソレノイドバルブ90の制御油圧は、油路69、セット状態の第2シフトバルブ116、油路59を介して第1クラッチ14に供給されるので、第1クラッチ14が完全係合すると4速段が設定される。
このように4速段が設定された4THモードから5速段に変速する制御を以下に説明する。このときには、まず4−5変速モードが設定された後に5THモードが設定されて5速段への変速が行われる。
4−5変速モードは、4THモードの状態から第1オン・オフソレノイドバルブ78がオン作動し、第2デューティソレノイドバルブ84がオン作動し、第1リニアソレノイドバルブ88がオン作動することにより設定される。
第1オン・オフソレノイドバルブ78がオン作動されるため、第1シフトバルブ114は作動状態となる。よって、第2デューティソレノイドバルブ84からの制御油圧が、油路35、セット状態の第2シフトバルブ116、油路65、作動状態の第1シフトバルブ114、油路31を介して第2サーボ110の左室110aに供給される。
これにより、第2油圧サーボ110がシフトフォークを移動させて、シンクロメッシュ機構48のスリーブを左方向に摺動して、5速駆動ギヤ46を第2駆動軸16に結合する。第1油圧サーボ108は非作動状態であるため、シンクロメッシュ機構38は中立状態となり、2速駆動ギヤ30の第1駆動軸12に対する係合は解除されたまま保持される。
また、第3油圧サーボ112の左室112aは油路39及び作動状態の第1シフトバルブ114を介してドレインに連通され、右室112bは油路45及び作動状態の第1シフトバルブ114を介してドレインに連通するため、第3油圧サーボ112は非作動状態となる。よって、シンクロメッシュ機構40は4速駆動ギヤ32を第1駆動軸12に結合したまま保持する。
4−5変速モードにおいては、2−3変速モードと同様に、第2リニアソレノイドバルブ90からの制御油圧により第1クラッチ14の係合を解除させながら、第1リニアソレノイドバルブ88の制御油圧により第2クラッチ26を係合させる制御を行って、4速段から5速段への変速制御が行われる。
このようにして、4−5変速モードにおいて第1クラッチ14が解放されて第2クラッチ26が係合されると、5THモードに移行する。5THモードにおいては、4−5変速モードの状態から第2オン・オフソレノイドバルブ80がオン作動し、第2デューティソレノイドバルブ84がオフ作動し、第2リニアソレノイドバルブ90がオフ作動することにより設定される。
第2オン・オフソレノイドバルブ80がオン作動されるため、第2シフトバルブ116は作動状態となる。5THモードにおいては、第1油圧サーボ108の左右室108a,108b、第2油圧サーボ110の左右室110a,110b及び第3油圧サーボ112の左右室112a,112bは全てドレインに連通されるため、第1〜第3油圧サーボ108,110,112は全て非作動状態となる。
よって、シンクロメッシュ機構38は中立状態のまま保持され、シンクロメッシュ機構48は5速駆動ギヤ46を第2駆動軸16に結合したまま保持され、シンクロメッシュ機構40は4速駆動ギヤ32を第1駆動軸12に結合したまま保持される。
第1リニアソレノイドバルブ88から供給される制御油圧により、第2クラッチ26が完全係合すると、5速段が設定される。5THモードにおいては、LOWモード及び3RDモードと同様に、第1クラッチ14は、油路59、作動状態の第2シフトバルブ116、油路61、作動状態の第1シフトバルブ114、油路63、サーボバルブ94のスプール溝を介してドレインに連通されるため、第1クラッチ14は完全に解放される。
このように5速段が設定された5THモードから6速段へ変速する制御を以下に説明する。このときには、まず5−6変速モードが設定された後に6THモードが設定されて6速段への変速が行われる。
5−6変速モードは、5THモードの状態から第1オン・オフソレノイドバルブ78がオフ作動され、第2デューティソレノイドバルブ84がオン作動され、第2リニアソレノイドバルブ90がオン作動されることにより設定される。
第1オン・オフソレノイドバルブ78がオフ作動されることにより、第1シフトバルブ114はセット状態となる。よって、第2デューティソレノイドバルブ84の制御油圧は、油路35、作動状態の第2シフトバルブ116、油路37、セット状態の第1シフトバルブ114、油路39を介して第3油圧サーボ112の左室112aに供給される。これにより、第3油圧サーボ112がシフトフォークを介してシンクロメッシュ機構40のスリーブを図1で左方向に摺動させて、6速駆動ギヤ34を第1駆動軸12に結合する。
第1油圧サーボ108の左右室108a,108bはドレインに連通されるため、第1油圧サーボ108は非作動状態となる。よって、シンクロメッシュ機構38は中立状態のまま保持される。
同様に、第2油圧サーボ110の左右室110a,110bはセット状態の第1シフトバルブ114を介してドレインに連通されるため、第2油圧サーボ110は非作動状態となる。よって、シンクロメッシュ機構48は5速駆動ギヤ46を第2駆動軸16に結合したまま保持される。
5−6変速モードにおいては、1−2変速モードと同様に、第1リニアソレノイドバルブ88からの制御油圧により第2クラッチ26の係合を解除させながら、第2リニアソレノイドバルブ90からの制御油圧により第1クラッチ14を係合させる制御を行って、5速段から6速段への変速制御が行われる。
このようにして、5−6速変速モードにおいて第2クラッチ26が解放されて第1クラッチ14が係合されると、6THモードに移行する。6THモードにおいては、5−6変速モードの状態から第2オン・オフソレノイドバルブ80がオフ作動され、第2デューティソレノイドバルブ84がオフ作動され、第1リニアソレノイドバルブ88がオフ作動されることにより設定される。
第2オン・オフソレノイドバルブ80がオフ作動されることにより、第2シフトバルブ116はセット状態となる。よって、第3油圧サーボ112の左室112aは油路39,セット状態の第1シフトバルブ114、油路37、セット状態の第2シフトバルブ116を介してドレインに連通され、右室112bは油路45、セット状態の第1シフトバルブ114、油路43、セット状態の第2シフトバルブ116を介してドレインに連通されるため、第3油圧サーボ112は非作動状態となる。よって、シンクロメッシュ機構40は6速駆動ギヤ34を第1駆動軸12に結合したまま保持する。
同様に、第1油圧サーボ108の左右室108a、108bはドレインに連通されるため、第1油圧サーボ108は非作動状態となる。よって、シンクロメッシュ機構38は中立状態で保持される。
更に、第2油圧サーボ110の左右室110a,110bもドレインに連通されるため、第2油圧サーボ110は非作動状態となる。その結果、シンクロメッシュ機構48は5速駆動ギヤ46を第2駆動軸16に結合したまま保持する。
6THモードにおいては、2NDモード及び4THモードと同様に、第2クラッチ26は油路55、セット状態の第1シフトバルブ114、油路71、セット状態の第2シフトバルブ116を介してドレインに連通するため、第2クラッチ26は完全に解放される。
油路59は第1クラッチ14に繋がっているので、第2リニアソレノイドバルブ90からの制御油圧が第1クラッチ14に供給されて、第1クラッチ14が完全係合されて6THモードが設定される。
6THモードからのシフトダウンは、これまで説明したアップシフトでの第1、第2オン・オフソレノイドバルブ78,80、第1〜第3デューティソレノイドバルブ82,84,86、第1及び第2リニアソレノイドバルブ88,90の用いた方を図4に示したパターンに従って逆に辿ることにより成立する。
次に、リバース段について説明する。車両が停止し、シフトレバーがニュートラルを経てリバース位置にシフトされると、マニュアルバルブ76のスプール76aが左動する。これにより、ライン圧PLは油路11b、マニュアルバルブ76のスプール溝、油路73、シフトバルブ118、油路75を介してサーボバルブ94の左側室94bに供給され、サーボバルブ94のスプール94cが右動する。
これにより、図1においてドグ歯クラッチ64のドグ歯(チャンファ)が左方向に摺動され、リバースギヤ62が出力軸28に結合される。これと同時に、サーボバルブ94を介する第1クラッチ14のドレインが閉鎖される。
リバースモードでは、第1及び第2オン・オフソレノイドバルブ78,80及び第1リニアソレノイドバルブ88がオン作動される。第1及び第2オン・オフソレノイドバルブ78,80がオン作動されるため、第1シフトバルブ114及び第2シフトバルブ116が作動状態となる。
よって、LOWモードで説明したのと同様に、第1、第2及び第3油圧サーボ108,110,112の両方の室は全てドレインに連通されるため、第1〜第3油圧サーボ108,110,112は全て非作動状態となる。その結果、シンクロメッシュ機構38,40,48は全て中立状態で維持される。
上述したように、リバースモードでは第1リニアソレノイドバルブ88がオン作動されるため、第1リニアソレノイドバルブ88の制御圧は、油路49、マニュアルバルブ76のスプール溝、油路75、サーボバルブ94のスプール溝、油路63、作動状態の第1シフトバルブ114、油路61、作動状態の第2シフトバルブ116、油路59を介して第1クラッチ14に供給され、第1クラッチ14が係合される。
これと同時に、第2クラッチ26は油路55、作動状態の第1シフトバルブ114、油路71、作動状態の第2シフトバルブを介してドレインに連通されるため、第2クラッチ26の係合が解除される。
以上説明したように、本実施形態の変速制御装置によると、第1〜第3油圧サーボ108,110,112に供給する油圧を同一のシフトバルブで切替制御するため、シフトバルブの個数を第1及び第2シフトバルブ114,116の2個に低減できる。
また、第1及び第2オン・オフソレノイドバルブ78,80が、油圧を第1〜第3デューティソレノイドバルブ82,84,86から第1〜第3油圧サーボ108,110,112に供給可能なように第1及び第2シフトバルブ114,116を切替制御するため、デューティソレノイドバルブの油圧サーボに対する個数を少なくすることができる。
更に、第1及び第2クラッチ14,26と、第1〜第3油圧サーボ108,110,112を同一のシフトバルブ114,116で切替制御するため、シフトバルブの個数を少なくすることができる。
第1及び第2オン・オフソレノイドバルブ78,80は、第1及び第2シフトバルブ114,116を、第2クラッチ26と第1リニアソレノイドバルブ88を連通し、第1クラッチ14と油圧サーボ108,110,112への油圧の供給を遮断する第1の位置と、第1クラッチ14と第2リニアソレノイドバルブ90とを連通し、第2クラッチ26と油圧サーボ108,110,112への油圧の供給を遮断する第2の位置と、油圧サーボ108,110,112を駆動する第3の位置とに切替制御する。
第1及び第2シフトバルブ114,116が変速を行わない第1と第2の位置では、第1〜第3油圧サーボ108,110,112にかかる力を0にできるため、走行中のシンクロメッシュ機構への負荷を少なくできる。また、第1及び第2クラッチ14,26とシンクロメッシュ機構を同一のシフトバルブ114,116で制御しているため、クラッチとシンクロメッシュ機構の制御を確実に実行できる。
さらに、第1及び第2オン・オフソレノイドバルブ78,80は、第3油圧サーボ112に油圧を供給し、シンクロメッシュ機構40を駆動する場合に、シンクロメッシュ機構40と同じ第1駆動軸12上に設けられたシンクロメッシュ機構38を駆動する第1油圧サーボ108に対して非係合方向にのみ油圧を供給可能なように、第1及び第2シフトバルブ114,116を切り替える。このように、同一駆動軸上のシンクロメッシュ機構38,40が同時に係合しないように油圧回路を形成することで、ギヤのインターロックを防止できる。
リバース走行は、第1クラッチ14を係合することにより達成される。後進段の形成時には、第1リニアソレノイドバルブ88から第1クラッチ14へ油圧が供給制御され、前進段の形成時には、第1リニアソレノイドバルブ88から第2クラッチ22へ油圧が供給制御される。
前進段の形成時には、第1リニアソレノイドバルブ88から第1クラッチ14への油圧が遮断されるので、後進段を成立させるためには油圧の遮断を解除し、且つ第1リニアソレノイドバルブ88をオン制御しなくてはならないので、変速機の前進レンジにおいて後進段が誤って成立してしまうことを確実に防止できる。
次に、図11を参照して、マニュアルバルブ76を有さない油圧回路について説明する。この油圧回路は、図1に示したツインクラッチ式変速機2のシフトバイワイヤー方式(SBW方式)の変速制御に適用可能である。SBW変速機では、シフトレバー又はシフトボタン等の操作に応じて電気信号が発生し、この電気信号に応じて第3オン・オフソレノイドバルブ122(S3)が作動される。
本実施形態では、図3に示したマニュアルバルブ76を省略して、第1デューティソレノイドバルブ82と第1及び第2シフトバルブ114,116の間に第3シフトバルブ120が図示のように配設されている。
この油圧回路では、シフトレバーの位置に拘わらず、油圧ポンプOPから吐出され、メインレギュレータバルブ74で調圧されたライン圧PLが、第1、第2及び第3オン・オフソレノイドバルブ78,80,122、第1〜第3デューティソレノイドバルブ82,84,86及び第1リニアソレノイドバルブ88に常時供給される。
シフトレバーがDレンジにシフトされると、図12の変速動作表に示すように第3オン・オフソレノイドバルブ122がオンとなる。よって、第3オン・オフソレノイドバルブ122の出力圧は、油路81を介して第3シフトバルブ120の左端ポート120aに供給され、第3シフトバルブ120のスプール120bが右方向に移動されて、第3シフトバルブ120が作動状態となる。
よって、油路11bから供給されたライン圧PLは、油路11d、作動状態の第3シフトバルブ120、油路83を介して第3リニアソレノイドバルブ92に供給される。更に、油路83のライン圧PLが、油路85、サーボバルブ94のスプール溝、油路87を介して第2リニアソレノイドバルブ90に供給される。図12の変速作動表において、モードNが3段設けられているが、これはS1,S2,S3がこれら三つのいずれの状態でも良いことを示している。
各速度段の設定は、シフトレバーの操作に対応して第3オン・オフソレノイドバルブ122がオン/オフ動作し、これに応じて第3シフトバルブ120のスプール120bが移動されて油路の切り替えが行われると共に、電子制御ユニットECUに第1、第2オン・オフソレノイドバルブ78,80、第1〜第3デューティソレノイドバルブ82,84,86及び第1、第2リニアソレノイドバルブ88,90の作動を図12に示すように設定して行われる。
図12の変速動作表を図4の変速動作表と比較すると明らかなように、Dレンジにおける各ソレノイドバルブの作動は両者で全く同様であるので、重複を避けるためその説明を省略する。
シフトレバーがリバースにシフトされると、第3オン・オフソレノイドバルブ122がオフとなり、第1及び第2オン・オフソレノイドバルブ78,80がオン作動される。更に、第1デューティソレノイドバルブ82及び第1リニアソレノイドバルブ88がオン作動される。
第3オン・オフソレノイドバルブ122がオフの状態で第1デューティソレノイドバルブ82をオン作動すると、第1デューティソレノイドバルブ82の出力圧が、油路23、セット状態の第3シフトバルブ120、油路89、油路91を介してサーボバルブ94の左側室94bに供給され、サーボバルブ94のスプール94cが右動し、リバース段を形成すると共に、第1クラッチ14のドレインを閉鎖し、第1リニアソレノイドバルブ88と第1クラッチ14を連通する。
すなわち、リバースモードでは、第1リニアソレノイドバルブ88がオン作動されるため、第1リニアソレノイドバルブ88の制御圧は、油路49、セット状態の第3シフトバルブ120、油路93、サーボバルブ94のスプール溝、油路63、作動状態の第1シフトバルブ114、油路61、作動状態の第2シフトバルブ116、油路59を介して第1クラッチ14に供給され、第1クラッチ14が係合される。
これと同時に、第2クラッチ26は油路55、作動状態の第1シフトバルブ114、油路71、作動状態の第2シフトバルブ116を介してドレインに連通されるため、第2クラッチ26の係合が解除される。
次に、図13を参照すると、図2に示した第2実施形態のツインクラッチ式変速機2Aに適用するのに適した油圧回路図が示されている。図13の油圧回路図を図3の油圧回路図と比較すると明らかなように、両者は全く同一の油圧回路図である。
しかし、図13の油圧回路図においては、第1油圧サーボ108が右動されると、シンクロメッシュ機構38が第1ギヤ68を副軸66に結合して、1速段、6速段又はリバースに確立される。
第2油圧サーボ110が左動されると、シンクロメッシュ機構48が3速従動ギヤ58´を出力軸28に結合し、3速段が確立される。第2油圧サーボ110が右動されると、5速−6速従動ギヤ60が出力軸28に結合され、5速段又は6速段が確立される。
第3油圧サーボ112が左動されると、シンクロメッシュ機構40が1速−2速従動ギヤ52´を出力軸28に結合し、1速段又は2速段が確立される。第3油圧サーボ112が右動されると、シンクロメッシュ機構40が4速従動ギヤ58´を出力軸28に結合し、4速段が確立される。
Nポジションでは、第1オン・オフソレノイドバルブ78がオンとなり、第2オン・オフソレノイドバルブ80がオフとなる。更に、第1リニアソレノイドバルブ88がオンとなる。
これにより、第1油圧サーボ108の左室108aに油圧が供給されて第1油圧サーボ108が作動し、シフトフォークを介してシンクロメッシュ機構38のスリーブを左方向に摺動して第1ギヤ68を副軸66に結合する。
また、第2油圧サーボ110の右室110bに油圧が供給されて第2油圧サーボ110が作動し、シフトフォークを介してシンクロメッシュ機構48のスリーブを左方向に摺動して、3速従動ギヤ58´を出力軸28に結合する。第3油圧サーボ112はドレインに連通されるため、シンクロメッシュ機構40は中立状態に維持される。
次に、シフトレバーが中立(N)ポジションから前進(D)ポジションに操作されたときの初期段階に設定されるLOWインギヤモード、即ち0−1変速モードについて説明する。
0−1変速モードでは、第1オン・オフソレノイドバルブ78がオンとなり、第2オン・オフソレノイドバルブ80がオフとなる。更に、第1リニアソレノイドバルブ88がオンとなる。
これにより、シンクロメッシュ機構38は第1ギヤ68を副軸66に結合したまま保持し、第2油圧サーボ110の左室110aに油圧が導入されて第2油圧サーボ110が作動し、シンクロメッシュ機構48を中立状態に復帰させる。
更に、第3油圧サーボ112の右室112bに油圧が導入されて第3油圧サーボ112が作動し、シンクロメッシュ機構48が1速−2速従動ギヤ52´を出力軸28に結合する。
第1リニアソレノイドバルブ88がオン作動されるため、第1リニアソレノイドバルブ88の出力圧が第2クラッチ26に供給され、第2クラッチ26を係合する。第2リニアソレノイドバルブ90はオフであるため、第1クラッチ14は解放される。
次に、LOWモードについて説明する。LOWモードにおいては、LOWインギヤモードの状態から第2オン・オフソレノイドバルブ82がオン作動される。これにより、第2シフトバルブ116が作動状態となる。第1リニアソレノイドバルブ88の出力圧が第2クラッチ26に供給されるため、第2クラッチ26が完全に係合される。
次に、このようにLOW変速段が設定されたLOWモードから2速段に変速する制御を説明する。このときには、まず1−2変速モードが設定されて2速段への変速が行われる。
1−2変速モードでは、LOWモードの状態から第2オン・オフソレノイドバルブ80
がオフ作動され、第2リニアソレノイドバルブ90がオン作動されて設定される。第2オン・オフソレノイドバルブ80がオフとなるため、第2シフトバルブ116はセット状態となる。
シンクロメッシュ機構38は第1ギヤ68を副軸66に結合したまま保持し、シンクロメッシュ機構48は中立状態のまま維持され、シンクロメッシュ機構40は1速−2速従動ギヤ52´を出力軸28に結合したまま保持する。
1−2変速モードにおいては、第1及び第2リニアソレノイドバルブ88,90がオン作動され、第1リニアソレノイドバルブ88からの制御油圧により第2クラッチ26の係合を解除させながら、第2リニアソレノイドバルブ90からの制御油圧により第1クラッチ14を係合させる制御を行って、LOW変速段から2速段への変速制御が行われる。
このようにして、1−2変速モードにおいて第2クラッチ26が解放されて第1クラッチ14が係合されると、2NDモードに移行する。2NDモードにおいては、1−2変速モードの状態から第1オン・オフソレノイドバルブ78がオフ作動され、第1シフトバルブ114がセット状態となる。更に、第1リニアソレノイドバルブ88がオフ作動される。
2NDモードにおいては、第2リニアソレノイドバルブ90からの制御油圧により第1クラッチ14が完全に係合され、第2クラッチ26は完全に解放される。更に、第1油圧サーボ108の右室108bに油圧が供給されて第1油圧サーボ108が作動し、シンクロメッシュ機構38を中立状態に復帰させる。また、第2油圧サーボ110の右室110bに油圧が供給されて第2油圧サーボ110が作動し、シンクロメッシュ機構48が3速従動ギヤ58´を出力軸28に結合する。
次に、このように2速段が設定された2NDモードから3速段に変速する制御を説明する。このときには、まず2−3変速モードが設定された後に3RDモードが設定されて3速段への変速が行われる。
2−3変速モードでは、2NDモードの状態から第2オン・オフソレノイドバルブ80がオン作動され、第1リニアソレノイドバルブ88がオン作動されて設定される。
この2−3変速モードにおいては、第1〜第3油圧サーボ108,110,112は非作動状態となる。よって、シンクロメッシュ機構38の中立状態は維持され、シンクロメッシュ機構48は3速従動ギヤ58´を出力軸28に結合したまま保持し、シンクロメッシュ機構40は1速−2速従動ギヤ52´を出力軸28に結合したまま保持する。
この2−3変速モードにおいては、第1リニアソレノイドバルブ88の制御油圧が第2クラッチ26に連通し、第2リニアソレノイドバルブ90の制御油圧が第1クラッチ14に連通する。
よって、2−3変速モードにおいては、第2リニアソレノイドバルブ90からの制御油圧により第1クラッチ14の係合を解除させながら、第1リニアソレノイドバルブ88からの制御油圧により第2クラッチ26を係合させる制御を行って、2速段から3速段への変速制御が行われる。
このようにして2−3変速モードにおいて、第1クラッチ14が解放されて第2クラッチ26が係合されると、3RDモードに移行する。3RDモードにおいては、2−3変速モードの状態から第1オン・オフソレノイドバルブ78がオン作動され、第2リニアソレノイドバルブ90がオフ作動される。
3RDモードにおいては、第1リニアソレノイドバルブ88からの制御油圧により第2クラッチ26が完全に係合され、第1クラッチ14は完全に解放される。更に、第3油圧サーボ112の左室112aに油圧が供給されて第3油圧サーボ112が作動し、シンクロメッシュ機構40が4速従動ギヤ58´を出力軸28に結合する。
次に、3速段が設定された3RDモードから4速段に変速する制御を説明する。このときには、まず3−4変速モードが設定された後に4THモードが設定されて4速段への変速が行われる。
3−4変速モードは、3RDモードの状態から第1オン・オフソレノイドバルブ78をオフ作動し、第2リニアソレノイドバルブ90をオン作動することにより設定される。
この3−4変速モードにおいては、第1〜第3油圧サーボ108,110,112は全て非作動状態となる。よって、シンクロメッシュ機構38は中立状態で維持され、シンクロメッシュ機構40は4速従動ギヤ58´を出力軸28に結合したまま保持し、シンクロメッシュ機構48は3速従動ギヤ58´を出力軸28に結合したまま保持する。
第1リニアソレノイドバルブ88が第2クラッチ26に連通し、第2リニアソレノイドバルブ90が第1クラッチ14に連通するので、第1リニアソレノイドバルブ88からの制御油圧により第2クラッチ26の係合を解除させながら、第2リニアソレノイドバルブ90からの制御油圧により第1クラッチ14を係合させる制御を行って、3速段から4速段への変速制御が行われる。
このようにして3−4変速モードにおいて、第2クラッチ26が解放されて第1クラッチ14が係合されると、4THモードに移行する。4THモードにおいては、3−4変速モードの状態から第2オン・オフソレノイドバルブ80がオフ作動され、第1リニアソレノイドバルブ88がオフ作動されることにより設定される。第2油圧サーボ110の左室110aに油圧が供給されて第2油圧サーボ110が作動し、シンクロメッシュ機構48が5速−6速従動ギヤ60を出力軸28に結合する。
このように4速段が設定された4THモードから5速段に変速制御を以下に説明する。このときには、まず4−5変速モードが設定された後に5THモードが設定されて5速段への変速が行われる。
4−5変速モードでは、4THモードの状態から第1オン・オフソレノイドバルブ78がオン作動し、第1リニアソレノイドバルブ88がオン作動することにより設定される。
4−5変速モードにおいては、2−3変速モードと同様に、第2リニアソレノイドバルブ90からの制御油圧により第1クラッチ14の係合を解除させながら、第1リニアソレノイドバルブ88の制御油圧により第2クラッチ26を係合させる制御を行って、4速段から5速段への変速制御が行われる。
このようにして、4−5変速モードにおいて第1クラッチ14が解放されて第2クラッチ26が係合されると、5THモードに移行する。5THモードにおいては、4−5変速モードの状態から第2オン・オフソレノイドバルブ80がオン作動され、第2リニアソレノイドバルブ90がオフ作動することにより設定される。
更に、5THモードにおいては、第1油圧サーボ108の左室108aに油圧が供給されて第1油圧サーボ108が作動し、第1ギヤ68が副軸66に結合され、第3油圧サーボ112の右室112bに油圧が供給されて第3油圧サーボが作動し、シンクロメッシュ機構40が中立状態に復帰される。
第1リニアソレノイドバルブ88から供給される制御油圧により、第2クラッチ26が完全に係合し、第1クラッチ14がドレインに連通されて完全に解放されると、5速段が設定される。
このように5速段が設定された5THモードから6速段へ変速する制御を以下に説明する。このときには、まず5−6変速モードに設定された後に6THモードが設定されて6速段への変速が行われる。
5−6変速モードは、5THモードの状態から第2オン・オフソレノイドバルブ80がオフ作動され、第2リニアソレノイドバルブ90がオン作動されることにより設定される。
5−6変速モードにおいては、1−2変速モードと同様に、第1リニアソレノイドバルブ88からの制御油圧により第2クラッチ26の係合を解除させながら、第2リニアソレノイドバルブ90からの制御油圧により第1クラッチ14を係合させる制御を行って、5速段から6速段への変速制御が行われる。
このようにして、5−6変速モードにおいて第2クラッチ26が解放されて第1クラッチ14が係合されると、6THモードに移行する。6THモードにおいては、5−6変速モードの状態から第1オン・オフソレノイドバルブ78がオフ作動され、第1リニアソレノイドバルブ88がオフ作動されることにより設定される。
6THモードにおいては、2NDモード及び4THモードと同様に、第2クラッチ26は完全に解放され、第2リニアソレノイドバルブ90からの制御油圧により、第1クラッチ14が完全に係合されて6THモードが設定される。
6THモードからのシフトダウンはこれまで説明したアップシフトでの第1、第2オン・オフソレノイドバルブ78,80、第1〜第3デューティソレノイドバルブ82,84,86、第1及び第2リニアソレノイドバルブ88,90の用い方を図14に示したパターンに従って、逆に辿ることにより成立する。
次に、リバース段について説明する。シフトレバーがリバース位置にシフトされると、マニュアルバルブ76のスプール76aが左動する。これにより、ライン圧PLは油路11b、マニュアルバルブ76のスプール溝、油路73、シフトバルブ118、油路75を介してサーボバルブ94の左側室94bに供給され、サーボバルブ94のスプール94cが右動する。
これにより、図2においてドグ歯クラッチ64のドグ歯(チャンファ)が左方向に摺動され、リバースギヤ72が副軸66に結合される。これと同時に、サーボバルブ94を介する第1クラッチ14のドレインが閉鎖される。リバースモードでは、シンクロメッシュ機構38が第1ギヤ68を副軸66に結合し、シンクロメッシュ機構48が3速従動ギヤ58´を出力軸28に結合する。
上述したように、リバースモードでは第1リニアソレノイドバルブ88がオン作動されるため、第1リニアソレノイドバルブ88の制御油圧が第1クラッチ14に供給されて、第1クラッチ14が係合される。これと同時に、第2クラッチ26はドレインに連通されるため、第2クラッチ26の係合が解除される。
図15を参照すると、図2に示した第2実施形態のツインクラッチ式変速機2Aに適用されるのに適したマニュアルバルブ76を有しない油圧回路図が示されている。この油圧回路図では図11に示した油圧回路図と同様に、マニュアルバルブ76の代わりに第3シフトバルブ120及び第3オン・オフソレノイドバルブ122が図示のように配設されている。
図11に示した油圧回路図と同様に、第3オン・オフソレノイドバルブ122はシフトレバーが前進位置でオンとなり、ニュートラル(N)位置及びリバース(R)位置でオフとなる。図16の変速動作表において、ニュートラル(N)位置が2段示されているのは、ニュートラル位置はどちらの状態をも取り得ることを示している。
図16の変速動作表を図14の変速動作表と比較すると明らかなように、図16に第3オン・オフソレノイドバルブS3(122)が追加されている他は両者は全く同様である。
よって、Dレンジにおける作動は図14に示したマニュアルバルブ有りの場合の作動と同様であり、リバースレンジにおける作動は図11及び図12を参照して説明したマニュアルバルブなしの場合の作動と同様であるので、ここでは図16の変速動作表の詳細な説明については省略する。
本発明の油圧回路は図1及び図2に示した形式以外のツインクラッチ式自動変速機にも適用可能である。
例えば、第1駆動軸と第2駆動軸にシンクロメッシュ機構を2個ずつ設けた前進8段のツインクラッチ式自動変速機に対して、本実施例に油圧サーボ及びデューティソレノイドバルブを1個ずつ追加し、第1から第4デューティソレノイドバルブから供給される油圧がそれぞれ第1及び第2シフトバルブを経由して第1から第4油圧サーボに供給されるように設定することで、シフトバルブの個数を増加させることなく容易に適用可能である。