JP4382387B2 - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンアクセル開度、車速等に応じてリニアソレノイドバルブおよびオン・オフソレノイドバルブの作動を制御して、複数のシフトバルブを作動させて摩擦係合要素への係合作動油圧の供給油路を選択し、複数の摩擦係合要素を選択的に係合させて自動変速制御を行う自動変速機の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような自動変速機を有した車両においては、運転者は運転席のシフトレバーを操作してマニュアルバルブを作動させてシフトレンジ(もしくはシフトポジション)を選択し、このように選択されたシフトレンジ内においてエンジンアクセル開度(アクセルペダルの踏込操作量)、車速等に基づいて自動的に変速制御を行うように構成されている。シフトレバー操作により選択設定されるシフトレンジとしては、駐車レンジ(Pレンジ)、後進レンジ(Rレンジ)、中立レンジ(Nレンジ)、前進レンジ(例えば、Dレンジ等)があり、さらに、前進レンジを複数のレンジから構成、例えば、Dレンジ、Sレンジ、2レンジ、1レンジから構成することも多い。
【0003】
自動変速機においては、このようにマニュアルバルブの作動により設定される各シフトレンジ内において、アクセルペダルの踏込操作量、車速等に基づいて自動的に変速制御を行うために、マニュアルバルブから各変速段設定用の摩擦係合要素(クラッチ等)に至る油路中に複数のシフトバルブを配設し、ソレノイドバルブによりシフトバルブの作動を制御して自動変速制御を行うように構成されている。このような変速制御装置構成としては、例えば、特開平6−264996号公報、特開平9−269062号公報、特開2001−311462号公報に開示のものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような自動変速機の変速制御装置においては、変速段の設定はシフトバルブの作動を制御するオン・オフソレノイドバルブによりなされるため、オン・オフソレノイドバルブのオン・オフ作動の組み合わせパターンの数に対応して設定可能な変速パターンの数が決まる。例えば、オン・オフソレノイドバルブが2個であれば4種類(2×2)の変速パターンが設定可能で、オン・オフソレノイドバルブが3個であれば8種類(2×2×2)の変速パターンが設定可能である。
【0005】
しかしながら、最近においては変速段数が増加する傾向にあり、且つ各変速段間での変速制御を行うための変速パターンを設定することが要求されるため、多くの変速パターンを設定することが要求されることが多くなっている。これに応じてオン・オフソレノイドバルブの必要数も増加している。例えば、9種類の変速パターンの設定が必要なときには4個のオン・オフソレノイドバルブが必要となり、オン・オフソレノイドバルブの数が増えて、変速制御装置が複雑化、高コスト化するという問題がある。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みたもので、できる限り少ないオン・オフソレノイドバルブを用いて多くの変速パターンを設定可能として、シンプルな構成となる自動変速機の変速制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的達成のため、本発明においては、駆動力伝達を行う複数の動力伝達経路を有した動力伝達機構(例えば、実施形態における自動変速機TM)と、これら動力伝達経路を選択するための複数の摩擦係合要素(例えば、実施形態におけるLOWクラッチ11等)と、これら摩擦係合要素への係合制御油圧の供給制御を行う油圧制御バルブ(例えば、実施形態における変速制御バルブCV)とを有して自動変速機の変速制御装置が構成される。この油圧制御バルブは、元圧供給源(例えば、実施形態におけるメインレギュレータバルブ50、油路100等)から供給されるライン圧を任意に調圧可能な複数のリニアソレノイドバルブ(例えば、実施形態における第1〜第3リニアソレノイドバルブ86〜87)と、ライン圧もしくはリニアソレノイドバルブにより調圧された変速制御油圧を選択的に摩擦係合要素に供給させるように油路選択を行う複数のシフトバルブ(例えば、実施形態における第1〜第4シフトバルブ60,62,64,66)および複数のカットバルブ(例えば、実施形態における第1および第2カットバルブ90,92)と、シフトバルブに作動制御油圧を供給してその作動を制御する複数のオン・オフソレノイドバルブ(例えば、実施形態における第1〜第4オン・オフソレノイドバルブ81〜84)とを備え、カットバルブは作動されたときに作動状態でセルフロックされる機能を有している。そして、複数のオン・オフソレノイドバルブのオン・オフ作動の組み合わせに応じて複数のシフトバルブの作動を制御して油路選択を行い、複数の摩擦係合要素を選択作動させて複数の変速段を設定するように構成されており、低速変速段および高速変速段を設定する複数のオン・オフソレノイドバルブのオン・オフ作動組み合わせが同一組み合わせパターンからなり、低速変速段において複数のカットバルブの作動状態およびセット状態のいずれか一方の状態が設定されるとともに高速変速段において複数のカットバルブの作動状態およびセット状態の他方の状態が設定されるようになっており、中間変速段として複数の変速段が設定され、複数の中間変速段の異なる変速過程において複数のカットバルブが作動状態とセット状態とで順次切り換えられることを特徴とする。
【0008】
このような構成の自動変速機の変速制御装置によれば、カットバルブの作動状態において設定される複数のオン・オフソレノイドバルブのオン・オフ作動組み合わせパターンと、カットバルブのセット状態において設定される複数のオン・オフソレノイドバルブのオン・オフ作動組み合わせパターンとを同一のパターンとしても、カットバルブの作動状態が相違することにより異なる変速段が設定可能であるので、オン・オフソレノイドバルブの必要数を少なくすることが可能となる。
【0009】
なお、低速変速段および高速変速段を設定する複数のオン・オフソレノイドバルブのオン・オフ作動組み合わせが同一組み合わせパターンからなり、低速変速段においてカットバルブの作動状態およびセット状態のいずれか一方の状態が設定されるとともに高速変速段においてカットバルブの作動状態およびセット状態の他方の状態が設定されるようになっており、これにより、低速および高速変速段間の変速に伴ってカットバルブが作動状態とセット状態とで切り換えられ、高速および低速変速段をオン・オフソレノイドバルブの同一オン・オフ作動組み合わせパターンを用いて設定可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態に係る変速制御装置およびこの装置によりレンジ切換制御がなされる自動変速機について説明する。図1に本発明に係る自動変速機の全体構成を示しており、エンジンENGの出力を変速して車輪に伝達する自動変速機TMにより動力伝達機構が構成される。この自動変速機TMの変速制御は変速制御バルブCVによる油圧制御により行われ、変速制御バルブCVの作動は電子制御ユニットECUからの変速制御信号によりソレノイドバルブを作動させて行われる。電子制御ユニットECUはシフト操作装置5に信号ライン7を介して繋がり、シフト操作装置5からシフトレバー5aのシフトポジション信号を受け取る。また、シフトレバー5aはケーブル6を介して変速制御バルブCV内のマニュアルバルブと繋がり、シフトレバー5aの操作に応じてマニュアルバルブのスプールを移動させる。
【0012】
まず、自動変速機TMの構成を図2から図5に基づいて説明する。この変速機は、変速機ハウジングHSG内に、エンジン出力軸(図示せず)に繋がるトルクコンバータTCと、トルクコンバータTCの出力部材(タービン)に繋がった平行軸式変速機構TMと、この変速機構TMの終減速駆動ギヤ6aと噛合する終減速従動ギヤ6bを有したディファレンシャル機構DFとを配設して構成されており、ディファレンシャル機構DFから左右の車輪に駆動力が伝達される。
【0013】
平行軸式変速機構TMは、互いに平行に延びた第1入力軸1、第2入力軸2、カウンタ軸3およびアイドル軸5を有して構成され、これら各軸の軸心位置は図5においてS1,S2,S3およびS5で示す位置にそれぞれ配置されている。この平行軸式変速機構TMの動力伝達構成を図4(A)および(B)に示しており、図4(A)には図5の矢印IVA−IVAに沿って第1入力軸1(S1)、カウンタ軸3(S3)および第2入力軸2(S2)を通る断面を示しており、図4(B)には図5の矢印IVB−IVBに沿って第1入力軸1(S1)、アイドル軸5(S5)および第2入力軸2(S2)を通る断面を示している。なお、図2は図4(A)に対応し、図3は図4(B)に対応した変速機構TMの断面を示している。
【0014】
第1入力軸1はトルクコンバータTCのタービンに連結されており、ベアリング41a,41bにより回転支持され、タービンからの駆動力を受けてこれと同一回転する。第1入力軸1には、トルクコンバータTC側(図における右側)から順に、5速駆動ギヤ25a、5THクラッチ15、4THクラッチ14、4速駆動ギヤ24a、リバース駆動ギヤ26aおよび第1連結ギヤ31が配設されている。5速駆動ギヤ25aは第1入力軸1の上に回転自在に配設されており、油圧力により作動される5THクラッチ15により第1入力軸1と係脱される。また、4速駆動ギヤ24aおよびリバース駆動ギヤ26aは一体に繋がるとともには第1入力軸1の上に回転自在に配設されており、油圧力により作動される4THクラッチ14により第1入力軸1と係脱される。第1連結ギヤ31は第1入力軸1を回転自在に支持するベアリング41aの外側に位置して片持ち状態で第1入力軸1と結合されている。
【0015】
第2入力軸2はベアリング42a,42bにより回転支持され、この軸上には、図における右側から順に、2NDクラッチ12、2速駆動ギヤ22a、LOW駆動ギヤ21a、LOWクラッチ11、3RDクラッチ13、3速駆動ギヤ23aおよび第4連結ギヤ34が配設されている。2速駆動ギヤ22a、LOW駆動ギヤ21aおよび3速駆動ギヤ23aはそれぞれ第2入力軸2の上に回転自在に配設されており、油圧力により作動される2NDクラッチ12、LOWクラッチ11および3RDクラッチ13により第2入力軸と係脱される。第4連結ギヤ34は第2入力軸2と結合されている。
【0016】
アイドル軸5はベアリング45a,45bにより回転支持され、この軸と一体に第2連結ギヤ32および第3連結ギヤ33が設けられている。第2連結ギヤ32は第1連結ギヤ31と噛合し、第3連結ギヤ33は第4連結ギヤ34と噛合している。これら第1〜第4連結ギヤにより連結ギヤ列30が構成され、第1入力軸1の回転が連結ギヤ列30を介して第2入力軸2に常時伝達される。
【0017】
カウンタ軸3はベアリング43a,43bにより回転支持され、この軸上には、図における右側から順に、終減速駆動ギヤ6a、2速従動ギヤ22b、LOW従動ギヤ21b、5速従動ギヤ25b、3速従動ギヤ23b、4速従動ギヤ24b、ドグ歯式クラッチ16およびリバース従動ギヤ26cが配設されている。終減速駆動ギヤ6a、2速従動ギヤ22b、LOW従動ギヤ21b、5速従動ギヤ25bおよび3速従動ギヤ23bはカウンタ軸3に結合されてこれと一体回転する。4速従動ギヤ24bはカウンタ軸3の上に回転自在に配設されている。また、リバース従動ギヤ26cもカウンタ軸3の上に回転自在に配設されている。ドグ歯式クラッチ16は軸方向に作動されて、4速従動ギヤ24bとカウンタ軸3とを係脱させたり、リバース従動ギヤ26cとカウンタ軸3とを係脱させたりすることができる。
【0018】
なお、図示のように、LOW駆動ギヤ21aとLOW従動ギヤ21bとが噛合し、2速駆動ギヤ22aと2速従動ギヤ22bとが噛合し、3速駆動ギヤ23aと3速従動ギヤ23bとが噛合し、4速駆動ギヤ24aと4速従動ギヤ24bとが噛合し、5速駆動ギヤ25aと5速従動ギヤ25bとが噛合する。さらに、リバース駆動ギヤ26aはリバースアイドラギヤ26b(図3参照)を介してリバース従動ギヤ26cと噛合する。
【0019】
図には示されていないが、終減速駆動ギヤ6aは終減速従動ギヤ6b(図2参照)と噛合しており、カウンタ軸3の回転はこれら終減速駆動および従動ギヤ6a,6bを介してディファレンシャル機構DFに伝達される。
【0020】
以上のような構成の変速機において、各速度段の設定およびその動力伝達経路について説明する。なお、この変速機においては、前進レンジにおいてはドグ歯式クラッチ16が図において右動されて4速従動ギヤ24bとカウンタ軸3とが係合される。後進(リバース)レンジにおいては、ドグ歯式クラッチ16が左動されてリバース従動ギヤ26cとカウンタ軸3とが係合される。
【0021】
まず前進レンジにおける各速度段について説明する。LOW速度段はLOWクラッチ11を係合させて設定される。トルクコンバータTCから第1入力軸1に伝達された回転駆動力は、連結ギヤ列30を介して第2入力軸2に伝達される。ここで、LOWクラッチ11が係合されているためLOW駆動ギヤ21aが第2入力軸2と同一回転駆動され、これと噛合するLOW従動ギヤ21bが回転駆動され、カウンタ軸3が駆動される。この駆動力は終減速ギヤ列6a,6bを介してディファレンシャル機構DFに伝達される。
【0022】
2速段は2NDクラッチ12を係合させて設定される。トルクコンバータTCから第1入力軸1に伝達された回転駆動力は、連結ギヤ列30を介して第2入力軸2に伝達される。ここで、2NDクラッチ12が係合されているため2速駆動ギヤ22aが第2入力軸2と同一回転駆動され、これと噛合する2速従動ギヤ22bが回転駆動され、カウンタ軸3が駆動される。この駆動力は終減速ギヤ列6a,6bを介してディファレンシャル機構DFに伝達される。
【0023】
3速段は3RDクラッチ13を係合させて設定される。トルクコンバータTCから第1入力軸1に伝達された回転駆動力は、連結ギヤ列30を介して第2入力軸2に伝達される。ここで、3RDクラッチ13が係合されているため3速駆動ギヤ23aが第2入力軸2と同一回転駆動され、これと噛合する3速従動ギヤ23bが回転駆動されてカウンタ軸3が駆動され、この駆動力は終減速ギヤ列6a,6bを介してディファレンシャル機構DFに伝達される。
【0024】
4速段は4THクラッチ14を係合させて設定される。トルクコンバータTCから第1入力軸1に伝達された回転駆動力は、4THクラッチ14を介して4速駆動ギヤ24aを回転駆動させ、これと噛合する4速従動ギヤ24bを回転駆動する。ここで、前進レンジにおいてはドグ歯式クラッチ16により4速従動ギヤ24bがカウンタ軸3と係合されているため、カウンタ軸3が駆動され、この駆動力は終減速ギヤ列6a,6bを介してディファレンシャル機構DFに伝達される。
【0025】
5速段は5THクラッチ15を係合させて設定される。トルクコンバータTCから第1入力軸1に伝達された回転駆動力は、5THクラッチ15を介して5速駆動ギヤ25aを回転駆動させ、これと噛合する5速従動ギヤ25bを回転駆動する。5速従動ギヤ25bはカウンタ軸3と結合されているためカウンタ軸3が駆動され、この駆動力は終減速ギヤ列6a,6bを介してディファレンシャル機構DFに伝達される。
【0026】
後進(リバース)段は、4THクラッチ14を係合させるとともにドグ歯式クラッチ16を左動させて設定される。トルクコンバータTCから第1入力軸1に伝達された回転駆動力は、4THクラッチ14を介してリバース駆動ギヤ26aを回転駆動させ、リバースアイドラギヤ26bを介してこのギヤ26aと噛合するリバース従動ギヤ26cを回転駆動する。ここで、後進(リバース)レンジにおいてはドグ歯式クラッチ16によりリバース従動ギヤ26cがカウンタ軸3と係合されているため、カウンタ軸3が駆動され、この駆動力は終減速ギヤ列6a,6bを介してディファレンシャル機構DFに伝達される。このことから分かるように、4THクラッチ14はリバースクラッチの作用を兼用する。
【0027】
以上のような構成の自動変速機において変速制御を行わせる変速制御バルブCVを構成する油圧回路を図6〜図12に示しており、これについて以下に説明する。なお、図7〜図12は、図6における一点鎖線A〜Fにより6分割された部分をそれぞれ拡大して示す。また、この油圧回路図において油路が開放している所はドレン(オイルタンク)に繋がることを意味する。
【0028】
この装置は、オイルタンクOTの作動油を吐出するオイルポンプOPを有しており、オイルポンプOPはエンジンにより駆動されて油路100に作動油を供給する。油路100は油路100aを介してメインレギュレータバルブ50に繋がり、ここで調圧されて油路100,100aにライン圧PLが発生する。このライン圧PLは油路100bを介してマニュアルバルブ58に供給される。油路100bは、マニュアルバルブ58のポートを介して油路100dと常時繋がっており(マニュアルバルブ58の作動の如何に拘わらず常に繋がっており)、油路100dを介してライン圧PLが第1〜第4オン・オフソレノイドバルブ81〜84および第1リニアソレノイドバルブ86に常時供給される。
【0029】
メインレギュレータバルブ50においてライン圧PLを調圧した余剰油は油路191に供給され、さらに油路192に供給される。油路191に供給された作動油は、ロックアップシフトバルブ51、ロックアップコントロールバルブ52、トルクコンバータチェックバルブ53により制御され、トルクコンバータTCのロックアップ制御および作動油供給に用いられ、この後、オイルクーラ54を通ってオイルタンクOTに戻される。なお、トルクコンバータTCの制御については、本発明には直接関係しないため、作動説明は省略する。また、油路192に供給された作動油は、潤滑リリーフバルブ55により調圧されて各部の潤滑油として供給される。
【0030】
この図においては、上述の変速機を構成するLOWクラッチ11、2NDクラッチ12、3RDクラッチ13、4THクラッチ14、5THクラッチ15を示しており、各クラッチにはそれぞれLOWアキュムレータ75、2NDアキュムレータ76、3RDアキュムレータ77、4THアキュムレータ78、5THアキュムレータ79が油路を介して繋がれている。また、ドグ歯式クラッチ16を作動させるための前後進選択油圧サーボ機構70を備える。
【0031】
これら各クラッチ11〜15および前後進選択油圧サーボ機構70への作動油圧供給制御を行うため、第1シフトバルブ60、第2シフトバルブ62、第3シフトバルブ64、第4シフトバルブ66、Dインヒビターバルブ68、第1カットバルブ90、第2カットバルブ92が図示のように配設されている。そして、これらバルブの作動制御および各クラッチ等への供給油圧制御を行うため、第1〜第4オン・オフソレノイドバルブ81〜84と、第1〜第3リニアソレノイドバルブ86〜88が図示のように配設されている。
【0032】
以上のような構成の変速制御装置の作動を各速度段毎に分けて以下に説明する。各速度段の設定は、シフト操作装置5のシフトレバー5aの操作に対応してマニュアルバルブ58のスプール58aが操作移動されて油路の切換が行われるとともに、電子制御ユニットECUにより第1〜第4オン・オフソレノイドバルブ81〜84および第1〜第3リニアソレノイドバルブ86〜88の作動を表1に示すように設定して行われる。なお、これら第1〜第4オン・オフソレノイドバルブ81〜84および第1〜第3リニアソレノイドバルブ86〜88はノーマルクローズタイプのソレノイドバルブであり、通電時(オン時)に開放作動され信号油圧を発生させる。
【0033】
この表1において、符号×および○はそれぞれソレノイドが通電オフおよびオンとなることを意味する。この表1のオン・オフソレノイドバルブの欄において、符号A〜Dがそれぞれ第1〜第4オン・オフソレノイドバルブ81〜84を意味する。第1および第2カットバルブの欄における「セ」および「作」は、セット状態および作動状態を示す。さらに、クラッチ油圧供給表における1,2,3,4,5はそぞれ、LOWクラッチ11、2NDクラッチ12、3RDクラッチ13、4TH(リバース)クラッチ14、5THクラッチ15を示し、上述の説明から分かるように、リバースクラッチと4THクラッチは同一クラッチ14が兼用する。この表における。PLはライン圧PLが供給されることを意味し、リニアA〜Cは第1〜第3リニアソレノイドバルブ86〜88を意味する。さらに、サーボ位置欄は、前後進選択油圧サーボ機構70がR(後進)およびD(前進)のいずれ側に作動されるかを示している。
【0034】
【表1】
【0035】
この表1においてポジションはシフトレバー5aの操作位置およびマニュアルバルブ58の作動位置を示し、このポジションとしては、駐車(P)ポジション、後進(R)ポジション、中立(N)ポジションおよび前進(D)ポジションが少なくとも設けられて、本例ではさらに、前進ポジションとしてもう三つのポジション(図11において*印で示すポジション)が設けられている(但し、表1においては省略)。なお、図6〜図12においては、マニュアルバルブ58がNポジションに位置した状態を示している。
【0036】
表1においては、シフトレバー5aが駐車(P)ポジション、後進(R)ポジション、中立(N)ポジションおよび前進(D)ポジションにあるときに設定される各種モードを表示しているが、本発明では前進(D)ポジションでの変速制御を対象とするため、以下においては前進(D)ポジションでの変速制御ついて説明し、それ以外のポジションでの変速制御の説明は省略する。なお、シフトレバー5aが前進(D)ポジションに操作されているときには、表1に示すような10種類のモードが設定される。また、このとき、マニュアルバルブ58のスプール58aは溝部58bが図11のDポジションに移動し、油路100bのライン圧PLが油路101にも供給される。
【0037】
まず、シフトレバー5aが中立(N)ポジションから前進(D)ポジションに操作されたときの初期段階に設定されるLOWインギヤモードについて説明する。このモードでは、第1〜第4オン・オフソレノイドバルブ81〜84のすべてがオフ作動される。
【0038】
このため、第1オン・オフソレノイドバルブ81の出力圧が供給される油路111の圧力が零もしくは極く低圧となる。油路111は油路111aから第1シフトバルブ60の右端ポート60aに繋がるが、ここにに作用する油圧が零であるため、スプール61aはスプリング61bにより右方に押圧されてセット状態(図示の状態)となる。油路111はさらに油路111bから第1カットバルブ90の左端ポート90aに繋がるが、ここに作用する油圧が零であるため、スプール91aはスプリング91bにより左方に押圧されてセット状態(図示の状態)となる。
【0039】
第2オン・オフソレノイドバルブ82の出力圧が供給される油路112の圧力も零もしくは極く低圧となる。油路112は油路112aからDインヒビターバルブ68の左端ポート68aに繋がるが、ここに作用する油圧は零であるため、この左端ポート68aからスプール69aを右方向に押圧する力は生じない。油路112はさらに油路112bから第2シフトバルブ62の右端ポート62aに繋がるが、ここに作用する油圧は零であるため、スプール63aはスプリング63bにより右方に押圧されてセット状態(図示の状態)となる。
【0040】
第3オン・オフソレノイドバルブ83の出力圧が供給される油路113の圧力も零もしくは極く低圧となる。油路113は油路113aから第2カットバルブ92の左端ポート92aに繋がるが、ここに作用する油圧は零であるため、スプール93aはスプリング93bによる左方向に押圧されてセット状態(図示の状態)となる。油路113はさらに油路113bから第3シフトバルブ64の右端ポート64aに繋がるが、ここに作用する油圧は零であるため、スプール65aはスプリング65bにより右方に押圧されてセット状態(図示の状態)となる。
【0041】
第4オン・オフソレノイドバルブ84の出力圧が供給される油路114の圧力も零もしくは極く低圧となる。油路114は油路114aから第4シフトバルブ66の左端ポート66aに繋がるが、ここに作用する油圧は零であるため、スプール67aはスプリング67bによる左方向に押圧されてセット状態(図示の状態)となる。油路114はさらに油路114bからロックアップシフトバルブ51の右端ポート51aに繋がるが、ここに作用する油圧は零であるため、スプール51bはスプリング51cにより右方に押圧されてセット状態(図示の状態)となる。
【0042】
以上のようにLOWインギヤモードでは、第1〜第4シフトバルブ60,62,64,66および第1〜第2カットバルブ90,92がセット状態となり、この状態において第1リニアソレノイドバルブ86から油路115に出力される係合制御油圧を用いてLOWクラッチ11の係合制御がなされる。油路115は油路115aに繋がり、油路115aはセット状態のロックアップシフトバルブ51のスプール溝を介して油路116に繋がり、油路116はセット状態の第2シフトバルブ62を介して油路117に繋がる。油路117はDポジションに位置したマニュアルバルブ58のスプール溝を介して油路118に繋がり、油路118はセット状態の第1シフトバルブ60のスプール溝を介して油路119に繋がり、油路119はセット状態の第3シフトバルブ64のスプール溝を介して油路120に繋がる。油路120はLOWクラッチ11に繋がっており、このように第1リニアソレノイドバルブ86から油路115に出力された係合制御油圧がLOWクラッチ11に供給されてその係合制御がなされる。
【0043】
なお、油路120から分岐した油路120aはDインヒビターバルブ68のポート68cに作用し、そのスプール69aの段部に作用してスプール69aを右方向に押圧する。このため、LOWクラッチ11に作用する係合制御油圧が所定圧を越えるとスプール69aがスプリング69bの付勢力に抗して右動され、作動状態となる。これにより、Dインヒビターバルブ68のポート68dとポート68eとが繋がるが、上述したようにマニュアルバルブ58を介してライン圧PLが供給される油路101から分岐した油路101aが分岐油路101bを介してポート68dに繋がっており、ポート68dから供給されるライン圧PLがスプール69aの段部に作用して、スプール69aを右動状態でセルフロックする。すなわち、LOWクラッチ11に作用する係合制御油圧が所定圧を越えてスプール69aが右動されると、ポート68dから供給されるライン圧PLによりスプール69aが右方向に押されて、Dインヒビターバルブ68は作動状態で保持される。
【0044】
Dインヒビターバルブ68が作動状態のときには、ポート68dとポート68eとが繋がるため、ポート68eに繋がる油路102にライン圧PLが供給され、前後進選択油圧サーボ機構70の右側油室73にライン圧PLが供給される。このとき左側油室72はセット状体の第4シフトバルブ66においてドレンに繋がっており、ロッド71は左動状態となる。このロッド71はドグ歯式クラッチ16を作動させるシフトフォークと繋がっており、ロッド71が左動状態ではドグ歯式クラッチ16により4速従動ギヤ24bとカウンタ軸3とを結合させる。なお、前後進選択油圧サーボ機構70の右側油室73に供給されたライン圧PLは、油路103から油路103a,103bを通って第2および第3リニアソレノイドバルブ87,88に供給される。
【0045】
LOWインギヤモードでは、2NDクラッチ12は第2リニアソレノイドバルブ87の出力ポートに繋がってドレンされ、3RDクラッチ13は第3リニアソレノイドバルブ88の出力ポートに繋がってドレンされ、4THクラッチ14は第4シフトバルブ66に繋がってドレンされ、5THクラッチ15は第1カットバルブ90に繋がってドレンされており、いずれも解放状態となる。
【0046】
次に、LOWモードについて説明する。LOWモードにおいては、LOWインギヤモードの状態から第2オン・オフソレノイドバルブ82がオン作動される。これにより、油路112にライン圧PLが供給され、Dインヒビターバルブ68を作動状態とし(既に作動状態であるときには、このまま保持し)、第2シフトバルブ62のスプール63aを左動させてこれを作動状態とする。この結果、油路101から油路101aおよび油路101bを通って供給されるライン圧PLは、作動状態のDインヒビターバルブ68を通って油路102に供給され、前後進選択油圧サーボ機構70の右側油室73にライン圧PLが供給されたままの状態で維持される。
【0047】
さらに、マニュアルバルブ58のポートを介して油路100bと常時繋がってライン圧PLが供給されている油路100dは油路100eに分岐し、セット状態の第2カットバルブ92を介して油路100eが油路104に繋がり、油路104はセット状態の第1カットバルブ90を介して油路105に繋がる。さらに、油路105は作動状態の第2シフトバルブ62を介して油路117と繋がる。油路117はDポジションに位置したマニュアルバルブ58のスプール溝を介して油路118に繋がり、油路118はセット状態の第1シフトバルブ60のスプール溝を介して油路119に繋がり、油路119はセット状態の第3シフトバルブ64のスプール溝を介して油路120に繋がる。油路120はLOWクラッチ11に繋がっており、この結果、ライン圧PLがLOWクラッチ11に供給されてこれが完全係合されて、LOW変速段が設定される。
【0048】
なお、表1には、LOWモードにおいて第4オン・オフソレノイドバルブ84がオンもしくはオフ作動するように表示されている。この第4オン・オフソレノイドバルブ84からの出力油圧が供給される油路114は、上述したように、油路114bからロックアップシフトバルブ51の右端ポート51aに繋がっており、ロックアップシフトバルブ51の作動、すなわち、トルクコンバータTCのロックアップクラッチの作動制御に用いられる。このような第4オン・オフソレノイドバルブ84によるロックアップクラッチ作動制御は、以下に説明する各モード全てにおいて同様に行われる。すなわち、表1に示すDポジションにおけるLOWインギヤモードを除く全てのモードにおいては、第4オン・オフソレノイドバルブ84はロックアップクラッチの作動制御に用いられ、変速制御モード設定は第1〜第3オン・オフソレノイドバルブ81〜83により行われる。
【0049】
但し、(1)−2−3変速モードおよび(2)−3−4変速モードにおいては、第4オン・オフソレノイドバルブ84がオフ状態(ロックアップクラッチ作動制御を行わない状態)で、第1リニアソレノイドバルブ86から出力される制御油圧がそれぞれLOWクラッチ11および2NDクラッチ12に供給されて、これらの係合制御がなされる。
【0050】
次に、このようにLOW変速段が設定されたLOWモードから2速段に変速する制御を説明する。このときには、まず1−2変速モードが設定された後に2NDモードが設定されて2速段への変速が行われる。
【0051】
1−2変速モードは、LOWモードの状態から第1オン・オフソレノイドバルブ81がオン作動されて設定される。これにより油路111にライン圧PLが出力され、第1シフトバルブ60のスプール61aが左動されて作動状態となる。また、第1カットバルブ90において、左端ポート90aにライン圧が作用するが、右端ポート90dには油路120から分岐した油路120bが繋がってLOWクラッチ11の制御油圧が作用するため、1−2変速モードにおいてLOWクラッチ11の制御油圧が低下すると(所定圧以下となると)、第1カットバルブ90のスプール91aが右動されて作動状態となる。ここで、第1カットバルブ90が作動状態となると、そのポート90bに油路101から分岐した油路101dが繋がっているため、ポート90bを介してライン圧PLが右動したスプール91aの段部に作用し、これを右動状態でセルフロックする。すなわち、第1カットバルブ90は作動状態でセルフロックされた状態となる。
【0052】
1−2変速モードでは、表1に示すように、第2および第3リニアソレノイドバルブ87,88から出力させる制御油圧が用いられる。まず、第3リニアソレノイドバルブ88から油路131に出力された制御油圧は、作動状態の第2シフトバルブ62を介して油路132に繋がり、油路132はセット状態の第2カットバルブ92を介して油路133に繋がり、油路133は作動状態の第1シフトバルブ60を介して油路119に繋がり、油路119はセット状態の第3シフトバルブ64を介して油路120に繋がる。上述のように油路120はLOWクラッチ11に繋がっており、第3リニアソレノイドバルブ88から出力される制御油圧はLOWクラッチ11に供給されてその係合制御が行われる。
【0053】
一方、第2リニアソレノイドバルブ87から油路141に出力された制御油圧は、セット状態の第3シフトバルブ64を介して油路142に繋がり、油路142は作動状態の第1シフトバルブ60を介して油路143に繋がり、油路143は作動状態の第2シフトバルブ62を介して油路144に繋がる。油路144は2NDクラッチ12に繋がっており、第2リニアソレノイドバルブ87から出力される制御油圧は2NDクラッチ12に供給されてその係合制御が行われる。
【0054】
このように、1−2変速モードにおいては第3リニアソレノイドバルブ88からの制御油圧によりLOWクラッチ11の係合を解除させながら、第2リニアソレノイドバルブ87からの制御油圧により2NDクラッチ12を係合させる制御を行ってLOW変速段から2速段への変速制御が行われる。
【0055】
このようにして1−2変速モードにおいてLOWクラッチ11が解放されて2NDクラッチ12が係合されると、2NDモードに移行する。2NDモードにおいては、1−2変速モードの状態から第2オン・オフソレノイドバルブ82がオフ作動され、第2シフトバルブ62がセット状態となる。この結果、マニュアルバルブ58を介してライン圧PLが供給される油路101aから分岐した油路101cはセット状態の第3シフトバルブ64を介して油路106に繋がり、油路106は作動状態の第1シフトバルブ60を介して油路107に繋がり、油路107はセット状態の第2シフトバルブ62を介して油路144に繋がり、油路144は2NDクラッチ12に繋がる。この結果、ライン圧PLが2NDクラッチ12に供給されてこれが完全係合されて、2速段が設定される。
【0056】
このように2速段が設定された2NDモードから3速段に変速する制御を説明する。このときには、まず2−3変速モード(このモードは1−3飛び変速も行われるため(1)−2−3モードとして表示している)が設定された後に3RDモードが設定されて3速段への変速が行われる。
【0057】
2−3変速モードは、2NDモードの状態から第1オン・オフソレノイドバルブ81がオフ作動されて設定される。これにより第1〜第3オン・オフソレノイドバルブ81〜83が全てオフとなるが、この状態はLOWインギヤモードと同一である。しかしながら、上述のようにこのときにはDインヒビターバルブ68および第1カットバルブ90が作動状態でセルフロックされた状態にあり、この点がLOWインギヤモードの状態と相違する。
【0058】
2−3変速モードでは、表1に示すように、第2および第3リニアソレノイドバルブ87,88から出力させる制御油圧が用いられる。まず、第2リニアソレノイドバルブ87から油路141に出力された制御油圧は、セット状態の第3シフトバルブ64を介して油路142に繋がり、油路142はセット状態の第1シフトバルブ60を介して油路107に繋がり、油路107はセット状態の第2シフトバルブ62を介して油路144に繋がる。油路144は2NDクラッチ12に繋がっており、第2リニアソレノイドバルブ87から出力される制御油圧は2NDクラッチ12に供給されてその係合制御が行われる。
【0059】
一方、第3リニアソレノイドバルブ88から油路131に出力された制御油圧は、セット状態の第2シフトバルブ62を介して油路134に繋がり、油路134はセット状態の第1シフトバルブ60を介して油路135に繋がり、油路135はセット状態の第3シフトバルブ64を介して油路136に繋がる。油路136は3RDクラッチ13に繋がっており、第3リニアソレノイドバルブ88から出力される制御油圧は3RDクラッチ13に供給されてその係合制御が行われる。
【0060】
このように、2−3変速モードにおいては第2リニアソレノイドバルブ87からの制御油圧により2NDクラッチ12の係合を解除させながら、第3リニアソレノイドバルブ88からの制御油圧により3RDクラッチ13を係合させる制御を行って2速段から3速段への変速制御が行われる。
【0061】
このようにして2−3変速モードにおいて2NDクラッチ12が解放されて3RDクラッチ13が係合されると、3RDモードに移行する。3RDモードにおいては、2−3変速モードの状態から第3オン・オフソレノイドバルブ83がオン作動され、第3シフトバルブ63が作動状態となり、且つ第2カットバルブ92が作動状態となる。ここで、第2カットバルブ92が作動状態となると、そのポート92bに油路101から分岐した油路101aが繋がっているため、ポート92bを介してライン圧PLが右動したスプール93aの段部に作用し、これを右動状態でセルフロックする。すなわち、第2カットバルブ92は作動状態でセルフロックされた状態となる。
【0062】
3RDモードでは第3リニアソレノイドバルブ88から油路131にライン圧PLが出力される。油路131はセット状態の第2シフトバルブ62を介して油路134に繋がり、油路134はセット状態の第1シフトバルブ60を介して油路135に繋がり、油路135はセット状態の第3シフトバルブ64を介して油路136に繋がり、油路136は3RDクラッチ13に繋がっているので、第3リニアソレノイドバルブ88から出力されるライン圧PLが3RDクラッチ13に供給されてこれが完全係合されて、3速段が設定される。
【0063】
このように3速段が設定された3RDモードから4速段に変速する制御を説明する。このときには、まず3−4変速モード(このモードは2−4飛び変速も行われるため(2)−3−4モードとして表示している)が設定された後に4THモードが設定されて4速段への変速が行われる。
【0064】
3−4変速モードは、3RDモードの状態から第1オン・オフソレノイドバルブ82がオン作動されて設定される。これにより第1シフトバルブ60のスプール61aが左動されて作動状態となる。
【0065】
3−4変速モードでは、表1に示すように、第2および第3リニアソレノイドバルブ87,88から出力させる制御油圧が用いられる。まず、第3リニアソレノイドバルブ88から制御油圧が出力される油路131は、セット状態の第2シフトバルブ62を介して油路134に繋がり、油路134から分岐した油路134aは作動状態の第3シフトバルブ64を介して油路136に繋がる。油路136は3RDクラッチ13に繋がっており、第3リニアソレノイドバルブ88から出力される制御油圧は3RDクラッチ13に供給されてその係合制御が行われる。
【0066】
一方、第2リニアソレノイドバルブ87から制御油圧が油路141に出力されるが、この油路141は油路141aに分岐し、油路141aは作動状態の第1シフトバルブ60を介して油路151に繋がり、油路151はセット状態の第2シフトバルブ62を介して油路152に繋がり、油路152は作動状態の第3シフトバルブ64を介して油路153に繋がる。油路153は4THクラッチ14に繋がっており、第2リニアソレノイドバルブ87から出力される制御油圧は4THクラッチ14に供給されてその係合制御が行われる。
【0067】
このように、3−4変速モードにおいては第3リニアソレノイドバルブ88からの制御油圧により3RDクラッチ12の係合を解除させながら、第2リニアソレノイドバルブ87からの制御油圧により4THクラッチ14を係合させる制御を行って3速段から4速段への変速制御が行われる。
【0068】
このようにして3−4変速モードにおいて3RDクラッチ13が解放されて4THクラッチ14が係合されると、4THモードに移行する。4THモードにおいては、3−4変速モードの状態から第2オン・オフソレノイドバルブ82がオン作動され、第2シフトバルブ62が作動状態となる。
【0069】
この結果、4THモードでは第2リニアソレノイドバルブ87から油路141にライン圧PLが出力される。油路141は油路141aに分岐し、油路141aは作動状態の第1シフトバルブ60を介して油路151に繋がり、油路151はセット状態の第2シフトバルブ62を介して油路152に繋がり、油路152は作動状態の第3シフトバルブ64を介して油路153に繋がり、油路153は4THクラッチ14に繋がっているので、第2リニアソレノイドバルブ87から出力されるライン圧PLが4THクラッチ14に供給されてこれが完全係合されて、4速段が設定される。
【0070】
このように4速段が設定された4THモードから5速段に変速する制御を説明する。このときには、まず4−5変速モードが設定された後に5THモードが設定されて5速段への変速が行われる。4−5変速モードは、4THモードの状態から第1オン・オフソレノイドバルブ82がオフ作動されて設定される。これにより第1シフトバルブ60のスプール61aが右動されてセット状態となる。
【0071】
4−5変速モードでは、表1に示すように、第2および第3リニアソレノイドバルブ87,88から出力させる制御油圧が用いられる。まず、第2リニアソレノイドバルブ87から制御油圧が油路141に出力されるが、この油路141は油路141aに分岐し、油路141aはセット状態の第1シフトバルブ60を介して油路155に繋がり、油路155は作動状態の第2シフトバルブ62を介して油路152に繋がり、油路152は作動状態の第3シフトバルブ64を介して油路153に繋がる。油路153は4THクラッチ14に繋がっており、第2リニアソレノイドバルブ87から出力される制御油圧は4THクラッチ14に供給されてその係合制御が行われる。
【0072】
一方、第3リニアソレノイドバルブ88からは制御油圧が油路131に出力されるが、この油路131は作動状態の第2シフトバルブ62を介して油路132に繋がり、油路132は作動状態の第2カットバルブ92を介して油路161に繋がり、油路161は作動状態の第1カットバルブ90を介して油路162に繋がり、油路162はセット状態の第1シフトバルブ60を介して油路163に繋がる。油路163は5THクラッチ15に繋がっており、第3リニアソレノイドバルブ88から出力される制御油圧は5THクラッチ15に供給されてその係合制御が行われる。
【0073】
このように、4−5変速モードにおいては第2リニアソレノイドバルブ87からの制御油圧により4THクラッチ14の係合を解除させながら、第3リニアソレノイドバルブ88からの制御油圧により5THクラッチ15を係合させる制御を行って4速段から5速段への変速制御が行われる。
【0074】
このようにして4−5変速モードにおいて4THクラッチ14が解放されて5THクラッチ15が係合されると、5THモードに移行する。5THモードにおいては、4−5変速モードの状態から第3オン・オフソレノイドバルブ83がオフ作動され、第3シフトバルブ64がセット状態となる。これにより第1および第2オン・オフソレノイドバルブ81,83がオフで、第2オン・オフソレノイドバルブ82がオンとなるが、この状態はLOWモードと同一である。しかしながら、上述のようにこのときにはDインヒビターバルブ68、第1および第2カットバルブ90,92が作動状態でセルフロックされた状態にあり、この点がLOWモードの状態と相違する。
【0075】
5THモードでは第3リニアソレノイドバルブ88から油路131にライン圧PLが出力される。油路131は作動状態の第2シフトバルブ62を介して油路132に繋がり、油路132は作動状態の第2カットバルブ92を介して油路161に繋がり、油路161は作動状態の第1カットバルブ90を介して油路162に繋がり、油路162はセット状態の第1シフトバルブ60を介して油路163に繋がり、油路163は5THクラッチ15に繋がっているので、第3リニアソレノイドバルブ88から出力される制御油圧は5THクラッチ15に供給されてこれが完全係合される。
【0076】
以上説明したように、マニュアルバルブ58がDポジションに位置した状態で、第1〜第3オン・オフソレノイドバルブ81,82,83のオン・オフ作動制御により、表1に示すように10種類のシフトモードが設定される。ここで、3個のオン・オフソレノイドバルブのオン・オフ作動の組み合わせでは8種類のパターンしか設定できない。しかしながら、上述したように、変速段階の途中において第1および第2カットバルブ92,93がセット状態から作動状態に変更され、且つ一旦作動状態になるとライン圧PLによりセルフロックされて作動状態が維持されるようになっており、同一のオン・オフ作動組み合わせパターンを用いて10種類のシフトモードが設定可能である。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、油圧制御バルブが、リニアソレノイドバルブと、複数のシフトバルブおよびカットバルブと、複数のオン・オフソレノイドバルブとを備え、カットバルブは作動されたときに作動状態でセルフロックされる機能を有し、オン・オフソレノイドバルブによりシフトバルブの作動を制御して油路選択を行い、複数の摩擦係合要素を選択作動させて複数の変速段を設定するように構成されており、カットバルブの作動状態およびセット状態のそれぞれにおいて、複数のオン・オフソレノイドバルブの同一オン・オフ作動組み合わせパターンが設定されて異なる変速段を設定するようになっている。このため、カットバルブの作動状態において設定される複数のオン・オフソレノイドバルブのオン・オフ作動組み合わせパターンと、カットバルブのセット状態において設定される複数のオン・オフソレノイドバルブのオン・オフ作動組み合わせパターンとを同一のパターンとしても、カットバルブの作動状態が相違することにより異なる変速段が設定可能であるので、オン・オフソレノイドバルブの必要数を少なくすることが可能となる。
【0078】
なお、低速変速段および高速変速段を設定する複数のオン・オフソレノイドバルブのオン・オフ作動組み合わせが同一組み合わせパターンからなり、低速変速段においてカットバルブの作動状態およびセット状態のいずれか一方の状態が設定されるとともに高速変速段においてカットバルブの作動状態およびセット状態の他方の状態が設定されるようになっており、これにより、低速および高速変速段間の変速に伴ってカットバルブが作動状態とセット状態とで切り換えられ、高速および低速変速段をオン・オフソレノイドバルブの同一オン・オフ作動組み合わせパターンを用いて設定可能となる。
【0079】
このときに、中間変速段への変速過程においてカットバルブが作動状態とセット状態とで切り換えられるように構成するのが望ましい。さらに、カットバルブが複数のカットバルブから構成され、中間変速段として複数の変速段が設定されるようになっており、これら複数の中間変速段の異なる変速過程において複数のカットバルブが作動状態とセット状態とで順次切り換えられるようにするのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る制御装置およびこの装置により制御される自動変速機の全体構成を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明に係る制御装置により変速制御される5速自動変速機の断面図である。
【図3】上記5速自動変速機の部分断面図である。
【図4】上記5速自動変速機の動力伝達系を示すスケルトン図である。
【図5】上記5速自動変速機の軸位置関係を示す概略図である。
【図6】上記5速自動変速機の変速制御装置の構成を示す油圧回路図である。
【図7】図6の油圧回路の一部を拡大して示す油圧回路図である。
【図8】図6の油圧回路の一部を拡大して示す油圧回路図である。
【図9】図6の油圧回路の一部を拡大して示す油圧回路図である。
【図10】図6の油圧回路の一部を拡大して示す油圧回路図である。
【図11】図6の油圧回路の一部を拡大して示す油圧回路図である。
【図12】図6の油圧回路の一部を拡大して示す油圧回路図である。
【符号の説明】
TM 平行軸式変速機構(自動変速機)
CV 変速制御バルブ(油圧制御バルブ)
11 LOWクラッチ(摩擦係合要素)
12 2NDクラッチ(摩擦係合要素)
13 3RDクラッチ(摩擦係合要素)
14 4THクラッチ(摩擦係合要素)
15 5THクラッチ(摩擦係合要素)
50 メインレギュレータバルブ(元圧供給源)
58 マニュアルバルブ
60,62,64,66 第1〜第4シフトバルブ
81〜84 第1〜第4オン・オフソレノイドバルブ
86〜88 第1〜第3リニアソレノイドバルブ
91,92 第1および第2カットバルブ
Claims (1)
- 駆動力伝達を行う複数の動力伝達経路を有した動力伝達機構と、
前記動力伝達経路を選択するための複数の摩擦係合要素と、
前記摩擦係合要素への係合制御油圧の供給制御を行う油圧制御バルブとを有して構成され、
前記油圧制御バルブが、元圧供給源から供給されるライン圧を任意に調圧可能な複数のリニアソレノイドバルブと、ライン圧もしくは前記リニアソレノイドバルブにより調圧された変速制御油圧を選択的に前記摩擦係合要素に供給させるように油路選択を行う複数のシフトバルブおよび複数のカットバルブと、前記シフトバルブに作動制御油圧を供給してその作動を制御する複数のオン・オフソレノイドバルブとを備え、前記カットバルブは作動されたときに作動状態でセルフロックされる機能を有しており、
前記複数のオン・オフソレノイドバルブのオン・オフ作動の組み合わせに応じて前記複数のシフトバルブの作動を制御して油路選択を行い、前記複数の摩擦係合要素を選択作動させて複数の変速段を設定するように構成されており、
低速変速段および高速変速段を設定する前記複数のオン・オフソレノイドバルブのオン・オフ作動組み合わせが同一組み合わせパターンからなり、前記低速変速段において前記複数のカットバルブの作動状態およびセット状態のいずれか一方の状態が設定されるとともに前記高速変速段において前記複数のカットバルブの作動状態およびセット状態の他方の状態が設定されるようになっており、
中間変速段として複数の変速段が設定され、前記複数の中間変速段の異なる変速過程において前記複数のカットバルブが作動状態とセット状態とで順次切り換えられることを特徴とする自動変速機の変速制御装置。
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