JP2007290623A - 車両用フード構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】通常の使用状態での変形を防ぎ、かつエンジンフードの上方から衝突による衝撃が作用した場合に衝撃を良好に吸収することができる車両用フード構造を提供する。
【解決手段】車両用フード構造20は、フードアウタパネル32の裏面32a側にフードインナパネル33が設けられ、フードインナパネル33にストライカ27が設けられ、ストライカ27が取り付けられた取付部38bからフードアウタパネル32まで補強部材48を立ち上げたものである。この車両用フード構造20は、補強部材48に取付部38bからフードアウタパネル32に向けて補強用のビード54が設けられ、ビード54の深さを取付部38bからフードアウタパネル32に向けて段階的に異ならせたものである。
【選択図】図5

Description

本発明は、エンジンフードを形成するフードインナパネルからフードアウタパネルまで補強部材を立ち上げた車両用フード構造に関する。
車両用フード構造のなかには、エンジンフードをフードアウタパネルの裏面にフードインナパネルを取り付けて構成し、フードインナパネルの前端部をエンジンルーム側に隆起させ、隆起した部位にストライカが取り付けられ、ストライカの後方部位からフードアウタパネルに向けて立ち上げた後壁部に、車体上下方向に間隔をおいて複数のビードを車幅方向に沿って延設したものがある(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−119512公報
この車両用フード構造によれば、エンジンフードを閉じた際に、ストライカにフードロックのラッチを係止することでエンジンフードをロック状態に保つ。
そして、エンジンフードの上方から衝突による衝撃が作用した場合に、複数のビードを起点にして後壁部を潰すことにより、衝撃を吸収することが可能である。
しかし、特許文献1の車両用フード構造によれば、後壁部に複数のビードを車幅方向に沿って延設したので、後壁部は上方からの衝撃に対して比較的変形しやすい。
このため、例えば、通常の使用状態において、エンジンフードを閉じる際の衝撃で後壁部が変形してしまうことが考えられる。
加えて、エンジンフードの上方から衝突による衝撃が作用した場合に、複数のビードを起点にして後壁部全体が一気に潰れてしまうことが考えられる。
このように、後壁部全体が一気に潰れてしまうと、衝撃を良好に吸収することが難しい。
本発明は、通常の使用状態での変形を防ぐことが可能で、かつエンジンフードの上方から衝突による衝撃が作用した場合に衝撃を良好に吸収することができる車両用フード構造を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、フードアウタパネルの裏面側にフードインナパネルが設けられ、このフードインナパネルの前端部近傍にストライカが設けられ、このストライカが取り付けられた取付部から前記フードアウタパネルまで補強部材を立ち上げた車両用フード構造において、前記立ち上げられた補強部材に前記取付部から前記フードアウタパネルに向けて補強用のビードが設けられ、このビードの深さを前記取付部から前記フードアウタパネルに向けて段階的に異ならせたことを特徴とする。
請求項1に係る発明では、補強用のビードを取付部からフードアウタパネルに向けて延びるように補強部材に設けた。
よって、上下方向の衝撃に対する補強部材の剛性をビードで高めることができる。
これにより、通常の使用状態において、例えば、エンジンフードを閉じる際の衝撃で補強部材が変形することを防ぐことができるという利点がある。
ここで、ビードの深さを、取付部からフードアウタパネルに向けて段階的に異ならせた。ビードの深さを段階的に異ならせることで、ビードの剛性を段階的に異ならせることが可能になった。
よって、エンジンフードの上方から衝突による衝撃が作用した場合に、補強部材全体を一気に潰さないで、補強部材の各部位を段階的に変形させて潰すことができる。
補強部材の各部位を段階的に変形させることで、それぞれの部位が変形する毎に衝撃を段階的に吸収することができる。
このように、衝撃を段階的に吸収することで、衝撃を徐々に減少させることが可能になり、衝撃を良好に吸収することができるという利点がある。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は作業者から見た方向に従い、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
図1は本発明に係る車両用フード構造を備えた車両を示す斜視図である。
車両10は、車体前部にバンパーフェイス11が車幅方向を向いて設けられ、バンパーフェイス11の中央上側にフロントグリル12が設けられ、フロントグリル12の左側辺に隣接して左ヘッドライト13が設けられ、左ヘッドライト13から車体後方に向けて左フロントフェンダ14が設けられ、フロントグリル12の右側辺に隣接して右ヘッドライト15が設けられ、右ヘッドライト15から車体後方に向けて右フロントフェンダ16が設けられ、左右のフロントフェンダ間に車両用フード構造20が設けられている。
図2は図1の2−2線断面図である。
車両10は、フロントグリル12の車体後方にコンデンサ21およびラジエータ22が設けられ、ラジエータ22の車体後方にフロントバルクヘッド23が設けられ、フロントバルクヘッド23にフードロック機構24が設けられている。
フロントグリル12の上部からフロントバルクヘッド23の上部に渡ってグリルカバー25が設けられ、グリルカバー25の開口25aからフードロック機構24のストライカ27がフロントバルクヘッド23の上部まで突出している。
このストライカ27にフードロック機構24のフック24aを係止することで、車両用フード構造20を閉じた位置に係止する。
車両用フード構造20は、エンジンフード31がフードアウタパネル32の裏面32a側にフードインナパネル33を設けることで形成され、フードインナパネル33の前端部33aに隆起部35が形成され、隆起部35の頂部36に取付ブラケット38を介してストライカ27が下向きに取り付けられ、取付ブラケット38とフードアウタパネル32との間に支え部材41が設けられている。
図3は本発明に係る車両用フード構造の支え部材を示す斜視図である。
なお、図3においては支え部材41の理解を容易にするためにフードアウタパネル32を外した状態で示す。
フードインナパネル33に備えた隆起部35の頂部36に開口部36aが形成され、この開口部36aに合わせて取付ブラケット38が頂部36の裏面に接合されている。
取付ブラケット38は、矩形状に形成された板材で、中央に車幅方向に延びる開口部38aが形成され、開口部38aの前後側にストライカ27の前後の端部27a,27bがそれぞれ取り付けられている。
よって、ストライカ27は、車体前後方向を向いた状態で、下方に突出するように取付ブラケット38に設けられている。
取付ブラケット38の開口部38aは、隆起部35の頂部36に形成された開口部36aに重なるように配置される。
支え部材41は、フードアウタパネル32の前端部32bにおいて裏面32a(図2参照)に天井壁42が接合され、天井壁42の後左右の辺42a,42bから左右の後壁44,45がそれぞれ車体後方に向けて斜め下方に折り曲げられ、左後壁44の内外の脚部44a,44bが隆起部35の裏面に接合され、右後壁45の内外の脚部45a,45bが隆起部35の裏面に接合され、天井壁42の中央に補強部材48が設けられている。
天井壁42は、前辺42cが車体幅方向に延びるように略直線状に形成され、前辺42cの左右端部から左右辺42d,42eが車体後方にそれぞれ延び、左辺42dから略中央まで後左辺42aが延び、右辺42eから略中央まで後右辺42bが延び、後左右の辺42a,42b間に略コ字状に凹んだ凹辺42fが形成されている。
左後壁44は、アーチ状に形成され、内外の下端部から車体後方に向けて脚部44a,44bがそれぞれ略水平に折り曲げられている。
内外の脚部44a,44bのうち、内脚部44aが取付ブラケット38の裏面に接合され、外脚部44bが隆起部35の裏面に接合されている。
右後壁45は、左後壁44と同様に、アーチ状に形成され、内外の下端部から車体後方に向けて脚部45a,45bがそれぞれ略水平に折り曲げられている。
内外の脚部45a,45b のうち、内脚部45aが取付ブラケット38の裏面に接合され、外脚部45bが隆起部35の裏面に接合されている。
補強部材48は、凹辺42fの底辺42gから補強本体51が車体後方に向けて斜め下方に折り曲げられ、補強本体51の下端部51aからベース部52が車体方向に向けて略水平に折り曲げられている。
ベース部52は、取付ブラケット38のうち、ストライカ27の前端部(以下、「ストライカ前端部」という)27aが取り付けられた前取付部(取付部)38bに接合されている。
すなわち、補強部材48は、ストライカ27の前端部27aが取り付けられた前取付部38bからフードアウタパネル32まで車体前方に向けて斜め上方に立ち上げられた部材である。
図4は本発明に係る補強部材を拡大した状態を示す斜視図、図5は図2の5部拡大図である。
補強本体51は、縦長に形成された略矩形状の板材で、下端部51aからL1寸法だけ上方の第1中間位置51bを起点にして、上端部51cまで補強用のビード54が延びている。
よって、上下方向の衝撃に対する補強部材48の剛性をビード54で高めることができる。
これにより、通常の使用状態において、例えば、エンジンフード31を閉じる際の衝撃で補強部材48が変形することを防ぐことができる。
ビード54は、補強部材48の剛性を増すために、補強本体51の幅方向中央に長手方向に沿って形成された溝である。
このビード54は、中間部位58に形成された下ビード部55と、上部位59に形成された上ビード部56とからなる。
すなわち、下ビード部55は、第1中間位置51bから第2中間位置51dまでの中間部位58に形成されている。第2中間位置51dは、第1中間位置51bからL2寸法だけ上方の位置である。
この下ビード部55は、ビード深さH1が小さな断面略コ字状の溝部である。
上ビード部56は、第2中間位置51dから上端部51cまでの上部位59に形成されている。
この上ビード部56は、ビード深さH2が大きな断面略コ字状の溝部である。
ビード54は、下ビード部55のビード深さH1と、上ビード部56のビード深さH2とを異ならせることで、ビード54の深さを前取付部38bからフードアウタパネル32に向けて段階的に異ならせたものである。
ビード54の深さを段階的に異ならせることで、ビード54の剛性を段階的に異ならせることが可能になった。
具体的には、上下のビード部56,55のビード深さH2,H1の関係を、H2>H1とすることで、上ビード部56に対して下ビード部55の剛性を低くする。
よって、上ビード部56が設けられた上部位59に対して、下ビード部55が設けられた中間部位58が変形して潰れやすくなる。
ここで、下端部51aから第1中間位置51bまでの下部位57にはビード54が形成されていない。このため、下部位57は、中間部位58と比較して変形しやい(潰れやすい)部位となる。
すなわち、補強本体51は、上端部51cに上方から衝撃が作用した場合に、下部位57が最も変形しやすく、つぎに中間部位58が変形しやすく、上部位59が最も変形し難いように形成されている。
ところで、第1中間位置51bの下側はビード54が形成されていない下部位57で、第1中間位置51bの上側は下ビード部55が形成された中間部位58である。
よって、補強本体51は、第1中間位置51bにおいて断面形状が大きく異なる。
また、第2中間位置51dの下側は下ビード部55が形成された中間部位58で、第2中間位置51dの上側は上ビード部56が形成された上部位59である。
よって、補強本体51は、第2中間位置51dにおいて断面形状が大きく異なる。
第1、第2の中間位置51b,51dに応力が集中した場合、まず第1中間位置51bが変形し、つぎに第2の中間位置51dが変形する。
これにより、エンジンフード31の上方から衝突による衝撃が作用した場合に、まず第1中間位置51bが変形して下部位57が潰れる。
つぎに、第2中間位置51dが変形して中間部位58が潰れ、最後に上部位59が潰れる。
したがって、エンジンフード31の上方から衝突による衝撃が作用した場合に、補強部材48全体を一気に潰さないで、補強部材48の各部位57,58,59などを段階的に変形させて潰すことができる。
補強本体51の下端部には、ベース部52が設けられている。
ベース部52は、左右の端部52a,52bがストライカ前端部27aの左右側にそれぞれ配置されるとともに取付ブラケット38に接合され、中央部52cが上方に隆起するように折り曲げられてストライカ前端部27a上方に配置される。
中央部52cをストライカ前端部27a上方に逃がすことで、左右の端部52a,52bをストライカ前端部27aの左右側の部位に接合することができる。
つぎに、車両用フード構造20の補強部材48で衝撃を吸収する例を図6〜図7に基づいて説明する。
図6(a),(b)は本発明に係る車両用フード構造の補強部材に衝撃が作用する例を説明する図である。
(a)において、エンジンフード31の上方から、障害物60がフードアウタパネル32の前端部32b(補強部材48の上端部51c)に衝突する。補強部材48の上端部51cに矢印F1の如く衝撃が作用する。
衝撃F1が補強部材48の上端部51cに作用することで、補強部材48の補強本体51は、まず第1中間位置51bが矢印Aの如く変形する。
(b)において、第1中間位置51bが変形して下部位57が潰れる。
つぎに、第2中間位置51dが矢印Bの如く変形する。
これにより、障害物60に作用する衝撃がある程度吸収されて衝撃F2に減少する。
フードアウタパネル32の前端部32bが変形して僅かに凹む。
図7(a),(b)は本発明に係る車両用フード構造の補強部材が衝撃で変形する例を説明する図である。
(a)において、第2中間位置51dが変形して中間部位58が潰れる。
これにより、障害物60に作用する衝撃がさらに吸収されて衝撃F3に減少する。
フードアウタパネル32の前端部32bはさらに変形して凹む。
中間部位58が潰れた後、上部位59が矢印Cの如く変形して潰れる。
(b)において、上部位59が変形して潰れることで、障害物60に作用する衝撃を十分に吸収する。
フードアウタパネル32の前端部32bはさらに変形して凹む。
このように、エンジンフード31の上方から衝突による衝撃が作用した場合に、補強部材48全体を一気に潰さないで、補強部材48の各部位57,58,59などを段階的に変形させて潰すことができる。
補強部材48の各部位57,58,59などを段階的に変形させることで、それぞれの部位57,58,59などが変形する毎に衝撃を段階的に吸収することができる。
このように、衝撃を段階的に吸収することで、衝撃を徐々に減少させることが可能になり、障害物60に作用する衝撃を良好に吸収することができる。
なお、前記実施の形態では、ビード54を断面略コ字状の溝部に形成した例について説明したが、これに限らないで、ビード54を断面略V字状やU字状などの他の形状の溝部や凸部に形成することも可能である。
また、前記実施の形態では、ビード54の深さをフードインナパネル33側からフードアウタパネル32に向けて段階的に深くする例について説明したが、これに限らないで、ビード54の深さをフードインナパネル33側からフードアウタパネル32に向けて段階的に浅くすることも可能である。
本発明は、エンジンフードを形成するフードインナパネルからフードアウタパネルまで補強部材を立ち上げた車両用フード構造を備えた自動車への適用に好適である。
本発明に係る車両用フード構造を備えた車両を示す斜視図である。 図1の2−2線断面図である。 本発明に係る車両用フード構造の支え部材を示す斜視図である。 本発明に係る補強部材を拡大した状態を示す斜視図である。 図2の5部拡大図である。 本発明に係る車両用フード構造の補強部材に衝撃が作用する例を説明する図である。 本発明に係る車両用フード構造の補強部材が衝撃で変形する例を説明する図である。
符号の説明
20…車両用フード構造、27…ストライカ、31…エンジンフード、32…フードアウタパネル、32a…裏面、33…フードインナパネル、33a…前端部、38b…取付部、48…補強部材、54…ビード、H1,H2…ビード深さ。

Claims (1)

  1. フードアウタパネルの裏面側にフードインナパネルが設けられ、このフードインナパネルの前端部近傍にストライカが設けられ、このストライカが取り付けられた取付部から前記フードアウタパネルまで補強部材を立ち上げた車両用フード構造において、
    前記立ち上げられた補強部材に前記取付部から前記フードアウタパネルに向けて補強用のビードが設けられ、
    このビードの深さを前記取付部から前記フードアウタパネルに向けて段階的に異ならせたことを特徴とする車両用フード構造。
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