JP2007289129A - シュガーレスチューイングソフトキャンディおよびその製法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】糖アルコールを主成分として含む糖質を含むチューイングソフトキャンディベースに、前記糖アルコールと同じ糖アルコールおよび/または異なる糖アルコールを使用したフォンダンを必須成分としてその結晶を損なうことなく所定量配合してなるシュガーレスチューイングソフトキャンディであって、チューイング性を表す破断強度、付着強度および引張強度が、製造後、長期間保存してもいずれもそれぞれ所定の範囲内に維持されるシュガーレスチューイングソフトキャンディにより課題を解決できる。
【選択図】図1
Description
すなわちキャンディは砂糖や水飴などの糖類に乳製品、油脂、果汁、澱粉、小麦粉、酸味料、気泡剤、結合剤、ゲル化剤、香料、着色料、などの副原料を所要に応じて適宜加えて煮詰めるのであるが、高温で加熱して水分含量を1から2質量%程度に調製して、硬く仕上げたものをハードキャンディと称し、ドロップ、タフィー、ブリットル、あめ玉などを代表例に挙げることができる。
糖アルコールの粉末を使用したソフトキャンディが多数提案されている(特許文献1〜5参照)。
一方、砂糖による虫歯や血糖値上昇などを防ぐ目的でメソーエリスリトールを用いたフォンダン(特許文献6参照)、キシリトールを用いたフォンダン(特許文献7参照)、マルチトールを用いたフォンダン(特許文献8参照)、ラクチトールを用いたフォンダン(特許文献9参照)などの糖アルコールを用いたフォンダンが提案されている。
しかし、マンニトールは結晶化が速いために粗大結晶となり、砂糖フォンダンに匹敵するなめらかさを有するマンニトールフォンダンが得られない上、水への溶解度が低いので結晶濃度が高くならず、適度な性状安定性を備えたマンニトールフォンダンが得られていなかった。
そこでこの状況に鑑み、本発明者は、先に砂糖フォンダンに匹敵するなめらかさおよび性状安定性を備えたマンニトールフォンダンおよびそのようなマンニトールフォンダンを容易に製造する方法を提案した(特許文献10参照)。
従来、糖アルコールのフォンダン(平均粒子径約30μm以下の微細結晶からなり砂糖フォンダンに匹敵するなめらかさおよび性状安定性を備えた半流動性物質)、特にマンニトールを用いたフォンダンを使用して、長期間保存後も糖アルコールの結晶粗大化を起こさず、チューイング性や弾力性を保持でき、食味・食感を維持できるシュガーレスチューイングソフトキャンディはなかった。
本発明の第2の目的は、そのような新規シュガーレスチューイングソフトキャンディを容易に製造できる方法を提供することである。
糖アルコールを主成分として含む糖質を含むチューイングソフトキャンディベースに、前記糖アルコールと同じ糖アルコールおよび/または異なる糖アルコールを使用したフォンダンを必須成分としてその結晶を損なうことなく所定量配合してなるシュガーレスチューイングソフトキャンディであって、
チューイング性を表す破断強度、付着強度および引張強度が、製造後、長期間保存してもいずれもそれぞれ所定の範囲内に維持されることを特徴とする。
前記チューイングソフトキャンディベースに、前記糖アルコールを使用したフォンダン(平均粒子径約30μm以下の微細結晶からなり砂糖フォンダンに匹敵するなめらかさおよび性状安定性を備えた半流動性物質)をその結晶を損なうことなく所定量配合してなるものであるので、製造後、長期間保存しても糖アルコールの結晶粗大化を起こさず、優れた食味・食感が維持されるとともに、チューイング性を表す破断強度、付着強度および引張強度がいずれもそれぞれ所定の範囲内に維持され、優れたチューイング性および弾力性が維持されるという顕著な効果を奏する。
図1は本発明で用いるマンニトールフォンダンの1例の顕微鏡写真である。
図1において本発明で用いるマンニトールフォンダン1は、マンニトールを主成分とする針状微細結晶2およびこの針状微細結晶2の周辺に存在するマンニトール以外の結晶析出調整剤としての非結晶性糖質3からなっている。非結晶性糖質3を必須成分として所定量添加して結晶析出調整剤として用いたので、マンニトールの結晶化速度を調整できた結果、マンニトールを主成分とする針状微細結晶2を得ることができ、マンニトールフォンダン1は結晶濃度が高く、かつ砂糖フォンダンに匹敵するなめらかさおよび性状安定性を備えている。
マンニトールの質量比が80を越えると、その結晶性の良さと溶解度の低さから結晶化速度が速く粗大結晶が析出してフォンダンがざらつき、固くなり砂糖フォンダンに匹敵する実用性に欠けるので好ましくない。一方、マンニトールの質量比が10を下回ると、結晶濃度が低く良好なフォンダンにならない。
非結晶性糖質の例としては、具体的には水飴、還元水飴、還元麦芽糖水飴、カップリングシュガー、オリゴ糖類(例えば、乳果オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖など)などの他に、グルコマンナン、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、セルロース、アラビアガム、プルラン、寒天、ビートファイバー、アルギン酸ナトリウムなどの食物繊維、デンプン、プルラン、デキストリンなどの多糖類が挙げられる。
マンニトールに前記非結晶性糖質と水を必須成分として所定量加えて混合液とした後、この混合液を昇温して各成分を均一に溶解しそして煮詰めた後、約95℃程度の所定の温度まで冷却し、冷却を続けながら高速攪拌下に約30分〜約1時間微細な結晶が得られるまで続けて、マンニトールを主成分とする平均長さ30μm以下の針状微細結晶を得ることにより、砂糖フォンダンに匹敵するなめらかさおよび性状安定性を備えた結晶濃度の高いマンニトールフォンダンが得られる。
測定機器:サン科学社製、SUN RHEO METER、モデル:COMPAC−100
アダプター:破断強度・付着強度にはアダプターNo.35を使用し、引張強度にはアダプターNo.36(特注)を使用する。
試料重量:1.2g
上記試料を直径9mm×高さ10mmの円柱に成型し、25℃の環境下において試料の中央部に前記アダプターを速度1mm/sで当接して剪断破断していく。その際の強度を縦軸に、横軸に時間を記載したグラフを作成し、このグラフから試料の破断時の強度の最低値および最高値を求める。
上記試料を直径9mm×高さ10mmの円柱に成型し、25℃の環境下において試料の中央部に前記アダプターを速度1mm/sで当接して剪断破断させた後、アダプターを同じ速度で戻す。この際にアダプターに試料が付着する強度を縦軸に、横軸に時間を記載したグラフを作成し、このグラフから試料の付着時の強度の最低値および最高値を求める。
上記試料を直径7mm×高さ20mmの円柱に成型し、30℃の環境下において試料の両端部を前記アダプターではさみ、速度1mm/sでアダプターの一方を引っ張り、その際の強度を縦軸に、横軸に時間を記載したグラフを作成し、このグラフから試料の切断時の強度の最低値および最高値を求める。
付着強度は0Nでもよいが11Nを超えると歯へ付着し過ぎる恐れがある。
同様に引張強度が5N未満であると、チューイング性が劣る恐れがあり、50Nを超えると弾性が強過ぎて噛み切れない恐れがある。
糖アルコールを用いたフォンダンの配合量がこの範囲外であると食味・食感およびチューイング性を表す破断強度、付着強度および引張強度が、長期間保存した際に維持されない恐れがある。
先ず、糖アルコールを主成分として含む糖質に加水をして加温しながら煮詰め温度まで糖液を煮詰め、その後冷却しながら油脂、乳化剤、水で膨潤させたゼラチン、香料、酸味料、たんぱく質などを加え混合した後、50〜70℃まで冷却してソフトキャンディベースを調製し、このソフトキャンディベースに、前記糖アルコールと同じ糖アルコールおよび/または異なる糖アルコールのフォンダンを所定量配合・混合してソフトキャンディ生地とする。そしてこのソフトキャンディ生地をシート状にして30℃程度まで冷却後、カットしてソフトキャンディを得る。
逆に、本発明の製法において、50℃未満で例えば30℃まで冷却したソフトキャンディベースに、糖アルコールのフォンダンを配合・混合しようとすると、フォンダンが混じり難い上、混合時の剪断力により糖アルコールのフォンダンの結晶が損なわれる恐れがあり、その結果、食味・食感およびチューイング性を表す破断強度、付着強度および引張強度が、長期間保存した際に、維持されない恐れがある。
グルコース(ブドウ糖)からソルビトール、マンノースからマンニトール、エリスロースからエリスリトール、果糖(フルクトース)からソルビトールとマンニトールがえられる。
これらは単独で使用することもできるが、2つ以上の混合物を使用することもできる。
しかし、L−マンニトールやD,L−マンニトールは天然界に存在せず、現時点では合成も難しく入手困難であるのに対して、D−マンニトールは下記のように日本において食品添加物として認可されており、安全性が高く、市販品もあり容易に入手できるので、本発明において好ましく使用できる。
(実施例1)
糖質としてマンニトール粉末8質量部、還元麦芽糖水飴75質量部を混合して十分量の水を加え煮詰め温度140℃まで加温する。煮詰め温度到達後に糖質100質量部に対して油脂としてショートニング5質量部、乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル1.8質量部を入れて混合し、3倍量の水で膨潤させたゼラチン水溶液8.8質量部を加えて混合し、適宜香料、色素、酸味料を加えた後、60℃まで冷却しソフトキャンディベースを調製した。
そして、この60℃まで冷却したソフトキャンディベースに別途前記特許文献10に従って調製したマンニトールフォンダンを7質量部加えて混合し、ソフトキャンディ生地を調製した。このソフトキャンディ生地をシート状にして30℃まで冷却後、一口大にカットし、本発明のシュガーレスチューイングソフトキャンディ(A)を作った。
糖質としてマンニトール粉末8質量部、還元水飴(HS−20:(株)林原製)75質量部を混合して十分量の水を加え煮詰め温度125℃まで加温する。煮詰め温度到達後に糖質100質量部に対して油脂としてショートニング5質量部、乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル1.8質量部を入れて混合し、3倍量の水で膨潤させたゼラチン水溶液8.8質量部を加えて混合し、適宜香料、色素、酸味料を加えた後、60℃まで冷却しソフトキャンディベースを調製した。
そして、この60℃まで冷却したソフトキャンディベースに別途前記特許文献10に従って調製したマンニトールフォンダンを15質量部加えて混合し、ソフトキャンディ生地を調製した。このソフトキャンディ生地をシート状にして30℃まで冷却後、一口大にカットし、本発明のシュガーレスチューイングソフトキャンディ(B)を作った。
前記の試験法により、本発明のシュガーレスチューイングソフトキャンディ(B)の製造直後およびアルミ袋で密閉し37℃、80%RHの条件下で恒温高湿機中に35日保管した後の破断強度、付着強度および引張強度を10回測定し、その最低値と最高値を表1に示す。
糖質としてキシリトール粉末8質量部、還元水飴HS−20 75質量部を混合して十分量の水を加え煮詰め温度130℃まで加温する。煮詰め温度到達後に油脂としてショートニング5質量部、乳化剤としてショ糖脂肪酸エステル1.8質量部を入れて混合し、3倍量の水で膨潤させたゼラチン水溶液8.8重量部を加えて混合し、適宜香料、色素、酸味料を加えた後60℃まで冷却してソフトキャンディベースを調製した。
そして、このソフトキャンディベースに別途公知の方法に従って調製したキシリトールとソルビトールのフォンダンを7質量部加えて混合しソフトキャンディ生地を調製した。このソフトキャンディ生地をシート状にして30℃まで冷却後、一口大にカットし、本発明のシュガーレスチューイングソフトキャンディ(D)を作った。
前記の試験法により、本発明のシュガーレスチューイングソフトキャンディ(D)の製造直後およびアルミ袋で密閉し37℃、80%RHの条件下で恒温恒湿機中に35日保管した後の破断強度、付着強度および引張強度を10回測定し、その最低値と最高値を表1に示す。
実施例1で使用したマンニトールフォンダンの替わりにマンニトール粉末[マンニトール粉末(商品名)、東和化成工業(株)製]を用いた以外は実施例1と同様にして比較のためのシュガーレスチューイングソフトキャンディ(C)を作り、実施例1と同様にして破断強度、付着強度および引張強度を10回測定し、その最低値と最高値を表1に示す。
それに対して比較例1のマンニトールフォンダンの替わりにマンニトール粉末を用いたシュガーレスチューイングソフトキャンディ(C)は製造後、長期間保存すると糖アルコールの結晶粗大化が起こり、破断強度は20〜95Nの範囲内にあるものの高くなる傾向にあり、その結果固くなることが判る。また付着強度は11N以下に維持されるが、引張強度が所定の範囲に維持されず、その結果、チューイング性に劣ることが判る。
評価結果:◎;20℃、66%RHに保管品したシュガーレスチューイングソフ
トキャンディ(A)に比べ食味・食感が変化なし。
○;20℃、66%RHに保管品したシュガーレスチューイングソフ
トキャンディ(A)に比べ食味・食感が変化を起こしかけている。
△;20℃、66%RHに保管品したシュガーレスチューイングソフ
トキャンディ(A)に比べ食味・食感が確実に変化をしているのが判る。
×;20℃、66%RHに保管品したシュガーレスチューイングソフ
トキャンディ(A)に比べて食味・食感が変わってしまった。
しかし、比較例1のシュガーレスチューイングソフトキャンディ(C)は、7日で20℃66%RH保管品に比べて変化を起こしかけており、14〜28日で20℃66%RH保管品に比べて確実に変化を起こしており、35日で20℃66%RH保管品に比べて、糖アルコールの結晶粗大化により、食感は固く、かつ、ポサポサになり食味・食感が変わってしまい、保存安定性に劣ることが判った。
前記特許文献2の実施例1に記載の方法に従ってチューイングキャンディー(E)を調製した。
すなわち、還元澱粉糖化物(BX=700)500gとマルチトールシロップ(BX=750)450gおよびマンニトール200gを加え、加熱撹拌しながら完全に溶解する。これに乳化剤3.0gを植物硬化油80gに溶解したものを添加し、温度が約130〜約135℃になるまで煮詰め、チューイングキャンディーベース1,000gを調製した。これを約70〜約80℃に保温したニーダーに入れ、水30gにゼラチン20gを溶解したものを加え良く混捏し、結晶を充分析出させた。
さらに、クエン酸15g、オレンジフレーバー1.5gおよびβ−カロチン色素製剤2gを添加し良く混捏した。冷却後、成型、切断し、チューイングキャンディーを調製した。
2 針状微細結晶
3 非結晶性糖質
Claims (5)
- 糖アルコールを主成分として含む糖質を含むチューイングソフトキャンディベースに、前記糖アルコールと同じ糖アルコールおよび/または異なる糖アルコールを使用したフォンダンを必須成分としてその結晶を損なうことなく所定量配合してなるシュガーレスチューイングソフトキャンディであって、
チューイング性を表す破断強度、付着強度および引張強度が、製造後、長期間保存してもいずれもそれぞれ所定の範囲内に維持されることを特徴とするシュガーレスチューイングソフトキャンディ。 - 破断強度が25〜95N、付着強度が11N以下および引張強度が5〜50Nに維持されることを特徴とする請求項1記載のシュガーレスチューイングソフトキャンディ。
- 糖アルコールを使用したフォンダンが、マンニトールを主成分とする針状微細結晶およびマンニトール以外の結晶析出調整剤としての非結晶性糖質を必須成分として所定量含むマンニトールフォンダンであることを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載のシュガーレスチューイングソフトキャンディ。
- キャンディ中の前記フォンダンの配合量が1〜20質量%であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシュガーレスチューイングソフトキャンディ。
- 請求項1から請求項4のいずれかに記載のシュガーレスチューイングソフトキャンディの製法であって、
糖アルコールを主成分として含む糖質に加水して加熱して煮詰温度まで煮詰めた糖液を、冷却した後必要な添加物を添加・混合した後、50〜70℃に冷却してソフトキャンディベースを調製し、この50〜70℃に冷却したソフトキャンディベースに、前記糖アルコールと同じ糖アルコールおよび/または異なる糖アルコールを使用したフォンダンを所定量配合・混合し、必要に応じて適宜カットして製造することを特徴とするシュガーレスチューイングソフトキャンディの製法。
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