JP2007283649A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】キャリッジの移動による気流によって空吐出後のミストが影響を受けて飛散し、用紙にミストが付着して画像品質が低下しやすくなる。
【解決手段】駆動波形生成部401は、空吐出を行うときには、空吐出用駆動信号(を生成して出力し、空吐出用駆動波形で吐出させる画像形成に寄与しない液滴(空吐出用液滴)の滴速度Vj2は、印字用駆動波形で吐出させる画像形成に寄与する液滴(印字用液滴)に対し、印字用液滴の最大滴速度Vj1以上で、かつ、印字用液滴の最大滴速度Vj1の2倍以下、すなわち、Vj1≦Vj2≦2×Vj1の関係にある滴速度としている。
【選択図】図9

Description

本発明は画像形成装置に関し、特に液体吐出ヘッドを備える画像形成装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、これらの複合機等の画像形成装置として、例えば、記録液(液体)の液滴を吐出する液体吐出ヘッドで構成した記録ヘッドを含む液体吐出装置を用いて、媒体(以下「用紙」ともいうが材質を限定するものではなく、また、被記録媒体、記録媒体、転写材、記録紙なども同義で使用する。)を搬送しながら、液体としての記録液(以下、インクともいう。)を用紙に付着させて画像形成(記録、印刷、印写、印字も同義語で用いる。)を行なうものがある。
なお、画像形成装置は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与することをも意味する。また、液体とは記録液、インクに限るものではなく、画像形成を行うことができる液体であれば特に限定されるものではない。また、液体吐出装置とは、液体吐出ヘッドから液体を吐出する装置を意味する。
このような液体吐出ヘッドを備えて画像を形成する画像形成装置においては、記録液を吐出する記録ヘッドの性能を維持回復する機能が不可欠であることから、その一環として、印字待機時や高温、低湿環境下での印字、あるいは低頻度の印字によってノズル(吐出口)内で記録液が増粘してノズルの目詰まりを生じるおそれがある場合に対処するため、定期的にノズルから記録(画像形成)に寄与しない液滴(廃液となる液滴)を吐出することによって、増粘した記録液を排出するようにする空吐出動作が行なわれる。
特開2001−260375号公報
例えば、空吐出動作に関して、特許文献2には記録ヘッドがキャップ部材でキャッピングされていた時間を検出し、キャッピングが外れた直後に、検出された時間に応じて空吐出させるインク量を、印刷期間中にはキャッピングされていた時間に応じて空吐出間隔を決定するようにしたインクジェット記録装置が記載されている。
特許第3491662号公報
上述したように、液体吐出ヘッドを備えて多数のノズルからインクを吐出させて画像を形成する画像形成装置においては、高速印刷を行うために使用する記録液(インク)として速乾性があるものが使用されるようになっており、また、高品質印刷を行うためのノズルの小径化が図られている。その結果、ノズル内でインクが凝固してノズルの目詰まりが生じ易くなっている。
そこで、特許文献2などに記載されているように液体吐出ヘッドから画像形成に寄与しない液滴を吐出する空吐出動作が行われる。この空吐出動作を画像形成領域外で行うようにした場合、印刷速度の高速化を図るためには空吐出後直ちに液体吐出ヘッドを画像形成可能な状態に戻す、例えばシリアル型画像形成装置にあっては、液体吐出ヘッドを搭載したキャリッジを移動させて、印刷を開始できることが好ましい。
ところが、液体吐出ヘッドを搭載するキャリッジの移動速度が高速になるほど、キャリッジの移動による気流によって空吐出後のインクミストが影響を受けて飛散し、画像形成領域まで到達して、用紙にミストが付着して画像品質が低下することになる。また、インクミストがキャリッジの移動量を検出するためのエンコーダスケールなどに付着すると、キャリッジの正確な移動量検出ができなくなり、この点でも画像品質の低下を招くようになるという課題が生じる。
特に上述したように高速印刷のための速乾性のインクを使用するほど、ノズルの目詰まりが生じ易くなり、空吐出動作の回数も増えることから、インクミストの飛散が生じ易くなる。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、ミストの飛散を低減するとともに確実に回復を行うことができる画像形成装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、記録液の液滴を吐出する液体吐出ヘッドから画像形成に寄与しない液滴を吐出させるとき、画像形成に寄与する液滴を吐出するときの最大滴速度以上で、かつ、最大滴速度の2倍以下の滴速度の液滴を吐出させる構成とした。
ここで、液体吐出ヘッドから画像形成に寄与しない液滴を吐出させるとき、画像形成に寄与する液滴を吐出するときの最大滴体積よりも大きな滴体積の液滴を吐出させる構成とできる。また、液体吐出ヘッドから画像形成に寄与しない液滴を吐出させるとき、複数滴が飛翔中に合体して1つの滴になる構成とできる。
また、液体吐出ヘッドから画像形成に寄与しない液滴を吐出させたときから液体吐出ヘッドが移動するまでの間に待ち時間がある構成とすることができ、待ち時間は液体吐出ヘッドの使用状況に応じて可変する構成、或いは、待ち時間は印刷モードに応じて可変する構成とできる。
また、液体吐出ヘッドの液滴吐出面側表面には撥水処理が施されていることが好ましい。
本発明に係る画像形成装置によれば、記録液の液滴を吐出する液体吐出ヘッドから画像形成に寄与しない液滴を吐出させるとき、画像形成に寄与する液滴を吐出するときの最大滴速度以上で、かつ、最大滴速度の2倍以下の滴速度の液滴を吐出させる構成としたので、増粘した記録液を吹き飛ばす効果が高くなって確実に回復を行うことができるとともに、滴速度が速いことで気流の影響を受けにくくなりミストの飛散が低減する。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。図1は本発明に係る画像形成装置の一例を示す同画像形成装置を前方側から見た斜視説明図である。
この画像形成装置は、装置本体1と、装置本体1に装着された用紙を装填するための給紙トレイ2と、装置本体1に着脱自在に装着されて画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ3とを備えている。さらに、装置本体1の前面の一端部側(給排紙トレイ部の側方)には、前面から装置本体1の前方側に突き出し、上面よりも低くなったインクカートリッジを装填するためのカートリッジ装填部4を有し、このカートリッジ装填部4の上面は操作ボタンや表示器などを設ける操作/表示部5としている。
このカートリッジ装填部4には、色の異なる記録液(インク)、例えば黒(K)インク、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インクをそれぞれ収容した複数の記録液カートリッジであるインクカートリッジ10k、10c、10m、10y(色を区別しないときは「インクカートリッジ10」という。)を、装置本体1の前面側から後方側に向って挿入して装填可能とし、このカートリッジ装填部4の前面側には、インクカートリッジ10を着脱するときに開く前カバー(カートリッジカバー)6を開閉可能に設けている。
また、操作/表示部5には、各色のインクカートリッジ10k、10c、10m、10yの装着位置(配置位置)に対応する配置位置で、各色のインクカートリッジ10k、10c、10m、10yの残量がニアーエンド及びエンドになったことを表示するための各色の残量表示部11k、11c、11m、11yを配置している。さらに、この操作/表示部5には、電源ボタン12、用紙送り/印刷再開ボタン13、キャンセルボタン14も配置している。
次に、この画像形成装置の機構部について図2及び図3を参照して説明する。なお、図2は同機構部の全体構成を説明する概略構成図、図3は同機構部の要部平面説明図である。
図示しない左右の側板間に横架したガイド部材であるガイドロッド21とステー22とでキャリッジ23を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ24によって駆動プーリ25と従動プーリ26間に架け渡したタイミングベルト27を介して図3で矢示方向(キャリッジ走査方向:主走査方向)に移動走査する。
このキャリッジ23には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド31k、31c、31m、31y(区別しないときは「記録ヘッド31」という。)を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド31を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、液滴を吐出するための圧力を発生する圧力発生手段として備えたものなどを使用できる。また、インクジェットヘッドとしては、複数のノズルを並べてノズル列を複数列有し、各ノズル列から同じ色の液滴を吐出する構成であっても、異なる色の液滴を吐出する構成であってもよい。
また、キャリッジ23には、記録ヘッド31に各色のインクを供給するための各色のサブタンク32を搭載している。この各色のサブタンク32には各色のインク供給チューブを介して、カートリッジ装填部4に装着された各色のインクカートリッジ10から各色のインクが補充供給される。
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)41上に積載した用紙42を給紙するための給送手段である給紙部として、用紙積載部41から用紙42を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)43及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド44を備え、この分離パッド44は給紙コロ43側に付勢されている。
そして、この給紙部から給紙された用紙42を記録ヘッド31の下方側に送り込むために、用紙42を案内するガイド部材45と、カウンタローラ46と、搬送ガイド部材47と、先端加圧コロ49を有する押さえ部材48とを備えるとともに、給送された用紙42を静電吸着して記録ヘッド31に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト51を備えている。
この搬送ベルト51は、無端状ベルトであり、搬送ローラ52とテンションローラ53との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。この搬送ベルト51は、例えば、抵抗制御を行っていない純粋な厚さ40μm程度の樹脂材、例えばETFEピュア材で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。
そして、この搬送ベルト51の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ56を備えている。この帯電ローラ56は、搬送ベルト51の表層に接触し、搬送ベルト51の回動に従動して回転するように配置され、加圧力として軸の両端に所定の押圧力をかけている。なお、搬送ローラ52はアースローラの役目も担っており、搬送ベルト51の中抵抗層(裏層)と接触配置され接地している。
また、搬送ベルト51の裏側には、記録ヘッド31による印写領域に対応してガイド部材57を配置している。このガイド部材57は、上面が搬送ベルト51を支持する2つのローラ(搬送ローラ52とテンションローラ53)の接線よりも記録ヘッド35側に突出させることで搬送ベルト51の高精度な平面性を維持するようにしている。
この搬送ベルト51は、副走査モータ58によって駆動ベルト59及びプーリ60を介して搬送ローラ52が回転駆動されることによって図3のベルト搬送方向(副走査方向)に周回移動する。
さらに、記録ヘッド31で記録された用紙42を排紙するための排紙部として、搬送ベルト51から用紙42を分離するための分離爪61と、排紙ローラ62及び排紙コロ63とを備え、排紙ローラ62の下方に排紙トレイ3を備えている。
また、装置本体1の背面部には両面ユニット71が着脱自在に装着されている。この両面ユニット71は搬送ベルト51の逆方向回転で戻される用紙42を取り込んで反転させて再度カウンタローラ46と搬送ベルト51との間に給紙する。また、この両面ユニット71の上面は手差しトレイ72としている。
さらに、図3に示すように、キャリッジ23の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド31のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む維持回復機構81を配置している。
この維持回復機構81には、記録ヘッド31の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)82a〜82d(区別しないときは「キャップ82」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード83と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け84などを備えている。ここでは、キャップ82aを吸引用及び保湿用キャップ(以下「吸引用キャップ」という。)とし、他のキャップ82b〜82dは保湿用キャップとしている。
また、キャリッジ23の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け88を配置し、この空吐出受け88には記録ヘッド31のノズル列方向に沿った開口89a〜89dを設けている。
このように構成したインクジェット記録装置においては、給紙トレイ2から用紙42が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙42はガイド45で案内され、搬送ベルト51とカウンタローラ46との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド37で案内されて先端加圧コロ49で搬送ベルト51に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、図示しない制御部によってACバイアス供給部から帯電ローラ56に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト51が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト51上に用紙42が給送されると、用紙42が搬送ベルト51に吸着され、搬送ベルト51の周回移動によって用紙42が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ23を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド31を駆動することにより、停止している用紙42にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙42を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙42の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙42を排紙トレイ3に排紙する。
また、印字(記録)待機中にはキャリッジ23は維持回復機構81側に移動されて、キャップ82で記録ヘッド31がキャッピングされて、ノズルを湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、キャップ82で記録ヘッド31をキャッピングした状態で図示しない吸引ポンプによってノズルから記録液を吸引し(「ノズル吸引」又は「ヘッド吸引」という。)し、増粘した記録液や気泡を排出する回復動作を行う。
また、記録開始前、記録途中などに、空吐出受け84、88に向けて記録と関係しないインクを吐出する(画像形成に寄与しない液滴を吐出する)空吐出動作を行う。これによって、記録ヘッド31の安定した吐出性能を維持、回復する。
次に、この画像形成装置における記録ヘッドを構成する液体吐出ヘッドの一例について図4及び図5を参照して説明する。なお、図4は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図、図5は同ヘッドの液室短手方向(ノズルの並び方向)の断面説明図である。
この液体吐出ヘッドは、例えば単結晶シリコン基板を異方性エッチングして形成した流路板101と、この流路板101の下面に接合した例えばニッケル電鋳で形成した振動板102と、流路板101の上面に接合したノズル板103とを接合して積層し、これらによって液滴(インク滴)を吐出するノズル104が連通する流路であるノズル連通路105及び液室106、液室106にインクを供給するための共通液室108に連通するインク供給口109などを形成している。
また、振動板102を変形させて液室106内のインクを加圧するための圧力発生手段(アクチュエータ手段)である電気機械変換素子としての2列(図4では1列のみ図示)の積層型圧電素子121と、この圧電素子121を接合固定するベース基板122とを備えている。なお、圧電素子121の間には支柱部123を設けている。この支柱部123は圧電素子部材を分割加工することで圧電素子121と同時に形成した部分であるが、駆動電圧を印加しないので単なる支柱となる。
また、圧電素子121には図示しない駆動回路(駆動IC)に接続するためのFPCケーブル126を接続している。
そして、振動板102の周縁部をフレーム部材130に接合し、このフレーム部材130には、圧電素子121及びベース基板122などで構成されるアクチュエータユニットを収納する貫通部131及び共通液室108となる凹部、この共通液室108に外部からインクを供給するためのインク供給穴132を形成している。このフレーム部材130は、例えばエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成している。
ここで、流路板101は、例えば結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、ノズル連通路105、液室106となる凹部や穴部を形成したものであるが、単結晶シリコン基板に限られるものではなく、その他のステンレス基板や感光性樹脂などを用いることもできる。
振動板102は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、例えばエレクトロフォーミング法(電鋳法)で作製しているが、この他、金属板や金属と樹脂板との接合部材などを用いることもできる。この振動板102に圧電素子121及び支柱部123を接着剤接合し、更にフレーム部材130を接着剤接合している。
ノズル板103は各液室106に対応して直径10〜30μmのノズル104を形成し、流路板101に接着剤接合している。このノズル板103は、金属部材からなるノズル形成部材の表面に所要の層を介して最表面に撥水層を形成したものである。なお、このノズル板103の表面がノズル面31aとなる。
圧電素子121は、圧電材料151と内部電極152とを交互に積層した積層型圧電素子(ここではPZT)である。この圧電素子121の交互に異なる端面に引き出された各内部電極152には個別電極153及び共通電極154が接続されている。なお、この実施形態では、圧電素子121の圧電方向としてd33方向の変位を用いて液室106内インクを加圧する構成としているが、圧電素子121の圧電方向としてd31方向の変位を用いて加圧液室106内インクを加圧する構成とすることもできる。また、1つの基板122に1列の圧電素子121が設けられる構造とすることもできる。
このように構成した液体吐出ヘッドヘッドにおいては、例えば圧電素子121に印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電素子121が収縮し、振動板102が下降して液室106の容積が膨張することで、液室106内にインクが流入し、その後圧電素子121に印加する電圧を上げて圧電素子121を積層方向に伸長させ、振動板102をノズル104方向に変形させて液室106の容積/体積を収縮させることにより、液室106内の記録液が加圧され、ノズル104から記録液の滴が吐出(噴射)される。
そして、圧電素子121に印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板102が初期位置に復元し、液室106が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室108から液室106内に記録液が充填される。そこで、ノズル104のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与え方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。
ここで、この液体吐出ヘッドのノズル板103の表面に形成する撥水層について説明する。
撥水層を形成する材料としては、フッ素系化合物やシリコーン樹脂を含有する樹脂が良い。フッ素を含有する樹脂としては、PTFE、PFA、ETFEなどが知られているが、撥インク性の面からはPTFEが好ましい。また、インク中にフッ素系の添加物を含む場合は、ジメチルシリコーンの樹脂膜が好ましい。
具体的な撥水性材料としては、フッ素原子を有する有機化合物、特にフルオロアルキル基を有する有機物、ジメチルシリキサン骨格を有する有機ケイ素化合物等を挙げることができる。
フッ素原子を有する有機化合物としては、フルオロアルキルシラン、フルオロアルキル基を有するアルカン、カンボン酸、アルコール、アミン等が望ましい。具体的には、フルオロアルキルシランとしては、ヘプタデカフルオロ−1、1、2、2−テトラハイドロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1、1、2、2−テトラハイドロトリクロオシラン;フルオロアルキル基を有するアルカンとしては、オクタフルオロシクロブタン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオローnーヘキサン、パーフルオローnーヘプタン、テトラデカフルオロー2ーメチルペンタン、パーフルオロドデカン、パーフルオロオイコサン;フルオロオアルキル基を有するカルボン酸としては、パーフルオロデカン酸、パーフルオロオクタン酸;フルオロアルキル基を有するアルコールとしては、3、3、4、4、5、5、5−ヘプタフルオロー2ーペンタノール;フルオロアルキル基を有するアミンとしては、ヘプタデカフルオロ−1、1、2、2−テトラハイドロデシルアミン等が挙げられる。ジメチルシロキサン骨格を有する有機ケイ素化合物としては、α,w−ビス(3ーアミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α、w−ビス(3ーグリシドキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,w−ビス(ビニル)ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
また、別の撥水性材料として、シリコン原子を有する有機化合物、特にアルキルシロキサン基を有する有機化合物を挙げることができる。
アルキルシロキサン基を有する有機化合物としては、含アルキルシロキサンエポキシ樹脂組成物を構成する分子中にアルキルシロキサン基、及び環状脂肪族エポキシ基を2個以上有する含アルキルシロキサンエポキシ樹脂としては、例えば次の一般式(a)及び(b)で表される構造単位を含む高分子化合物(A)が挙げられる。
Figure 2007283649
上記のような構造を有する化合物は、他の撥水性化合物と併用する際にバインダーとしての機能も果たす。つまり、撥インク性の組成物の塗布適性を高め、溶剤蒸発後の乾燥性を高める乾燥塗膜としての作業性を向上させる機能も与える。
また、液体吐出ヘッドがフッ素系化合物を含む記録液を吐出する場合には、フッ素系樹脂では十分な撥水効果が得られないことが確認されているので、シリコーン樹脂を用いた樹脂層を形成することが好ましい。記録液にフッ素系化合物を含有することで動的表面張力を35mN/m以下にすることができ、動的表面張力が35mN/m以下の低い表面張力の記録液を用いることで用紙に対するインクの浸透速度が早くなり、特に、顔料系インクを用いた場合の乾燥時間の短縮化を図れるという効果がある。また、フッ素系界面活性剤を含有することによって発色性の良い画像形成が可能になる。
上述したシリコーン樹脂の塗布形成による撥水層以外にも、例えば次のような方法で撥水層を形成することができる。例えば、真空排気ポンプにて真空槽内を所定の真空度まで排気したのち、撥水性材料を400℃で気化せしめて真空槽に導入し、真空雰囲気を調整するとともに、高周波電源から放電電極に電力を供給してRFグロー放電を起こさせ、プラズマ雰囲気下に液体吐出ヘッドのノズル基材の表面に表面処理をして、ノズル基材表面上に撥水膜を形成することができる。この場合、材料及び真空槽内の真空度によっては、常温〜200℃程度の低温での撥水膜を形成することもできる。
また、例えば、撥水性材料を有機溶剤に溶解させ、ワイヤーバーやドクターブレードなどの治具でコーティングすることができるし、スピンコーターによって回転塗布することもできるし、スプレーによって塗布することもできるし、塗工液を満たした容器に浸漬塗工(ディッピング)することでも撥水層を形成することができる。
次に、この画像形成装置の制御部の概要について図6を参照して説明する。なお、同図は同制御部の全体ブロック説明図である。
この制御部は、この画像形成装置全体の制御を司る、本発明に係る空吐出動作に関する制御をする手段などを兼ねたマイクロコンピュータで構成した主制御部301及び印刷制御を司るマイクロコンピュータで構成した印刷制御部302とを備えている。
そして、主制御部301は、通信回路300から入力される印刷処理の情報に基づいて用紙42に画像を形成するために、前述したように、主走査モータ24や副走査モータ58を主走査モータ駆動回路303及び副走査モータ304を介して駆動制御するとともに、印刷制御部302に対して印刷用データを送出するなどの制御を行う。
また、主制御部301には、キャリッジ23の位置を検出するキャリッジ位置検出回路305からの検出信号が入力され、主制御部301はこの検出信号に基づいてキャリッジ23の移動位置及び移動速度を制御する。キャリッジ位置検出回路305は、例えばキャリッジ23の走査方向に配置されたエンコーダシートのスリット数を、キャリッジ23に搭載されたフォトセンサで読み取って計数することで、キャリッジ23の位置を検出する。主走査モータ駆動回路303は、主制御部301から入力されるキャリッジ移動量に応じて主走査モータ24を回転駆動させて、キャリッジ23を所定の位置に所定の速度で移動させる。
また、主制御部301には搬送ベルト51の移動量を検出する搬送量検出回路306からの検出信号が入力され、主制御部301はこの検出信号に基づいて搬送ベルト51の移動量及び移動速度を制御する。搬送量検出回路306は、例えば搬送ローラ52の回転軸に取り付けられた回転エンコーダシートのスリット数を、フォトセンサで読み取って計数することで搬送量を検出する。副走査モータ駆動回路304は、主制御部301から入力される搬送量に応じて副走査モータ58を回転駆動させて、搬送ローラ52を回転駆動して搬送ベルト51を所定の位置に所定の速度で移動させる。
主制御部301は、給紙コロ駆動回路307に給紙コロ駆動指令を与えることによって給紙コロ43を一回転させる。主制御部301は、維持回復機構駆動用モータ駆動回路308を介して維持回復機構81のモータ221を回転駆動することにより、前述したようにキャップ82の昇降、ワイパーブレード83の昇降、吸引ポンプの駆動などを行わせる。
主制御部301は、インク供給モータ駆動回路311を介して供給ユニットのポンプを駆動するためのインク供給モータを駆動制御し、カートリッジ装填部4に装填されたインクカートリッジ10からサブタンク32に対してインクを補充供給する。このとき、主制御部301には、サブタンク32が満タン状態にあることを検知するサブタンク満タンセンサ312からの検知信号に基づいて補充供給を制御する。
また、主制御部301は、カートリッジ通信回路314を通じて、カートリッジ装填部4に装着された各インクカートリッジ10に設けられる記憶手段である不揮発性メモリ316に記憶されている情報を取り込んで、所要の処理を行って、本体記憶手段である不揮発性メモリ(例えばEEPROM)315に格納保持する。
また、主制御部301には、環境温度、環境湿度を検知する環境センサ313からの検知信号が入力される。
印刷制御部302は、主制御部301からの信号とキャリッジ位置検出回路305及び搬送量検出回路306などからのキャリッジ位置や搬送量に基づいて、記録ヘッド31の液滴を吐出させるための圧力発生手段を駆動するためのデータを生成して、上述した画像データをシリアルデータでヘッド駆動回路310に転送するとともに、この画像データの転送及び転送の確定などに必要な転送クロックやラッチ信号、滴制御信号(マスク信号)などをヘッド駆動回路310に出力する以外にも、ROMに格納されている駆動信号のパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び電圧増幅器、電流増幅器等で構成される駆動波形生成部及びヘッドドライバに与える駆動波形選択手段を含み、1の駆動パルス(駆動信号)或いは複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形を生成してヘッド駆動回路310に対して出力する。
ヘッド駆動回路310は、シリアルに入力される記録ヘッド31の1行分に相当する画像データに基づいて印刷制御部302から与えられる駆動波形を構成する駆動信号を選択的に記録ヘッド31の液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(例えば前述したような圧電素子)に対して印加することで記録ヘッド31を駆動する。このとき、駆動波形を構成する駆動パルスを選択することによって、例えば、大滴(大ドット)、中滴(中ドット)、小滴(小ドット)など、大きさの異なるドットを打ち分けることができる。
次に、印刷制御部302及びヘッド駆動回路(ヘッドドライバ)310の一例について図7を参照して説明する。
印刷制御部302は、上述したように、1印刷周期内に複数の駆動パルス(駆動信号)で構成される駆動波形(共通駆動波形)を生成して出力する駆動波形生成部401と、印刷画像に応じた2ビットの画像データ(階調信号0、1)と、クロック信号、ラッチ信号(LAT)、滴制御信号M0〜M3を出力するデータ転送部402とを備えている。
なお、滴制御信号M0〜M3は、ヘッド駆動回路310のスイッチ手段であるアナログスイッチ415の開閉を滴毎に指示する2ビットの信号であり、共通駆動波形の印刷周期に合わせて選択すべき波形でHレベル(ON)に状態遷移し、非選択時にはLレベル(OFF)に状態遷移する。
ヘッド駆動回路310は、データ転送部402からの転送クロック(シフトクロック)及びシリアル画像データ(階調データ:2ビット/CH)を入力するシフトレジスタ411と、シフトレジスタ411の各レジスト値をラッチ信号によってラッチするためのラッチ回路412と、階調データと制御信号M0〜M3をデコードして結果を出力するデコーダ413と、デコーダ413のロジックレベル電圧信号をアナログスイッチ415が動作可能なレベルへとレベル変換するレベルシフタ414と、レベルシフタ414を介して与えられるデコーダ413の出力でオン/オフ(開閉)されるアナログスイッチ415とを備えている。
このアナログスイッチ415は、各圧電素子121の選択電極(個別電極)154に接続され、駆動波形生成部401からの共通駆動波形が入力されている。したがって、シリアル転送された画像データ(階調データ)と制御信号M0〜M3をデコーダ413でデコードした結果に応じてアナログスイッチ415がオンにすることにより、共通駆動波形を構成する所要の駆動信号が通過して(選択されて)圧電素子121に印加される。
次に、駆動波形生成部401から出力する印字用駆動波形及び空吐出用駆動波形について図8及び図9を参照して説明する。
駆動波形生成部401は、印字を行うときには、1印刷周期(1駆動周期)内に、図8に示すように、基準電位Veから立ち下がる波形要素、立下り後の電位に保持する波形要素、ホールド後基準電位Veまでそのまま又は段階的に立ち上がる波形要素で構成される4個の駆動パルスP1ないしP4と、基準電位Veから立ち下がる波形要素、立下り後の電位に保持する波形要素、ホールド後基準電位Veよりも高い電位まで段階的に立ち上がる波形要素で構成される1個の駆動パルスP5からなる印字用駆動信号(駆動波形)を生成して出力する。
ここで、駆動パルスの電位Vが基準電位Veから立ち下がる波形要素は、これによって圧電素子121が収縮して加圧液室106の容積が膨張する引き込み波形要素である。また、立下り後の状態から立ち上がる波形要素は、これによって圧電素子121が伸長して加圧液室106の容積が収縮する加圧波形要素である。
そこで、データ転送部402からの滴制御信号M0〜M3によって、吐出する滴の大きさに応じて駆動パルスP1ないしP5の1又は複数の駆動パルスを選択することによって、1つの液滴或いは複数の液滴を飛翔中に合体させて、小滴(小ドット)、中滴(中ドット)、大滴(大ドット)を吐出させ、微駆動(滴吐出を伴わないでメニスカスを振動させる)を行わせる。
これに対して、駆動波形生成部401は、空吐出を行うときには、1印刷周期(1駆動周期)内に、図9に示すように、基準電位Veから立ち下がる波形要素、立下り後の電位に保持する波形要素、ホールド後基準電位Veまでそのまま立ち上がる波形要素で構成される6個の駆動パルスP11ないしP16からなる空吐出用駆動信号(駆動波形)を生成して出力する。この空吐出用駆動波形を印加した場合、各駆動パルスP11ないしP15でそれぞれ滴が吐出され(駆動パルスP16は制振用)、印字用駆動波形の場合と同様に、飛翔中に1滴に合体する(マージする。)。
ここで、空吐出用駆動波形で吐出させる画像形成に寄与しない液滴(空吐出用液滴)の滴速度Vj2は、印字用駆動波形で吐出させる画像形成に寄与する液滴(印字用液滴)に対し、印字用液滴の最大滴速度Vj1以上で、かつ、印字用液滴の最大滴速度Vj1の2倍以下、すなわち、Vj1≦Vj2≦2×Vj1の関係にある滴速度としている。つまり、空吐出動作では、印字用液滴の最大滴速度Vj1以上で、最大滴速度Vj1の2倍以下の滴速度で空吐出用液滴を吐出させる。
なお、液滴の滴速度は、上述したように1印刷周期(1駆動周期)内で複数の駆動パルスによって複数の滴を吐出させて、飛翔中に1滴にマージさせる構成では、1滴の滴速度である。
つまり、空吐出用液滴の滴速度が速いと、キャリッジ移動による気流の影響を受け難くなるので、ミスト飛散量が低減される。ただし、滴速度が速すぎることによって、主滴とは別のサテライト滴が発生してしまい、そのサテライト滴は滴速度が速くないために、気流の影響を受けやすく、ミスト飛散の原因となる。そのため、空吐出用液滴の滴速度は印字用液滴の滴速度以上で、ある範囲の速度に設定する必要がある。
そこで、印字用液滴の最大滴速度Vj1が7〔m/s〕である装置において、空吐出用液滴の滴速度を7〔m/s〕、9〔m/s〕、11〔m/s〕として空吐出を行い、各滴速度におけるミスト飛散量、回復されないノズル数(非吐出ノズル数)を確認した。なお、ミスト飛散量は目視評価とし、ミストが目立つときを「×」、ミストが認められないときを「○」、ミストが認められるが印字品質に影響を与える程度ではないときを「△」とした。この結果を図10に示している。
これより、空吐出用液滴の滴速度が印字用液滴の最大滴速度7〔m/s〕であるとき(印字用駆動波形を用いて空吐出動作をおこなったとき)には、ミスト飛散量が多くなるのに対し、空吐出用液滴の滴速度がそれより速い9〔m/s〕のときにはミスト飛散量は大幅に低減し、空吐出用液滴の滴速度が11〔m/s〕になるとミスト飛散量は低減しにくくなっていることが確認された。
この場合、空吐出用液滴の滴速度の上限については、上述した結果から、滴速度が大きくなり過ぎると空吐出用液滴が不安定になり、ノズル面を汚してしまうこともある。したがって、空吐出用液滴の滴速度は印字用液滴の最大滴速度の2倍が限度である。好ましくは、図10の結果から、空吐出用液滴の滴速度は印字用液滴の最大滴速度よりも大きく、最大滴速度の1.5倍以下である。
また、図10に示す結果からは、液滴の滴速度が速ければ速いほど、乾燥による増粘インク(記録液)を吹き飛ばす効果が増加し、ノズルの目詰まりによる非吐出を防ぐ効果が高まることが分かる。
次に、空吐出用液滴の滴体積Mjについて説明する。
印字用液滴の最大滴体積Mj1が20〔pl〕である装置において、空吐出用液滴の滴体積Mj2を10〔pl〕、20〔pl〕、30〔pl〕として空吐出を行い、各滴体積におけるミスト飛散量、回復されないノズル数(非吐出ノズル数)を確認した。なお、ミスト飛散量は目視評価とし、ミストが目立つときを「×」、ミストが認められないときを「○」、ミストが認められるが印字品質に影響を与える程度ではないときを「△」とした。この結果を図11に示している。
これより、空吐出用液滴の滴体積Mj2が印字用液滴の最大滴体積20〔pl〕より小さいときには、ミスト飛散量が多くなるのに対し、空吐出用液滴の滴体積が印字用液滴の最大滴体積と同じ20〔pl〕のときにはミスト飛散量は低減し、空吐出用液滴の滴体積が印字用液滴の最大滴体積より大きい30〔pl〕になるとミスト飛散量は大幅に低減することが確認された。
この結果から、空吐出用液滴の滴体積は、印字用液滴の最大滴体積Mj1以上、特に、印字用液滴の最大滴体積Mj1よりも大きくすることが好ましい。つまり、空吐出用液滴の滴体積Mj2が大きければ大きいほど、キャリッジ移動による気流の影響を受けにくくなり、ミスト飛散量が低減され、また、ノズルの目詰まりによる非吐出を防ぐ効果も高まる。
上述したように印字用液滴に対して空吐出用液滴の滴速度を大きくし(速くし)、また、滴体積を大きくする場合、複数の駆動パルスによって複数的を順次吐出させて飛翔中にマージさせることで空吐出用液滴を形成することにより、短時間に多くの滴を吐出させることができ、同じ滴体積の液滴を吐出するのに費やす時間を短くでき、空吐出動作を行うことによる印刷速度の低下を抑制できる。
また、上記実施形態のように印字用駆動波形と空吐出用駆動波形とを分けて、空吐出動作では空吐出用駆動波形を使用して空吐出を行うことによって、上述したような滴速度、滴体積を印字用液滴の滴速度、滴体積と異ならせることが容易になる。
次に、空吐出動作によって空吐出用液滴を吐出してからキャリッジ23の移動を開始するまでの時間について説明する。
実験によると、図12に示すように、空吐出動作によって空吐出用液滴を吐出してからキャリッジ23の移動を開始するまでの時間(これを「待ち時間」という。)とミスト量との関係は、待ち時間が長くなるほど、キャリッジの移動による気流の影響を受け難くなることから、ミスト量が少なくなる。
したがって、キャリッジ23の移動速度が速い印刷モードにおいては、あっては、空吐出動作によって多くの空吐出滴を必要とする印刷モードの場合には、空吐出動作実施後からキャリッジが移動し始めるまでの間に、待ち時間を設けることによって、キャリッジ移動による気流の影響を低減させることができる。
同様に、空吐出滴を多く必要とするような場合にも、空吐出動作実施後からキャリッジが移動し始めるまでの間に、待ち時間を設けることによって、キャリッジ移動による気流の影響を低減させることができる。
例えば、速度を優先させた高速モード印字時にはキャリッジ移動速度が速く、空吐出動作後のミスト飛散量が増加する傾向にある。また、乾燥しやすい低湿度環境で、速乾性の高いインクを使用する場合には、インクの増粘を防ぐために、空吐出に使用する滴数が増加してしまうために、空吐出後のインク飛散量が増加する傾向にある。
そこで、これらの場合には、空吐出動作実施後からキャリッジが移動し始めるまでの待ち時間を相対的に長くすることで、キャリッジ移動による気流の影響を受けにくくし、ミスト飛散量を低減することができる。
これに対して、キャリッジ移動速度が遅い印刷モード、空吐出滴数をあまり必要としない場合には、待ち時間を相対的に短く(待ち時間なしを含む。)することによって、印刷速度の低下を抑制できる。
例えば、画質を優先させた高画質モード印字時にはキャリッジ移動速度が遅く、空吐出後のミスト飛散が少ない。また、乾燥しにくい高湿度環境においては、空吐出に使用する滴数が少ないために、空吐出後のミスト飛散が発生しにくい。
そこで、これらの場合には、空吐出動作実施後からキャリッジが移動し始めるまでの待ち時間を短くすることで、印刷速度を遅くしないようにすることができる。
このような待ち時間を持たせる場合の処理について図13を参照して説明する。
まず、空吐出動作のタイミングでエントリィされてこの処理を開始し、所要の空吐出動作を行った後、印刷モードが速度優先モードか画質優先モードかを判別する。
そして、印刷モードが速度優先モードのときには、低湿環境か高湿環境かを環境センサの検出結果に基づいて判別し、低湿環境のときには、空吐出動作終了後待ち時間T1が経過したときに、高湿環境のときには、空吐出動作終了後待ち時間T2が経過したときに、キャリッジ33の移動を開始する。
また、印刷モードが画質優先モードのときには、低湿環境か高湿環境かを環境センサの検出結果に基づいて判別し、低湿環境のときには、空吐出動作終了後待ち時間T3が経過したときに、高湿環境のときには、空吐出動作終了後待ち時間T4が経過したときに、キャリッジ33の移動を開始する。
この場合、待ち時間T1ないしT4は、例えば、T1>T2>T3>T4の関係で設定している(T4=0、待ち時間なしを含む。)。
このようにすることで、ミスト飛散量を低減しつつ、印刷速度の低下を抑制することができる。上記の処理では、印刷モードと環境湿度に応じた4段階の待ち時間を設けているが、これに限るものではなく、2段階、3段階あるいはそれ以上に分けることもできる。
なお、上記各実施形態では本発明に係る画像形成装置としてプリンタ構成で説明したが、これに限るものではなく、例えば、プリンタ/ファックス/コピア複合機などの画像形成装置に適用することができる。また、インク以外の液体である記録液や定着処理液などを用いる画像形成装置にも適用することができる。
本発明に係る画像形成装置の一例を示す前方側から見た斜視説明図である。 同画像形成装置の機構部の概略を示す構成図である。 同機構部の要部平面説明図である。 同画像形成装置の記録ヘッドを構成する液体吐出ヘッドの一例を示す液室長手方向に沿う断面説明図である。 同ヘッドの液室短手方向に沿う断面説明図である。 同画像形成装置の制御部の概要を説明するブロック説明図である。 同制御部の印刷制御部の一例を示すブロック図である。 同印刷制御部の駆動波形生成部で生成出力する印字用駆動波形の一例を示す説明図である。 同印刷制御部の駆動波形生成部で生成出力する空吐出用駆動波形の一例を示す説明図である。 空吐出用液滴の滴速度とミスト飛散量及び非吐出ノズル数の関係の一例を説明する説明図である。 空吐出用液滴の滴体積とミスト飛散量及び非吐出ノズル数の関係の一例を説明する説明図である。 空吐出動作終了後キャリッジの移動を開始するまでの時間とミスト飛散量の関係の一例を説明する説明図である。 空吐出動作終了後キャリッジの移動を開始するまでの時間を印刷モード及び環境湿度に応じて可変する処理の一例を示すフロー図である。
符号の説明
10…インクカートリッジ
23…キャリッジ
31…記録ヘッド
32…サブタンク
51…搬送ベルト
81…維持回復機構
84…空吐出受け
88…空吐出受け
300…制御部
313…環境センサ

Claims (7)

  1. 記録液の液滴を吐出する液体吐出ヘッドを備える画像形成装置において、
    前記液体吐出ヘッドから画像形成に寄与しない液滴を吐出させるとき、画像形成に寄与する液滴を吐出するときの最大滴速度以上で、かつ、最大滴速度の2倍以下の滴速度の液滴を吐出させることを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1に記載の画像形成装置において、前記液体吐出ヘッドから画像形成に寄与しない液滴を吐出させるとき、画像形成に寄与する液滴を吐出するときの最大滴体積よりも大きな滴体積の液滴を吐出させることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記液体吐出ヘッドから画像形成に寄与しない液滴を吐出させるとき、複数滴が飛翔中に合体して1つの滴になることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記液体吐出ヘッドから画像形成に寄与しない液滴を吐出させたときから前記液体吐出ヘッドが移動するまでの間に待ち時間があることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項4に記載の画像形成装置において、前記待ち時間は前記液体吐出ヘッドの使用状況に応じて可変することを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項4に記載の画像形成装置において、前記待ち時間は印刷モードに応じて可変することを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記液体吐出ヘッドの液滴吐出面側表面には撥水処理が施されていることを特徴とする画像形成装置。
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