JP2007279713A - 静電荷現像用トナーの製造方法 - Google Patents

静電荷現像用トナーの製造方法 Download PDF

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徳隆 川瀬
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Abstract

【課題】 溶融乳化法においてトナーを製造するに際し、水溶性分散剤の使用量の増加ひいてトナー造粒後の洗浄作業回数の増大を伴うことなく、画像の高精細化、高解像度化に有効な小径化されたトナーを製造する。
【解決手段】溶融乳化法の造粒工程において、トナー原料の溶融混練物と混合させる水溶性分散剤の水溶液に、増粘剤を含有させる。また、乳化機1において溶融混練物と増粘剤を含む水溶性分散剤水溶液とを混合する場合は、剪断応力=μ・(π・D・N)/d(式中、μは増粘剤を含む水溶性分散剤の水溶液の25℃における粘度を示す。πは円周率を示す。Dは撹拌翼15の直径を示す。Nは撹拌翼15の回転数を示す。dは撹拌翼15とステータ12との間隙の長さを示す。)が5.5×10cP/s以上になるように調整する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、静電荷現像用トナーの製造方法に関する。
電子写真方式の画像形成装置は、感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段と、クリーニング手段とを含み、記録媒体に画像を形成する。帯電手段は感光体表面を帯電させる。露光手段は帯電状態にある感光体表面に信号光を照射して静電潜像を形成する。現像手段は感光体表面の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する。転写手段は感光体表面のトナー像を記録媒体に転写する。定着手段はトナー像を記録媒体に定着させる。クリーニング手段はトナー像転写後の感光体表面を清浄化する。電子写真方式の画像形成装置は、画質品位の良好な画像を高速でかつ安価に形成できるので、複写機、プリンタ、ファクシミリなどに利用され、その普及は目覚しい。それに伴って、画像形成装置の性能に対する要求は一層厳格化する。なかでも、画像形成装置によって形成される画像の高精細化、高解像化、画像品位の安定化、画像形成速度の高速化などが特に重視される。これらを達成するには、画像形成プロセスおよび現像剤の両面からの検討が必要不可欠である。画像の高精細化、高解像化に関し、現像剤の面からは、静電潜像を忠実に再現することが重要との観点から、トナー粒子の小径化が解決すべき課題の1つになる。
従来から、トナーの製造方法には、たとえば、粉砕法、重合法、凝集法、溶融乳化法などが知られている。粉砕法によれば、結着樹脂、着色剤などのトナー原料の混合物を溶融混練し、得られる溶融混練物を冷却によって固化させた後、粉砕および分級することによって、トナーが得られる。しかしながら、粉砕法によって小径化トナーを製造すると、粒子形状が不均一になり、トナーの粉体流動性が極端に悪化する。このようなトナーを用いると、たとえば、トナーを静電潜像に供給する前の段階でトナーの帯電状態が不均一になり、形成される画像に濃度むら、色むらなどが発生するおそれがある。重合法によれば、結着樹脂のモノマー化合物、着色剤などを溶媒中にて均一に混合した後、結着樹脂のモノマー化合物を重合させることによって、トナーが得られる。しかしながら、重合法には、結着樹脂が、ラジカル重合によっての製造が可能なポリ塩化ビニルなどのビニル系重合体に限定されるという欠点がある。ビニル系重合体を結着樹脂とするトナーは、ポリエステルを結着樹脂とするトナーよりも、記録媒体への定着性、透明性、発色性などの点で劣る。
凝集法によれば、水性溶媒中にて、微細な合成樹脂粒子、着色剤、その他のトナー原料を混合して凝集させ、得られる凝集物を加熱することによってトナーが得られる。しかしながら、凝集法はトナーの形状制御が困難である。また、凝集法を工業的規模で実施すると、分散安定剤、凝集剤を多量に含む廃液が発生する。環境問題への対応から、この廃液をそのまま廃棄することはできない。したがって、廃液から分散安定剤や凝集剤を回収するための大規模な処理施設を設ける必要が生じ、トナーの製造コストが他の方法に比べて高くなる。溶融乳化法によれば、トナー原料の溶融混練物と水溶性分散剤の水溶液とを加熱下に剪断力を付与しながら混合することによって、トナー原料の溶融混練物粒子すなわちトナー粒子が得られる。溶融乳化法によれば、粒子形状が揃ったほぼ球状のトナーを製造できる。溶融乳化法では、トナー原料の溶融混練物と混合する水がある程度の粘性を有することが重要であり、そのために、水溶性分散剤を添加する。水溶性分散剤は、画像形成の際にトナー物性に悪影響を及ぼし、画像不良を発生させる恐れがあるので、トナー粒子の造粒後に洗浄作業を繰り返し行うことによって除去される。溶融乳化法によってトナーを小径化するためには、水溶性分散剤の増量が必要である。しかしながら、水溶性分散剤を増量すると洗浄作業の回数が飛躍的に増大し、工業的規模の生産では大きな負荷となる。
また、増粘剤を用いるトナーの製造方法としては、たとえば、結着樹脂および着色剤といったトナー原料を溶媒中に溶解または分散させて混合液を得る工程と、該混合液を水系媒体中に分散懸濁させて懸濁液を得る工程と、該懸濁液に増粘剤を添加混合する工程と、該懸濁液から溶媒を除去する工程とを含む静電荷像現像用トナーの製造方法が提案される(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1の方法は凝集法であり、凝集法の欠点であるトナーの形状制御を解消するために、トナー原料の懸濁液に増粘剤を添加する構成を採用する。しかしながら、特許文献1における増粘剤の使用はトナーの小径化に寄与するものではない。実際、その実施例では平均粒径7.0μmまたは6.5μmのトナーが得られるのみであり、画像の高精細化、高解像度化に有効な粒径5.0μm前後のトナーが得られるとの記載はない。従来技術においては、溶融乳化法において増粘剤を使用する例は見られない。
一方、トナーを製造する際に、粘度、剪断力などを特定の範囲に規定する技術が提案される。たとえば、重合性単量体に着色剤を分散させて重合性単量体組成物を調製し、これを水系分散媒に懸濁し、さらに重合を行ってトナーを製造するに際し、重合性単量体組成物の粘度を300センチポイズ以下、重合性単量体組成物の水系分散媒への懸濁液(以下単に「懸濁液」とする)の粘度を100センチポイズ以下にする技術が提案される(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2の技術では、重合性単量体に着色剤を分散させる際に、分散剤を用いることによって、得られる重合性単量体組成物における着色剤の分散安定性を高め、該組成物の粘度上昇を抑制する。この構成によって、粒径10μm以上の粗大粒子の生成を防止し、粒径の揃ったトナーが得られる。しかしながら、特許文献2の技術は重合法であり、結着樹脂がビニル系重合体などに限定されるという重合法特有の欠点が解消されない。
また、乳化重合法によってトナーを製造するトナーの製造方法であって、結着樹脂、顔料、離型剤、電荷制御剤などのトナー材料を有機溶剤中に分散させるに際し、トナー材料と有機溶剤との混合物に、25℃において剪断速度30000(1/秒)で30秒間剪断力を加えた後、剪断速度を0(1/秒)から70(1/秒)まで20秒間で変化させ、剪断速度が70(1/秒)のときのトナー材料と有機溶剤との混合物の粘度が1〜100mPa・秒にする技術が提案される(たとえば、特許文献3参照)。前記技術によって、最終的に得られるトナー粒子の表面状態が制御され、表面が平滑で、帯電性、転写性などに優れる体積平均粒子径4.9〜5.6μm程度の球状トナーが製造される。しかしながら、特許文献3の技術において、剪断力を付与するのはトナー粒子の造粒工程ではない。特許文献3の技術においては、トナー粒子の造粒工程において、トナー粒子の微粒子化に必要なエネルギーとして剪断力を制御することについて、一切開示がない。また、特許文献3の技術における、僅か20秒間の間に剪断速度を0(1/秒)から70(1/秒)まで変化させる操作は、実験室レベルでは実施可能であるが、工業的規模での実施は非常に困難である。
特開平11−015191号公報 特開平10−048883号公報 特開2006−084742号公報
本発明の目的は、溶融乳化法においてトナーを製造するに際し、水溶性分散剤の使用量を増加させることなく、かつトナー造粒後の洗浄作業の回数を増大させることなく、画像の高精細化、高解像度化に有効な小径化されたトナーを製造する方法を提供することである。
本発明は、結着樹脂および着色剤を含むトナー原料の溶融混練物と、水溶性分散剤の水溶液とを加熱下に混合してトナー原料の溶融混練物粒子を調製する造粒工程を含む静電荷現像用トナーの製造方法において、水溶性分散剤の水溶液が増粘剤を含むことを特徴とする静電荷現像用トナーの製造方法である。
また本発明の静電荷現像用トナーの製造方法は、
増粘剤を含む水溶性分散剤の水溶液の粘度が3〜65センチポイズ(3センチポイズ以上、65センチポイズ以下)(25℃)であることを特徴とする。
さらに本発明の静電荷現像用トナーの製造方法は、
液状物を収容する円筒状の乳化槽と、乳化槽と同一の軸心を有しかつ軸心回りに回転駆動可能に設けられる回転軸および回転軸の鉛直方向下端部またはその近傍から一方向に延びるように設けられて回転軸の回転に伴って回転して乳化槽内の液状物を混合する撹拌翼を備える撹拌手段と、撹拌翼の周囲において撹拌翼に対して間隙を有して離隔するように設けられるステータとを含む乳化機によってトナー原料の溶融混練物と増粘剤を含む水溶性分散剤の水溶液とを混合するに際し、式
μ・(π・D・N)/d
(式中、μは増粘剤を含む水溶性分散剤の水溶液の25℃における粘度を示す。πは円周率を示す。Dは撹拌翼の直径を示す。Nは撹拌翼の回転数を示す。dは撹拌翼とステータとの間隙の長さを示す。)
で表される剪断応力を5.5×10cP/s以上とすることを特徴とする。
さらに本発明の静電荷現像用トナーの製造方法は、増粘剤が合成高分子多糖類および天然高分子多糖類から選ばれる多糖類系増粘剤であることを特徴とする。
さらに本発明の静電荷現像用トナーの製造方法は、合成高分子多糖類が、カチオン化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン、イオン化デンプン誘導体およびデンプンと合成高分子のブロック重合体から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
さらに本発明の静電荷現像用トナーの製造方法は、天然高分子多糖類が、ヒアルロン酸、カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム 、グァーガムおよびジェランガムから選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする。
さらに本発明の静電荷現像用トナーの製造方法は、増粘剤の水溶性分散剤の水溶液に対する添加量が、増粘剤と水溶性分散剤の水溶液との合計量の0.01〜2重量%(0.01重量%以上、2重量%以下)であることを特徴とする。
さらに本発明の静電荷現像用トナーの製造方法は、水溶性分散剤が水溶性高分子分散剤であることを特徴とする。
さらに本発明の静電荷現像用トナーの製造方法は、造粒工程において、結着樹脂および着色剤を含むトナー原料の溶融混練物と、水溶性分散剤の水溶液とを、結着樹脂の軟化点またはそれよりも高い温度下で混合することを特徴とする。
さらに本発明の静電荷現像用トナーの製造方法は、造粒工程において、結着樹脂および着色剤を含むトナー原料の溶融混練物の150℃における損失弾性率G”が10Pa・s以下に保持されることを特徴とする。
さらに本発明の静電荷現像用トナーの製造方法は、トナー原料の溶融混練物が離型剤を含有し、造粒工程における水溶性分散剤の水溶液の液温が離型剤の融点よりも低い温度であることを特徴とする。
本発明によれば、結着樹脂および着色剤を含むトナー原料の溶融混練物と、水溶性分散剤の水溶液とを加熱下に混合してトナー原料の溶融混練物粒子を調製する造粒工程を含む溶融乳化法によって静電荷現像用トナーを製造するに際し、水溶性分散剤の水溶液に増粘剤を添加することによって、水溶性分散剤の使用量を減じ、トナー造粒後の洗浄作業の回数を著しく低減化できる。たとえば、画像の高精細化および高解像度化に有効な粒径5μm前後のトナーを得るために、水溶性分散剤のみではその濃度を15重量%程度に調整することが必要である。しかるに、増粘剤を併用すると、水溶性分散剤の濃度は5重量%またはそれよりも少なくすることができる。したがって、増粘剤の併用によって洗浄作業の負荷が著しく低減化することが明白である。さらに、粒径5μm前後のトナーを容易に製造できる。
本発明によれば、増粘剤を含む水溶性分散剤の水溶液の粘度を3〜65センチポイズ(25℃)にすることによって、粒径が10μmを超えるような粗大粒子および粒径がナノオーダーの微小粒子の発生が著しく抑制され、粒度分布幅が狭くかつ形状の揃った小径化トナーを収率良く製造できる。また、トナー原料の溶融混練物と増粘剤を含む水溶性分散剤水溶液との混合からトナーの生成までの時間が短縮化され、工業的規模へのスケールアップが容易なので、生産性が高く、前記のような特徴を有するトナーを効率良く製造できる。
本発明によれば、乳化槽と回転軸および撹拌翼を備える撹拌手段とステータとを含む乳化機を利用して、トナー原料の溶融混練物と増粘剤を含む水溶性分散剤の水溶液とを混合するに際し、式
μ・(π・D・N)/d
(式中、μ、π、D、Nおよびdは前記に同じ)
で表される剪断応力を5.5×10cP/s以上に規定するのが好ましい。たとえば、乳化機の仕様(たとえば、乳化槽の寸法、撹拌翼の寸法、撹拌翼とステータとの間隙の長さなど)が変更されても、たとえば、増粘剤を含む水溶性分散剤の水溶液の粘度、撹拌翼の回転数などを適宜変更して剪断応力が5.5×10cP/s以上になるように調整することによって、粒度分布幅が狭くかつ形状の揃った小径化トナーを常時製造できる。すなわち、このように規定することによって、造粒条件の選択が容易になり、工業的規模の実施が有利である。
本発明によれば、増粘剤としては、合成高分子多糖類および天然高分子多糖類が好ましい。これらの高分子多糖類は、少量の添加で水溶性分散剤の水溶液を増粘させ、トナーの小径化を達成できるとともに、トナー表面に付着しても水洗などによって容易に除去でき、洗浄作業を繰り返す必要がない。
本発明によれば、合成高分子多糖類としては、カチオン化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン、イオン化デンプン誘導体、デンプンと合成高分子のブロック重合体などが好ましい。また、天然高分子多糖類としては、ヒアルロン酸、カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム 、グァーガム、ジェランガムなどが好ましい。これらの多糖類は入手が容易であり、トナー物性に悪影響を及ぼすことがなく、トナーの小径化効果が大きい。また、水洗などによって容易に除去できる。さらに、いずれも食品添加物などとして用いられるものなので、トナー製造の際に、作業者に対する安全性が高い。
本発明によれば、増粘剤の水溶性分散剤の水溶液に対する添加量を、増粘剤と水溶性分散剤の水溶液との合計量の0.01〜1重量%とするのが好ましい。前記範囲で増粘剤を添加することによって、水溶性分散剤の添加量の低減化と、トナーの小径化とを同時に達成できる。また、トナー造粒後における増粘剤の洗浄による除去効率が向上する。
本発明によれば、水溶性分散剤として水溶性高分子分散剤を用いることによって、水溶性分散剤と増粘剤とが相乗的に作用し、トナーの小径化効果が一層高まる。したがって、水溶性分散剤の添加量をさらに減じることができ、トナー製造工程、特に洗浄工程の一層の効率化を図り得る。
本発明によれば、結着樹脂および着色剤を含むトナー原料の溶融混練物と水溶性分散剤の水溶液とを、結着樹脂の軟化点またはそれよりも高い温度下で混合することによって、造粒効率が高まり、トナーの小径化、造粒工程に要する時間の短縮化などに寄与する。
本発明によれば、造粒工程における溶融混練物の150℃における損失弾性率G”を10Pa以下に保持することによって、粒径5μm前後のトナーを容易に得ることができる。
本発明によれば、トナー原料の溶融混練物が離型剤を含有する場合に、造粒工程における水溶性分散剤の水溶液の液温を離型剤の融点よりも低い温度にすることによって、得られるトナー粒子中に比較的小粒径の離型剤が均一に分散し、離型剤のトナー粒子表面へのブリードアウトが少ないトナー粒子が得られる。
本発明のトナーの製造方法は、結着樹脂および着色剤を含む溶融混練物と、増粘剤を含む水溶性分散剤の水溶液とを加熱下に混合してトナー原料の溶融混練物粒子(トナー粒子)を生成させる造粒工程を含むことを特徴とする。すなわち、本発明の製造方法は、造粒工程において、水溶性分散剤の水溶液が増粘剤を含むことを特徴とし、それ以外は従来の溶融乳化法と同様に実施できる。本発明の製造方法は、たとえば、溶融混練物調製工程、水分散液調製工程、混合・造粒工程、冷却乾燥工程などを含む。溶融混練物調製工程では、トナー原料の溶融混練物を調製する。水分散液調製工程では、増粘剤を含む水溶性分散剤の水溶液を調製する。混合・造粒工程では、トナー原料の溶融混練物と増粘剤を含有する水溶性分散剤の水溶液とを混合し、トナー原料の溶融混練物を微細粒子に造粒する。冷却乾燥工程では、造粒工程で得られる微細粒子を冷却・乾燥して本発明のトナーを得る。
[溶融混練物調製工程]
本工程では、トナー原料の溶融混練物を調製する。トナー原料としては結着樹脂および着色剤を使用し、さらに離型剤、電荷制御剤などの一般的なトナー用添加剤を使用してもよい。結着樹脂としては、溶融状態で造粒可能であれば特に制限されず、この分野で常用される結着樹脂を使用でき、たとえば、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが挙げられる。
ポリエステルとしては公知のものを使用でき、多塩基酸と多価アルコールとの重縮合物などが挙げられる。多塩基酸としては、ポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族カルボン酸類、無水マレイン酸、フマル酸、琥珀酸、アルケニル無水琥珀酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類、これら多塩基酸のメチルエステル化物などが挙げられる。多塩基酸は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。多価アルコールとしてもポリエステル用モノマーとして知られるものを使用でき、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコール類、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式多価アルコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族系ジオール類などが挙げられる。多価アルコールは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。多塩基酸と多価アルコールとの重縮合反応は常法に従って実施でき、たとえば、有機溶媒の存在下または非存在下および重縮合触媒の存在下に、多塩基酸と多価アルコールとを接触させることによって行われ、生成するポリエステルの酸価、軟化点などが所定の値になったところで終了する。これによって、ポリエステルが得られる。多塩基酸の一部に、多塩基酸のメチルエステル化物を用いると、脱メタノール重縮合反応が行われる。この重縮合反応において、多塩基酸と多価アルコールとの配合比、反応率などを適宜変更することによって、たとえば、ポリエステルの末端のカルボキシル基含有量を調整でき、ひいては得られるポリエステルの特性を変性できる。また、多塩基酸として無水トリメリット酸を用いると、ポリエステルの主鎖中にカルボキシル基を容易に導入することによっても、変性ポリエステルが得られる。
アクリル樹脂としては特に制限されないけれども、酸性基含有アクリル樹脂を好ましく使用できる。酸性基含有アクリル樹脂は、たとえば、アクリル樹脂モノマーまたはアクリル樹脂モノマーとビニル系モノマーとを重合させるに際し、酸性基もしくは親水性基を含有するアクリル樹脂モノマーおよび/または酸性基もしくは親水性基を有するビニル系モノマーを併用することによって製造できる。アクリル樹脂モノマーとしては公知のものを使用でき、たとえば、置換基を有することのあるアクリル酸、置換基を有することのあるメタアクリル酸、置換基を有することのあるアクリル酸エステルおよび置換基を有することのあるメタアクリル酸エステルなどが挙げられる。アクリル樹脂モノマーは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。ビニル系モノマーとしても公知のものを使用でき、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、臭化ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリルおよびメタアクリロニトリルなどが挙げられる。ビニル系モノマーは1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。重合は、一般的なラジカル重合開始剤を用い、溶液重合、懸濁重合および乳化重合などにより行われる。
ポリウレタンとしては特に制限されないけれども、たとえば、酸性基または塩基性基含有ポリウレタンを好ましく使用できる。酸性基または塩基性基含有ポリウレタンは、公知の方法に従って製造できる。たとえば、酸性基または塩基性基含有ジオール、ポリオールおよびポリイソシアネートを付加重合させればよい。酸性基または塩基性基含有ジオールとしては、たとえば、ジメチロールプロピオン酸およびN−メチルジエタノールアミンなどが挙げられる。ポリオールとしては、たとえば、ポリエチレングリコールなどのポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオールおよびポリブタジエンポリオールなどが挙げられる。ポリイソシアネートとしては、たとえば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。これら各成分はそれぞれ1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
エポキシ樹脂としては特に制限されないけれども、酸性基または塩基性基含有エポキシ系樹脂を好ましく使用できる。酸性基または塩基性基含有エポキシ樹脂は、たとえば、ベースになるエポキシ樹脂にアジピン酸および無水トリメリット酸などの多価カルボン酸またはジブチルアミン、エチレンジアミンなどのアミンを付加または付加重合させることによって製造することができる。
これらの結着樹脂の中でも、ポリエステルが好ましい。ポリエステルは透明性に優れ、低温定着性および二次色再現性などを付与することができるので、カラートナーの結着樹脂に好適である。また、ポリエステルとアクリル樹脂とをグラフト化して用いてもよい。これらの結着樹脂の中でも、造粒操作を容易に実施すること、着色剤との混練性並びに得られるトナー粒子の形状および大きさを均一にすることなどを考慮すると、軟化点が150℃以下の結着樹脂が好ましく、軟化点が60〜150℃の結着樹脂が特に好ましい。さらにその中でも、重量平均分子量が5000〜500000の結着樹脂が好ましい。結着樹脂は、1種を単独で使用でき、または、異なる2種以上を併用できる。さらに、同じ樹脂であっても、分子量、単量体組成などのいずれかがまたは全部が異なるものを複数種用いることができる。
着色剤としては、トナー用途に常用される有機系染料、有機系顔料、無機系染料、無機系顔料などを使用できる。黒色の着色剤としては、たとえば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライトおよびマグネタイトなどが挙げられる。黄色の着色剤としては、たとえば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94およびC.I.ピグメントイエロー138などが挙げられる。橙色の着色剤としては、たとえば、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31およびC.I.ピグメントオレンジ43などが挙げられる。赤色の着色剤としては、たとえば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178およびC.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。紫色の着色剤としては、たとえば、マンガン紫、ファストバイオレットBおよびメチルバイオレットレーキなどが挙げられる。青色の着色剤としては、たとえば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16およびC.I.ピグメントブルー60などが挙げられる。緑色の着色剤としては、たとえば、クロムグリーン、酸化クロム、ピクメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGおよびC.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。白色の着色剤としては、たとえば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白および硫化亜鉛などの化合物が挙げられる。結着樹脂と着色剤との使用割合は特に制限されないけれども、通常は結着樹脂100重量部に対する着色剤の使用量が好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.2〜10重量部である。着色剤は1種を単独で使用でき、または2種以上の異なる色のものを併用できる。また、同色であっても、2種以上を併用できる。
離型剤としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、パラフィンワックスとその誘導体、マイクロクリスタリンワックスとその誘導体などの石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスとその誘導体、ポリオレフィンワックスとその誘導体、低分子量ポリプロピリンワックスとその誘導体、ポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックスなど)とその誘導体などの炭化水素系合成ワックス、カルナバワックスとその誘導体、ライスワックスとその誘導体、キャンデリラワックスとその誘導体、木蝋などの植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋などの動物系ワックス、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステルなどの油脂系合成ワックス、長鎖カルボン酸とその誘導体、長鎖アルコールとその誘導体、シリコーン系重合体、高級脂肪酸などが挙げられる。なお、誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物などが含まれる。ワックスの使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して0.2〜20重量部である。
電荷制御剤としてはこの分野で常用される正電荷制御用および負電荷制御用のものを使用できる。正電荷制御用の電荷制御剤としては、たとえば、ニグロシン染料、塩基性染料、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料およびその誘導体、トリフェニルメタン誘導体、グアニジン塩、アミジン塩などが挙げられる。負電荷制御用の電荷制御剤としては、オイルブラック、スピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、アゾ錯体染料、ナフテン酸金属塩、サリチル酸およびその誘導体の金属錯体および金属塩(金属はクロム、亜鉛、ジルコニウムなど)、脂肪酸石鹸、長鎖アルキルカルボン酸塩、樹脂酸石鹸などが挙げられる。電荷制御剤は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。電荷制御剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して0.5〜3重量部である。
トナー原料の溶融混練は、たとえば、トナー原料を混合機で乾式混合し、得られる混合物を混練機で溶融混練することによって行われる。溶融混練は、結着樹脂の溶融温度以上の温度(通常は80〜200℃程度、好ましくは100〜150℃程度)に加熱しながら行われる。ここで混合機としては公知のものを使用でき、たとえば、ヘンシェルミキサー(商品名、三井鉱山(株)製)、スーパーミキサー(商品名、(株)カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工(株)製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン(株)製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、(株)奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業(株)製)などが挙げられる。混練機としても公知のものを使用でき、たとえば、二軸押し出し機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。さらに具体的には、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械(株)製)、PCM−65/87(商品名、(株)池貝製)などの1軸もしくは2軸の押出機、ニーディックス(商品名、三井鉱山(株)製)などのオープンロール方式のものが挙げられる。これらの中でも、オープンロール方式のものが好ましい。なお、トナー原料のうち、着色剤、離型剤などを造粒して所望の粒径を有する複合粒子とし、この複合粒子と結着樹脂、帯電制御剤などとを混合機で乾式混合し、トナー原料の混合物を調製してもよい。複合粒子は、たとえば、着色剤、離型剤などに適量の水、低級アルコールなどを添加し、ハイスピードミルなどの一般的な造粒機で造粒し、乾燥させることによって得ることができる。
[分散液調製工程]
本工程では、増粘剤を含む水溶性分散剤の水溶液を調製する。増粘剤を含む水溶性分散剤の水溶液は、たとえば、水溶性分散剤を水に溶解させることによって調製される。水溶性分散剤としては、この分野で常用されるものをいずれも使用でき、たとえば、金属水酸化物、水溶性高分子分散剤などが挙げられる。金属水酸化物としては、たとえば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄などが挙げられる。水溶性高分子分散剤としては、たとえば、(メタ)アクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸、無水マレイン酸などのアクリル系単量体、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有アクリル系単量体、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステルなどのエステル系単量体、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなどのビニルアルコール系単量体、ビニルアルコールとのエーテル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなどのビニルアルキルエーテル系単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルアルキルエステル系単量体、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル系単量体、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、これらのメチロール化合物などのアミド系単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル系単量体、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド系単量体、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどのビニル窒素含有複素環系単量体、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、メタクリル酸アリル、ジビニルベンゼンなどの架橋性単量体などから選ばれる1種または2種の親水性単量体を含む(メタ)アクリル系ポリマー、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチン、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系ポリマー、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル硫酸アンモニウムなどのポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸カリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテル硫酸アンモニウムなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩などが挙げられる。これらの水溶性分散剤の中でも、水溶性高分子分散剤が好ましく、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩などが特に好ましい。水溶性分散剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。水溶性分散剤の使用量は特に制限されないけれども、好ましくは水と水溶性分散剤と増粘剤との合計量の0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%である。
増粘剤としては公知のものを使用できるけれども、水溶性増粘剤が好ましく、多糖類系増粘剤が特に好ましい。多糖類系増粘剤には、合成高分子多糖類および天然高分子多糖類がある。合成高分子多糖類としては、たとえば、カチオン化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン、イオン化デンプン誘導体、デンプンと合成高分子のブロック重合体などが挙げられる。天然高分子多糖類としては、たとえば、ヒアルロン酸、カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グァーガム、ジェランガムなどが挙げられる。これらの中でも、天然高分子多糖類が好ましく、ローカストビーンガム、キサンタンガム 、グァーガム、ジェランガムなどのガム類が特に好ましい。増粘剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。増粘剤の水溶性分散剤の水溶液に対する添加量は特に制限されないけれども、好ましくは水と水溶性分散剤と増粘剤との合計量の0.01〜2重量%、さらに好ましくは0.05〜1.5重量%、特に好ましくは0.1〜1.0重量%である。0.01重量%未満では、増粘剤の添加効果が低くなり、水溶性分散剤の添加量の低減化およびトナーの小径化が不充分になる。2重量%を超えて増粘剤を添加しても、その添加効果はそれ以上向上しないので不経済であるとともに、粒度分布の幅が大きくなるおそれがある。また、洗浄作業が繁雑になる恐れがあるので好ましくない。
水溶性分散剤および増粘剤を溶解させる水は、導電率が20μS/cm以下であることが好ましく、10μS/cmであることが特に好ましい。このような水は、たとえば、活性炭法、イオン交換法、蒸留法、逆浸透法などによって得ることができる。もちろん、これらの方法の2種以上を組み合わせて水を調製してもよい。導電率の低い水の製造装置は市販されており、たとえば、超純水製造装置(商品名:Ultra Pure Water System
CPW−102、アドバンテック(ADVANTEC)社製)が挙げられる。水の導電率は、たとえば、ラコムテスター EC−PHCON10(商品名、井内盛栄堂製)を用いて測定できる。水溶性分散剤および増粘剤の水への溶解は、たとえば、所定量の水溶性分散剤と増粘剤と水とを混合することによって行われる。このとき、水溶性分散剤と増粘剤とを同時に水に添加しても良く、予め調製した増粘剤の水溶液と予め調製した水溶性分散剤の水溶液を混合しても良い。また、水溶性分散剤および増粘剤の水への溶解順序を逆にしても良く、混合順序は特に限定されない。混合には、トナー原料の混合に用いられるのと同様の混合機を使用できる。
本工程では、増粘剤を含む水溶性分散剤水溶液(以下「造粒用水溶液」とする)の粘度(25℃)が好ましくは3〜65センチポイズ、さらに好ましくは7〜20センチポイズになるように調整するのがよい。
3センチポイズ未満では、たとえば、後述する乳化機1を用いてトナー原料の溶融混練物と造粒用水溶液とを混合する際に、増粘剤の添加による粘度上昇が不充分になり、トナー原料の溶融混練物と造粒用水溶液との混合物に付加されるずり剪断力が低くなり、充分に小径化されたトナー粒子(溶融混練物粒子)が得られないおそれがある。また、65センチポイズを超えると、トナー原料の溶融混練物と造粒用水溶液との混合物の粘度が高くなり過ぎ、均一な撹拌混合がなされず、粒度分布幅の狭いトナー粒子(溶融混練物粒子)が得られないおそれがある。造粒用水溶液の粘度は、たとえば、増粘剤および/または水溶性分散剤の含有量を適宜変更することによって、調整できる。なお、本明細書において、造粒用水溶液の粘度は、造粒用水溶液を1分間撹拌したのち、ブルックフィールド型粘度計(商品名:BROOKFIELD DIGITAL RHEOMETER MODEL DV−III、ブルックフィールド社製)を用い、25℃、6rpmの条件で測定した1分値である。
[混合・造粒工程]
本工程では、トナー原料の溶融混練物(以下単に「溶融混練物」とする)と造粒用水溶液とを混合し、得られる混合物を撹拌下に加熱することによって、該溶融混練物を粒状化し、溶融混練物粒子の水分散液を得る。ここで、溶融混練物と造粒用水溶液との混合割合は特に制限されず、溶融混練物中の結着樹脂の含有量、水溶性分散剤および増粘剤の含有量などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、造粒操作、それに引き続いて行われる溶融混練物粒子の洗浄操作、溶融混練物粒子の単離操作などを効率良く実施するという観点からは、溶融混練物100重量部に対して、造粒用水溶液を100〜500重量部程度用いるのが好ましい。
溶融混練物と造粒用水溶液との混合物の加熱温度は特に制限されず、溶融混練物に含まれる結着樹脂の種類およびその特性(重量平均分子量、軟化点)、最終的に得ようとするトナー粒子の粒径などに応じて広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは該溶融混練物に含まれる結着樹脂の軟化点以上の温度、さらに好ましくは結着樹脂の軟化点〜該結着樹脂の熱分解温度の範囲である。さらに好ましくは、加熱時(すなわち造粒時)において、溶融混練物の150℃における損失弾性率G”を10Pa以下にするのがよく、特に好ましくは10〜10Paにするのがよい。このとき、この損失弾性率G”は、粘弾性測定装置(商品名:レオポリマー、レオロジカル インスツルメント エービー(REOLOGICA Instruments AB)社製)にて、パラレルプレートの間隔を1.0mm、歪0.5、角周波数0.1Hz(0.1π≒0.628[rad/s])の測定条件によって、測定温度を60℃〜200℃の範囲で変化させて測定される値である。なお、溶融混練物が離型剤を含有する場合は、増粘剤を含む水溶性分散剤の水溶液の液温が、離型剤の融点よりも低い温度であることが望ましい。これによって、得られるトナー粒子中に比較的小粒径の離型剤が均一に分散し、表面に離型剤がブリードアウトし難いトナー粒子が得られる。
また、加熱時の撹拌速度または撹拌翼などの撹拌手段の回転数は特に制限されず、溶融混練物中の結着樹脂、着色剤およびその他の添加剤の種類および含有量などに応じて、撹拌操作を円滑に実施でき、所望の粒子径、粒度分布および形状を有する溶融混練物粒子が得られる撹拌速度を適宜選択すればよい。また、加熱時における溶融混練物と造粒用水溶液との混合時間も特に制限されず、溶融混練物中の結着樹脂、着色剤およびその他の添加剤の種類および含有量、水溶性分散剤の種類および濃度、増粘剤の種類および濃度などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できる。溶融混練物と造粒用水溶液との造粒は、常圧下または加圧下に行われる。加圧下に造粒を行う場合には、溶融混練物粒子を一層小径化できる。加圧は、たとえば、耐圧性密閉容器中にて行われる。
溶融混練物と造粒用水溶液との混合による溶融混練物の造粒は、具体的には、たとえば、一般的な乳化機、分散機などの混合機を用いて行われる。このような混合機としては、溶融混練物と造粒用水溶液とをバッチ式または連続式で受け入れることができ、かつ加熱手段および必要に応じて加圧手段を有し、溶融混練物と造粒用水溶液とを加熱下または加熱加圧下に撹拌して溶融混練物粒子を生成させ、この溶融混練物粒子を含む混合物をバッチ式または連続式で排出できる装置が好ましい。混合機は、撹拌手段を有し、溶融混練物と造粒用水溶液とを撹拌下に混合し得るものであることが必要である。また、混合機は、溶融混練物と造粒用水溶液とを混合するための容器を有し、該容器が加熱手段とともに温度調整手段を有するものであることが好ましい。該容器は好ましくは耐圧性を有し、さらに好ましくは耐圧性を有しかつ圧力調整手段(圧力調整弁など)を備える。このような容器を用いれば、容器内の混合物の温度はほぼ一定に保持され、容器内の圧力も結着樹脂の軟化点と造粒用水溶液の蒸気圧との兼ね合いでほぼ一定に制御される。
図1は、溶融混練物と造粒用水溶液とを混合するための好ましい乳化機の構成を模式的に示す断面図である。乳化機1は、乳化槽10と、撹拌手段11と、ステータ12とを含む。乳化槽10は、液状物13をバッチ式で収容する容器状部材であり、その鉛直方向に垂直な方向の断面が円形であり、かつその鉛直方向底面が鉛直方向下方に向けて突出するような半球状の形状を有する。また、乳化槽10には、図示しない溶融混練物供給管と、図示しない造粒用水溶液供給管と、図示しない溶融混練物と造粒用水溶液との混合物(または溶融混練物粒子の水性スラリー)の排出管とがその側面および/または底面に接続される。撹拌手段11は、回転軸14と、撹拌翼15とを含む。回転軸14は、図示しない支持手段によって乳化槽10の鉛直方向上方から乳化槽10に収容される液状物13中に延びるように支持され、乳化槽10と同一の軸心を有し、図示しない駆動手段によって矢符16の方向に回転駆動可能に設けられる細長い円筒状部材である。駆動手段が支持手段を兼ねる場合がある。駆動手段には、たとえば、回転軸を回転させるモータと、モータに電圧を印加する電源とをふくむ駆動手段が用いられる。撹拌翼15は、回転軸14の鉛直方向下端部またはその近傍から、鉛直方向に垂直な方向に延びるように設けられる1対の羽根部材である。ここで、撹拌翼15の直径Dは、撹拌翼15の一端部と、回転軸14の軸心と、撹拌翼15の他端部とを結んだ直線の長さである。また、撹拌翼15の回転数Nは、回転軸の回転数である。ステータ12は、乳化槽10の内部空間において、撹拌翼15の周囲に撹拌翼15に対して間隙dを有して離隔するように設けられる円筒状部材である。間隙dは、撹拌翼15の先端とステータ12の内壁との間の長さである。
乳化機1では、撹拌翼15の回転によって、溶融混練物と造粒用水溶液との混合物に剪断応力が付与される。この剪断応力の値は特に制限されないが、好ましくは5.5×10cP/s以上、さらに好ましくは1.0×10cP/s以上である。このような形式の乳化機1において、剪断応力が5.5×10cP/s未満では、溶融混練物に十分な剪断応力が付与されず、粒子径が大きく、分布も広くなるおそれがある。この剪断応力は次の式によって導かれる。
剪断応力=μ・(π・D・N)/d
(式中、μは造粒用水溶液の25℃における粘度を示す。πは円周率を示す。Dは撹拌翼15の直径を示す。Nは撹拌翼15の回転数を示す。dは撹拌翼15とステータ12との間隙の長さを示す。)
乳化機1において、撹拌翼15の直径Dは、撹拌翼または撹拌手段を交換することによって調整できる。撹拌翼15の回転数Nの単位はrpmであり、回転数Nの単位はmmであり、直径Dは、駆動手段の回転数を変更することによって調整できる。また、撹拌翼15とステータ12との間隙dの単位はmmであり、間隙dは、撹拌翼15および/またはステータ12を交換することによって調整できる。これらの中でも、撹拌翼15の直径D、撹拌翼15の回転数Nなどを調整するのが好ましい。乳化機1のような形式を有する乳化機は市販されており、たとえば、TKホモミクサーMARKII(商品名、プライミクス(株)製)などが挙げられる。乳化機1によれば、乳化槽10に供給される溶融混練物と造粒用水溶液とが、撹拌手段11によって撹拌混合され、溶融混練物粒子の水性スラリーとなって乳化槽10から排出される。なお、本発明の製造方法を適用できる乳化機は乳化機1に限定されず、他の形式の乳化機も適用可能である。
また、溶融混練物と造粒用水溶液との混合を100℃以上の温度下に行う場合には、メカニカルシールを備えかつ容器が密閉可能な耐圧性容器である混合機を用いるのが好ましい。このような混合機は市販されている。その具体例としては、たとえば、ウルトラタラックス(商品名、IKAジャパン(株)製)、ポリトロンホモジナイザー(商品名、キネマティカ(KINEMATICA)社製)、T.K.オートホモミクサー(商品名、特殊機化工業(株)製)などのバッチ式乳化機、エバラマイルダー(商品名、(株)荏原製作所製)、T.K.パイプラインホモミクサー、T.K.ホモミックラインフロー、T.K.フィルミックス(商品名、特殊機化工業(株)製)、コロイドミル(商品名、神鋼パンテック(株)製)、スラッシャー、トリゴナル湿式微粉砕機(商品名、三井三池化工機(株)製)、キャビトロン(商品名、(株)ユーロテック製)、ファインフローミル(商品名、太平洋機工(株)製)などの連続式乳化機、クレアミックス(商品名、エム・テクニック(株)製)、フィルミックス(商品名、特殊機化工業(株)製)などが挙げられる。
なお、本工程で溶融混練物粒子が生成する場合、本工程は加熱下に行われ、生成する溶融混練物粒子は溶融状態にあって粘着性を示すので、通常であれば溶融混練物粒子同士が付着し合って粗大化し易い。しかしながら、混合物中には水溶性分散剤が存在し、溶融混練物粒子は水溶性分散剤によって安定化されるので、溶融混練物粒子の再凝集による粗大化は起こらない。これは、次の冷却乾燥工程においても同様である。
[冷却乾燥工程]
本工程では、溶融混練物粒子を含む混合物(以後「溶融混練物粒子含有混合物」と称す)を冷却し、溶融混練物粒子含有混合物から溶融混練物粒子を取り出して洗浄を行った後、溶融混練物粒子を乾燥させることによって、本発明のトナーを得る。溶融混練物粒子含有混合物の冷却は、造粒工程における加熱を停止した後に、冷媒などを用いて強制冷却するかまたは自然冷却(放冷)することによって行われる。冷却は撹拌下に行うのが好ましい。それによって、水溶性分散剤による溶融混練物粒子の安定化効果が充分に発揮され、冷却工程中での溶融混練物粒子の再凝集による粗大化を防止できる。
また、造粒工程を加圧下に実施した場合には、冷却工程でも加圧を継続するのが好ましい。造粒工程を加圧下に行い、冷却工程で加圧を停止して大気圧に開放すると、溶融混練物粒子含有混合物が突沸して気泡が発生し、溶融混練物粒子の粗大化が起こるとともに、後の洗浄、乾燥といった操作を効率良く実施できなくなる。混合系の圧力は、強制冷却または自然冷却によって溶融混練物粒子含有混合物の温度が50℃以下、好ましくは室温(25℃程度)になった時に大気圧に戻すのがよい。冷却によって溶融混練物粒子は固化してトナー粒子が生成し、トナー粒子を含む混合物(以後「トナー粒子含有混合物」と称す)が得られる。
次に、水溶性分散剤および増粘剤に由来する不純物を除去するために洗浄を行う。洗浄は、たとえば、トナー粒子含有混合物からトナー粒子を単離し、このトナー粒子と水と混合してトナー粒子を単離するという水洗操作を繰返し実行することによって行われる。トナー粒子含有混合物およびトナー粒子と水との混合物からトナー粒子を単離するに際しては、濾過、吸引濾過、遠心分離などの一般的な固液分離手段を採用できる。トナー粒子と混合する水としては、導電率20μS/cm以下の洗浄水であることが好ましい。このような洗浄水は、たとえば、活性炭法、イオン交換法、蒸留法、逆浸透法などによって調製できる。また、これらの方法のうち、2種以上を組み合わせて洗浄水を調製してもよい。洗浄水の液温は特に制限されないけれども、好ましくは10〜80℃程度である。水洗操作は、バッチ式および連続式のいずれで実施してもよい。水洗操作は、トナー粒子と洗浄水とを混合し、トナー粒子を単離した後の洗浄水の導電率が好ましくは100μS/cm以下、さらに好ましくは10μS/cm以下になるまで繰返し行うのがよい。洗浄前の分散剤濃度、処理量によって、洗浄回数、使用する洗浄水の量などは異なるが、本発明によれば使用する分散剤の量を低減できるため、水洗操作を軽減できる。
洗浄の後、トナー粒子を乾燥させることによって、本発明のトナーが得られる。乾燥には一般的な乾燥手段をいずれも採用でき、たとえば、気流式乾燥法、真空乾燥法、自然乾燥法などが挙げられる。本発明によれば、粒径5μm程度に小径化され、粒度分布の幅が従来のトナーよりも狭く、形状の揃ったトナーを容易に製造できる。
本発明のトナーは、必要に応じて、一般的な外添剤と混合して用いられる。外添剤としては公知のものを使用でき、たとえば、酸化ケイ素、酸化チタン、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウムなどの流動性改良剤が挙げられる。流動性改良剤は1種を単
独で使用できまたは2種以上を併用できる。流動性改良剤の使用量は特に制限されないけれども、好ましくは本発明のトナー100重量部に対して0.1〜3.0重量部である。
本発明のトナーは、そのまま1成分現像剤として使用でき、またはキャリアと混合した2成分現像剤としても使用できる。キャリアとしては、公知の磁性粒子を使用できる。磁性粒子の具体例としては、たとえば、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、これらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などが挙げられる。これらの中でも、フェライトが好ましい。キャリアの表面に樹脂層を設けてもよい。樹脂層に用いられる合成樹脂としては、たとえば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂、フッ素含有重合体系樹脂などが挙げられる。
キャリアの粒径は特に制限されないけれども、高画質化を考慮すると、好ましくは30〜50μmである。キャリアの抵抗率は、好ましくは10Ω・cm以上、さらに好ましくは1012Ω・cm以上である。抵抗率は、粒子を0.50cmの断面積を有する容器に入れてタッピングした後、該容器内に詰められた粒子上に1kg/cmの荷重を掛け、荷重と底面電極との間に1000V/cmの電界が生ずる電圧を印加したときの電流値を読み取ることから得られる値である。抵抗率が低いと、現像スリーブにバイアス電圧を印加した場合にキャリア粒子に電荷が注入されて像担持体面にキャリア粒子が付着し易くなり、またバイアス電圧のブレークダウンが起こり易くなる。キャリアの磁化強さ(最大磁化)は、好ましくは10〜60emu/g、さらに好ましくは15〜40emu/gである。2成分現像剤におけるトナーとキャリアとの使用割合は特に制限されず、トナーおよびキャリアの種類に応じて適宜選択できるけれども、樹脂被覆キャリア(密度5〜8g/cm2)に例をとれば、該現像剤中に、トナーが該現像剤全量の2〜30重量%、好ましくは2〜20重量%含まれるように、トナーを用いればよい。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。以下において、「部」および「%」は、特に断らない限り、それぞれ「重量部」および「重量%」を示すものとする。
[水の調製]
以下の実施例および比較例において、造粒用水溶液の調製およびトナー粒子の水洗には、導電率0.5μS/cmの水を用いた。この水は、超純水製造装置(商品名:ミニピュア、TW−300RU、野村マイクロ・サイエンス(株)製)を用いて水道水から調製した。導電率はラコムテスター EC−PHCON10(商品名、(株)井内盛栄堂製)を用いて測定した。
[体積平均粒子径および変動係数]
トナー粒子の体積平均粒子径D50および変動係数(CV値)は、コールターマルチサイザーIII(商品名、コールター社製)を用いて測定した。100mlビーカーに、塩化ナトリウム(1級)の1重量%水溶液(電解液)20ml入れ、これにアルキルベンゼンスルホン酸塩(分散剤)0.5mlおよびトナー試料3mgを順次添加し、5分間超音波分散した後、全量が100mlになるように塩化ナトリウム(1級)の1重量%水溶液を添加し、再度5分間超音波分散したものを測定用試料とした。この測定用試料について、コールターマルチサイザーIII(商品名、コールター社製)を用い、アパーチャー径100μm、測定粒子数50000カウントで測定を行った。
ここで体積平均粒子径D50とは、累積体積分布における大粒径側からの累積体積が50%になる粒径値で、粒度分布の目安になる物性値である。変動係数(CV値)は、その値が小さいほど、粒度分布の幅が狭く、粒子径が揃っていることを意味する。
[樹脂の軟化点]
樹脂の軟化点は、流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−100C、(株)島津製作所製)を用い、試料(樹脂)1gを、ダイ(口径1mm、長さ1mm)から押出されるように荷重約9.8×105Pa(10kg/cm2)を与えながら昇温速度毎分6℃で加熱し、ダイから試料の半量が流出したときの温度として求めた。
[樹脂のガラス転移点(Tg)]
樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業(株)製)を用い、試料(樹脂)1gを温度20℃から昇温速度毎分10℃で150℃まで昇温させ、次いで150℃から20℃に急冷する操作を2度繰返し、DSC曲線を求め、2回目の操作で測定されるDSC曲線の融解に相当する吸熱ピークの頂点の温度として求めた。
[溶融混練物の溶融粘度]
混練物の溶融粘度は、粘弾性測定装置(商品名:レオポリマー、レオロジカル インスツルメント エービー(REOLOGICA Instruments AB)社製)にて、パラレルプレートを用い、以下のようにして測定した。直径25mmのパラレルプレートに試料を挟み、温度150℃で溶融させた後、パラレルプレートの間隔を1.0mmに設定し、歪0.5、角周波数0.1Hz(0.1π≒0.628[rad/s])でパラレルプレートの周方向に正弦的に振動する歪を与えることによって、角周波数0.1Hzで測定サンプルを正弦波振動させ、温度60℃から200℃まで昇温速度3℃/分で昇温させて、測定温度間隔0.5℃で各温度における損失弾性率G”を測定した。
(実施例1)
ポリエステル樹脂(重量平均分子量:80000、Mw/Mn=24、軟化温度105℃)87.5部、帯電制御剤(商品:TRH、保土ヶ谷化学工業(株)製)1.5部、ポリエステル系ワックス(融点85℃)3部および着色剤(KET.BLUE111)8部を混合機(商品名:ヘンシェルミキサー、三井鉱山(株)製)で混合し、得られたトナー原料混合物を二軸押出機(商品名:PCM−30、(株)池貝製)にてシリンダ温度145℃、バレル回転数300rpmで溶融混練し、トナー原料の溶融混練物を調製した。この溶融混練物の150℃における損失弾性率G”は1.0×10Paおよび120℃における溶融粘度は1.5×10Pa・sであった。一方、スチレンアクリル酸共重合体(水溶性分散剤、商品名:ジョンクリル61J、ジョンソンポリマー(株)製、重量平均分子量13000、数平均分子量3700)5部、キサンタンガム0.05部および残部水を混合して全量を100部とし、造粒用水溶液を調製した。
溶融混練物100部と造粒用水溶液900部とを、圧力調整弁、加熱手段および撹拌手段を備える金属製容器に投入し、撹拌下(10000rpm)、120℃、3気圧で10分間加熱加圧した。その後、加熱を止め、30℃まで冷却したところ、トナー粒子を含む混合物が得られた。遠心分離によって該混合物からトナー粒子を取り出し、図1に示す撹拌翼を備える混合槽中にて、トナー粒子と導電率0.5μS/cmの水(水温20℃)とを固形分(トナー粒子)量が10%になるように混合し、撹拌翼の回転数を毎分300回転にして10分間撹拌を行い、遠心分離によってトナー粒子を水から分離するという操作を、トナー粒子分離後の水の導電率が10μS/m以下になるまで繰返し行った。その後、トナー粒子を乾燥し、トナー粒子を製造した。得られたトナーの体積平均粒径D50は10μm、変動係数(CV値)は31であった。
得られたトナー粒子100部に、シリカ粒子0.7部および酸化チタン1部を混合し、本発明のトナーを製造した。
(実施例2〜4)
キサンタンガムの使用量を表1に示す割合(部)に変更する以外は、実施例1と同様にして本発明のトナーを製造した。得られたトナー粒子の体積平均粒径、D50および変動係数(CV値)を表1に併記する。
(実施例5〜9)
キサンタンガムを0.1部使用し、撹拌翼の回転数を表1に示す値(rpm)に変更する以外は、実施例1と同様にして本発明のトナーを製造した。得られたトナー粒子の体積平均粒径、D50および変動係数(CV値)を表1に併記する。
(実施例10〜14)
キサンタンガムを1部使用し、撹拌翼の回転数を表1に示す値(rpm)に変更する以外は、実施例1と同様にして本発明のトナーを製造した。得られたトナー粒子の体積平均粒径、D50および変動係数(CV値)を表1に併記する。
(実施例15)
キサンタンガムに代えて、ヒドロキシエチルセルロースを使用し、撹拌翼の回転数を表1に示す値(rpm)に変更する以外は、実施例1と同様にして本発明のトナーを製造した。得られたトナー粒子の体積平均粒径、D50および変動係数(CV値)を表1に併記する。
(比較例1)
スチレンアクリル酸共重合体に代えて、無機系分散剤(商品名:ルミナス、丸尾カルシウム株式会社製)を使用する以外は、実施例1と同様にして操作を行った。しかしながら、造粒ができず、トナー粒子は得られなかった。
(比較例2)
スチレンアクリル酸共重合体(水溶性分散剤)の使用量を表1に示す割合(部)に変更しかつキサンタンガムを使用しない以外は、実施例1と同様にして比較用のトナーを製造した。得られたトナー粒子の体積平均粒径D50および変動係数(CV値)を表1に併記する。
(比較例3〜8)
スチレンアクリル酸共重合体(水溶性分散剤)を5部使用し、撹拌翼の回転数を表1に示す値(rpm)に変更する以外は、実施例1と同様にして本発明のトナーを製造した。得られたトナー粒子の体積平均粒径、D50および変動係数(CV値)を表1に併記する。
Figure 2007279713
表1から、造粒用水溶液が適量の増粘剤(キサンタンガム)を含む場合には、変動係数を損なうことなく、小径化されかつ粒度分布の幅が狭いトナーが得られることが明らかである。
また、本発明の製造方法に従いかつ図1に示す乳化機1を用いて溶融混練物と造粒用水溶液とを混合する際には、剪断応力を規定範囲に調整することによって、小径化が一層顕著になりかつ粒度分布幅が一層狭くなるトナー粒子が得られることが明らかである。
本発明の製造方法に適用可能な乳化機の構成を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 乳化機
10 乳化槽
11 撹拌手段
12 ステータ
13 液状物
14 回転軸
15 撹拌翼
16 矢符

Claims (11)

  1. 結着樹脂および着色剤を含むトナー原料の溶融混練物と、水溶性分散剤の水溶液とを加熱下に混合してトナー原料の溶融混練物粒子を調製する造粒工程を含む静電荷現像用トナーの製造方法において、水溶性分散剤の水溶液が増粘剤を含むことを特徴とする静電荷現像用トナーの製造方法。
  2. 増粘剤を含む水溶性分散剤の水溶液の粘度が3〜65センチポイズ(25℃)であることを特徴とする請求項1記載の静電荷現像用トナーの製造方法。
  3. 液状物を収容する円筒状の乳化槽と、乳化槽と同一の軸心を有しかつ軸心回りに回転駆動可能に設けられる回転軸および回転軸の鉛直方向下端部またはその近傍から一方向に延びるように設けられて回転軸の回転に伴って回転して乳化槽内の液状物を混合する撹拌翼を備える撹拌手段と、撹拌翼の周囲において撹拌翼に対して間隙を有して離隔するように設けられるステータとを含む乳化機によってトナー原料の溶融混練物と増粘剤を含む水溶性分散剤の水溶液とを混合するに際し、式
    μ・(π・D・N)/d
    (式中、μは増粘剤を含む水溶性分散剤の水溶液の25℃における粘度を示す。πは円周率を示す。Dは撹拌翼の直径を示す。Nは撹拌翼の回転数を示す。dは撹拌翼とステータとの間隙の長さを示す。)で表される剪断応力を5.5×10cP/s以上とすることを特徴とする請求項1または2記載の静電荷現像用トナーの製造方法。
  4. 増粘剤が合成高分子多糖類および天然高分子多糖類から選ばれる多糖類系増粘剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の静電荷現像用トナーの製造方法。
  5. 合成高分子多糖類が、カチオン化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デンプン、イオン化デンプン誘導体およびデンプンと合成高分子のブロック重合体から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項4記載の静電荷現像用トナーの製造方法。
  6. 天然高分子多糖類が、ヒアルロン酸、カラギーナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム 、グァーガムおよびジェランガムから選ばれる1種または2種以上であることを
    特徴とする請求項4記載の静電荷現像用トナーの製造方法。
  7. 増粘剤の水溶性分散剤の水溶液に対する添加量が、増粘剤と水溶性分散剤の水溶液との合計量の0.01〜2重量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の静電荷現像用トナーの製造方法。
  8. 水溶性分散剤が水溶性高分子分散剤であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の静電荷現像用トナーの製造方法。
  9. 造粒工程において、結着樹脂および着色剤を含むトナー原料の溶融混練物と、水溶性分散剤の水溶液とを、結着樹脂の軟化点またはそれよりも高い温度下で混合することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の静電荷現像用トナーの製造方法。
  10. 造粒工程において、結着樹脂および着色剤を含むトナー原料の溶融混練物の150℃における損失弾性率G”が10Pa以下に保持されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の静電荷現像用トナーの製造方法。
  11. トナー原料の溶融混練物が離型剤を含有し、造粒工程における水溶性分散剤の水溶液の液温が離型剤の融点よりも低い温度であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の静電荷現像用トナーの製造方法。
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