JP4391371B2 - 電子写真用磁性粉分散キャリア - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真用磁性粉分散キャリアに関する。
現像剤を用いる画像形成方法には、カールソンプロセスの応用による電子写真方式が広く用いられている。カールソンプロセスを採用した画像形成は、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、定着工程、クリーニング工程および除電工程などによってなされる。帯電工程では、感光体の表面を均一に帯電する。露光工程では、帯電した感光体を露光して感光体の表面に静電潜像を形成する。現像工程では、感光体表面に形成された静電潜像にトナーなどの現像剤を付着させることにより可視像を形成する。転写工程では、トナーと逆極性の電荷を記録材に与えることによりトナー像を転写させる。定着工程では、加熱および加圧などの手段により記録材に転写された可視像を定着する。クリーニング工程では、記録材に転写されずに感光体の表面に残ったトナーを回収する。除電工程では、感光体を除電する。以上の工程によって、電子写真プロセスを利用した画像形成装置は、記録材上に所望の画像を形成する。電子写真方式における現像方式は、一成分現像方式と二成分現像方式とに大きく分類される。
一成分現像方式は、トナーのみからなる層を現像ローラ表面に形成し、これを感光体表面に近接させて現像する方式である。
二成分現像方式は、磁石を内包した現像ローラ表面に、キャリアとよばれる磁性を有する粒子とトナーとを混合して互いに摩擦帯電させたものを磁気ブラシとよばれる現像剤層として形成し、トナーを感光体に静電的に付着させて現像する方式である。二成分現像方式は、装置が一成分現像方式に比べて若干複雑となるが、トナーの電位の設定が容易であり高速対応性、安定性に優れているので、主に中高速プリンターに用いられている。二成分現像方式には、トナーとキャリアとから構成される二成分現像剤が用いられる。
二成分現像剤に用いられるトナーは、たとえば、樹脂と、着色剤、帯電制御剤、オフセット防止剤としてのワックスなどとを溶融混練した後、冷却により固化させ、粉砕分級する溶融混練粉砕法、懸濁重合法、乳化重合法などの重合法によって得られる。得られたトナーはキャリアと混合され、二成分現像剤となる。
キャリアは、現像剤を収容する容器内でトナーとともに攪拌され、トナーを安定に帯電させて感光体表面に付着させる。キャリアは、主に磁性粒子であるキャリア芯材とキャリア芯材を被覆する被覆材とからなるコートキャリアと、磁性粉が結着樹脂中に分散される磁性粉分散キャリアとに大別される。
コートキャリアは、キャリア芯材として鉄粉、フェライトなどの比重が高く密度も大きい素材が用いられるので、キャリアとトナーとを摩擦帯電させるための攪拌力を大きくする必要が生じ、機械的な損耗が大きい。また、大きな攪拌力によって、粒子同士が摩擦して現像剤全体が発熱し、トナーの中の低融点成分であるワックスなどが溶融してキャリア粒子表面に付着したり、粉砕され小径化したトナー粒子がキャリア粒子表面に膜状に付着したりするキャリアのスペントが発生する。このようなキャリアのスペントが起こると、キャリアのトナーに対する帯電付与性能が低下し、安定して感光体表面にトナーを付着させることができず、画質の低下を引き起こすという問題がある。
一方、磁性粉分散キャリアは、コートキャリアに比べて比重および密度が小さいので、キャリアとトナーとを摩擦帯電させるための攪拌力を小さくすることができ、キャリアのトナーに対する帯電付与性能低下の原因であるキャリアのスペントが防止される。また、結着樹脂中に分散させる磁性粉の量を変化させることによってコートキャリアよりも磁化を小さくすることができ、柔らかい磁気ブラシを形成することが可能となるので、トナーを感光体表面に対して安定して付着させることができ、高画質な画像を得ることができる。したがって最近では、このような磁性粉分散キャリアが注目されている。
磁性粉分散キャリアの製造方法としては、結着樹脂と磁性粉とを溶融混練した後、冷却により固化させ、粉砕分級する溶融混練粉砕法によるものが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1に開示される方法は、溶融混練工程において高いせん断力を付与することによって、結着樹脂中における磁性粉の分散性を高めることができる。しかしながら、機械的に粉砕を行うことによって、得られるキャリア粒子の形状が不定形となり、現像剤を収容する容器内での攪拌時におけるキャリアの流動性が悪化するので、キャリアのトナーへの帯電付与性能が低下するという問題がある。また、粉砕工程後に分級を行う必要があり、所望の粒径を有していないキャリア粒子については廃棄するので、歩留が悪いという問題もある。
このような問題を解決するために、機械的粉砕および分級工程を要しないキャリアの製造方法が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。この方法によれば、結着樹脂、磁性粉、水などを攪拌した後、塩基性触媒を加えて加熱し反応させて、反応物を含む水分散液を冷却、濾過、洗浄することによって磁性粉分散キャリアを得ることができる。この特許文献2に開示される方法では、機械的粉砕を行わないので、形状が球形で流動性に優れ、粒径分布の狭い磁性粉分散キャリアを得ることができる。
しかしながらこの方法においては、磁性粉を結着樹脂中に安定して分散させるために、親水性の有機化合物、フッ化カルシウムなどの懸濁安定剤を、結着樹脂、磁性粉、水などとともに攪拌し、濾過することによってキャリアを水分散液から分離する。したがって、キャリア製造時に環境負荷の大きい物質を含む廃水が生じるので、必然的に廃水処理工程を要し、生産設備に過大な投資を強いられるという問題がある。
特開平10−48887号公報 特開平11−24406号公報
本発明の目的は、廃水処理を必要とせず、環境負荷を低減することができ、かつ形状が球形であって粒径分布の狭いキャリアを得ることができる磁性粉分散キャリアの製造方法を提供することである。
本発明は、結着樹脂と磁性粉とを含む電子写真用磁性粉分散キャリアの製造方法において、
少なくとも結着樹脂と磁性粉とを溶融混練する工程と、
溶融混練して得られる溶融混練物を、超臨界流体または亜臨界流体中に投入し、加熱しながら攪拌する工程と、
超臨界流体または亜臨界流体の圧力を減少させる工程とを含む電子写真用磁性粉分散キャリアの製造方法である
また本発明は、溶融混練物を超臨界流体または亜臨界流体中に投入し、加熱しながら攪拌する工程では、
超臨界流体または亜臨界流体中に溶融混練物を分散させる分散剤を溶融混練物とともに投入し、
分散剤は、高分子化合物と磁性粉とを含み、
高分子化合物は、超臨界流体または亜臨界流体に可溶であることを特徴とする

た本発明は、超臨界流体または亜臨界流体は、二酸化炭素であることを特徴とする。
また本発明は、溶融混練物を超臨界流体または亜臨界流体中に投入し、加熱しながら攪拌する工程では、溶融混練物を50℃で加熱しながら2000rpmで攪拌し、超臨界流体または亜臨界流体の原料ガスを投入することを特徴とする。
本発明によれば、結着樹脂中に磁性粉が分散した溶融混練物を超臨界流体中または亜臨界流体中に投入して加熱しながら攪拌することによって、超臨界流体または亜臨界流体中に溶融混練物を分散させることができ、超臨界流体または亜臨界流体の圧力を減少させる工程によって流体中に分散するキャリア粒子を流体から分離することができる。したがって、形状が球形で粒径の分布範囲が狭い磁性粉分散キャリア粒子を製造することができる。また、たとえば超臨界流体または亜臨界流体の生成に減圧処理によって気化する物質を選択することによって、廃水発生工程を無くすことができるので、廃水処理の問題が生じず、環境負荷の低減を図ることができる
また本発明によれば、超臨界流体または亜臨界流体中での加熱攪拌工程において、超臨界流体または亜臨界流体中に可溶な高分子化合物を含む分散剤を溶融混練物とともに投入し攪拌することによって、超臨界流体または亜臨界流体中に分散する溶融混練物の粒子表面に分散剤が付着し、粒子同士の融着を防ぐことができる。また超臨界流体または亜臨界流体の圧力を減少させて粒子が急激に固形化される際にも、分散剤が粒子表面に付着しているので、凝集の発生を防ぎ、粗大粒子を発生せず、粒径分布の狭いキャリア粒子を製造することができる。さらに分散剤に磁性粉を含ませることによって、キャリア粒子表面に分散剤が付着しても、付着した分散剤中にも磁性粉が含まれるので、トナーに対する帯電付与性能、比重、密度などのキャリアの特性が所望の範囲内であるキャリアを製造することができる
また本発明によれば、超臨界流体または亜臨界流体として二酸化炭素を用いる。二酸化炭素を超臨界流体または亜臨界流体にする温度は約31℃と低温であるので、加熱に要するエネルギーのコストを削減できる。また減圧によって、無害な二酸化炭素の気体として排出できるので、環境に優しい方法でキャリアを製造することができる。
また本発明によれば、溶融混練物を超臨界流体または亜臨界流体中に投入し、加熱しながら攪拌する工程では、溶融混練物を50℃で加熱しながら2000rpmで攪拌し、超臨界流体または亜臨界流体の原料ガスを投入する。
本発明の磁性粉分散キャリアの製造方法は、少なくとも結着樹脂と磁性粉とを溶融混練する工程と、溶融混練して得られる溶融混練物を、超臨界流体または亜臨界流体中に投入し、加熱しながら攪拌する工程と、超臨界流体または亜臨界流体の圧力を減少させる工程とを含む。
少なくとも結着樹脂と磁性粉とを溶融混練する溶融混練工程では、混練機によって結着樹脂を溶融させながら結着樹脂と磁性粉とを混練し、磁性粉を結着樹脂中に分散させる。
結着樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、たとえば、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。上記の樹脂を単独で用いてもよく、複数を混合して用いてもよい。
シリコーン系樹脂としては、たとえば、メチルシリコーン樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、フェノール変性シリコーン樹脂、ウレタン変性シリコーン樹脂、ポリエステル変性シリコーン樹脂などが挙げられる。
フッ素系樹脂としては、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体などが挙げられる。
アクリル系樹脂としては、たとえば、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリ−n−ブチルメタクリレート、ポリグリシジルメタクリレート、ポリ含フッ素アクリレート、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリレート共重合体、スチレン−ブチルメタクリレート共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体などが挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、たとえば、アルコールモノマーおよび/または酸モノマーの重縮合物などが挙げられる。アルコールモノマーとしては、ポリエステル系樹脂の合成に常用されるものを使用でき、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのジオール類、ビスフエノールA、水素添加ビスフエノールA、ポリオキシエチレン化ビスフエノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフエノールAなどのビスフエノールAアルキレンオキシド付加物、その他の二価のアルコールが挙げられる。酸モノマーとしても、ポリエステル系樹脂の合成に常用されるものを使用でき、たとえば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸などのカルボン酸類、n−ドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸などのアルケニルコハク酸類、アルキルコハク酸類、これらの酸の無水物、アルキルエステル、その他の二価のカルボン酸が挙げられる。
エポキシ系樹脂としては、たとえば、酸性基または塩基性基含有エポキシ系樹脂が挙げられる。酸性基または塩基性基含有エポキシ樹脂は、たとえば、ベースになるエポキシ樹脂にアジピン酸、無水トリメリット酸などの多価カルボン酸またはジブチルアミン、エチレンジアミンなどのアミンを付加または付加重合させることによって製造することができる。
磁性粉としては、たとえば、マグネタイト、フェライトなどの粉末が挙げられる。フェライトとしては、公知のものを使用でき、たとえば、マンガン、亜鉛、銅などを含むフェライト粉末が使用できる。
磁性粉の大きさとしては、粒径が0.05〜1.0μmの範囲のものが好ましい。0.05μm未満であると結着樹脂中での磁性粉の分散性が悪くなり、1.0μmを超えるとキャリア表面に分布する磁性粉がキャリアから剥がれやすくなるので、キャリアのトナーへの帯電付与性能が低下する。
このような結着樹脂と磁性粉とを溶融混練して溶融混練物を作製する。なお、結着樹脂1重量部に対して磁性粉が1.5〜4.5重量部であるのが好ましい。1.5重量部未満であると、トナーに対する帯電付与性能が低下し画像濃度を低下させる。また、キャリアの比重が小さくなり過ぎ、キャリアが感光体上に移行するキャリア引きを起こすおそれがある。4.5重量部を超えると、結着樹脂中での磁性粉の分散性が低下する。またキャリアの比重および密度が大きくなり過ぎ、現像剤を収容する容器内での攪拌力が大きくなるのでキャリア表面がトナーによって汚染されるスペントが発生する。
なお、溶融混練を行う前に、混合装置を用いて原料の混合を予備的に行ってもよい。混合装置としては特に限定するものではなく、たとえば、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサーなどの高速攪拌型混合装置が挙げられる。混合された原料混合物は、溶融混練工程に供される。
溶融混練工程に用いられる装置としては、特に限定されず、たとえば、二軸押出機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般的な混練機、TEM−100B(東芝機械社製)、PCM−30、PCM−65/87(以上、池貝鉄工社製)などの1軸または2軸のエクストルーダー、ニーディックス(三井鉱山社製)などのオープンロール方式のものが挙げられる。これらの中でも、磁性粉を結着樹脂中に効率よく分散させるために、溶融時の樹脂粘度が下がりすぎないように低い温度で高いせん断力によって混練を行うことができるオープンロール方式の混練機を用いるのが好ましい。溶融混練工程によって得られる混練物は、超臨界流体または亜臨界流体中に投入されて加熱攪拌される工程および超臨界流体または亜臨界流体の圧力を減少させる工程に供される。
物質の温度および圧力を一定条件(臨界点)以上に設定すると、気体と液体との密度が等しい状態の流体となる。この臨界点以上の温度および圧力下での流体を、超臨界流体と呼ぶ。また、臨界点未満においても超臨界流体に近い状態の流体となる場合があり、このような流体を、亜臨界流体と呼ぶ。
超臨界流体または亜臨界流体(以下、特に断らない限り亜臨界流体の状態も超臨界流体に含めて表記する)中では、気体の性質と液体の性質とがともに現れる。たとえば、密度は気体の密度の数100倍程度であって液体の密度に近く、粘度は液体の粘度の1/10〜1/100程度であって気体の粘度に近い。また、拡散係数は液体の拡散係数の1/10〜1/100程度と小さく、熱伝導度は液体の熱伝導度に近く、気体の熱伝導度の100倍程度である。
超臨界流体は、一般的に物を溶解する力が非常に大きく、温度および圧力の変化により、物質の溶解力を大幅に変化させることができる性質を有している。したがって、反応溶媒および抽出溶媒として用いると、超臨界流体は非常に優れた溶媒であり、近年では、物質の分離、抽出、精製などの分野で盛んに研究がされている。超臨界流体を用いる例としては、たとえば、コーヒーにおけるカフェインの抽出、廃棄物の分離および抽出、微粒子の製造などが挙げられる。
超臨界流体を用いて微粒子を製造する例として、急速膨張法(RESS(Rapid
Expansion of Supercritical Solution)法)などが挙げられる。急速膨張法とは、超臨界流体を溶媒に用いて所望の物質(溶質)を溶解させた後減圧すると、溶媒が超臨界状態でなくなり、溶媒の溶質に対する溶解度が低下して溶質が析出されることによって、微粒子を製造する方法がある。なお、超臨界流体に可溶でない物質についても、機械的攪拌によって超臨界流体中に分散させることによって、溶解している場合と同様の効果が得られ、微粒子を製造することができる。本発明の電子写真用磁性粉分散キャリアの製造方法は、この急速膨張法を利用して行われる。
超臨界流体として使用可能な物質としては、たとえば、二酸化炭素、窒素、メタン、エタン、トリフロロメタン、アンモニア、トリフロロクロロメタン、メタノール、エタノール、水などが挙げられる。これらの中でも、常温に近い温度(約31℃)の臨界温度を有し、かつ無極性、不燃性、無害、安全、安価などの利点を有する二酸化炭素が特に好ましい。また二酸化炭素は、結着樹脂と少し親和するので、結着樹脂を軟化させることができ、超臨界流体中での結着樹脂を含む溶融混練物の分散性を向上させることができる。
溶融混練して得られる溶融混練物を、超臨界流体中に投入し、加熱しながら攪拌する加熱攪拌工程では、超臨界流体が充填された容器内に、溶融混練工程で得られる溶融混練物を投入し、加熱しながら攪拌することによって超臨界流体中に溶融混練物の粒子を分散させる。
まず、密閉した容器内の温度を超臨界流体にする物質の臨界温度以上に設定し、容器内に該物質を供給して該物質の圧力を臨界圧力以上にする。このようにして、容器内に超臨界流体を充填する。
本発明のキャリア製造方法においては、加熱攪拌工程で、超臨界流体中に溶融混練物を分散させる分散剤を溶融混練物とともに投入するのが好ましい。
このような分散剤を用いると、超臨界流体中に分散する溶融混練物の粒子表面に分散剤が付着し、粒子同士の融着を防ぐことができるので、粗大粒子が発生せず、粒径分布の狭いキャリア粒子を製造することができる。このような分散剤としては、超臨界流体に可溶な高分子化合物と磁性粉とを含むものを用いる。
高分子化合物としては、超臨界流体に可溶である樹脂などが用いられ、たとえば、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂などが挙げられる。
超臨界流体に可溶であるフッ素系樹脂としては、たとえば、フッ素系脂肪族ポリマーエステルが挙げられる。アクリル系樹脂としては、たとえば、変性ポリアクリレートエステルが挙げられる。シリコーン系樹脂としては、たとえば、ポリエーテル変性シリコンが挙げられる。ウレタン系樹脂としては、たとえば、変性ポリウレタンが挙げられる。
磁性粉としては、公知のものを用いることができ、たとえば、キャリアの原料に用いられるマグネタイト、フェライトなどの粉末が挙げられる。
このような磁性粉を含む分散剤を用いると、後述する減圧工程において分離されるキャリア粒子表面に分散剤の成分が付着しても、分散剤中に磁性粉を含んでいるので、トナーに対する帯電付与性能に影響する比重、密度などのキャリアの特性を所望の範囲内で製造することができる。
なお磁性粉は、分散剤中に40〜80重量%含まれるのが好ましい。40重量%未満であると、得られるキャリアのトナーに対する帯電付与性能が低下して画像濃度が低下する。80重量%を超えると、表面層に存在する磁性粉が剥離し易くなる。
また、分散剤の添加量としては、特に限定されないが、溶融混練物100重量部に対して、分散剤中の高分子化合物が10重量部以下となるように調整されるのが好ましい。より好ましくは5重量部以下である。10重量部を超えると、溶融混練物の粒子に付着する分散剤の量が多くなり過ぎ、得られるキャリアの特性が所望のものと異なってしまう。
また、加熱攪拌工程では、超臨界流体に対する溶融混練物の分散性を向上させるために、溶融混練物中の結着樹脂の粘度を低下させる添加助剤(エントレーナー)を加えてもよい。添加助剤には有機溶媒を使用でき、超臨界流体の種類、結着樹脂成分の種類などに応じて適宜選択される。特に、常温常圧下で、結着樹脂との相溶性を有しないものが好ましい。添加助剤に用いられる有機溶媒の具体例としては、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、トルエン、ベンゼン、シクロヘキサンなどの炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルアセテート、アルキルカルボン酸エステルなどのエステル類、クロロベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類などがある。これらの中で、結着樹脂の変性の抑制および環境への負荷低減の観点からアルコール類が好適であり、その中でもエタノールが最も好適に用いられる。添加助剤は、超臨界流体の臨界圧力以上に加圧して供給されるのが好ましい。また、添加助剤は溶融混練物中の結着樹脂1重量部に対して2.0〜10.0重量部加えられるのが好ましい。
このように、必要に応じて投入する分散剤と添加助剤とともに、結着樹脂と磁性粉とを含む溶融混練物を超臨界流体中で臨界温度以上の温度に加熱しながら攪拌し、超臨界流体中に溶融混練物を粒子状態で分散させる。次いで減圧工程に供される。
超臨界流体の圧力を減少させる減圧工程では、加熱攪拌を行う超臨界流体の温度を臨界温度以上に保ちながらその圧力を所定の圧力まで減少させることによって、結着樹脂と磁性粉とを含む溶融混練物の粒子であるキャリア粒子を析出させる。また、分散剤が投入される場合、超臨界流体中に溶解している分散剤の高分子化合物についても、減圧によってその溶解度が低下し、分散剤中の磁性粉とともにキャリア粒子表面に付着する状態で析出する。このようにして磁性粉分散キャリアが得られる。
ここで、超臨界流体は、たとえば二酸化炭素が用いられるとき、減圧によって容易に気体となり、キャリア粒子を析出させることができる。したがって、廃水の発生を無くすことができるので、廃水処理の問題が生じず、環境負荷の低減を実現することができる。さらに、キャリア粒子を乾燥させるための乾燥工程が不要であり、工程数減少に伴う低コスト化も期待できる。
超臨界流体中で、溶融混練物を分散させた後の減圧の割合は、圧力、温度、超臨界流体の種類、キャリア成分の種類、得ようとするキャリアの粒径などに応じて適宜選択できる。たとえば、超臨界流体が二酸化炭素である場合、31.1℃以上および7.3MPa以上に加熱加圧されているので、たとえば大気圧程度にまで急速に減圧することによって、結着樹脂中に磁性粉が分散するキャリアが得られる。
また、分散剤が投入されて加熱攪拌される場合は、減圧工程においても、超臨界流体が減圧されることによって、キャリア粒子表面に急激に析出固化される分散剤が付着するので、キャリア粒子の凝集物の発生を防ぐことができ、粗大粒子の発生を防ぐことができる。
さらに、加熱攪拌工程において添加助剤を加える場合、添加助剤がキャリア粒子表面に付着しても、添加助剤が結着樹脂に対して非溶性であればキャリア粒子同士が付着せず、微細なキャリア粒子を得ることができる。また、キャリア粒子に付着する添加助剤は余熱により気化し、除去されるのでキャリアの特性は変化しない。
図1は、本発明の磁性粉分散キャリアの製造方法に好適に用いられる磁性粉分散キャリア製造装置1を簡略化して示す系統図である。磁性粉分散キャリア製造装置1は、温度計2、圧力計3、ヒータ4および攪拌手段6を備え、超臨界流体を生成させかつ超臨界流体中にキャリア成分の溶融混練物を分散させるための反応容器7と、超臨界流体の原料ガスの供給源であるガスボンベ8と、ガスボンベ8から供給される超臨界流体の原料ガスを加圧するための加圧ポンプ9と、加圧ポンプ9から供給される加圧された原料ガスを反応容器7へ供給するための原料ガス供給バルブ10と、添加助剤が充填されるタンク11と、タンク11から供給される添加助剤を加圧するための加圧ポンプ12と、加圧ポンプ12から供給される加圧された添加助剤を反応容器7へ供給する量を制御するための添加助剤供給バルブ13と、減圧バルブ5の開放により反応容器7から排出される溶融混練物の分散物を流過させる管であって、途中に減圧バルブ5が設けられる分散物供給管14と、分散物供給管14の外周に設けられるヒータ15と、分散物供給管14に接続され、分散物から生成する磁性粉分散キャリアを放出するためのノズル16と、ノズル16の外周に設けられるノズルヒータ17と、ノズル16を内包するように設けられ、ノズル16から放出されるキャリアを捕集するキャリア捕集容器18とを含んで構成される。
原料ガスはガスボンベ8から加圧ポンプ9に送給され、加圧ポンプ9によって加圧された後、原料ガス供給バルブ10を介して反応容器7に供給される。原料ガスとしては、常温に近い温度(約31℃)の臨界温度を有し、環境に無害な二酸化炭素が特に好ましい。
タンク11に充填される添加助剤は加圧ポンプ12に供給され、加圧ポンプ12によって加圧された後、添加助剤供給バルブ13を介して反応容器7に供給される。添加助剤としては、常温常圧で、結着樹脂と相溶性を有しないものを用いるのが好ましい。
反応容器7には、反応容器7内の温度を測定する温度計2、反応容器7内の圧力を測定する圧力計3、反応容器7の内容物を加熱するヒータ4および反応容器7の内容物を攪拌する攪拌手段6が設けられ、分散物供給管14の一端が接続される。攪拌手段6は、たとえば櫛歯型の羽状の攪拌部材6aおよびモータ6bで構成され、モータ6bによって攪拌部材6aを回転させることによって、反応容器7の内容物を攪拌する。
反応容器7には、予め溶融混練工程によって得られた溶融混練物および必要に応じて投入される分散剤のそれぞれ適量が投入される。さらに、原料ガス供給バルブ10および添加助剤供給バルブ13を介して、加圧された原料ガスおよび添加助剤の適量が供給される。このとき、減圧バルブ5は閉じられている。反応容器7内の温度および圧力はそれぞれ温度計2および圧力計3によって管理され、ヒータ4と加圧ポンプ9とによって調整される。適量の原料ガスおよび添加助剤が供給されて所望の圧力が得られると、原料ガス供給バルブ10および添加助剤供給バルブ13を閉じて供給を停止する。このようにして所望の温度および圧力が得られると、原料ガスから超臨界流体が生成し、モータ6bによる攪拌部材6aの回転によって溶融混練物および分散剤が超臨界流体中で攪拌され、均一に分散する。このようにして、反応容器7内に均一な分散系を形成する。この状態を一定時間保持した後、減圧バルブ5を開放する。
減圧バルブ5を開放すると、反応容器7内の超臨界流体は、減圧バルブ5によって排出され、大気圧付近にまで減圧されて気化する。このとき、超臨界流体中に分散していた溶融混練物の結着樹脂および磁性粉が均一に混合したキャリアの微粒子が析出する。なお、分散剤を投入した場合は該キャリア微粒子の表面に分散剤が付着した状態で析出する。
減圧バルブ5を介して反応容器7に接続する分散物供給管14には、減圧バルブ5の開放と同時に減圧によって、超臨界流体から生成される原料ガスと、該溶融混練物から形成され超臨界流体から析出したキャリアと、添加助剤との混合物が送給される。該混合物中の添加助剤は、ヒータ15とノズルヒータ17とによる加熱によって大部分が気化される。分散物供給管14内を流過した前記混合物は、ノズル16からキャリア捕集容器18内にキャリア粒子を含む気流として放出され、キャリア粒子がキャリア捕集容器18内に回収される。
なお、反応容器7内に析出するキャリア粒子およびノズル16から放出されるキャリア粒子に添加助剤が付着していても、キャリアの結着樹脂と非相溶な添加助剤を使用すれば、キャリア粒子同士が付着せず、微細な状態のままのキャリア粒子を得ることができる。また、キャリアに付着した添加助剤は余熱により気化し、除去される。
本実施の形態の磁性粉分散キャリア製造装置1においては、加圧ポンプ9と原料ガス供給バルブ10との間および/または加圧ポンプ12と添加助剤供給バルブ13との間に、図示しないヒータ、コイルなどの加熱手段を設け、加圧された原料ガスおよび/または添加助剤を所望の温度近くまで加熱することができる。
また、加圧ポンプ9、12と反応容器7との間に図示しない混合容器を設け、原料ガスと添加助剤とを混合し、その後に反応容器7に供給することもできる。
また、反応容器7の外部に設けられるヒータ4に代えて、図示しない恒温槽などを用いることができる。
また、ノズル16の出口付近に図示しない温度計を設置して出口温度を測定し、添加助剤の気化状況などを調べることができる。
このようにして得られる磁性粉分散キャリアは、少なくとも樹脂と着色剤とを含むトナーと混合されて二成分現像剤として使用される。トナーとしては、従来公知の方法で製造されるトナーが使用可能である。
トナーに使用可能な樹脂としては、たとえば、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。
着色剤としては、公知の無機または有機の染料および顔料が使用可能であり、たとえば、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザリンレーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーなどが挙げられる。これらは通常、樹脂100重量部に対し0.5〜20重量部使用される。
トナーには、樹脂、着色剤のほかに、好ましい特性を損なわない範囲で帯電制御剤などの添加剤を含有してもよい。帯電制御剤の添加によって、トナーの摩擦帯電量を好適にすることができる。帯電制御剤としては、公知のものを使用でき、たとえば、四級アンモニウム塩の金属塩などに代表される正帯電制御剤、アルキルサリチルの金属塩などに代表される負帯電制御剤が挙げられる。帯電制御剤は、トナー中に概ね1〜3重量%含まれるのが好ましい。
また、結着樹脂、着色剤のほかに、好ましい特性を損なわない範囲でワックスなどの離型剤を含有してもよい。ワックスは、公知のものを使用でき、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体およびポリオレフィンなどから選ばれる少なくとも一種からなるワックスが挙げられる。ワックスは、結着樹脂100重量部に対して2〜8重量部含まれるのが好ましい。2重量部未満であると、オフセットが発生しやすくなり、8重量部を超えると、フィルミングが発生しやすくなる。
トナーは、公知の方法によって得ることができる。たとえば、結着樹脂、着色剤などの主成分もしくは予め結着樹脂中に着色剤を予備分散させたいわゆるマスターバッチ組成物に必要に応じて帯電制御剤、ワックスなどを混合機で混合した後、溶融混練して均一分散させ、粉砕し分級するといった方法が用いられる。
溶融混練に用いられる装置としては、キャリアの溶融混練工程において用いられる公知の混練機を用いることができる。
トナー粒子の粉砕にはジェット気流を用いた衝突式気流粉砕機、機械式粉砕機などを用いることができ、風力などによる分級を施して所定粒度に調整する。
また、トナーは、水溶液中あるいは溶剤中で粒子を生成する懸濁法、乳化凝集法、液中乾燥法などのいわゆる重合法によって得ることもできる。トナー原料の溶融混練物を超臨界流体または亜臨界流体中に分散させ、超臨界流体または亜臨界流体を減圧してトナー粒子を得ることもできる。
このようにして製造されたトナー粒子としては、体積平均粒径が3〜10μmであるものが好ましい。トナーの体積平均粒径が3μm未満であると、トナー粒径が小さくなり過ぎて感光体にトナーが安定して供給されず、画像かぶりが発生するおそれがある。また、トナーの体積平均粒径が10μmを超えると、トナーの粒径が大きいので、高画質な画像を得ることができない。
このようにして得られたトナーに、たとえば、粉体流動性向上、摩擦帯電性向上、耐熱性および長期保存性改善、クリーニング特性改善、感光体表面磨耗特性制御などの機能を担う外添剤を混合してもよい。外添剤としては、たとえば、シリカ微粉末、酸化チタン微粉末、アルミナ微粉末などが挙げられる。外添剤の添加量としては、トナーに必要な帯電量の付与、感光体への影響、トナーの環境特性などを考慮して、トナー粒子100重量部に対し2重量部以下が実用上好適である。
以上のようにして製造したトナーと磁性粉分散キャリアとを混合機で混合させることによって二成分現像剤を製造する。混合機としては公知のものを使用でき、たとえば、V型混合機、W型混合機などが挙げられる。
以下本発明の実施例について説明する。
本発明の電子写真用磁性粉分散キャリアの製造方法における溶融混練工程によって、結着樹脂と磁性粉とからなる溶融混練物を作製した。
〔溶融混練物Aの作製〕
結着樹脂としてシリコーン系樹脂(東レ・ダウシリコーニング・シリコーン社製:SR−2410)30重量部、磁性粉としてマグネタイト粉末70重量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製:FM−20)によって10分間混合した混合物を、ニーディクス(三井鉱山(株)製:MOS−140−800)によって130℃で溶融混練を行い、磁性粉が結着樹脂中に分散した溶融混練物Aを作製した。
〔溶融混練物Bの作製〕
結着樹脂としてポリエステル系樹脂(大日本インキ社製:DZ201)を使用した以外は溶融混練物Aと同様にして、溶融混練物Bを作製した。
(実施例1)
図1に示す磁性粉分散キャリア製造装置1を用いて磁性粉分散キャリアを製造した。なお磁性粉分散キャリア製造装置1における反応容器7の容積は1000cmであった。
このような反応容器7に溶融混練物Aを20重量部、分散剤として変性アクリル系ブロック共重合物(共栄社化学社製:フローレンDOPA−17)2重量部およびマグネタイト粉末1重量部を投入し、反応容器7内の温度を50℃に設定し密閉した。また添加助剤としてエタノール72重量部を反応容器7に供給した。攪拌手段6によって反応容器7の内容物を2000rpmで攪拌しつつ、反応容器7内の圧力が20MPaになるまで加圧ポンプ9によって加圧された二酸化炭素を供給した。このように、反応容器7内において二酸化炭素の超臨界流体を生成し、攪拌手段6によって約3時間攪拌して超臨界流体中に溶融混練物を分散させた。その後、減圧バルブ5を開放してキャリア捕集容器18に析出した粒子を回収し、磁性粉分散キャリアを得た。
(実施例2)
溶融混練物Aの代わりに溶融混練物Bを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2の磁性粉分散キャリアを得た。
(比較例1)
溶融混練物Aをジェット式粉砕機(日本ニューマチック工業社製:IDS−2)にて粉砕分級することによって、比較例1のキャリアを得た。
(比較例2)
フェライト粒子をシリコーン系樹脂でコートしたフェライトキャリア(関東電化工業社製)を比較例2のキャリアとした。
以上のようにして得られた実施例および比較例のキャリアの体積平均粒径を測定し、粒径分布および形状について評価を行った。
〔体積平均粒径の測定〕
キャリアの粒径をレーザー回折式粒径測定装置(堀場製作所社製:LA−920)によって測定し、その値から体積平均粒径を算出した。
〔粒径分布の評価〕
粒径の測定値およびその標準偏差に基づいて、下記式(1)より算出した変動係数によって実施例および比較例のキャリアの粒径分布を評価した。評価基準は、変動係数が30以下である場合を○、変動係数が30を超える場合を×とした。
変動係数 = 標準偏差 / 体積平均粒径 …(1)
〔キャリアの形状の評価〕
無作為に取り出したキャリアを光学顕微鏡で観察することによって、実施例および比較例のキャリアの形状を評価した。評価基準は、キャリアの形状が均一であって球形であるものを○、キャリアの形状が不均一である場合を×とした。
次に、実施例および比較例で得られたキャリアを用いた二成分現像剤による形成画像の評価を行うために、実施例および比較例のキャリアと以下のトナーとを混合して二成分現像剤を作製した。トナーは、次のようにして作製した。
〔トナーの作製〕
樹脂としてポリエステル樹脂(大日本インキ社製:DZ−100)100重量部、ワックスとしてポリエチレン1.0重量部およびポリプロピレン1.5重量部、帯電制御剤としてカリックスアレンE89(オリエント化学社製)1.0重量部、着色剤としてカーボンブラック5重量部を用い、スーパーミキサー(川田社製:V−20)で充分に混合し、得られた混合物を二軸混練機(池貝鉄工社製:PCM−30)によって溶融混練した。溶融混練によって得られた溶融混練物をジェット式粉砕機(日本ニューマチック工業社製:IDS−2)によって粉砕後分級し、シリカ微粒子を1.0重量部外添して体積平均粒径6.5μmのトナーを得た。
得られたトナーとキャリアとをナウターミキサー(ホソカワミクロン社製:VL−0)によって20分間攪拌し、二成分現像剤中のトナー濃度が4重量%である二成分現像剤を作製した。
以上のようにして実施例および比較例のキャリアを用いて作製した二成分現像剤によって画像を形成し、得られた画像の画像濃度および画像かぶりの評価を以下のようにして行った。
〔画像濃度評価〕
実施例および比較例のキャリアを用いて作製した二成分現像剤を、市販の複写機AR−450(シャープ株式会社製)に装填し、印刷した初期状態の画像の濃度と、印字率5%の原稿を5枚間欠で200,000枚印刷した後の画像濃度とを、マクベス反射濃度計(Macbeth社製:RD−914)によって測定した。評価は、画像濃度が1.3以上を○、1.3未満を×とした。
〔画像かぶり評価〕
ハンター白度計(日本電色工業社製)によって、A4白紙原稿の白度を測定し、その値を第1測定値とした。また、初期状態、200,000枚印刷した後に、直径55mmの白円部を含む原稿を2枚印刷し、得られたコピーサンプルの白円部を白度計によって測定し、その値を第2測定値とした。第2測定値から第1測定値を差し引いた値の平均値を画像かぶり評価の値とした。なお、画像かぶりの評価は、1.0未満を○、1.0以上1.5未満を△、1.5以上を×とした。
実施例および比較例のキャリアの体積平均粒径と、粒径分布および形状の評価と、実施例および比較例のキャリアを用いて作製した二成分現像剤によって形成された画像の画像濃度および画像かぶりの評価とを表1に示す。
Figure 0004391371
表1より、本発明の製造方法で製造した磁性粉分散キャリアは小径であって粒径分布が狭く、形状が球形であって均一であった。したがって、キャリアのトナーに対する帯電付与性能が良好であったので、長期使用後においてもキャリアの帯電性が劣化せず、充分な画像濃度を有し、かつ画像かぶりが発生しない安定した画像を得ることができた。
一方、溶融混練粉砕法によって製造した磁性粉分散キャリア(比較例1)は、粒径分布が広く、その形状が不均一なものであった。その結果、現像剤を収容する容器内での攪拌時におけるキャリアの流動性が悪化し、キャリアのトナーに対する帯電付与性能が悪くなり、長期使用すると画像かぶりが発生した。
また、コートキャリア(比較例2)は、粒径分布および形状は良好であったけれども、比重および密度が高く、使用し続けると現像工程における攪拌によってキャリアのスペントが発生した。その結果、キャリアのトナーに対する帯電付与性能が悪くなり、長期使用すると画像かぶりが発生した。
本発明の磁性粉分散キャリアの製造方法に好適に用いられる磁性粉分散キャリア製造装置1を簡略化して示す系統図である。
符号の説明
1 磁性粉分散キャリア製造装置
2 温度計
3 圧力計
4 ヒータ
5 減圧バルブ
6 攪拌手段
7 反応容器
8 ガスボンベ
9,12 加圧ポンプ
10 原料ガス供給バルブ
11 タンク
13 添加助剤供給バルブ
14 分散物供給管
15 ヒータ
16 ノズル
17 ノズルヒータ
18 キャリア捕集容器

Claims (4)

  1. 結着樹脂と磁性粉とを含む電子写真用磁性粉分散キャリアの製造方法において、
    少なくとも結着樹脂と磁性粉とを溶融混練する工程と、
    溶融混練して得られる溶融混練物を、超臨界流体または亜臨界流体中に投入し、加熱しながら攪拌する工程と、
    超臨界流体または亜臨界流体の圧力を減少させる工程とを含む電子写真用磁性粉分散キャリアの製造方法。
  2. 溶融混練物を超臨界流体または亜臨界流体中に投入し、加熱しながら攪拌する工程では、
    超臨界流体または亜臨界流体中に溶融混練物を分散させる分散剤を溶融混練物とともに投入し、
    分散剤は、高分子化合物と磁性粉とを含み、
    高分子化合物は、超臨界流体または亜臨界流体に可溶であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真用磁性粉分散キャリアの製造方法。
  3. 超臨界流体または亜臨界流体は、二酸化炭素であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真用磁性粉分散キャリアの製造方法。
  4. 溶融混練物を超臨界流体または亜臨界流体中に投入し、加熱しながら攪拌する工程では、溶融混練物を50℃で加熱しながら2000rpmで攪拌し、超臨界流体または亜臨界流体の原料ガスを投入することを特徴とする請求項3に記載の電子写真用磁性粉分散キャリアの製造方法。
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