JP2014219598A - 静電潜像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

静電潜像現像用トナーの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2014219598A
JP2014219598A JP2013099415A JP2013099415A JP2014219598A JP 2014219598 A JP2014219598 A JP 2014219598A JP 2013099415 A JP2013099415 A JP 2013099415A JP 2013099415 A JP2013099415 A JP 2013099415A JP 2014219598 A JP2014219598 A JP 2014219598A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
toner
resin
core particles
flow path
particles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013099415A
Other languages
English (en)
Inventor
猛雄 溝部
Takeo Mizobe
猛雄 溝部
永井 孝
Takashi Nagai
孝 永井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Document Solutions Inc
Original Assignee
Kyocera Document Solutions Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Document Solutions Inc filed Critical Kyocera Document Solutions Inc
Priority to JP2013099415A priority Critical patent/JP2014219598A/ja
Publication of JP2014219598A publication Critical patent/JP2014219598A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G9/00Developers
    • G03G9/08Developers with toner particles

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Developing Agents For Electrophotography (AREA)

Abstract

【課題】定着性、トナーの強度、及び保存安定性が良好な静電潜像現像用トナーを製造できる、静電潜像現像用トナーの製造方法を提供すること。
【解決手段】トナーコア粒子を流通させる流路と、流路の途中に設けられ、流路中に気流を生じさせる回転撹拌部と、噴霧部とを備える装置を用いて、流路内の相対湿度が40%RH以上70%RH以下として、所定の工程を含む方法でトナーコア粒子を樹脂で被覆してシェル層を形成して、表面にシェル層を備えるトナーを得る。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電潜像現像用トナーの製造方法に関する。
トナーに関して、低温域において幅広い温度で良好な定着性を得る目的、高温での保存安定性の向上の目的、耐ブロッキング性の向上のような目的で、低融点の結着樹脂を含むトナーコア粒子を、トナーコア粒子の結着樹脂のガラス転移点(Tg)よりもTgの高い樹脂で被覆したカプセルトナーが使用されている。
このようなカプセルトナーを製造する方法としては、トナーコア粒子の表面に、被覆層の材料の微粒子を付着させて得られる微粒子付着トナーコア粒子を、微粒子付着トナーコア粒子にエタノールを噴霧しながら気流中で流動させることで、トナーコア粒子の表面に付着する微粒子を膜化させて樹脂被膜層を形成する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2011−081344号公報
しかし、特許文献1に記載のカプセルトナーの製造方法では、トナーコア粒子の表面に微粒子を付着させる際に微粒子同士が凝集しやすく、トナーコア粒子の表面を樹脂皮膜層で均一に被覆しにくい。それゆえ、特許文献1に記載の方法で製造されるカプセルトナーでは、トナーコア粒子表面が露出した部分が残存しやすい。このため、特許文献1に記載の方法で製造されるカプセルトナーは、定着性に優れていても、高温で保管する際、熱、及び水蒸気の影響で、離型剤のトナー表面への染み出しが生じやすく、トナー粒子同士が凝集しやすい。
また、特許文献1に記載の方法ではカプセルトナーを製造する場合には、樹脂被覆層の内部に、樹脂皮膜層の形成に用いる微粒子同士の界面が残存してしまう。樹脂被覆層の内部に微粒子同士の界面が残存するトナーは、トナーが現像装置内で撹拌されて機械的ストレスを受ける場合に、樹脂皮膜層が微粒子同士の界面を起点として容易に破壊されやすく、強度が低い。このように強度の低いトナーを用いる場合、現像装置内の機械的ストレスで、トナーの凝集や、トナーの装置内部材への付着が発生しやすく、所望する品質の画像を形成しにくい。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、定着性、強度、及び保存安定性が良好な静電潜像現像用トナーを製造できる、静電潜像現像用トナーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、トナーコア粒子を流通させる流路と、流路の途中に設けられ、流路中に気流を生じさせる回転撹拌部と、噴霧部とを備える装置を用いて、流路内の相対湿度を40%RH以上70%RH以下として、所定の工程を含む方法でトナーコア粒子を樹脂で被覆してシェル層を形成することで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
本発明は、トナーコア粒子がシェル層で被覆された静電潜像現像用トナーの製造方法に関する。トナーコア粒子の被覆は、トナーコア粒子を流通させる流路と、流路の途中に設けられ、流路中に気流を生じさせる回転撹拌部と、噴霧部とを備える装置を用いて行われる。静電潜像現像用トナーの製造方法は、下記(1)及び(2):
(1)前記トナーコア粒子を、前記流路を流通する流速30m/s以上の気流中に分散させる工程、及び、
(2)前記気流中に分散された前記トナーコア粒子に、シェル層を形成するための樹脂微粒子を含有する水性エマルジョンを噴霧する工程、
を含む。静電潜像現用トナーを製造する際の流路内の相対湿度は、40%RH以上70%RH以下である。
本発明によれば、定着性、トナーの強度、及び保存安定性が良好な静電潜像現像用トナーを製造できる、静電潜像現像用トナーの製造方法を提供することができる。
トナーコア粒子の表面にシェル層が形成される過程を模式的に示す断面図である。 好適な表面改質装置の正面図である。 好適な表面改質装置の断面図である。 好適な表面改質装置が備える粉体投入部及び粉体回収部の構成を示す側面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
以下、静電潜像現像用トナー、及び静電潜像現像用トナーの製造方法について順に説明する。
≪静電潜像現像用トナー≫
本発明の製造方法を用いて得られる静電潜像現像用トナー(以下単にトナーともいう)は、トナーコア粒子がシェル層で被覆されている。トナーコア粒子は、結着樹脂と、必要に応じて着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉のような任意成分とを含む。トナーは、その表面に、さらに外添剤を付着させることもできる。トナーは、必要に応じて、キャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。以下、トナーコア粒子、シェル層形成用の樹脂、及び外添剤と、本発明の製造方法を用いて得られるトナーを2成分現像剤として使用する場合に用いるキャリアと、について順に説明する。
[トナーコア粒子]
トナーコア粒子は、結着樹脂中に、必要に応じて、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉のような任意成分を含んでいてもよい。以下、トナーコア粒子に含まれる成分に関して、結着樹脂、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉について順に説明する。
〔結着樹脂〕
結着樹脂の種類は、従来からトナー用の結着樹脂として用いられている樹脂であれば特に制限されない。結着樹脂の具体例としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂のような熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂の中でも、トナー中の着色剤の分散性、トナーの帯電性、用紙に対する定着性の面から、スチレンアクリル系樹脂、及びポリエステル系樹脂が好ましい。以下、スチレンアクリル系樹脂、及びポリエステル系樹脂について説明する。
スチレンアクリル系樹脂は、スチレン系単量体とアクリル系単量体との共重合体である。スチレン系単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレンのような物質が挙げられる。アクリル系単量体の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸iso−ブチルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
ポリエステル系樹脂は、2価又は3価以上のアルコール成分と2価又は3価以上のカルボン酸成分とを縮重合や共縮重合することで得られるものを使用することができる。ポリエステル系樹脂を合成する際に用いられる成分としては、以下のアルコール成分やカルボン酸成分が挙げられる。
2価又は3価以上のアルコール成分の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールのようなジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールAのようなビスフェノール類;ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンのような3価以上のアルコール類が挙げられる。
2価又は3価以上のカルボン酸成分の具体例としては、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、あるいはn−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸のようなアルキル又はアルケニルコハク酸のような2価カルボン酸;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸のような3価以上のカルボン酸が挙げられる。これらの2価又は3価以上のカルボン酸成分は、酸ハライド、酸無水物、低級アルキルエステルのようなエステル形成性の誘導体として用いてもよい。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1から6のアルキル基を意味する。
結着樹脂がポリエステル系樹脂である場合の、ポリエステル系樹脂の軟化点は、80℃以上150℃以下であることが好ましく、90℃以上140℃以下がより好ましい。
結着樹脂としては、定着性が良好なトナーを得やすいことから熱可塑性樹脂を用いることが好ましいが、熱可塑性樹脂単独で使用するだけでなく、熱可塑性樹脂に架橋剤や熱硬化性樹脂を添加することができる。結着樹脂内に一部架橋構造を導入することで、定着性を低下させることなく、トナーの保存安定性、形態保持性、耐久性を向上させることができる。
熱可塑性樹脂と共に使用できる熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂やシアネート系樹脂が好ましい。好適な熱硬化性樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、シアネート樹脂が挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、2種以上を組み合わせて使用できる。
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、45℃以上65℃以下が好ましく、50℃以上60℃以下がより好ましい。ガラス転移点が高すぎる場合、トナーの低温定着性が低下する傾向がある。
結着樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、結着樹脂の比熱の変化点から求めることができる。より具体的には、測定装置としてセイコーインスツルメンツ株式会社製示差走査熱量計DSC−6200を用い、結着樹脂の吸熱曲線を測定することで求めることができる。測定試料10mgをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを使用し、測定温度範囲25℃以上200℃以下、昇温速度10℃/分、常温常湿下で測定して得られた結着樹脂の吸熱曲線より結着樹脂のガラス転移点を求めることができる。
結着樹脂の質量平均分子量(Mw)は、30,000以上60,000以下が好ましい。結着樹脂の質量平均分子量(Mw)は、従来知られる方法に従って、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定できる。
〔着色剤〕
トナーコア粒子に含まれる着色剤は、トナーの色に合わせて、公知の顔料や染料を用いることができる。トナーに添加する好適な着色剤の具体例としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラックのような黒色顔料;黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネープルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキのような黄色顔料;赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジGKのような橙色顔料;ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bのような赤色顔料;マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキのような紫色顔料;紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCのような青色顔料;クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGのような緑色顔料;亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛のような白色顔料;バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイトのような体質顔料が挙げられる。これらの着色剤は、トナーを所望の色相に調整する目的で2種以上を組み合わせて用いることもできる。
着色剤の使用量は、トナー全質量に対して、3質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上17質量%以下がより好ましい。
〔離型剤〕
離型剤は、トナーの用紙への定着性や耐オフセット性を向上させる目的で使用される。離型剤の種類は、従来からトナー用の離型剤として使用されているものであれば特に限定されない。
離型剤としてはワックスが好ましい。ワックスの例としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フッ素樹脂系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、エステルワックス、モンタンワックス、ライスワックスのような物質が挙げられる。これらの離型剤は2種以上を組み合わせて使用できる。このような離型剤をトナーに添加することで、オフセットや像スミアリング(画像をこすった際の画像周囲の汚れ)の発生をより効率的に抑制することができる。
離型剤の使用量は、トナーの全質量に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。離型剤の含有量が過少であるトナーを用いる場合、形成画像でのオフセットや像スミアリングの発生の抑制について所望の効果が得られない場合がある。過剰量の離型剤を用いてトナーを調製する場合、得られるトナーが、トナー粒子同士で融着しやすく、トナーの保存安定性が損なわれる場合がある。
〔電荷制御剤〕
電荷制御剤は、帯電レベルや、所定の帯電レベルに短時間で帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。トナーを正帯電させて現像を行う場合、正帯電性の電荷制御剤が使用され、トナーを負帯電させて現像を行う場合、負帯電性の電荷制御剤が使用される。電荷制御剤は、シェル層に配合されるのが好ましい。
電荷制御剤の種類は、従来よりトナーに使用されている電荷制御剤から適宜選択できる。正帯電性の電荷制御剤の具体例としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、オルトオキサジン、メタオキサジン、パラオキサジン、オルトチアジン、メタチアジン、パラチアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−オキサジアジン、1,3,4−オキサジアジン、1,2,6−オキサジアジン、1,3,4−チアジアジン、1,3,5−チアジアジン、1,2,3,4−テトラジン、1,2,4,5−テトラジン、1,2,3,5−テトラジン、1,2,4,6−オキサトリアジン、1,3,4,5−オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、及びキノキサリンのようなアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリ−ンBH/C、アジンディ−プブラックEW、及びアジンディープブラック3RLのようなアジン化合物からなる直接染料;ニグロシン、ニグロシン塩、及びニグロシン誘導体のようなニグロシン化合物;ニグロシンBK、ニグロシンNB、及びニグロシンZのようなニグロシン化合物からなる酸性染料;ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩類;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルメチルヘキシルデシルアンモニウム、及びデシルトリメチルアンモニウムクロライドのような4級アンモニウム塩が挙げられる。これらの正帯電性の電荷制御剤の中では、より迅速な立ち上がり性が得られる点で、ニグロシン化合物が特に好ましい。これらの正帯電性の電荷制御剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
4級アンモニウム塩、カルボン酸塩、又はカルボキシル基を官能基として有する樹脂も正帯電性の電荷制御剤として使用できる。より具体的には、4級アンモニウム塩を有するスチレン系樹脂、4級アンモニウム塩を有するアクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、4級アンモニウム塩を有するポリエステル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン系樹脂、カルボン酸塩を有するアクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するスチレン−アクリル系樹脂、カルボン酸塩を有するポリエステル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレン系樹脂、カルボキシル基を有するアクリル系樹脂、カルボキシル基を有するスチレンアクリル系樹脂、及びカルボキシル基を有するポリエステル系樹脂のような1種又は2種以上が挙げられる。これらの樹脂の分子量は、オリゴマーであってもポリマーであってもよい。
負帯電性の電荷制御剤の具体例としては、有機金属錯体、キレート化合物が挙げられる。有機金属錯体、及びキレート化合物としては、アルミニウムアセチルアセトナートや鉄(II)アセチルアセトナートのようなアセチルアセトン金属錯体、及び、3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸クロムのようなサリチル酸系金属錯体又はサリチル酸系金属塩が好ましく、サリチル酸系金属錯体又はサリチル酸系金属塩がより好ましい。これらの負帯電製の電荷制御剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
正帯電性又は負帯電性の電荷制御剤の使用量は、トナー全量を100質量部とした場合に、1.5質量部以上15質量部以下が好ましく、2.0質量部以上8.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以上7.0質量部以下が特に好ましい。電荷制御剤の含有量が過少であるトナーを用いる場合、トナーが所定の極性に安定して帯電されにくいため、画像濃度の低下や、画像濃度の維持性が低下しやすくい(画像濃度を長期にわたって維持することが困難である)。また、このような場合、電荷制御剤が均一にトナー中に分散し難く、カブリや潜像担持部の汚染が起こりやすい。電荷制御剤の含有量が過多であるトナーを用いる場合、トナーの耐環境性の悪化に伴って、高温高湿下でのトナーの帯電不良や、画像不良や、潜像担持部の汚染が起こりやすい。
〔磁性粉〕
静電潜像現像用トナーを製造する際、必要に応じて、結着樹脂中に磁性粉を配合してもよい。このようにして製造される磁性粉を含むトナーは、磁性1成分現像剤として使用される。好適な磁性粉としては、フェライト、マグネタイトのような鉄;コバルト、ニッケルのような強磁性金属;鉄、及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄、及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;二酸化クロムが挙げられる。
磁性粉の粒子径は、0.1μm以上1.0μm以下が好ましく、0.1μm以上0.5μm以下がより好ましい。このような範囲の粒子径の磁性粉を用いる場合、結着樹脂中に磁性粉を均一に分散させやすい。
磁性粉の使用量は、トナーを1成分現像剤として使用する場合、トナー全量を100質量部とする場合に、35質量部以上60質量部以下が好ましく、40質量部以上60質量部以下がより好ましい。磁性粉の含有量が過多であるトナーを用いる場合、長期間にわたって画像濃度を所望する値に維持することが困難であったり、トナーの用紙に対する定着性が極度に低下したりする場合がある。磁性粉の含有量が過少であるトナーを用いる場合、形成画像にかぶりが発生しやすかったり、長期間にわたって画像濃度を所望する値に維持することが困難であったりする場合がある。また、トナーを2成分現像剤として使用する場合、磁性粉の使用量は、トナー全量を100質量部とする場合に、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
[シェル層形成用の樹脂]
シェル層形成用の樹脂の種類は、樹脂微粒子を含む水性エマルジョンを形成可能なものであれば特に限定されない。シェル層形成用の樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、及びアミノ樹脂が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を組み合わせて使用できる。
シェル層形成用の樹脂としては、粒子径の均一な樹脂微粒子の調製が容易であることから、不飽和結合を有するモノマーの付加重合で得られる樹脂が好ましい。
不飽和結合を有するモノマーの種類は、常法に従って付加重合可能である限り、特に限定されない。好適なモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−クロロスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、及びジビニルベンゼンのようなビニル芳香族化合物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、β−ヒドロキシメタクリル酸エチル、γ−ヒドロキシアクリル酸プロピル、δ−ヒドロキシアクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート、及びジエチレングリコールジメタクリレートのような(メタ)アクリル酸誘導体;蟻酸ビニル、酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニルのようなビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニル−n−ブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、及びビニルシクロヘキシルエーテルのようなビニルエーテル;エチレン、プロピレン、イソブチレンブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ブタジエン、イソプレン、及びクロロプレンのようなオレフィンが挙げられる。
不飽和結合を有するモノマーの付加重合方法は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、及び懸濁重合のような任意の方法を選択できる。これらの製造方法の中では、粒子径のそろった樹脂微粒子を得やすいことから、乳化重合法が好ましい。
不飽和結合を有するモノマーの付加重合に使用できる重合開始剤としては過硫酸カリウム、過酸化アセチル、過酸化デカノイル、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、及び2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルのような公知の重合開始剤を使用できる。これらの重合開始剤の使用量は、モノマーの総量に対して0.1質量%以上15質量%以下が好ましい。
樹脂微粒子を乳化重合法で製造する場合、界面活性剤を用いて反応液を乳化させてもよい。乳化重合では、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、及びノニオン系界面活性剤かなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
カチオン系界面活性剤としては、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、及びヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイドが挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウムのような脂肪酸石けんや、ドデシル硫酸ナトリウム、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなスルホン酸塩類が挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートエーテル、及びモノデカノイルショ糖が挙げられる。
樹脂微粒子の平均粒子径は、50nm以上300nm以下が好ましく、100nm以上150nm以下がより好ましい。樹脂微粒子の平均粒子径は、重合条件の調整や、公知の粉砕方法、分級方法で調整することができる。このような粒子径の樹脂微粒子を用いる場合、トナーコア粒子の表面に、均一なシェル層を形成しやすい。樹脂微粒子の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて体積平均径として測定できる。
シェル層形成用の樹脂のガラス転移点は、56℃以上が好ましく、58℃以上62℃以下がより好ましい。
シェル層形成用の樹脂の質量平均分子量(Mw)は、5,000以上20,000以下が好ましい。シェル層形成用の樹脂の質量平均分子量(Mw)は、従来知られる方法に従って、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定できる。
シェル層形成用の樹脂の量は、トナーコア粒子100質量部に対して、3質部以上10質量部以下が好ましく、5質量部以上8質量部以下がより好ましい。
[外添剤]
トナーは、必要に応じて、外添剤を用いて処理されてもよい。以下、外添剤を用いて処理される粒子を、「トナー母粒子」とも記載する。
好適な外添剤としては、シリカや、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、及びチタン酸バリウムのような金属酸化物が挙げられる。これらの外添剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。
外添剤の粒子径は、0.01μm以上1.0μm以下が好ましい。
外添剤の使用量は、トナー母粒子100質量部に対して0.1質量部以上10質量部以下が好ましく、0.2質量部以上5質量部以下がより好ましい。過少量の外添剤でトナー母粒子を処理すると、所望するレベルの疎水性を備えるトナーが得られない場合がある。疎水性の低いトナーは、高温高湿環境下で空気中の水分子の影響を受けやすい。このため、疎水性の低いトナーを用いる場合、トナーの帯電量の極端な低下、画像濃度の低下、及びトナーの流動性の低下のような問題が起こりやすい。過剰量の外添剤を用いて調製されたトナーを用いる場合、トナーの過度のチャージアップに起因する画像濃度低下が生じるおそれがある。
[キャリア]
トナーは、所望のキャリアと混合して2成分現像剤として使用することもできる。2成分現像剤を調製する場合、キャリアとして磁性キャリアを用いるのが好ましい。
トナーを2成分現像剤とする場合の好適なキャリアとしては、キャリア芯材が樹脂で被覆されたものが挙げられる。キャリア芯材の具体例としては、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、及びコバルトのような粒子や、これらの材料とマンガン、亜鉛、及びアルミニウムのような金属との合金の粒子、鉄−ニッケル合金、及び鉄−コバルト合金のような粒子、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、ニオブ酸リチウムのようなセラミックスの粒子、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、及びロッシェル塩のような高誘電率物質の粒子、並びに樹脂中に上記磁性粒子を分散させた樹脂キャリアが挙げられる。
キャリアを被覆する樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル系重合体、スチレン系重合体、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体、オレフィン系重合体(ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレンのような物質)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、及びポリフッ化ビニリデンのような物質)、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、及びアミノ樹脂が挙げられる。これらの樹脂は2種以上を組み合わせて使用できる。
キャリアの粒子径は、電子顕微鏡を用いて測定される粒子径で、20μm以上200μm以下が好ましく、30μm以上150μm以下がより好ましい。
トナーを2成分現像剤として用いる場合、トナーの含有量は、2成分現像剤の質量に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下が好ましい。2成分現像剤中のトナーの含有量をこのような範囲とすることで、形成画像の画像濃度を適度な水準に維持しやすく、現像装置からのトナー飛散を抑制することで画像形成装置内部の汚染や、転写紙へのトナーの付着を抑制できる。
≪静電潜像現像用トナーの製造方法≫
以上説明した静電潜像現像用トナーは、トナーコア粒子がシェル層で被覆されている。トナーコア粒子の被覆は、トナーコア粒子を流通させる流路と、流路の途中に設けられ、流路中に気流を生じさせる回転撹拌部と、噴霧部とを備える装置を用いて行われる。静電潜像現像用トナーの製造方法は、以下の工程(1)及び(2):
工程(1)トナーコア粒子を、流路を流通する流速30m/s以上の気流中に分散させる工程。
工程(2)気流中に分散されたトナーコア粒子に、樹脂微粒子を含有する水性エマルジョンを噴霧する工程、
を含む。静電潜像現用トナーを製造する際の流路内の相対湿度は、40%RH以上70%RH以下である。
上記の静電潜像現像用トナーの製造方法は、工程(1)及び工程(2)に加え、乾燥工程、及び、トナー母粒子を、外添剤を用いて処理する外添工程を含んでいてもよい。以下、工程(1)、工程(2)、乾燥工程、及び外添工程と、工程(1)及び工程(2)で使用できる好適な装置である表面改質装置とについて順に説明する。
〔工程(1)〕
工程(1)では、トナーの製造に用いる装置が備えている流路内で、トナーコア粒子を、流速30m/s以上の気流中に分散させる。流速30m/s以上の気流中でトナーコア粒子を流通させることで、後述する工程(2)で、気流中に分散されたトナーコア粒子に向けて水性エマルジョンを噴霧する際に、水性エマルジョンに含まれる樹脂微粒子を、凝集させることなくトナーコア粒子の表面に付着させることができる。
工程(1)と工程(2)とは、通常同一の装置を用いて行われる。工程(1)と工程(2)で用いることができる装置は、流路内の相対湿度を所定の範囲内に調整でき、所定の流速の気流を生じさせることができ、気流中に分散されたトナーコア粒子に向けて、樹脂微粒子を含む水性エマルジョンを噴霧可能な装置を備える限り特に限定されない。このような装置の好適な例としては、ハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所製)のような表面改質装置が挙げられる。
(トナーコア粒子の製造方法)
工程(1)では、結着樹脂中に、必要に応じて、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉のような任意成分を含むトナーコア粒子を用いる。トナーコア粒子の製造方法は、所定の成分を均一に混合できる限り特に限定されず、トナー粒子の製造方法として従来知られる方法から適宜選択できる。
好適なトナーコア粒子の製造方法としては、結着樹脂と、必要に応じて、着色剤、離型剤、電荷制御剤、及び磁性粉のような任意の成分とを、混合機を用いて混合した後に、得られた混合物を溶融混練した後に、溶融混練物を、粉砕・分級する方法が挙げられる。
〔工程(2)〕
工程(2)では、工程(1)で気流中に分散されたトナーコア粒子に対して、樹脂微粒子を含有する水性エマルジョンを噴霧する。樹脂微粒子を含有する水性エマルジョンがトナーコア粒子に対して噴霧される工程を経て、トナーコアの表面にシェル層が形成される。以下、トナーコア粒子の表面にシェル層が形成される過程を、図を示して説明する。
工程(1)及び工程(2)を経て、トナーコア粒子の表面にシェル層が形成される過程を模式的に示す断面図を図1に示す。まず、トナーコア粒子102に向けて噴霧された水性エマルジョンに含まれる樹脂微粒子103は、樹脂微粒子103同士が凝集することなく、水性エマルジョンに含まれる液体104が樹脂微粒子103の表面に付着した状態で、高速の気流と共にトナーコア粒子102まで移動する。このため、工程(2)の後に、トナーコア粒子102の全表面が、樹脂微粒子103で均一に被覆される。
次いで、樹脂微粒子103で被覆されたトナーコア粒子102の表面では、液体104が樹脂微粒子103間の微小な空隙を通じて、毛細管現象でトナー101外部に移動することで、樹脂微粒子103間に凝集力が生じる。この凝集力の作用で、樹脂微粒子103間の隙間が埋まるように、樹脂微粒子103の形状が変化する。
また、樹脂微粒子103で被覆されたトナーコア粒子102が気流中を高速で移動しているため、トナーコア粒子102の表面の樹脂微粒子103は、気流に起因して大きな外力を受ける。トナーコア粒子102の表面に付着する樹脂微粒子103が、これらの力の作用でさらに変形して、樹脂微粒子103間の界面が消失するように均一に合一化されることで、シェル層105が形成される。
(樹脂微粒子を含む水性エマルジョン)
樹脂微粒子を含む水性エマルジョンの製造方法は特に限定されず、従来知られる方法から適宜選択できる。樹脂微粒子を含む水性エマルジョンは、前述のように乳化重合のような重合方法を用いて調製することができる。また、所望の固形分濃度となるように樹脂の粗粉砕品を水性媒体に加え、さらに、必要に応じて界面活性剤を加えることで得られる樹脂の分散液を、フローテスターで測定される樹脂の軟化点より10℃以上高い温度に加熱し、加熱された樹脂の分散液に、撹拌装置を用いて強い剪断力を与えて製造する方法でも、樹脂微粒子を含む水性エマルジョンを製造することができる。軟化した樹脂の粗粉砕品を水性媒体中で撹拌して、樹脂微粒子を含む水性エマルジョンを得る場合に用いる撹拌装置としては、温度調整器を備えた高速撹拌装置(例えば、ナノマイザー(NV−200(吉田機械工業株式会社製)))が好ましい。水性エマルジョン中の樹脂微粒子の平均粒子径は50nm以上300nm以下が好ましく、100nm以上150nm以下がより好ましい。
水性エマルジョン中の樹脂微粒子の固形分濃度は、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上20質量%以下がより好ましい。このような固形分濃度の樹脂微粒子を含む水性エマルジョンを用いる場合、トナーコア粒子に樹脂微粒子を均一に付着させることができ、厚さの均一なシェル層を形成しやすい。
通常、水性エマルジョンに含まれる水性媒体は水である。水性エマルジョンに含まれる水性媒体は、水の他に水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。水性媒体が水溶性有機溶媒を含む場合の水溶性有機溶媒の含有量は、水性媒体中20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
噴霧する水性エマルジョンの温度は、30℃以上100℃以下が好ましく、40℃以上90℃以下がより好ましい。
〔乾燥工程〕
以上説明した工程(1)及び工程(2)を含む方法によれば、水性エマルジョン中の水性媒体は、概ね、トナーから除かれるため、得られるトナーを乾燥する必要がない場合が多い。しかし、工程(1)及び工程(2)の条件次第では、トナー表面に水性媒体が残存している場合がある。このような場合には、工程(1)及び工程(2)を経て得られたトナーを、さらに乾燥工程に供してもよい。
乾燥工程は、工程(1)及び工程(2)で用いた装置に、乾燥空気、乾燥窒素のような気体を導入して行ってもよく、水性媒体を含むトナーを、別途用意された乾燥機に移送して行ってもよい。乾燥工程で使用できる乾燥機は、従来から粉体の乾燥に使用される種々の乾燥機を使用できる。乾燥機としては、流動床乾燥機、キルン乾燥機、及びタンブラー乾燥機が挙げられる。乾燥工程は、水性媒体の蒸発を促進する目的で、減圧条件下で行うこともできる。具体的な乾燥温度は、シェルのガラス転移点を越えない範囲で、30℃以上100℃以下が好ましく、40℃以上80℃以下がより好ましい。
〔外添工程〕
上記工程を経て得られるシェル層で被覆されたトナーコア粒子をトナー母粒子として用いて、トナー母粒子を、さらに、外添剤を用いて処理してもよい。外添剤を用いるトナー母粒子の処理方法は特に限定されず、従来知られている方法に従ってトナー母粒子を処理できる。具体的には、外添剤の粒子がトナー母粒子中に埋没しないように処理条件を調整し、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーのような混合機を用いて、外添剤を用いるトナー母粒子の処理が行われる。
〔表面改質装置〕
以下、上記工程(1)及び(2)を含む静電潜像現像用トナーの製造方法として、好適に用いられる表面改質装置(ハイブリダイゼーションシステム(株式会社奈良機械製作所製))について、図2〜4を参照して説明する。
図2は、本発明の静電潜像現像用トナーの製造方法で好適に用いられる表面改質装置の正面図である。図3は、図2に示す表面改質装置を切断面線A200―A200からみた断面図である。図4は、本発明の静電潜像現像用トナーの製造方法で好適に用いられる表面改質装置が備える粉体投入部及び粉体回収部の構成を示す概略図である。図2〜4に示す表面改質装置201は、トナーコア粒子を流通させる流路202と、噴霧部203と、回転撹拌部204と、図示しない温度調整用ジャケットと、粉体投入部205と、粉体回収部206とを含んで構成される。回転撹拌部204と、流路202とは循環部を構成する。
(流路)
流路202は、撹拌部207と、粉体流過部208とから構成される。撹拌部207は、内部空間を有する円筒形状の容器状部材である。回転撹拌室である撹拌部207には、開口部209、210が形成される。開口部209は、面207aを含む側壁の略中央部を厚さ方向に貫通するように形成される。開口部210は、面207aに垂直な側面である面207bを含む側壁を厚さ方向に貫通するよう形成される。循環管である粉体流過部208は、一端が開口部209と接続され、他端が開口部210と接続される。撹拌部207の内部空間と粉体流過部208の内部空間とが連通され、環状の流路202が形成される。流路202を、気流と共に、トナーコア粒子、樹脂微粒子を含む水性エマルジョン、樹脂微粒子が付着したトナーコア粒子、及び樹脂で被覆されたトナーコア粒子(以下、流路202を移動するこれらの粒子の総称を「管内粒子」とも記す)が流通する。流路202は、管内粒子が流通する方向が一定であるように設けられる。流路202が環状であることで、樹脂微粒子が付着したトナーコア粒子は、流路202内を流通する際に、流路202の内壁に衝突する。このような衝突に起因して、樹脂微粒子の変形が促進され、トナーコア粒子の表面での均一なシェル層の形成も促進される。
流路202内の温度は、10℃以上、シェル層形成用の樹脂のガラス転移温度以下に設定されるのが好ましい。流路202内の温度が高すぎる場合、トナーコア粒子、や樹脂微粒子が軟化しやすく、トナーコア粒子同士の凝集や、樹脂微粒子同士の凝集が生じやすい。流路202内の温度が低すぎる場合、シェル層の形成に時間を要し、トナーの生産性が低下する場合がある。流路202の内温を好適な範囲に維持するため、流路202及び回転撹拌部204は、それらの外側の少なくとも一部に後述の温度調整用ジャケットを備えるのが好ましい。
流路202内の相対湿度は、40%RH以上70%RH以下である。流路202内の相対湿度が高すぎる場合、樹脂微粒子を介してトナーコア同士が凝集したり、流路202内の壁面に、樹脂微粒子を介してトナーコア粒子が付着したりすることがある。このような場合、実用に耐え得るトナーの収率が著しく低下し、トナーの生産性が低下する。
流路202内の相対湿度が低すぎると、樹脂微粒子で被覆されたトナーコア粒子の表面での水分のトナー粒子外部への移動が速すぎるため、毛細管現象に伴って樹脂微粒子間に生じる凝集力が樹脂微粒子に十分に作用せず、トナーコア粒子の表面に樹脂微粒子が十分な密度で充填されない場合がある。この場合、トナーコア粒子の表面に存在する樹脂微粒子が粗であるため、トナーコア粒子の表面に形成されるシェル層の強度が低下する。強度の低いシェル層を備えるトナーを用いて画像を形成する場合、トナーが、現像器内で長時間撹拌されてストレスを受けることで、トナー表面でシェル層の剥がれが発生し、高温での保存時にトナーが凝集してしまう場合がある。
流路202内の湿度は、噴霧部203から噴霧される樹脂微粒子を含有する水性エマルジョンの量と、流路内の空気を逃がす量とを調整することや、水性エマルジョンの水分量を調整することで調整できる。流路202内の温度、及び湿度は、流路202内を流速30m/s以上の気流が流通することで、どの部分でもほぼ均一である。
(回転撹拌部)
回転撹拌部204は、回転軸216と、円盤状の回転盤217と、複数の撹拌羽根218とを含む。回転軸216は、図示しないモータを用いて軸線回りに回転する円柱棒状部材である。回転軸216は、撹拌部207の軸線に一致する軸線を有し、且つ、面207cを含む側壁を厚み方向に貫通する貫通孔219に挿通されるように設けられる。回転盤217は、回転軸216の回転に伴い回転する円盤状部材である。回転盤217は、その軸線が回転軸216の軸線に一致するように回転軸216に支持される。複数の撹拌羽根218は、回転盤217の周縁部分で支持される。撹拌羽根218は、回転盤217の回転に伴って回転する。
回転撹拌部204の最外周の周速度は、30m/秒以上、好ましくは35m/秒以上の流速の気流が流路202内に生じるように設定される。流路202内に、トナーコア粒子を個々に分散させて流通させるために、流路202にトナーコア粒子を投入した後10分以上、トナーコア粒子を流通させ続けるのが好ましい。
表面改質装置は流路202の途中に回転撹拌部204を備えるため、管内粒子は、流路202を流通する途中で、回転盤217に衝突しながら撹拌される。このため、管内粒子は、凝集することなく高度に分散した状態で流路202内を流通する。
(噴霧部)
水性エマルジョンの噴霧は、図2に示す表面改質装置201が有する噴霧部203を用いて行われる。噴霧部203は、流路202の外壁に形成される開口に挿通されて設けられる。噴霧部203は、粉体流過部208中、開口部210に近い位置に設けられるのが好ましい。
噴霧部203は、トナーコア粒子が分散された気流中に水性エマルジョンを噴霧する。噴霧部203は、水性エマルジョンを貯留する液体貯留部(不図示)と、キャリアガスを供給するキャリアガス供給部(不図示)と、水性エマルジョンとキャリアガスとの混合物を噴霧液体として、流路202内に噴霧する二流体ノズル(不図示)とを備える。
キャリアガスとしては、圧縮エアのようなガスを用いることができる。樹脂微粒子を含む水性エマルジョンは、送液ポンプを用いて一定流量で噴霧部203に送液された後、二流体ノズルでキャリアガスと混合された状態で流路202内に噴霧される。噴霧された樹脂微粒子は、気流の作用で分散された状態で、トナーコア粒子と共に流路202内を流通する。トナーコア粒子と、樹脂微粒子とが共に流路202内を流通する間、水性媒体で濡れた樹脂微粒子がトナーコア粒子の表面に付着し、トナーコア粒子の表面が樹脂微粒子で均一に被覆される。
水性媒体で濡れている樹脂微粒子がトナーコア粒子表面に付着すると、毛細管現象で水性媒体が樹脂微粒子で被覆されたトナーコア粒子の表面に移動する。水性媒体が表面に移動した状態の樹脂微粒子で被覆されたトナーコア粒子が、流路202内を高速で流通することで、樹脂微粒子で被覆されたトナーコア粒子の表面に移動した水分が蒸発する。このとき、トナーコア粒子表面上で隣接しあう樹脂微粒子間に凝集力が生じ、樹脂微粒子が互いの粒子間の境界面を消失するように密着していく。
(温度調整用ジャケット)
温度調整用ジャケット(不図示)は、流路202の外側の少なくとも一部に設けられる。温度調整用ジャケットの内部の空間に冷却媒体又は加温媒体を通して流路202内と回転撹拌部204内とを所定の温度に調整する。温度調整用ジャケットを用いることで、流路202内及び回転撹拌部204の外側の温度をトナーコア粒子、及び樹脂微粒子が軟化変形しない温度以下に制御することができる。
(粉体投入部及び粉体回収部)
流路202の粉体流過部208には、粉体投入部205と、粉体回収部206とが接続される。図4は、粉体投入部205及び粉体回収部206まわりの構成を示す側面図である。
粉体投入部205は、トナーコア粒子を供給するホッパ(不図示)と、ホッパと流路202とを連通する供給管211と、供給管211に設けられる電磁弁212とを備える。ホッパから供給されるトナーコア粒子は、電磁弁212の動作に従って、供給管211を介して流路202に供給される。流路202に供給されるトナーコア粒子は、回転撹拌部204が生じさせる気流の作用で、気流中に分散された状態で、流路202内を一定方向に流通する。
粉体回収部206は、回収タンク213と、回収タンク213と流路202とを連通する回収管214と、回収管214に設けられる電磁弁215とを備える。電磁弁215の動作に従って、流路202を流通するトナー粒子は回収管214を介して回収タンク213に回収される。
以上説明した本発明の静電潜像現像用トナーの製造方法を用いることで、定着性、トナーの強度、及び保存安定性に優れる静電潜像現像用トナーを製造することができる。このため、本発明の方法を用いて製造される静電潜像現像用トナーは、種々の画像形成装置で使用される2成分現像剤に好適に配合される。
以下、実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されるものではない。
[調製例1]
〔トナーコア粒子の調製〕
各原料の合計質量に対して、78質量%の結着樹脂(ポリエステル樹脂(花王株式会社製)、ガラス転移点(Tg)58℃、融点(Tm)110℃、質量平均分子量(Mw)45,000)と、15質量%の着色剤(P.B15−3(山陽色素株式会社製)、ピグメントブルー)と、5質量%の離型剤(エステルワックス、WEP−3(日油株式会社製))と、2質量%の電荷制御剤(ボントロンP−51(オリヱント化学工業株式会社製))とを、ヘンシェルミキサー(FM20B(日本コークス工業株式会社製))に投入し、ミキサー内の原料を回転数2,500rpmで、3分間混合した。その後、得られた混合物を2軸押出機(PCM−30(株式会社池貝製))を用いて、回転数300rpm、シリンダ温度110℃、投入量6kg/時の条件で溶融混練した。得られた溶融混練物を、ドラムフレーカ(日本コークス工業株式会社製)を用いて、板厚約2mmになるように冷却した。冷却された混練物を、スクリーン目開き2mmの粉砕機(ロートプレックス(アルピネ社製))を用いて粗粉砕した。得られた粗粉砕物を、ターボミル(T−250型(ターボ工業株式会社製))を用いて微粉砕して微粉砕物を得た。微粉砕物を、エルボージェット分級機(EJ−L−3(日鉄鉱業株式会社製))を用いて分級処理してトナーコア粒子を得た。得られたトナーコア粒子の体積平均粒子径は7.0μmであった。トナーコア粒子の体積平均粒子径は、粒度計(マルチサイザー3(ベックマンコールター株式会社製))を用いて測定した。
[調製例2]
〔樹脂微粒子を含む水性エマルジョンの調製〕
シェル層形成用の樹脂として、スチレンアクリル樹脂(ガラス転移点(Tg)62℃、融点(Tm)118℃、質量平均分子量(Mw)16,000)を用い、樹脂微粒子を含む水性エマルジョンを以下の手順に従って調製した。
まず、樹脂を、ターボミル(フロイント・ターボ株式会社製)を用いて、体積平均粒子径が約400μmになるまで粗粉砕した。次いで、粗粉砕した樹脂150gと、ラウリル硫酸ナトリウム15gと、イオン交換水835gとを、温度調整器を備えたナノマイザー(NV−200(吉田機械工業株式会社製))に投入し、温度170℃、ナノマイザーの処理圧力を150MPaに設定して、処理を3回繰り返し行い、体積平均粒子径100μmの樹脂微粒子を含む水性エマルジョン(固形分濃度15質量%)を得た。
[実施例1〜3、比較例1、及び比較例2]
〔トナー母粒子の調製〕
調製例1で得たトナーコア粒子と、調製例2で得た樹脂微粒子を含む水性エマルジョンとを用いて、トナーコア粒子の表面に樹脂の被膜層を形成したトナー母粒子を調製した。
図2に記載される構成を備える、二流体ノズルを表面改質装置の容器上部に取り付けて改良された表面改質装置(ハイブリダイゼーションシステム、NHS−1型(株式会社奈良機械製作所製))を用いてトナー母粒子を調製した。機内温度を20℃として、まず、200gのトナーコア粒子を8000rpmで撹拌しながら、10分間滞留させた。次いで、二流体ノズルからの樹脂微粒子を含む水性エマルジョンの噴霧を、表1、及び表2に記載の供給速度で開始した。噴霧開始後、5分後の流路内の相対湿度が表1、及び表2に記載の相対湿度となるように、水性エマルジョンの供給速度を調整した。水性エマルジョンの噴霧は、表1及び表2に記載の時間行った。水性エマルジョンの噴霧時間は、水性エマルジョンの噴霧開始から噴霧停止までの時間である。供給した樹脂微粒子を含む水性エマルジョン中の総固形分量は表1、及び表2に記載の量であった。樹脂微粒子を含む水性エマルジョンの噴霧が終了した後10分間そのまま管内粒子を流動させ、その後表面改質装置からトナー母粒子を回収した。
なお、比較例2では、流路内の壁面へのトナーコア粒子の付着や、粗大粒子が生成されたため、後述の評価をするだけの十分な量のトナー母粒子を回収することができなかった。これは、流路内の相対湿度が高すぎることで、樹脂微粒子を介してトナーコア粒子が流路2の壁面に付着したり、樹脂微粒子を介してトナーコア粒子同士が凝集したりしたためと推察される。
(外添処理)
得られたトナー母粒子100質量部に、外添剤(シリカ:RA200(日本アエロジル社製))1質量部を加え、ヘンシェルミキサー(10C(三井鉱山株式会社製))を用い、回転数3000rpm、ジャケット温度20℃、撹拌時間2分の条件で処理して、外添処理されたトナーを得た。
≪評価≫
実施例1〜3、比較例1、及び比較例2の製造方法で得られたトナーを用いて、下記の方法に従い、耐熱保存性、トナーの強度及び定着性を評価した。評価結果を表1、及び表2に記す。
<耐熱保存性評価>
トナー3gを20ccのポリボトルに秤量し、25℃50%RH環境下で12時間静置した。次いで、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)のマニュアルに従い、レオスタッド目盛り3.5、時間30秒の条件で、140メッシュ(目開き105μm)の篩を用いてトナーを篩別して、下式から凝集度(%)を求めた。耐熱保存性を、下記基準に従って評価した。
(凝集度算出式)
凝集度(質量%)=篩上に残留したトナー質量/篩別前のトナーの質量×100
○:凝集度が15質量%以下。
×:凝集度が15質量%超。
<トナーの強度評価>
トナーの強度は、トナーの圧壊強度を測定することで評価した。トナーの圧壊強度は、25℃の条件下で、微小粒子圧壊力測定装置(NS−A100(株式会社ナノシーズ製))を用いて測定した。
微小粒子圧壊力測定装置を用いるトナーの圧壊強度の測定は、まず、平面圧子(50μm径)と台の間にトナー粒子を配置した。次いで、1μm/sの付加速度で台を移動させ、圧子を用いて粒子を加圧した。トナー粒子を加圧する際の応力(mN)と、圧子の変位(μm)とを測定した。測定した圧子の変位、及び応力とから、変位をX軸、応力をY軸とした応力−変位曲線を得た。圧壊強度は、応力−変位曲線中のトナー粒子の圧壊に伴い応力が急激に低下する点(圧壊点)の応力Fと、トナーの粒子径D(μm)とから下記式に従って算出した。
(圧壊強度)
圧壊強度[MPa]=F/2.8×π×D/2×D/2
測定した圧壊強度から、トナーの強度を、下記基準に従って評価した。
○:圧壊強度が10MPa以上20MPa未満。
×:圧壊強度が10MPa未満20MPa以上。
<定着性評価>
評価機として、プリンター(FS−C5200DN(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製))を用いて、トナー載せ量1.5mg/cmで、被記録媒体に2.5cm×2.5cmのベタ画像の未定着画像を出力した。次に、プリンターの定着装置を定着治具として用い、ベタ画像の未定着画像を、被記録媒体の搬送速度を線速170mm/秒として、定着装置の定着温度を低温の定着温度(定着温度が160℃の場合)と、高温の定着温度(定着温度が200℃の場合)とで、それぞれ未定着画像を被記録媒体に定着させた。それぞれの定着温度で定着された画像を目視で観察し、オフセットの発生の有無を判断した。定着性を、下記基準に従って評価した。
○:低温の定着温度、及び高温の定着温度でオフセットの発生無し。
×:低温の定着温度、及び高温の定着温度の一方又は双方でオフセットの発生有り。
Figure 2014219598
Figure 2014219598
実施例1〜3によれば、トナーコア粒子を流通させる流路と、流路の途中に設けられ、流路中に気流を生じさせる回転撹拌部と、噴霧部とを備える装置を用い、流路内の相対湿度を40%RH以上70%RH以下とし、所定の方法に従ってトナーコア粒子の表面をシェル層で被覆して得られたトナーは、定着性、トナーの強度、及び耐熱保存性がより優れたトナーを得ることができる。
比較例1によれば、トナーコア粒子を流通させる流路と、流路の途中に設けられ、流路中に気流を生じさせる回転撹拌部と、噴霧部とを備える装置について、流路内の相対湿度が低すぎる場合、当該装置を用いて得られたトナーは、耐熱保存性、及びトナーの強度が劣ることが分かる。これは、トナーの表面で、シェル層の内部に存在するシェル層形成用の樹脂微粒子間の界面を起点としてシェル層の破壊が生じることで、シェル層の剥がれが生じたためと推察される。
101 静電潜像現像用トナー
102 トナーコア粒子
103 樹脂微粒子
105 シェル層
201 表面改質装置
202 流路
203 噴霧部
204 回転撹拌部
205 粉体投入部
206 粉体回収部
207 撹拌部
208 粉体流過部
209,210 開口部
211 供給管
212,215 電磁弁
213 回収タンク
214 回収管
216 回転軸
217 回転盤
218 撹拌羽根
219 貫通孔

Claims (2)

  1. トナーコア粒子がシェル層で被覆された静電潜像現像用トナーの製造方法であって、
    前記トナーコア粒子の被覆が、前記トナーコア粒子を流通させる流路と、前記流路の途中に設けられ、前記流路中に気流を生じさせる回転撹拌部と、噴霧部とを備える装置を用いて行われ、
    下記(1)及び(2):
    (1)前記トナーコア粒子を、前記流路を流通する流速30m/s以上の気流中に分散させる工程、及び、
    (2)前記気流中に分散された前記トナーコア粒子に、シェル層を形成するための樹脂微粒子を含有する水性エマルジョンを噴霧する工程、
    を含み、
    前記流路内の相対湿度が40%RH以上70%RH以下である、静電潜像現像用トナーの製造方法。
  2. 前記流路が環状流路である、請求項1に記載の静電潜像現像用トナーの製造方法。
JP2013099415A 2013-05-09 2013-05-09 静電潜像現像用トナーの製造方法 Pending JP2014219598A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013099415A JP2014219598A (ja) 2013-05-09 2013-05-09 静電潜像現像用トナーの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013099415A JP2014219598A (ja) 2013-05-09 2013-05-09 静電潜像現像用トナーの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2014219598A true JP2014219598A (ja) 2014-11-20

Family

ID=51938060

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013099415A Pending JP2014219598A (ja) 2013-05-09 2013-05-09 静電潜像現像用トナーの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2014219598A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017021090A (ja) * 2015-07-08 2017-01-26 シャープ株式会社 カプセルトナーの製造方法
JP2017053934A (ja) * 2015-09-08 2017-03-16 シャープ株式会社 カプセルトナーの製造方法
JP2020148895A (ja) * 2019-03-13 2020-09-17 シャープ株式会社 カプセルトナーの製造方法並びに粉体処理装置及びカプセルトナー

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017021090A (ja) * 2015-07-08 2017-01-26 シャープ株式会社 カプセルトナーの製造方法
JP2017053934A (ja) * 2015-09-08 2017-03-16 シャープ株式会社 カプセルトナーの製造方法
JP2020148895A (ja) * 2019-03-13 2020-09-17 シャープ株式会社 カプセルトナーの製造方法並びに粉体処理装置及びカプセルトナー
JP7292907B2 (ja) 2019-03-13 2023-06-19 シャープ株式会社 カプセルトナーの製造方法及び粉体処理装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4850924B2 (ja) カプセルトナーの製造方法
JP2014164274A (ja) 静電荷像現像用トナー
JP2012203045A (ja) 静電潜像現像用トナー
JP4961491B2 (ja) カプセルトナー、その製造方法および二成分現像剤
JP2014219598A (ja) 静電潜像現像用トナーの製造方法
JP2012203180A (ja) 静電潜像現像用トナー
JP2010277000A (ja) カプセルトナーおよびその製造方法
JP2011191704A (ja) カプセルトナーの製造方法、カプセルトナーおよび現像剤
US9690224B2 (en) Electrostatic latent image developing toner
JP5911416B2 (ja) 静電荷像現像用トナー
US20110053074A1 (en) Capsule toner and method of manufacturing the same
JP2012220645A (ja) カプセルトナーの製造方法、カプセルトナーおよび2成分現像剤
JPH07120076B2 (ja) 静電荷像現像用トナ−の製造方法
JP4967033B2 (ja) カプセルトナーの製造方法およびカプセルトナー
JP6204144B2 (ja) トナーの製造方法
JP2011022219A (ja) カプセルトナー
US9753386B2 (en) Positively chargeable toner
US9857712B2 (en) Electrostatic latent image developing toner
JP2014048525A (ja) 静電潜像現像用トナーの製造方法、及び静電潜像現像用トナー
JP5800782B2 (ja) 静電潜像現像用トナー
JPS63244053A (ja) 静電荷像現像用トナ−の製造方法
JP6460041B2 (ja) 静電潜像現像用トナーの製造方法
JP6039529B2 (ja) トナーの製造方法
JP5924685B2 (ja) 静電潜像現像用トナーの製造方法
JP2022054946A (ja) カプセルトナーおよびその製造方法、それを含む二成分現像剤