JP2007279239A - 静電荷像現像用トナー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくともバインダー樹脂と着色剤を溶融混練し、粉砕により粉体化し、浮遊状態で加熱処理して球形化して得られる静電荷像現像用トナーにおいて、粉体を分級し、粗粒子側と微粒子側を除去したトナー母粒子100重量部に対して、平均一次粒子径35〜300nmのシリカ0.5〜6重量部と、平均一次粒子径4〜30nmのシリカ0.1〜3重量部を添加したのち、加熱処理して球形化され、平均一次粒子径35〜300nmのシリカ粒子がトナー粒子の表面に埋没し、固定化された静電荷像現像用トナー、及び、該トナー母粒子に、該平均一次粒子径の異なるシリカ2種類を添加したのち、加熱処理して球形化する静電荷像現像用トナーの製造方法。
【選択図】なし
Description
球形化トナーとしては、重合法で製造されたトナーや、混練・粉砕法で得られた粒子を熱気流中に分散させて表面を溶融させて球形化したトナーが知られている。重合法で製造されたトナーは、トナー粒子の形状がほぼ完全な球形になるが、そのために転写されずに感光体上に残ったトナーをクリーニング時にブレードで掻き取れないなどの不具合を生じやすいが、加熱処理により球形化したトナーは、熱風の温度を変えることで、トナーの平均円形度を0.930〜0.980の間で制御することができ、クリーニング不良の問題は起こらない。
加熱処理により球形化したトナーは、熱処理中にトナー粒子どうしのカップリングが起こり、トナー粒子の粒径が増大してコピー1枚あたりのトナー消費量が増加する。また、トナー粒子の表面にワックスの滲み出しによりシリカなどの外添剤の付着性が低下し、その遊離シリカが現像ローラを汚染してカブリが発生したり、帯電ローラを汚染して感光体が帯電不良を起こし、画像上の白地部にゴーストが発生したりする。
加熱処理による球形化トナーの先行技術として、粉砕トナーの分級精度を向上させることにより、所望の粒径を有するトナーの収率を改善するとともに、電子写真プロセスなどの画像形成装置で小型化、高速化に適したトナーを製造する方法として、少なくとも着色剤及びバインダー樹脂を含有するトナー用樹脂組成物を微粉砕してトナー母粒子を得、得られたトナー母粒子に無機微粒子を外添処理し、熱風により表面改質処理に付し、その後所定の粒径分布に分級する静電潜像現像用トナーの製法が提案されている(特許文献1)。この方法では、球形化前に無機微粒子を外添しているが、球形化前に微粉を分級していないので、トナー粒子は凝集しやすく、球形化の際にカップリングの発生が激しい。球形化工程の後に、球形化トナーを分級機で処理してカップリングによる粗大粒子を除去しているが、中粒径の製品トナーにもカップリング粒子は存在するし、収率が大きく低下するので、好ましくない。また、例示されている配合では平均一次粒子径35nm以上の大粒径シリカが少なく、現像時のブレード融着などを防止することができない。
カップリングしたトナー粒子の発生を防止し、カップリングしたトナー粒子を除去する方法として、例えば、混練粉砕法で作製した低融点成分を含むトナー粒子であっても、トナー粒子どうしの凝集を起こすことなく、熱処理により球形化し得るトナーの製造方法として、あらかじめトナー粒子の表面にカーボンブラック、シリカなどの無機物微粒子を付着させて熱処理するトナーの製造方法が提案されている(特許文献2)。この方法によれば、多少の効果は得られるが、実用上は不十分である。熱処理による球形化前に添加された無機物微粒子は、球形化時の熱によってトナー粒子内に埋め込まれて遊離しにくくなるが、球形化後の流動性は低下するために、シリカなどの外添剤の追加が必要であり、遊離した外添剤の問題は避けられない。また、例示されている配合では現像時のブレード融着などを防げない。
また、トナーの消費量が少なく、トナーの飛散がなく、転写性に優れ、良好な画像を形成することができる電子写真用フルカラートナーとして、バインダー樹脂及び着色剤を含有する混練物を粉砕して得られた原料粒子に加熱処理を行って球形化したトナーであって、トナー粒子100重量部に対して、加熱処理前に比表面積30〜400m2/gのシリカ微粉体0.2〜3重量部が添加され、加熱処理後に比表面積30〜80m2/gのシリカ微粉体0.2〜3重量部及び比表面積0.5〜18m2/gの無機酸化物0.2〜30重量部が添加されてなる電子写真用フルカラートナーが提案されている(特許文献3)。このトナーは、加熱処理による球形化時の生産性は良好であるが、加熱処理後に添加される大粒径のシリカと無機酸化物が帯電部材の汚染を惹き起こす。
トナーに添加する外添剤について、トナーの流動性向上、トナーの帯電調整、電気抵抗調整、トナー間凝集の緩和、ブロッキング性の向上など様々な目的に応じて技術開発が進められている。大粒径のシリカに関しても、トナーの粒子間距離を持たせて接触面積を減少することでトナーの付着力を低減可能な平均粒径80〜300nmの単分散球形シリカを外添したトナーが提案されている(特許文献4)。この方法では、粒径の大きい単分散球形シリカがトナー表面に固定されていないため遊離しやすく、帯電部材等を汚染しやすい。
すなわち、本発明は、
(1)少なくともバインダー樹脂と着色剤を溶融混練し、冷却したのち粉砕により粉体化し、得られた粉体を浮遊状態で加熱処理して球形化することにより得られる静電荷像現像用トナーにおいて、粉砕により得られた粉体を分級し、粗粒子側と微粒子側を除去したトナー母粒子100重量部に対して、平均一次粒子径35〜300nmのシリカ0.5〜6重量部と、平均一次粒子径4〜30nmのシリカ0.1〜3重量部を添加したのち、加熱処理して球形化され、トナー粒子の切断面を透過型電子顕微鏡で観察したときに、平均一次粒子径35〜300nmのシリカ粒子がトナー粒子の表面に埋没した状態であることを特徴とする静電荷像現像用トナー、
(2)シリカが、疎水化処理された疎水性シリカである(1)記載の静電荷像現像用トナー、
(3)少なくともバインダー樹脂と着色剤を溶融混練し、冷却したのち粉砕により粉体化し、得られた粉体を浮遊状態で加熱処理して球形化する静電荷像現像用トナーの製造方法において、粉砕により得られた粉体を分級し、粗粒子側と微粒子側を除去したトナー母粒子100重量部に対して、平均一次粒子径35〜300nmのシリカ0.5〜6重量部と、平均一次粒子径4〜30nmのシリカ0.1〜3重量部とを添加したのち、加熱処理して球形化することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法、及び、
(4)シリカが、疎水化処理された疎水性シリカである(3)記載の静電荷像現像用トナーの製造方法、
を提供するものである。
本発明の静電荷像現像用トナーは、シリカが、疎水化処理された疎水性シリカであることが好ましい。
本発明において、シリカ粒子がトナー粒子の表面に埋没した状態とは、シリカ粒子の体積の3分の1以上がトナー粒子の表面に埋め込まれている状態をいう。図1は、シリカ粒子のトナー粒子の表面への埋没の状態を示す説明図である。3つの図のうち、左側及び中央の図においては、シリカ粒子1がトナー粒子2の表面に埋没しているが、右側の図においては、シリカ粒子1はトナー粒子2の表面に埋没していない。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法においては、少なくともバインダー樹脂と着色剤を溶融混練し、冷却したのち粉砕により粉体化し、得られた粉体を浮遊状態で加熱処理して球形化する静電荷像現像用トナーの製造方法において、粉砕により得られた粉体を分級し、粗粒子側と微粒子側を除去したトナー母粒子100重量部に対して、平均一次粒子径35〜300nmのシリカ0.5〜6重量部と、平均一次粒子径4〜30nmのシリカ0.1〜3重量部とを添加したのち、加熱処理して球形化する。本発明方法においては、シリカが、疎水化処理された疎水性シリカであることが好ましい。
本発明方法に用いるバインダー樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、エチレン−ノルボルネン共重合体などの環状オレフィン共重合体、ジエン系樹脂、シリコーン系樹脂、ケトン樹脂、マレイン酸樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのスチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリビニルブチラールなどを挙げることができる。これらの中で、ポリエステル系樹脂及びスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を好適に用いることができる。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、芳香族ジカルボン酸とアルキレンエーテル化ビスフェノールAとの重縮合ポリエステルなどを挙げることができる。スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、例えば、スチレン−アクリル酸ブチル−メタクリル酸ブチル共重合体などを挙げることができる。本発明方法に用いるバインダー樹脂は、ガラス転移温度が50〜75℃であることが好ましく、55〜70℃であることがより好ましい。ガラス転移温度が50℃未満であると、静電荷像現像用トナーの保存性が低下するおそれがある。ガラス転移温度が75℃を超えると、静電荷像現像用トナーの低温定着性が不十分となるおそれがある。
本発明方法においては、バインダー樹脂に離型剤を配合して溶融混練することができる。離型剤を配合することにより、トナー粒子の定着ローラへの付着を防ぎ、オフセットの発生を防止することができる。本発明方法に用いる離型剤としては、例えば、カルナウバワックス、ライスワックスなどの植物ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油ワックス、モンタンワックス、キャンデリアワックスなどの鉱物ワックス、カーボワックス、ポリエチレンワックス、塩素化ナフタレンワックスなどの合成ワックス、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸などの高級脂肪酸、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの高級アルコール、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミドなどのアミド系ワックス、脂肪酸エステル、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレートなどの多価アルコールエステル、シリコーンワニスなどを挙げることができる。
本発明方法においては、少なくともバインダー樹脂と着色剤を含む溶融混練物を粉砕して得られた粉体を分級し、粗粒子側と微粒子側を除去して得られる粒径分布の狭いトナー母粒子に大粒径のシリカと小粒径のシリカを添加したのち、加熱処理により球形化する。加熱処理による球形化の前に分級によりあらかじめ粗粒子側と微粒子側を除去しておくことにより、トナー母粒子の凝集度を低下させ、加熱処理に際してカップリング粒子の発生を抑制し、静電荷像現像用トナーの生産性を高めることができる。
本発明方法において、溶融混練物を粉砕して得られた粉体を分級する方法に特に制限はないが、乾式分級機を好適に用いることができる。乾式分級機としては、例えば、重力分級機、遠心分級機、慣性分級機などを挙げることができる。これらの中で、慣性分級機を好適に用いることができる。例えば、エルボージェットなどを挙げることができる。
本発明方法に用いる平均一次粒子径35〜300nmのシリカは、BET法により測定した比表面積がほぼ5〜50m2/gであり、平均一次粒子径4〜30nmのシリカは、BET法により測定した比表面積がほぼ90〜400m2/gである。
凝集度(重量%)={[5×(100メッシュ残量)+3×(200メッシュ残量)+(440メッシュ残量)]/(5×5)}×100
トナー母粒子の凝集度が20重量%を超えると、加熱処理による球形化に際して多量のカップリング粒子が発生し、静電荷像現像用トナーの収量が低下するおそれがある。加熱処理による球形化に際して発生するカップリング粒子の率は20%以下であることが好ましい。
本発明方法においては、溶融混練物の粉砕により得られた粉体に大粒径のシリカと小粒径のシリカを添加し、浮遊状態で加熱処理することにより球形化する。トナー粒子の形状が球形に近いと、トナーの電荷分布が均一になり、カブリが少なく、細線再現性の良好な画像が得られる。また、転写率が向上し、転写不良による文字の中抜けが防止されたり、感光体が長寿命化するなど総合的な品質が向上する。
本発明方法に用いるシリカは、疎水化処理された疎水性シリカであることが好ましい。疎水性シリカは、バインダー樹脂との親和性が大きく、トナー粒子から脱落しにくいし、シリカ粒子表面のシラノール基による吸湿性が改善され、高湿環境下でも優れた画像品質が得られ、好適に用いることができる。シリカの疎水化処理方法に特に制限はなく、例えば、シリコーンオイルなどを用いる物理的処理、シラノール基のトリメチルシリル化などの化学的処理などを挙げることができる。
本発明方法において、トナー粒子と外添剤を混合する方法に特に制限はないが、撹拌時のせん断力の大きい混合機は、外添剤粒子を解砕しながら混合するので好適に用いることができる。このような混合機としては、例えば、高速撹拌型混合機[三井鉱山(株)、ヘンシェルミキサー(登録商標)]、[三井鉱山(株)、Q型ミキサー]や、機械的衝撃力を付与できる混合装置として[ホソカワミクロン(株)、ノビルタ(登録商標)]などを挙げることができる。高速撹拌型混合機[三井鉱山(株)、ヘンシェルミキサー(登録商標)]で混合する場合は、羽根の周速30m/s以上で混合することが好ましい。また、一度に大粒径シリカと小粒径シリカを添加して混合するより、先に大粒径シリカを混合したのち、小粒径シリカを添加する方法が好ましい。
本発明方法においては、加熱処理により球形化し、分級によりカップリング粒子を除去することができるが、カップリング粒子除去の前工程または後工程さらには前後の両工程で、トナー粒子に外添剤を添加することができる。カップリング粒子除去後に添加する外添剤としては、例えば、疎水性シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、マグネタイトなどを挙げることができる。これらの中で、疎水性シリカ及び酸化チタンを好適に用いることができる。球形化後の外添剤の添加によりトナー粒子の流動性は向上するが、帯電ローラの汚染の原因ともなるので、球形化後の外添剤の添加量は、少なくすることが好ましい。本発明方法によれば、加熱処理による球形化前に添加し、部分的にトナー粒子に埋め込まれたシリカが流動性の向上に寄与するので、球形化後の外添剤の添加量を少なくし、帯電ローラの汚染を防止することができる。
なお、実施例において、評価は下記の方法により行った。
(1)バインダー樹脂の軟化温度
JIS K 7199に規定するキャピラリーレオメータ[(株)島津製作所、CFT−500C]を用い、シリンダ内径11.329mm、キャピラリーダイ内径1mm、長さ1mmとし、シリンダ内に樹脂1.0gを充填し、ピストンに荷重98Nをかけ、50℃から5℃/分で昇温し、充填された樹脂の2分の1が流出したときの温度をフローテスタT1/2とする。
(2)凝集度
パウダーテスター[ホソカワミクロン(株)]を用いて、100メッシュ、200メッシュ、440メッシュの篩を3段重ねにし、最上位置の100メッシュ篩にトナー5gを載置し、15秒間振動させたのち、各篩の上のトナー重量を測定し、次式により凝集度を算出する。
凝集度(重量%)={[5×(100メッシュ残量)+3×(200メッシュ残量)+(440メッシュ残量)]/(5×5)}×100
(3)球形化工程の生産性
後述の実施例、比較例においては、球形化工程の処理条件(熱風温度、熱風風量、トナー母粒子の時間当たりの供給量など)に関して、全て同一条件で処理した。高画質化やトナー消費量の低減のためには、時間当たりの供給量を低下させればカップリング粒子率が低下して良くなるのであるが、ここでは同一条件で処理し、カップリング粒子率を比較することで、球形化工程の生産性の指標とした。
○:カップリング粒子率が12%未満である。(良好)
△:カップリング粒子率が12%以上、20%未満である。(実用上問題ない)
×:カップリング粒子率が20%以上である。(不良)
カップリング粒子率20%以上のトナーにおいて、円形度を約0.960に維持しつつ、カップリング粒子率12%未満にしようとしたら、生産性(時間あたりの供給量)を半分以下にする必要がある。
(4)カップリング粒子率
球形化トナー粒子を走査型電子顕微鏡[日本電子データム(株)、JSM−5200]を用いて300個のトナー粒子を観察し、全粒子数中に存在するカップリング粒子を計数し、カップリング粒子率を算出する。
(5)ブレード融着
6,000枚印字後に、ドクターブレードを観察し、トナーの融着物の有無を確認し、融着物がある場合は、画像上の白抜けの位置と一致するか確認する。
◎:融着物は全く発生していない。
○:融着物がわずかに発生しているが、画像への影響はない。
△:融着物が発生し、画像にも白抜けが認められるが、実用上の問題はない。
×:融着物が甚だしく発生し、画像にも強い白抜けがある。
(6)帯電ローラの汚染
6,000枚印字後に、帯電ローラの状態を目視により観察する。
◎:汚染が全く認められない。
○:汚染がわずかに発生している。
△:若干の汚染が発生しているが、実用上問題はない。
×:帯電ローラの全面に汚染が発生し、帯電ローラが外添剤の色(シリカの場合は白)に変わっている。
ポリエステル樹脂[数平均分子量3,400、重量平均分子量133,800、酸価5.0mgKOH/g、ガラス転移温度61℃、フローテスタT1/2140℃]92.0重量部、カーボンブラック[キャボット社、Black Pearls L]5.0重量部、電荷制御剤[オリエント化学工業(株)、E−304]1.0重量部及び離型剤[三洋化成工業(株)、ユーメックス110TS]2.0重量部をあらかじめ高速撹拌混合機[三井鉱山(株)、ヘンシェルミキサー(登録商標)]を用いて混合し、得られた混合物を二軸押出機[(株)池貝、PCM30]を用いて150℃で溶融混練したのち、ジェット式粉砕機[ホソカワミクロン(株)、カウンタージェットミル]で粉砕し、気流式分級装置[日鉄鉱業(株)、エルボージェットEJ−PURO]を用いて粗粒子側と微粒子側を分級し、体積平均粒径7.5μmで粒度分布が狭いトナー母粒子を得た。
この粒度分布が狭いトナー母粒子100重量部に、疎水性シリカ[ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理、平均一次粒子径150nm、BET比表面積15m2/g]2.5重量部及び疎水性シリカ[キャボット社、TS−530、ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理、平均一次粒子径7nm、BET比表面積225m2/g]1.0重量部を添加し、ヘンシェルミキサー[三井鉱山(株)]を用いて混合した。得られたトナー母粒子の凝集度は、12%であった。このトナー母粒子を、熱風球形化装置[日本ニューマチック工業(株)、SFS−3]を用いて、熱風温度300℃で加熱処理し、平均円形度0.960、体積平均粒径8.0μmの球形化トナー粒子を得た。球形化トナー粒子のカップリング粒子率は9%であり、球形化工程の生産性は良好であった。球形化トナー粒子の切断面を透過型電子顕微鏡で観察すると、大粒径のシリカ粒子がトナー粒子の表面に埋没した状態であった。
この球形化トナー粒子100重量部に、酸化チタン[個数平均粒径100nm]0.5重量部を添加し、ヘンシェルミキサー[三井鉱山(株)]を用いて混合し、さらに200メッシュスクリーンを備えた超音波振動篩を通して、静電荷像現像用トナーを得た。
得られた静電荷像現像用トナーと、非磁性一成分現像システムを備えたレーザープリンタ[ヒューレット・パッカード社]を用いて、ブラックカートリッジにトナーを充填し、A4版用紙6,000枚に印字率5%で印字したのち、ブレードの融着の状態と、帯電ローラの汚染の状態を観察した。ブレードに、融着物は全く発生していなかった。帯電ローラに、汚染がわずかに発生していた。
実施例1で得られた粒度分布が狭いトナー母粒子100重量部に、疎水性シリカ[ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理、平均一次粒子径150nm、BET比表面積15m2/g]5.0重量部及び疎水性シリカ[キャボット社、TS−530、ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理、平均一次粒子径7nm、BET比表面積225m2/g]2.0重量部を添加し、ヘンシェルミキサー[三井鉱山(株)]を用いて混合した。得られたトナー母粒子の凝集度は、8%であった。このトナー母粒子を、熱風球形化装置[日本ニューマチック工業(株)、SFS−3]を用いて、熱風温度300℃で加熱処理し、平均円形度0.960、体積平均粒径8.0μmの球形化トナー粒子を得た。球形化トナー粒子のカップリング粒子率は7%であり、球形化工程の生産性は良好であった。球形化トナー粒子の切断面を透過型電子顕微鏡で観察すると、大粒径のシリカ粒子がトナー粒子の表面に埋没した状態であった。
この球形化トナー粒子100重量部に、酸化チタン[個数平均粒径100nm]0.5重量部を添加し、ヘンシェルミキサー[三井鉱山(株)]を用いて混合し、さらに200メッシュスクリーンを備えた超音波振動篩を通して、静電荷像現像用トナーを得た。
実施例1と同様にして、A4版用紙6,000枚に印字したのち、ブレードの融着の状態と、帯電ローラの汚染の状態を観察した。ブレードに、融着物は全く発生していなかった。帯電ローラに若干の汚染が発生していたが、実用上の問題はなかった。
実施例3
実施例1で得られた粒度分布が狭いトナー母粒子100重量部に、疎水性シリカ[日本アエロジル(株)、RX−50、ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理、平均一次粒子径40nm、BET比表面積35m2/g]1.5重量部及び疎水性シリカ[キャボット社、TS−530、ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理、平均一次粒子径7nm、BET比表面積225m2/g]0.5重量部を添加し、ヘンシェルミキサー[三井鉱山(株)]を用いて混合した。得られたトナー母粒子の凝集度は、6%であった。このトナー母粒子を、熱風球形化装置[日本ニューマチック工業(株)、SFS−3]を用いて、熱風温度300℃で加熱処理し、平均円形度0.960、体積平均粒径8.0μmの球形化トナー粒子を得た。球形化トナー粒子のカップリング粒子率は15%であり、球形化工程の生産性はそれほど良くないが実用上問題なかった。球形化トナー粒子の切断面を透過型電子顕微鏡で観察すると、大粒径のシリカ粒子がトナー粒子の表面に埋没した状態であった。
この球形化トナー粒子100重量部に、酸化チタン[個数平均粒径100nm]0.5重量部を添加し、ヘンシェルミキサー[三井鉱山(株)]を用いて混合し、さらに200メッシュスクリーンを備えた超音波振動篩を通して、静電荷像現像用トナーを得た。
実施例1と同様にして、A4版用紙6,000枚に印字したのち、ブレードの融着の状態と、帯電ローラの汚染の状態を観察した。ブレードに、融着物は全く発生していなかった。帯電ローラに、汚染は全く認められなかった。
実施例1で得られた粒度分布が狭いトナー母粒子100重量部に、疎水性シリカ[日本アエロジル(株)、RX−50、ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理、平均一次粒子径40nm、BET比表面積35m2/g]0.3重量部及び疎水性シリカ[キャボット社、TS−530、ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理、平均一次粒子径7nm、BET比表面積225m2/g]0.5重量部を添加し、ヘンシェルミキサー[三井鉱山(株)]を用いて混合した。得られたトナー母粒子の凝集度は、4%であった。このトナー母粒子を、熱風球形化装置[日本ニューマチック工業(株)、SFS−3]を用いて、熱風温度300℃で加熱処理し、平均円形度0.960、体積平均粒径8.1μmの球形化トナー粒子を得た。球形化トナー粒子のカップリング粒子率は10%であり、球形化工程の生産性は良好であった。
この球形化トナー粒子100重量部に、酸化チタン[個数平均粒径100nm]0.5重量部を添加し、ヘンシェルミキサー[三井鉱山(株)]を用いて混合し、さらに200メッシュスクリーンを備えた超音波振動篩を通して、静電荷像現像用トナーを得た。
実施例1と同様にして、A4版用紙6,000枚に印字したのち、ブレードの融着の状態と、帯電ローラの汚染の状態を観察した。ブレードに、融着物が甚だしく発生し、画像にも強い白抜けがあった。帯電ローラに、汚染は全く認められなかった。
比較例2
比較例1で得られた球形化トナー粒子100重量部に、酸化チタン[個数平均粒径100nm]0.5重量部と、疎水性シリカ[日本アエロジル(株)、RX−50、ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理、平均一次粒子径40nm、BET比表面積35m2/g]1.0重量部を添加し、ヘンシェルミキサー[三井鉱山(株)]を用いて混合し、さらに200メッシュスクリーンを備えた超音波振動篩を通して、静電荷像現像用トナーを得た。
実施例1と同様にして、A4版用紙6,000枚に印字したのち、ブレードの融着の状態と、帯電ローラの汚染の状態を観察した。ブレードに融着物がわずかに発生していたが、画像への影響はなかった。帯電ローラの全面に汚染が発生し、帯電ローラの色が白に変わっていた。
実施例1で得られた粒度分布が狭いトナー母粒子100重量部に、疎水性シリカ[キャボット社、TS−530、ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理、平均一次粒子径7nm、BET比表面積225m2/g]0.5重量部を添加し、ヘンシェルミキサー[三井鉱山(株)]を用いて混合した。得られたトナー母粒子の凝集度は、3%であった。このトナー母粒子を、熱風球形化装置[日本ニューマチック工業(株)、SFS−3]を用いて、熱風温度300℃で加熱処理し、平均円形度0.960、体積平均粒径8.0μmの球形化トナー粒子を得た。球形化トナー粒子のカップリング粒子率は5%であり、球形化工程の生産性は良好であった。
この球形化トナー粒子100重量部に、酸化チタン[個数平均粒径100nm]0.5重量部と、疎水性シリカ[日本アエロジル(株)、RX−50、ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理、平均一次粒子径40nm、BET比表面積35m2/g]1.0重量部を添加し、、ヘンシェルミキサー[三井鉱山(株)]を用いて混合し、さらに200メッシュスクリーンを備えた超音波振動篩を通して、静電荷像現像用トナーを得た。
実施例1と同様にして、A4版用紙6,000枚に印字したのち、ブレードの融着の状態と、帯電ローラの汚染の状態を観察した。ブレードには融着物が甚だしく発生し、画像にも強い白抜けがあった。帯電ローラに若干の汚染が発生していたが、実用上の問題はなかった。
実施例1で得られた粒度分布が狭いトナー母粒子100重量部に、疎水性シリカ[日本アエロジル(株)、RX−50、ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理、平均一次粒子径40nm、BET比表面積35m2/g]0.5重量部を添加し、ヘンシェルミキサー[三井鉱山(株)]を用いて混合した。得られたトナー母粒子の凝集度は、27%であった。このトナー母粒子を、熱風球形化装置[日本ニューマチック工業(株)、SFS−3]を用いて、熱風温度300℃で加熱処理し、平均円形度0.960、体積平均粒径8.4μmの球形化トナー粒子を得た。球形化トナー粒子のカップリング粒子率が35%であり、球形化工程の生産性が不良であった。
この球形化トナー粒子100重量部に、酸化チタン[個数平均粒径100nm]0.5重量部と、疎水性シリカ[日本アエロジル(株)、RX−50、ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理、平均一次粒子径40nm、BET比表面積35m2/g]1.5重量部を添加し、、ヘンシェルミキサー[三井鉱山(株)]を用いて混合し、さらに200メッシュスクリーンを備えた超音波振動篩を通して、静電荷像現像用トナーを得た。
実施例1と同様にして、A4版用紙6,000枚に印字したのち、ブレードの融着の状態と、帯電ローラの汚染の状態を観察した。ブレードには融着物がわずかに発生していたが、画像への影響はなかった。帯電ローラには、汚染がわずかに発生していた。
実施例1〜3及び比較例1〜4の外添剤の添加の状態を第1表に、評価結果を第2表に示す。
これに対して、実施例3と同様な処理であっても、加熱処理による球形化前のトナー母粒子100重量部に対する平均一次粒子径40nmの疎水性シリカの添加量が0.3重量部である比較例1の静電荷像現像用トナーは、ブレード融着が甚だしく発生する。比較例1と同様に処理し、球形化トナー粒子100重量部に対して、個数平均粒径100nmの酸化チタン0.5重量部に加えて、平均一次粒子径40nmの疎水性シリカ1.0重量部を添加した比較例2の静電荷像現像用トナーは、ブレード融着は減少するが、帯電ローラの全面に汚染が発生する。この結果から、加熱処理による球形化前のトナー母粒子への平均一次粒子径40nmの疎水性シリカの添加量が少ないと、球形化トナー粒子への外添剤の添加では、静電荷像現像用トナーの性能を向上し得ないことが分かる。
トナー母粒子100重量部に対して、平均一次粒子径7nmの疎水性シリカのみ0.5重量部を添加して、実施例1と同様に加熱により球形化処理した比較例3の静電荷像現像用トナーは、ブレード融着が甚だしく発生し、帯電ローラにも若干の汚染が発生する。トナー母粒子100重量部に対して、平均一次粒子径40nmの疎水性シリカのみ0.5重量部を添加して、実施例1と同様に加熱により球形化処理した比較例4では、カップリング粒子が多量に発生し、生産性が不良である。この結果から、加熱処理による球形化前のトナー母粒子に、平均一次粒子径150nm又は40nmの疎水性シリカと、平均一次粒子径7nmの疎水性シリカを適当量ずつ添加することが、優れた性能を有する静電荷像現像用トナーを高い生産性で製造するために必要であることが分かる。
2 トナー粒子
Claims (4)
- 少なくともバインダー樹脂と着色剤を溶融混練し、冷却したのち粉砕により粉体化し、得られた粉体を浮遊状態で加熱処理して球形化することにより得られる静電荷像現像用トナーにおいて、粉砕により得られた粉体を分級し、粗粒子側と微粒子側を除去したトナー母粒子100重量部に対して、平均一次粒子径35〜300nmのシリカ0.5〜6重量部と、平均一次粒子径4〜30nmのシリカ0.1〜3重量部を添加したのち、加熱処理して球形化され、トナー粒子の切断面を透過型電子顕微鏡で観察したときに、平均一次粒子径35〜300nmのシリカ粒子がトナー粒子の表面に埋没した状態であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
- シリカが、疎水化処理された疎水性シリカである請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
- 少なくともバインダー樹脂と着色剤を溶融混練し、冷却したのち粉砕により粉体化し、得られた粉体を浮遊状態で加熱処理して球形化する静電荷像現像用トナーの製造方法において、粉砕により得られた粉体を分級し、粗粒子側と微粒子側を除去したトナー母粒子100重量部に対して、平均一次粒子径35〜300nmのシリカ0.5〜6重量部と、平均一次粒子径4〜30nmのシリカ0.1〜3重量部とを添加したのち、加熱処理して球形化することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
- シリカが、疎水化処理された疎水性シリカである請求項3記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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