JP2007277227A - アゾール系抗真菌剤配合洗浄用組成物 - Google Patents

アゾール系抗真菌剤配合洗浄用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた抗真菌スペクトルを発揮し、洗浄効果と使用感に優れた医薬品、医薬部外品または化粧品用の洗浄用組成物の提供。
【解決手段】界面活性剤などの洗浄剤成分、アゾール系抗真菌剤、コンディショニング成分、炭素数3乃至8のアルカンジオールを配合してなる抗真菌剤含有洗浄用組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、抗真菌剤を含む洗浄剤であって、使用感と洗浄後の仕上がり感に優れた医薬品、医薬部外品または化粧品用の洗浄用組成物に関するものである。
抗菌剤を配合した洗浄剤はすでに知られている。これらは、その使用目的に応じて、それらの用途に適する抗菌剤が配合されている。
本発明者らは、主として人を対象とした、たとえば、手洗いに使用される石鹸や洗髪用シャンプー、この他、食器、医療器具等の洗浄剤に使用しうる抗菌剤について種々研究を重ねた結果、アゾール系抗真菌剤が配合し得ることを見出して、シャンプーとしても使用できるふけ防止剤(特許文献1)、および更に他の抗細菌剤を併せて含む洗浄用組成物(特許文献2)の発明を提案した。
特許第3645287号公報 WO2004/028502A1
洗浄用組成物は、適用部分の洗浄という基本機能に加えて、使用感のよさも同時に求められる。たとえば、頭髪用の洗浄用組成物では、洗髪時の摩擦によるキューティクルの剥離を抑制し、すすぎ時に摩擦を抑えてきしみ感を防ぐことを目的として、コンディショニング成分が配合される場合がある。しかし、一般に、コンディショニング成分等の配合によって、単独では強い抗菌力を示す防腐・殺菌剤でも抗菌力が低下することが報告されている(香粧品科学−理論と実際−、第4版、p.206−9、フレグランスジャーナル社)。
本発明は、優れた抗真菌活性が発揮され、高い洗浄効果と使用感等に優れた、医薬品、医薬部外品または化粧品用の洗浄用組成物を提供せんとするものである。少なくともこれらの課題の1つ以上を解決した洗浄用組成物を提供せんとするものである。
本発明者は、アゾール系抗真菌剤を配合した洗浄用組成物において、高い洗浄力、適度の洗い流し性、皮膚刺激性の少ない組成物を追求するなかで、洗浄用としての良好な使用感を得るためコンディショニング成分を配合したところ、抗真菌活性の減弱が見られた。コンディショニング成分配合による使用感のよさを生かしたまま、抗真菌活性の維持を目的に鋭意研究を重ねた結果、炭素数が3〜8のアルカンジオールを配合することにより、抗真菌作用が保持されることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の抗真菌剤含有洗浄用組成物は、アゾール系抗真菌剤とコンディショニング成分を含む洗浄用組成物において、炭素数3乃至8のアルカンジオールを配合してなることを特徴とするものである。
すなわち、本発明は、
(1)洗浄剤成分、アゾール系抗真菌剤、コンディショニング成分および炭素数3乃至8のアルカンジオールを配合してなる医薬品、医薬部外品または化粧品用の洗浄用組成物である。
具体的には、
(2) ミコナゾールまたはその塩、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤およびノニオン界面活性剤からなる群より選ばれる1種または2種以上の洗浄剤成分、カチオン系ポリマーおよびシリコーンオイルより選ばれる1種または2種以上のコンディショニング成分
および炭素数3乃至8のアルカンジオールを配合してなる上記(1)に記載の洗浄用組成物、
(3) コンディショニング成分が、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−47および塩化O−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グアーガムから選ばれる少なくとも1種である上記(1)または(2)に記載の洗浄用組成物、
(4)炭素数3乃至8のアルカンジオールが、プロパンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールおよびオクタンジオールから選ばれる少なくとも1種である上記(1)ないし(3)のいずれか一項記載の洗浄用組成物、
(5)洗浄剤成分が、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルメチルアラニン塩、N−アシルメチルタウリン塩、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、およびグリシン型両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種である上記(1)ないし(4)のいずれか一項記載の洗浄用組成物、
(6)アゾール系抗真菌剤の配合量が0.1〜2.0質量%、コンディショニング成分の配合量が0.1〜10.0質量%、および炭素数3乃至8のアルカンジオールの配合量が0.1〜15.0質量%である上記(1)ないし(5)のいずれか一項記載の洗浄用組成物、
(7) 洗浄用組成物がシャンプー、液体石鹸、ボディソープ、ハンドソープのいずれかである上記(1)ないし(6)のいずれか一項記載の洗浄用組成物である。
また本発明は、
(8)洗浄剤成分、アゾール系抗真菌剤、コンディショニング成分および炭素数3乃至8のアルカンジオールを配合してなる抗真菌用組成物を提供する。
より具体的には、
(9)硝酸ミコナゾール0.1〜2.0質量%、ポリクオタニウム−4、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−47、塩化O−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グアーガム、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサンおよびアミノ変性シリコーンからなる群より選ばれる1種または2種以上のコンディショニング成分0.1〜10.0質量%、プロピレングリコール0.1〜15.0質量%およびN−アシルグルタミン酸塩、N−アシルメチルアラニン塩、N−アシルメチルタウリン塩、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、グリシン型両性界面活性剤からなる群より選ばれる1種または2種以上からなる洗浄剤成分を含んでなる抗真菌用組成物、
(10)硝酸ミコナゾール0.1〜2.0質量%、ポリクオタニウム−4、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−47、塩化O−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グアーガムから選ばれる少なくとも1種以上のコンディショニング成分0.1〜10.0質量%、プロピレングリコール0.1〜15.0質量%およびN−アシルグルタミン酸塩、N−アシルメチルアラニン塩、N−アシルメチルタウリン塩、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、グリシン型両性界面活性剤からなる群より選ばれる1種または2種以上の洗浄剤成分を含んでなるふけ防止用シャンプーである。
さらに本発明は、
(11)炭素数3乃至8のアルカンジオールを成分とする、アゾール系抗真菌剤およびコンディショニング成分配合洗浄用組成物におけるアゾール系抗真菌剤の活性低下防止剤
を提供する。
本発明の洗浄用組成物は、抗真菌作用を発揮し得るとともに、使用時、たとえばシャンプーとして用いたときには、ふけ防止効果が期待でき、洗髪時や水洗時に髪がもつれたり、きしむことがなく、洗髪後は櫛とおりがよく、しっとりとした潤いのある手触り感が得られるなどの使用感を有する。洗浄剤成分として低刺激性の界面活性剤を選択することで、頭髪や皮膚への刺激を抑え、抗真菌作用を持ちつつ、使用感を高めた抗真菌剤配合洗浄用組成物が提供される。また、優れた洗浄力を有し水切れがよい。
本発明でのアゾール系抗真菌剤としては、たとえばミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、クロコナゾール、ネチコナゾール、イソコナゾール、スルコナゾール、ビフォナゾールおよびそれらの塩などが挙げられる。塩としては、硝酸塩、塩酸塩などが挙げられ、好ましくは硝酸塩である。
本発明では、これらの2種以上を洗浄用組成物中に含ませることもできる。
これらのうちでも、好ましくはミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、ビフォナゾールおよびそれらの塩であり、さらに好ましくはミコナゾールまたはその塩、配合のしやすさなどの点から、とりわけ好ましくは硝酸ミコナゾールである。
上記アゾール系抗真菌剤は、市販品としていずれも入手可能である。
抗真菌剤の組成物への配合量は、特に限定されないが、通常0.1〜2.0質量%であり、具体的に、抗真菌剤が硝酸ミコナゾールの場合には、その配合量は0.1〜1.0質量%が好ましい。
本発明に使用されるコンディショニング成分としては、下記のものが例示される。
カチオン性ポリマーとして、例えば、ポリクオタニウム−4、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−47、塩化O−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グアーガムなどが挙げられる。その他にも、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、アミノ変性シリコーンなどのシリコーンオイルが例示される。これらのコンディショニング成分は、使用感、洗浄剤成分の材質および組成との相性、有効成分の効能の発現のしやすさなどに応じて選択使用され、1種または2種以上を併せて使用する。使用感(べたつき感、髪のなめらかさ、泡質、洗い上がりなど)のよさの点から、カチオン性ポリマーから少なくとも1種以上を使用することが好ましく、より具体的にはポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−47、塩化O−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グアーガムから1種または2種以上を組み合わせて使用するのが好ましい。とりわけ好ましくは、ポリクオタニウム‐6、ポリクオタニウム−7を組み合わせた使用である。
本発明において、コンディショニング成分は、洗浄用組成物の使用時における使用感の向上、洗浄・水洗後の被洗浄物の仕上がり面の感触を引き立たせるほか、洗浄後の被洗浄物面への抗真菌力付与に寄与するものと考えられる。
コンディショニング成分の配合量は、組成物全量に対して0.1〜10.0質量%であることが望ましい。0.1質量%未満ではコンディショニング効果が発揮できず、シャンプーの場合、洗浄後のきしみ感が強い。また、10.0質量%を超えると、洗浄後にぬるつき感を感じやすく、シャンプーでは毛髪のフレーキング現象を生じる可能性がある。好ましくは0.2〜6.5質量%で配合されることが望ましく、より好ましくは1.0〜5.0質量%であり、優れたコンディショニング効果を得ることができる。例えば、ポリクオタニウム−6を1.0〜3.0質量%、ポリクオタニウム−7を0.1〜1.0質量%
範囲で適宜組み合わせて用いるのがより好ましい。
本発明では、コンディショニング成分存在下における抗真菌剤の抗真菌活性の発揮および/または保持を目的として炭素数3乃至8のアルカンジオールが配合される。炭素数3乃至8のアルカンジオールとしては、プロパンジオール(1,3−プロパンジオール、 1,2−プロパンジオール)、ペンタンジオール、ヘキサンジオールまたはオクタンジオールなどが挙げられる。好ましくは炭素数3乃至5のアルカンジオールであり、特に好ましくは1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)である。
炭素数3乃至8のアルカンジオールの配合量は特に限定されないが、組成物全量に対して、通常0.1〜15.0質量%程度であり、0.1質量%未満ではコンディショニング成分による抗真菌剤の活性低下への抑制効果に劣る。しかし、本発明のように、炭素数3乃至8のアルカンジオールの保湿剤としての用途を目的としない場合には、5.0質量%以下でもその抑制効果は発揮でき得る。炭素数3乃至8のアルカンジオールの皮膚刺激性の観点からは配合量は少ないほうが望ましく、より好ましくは、0.1〜5.0質量%で配合されることが望ましく、さらに好ましくは、1.0〜4.0質量%である。
本発明の洗浄剤成分としては、抗真菌剤の薬効を損なわない洗浄剤成分であれば特に限定されない。具体的には、アルキル硫酸エステル塩、モノアルキルリン酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、高級脂肪酸アルカノールアミド硫酸エステル塩、アシルイセチオン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル乳酸塩、N‐アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルメチルアラニン塩、N−アシルメチルタウリン塩などのアニオン界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤、アミノプロピオン型両性界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、グリシン型両性界面活性剤などの両性界面活性剤、脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミドなどのノニオン界面活性剤などを適宜組み合わせて使用することができる。これらは全て市販品から入手可能である。
これら界面活性剤は皮膚への刺激性、および使用感の観点から、低刺激性のものが好ましく、低刺激性のアニオン界面活性剤としては、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルメチルアラニン塩、N−アシルメチルタウリン塩などが挙げられ、低刺激性の両性界面活性剤としてはアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、グリシン型両性界面活性剤などが挙げられる。N−アシルグルタミン酸塩としては、例えば、ココイルグルタミン酸Naなど、N−アシルメチルアラニン塩としては、例えば、ココイルメチルアラニンNaなど、N−アシルメチルタウリン塩としては、例えば、ラウロイルメチルタウリンNaなど、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤としては、例えば、コカミドプロピルベタインNaなど、グリシン型両性界面活性剤としては、例えば、ココアンホ酢酸Naなどが挙げられる。アゾール系抗真菌剤配合の場合、上記の低刺激性のアニオン界面活性剤と低刺激性の両性界面活性剤の組合せが好ましく、その配合比は特に限定されないが、例えば、アニオン界面活性剤:両性界面活性剤=1:0.5〜3、好ましくは1:1〜2.5である。
溶解性の低いアゾール系抗真菌剤を配合する場合、有効成分を完全に溶解するかまたは均一に分散する必要がある。硝酸ミコナゾールについては、上記好ましい洗浄成分の組合せにおいて、完全に溶解した組成物を調製することができる。
界面活性剤は、例えば30質量%など希釈されて市販される場合があるが、本明細書において上記の洗浄剤成分の配合量は、希釈された界面活性剤の使用量ではなく、界面活性剤成分の洗浄用組成物全量に対する質量%として表現し、通常、5〜30質量%程度、好ましくは10〜25質量%、さらに好ましくは10〜20質量%である。
本発明の洗浄用組成物は、抗真菌剤の配合量が0.1〜2.0質量%、コンディショニング成分の配合量が0.1〜10.0質量%、および炭素数3乃至8のアルカンジオールの配合量が0.1〜15.0質量%である配合比で調製することが好ましい。より好ましくは硝酸ミコナゾールの配合量が0.1〜1.0質量%、コンディショニング成分の配合量が0.2〜6.5質量%、およびプロピレングリコールの配合量が0.1〜5.0質量%の配合比で用いることができる。
さらに、これに加え、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルメチルアラニン塩、N−アシルメチルタウリン塩など低刺激性のアニオン界面活性剤と、低刺激性の両性界面活性剤であるアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、グリシン型両性界面活性剤などの組合せで、洗浄剤成分として10〜25質量%用いることが好ましい。
また、本発明は、炭素数3乃至8のアルカンジオールを成分とする、アゾール系抗真菌剤およびコンディショニング成分配合洗浄用組成物におけるアゾール系抗真菌剤の活性低下防止剤である。とりわけ、硝酸ミコナゾールの抗真菌活性の低下防止剤であり、このためのジオール成分としては、プロピレングリコールが好ましい。ここで、活性低下防止剤とは、コンディショニング成分等の特定成分が有する抗真菌活性を減弱する作用を、打ち消す効果を持つ組成物をいう。本発明の活性防止剤の作用は、本明細書試験例1ないし2に記載の方法で測定することができる。
本発明の洗浄用組成物には、更に通常の洗浄用組成物に用いられる成分、色素、顔料などの着色剤、メチルセルロース、ポリエチレングリコールなどの粘度調整剤、ジステアリン酸エチレングリコールなどのパール光沢付与剤、クエン酸、水酸化カリウムなどのpH調節剤、塩化ナトリウムなどの塩類、植物エキス類、防腐剤、ビタミン剤、香料、紫外線吸収剤、抗酸化剤、水などを適宜配合できる。
本発明において、洗浄用組成物とは、適用部位の汚れを取り除く、および/または抗真菌作用を発揮することを目的とする組成物であり、洗浄剤成分を配合し、使用後に流水等で洗い流す、ふき取るなどの使用方法をとる。その形態は特に限定されないが、石鹸(固形石鹸、液体石鹸、泡状石鹸、ボディソープ(ポディシャンプーともいう)、ハンドソープ、等)、クレンジングフォーム、シャンプー(頭髪用シャンプー、ドライシャンプー、等)などが挙げられる。これらの中でも液体石鹸、ボディソープ、ハンドソープ、シャンプーが好ましく、とりわけ、シャンプーが好ましい。本発明の洗浄用組成物は、手足など皮膚の洗浄、洗髪など、人の身体に適用できるだけでなく、ペットの全身の洗浄用などあらゆる動物に対して好適に用いることができる。食器、医療器具等の洗浄に用いても同様な使用感を得ることができる。
本発明の洗浄用組成物は、優れた抗真菌効果を発揮する。したがって本発明は、洗浄剤成分、アゾール系抗真菌剤、コンディショニング成分および炭素数3乃至8のアルカンジオールを配合してなる抗真菌用組成物を提供するものである。本発明の抗真菌用組成物の各成分の好ましい態様は、本発明の洗浄用組成物と同様に定めることができる。本発明の抗真菌用組成物の好ましい態様は、ふけ防止用組成物または白癬予防用組成物である。ふけ防止用組成物の好ましい形態はふけ防止用シャンプーであり、白癬予防用組成物の好ましい形態は液体石鹸、ボディソープである。
以下に、本発明の洗浄用組成物の試験例および実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
試験例1 Candida albicans に対する抗真菌活性試験
1.試験菌
Candida albicans IFO 1594 (ATCC 10231)
2.菌液の調整
試験菌をPDA培地(ポテトデキストロース寒天培地〔栄研化学〕)で22.5℃±2.5℃、48時間培養後、菌体を生理食塩液に浮遊させ、菌数が107〜108/mLとなるように調整し、菌液とした。
3.試験方法
滅菌合成樹脂容器に入れた検体20gに菌液0.1mL添加、混合し、試料とした。試料を22.5℃±2.5℃で保存し、保存1、4(または5)、7,21日後にGPLPA培地〔日本製薬〕を用いたカンテン平板混釈法により生菌数を測定した。
なお、培養は22.5℃±2.5℃で5〜7日間行った。
4.試験検体
アゾール系抗真菌剤として硝酸ミコナゾールを使用し、
コンディショニング成分(1):ポリクオタニウム−6
コンディショニング成分(2):ポリクオタニウム−7
洗浄剤成分:N−アシルメチルタウリン塩
:グリシン型両性界面活性剤
:アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤
の各成分を用いた。精製水を加えて全量を100質量%とする。
試験検体の組成を表1に示す。
Figure 2007277227
5.試験結果
各組成例の生菌数の変化の系時的に測定した結果を表2に示す。
Figure 2007277227
表中、評価 生菌数( /g)
○ 105以上
△ 102以上 105未満
× 検出されず
表2の結果からわかるとおり、プロピレングリコールを配合した実施例1では、プロピレングリコールを配合していない比較例1に比べて、高い抗真菌活性が発揮されている。比較例1、2、3より、コンディショニング成分配合によって、抗真菌活性が減弱することがわかる。すなわち、使用感を改善するためにコンディショニング成分を配合すると抗真菌剤の活性が減弱あるいはマスクされてしまい、抗真菌剤が配合されているにもかかわらず本来の抗真菌活性を発揮できない洗浄用組成物となってしまう。ここにプロピレングリコールを共存させると、驚くべきことにコンディショニング成分存在下でも抗真菌剤の抗真菌活性が保持あるいは発揮されることが明らかになった。また、プロピレングリコールの配合量は、通常保湿剤として使用される量より少ない範囲において、コンディショニング成分存在下での抗真菌剤の抗真菌活性の発揮および/または保持が可能であった。さらに、洗浄用組成物に配合される添加剤で、コンディショニング成分と併用すると抗真菌活性を低下させる物質、例えばパール光沢付与剤などに対してもプロピレングリコールは同様な効果を示すことがわかった。なお、このような効果がプロピレングリコール自体の抗真菌活性によるものでないことは、抗真菌剤非存在下でプロピレングリコールを添加した組成物では抗真菌効果を示さないことにより確認できる。
試験例2 Malassezia furfurに対する抗真菌活性試験
1.試験菌
Malassezia furfur (臨床分離菌株:TY 04/06/04)
Malassezia furfur (標準菌株:IFO 0656)
2.測定検体調製
測定検体は滅菌精製水(D.W.)で希釈し、良く振り混ぜ10%濃度に調製した。検体はさらにD.W.を用いて10%、5%、1%、0.5%、0.1%となるように調製した。
3.前培養および菌液調製
Dixon寒天培地で35℃、5日間培養後、さらにDixon液体培地に接種し、35℃、72時間培養した。培養後の菌液を 1/15M リン酸緩衝液(pH 7.0)で希釈し、血球計算板を用いて菌数を106cells/mLに調製した。
4.測定方法
1)培地作製
Dixon液体培地中に測定検体の最終濃度が1%、0.5%、0.1%、0.05%、0.01%となるよう検体を添加した。また、対照としてD.W.を10%添加した培地を作製した。
2)菌液接種および培養
測定培地2mLに対し、3.で調製した菌液30μLを接種し、35℃、3日間培養する。
培養後、測定培地100μLをDixon寒天培地に滴下し、コンラージ塗抹を行い、35℃、3日間培養した。但し対照培地での発育状況によって培養時間は適宜延長した。
3)判定
対照培地における菌の発育を確認した後、各培地における菌の発育の有無を判定した。
5.試験検体
試験例1で配合した実施例1および比較例1、3を用いた。
6.試験結果
Figure 2007277227
Figure 2007277227
以上の結果から、異なる菌株においても試験1と同様に、プロピレングリコールを配合した実施例1は、プロピレングリコールを配合していない比較例1と比べて高い抗真菌活性が発揮されている。別途測定した臨床分離菌株:TY 04/06/04に対する硝酸ミコナゾール単独の最小阻止濃度(MIC)値は3.13μg/mLであり、本実験における測定濃度へ換算すると0.04%に相当する。同様に標準菌株:IFO 0656に対する硝酸ミコナゾール単独のMIC値は12.5μg/mLであり、測定濃度へ換算すると0.17%相当する。したがって、実施例1は硝酸ミコナゾール原体と同等の抗真菌活性を有していると考えられる。
実施例2 洗浄用組成物の調製例
本品100g中
硝酸ミコナゾール 0.75g
グリチルリチン酸ジカリウム 0.10g
N−アシルメチルタウリン塩として 6.00g
グリシン型両性界面活性剤として 6.00g
アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤として 4.00g
ポリクオタニウム−6 1.50g
ポリクオタニウム−7 0.70g
ジステアリン酸エチレングリコール 1.80g
プロピレングリコール 3.00g
pH調節剤 適量
防腐剤 適量
精製水 適量
試験例3 シャンプーの使用試験
パネラーとしての18才〜50才の女性20人によって、実施例2で作成したシャンプーの使用試験を行った。対照例として実施例2の組成からコンディショニング成分を除いたシャンプーを用いた。
結果を表5に示す。

Figure 2007277227
使用試験の結果、コンディショニング成分を配合した実施例2のシャンプーは、粘性が適度で、泡立ちがよく、洗髪時の指通りがよく、すすいだ後の指通りがなめらかで、きしみ感が抑えられ、使用感に優れている。

Claims (9)

  1. 洗浄剤成分、アゾール系抗真菌剤、コンディショニング成分および炭素数3乃至8のアルカンジオールを配合してなる医薬品、医薬部外品または化粧品用の洗浄用組成物。
  2. ミコナゾールまたはその塩、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤およびノニオン界面活性剤からなる群より選ばれる1種または2種以上の洗浄剤成分、カチオン系ポリマーおよびシリコーンオイルより選ばれる1種または2種以上のコンディショニング成分および炭素数3乃至8のアルカンジオールを配合してなる請求項1に記載の洗浄用組成物。
  3. コンディショニング成分が、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−47および塩化O−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グアーガムから選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の洗浄用組成物。
  4. 炭素数3乃至8のアルカンジオールが、プロパンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオールおよびオクタンジオールから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか一項記載の洗浄用組成物。
  5. 洗浄剤成分が、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルメチルアラニン塩、N−アシルメチルタウリン塩、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、およびグリシン型両性界面活性剤から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか一項記載の洗浄用組成物。
  6. アゾール系抗真菌剤の配合量が0.1〜2.0質量%、コンディショニング成分の配合量が0.1〜10.0質量%、および炭素数3乃至8のアルカンジオールの配合量が0.1〜15.0質量%である請求項1〜5のいずれか一項記載の洗浄用組成物。
  7. 洗浄用組成物がシャンプー、液体石鹸、ボディソープ、ハンドソープのいずれかである請求項1〜6のいずれか一項記載の洗浄用組成物。
  8. 硝酸ミコナゾール0.1〜2.0質量%、ポリクオタニウム−4、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−47、塩化O−〔2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グアーガム、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサンおよびアミノ変性シリコーンからなる群より選ばれる1種または2種以上のコンディショニング成分0.1〜10.0質量%、プロピレングリコール0.1〜15.0質量%およびN−アシルグルタミン酸塩、N−アシルメチルアラニン塩、N−アシルメチルタウリン塩、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、グリシン型両性界面活性剤からなる群より選ばれる1種または2種以上の洗浄剤成分を含んでなる抗真菌用組成物。
  9. 炭素数3乃至8のアルカンジオールを成分とする、アゾール系抗真菌剤およびコンディショニング成分配合洗浄用組成物におけるアゾール系抗真菌剤の活性低下防止剤。
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