JP2007274431A - 発振回路 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発振回路は、ノードN11〜N14を介して環状に接続された4個のインバータを含む主ループ回路(10−1〜10−4)と、環状に接続された2個のインバータをそれぞれ含む2組の副ループ回路(10−5及び10−6,10−7及び10−8)を備える。副ループ回路の各インバータは、主ループ回路において直列接続された2段のインバータ回路と並列に接続される。主ループ回路及び副ループ回路の各インバータは、入力信号の位相に対して出力信号の位相が反転するように出力ラインを駆動し、両者の位相が同相状態のときに比べて反転状態のときに駆動能力が低くなる特性を有する。
【選択図】図1
Description
一般にリングVCOは、複数の互いに等価なVCOセルを環状に縦続接続した構成となっている。
このリングVCOの発振周波数foは、VCOセルの遅延時間Tdとその段数Nによって次式のように表せる。
fo=1/(2・N・Td) ・・・ (1)
図17は、一般的なシングルエンド型VCOのセルの構成例を示す図である。
図17に示すVCOセルは、n型MOSトランジスタ501とp型MOSトランジスタ502を直列に接続したCMOS構造を有しており、その電源側とグランド側に可変負荷503,504がそれぞれ設けられている。図17に示すCMOS構造は、何れか片方のトランジスタのみで構成される1段アンプに置き換えてもよい。また、2つ可変負荷を片方のみにしてもよい。シングルエンド型VCOにおいてセルの段数Nを偶数にすると、隣り合うセルの出力信号が交互にハイレベルとローレベルになった状態で直流的に安定する(ラッチする)。そのため、シングルエンド型VCOを発振回路として動作させるためには、セルの段数Nを奇数にしなければならない。
図18に示すVCOセルは、互いのソースが共通に接続されたn型MOSトランジスタ601及び602と、その共通ソースからグランドGNDに流れる電流を一定に保つ電流源回路605と、MOSトランジスタ601及び602の各ドレインと電源電圧VDDとの間に接続される負荷603及び604を有する。MOSトランジスタ601及び602のゲートに差動信号が入力され、そのドレインから位相反転された差動信号が出力される。
まず第一に、電源電圧に対する感度が高いことである。電源電圧が変動したり、あるいは電源電圧に雑音が含まれていたりすると、シングルエンド型VCOの特性は大きく変動し、ジッタ・位相ノイズ性能も大きく悪化する。
第二に、直交信号を出力できないことである。上で述べた様に、シングルエンド型VCOは基本的に奇数段で構成される。無線通信のIQ信号に代表される直交信号(位相差が90°の信号)を必要とするシステムは非常に多いが、シングルエンド型ではその奇数段性のため、位相差90°の信号を生成できない。
第三の欠点は、シングルエンド信号であるために、同一チップ上の他の回路からの雑音の影響を受けやすく、また同時にそれらの回路に雑音を与えやすいことである。
第四の欠点は、全電流を制御する差動型VCOに対してシングルエンド型VCOでは抵抗や容量を制御するため、一般に周波数の可変範囲が狭いことである。
まず第一に、差動型VCOでは発振振幅が小さい。これは電流源回路の存在によって振幅の最低電圧が制限されるためである。
第二に、シングルエンド型VCOでは電源ラインとグランドラインに対して対称な構造を取り得るのに対して、差動型VCOでは一般にこの対称性が失われている。このことにより、発振波形の立ち上がりと立下りの対称性が低下し、ジッタ・位相ノイズ性能が低下する。このような対称性の低下は、フリッカ雑音にも悪い効果を及ぼすことが知られている。
第三に、一般的な差動対の構造では、テイルノード(tail node:図18のN601)の電圧が発振周波数の2倍の周波数で振動する。この振動は発振波形を歪ませ、その対称性と振幅をさらに損なわせるため、ジッタ・位相ノイズ性能を低下させる要因になる。
"Jitter and Phase Noise in Ring Oscillators"、 IEEE Journal of Solid−State Circuits、 米国、 1999年6月、 vol.34、 p.790−804 "Oscillator Phase Noise : A Tutorial"、 IEEE Journal of Solid−State Circuits、 米国、 2000年3月、 vol.35、 p.326−336 "A Three−Stage Coupled Ring Oscillator with Quadrature Outputs"、 IEEE ISCAS.2001、 米国、 2001年3月、 vol.1、 p.6−9 "A Coupled Two−Stage Ring Oscillator"、 IEEE MWSCAS.2001、 米国、 2001年8月、 vol.2、 p.878−881 "A 900MHz CMOS Low−Phase−Noise Voltage−Controlled Ring Oscillator With Wide Tuning Range"、 IEEE Circuits and Systems II、 米国、 2001年2月、 vol.48、 p.216−221 "A Novel Low Phase Noise 1.8V 900MHz CMOS Voltage Controlled Ring Oscillator"、 IEEE ISCAS.2003、 米国、 2003年5月、 vol.3、 p.160−163 "Comparison of Contemporary CMOS Ring Oscillators"、 IEEE RFICS.2004、 米国、 2004年6月、 p.281−284 "A Low Phase Noise 2.0V 900MHz CMOS Voltage Controlled Ring Oscillator"、 IEEE ISCAS.2004、 米国、 2004年5月、 vol.4、 p.533−536 "A Low Voltage 900MHz Voltage Controlled Ring Oscillator With Wide Tuning Range"、 IEEE APCCAS.2004、 米国、 2004年12月、 vol.1、 p.301−304 "A Low−Phase−Noise CMOS Ring Oscillator With Differential Contol And Quadrature Outputs"、 IEEE ASIC/SOC Conf. 2001、 米国、 2001年9月、 p.134−138
この技術によって、シングルエンド型でありながら直交信号を出力することが可能となるが、シングルエンド型VCOであるために電源電圧変動に対する感度は依然として高い。また、電源ラインとグランドラインに対する構造の対称性がなく、ジッタ・位相ノイズ特性も優れないという問題が残る。
この構成は、図19や図20の構成と比べると、電源ラインとグランドラインに対する構造の対称性は向上したものの、4つの発振ノード(N901〜N904)の接続の対称性が崩れている。ノードN901とN902はインバータとn型MOSトランジスタのゲートとp型MOSトランジスタのドレインに接続されているのに対して、ノードN903とN904はインバータとn型MOSトランジスタのドレインとp型MOSトランジスタのゲートに接続されている。この非対称性により、この回路で発生する4つの直交信号は正確な直交性を保持できない。また、4段のインバータリングを基本構造とするため、電源電圧変動に対する感度も高い。
この構造は図19〜図21の構成とは異なり、ノード間の対称性も電源ラインとグランドラインとの対称性も持っている。ただ、一見差動型であるが本質的にはシングルエンド型であり、したがって電源電圧変動に対する感度が高い。また、CMOS伝送線路による余分な容量負荷が常にかかるため、同一の周波数発振で比較した場合の消費電流が大きくなる。
非特許文献10では、これらの電流源に挟まれないCMOSインバータを、電流源に挟まれた差動セルの動作速度を上げるためのラッチ構造だと考えて、これを電流源で挟んでいない。2つの電流源で挟まれることにより、その部分の特性は電源電圧変動に対して感度が下がる。一方で、電流源に挟まれなかった残りの2つのCMOSインバータは電源電圧変動の影響を受け易くなる。また、差動型VCOにおける第三の欠点として述べたように、この構造ではテイルノードに電圧振動が生じるため、ジッタ・位相ノイズ性能が低下する。
また、発振周波数を変えるために制御電圧(Vcontrol+、Vcontrol−)が変化すると、電流源に挟まれた差動セルの駆動力は増大するが、ラッチ構造の部分の駆動力はあまり変わらない。故に、これら2種類のインバータの駆動力の比が変化してしまう。このことにより、制御電圧を変化させて周波数を変えたときには諸特性が変動し、場合によっては安定に発振し得なくなりさえする。
また偶数段のインバータで発振可能であっても、図21に示すVCOのように発振ノードに対する回路の対称性が崩れると正確な位相差を持つ発振信号を生成できなくなるため、そのような問題の改善が望まれる。
また、前記電流源回路は、入力される制御信号に応じて前記電源電流の総和を変化させてよい。
まず図1〜図4を参照して、本発明の実施形態に係る発振回路の構成要素を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る発振回路の構成の一例を示す図である。
図2は、発振回路に含まれる3つのループ回路を示す図である。
図3は、発振回路を構成するインバータ(反転回路)の構成の一例を示す図である。
図4は、各インバータの電源電流を制御するための電流源回路の一例を示す図である。
MOSトランジスタ101のソースはノードNtに接続され、そのドレインは出力端子OUTに接続され、そのゲートは入力端子INに接続される。MOSトランジスタ102のソースは電源電圧VDDに接続され、そのドレインは出力端子OUTに接続され、そのゲートは入力端子に接続される。
入力端子INの電圧がハイレベルになると、MOSトランジスタ101がオン、MOSトランジスタ102がオフするため、出力端子OUTはローレベルになる。逆に入力端子INの電圧がローレベルになると、MOSトランジスタ101がオフ、MOSトランジスタ102がオンするため、出力端子OUTはハイレベルになる。
電流源回路CS1は、図4(A)に示すように、ノードNtを介して各インバータ(10−1〜10−8)に供給される電源電流の総和を一定に保つ。また、電流源回路CS1は、入力される制御信号Vcntに応じて、この電源電流の総和を変化させることが可能である。
電流源回路CS1は、例えば図4(B)に示すように、ノードNtと基準電位VSSとの間に接続されるn型のMOSトランジスタによって構成される。このMOSトランジスタは、ゲートに入力される制御信号Vcntに応じて、ノードNtから基準電位VSSへ流れる電流を変化させる。
本実施形態に係る発振回路では、制御信号Vcntに応じて電流源回路CS1の電流を変化させることにより、発振回路の周波数を制御する。
図2(A)〜(C)に示すループ回路は、何れも偶数個のインバータを環状に縦続接続した回路であり、それぞれラッチ系を構成する。すなわち、隣り合うノードの電位が交互にハイレベル又はローレベルになるとき、ループ回路は直流的に安定な状態(ラッチ状態)となるため、発振を生じない。
また、図2(A)〜(C)に示す3つのループ回路を図1に示すように結合しても、本質的にはこのラッチ状態を解消できない。
図5において、丸印はノード(N11〜N14)を示し、矢印はインバータを示す。また、白抜きの丸印はローレベルを示し、黒塗りの丸印はハイレベルを示す。
図5に示すように、主ループ回路(10−1〜10−4)のラッチ状態と副ループ回路(10−5及び10−6、10−7及び10−8)のラッチ状態は互いに異なっており、これらを両立させることはできない。各インバータが理想的に一定のゲインを有するものとすると、図5に示すように異なるラッチ状態が存在する場合には、ゲインの高いインバータを有するループ回路のラッチ状態が優先される。
CMOS構造のインバータは、出力信号のレベルに応じてゲイン(駆動力)が変化する特性を有している。インバート状態(入力電圧と出力電圧が論理的に反転する状態)のとき、オンしているMOSトランジスタが三極管領域で動作するため、その駆動力は小さくなる。一方、反インバート状態(入力電位と出力電位が論理的に一致する状態)のときには、オンしているMOSトランジスタが飽和領域で動作するため、その駆動力は大きくなる。
入力電圧がハイレベルのとき、n型のMOSトランジスタ101がオンする。この状態で出力電圧がローレベルになると、MOSトランジスタ101は三極管領域で動作するため、そのゲインgmは小さくなる。一方、出力電圧がハイレベルになると、MOSトランジスタ101は飽和領域で動作するため、そのゲインgmは大きくなる。入力電圧がローレベルの場合についても、オンするトランジスタがp型のMOSトランジスタ102に変わるだけであり、上記の議論は全く同様に成り立つ。
既に述べたように、インバータが線形領域で動作する場合、発振回路は駆動力の大きいループ回路が定めるラッチ状態に陥る。しかしながら、ループ回路を構成するインバータは上記のような非線形性を有するため、一旦ラッチ状態に陥ると、そのラッチ状態を定めるループ回路の駆動力が低下する。一方で、このラッチ状態は他のループ回路にとっては(部分的な)反インバート状態であり、その駆動力は逆に増大する。したがって、もしこのラッチ状態において2つのループ回路の駆動力が逆転するならば、発振回路は現在のラッチ状態から離れはじめ、他方のラッチ状態へと向う。そしてこの新たなラッチ状態に移行することにより、駆動力の逆転が再度引き起こされる。以上の過程が繰り返されることによって発振が生じる。このような駆動力の逆転は、主ループ回路と副ループ回路の特性(インバータのトランジスタのサイズなど)を適切に選択することによって確実に発生させることが可能である。
図7の例において、主ループ回路のインバータ10−4,10−2が反インバート状態になると、その増大した駆動力が副ループ回路(10−5,10−6)の駆動力より大きくなって、副ループ回路(10−5,10−6)の論理レベルを反転する。すると次に、後段のインバータ10−1,10−3が反インバート状態になり、その増大した駆動力が副ループ回路(10−5,10−6)の論理レベルを反転する。このようにして、主ループ回路の4つのインバータ10−1〜10−4が順次に反インバート状態へ遷移することにより、4相の発振が生じる。
なお、図7の例では説明を容易にするため電圧を論理レベル(ハイレベル「H」、ローレベル「L」)で表しているが、実際の発振回路においてはアナログ電圧となる。また、状態も図7に示すように4つの状態がデジタル的に切り替わるのではなく、各状態の遷移は時間的なオーバーラップを持つ。
図8は、インバータのトランスコンダクタンスGmについて説明するための図である。図8(A)に示すトランスコンダクタンス「−Gm」のインバータは、その非線形性を考慮すると、図8(B)に示すように入力電圧と出力電圧に応じてトランスコンダクタンス「−Gm」が変化する回路として扱われる。
したがって、SLVCOにおけるインバータ(反転回路)は、必ずしもCMOS構造に限られるものではなく、同様な非線形特性を持つ他の構成の回路でもSLVCOを実現可能である。すなわち、出力信号の位相が入力信号の位相に対して反転するように出力ラインを駆動する反転回路であって、両者の位相が同相状態のときに比べて反転状態のときに当該駆動能力が低くなるような非線形性を有するものであれば、その回路構成は任意でよい。
図1に示す発振回路では、後者の条件を満たすため、副ループ回路(図2(B),(C))を構成する各インバータと、主ループ回路(図2(A))において縦続接続された偶数個(2個)のインバータとが並列に接続されている。例えば副ループ回路(図2(B))のインバータ10−5は、主ループ回路において縦続接続されたインバータ10−1及び10−2(インバータ10−3及び10−4)と並列に接続されている。
これを言い換えると、図1に示す発振回路においては、主ループ回路(図2(A))の各インバータ(10−1〜10−4)の出力から入力へ信号を帰還する回路が、互いに等価な回路構成を有している。
このような回路トポロジの対称性によって、主ループ回路の各インバータ(10−1〜10−4)は対称に動作する。その結果、各インバータ(10−1〜10−8)の信号遅延が等しくなり、ノードN11〜N14の隣接するノード間で発生する発振信号は正確に90°(360°÷4)の位相差を持つようになる。
仮に、ノードNtが1つのインバータのみに接続されているものとすると、電流源回路CS1の定電流動作によってMOSトランジスタ101の電流が一定に保たれるようにノードNtの電圧が制御されるため、ノードNtの電圧はインバータの入力電圧に応じて大きく変動する。例えばインバータの入力電圧が増大すると、電流源回路CS1は定電流を維持しようとしてノードNtの電圧を大きく引き下げる。
したがって、あるインバータの入力電圧がハイレベルからローレベルへ変化しても、これと入れ替わるようにして別のインバータの入力電圧がローレベルからハイレベルに変化する。その結果、あるインバータからノードNtへ流れる電流が減少しても、別のインバータからノードNtへ流れる電流が増大するため、電流源回路CS1はノードNtの電圧を大きく変動させることなく定電流を維持できる。
また、発振の1サイクル中において各インバータがノードNtに電流を供給する期間とそのピークの大きさはほぼ均一であり、特定のインバータに著しく偏った電流が流れることはない。この点からも定電流ノードNtの変化が抑制される。
このようにして、本実施形態に係る発振回路では、ノードNtの電圧振動が非常に小さくなる。
したがって、主ループ回路と副ループ回路が互いに異なるラッチ状態を持つようになるとともに、一方のループ回路が定めるラッチ状態へ遷移すると当該ループ回路の駆動力より他方のループ回路の駆動力が大きくなるため、他方のループ回路が定めるラッチ状態に遷移する。このようなラッチ状態の遷移が繰り返し起こることによって、偶数段のインバータを環状に接続した構成であっても発振を生じることが可能になる。
また、本実施形態に係る発振回路では、主ループ回路の各インバータ(10−1〜10−4)の出力から入力へ信号を帰還する回路が互いに等価な回路構成を有している。そのため、これらのインバータの信号遅延がほぼ等しくなり、ノードN11〜N14の隣接するノードに生じる発振信号が正確に90°の位相差を持つようになる。
したがって、本実施形態に係る発振回路によれば、偶数段(4段)のインバータ回路を環状に縦続接続した構成であっても、正確な位相差を持った複数(4つ)の発振信号を生成することができる。
これにより、ノードNtの電圧振動を微小に抑えることができるため、各インバータ(10−1〜10−8)に例えばCMOS構造のような電源側とグランド側に対して対称な構造の回路を適用することによって、ジッタと位相ノイズを非常に小さくすることができる。
以下では一例として、主ループ回路におけるインバータの段数を「8」とした場合の発振回路について説明する。
インバータ20−1の入力と出力は、それぞれノードN21とノードN22に接続される。インバータ20−2の入力と出力は、それぞれノードN22とノードN23に接続される。インバータ20−3の入力と出力は、それぞれノードN23とノードN24に接続される。インバータ20−4の入力と出力は、それぞれノードN24とノードN25に接続される。インバータ20−5の入力と出力は、それぞれノードN25とノードN26に接続される。インバータ20−6の入力と出力は、それぞれノードN26とノードN27に接続される。インバータ20−7の入力と出力は、それぞれノードN27とノードN28に接続される。インバータ20−8の入力と出力は、それぞれノードN28とノードN21に接続される。
この2つの条件と、先述したインバータの非線形動作の条件が加わることによって、SLメカニズムによる発振が生じる。
図10(A)に示す発振回路は、図9に示す8段の主ループ回路に加えて、ノードN21,N23,N25,N27,N21の順番に信号を伝達する4段の副ループ回路と、ノードN22,N24,N26,N28,N22の順番に信号を伝達する4段の副ループ回路を有する。
図10(B)に示す発振回路は、図9に示す8段の主ループ回路に加えて、ノードN21,N27,N25,N23,N21の順番に信号を伝達する4段の副ループ回路と、ノードN22,N28,N26,N24,N22の順番に信号を伝達する4段の副ループ回路を有する。
他方、図10(C)に示す発振回路は、図9に示す8段の主ループ回路に加えて、図10(A),(B)に示す発振回路における各2つの副ループ回路を組み合わせた4つの副ループ回路を有する。
図11に示す発振回路は、図9に示す8段の主ループ回路に加えて、ノードN21及びN25に接続される2段の副ループ回路と、ノードN22及びN26に接続される2段の副ループ回路と、ノードN23及びN27に接続される2段の副ループ回路と、ノードN24及びN28に接続される2段の副ループ回路とを有する。4つの副ループ回路は、8つのノードN21〜N28のそれぞれ異なるノードに接続される。
図12に示す発振回路は、図9に示す8段のループ回路(20−1〜20−8)に加えて、2段の副ループ回路を4組構成している8つのインバータ(20−9〜20−16)を有する。
インバータ20−9及び20−10は、ノードN21及びN25に接続される副ループ回路を構成する。インバータ20−9の入力と出力は、それぞれノードN21とノードN25に接続される。インバータ20−10の入力と出力は、それぞれノードN25とノードN21に接続される。
インバータ20−11及び20−12は、ノードN22及びN26に接続される副ループ回路を構成する。インバータ20−11の入力と出力は、それぞれノードN22とノードN26に接続される。インバータ20−12の入力と出力は、それぞれノードN26とノードN22に接続される。
インバータ20−13及び20−14は、ノードN23及びN27に接続される副ループ回路を構成する。インバータ20−13の入力と出力は、それぞれノードN23とノードN27に接続される。インバータ20−14の入力と出力は、それぞれノードN27とノードN23に接続される。
インバータ20−15及び20−16は、ノードN24及びN28に接続される副ループ回路を構成する。インバータ20−15の入力と出力は、それぞれノードN24とノードN28に接続される。インバータ20−16の入力と出力は、それぞれノードN28とノードN24に接続される。
図13の例において、主ループ回路のインバータ20−8,20−4が反インバート状態になると、その増大した駆動力が副ループ回路(20−9,20−10)の駆動力より大きくなって、副ループ回路(20−9,20−10)の論理レベルを反転する。すると次に、後段のインバータ20−1,20−5が反インバート状態になり、その増大した駆動力が副ループ回路(20−11,20−12)の論理レベルを反転する。このようにして、主ループ回路の8つのインバータ20−1〜20−8が順次に反インバート状態へ遷移することにより、8相の発振が生じる。
なお、図13の例でも図7と同様に、アナログ電圧を「H」,「L」の論理レベルで模式的に表している。また、各状態の遷移は時間的なオーバーラップを持つ。
図14において、縦軸は電圧(V)を示し、横軸は時間(nsec)を示す。符号CV11〜CV14は、それぞれノードN11〜N14の電圧波形を示し、符号CV15はノードNtの電圧波形を示す。
図14のシミュレーション波形において、ノードNtの電圧は発振周波数に対し4倍の周波数で僅かに振動しているが、ほぼ一定に保たれている。また、ノードN11〜N14の位相差は90°になっており、波形は歪の少ない正弦波になっている。
図15において、縦軸は電圧(V)を示し、横軸は時間(nsec)を示す。符号CV21〜CV28は、それぞれノードN21〜N28の電圧波形を示し、符号CV29はノードNtの電圧波形を示す。
図15のシミュレーション波形において、ノードNtの電圧はほぼ一定に保たれている。また、ノードN21〜N28の位相差は45°になっており、波形は上下に対称な矩形波になっている。
Claims (8)
- それぞれ異なる位相を持った発振信号を出力するN個(Nは4以上の偶数を示す)のノードを備える発振回路であって、
前記N個のノードを介して環状に縦続接続されたN個の反転回路を含む主ループ回路と、
環状に縦続接続された偶数個の反転回路をそれぞれ含む複数の副ループ回路と
を具備し、
前記副ループ回路の各反転回路は、前記主ループ回路において縦続接続された偶数個の反転回路と並列に接続され、
前記主ループ回路の各反転回路の出力から入力へ信号を帰還する回路は、互いに等価な回路構成を有しており、
前記主ループ回路及び副ループ回路の各反転回路は、出力信号の位相が入力信号の位相に対して反転するように出力ラインを駆動するとともに、両者の位相が同相状態のときに比べて反転状態のときに当該駆動能力が低くなる
発振回路。 - 前記主ループ回路及び副ループ回路の各反転回路の電源入力端子が共通に接続される共通ノードと、
前記共通ノードを介して各反転回路に供給される電源電流の総和を一定に保つ電流源回路とを有する、
請求項1に記載の発振回路。 - 前記電流源回路は、入力される制御信号に応じて前記電源電流の総和を変化させる、
請求項2に記載の発振回路。 - 前記主ループ回路及び副ループ回路の各反転回路は、直列に接続された第1導電型の第1トランジスタ及び第2導電型の第2トランジスタを有し、
前記第1トランジスタ及び第2トランジスタの直列回路の一端が前記共通ノードに接続される、
請求項2に記載の発振回路。 - それぞれ異なる位相を持った発振信号を出力するN個(Nは4以上の偶数を示す)のノードを備える発振回路であって、
前記N個のノードを介して環状に縦続接続されたN個の反転回路を含む主ループ回路と、
前記N個のノードのうちの2つノードを介して環状に縦続接続された2個の反転回路をそれぞれ含む(N/2)個の副ループ回路と
を具備し、
前記副ループ回路の各反転回路は、前記主ループ回路において縦続接続された(N/2)個の反転回路と並列に接続され、
前記(N/2)個の副ループ回路は、前記N個のノードのうちのそれぞれ異なるノードに接続され、
前記主ループ回路及び副ループ回路の各反転回路は、出力信号の位相が入力信号の位相に対して反転するように出力ラインを駆動するとともに、両者の位相が同相状態のときに比べて反転状態のときに当該駆動能力が低くなる
発振回路。 - 前記主ループ回路及び副ループ回路の各反転回路の電源入力端子が共通に接続される共通ノードと、
前記共通ノードを介して各反転回路に供給される電源電流の総和を一定に保つ電流源回路とを有する、
請求項5に記載の発振回路。 - 前記電流源回路は、入力される制御信号に応じて前記電源電流の総和を変化させる、
請求項6に記載の発振回路。 - 前記主ループ回路及び副ループ回路の各反転回路は、直列に接続された第1導電型の第1トランジスタ及び第2導電型の第2トランジスタを有し、
前記第1トランジスタ及び第2トランジスタの直列回路の一端が前記共通ノードに接続される、
請求項6に記載の発振回路。
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