JP2007272964A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高記録密度特性および高生産性に優れ、特に、同一バルク内の摩擦変動係数が小さい磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】非磁性支持体上に、塗布および乾燥を順次行って形成された非磁性層と、塗布、乾燥およびカレンダー処理を順次行って前記非磁性層上に形成された少なくとも1層の磁性層とを有し、前記磁性層のうち最上層の磁性層中に含まれる磁性粉末が(1)本質的に球状ないし紡錘状、(2)鉄または鉄を主体とする遷移元素及び窒素を必須の構成元素として含む窒化鉄系磁性粉末、(3)数平均粒径が5〜50nm、(4)平均軸比が1〜2の条件を満たすことを特徴とする磁気記録媒体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピュータテープといった磁気記録媒体に関する。
磁気記録媒体である磁気テープとしては、ビデオテープ、オーディオテープ、コンピュータテープ(データバックアップ用テープ)など種々の用途がある。近年、ハードディスクの大容量化の進歩は驚くほど速く、注目されがちであるが、その一方、磁気テープの大容量化も同程度の速度で進歩している。特にデータバックアップ用テープの分野では、1巻当たり500GBの記録容量を有するものが商品化されている。また、数TBもの大容量を有するデータバックアップ用テープも開発されている。磁気テープの特徴である長期間保管での信頼性、アーカイブ性、ビット単価の安価さは、他に類を見ないものであり、磁気記録媒体での高記録密度化の需要は今後より一層高まることが予想される。
高記録密度特性に優れた磁気記録媒体として、所定の微粒子窒化鉄磁性体を磁性層に含有する磁気記録媒体が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかし、記録密度特性の優れた磁気記録媒体であるほど、高品質の要求は高まる。特に、同一製造バルク(ロール)内で摩擦係数の変動が大きいと、テープ同士が貼りつく部分が発生したり、読み取り(MR)ヘッドが追従しにくい部分、ポジションエラーシグナルが増加する部分などが発生し、結局これらの部分は製品にすることはできない。更に言えば、これらの不都合な部分がバルク(ロール)中のどこで発生するか分からない場合も多く、出荷検査で多大な労力をかけ、非常に生産性の低いものとなってしまう。したがって、高記録密度化と高品質化は、どちらも欠くことができない。高記録密度を達成する上記特許文献は、前述の高品質化を開示するものではない。
WO2003/079332 特開2004−319923 特開2004−335019
本発明は、上記の課題を解決することを目的とする。すなわち、本発明は、高記録密度特性および高生産性に優れ、特に、同一バルク内の摩擦変動係数が小さい磁気記録媒体を提供することを目的とする。
上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明者らは、下記本発明に想到し当該課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明の第1の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、塗布および乾燥を順次行って形成された非磁性層と、塗布、乾燥およびカレンダー処理を順次行って前記非磁性層上に形成された少なくとも1層の磁性層とを有し、前記磁性層のうち最上層の磁性層中に含まれる磁性粉末が下記(1)〜(4)の条件を満たすことを特徴とする。
(1)本質的に球状ないし紡錘状
(2)鉄または鉄を主体とする遷移元素及び窒素を必須の構成元素として含む窒化鉄系磁性粉末
(3)数平均粒径が5〜50nm
(4)平均軸比が1〜2
第1の本発明においては、前記下塗層が、塗布および乾燥を順次行った後、カレンダー処理を行って形成されたものであることが好ましい。
また、本発明の第2の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、塗布および乾燥を順次行って形成された非磁性層および最上層以外の磁性層と、塗布、乾燥およびカレンダー処理を順次行って形成された最上層の磁性層と有し、前記磁性層のうち最上層の磁性層中に含まれる磁性粉末が上記(1)〜(4)の条件を満たすことを特徴とする。
第2の本発明においては、前記最上層の磁性層が形成される前にカレンダー処理が行われていることが好ましい。
第1および第2の本発明において、上記(1)〜(4)の条件を満たすことで、優れた高記録密度特性が得られる。これは、磁性粉末間の磁気的相互作用が小さくなるため、急激な磁化反転が可能となり、磁化反転領域が狭くなるためと考えられる。そしてその結果、従来の針状形状の磁性粉末を使用した磁気記録媒体に比べて、よりすぐれた記録特性が得られるためと考えられる。
いわゆるウェットオンドライ方式の塗布では、磁性層と下層(非磁性層)との界面の粗さを低くでき(例えば、Raが4nm以下)、磁性層の厚み変動を小さくすることが可能である。このことは、記録密度を向上する上で非常に有効な方法として既知であるが、摩擦係数の変動を小さくするという知見はこれまでにない。ところが、驚くべきことに、本発明の窒化鉄系磁性粉末と塗布方式により、同一バルク(ロール)内の摩擦係数の変動を小さくできることが分かった。その理由は定かではないが、磁性粉末の球に近い形状と下層乾燥後塗布方式により、固体及び液体潤滑剤の表面への存在状態が変化しこと、及び乾燥斑がおきにくくなっていることが要因ではないかと考えている。または、液体潤滑剤のオイルポットが形成され、磁性層表面に潤滑剤が絶えず供給されるシステムができていると考えている。その結果、本発明で得られた磁気記録媒体は、特に、磁性層の薄い媒体ほど、1ロール内が均質なものであり、高生産性に優れていると言うことができる。
第1および第2の本発明の磁気記録媒体には、下記第1〜第6の態様のうち少なくとも1の態様が備えられていることが好ましい。
(1)第1の態様は、前記最上層の磁性層の厚さが、150nm以下である態様である。
(2)第2の態様は、前記最上層の磁性層中に、さらに、ビッカース硬度が2000以上の高硬度物質が含有されている態様である。
(3)第3の態様は、前記高硬度物質がダイヤモンドである態様である。
(4)第4の態様は、前記窒化鉄系磁性粉末が、鉄に対する窒素の含有量が1〜20原子%である態様である。
(5)第5の態様は、前記窒化鉄系磁性粉末が、Fe162で表される窒化鉄相を少なくとも含有する態様である。
(6)第6の態様は、前記窒化鉄系磁性粉末が、希土類元素を含有する態様である。
なお、本発明でいう「本質的に球状ないし紡錘状」(または「本質的に球状ないし本質的に紡錘状」)とは、立方体または直方体の各頂点が丸みを帯びた立体形状のもので、表面に凹凸のあるものも含み、平均軸比[長軸長(長径)と短軸長(短径)との比の平均]が1〜2の範囲にあるものをいう。
本発明によれば、高記録密度特性および高生産性に優れ、特に、同一バルク内の摩擦変動係数が小さい磁気記録媒体を提供することができる。
本発明の磁気記録媒体には、2つの態様がある(2つの態様をまとめて本発明の磁気記録媒体という)。まず、本発明の第1の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、塗布および乾燥を順次行って形成された非磁性層と、塗布、乾燥およびカレンダー処理を順次行って前記非磁性層上に形成された少なくとも1層の磁性層とを有し、前記磁性層のうち最上層の磁性層中に含まれる磁性粉末が下記(1)〜(4)の条件を満たしている。
(1)本質的に球状ないし紡錘状
(2)鉄または鉄を主体とする遷移元素及び窒素を必須の構成元素として含む窒化鉄系磁性粉末
(3)数平均粒径が5〜50nm
(4)平均軸比が1〜2
本発明の第1の磁気記録媒体では、非磁性支持体上に非磁性層および磁性層が順次形成されているが、非磁性層が乾燥した状態で磁性層が形成されている。すなわち、ウェットオンドライにて各層が形成されている。
ウェットオンウェット塗布の場合、磁性層と下層との界面の算術平均粗さRaは約6nmであるが、ウェットオンドライ塗布の場合のそれは、約4nmと小さくすることができる。一般的に、磁性層をさらに薄くするためには、さらに界面を平滑にする必要があるが、本発明の磁気記録媒体では、特に薄層のウェットオンドライ塗布で界面のRaを例えば、3nm以下にすることができる。また、上記(1)〜(4)の条件を満たすことで、さらに優れた高記録密度特性が得られる。なお、算術平均粗さRaは、塗布膜の断面SEM写真を撮り、磁性層(本発明の第2の磁気記録媒体の場合は最上層の磁性層)と下層の界面の曲線から算出することができる。
塗布および乾燥を順次行って形成された非磁性層には、さらにカレンダー処理が施されていることが好ましい。これにより、非磁性層の厚みの分布が無くなり、磁性層との界面の粗さをより低くし、更に磁性層の厚み変動を小さくすることができる。
次に、本発明の第2の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、塗布および乾燥を順次行って形成された非磁性層および最上層以外の磁性層と、塗布、乾燥およびカレンダー処理を順次行って形成された最上層の磁性層と有する。そして、前記磁性層のうち最上層の磁性層中に含まれる磁性粉末が、本発明の第1の磁気記録媒体と同様に、上記(1)〜(4)の条件を満たす。
本発明の第2の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に非磁性層、磁性層(最上層となる磁性層の下層まで)を塗布により形成し、その後、最上層の磁性層を形成する前に、乾燥を行って、当該最上層の磁性層を形成したものである。すなわち、本発明の第2の磁気記録媒体も、最上層の磁性層を形成する際に、ウェットオンドライによる塗布方法を採用しているため、本発明の第1の磁気記録媒体と同様に磁性層(最上層となる磁性層)より下層との界面の粗さを低くすることができる。
塗布および乾燥を順次行って形成された非磁性層および最上層以外の磁性層の当該磁性層には、さらにカレンダー処理が施されていることが好ましい。これにより、最上層の磁性層より下層の厚みの分布が無くなり、最上層の磁性層との界面の粗さをより低くすることができる。
ここで、塗布は一般的には室温(0〜35℃)で行われ、その後の乾燥は、塗布温度より高温で60℃〜200℃で行われることが好ましい。また、カレンダ処理の条件としては、磁性層用塗料の配合処方により適宜決定すればよいが、例えば35℃〜100℃で処理することが好ましい。
以下、本発明の磁気記録媒体の各構成について、詳述する。
〔非磁性支持体〕
本発明に用いられる非磁性支持体は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロ−ストリアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、ポリアラミド、芳香族ポリアミド、ポリベンゾオキサゾールなどの公知のフィルムが使用できる。ポリエチレンナフタレート、ポリアミドなどの高強度支持体を用いることが好ましい。また必要に応じ、磁性面とベース面の表面粗さを変えるため特開平3−224127に示されるような積層タイプの支持体を用いることもできる。これらの支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理、などをおこなっても良い。また、本発明における支持体としてアルミまたはガラス基板を適用することも可能である。
中でもポリエステル支持体(以下、単にポリエステルという)が好ましい。このようなポリエステルはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどジカルボン酸およびジオールからなるポリエステルである。
主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。
また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。
これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸及び/または2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコール及び/または1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
中でも、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。特に好ましくはポリエチレン−2,6−ナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルである。なお、本発明に用いられるポリエステルは、二軸延伸されていてもよいし、2層以上の積層体であってもよい。
また、ポリエステルは、さらに他の共重合成分が共重合されていても良いし、他のポリエステルが混合されていても良い。これらの例としては、先に挙げたジカルボン酸成分やジオール成分、またはそれらから成るポリエステルを挙げることができる。
本発明に用いられるポリエステルには、フィルム時におけるデラミネーションを起こし難くするため、スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、ポリオキシアルキレン基を有するジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、ポリオキシアルキレン基を有するジオールなどを共重合してもよい。
中でもポリエステルの重合反応性やフィルムの透明性の点で、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、4−ナトリウムスルホフタル酸、4−ナトリウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸およびこれらのナトリウムを他の金属(例えばカリウム、リチウムなど)やアンモニウム塩、ホスホニウム塩などで置換した化合物またはそのエステル形成性誘導体、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体およびこれらの両端のヒドロキシ基を酸化するなどしてカルボキシル基とした化合物などが好ましい。この目的で共重合される割合としては、ポリエステルを構成するジカルボン酸を基準として、0.1〜10モル%が好ましい。
また、耐熱性を向上する目的では、ビスフェノール系化合物、ナフタレン環またはシクロヘキサン環を有する化合物を共重合することができる。これらの共重合割合としては、ポリエステルを構成するジカルボン酸を基準として、1〜20モル%が好ましい。
本発明において、ポリエステルの合成方法は、特に限定があるわけではなく、従来公知のポリエステルの製造方法に従って製造できる。例えば、ジカルボン酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させる直接エステル化法、初めにジカルボン酸成分としてジアルキルエステルを用いて、これとジオール成分とでエステル交換反応させ、これを減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去することにより重合させるエステル交換法を用いることができる。この際、必要に応じてエステル交換触媒あるいは重合反応触媒を用い、あるいは耐熱安定剤を添加することができる。
また、合成時の各過程で着色防止剤、酸化防止剤、結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、粘度調節剤、消泡透明化剤、帯電防止剤、pH調整剤、染料、顔料、反応停止剤などの各種添加剤の1種又は2種以上を添加させてもよい。
また、ポリエステルにはフィラーが添加されてもよい。フィラーの種類としては、球形シリカ、コロイダルシリカ、酸化チタン、アルミナ等の無機粉体、架橋ポリスチレン、シリコーン樹脂等の有機フィラー等が挙げられる。
また、支持体を高剛性化するために、これらの材料を高延伸したり、表面に金属や半金属または、これらの酸化物の層を設けることもできる。
本発明において、非磁性支持体であるポリエステルの厚みは、好ましくは3〜80μm、より好ましくは3〜50μm、とくに好ましくは3〜10μmである。また支持体表面の算術平均粗さ(Ra)は、6nm以下、より好ましくは4nm以下である。このRaは、WYKO社製HD2000で測定した。また、非磁性支持体の長手方向及び幅方向のヤング率は、6.0GPa以上が好ましく、7.0GPa以上がさらに好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、前記の非磁性支持体の少なくとも一方の面に磁性粉末と結合剤とを含む磁性層を設けたものであり、非磁性支持体と磁性層との間に実質的に非磁性である非磁性層(下層)を設けたものが好ましい。
〔磁性層〕
磁性層は、非磁性支持体上に少なくとも1層形成される。そして、磁性層のうち最上層の磁性層中には、磁性粉末が含有されている。また、耐久性を向上させるため、高硬度物質が含有されていることが好ましい。以下、これらについて説明する。
(1)磁性粉末:
磁性粉末は、(1)本質的に球状ないし紡錘状であり、(2)鉄または鉄を主体とする遷移元素及び窒素を必須の構成元素とした窒化鉄系磁性粉末であり、(3)数平均粒径が5〜50nmであり、(4)平均軸比が1〜2である。
上記(1)〜(4)の条件を満たすことで、優れた高記録密度特性が得られる。これは、磁性粉末間の磁気的相互作用が小さくなるため、急激な磁化反転が可能となり、磁化反転領域が狭くなるためと考えられる。そしてその結果、従来の針状形状の磁性粉末を使用した磁気記録媒体に比べて、よりすぐれた記録特性が得られた。
Fe162相を主相としたBET比表面積が10m2/g以上の球状の窒化鉄系磁性粉末は特開2000−277311号公報において公知であるが、ここから更に改良が加えられ、焼結防止効果、高保磁力化効果、安定性(耐食性)向上化効果の高い希土類元素を磁性粉末の外層部分に主体的に存在させることにより、磁性粉末の飽和磁化を10〜20μWb/gに制御し、保磁力を200kA/m以上と高くすると共に、BET比表面積が40〜100m2/gである微粒子磁性粉末が特開2004−335019号広報において開示された。
このような球状ないし紡錘状の窒化鉄系磁性粉末は、磁性層の厚さが20nm〜100nmの薄層領域の塗布型磁気記録媒体において、特に威力を発揮する。薄層領域では、針状粒子や平板状粒子では、積層凝集しやすく、結果的に、粒子の充填率を向上させるのが困難である。
本発明の窒化鉄系磁性粉末は、コア部分に窒化鉄相を主体的に含有し、かつ希土類元素にて磁性粉末の外層部分を被覆するのが好ましい。この飽和磁化の制御は重要であり、低すぎると、とくに長波長領域での出力が低くなり、高すぎると、磁化容易軸の磁性層内での分散に起因する反磁界による減磁が生じ、出力が低下しやすい。
窒化鉄系磁性粉末において、コア部分は主にFe162相またはFe162相とα−Fe相とからなり、窒素の含有量は、鉄に対し1.0〜20原子%であるのがよい。また、鉄の一部を他の遷移金属元素で置換してもよい。他の遷移金属元素には、Mn、Zn、Ni、Cu、Coなどがある。これらの中でも、Co、Niが好ましく、とくにCoは飽和磁化を最も向上できるので、好ましい。ただし、Co量は10原子%以下とするのがよい。Co含有量が多くなりすぎると、窒化に長時間を要するため、好ましくない。
コア部分に窒化鉄相を含有する希土類−窒化鉄系磁性粉末は、鉄に対して0.05〜20原子%、好ましくは0.2〜15原子%の希土類元素で磁性粉末の外層部分を被覆すると、保磁力が200kA/m(2512Oe)以上と高くなり、BET比表面積が40m2/g〜100m2/gの化学的に安定な微粒子磁性粉末が得られる。また、希土類元素で磁性粉末を被覆することと、酸化安定化処理を行うことで、磁性粉末の飽和磁化を、10〜20μWb/g(79.6〜159.2Am2/kg、79.6〜159.2emu/g)に制御することができ、塗料分散性・酸化安定性に優れた希土類−窒化鉄系磁性粉末を調製できる。
ここで、希土類元素と、鉄または鉄を主体とする遷移金属元素からなり、かつ希土類元素が磁性粉末の外層部分に主体的に存在する磁性粒子で、磁性粉末のコア部分が金属鉄、鉄合金あるいは鉄化合物の少なくとも一つからなり、鉄化合物がFe162または鉄の一部が遷移金属元素で置換されたFe162である本質的に球状ないし紡錘状の希土類−窒化鉄系磁性粉末の好ましい形態について更に詳述する。
希土類−窒化鉄系磁性粉末は、希土類元素が磁性粉末の外層部分に主体的に存在する、本質的に球状ないし紡錘状の磁性粉末であり、平均粒子サイズは5〜50nmである。当該範囲で、下限は8nmが好ましく、10nmがより好ましい。また、上限は40nmが好ましく、30nmがよりに好ましい。粒子サイズが小さすぎると、磁性塗料調製時の分散性が悪くなり、また熱的にも不安定になり、さらに保磁力が経時的に変化しやすい。粒子サイズが大きすぎると、ノイズ増加の原因となるだけでなく、平滑な磁性層面を得にくくなる。
また、上記希土類−窒化鉄系磁性粉末は、出発原料に鉄系酸化物または水酸化物を用い、これに希土類元素を被着したのち、加熱還元処理を行い、その後、還元処理温度以下の温度で窒化処理を行うことにより調製できる。
希土類−窒化鉄系磁性粉末の、鉄に対する希土類元素の含有量は、上述のように、0.05〜20原子%が好ましく、0.2〜15原子%がより好ましく、0.5〜15原子%が更に好ましく、1.0〜10原子%が一層好ましい。鉄に対する窒素の含有量は、1.0〜20原子%が好ましく、1.0〜15原子%がより好ましく、3〜12原子%が更に好ましい。希土類元素が少なすぎると、希土類元素に基づく磁気異方性の寄与が小さくなり、また還元時に焼結などにより粗大粒子が生成しやすくなり、粒度分布が悪くなる。希土類元素が多すぎると、磁気異方性に寄与する希土類元素以外に、未反応な希土類元素が増加し、磁気特性とくに飽和磁化の過度な低下が起こりやすい。また、窒素が少なすぎると、Fe162相の形成量が少なく、保磁力増加の効果が少なくなり、多すぎると、Fe4NやFe3Nなどの保磁力の小さい窒化鉄や、さらに非磁性窒化物が形成されやすく、保磁力増加の効果が少なくなり、また飽和磁化が過度に低下しやすい。
希土類−窒化鉄系磁性粉末の飽和磁化は、80〜160Am2/kg(80〜160emu/g、10.0〜20.1μWb/g)、がより好ましく、90〜155Am2/kg(90〜155emu/g、11.3〜19.5μWb/g)、がさらに好ましく、100〜145Am2/kg(100〜145emu/g、12.6〜18.2μWb/g)がいっそう好ましい。また、保磁力は、80〜400kA/m(1005〜5024Oe)が好ましい。119.4kA/m(1,500Oe)以上がより好ましく、159.2kA/m(2000Oe)以上がさらに好ましく、180kA/m(2261Oe)以上がいっそう好ましく、200kA/m(2512Oe)以上が最も好ましい。さらに、318.5kA/m(4000Oe)以下がより好ましく、278.6kA/m(3500Oe)以下がさらに好ましい。
また、希土類−窒化鉄系磁性粉末のBET比表面積は、40〜100m2/gが好ましい。BET比表面積が小さすぎると、粒子サイズが大きくなるので、磁気記録媒体に適用すると、粒子性ノイズが高くなりやすく、また、磁性層の表面平滑性が低下して、再生出力が低下しやすい。また、BET比表面積が大きすぎると、磁性粉末の凝集により磁性塗料中で均一な分散体を得ることが難しく、磁気記録媒体に適用すると、配向性の低下や、表面平滑性が低下やすい。
上述のように、希土類−窒化鉄系磁性粉末は、磁気記録媒体用として優れた特性を有するが、磁気記録媒体にしたものを高温多湿環境下に保存したとき、飽和磁化などの磁気特性の劣化が少なく、保存安定性にも優れている。
このような効果が奏される理由について明らかではないが、希土類元素を含有する化合物の磁気異方性に、Fe162相の高い磁気異方性が加わることにより、従来の磁性粉末にはみられない特有の性能を示すと考えられる。とくに希土類元素が磁性粉末の外層部分(表面)に主体的に存在すると、表面磁気異方性のためにより高い保磁力が得られやすくなること、還元時などにおける磁性粉末の形状維持効果によって粒子サイズ分布がシャープになることなどの、多くの要因に基づくものと考えられる。
希土類−窒化鉄系磁性粉末においては、希土類元素を磁性粉末の内部に存在させることを排除するものではないが、その場合でも磁性粉末を内層と外層との多層構成として、磁性粉末の外層部分(表面)に主体的に存在する構成とする。この場合、内層(コア部分)のFe相をFe162相とするが、内相をすべてFe162相とする必要はなく、Fe162相とα−Fe相の混相としてもよい。むしろ、Fe162相とα−Fe相との割合を調整することにより、所望の保磁力に容易に設定できる利点がある。
希土類元素としては、上述のイットリウム、イッテルビウム、セシウム、プラセオジム、ランタン、サマリウム、ユーロピウム、ネオジム、テルビウムなどが挙げられる。これらのうち、イットリウム、サマリウムまたはネオジムが、保磁力の向上効果、還元時の粒子形状の維持効果が大きいので、これらの少なくとも1種を選択使用するのが望ましい。
また、希土類元素のほかに、ホウ素、シリコン、アルミニウム、リンのように焼結防止効果のある元素で構成された化合物を溶解させ、これに原料粉末を浸漬して、原料粉末に対して、希土類元素とともにこれらの元素を同時または逐次被着させてもよい。これらの被着処理を効率良く行うため、還元剤、pH緩衝剤、粒径制御剤などの添加剤を混入させてもよい。これらの被着処理として、希土類元素を被着したのちに、これらの元素を被着させるようにしてもよい。
これらの元素は、希土類元素に比べて安価であるため、コスト的にも有利である。これらの元素を組み合わせて使用することにより、より最適な磁性粉末の表面状態を設計することができる。これらの元素は、鉄に対し、ホウ素、シリコン、アルミニウムおよびリンの総含有量が0.1〜20原子%となるようにする。少なすぎると、形状維持効果が少なく、また多すぎると、飽和磁化が低下しやすい。
なお、ホウ素、シリコン、アルミニウム、リン以外にも、必要により、炭素、カルシウム、マグネシウム、ジルコニウム、バリウム、ストロンチウムなども有効な元素として含ませてもよい。これらと希土類元素とを併用することにより、より高い形状維持性と分散性能を得ることができる。
このように、鉄および窒素を少なくとも構成元素とし、とくにFe162相を少なくとも含み、鉄に対する窒素の含有量を前記範囲に規定した特定粒子サイズの球状ないし紡錘状の窒化鉄系磁性粉末は、従来に比べて、より微粒子で、かつより高保磁力を有し、しかも適度な飽和磁化を示すこと、また、希土類元素や、ホウ素、シリコン、アルミニウム、リンなどを加えることにより、高い分散性が得られて、すぐれた薄層化を実現できる。
希土類−窒化鉄系磁性粉末の製造には、上述のように、出発原料としてヘマタイト、マグネタイト、ゲータイトのような鉄系酸化物または水酸化物を使用する。原料の平均粒子サイズは、還元・窒化の際の体積変化を考慮して選定するが、通常5〜100nm程度である。
この出発原料に希土類元素を被着する。通常は、アルカリまたは酸の水溶液中に出発原料を分散させ、これに希土類元素の塩を溶解させ、中和反応などにより原料粉末に希土類元素を含む水酸化物や水和物を沈殿析出させればよい。
つぎに、このように希土類元素または希土類元素と必要により他の元素を被着させた原料を、水素気流中で加熱還元する。還元ガスは、とくに限定されず、通常使用される水素ガス以外に、一酸化炭素ガスなどの還元性ガスを使用してもよい。
還元温度としては、300〜600℃とするのが望ましい。還元温度が300℃より低くなると、還元反応が十分進まなくなり、また、600℃を超えると、粉末粒子の焼結が起こりやすくなる。
加熱還元処理後、窒化処理を施すことにより、本発明の希土類−窒化鉄系磁性粉末が得られる。窒化処理としては、アンモニアを含むガスを用いて行うのが望ましい。アンモニアガス単体のほかに、水素ガス、ヘリウムガス、窒素ガス、アルゴンガスなどをキャリアーガスとした混合ガスを使用してもよい。窒素ガスは安価なため、とくに好ましい。
窒化処理温度は、100〜300℃とするのがよい。窒化処理温度が低すぎると、窒化が十分進まず、保磁力増加の効果が少ない。高すぎると、窒化が過剰に促進され、Fe4NやFe3N相などの割合が増加し、保磁力がむしろ低下し、さらに飽和磁化の過度な低下を引き起こしやすい。
このような窒化処理にあたり、得られる希土類−窒化鉄系磁性粉末における、鉄に対する窒素の量が1.0〜20原子%、より好ましくは1.0〜12.5原子%、さらに好ましくは3〜12.5原子%となるように、窒化処理の条件を選択する。
上記磁性粉末の平均粒子サイズが大きすぎると、磁性層中での磁性粉末の充填性が低下するとともに、磁性層を薄層化した場合に表面性を低下させ、さらに、磁気記録媒体とした際に粒子の大きさに起因する粒子ノイズが大きくなる。したがって、平均粒子サイズとしては50nm以下とする必要があり、好ましくは40nm以下、より好ましくは30nm以下である。このように設定すると、極めて高い充填性が得られ、すぐれた飽和磁束密度を達成できる。平均粒子サイズを50nm以下、特に好ましくは30nm以下であることは、磁性層厚さが100nm以下の場合は特に重要である。
なお、本明細書において、磁性粉末の平均粒子サイズは、以下の方法で求められる。まず、試料を透過型電子顕微鏡(TEM;日立製H−9000型)を用いて倍率10万倍で撮影し、その顕微鏡写真を総倍率50万倍になるように印画紙にプリントし、粒子写真を得る。粒子写真から目的の磁性体を選びデジタイザーで磁性粉末の輪郭をトレースし、カールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて粒子サイズを測定する。500個の粒子サイズを測定し、測定値を平均して平均粒子サイズを求める。
本発明の窒化鉄系磁性粉末は「本質的に球状ないし紡錘状」であるが、ここで、「本質的に球状ないし紡錘状」と表現しているのは、ほぼ球状のものから紡錘状のものまでのすべて、つまり、ほぼ球状から紡錘状までの中間的な形状のものも含み、その中に含まれるいずれの形状であってもよいことを意味する。つまり、従来の磁性粉末の形状である「針状」と区別するため、このような表現としたものである。上記形状の中でも、比表面積が最も小さい球状ないし紡錘状のものが好ましい。この形状は、粒子サイズの場合と同様に、走査型電子顕微鏡により、観察できる。
「本質的に球状ないし紡錘状」である平均軸比[長軸長(長径)と短軸長(短径)との比の平均]は1〜2であり、特に1.2〜1.5が好ましい。従って、紡錘状が最も好ましい。鉄に対する希土類元素の含有量は、0.05〜20原子%が好ましく、0.2〜15原子%がより好ましい。鉄に対する窒素の含有量は、1.0〜20原子%が好ましい。BET比表面積が40〜100m2/gが好ましい。なお、上記平均は、少なくとも300粒の粉末について測定し、これらの平均を求めた値をいう。
つぎに、上記希土類−窒化鉄系磁性粉末の粒子形状について、磁性塗料の分散性や薄層磁性層を形成するための特性の観点より説明する。まず、従来の針状の磁性粉末では、ノイズ低減などの記録特性向上のために、粒子サイズを小さくしているが、その結果、必然的に比表面積が大きくなって、バインダー樹脂との相互作用が大きくなり、バインダー樹脂への分散時に均一な分散体を得ることが困難になり、また薄層塗布のために大量の有機溶剤で希釈すると磁性粉末の凝集が生じやすくなり、配向性や表面平滑性が劣化する。このことから、塗布型磁気記録媒体として使用できる磁性粉末の粒子サイズには限界がある。
これに対して、本発明に使用する窒化鉄系磁性粉末は、粒子形状が本質的に球状ないし紡錘状であり、比表面積が最小となる球形に近い形状をとることが可能である。このため、従来の磁性粉末と比べて、バインダー樹脂との相互作用が小さく、磁性塗料の流動性が良好で、磁性粉末どうしがたとえ凝集体を形成しても、分散が容易となり、磁性層を薄層塗布する場合にとくに適した磁性塗料を調製できる。また、その結果、平均粒子サイズを前記した5nm程度としても十分に実用可能である。
また、長手記録の本質的な課題である、記録および再生減磁による出力低下の影響を低減するには、磁性層の厚さを薄くすることが有効であるが、長軸方向の粒子サイズが100nm程度の針状の磁性粉末を使用する限り、磁性層の厚さにも限界が生じる。なぜなら、磁界配向により、針状粒子は、平均的に針状方向が媒体の面内方向に並行になるように並ぶが、この配向には分布があるため、針状方向が媒体面に垂直になるように分布した粒子も存在する。このような粒子が存在すると、針状の磁性粉末が磁性層表面から突き出て、媒体の表面平滑性を損ない、ノイズを著しく増大させる原因となる。この問題は、磁性層の厚さが薄くなるほど顕著になるため、針状の磁性粉末を使用する限り、磁性層の厚さが100nm程度以下で表面の平滑な塗膜を作製することは難しいのが現状である。
さらに、飽和磁化についていえば、金属または合金磁性粉末は、一般に、粒子サイズが小さくなると比表面積が大きくなって、飽和磁化に寄与しない表面酸化層の割合が大きくなり、飽和磁化に寄与する磁性体部分が小さくなる。つまり、粒子サイズが小さくなるにしたがい、飽和磁化も小さくなる。この傾向は針状の磁性粉末においてとくに顕著であり、長軸長が100nm付近を境として急激に飽和磁化が小さくなる。このような飽和磁化の減少も、使用可能な粒子サイズの限界を決める要因の一つとなっている。これに対して、本発明に用いられる窒化鉄系磁性粉末は、粒子形状が本質的に球状ないし紡錘状であるため、同一体積で比較した場合、比表面積は最小となり、微粒子であるにもかかわらず、高い飽和磁化を維持することが可能となる。
以上のように、本発明に用いられる窒化鉄系磁性粉末は、飽和磁化、保磁力、粒子サイズ、粒子形状のすべてが薄層磁性層を得るのに本質的に適しており、これを使用して磁性層の平均厚さが100nm以下である磁気記録媒体を作製したときに、特にすぐれた記録再生特性が得られる。上記の磁性粉末の中でも、磁性層の平均厚さが100nm以下である磁気記録媒体において高記録密度領城での特性を向上するため、飽和磁化が10〜25μWb/g(79.6〜199.0Am2/kg)が好ましく、10〜20μWb/g(79.6〜159.2Am2/kg)がより好ましい。
なお、本明細書において、磁性粉末の保磁力および飽和磁化は、試料振動型磁力計を使用して、25℃で印加磁界1194kA/m(15kOe)で測定したときの基準試料による補正後の値を意味するものである。
(2)高硬度物質:
高硬度物質とは、ビッカース硬度が2000以上物質をいう。当該高硬度物質を含有させることで、表面が削れにくくなり優れた耐久性を発揮して、走行後の電磁変換特性の劣化を抑えることができる。さらに、一般的によく知られる鉄コバルト系磁性体では、高硬度物質を用いても、走行中に電磁変換特性の劣化を抑制できない。これは、高硬度物質は、走行中にヘッドを傷つけたり、脱落や欠損しやすいためと考えられる。ところが、驚くべきことに、本発明の磁性粉末との組み合わせでは、長時間走行後も電磁変換特性(S,S/N)を高いまま維持できることが分かった。上記組み合わせでは、磁気記録媒体にしたときの表面潤滑状態がこれまでに無い状態に変化し、走行中のヘッドダメージや媒体からの高硬度物質の脱落や欠損を抑制できると考えられる。
ここで、「ビッカース硬度」とは、対面角α=136°のダイヤモンド四角錐圧子を用い、試験面にピラミッド形のくぼみをつけた時の荷重を、永久くぼみの対角線の長さから求めた表面積で除した商を言い、次の式で算出する。
Hv=2P/d2sin(α/2)=1.854×(P/d2
上記式中、Hvはビッカース硬度(kgf/mm2)、Pは加えた荷重(kgf)、dはくぼみの対角線の長さ(mm)である。詳細については、「JIS Z 2244 ビッカース硬さ試験−試験方法」に従う。簡易的には、例えば、「セラミックス加工ハンドブック」(建設産業調査会)などの文献や使用する市販材料のカタログなどを調べることにより、ビッカース硬度を知ることができる。
また、「硬さ」とは、物理的には、その結晶構造の機械的変形に対する抵抗力を意味する。結晶構造と硬さとの間には、次のような関係が見出される。(1)結晶の原子が小さければ小さいほど、硬さは大きい。(2)結晶原子の原子価(または電子数)が大きければ大きいほど、硬さは大きい。(3)原子の充填密度が高ければ高いほど、硬さは大きい。また、化学的には、硬さは単位体積当たりの結晶原子間の結合を切断するために必要なエネルギーとして表現できる。したがって、結晶の硬さは、原子の種類と構造によってほぼ決まっており、使用しようとする化合物の文献値から硬さを知ることができる。
例えば、ダイヤモンド、窒化ホウ素、炭化珪素などがビッカース硬度2000(kgf/mm2)を超える物質であり、酸化アルミ(アルミナ)、酸化ケイ素などはビッカース硬度2000(kgf/mm2)以下の物質である。ゆえに、当該高硬度物質としては、ダイヤモンド、窒化ホウ素、炭化珪素が好ましく、ダイヤモンドがより好ましい。
高硬度物質の数平均粒径が20〜200nmであることが好ましい。20〜200nmであることで、磁性体の充填率が向上、媒体表面が平滑化し、高記録密度化に有効であることはもちろんであるが、本発明の磁性粉末との組み合わせで表面状態が変化する相乗効果を発現できるのは、磁性粉末粒子サイズと近い範囲であると考えている。より好ましくは数平均粒径が25〜120nmである。更に好ましくは数平均粒径が30〜80nmである。
また、前記磁性粉末100質量部に対し、前記高硬度物質を1〜10質量部含有することが好ましい。1質量部より少ないと、媒体の走行耐久性は低下することがあり、一方、10質量部より多いほど、ヘッドの劣化を促進することがある。特に、MRヘッドで顕著である。より好ましくは、1.5〜5質量部であり、更に好ましくは2〜4質量部である。
(3)結合剤:
本発明における磁性層、非磁性層、およびバック層のバインダー、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は、公知の磁性層、非磁性層、バック層のそれが適用できる。特に、バインダー量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。
本発明に使用される結合剤としては従来公知の熱可塑系樹脂、熱硬化系樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物が使用される。熱可塑系樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1,000〜200,000、好ましくは10,000〜100,000、重合度が約50〜1000程度のものである。
このような例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクルリ酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエーテル、等を構成単位として含む重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシーポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混合物等があげられる。これらの樹脂については朝倉書店発行の「プラスチックハンドブック」に詳細に記載されている。また、公知の電子線硬化型樹脂を各層に使用することも可能である。これらの例とその製造方法については特開昭62−256219に詳細に記載されている。以上の樹脂は単独または組合せて使用できるが、好ましいものとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体、から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂の組合せ、またはこれらにポリイソシアネートを組み合わせたものがあげられる。
ポリウレタン樹脂の構造はポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用できる。ここに示したすべての結合剤について、より優れた分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、−COOM,−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2、−O−P=O(OM)2、(以上につきMは水素原子、またはアルカリ金属塩基)、−OH、−NR2、−N+3(Rは炭化水素基)、エポキシ基、−SH、−CN、などから選ばれる少なくともひとつ以上の極性基を共重合または付加反応で導入したものを用いることが好ましい。このような極性基の量は10-1〜10-8モル/gであり、好ましくは10-2〜10-6モル/gである。
本発明に用いられるこれらの結合剤の具体的な例としてはユニオンカーバイト社製VAGH、VYHH、VMCH、VAGF、VAGD,VROH,VYES,VYNC,VMCC,XYHL,XYSG,PKHH,PKHJ,PKHC,PKFE,日信化学工業社製、MPR−TA、MPR−TA5,MPR−TAL,MPR−TSN,MPR−TMF,MPR−TS、MPR−TM、MPR−TAO、電気化学社製1000W、DX80,DX81,DX82,DX83、100FD、日本ゼオン社製MR−104、MR−105、MR110、MR100、MR555、400X−110A、日本ポリウレタン社製ニッポランN2301、N2302、N2304、大日本インキ社製パンデックスT−5105、T−R3080、T−5201、バーノックD−400、D−210−80、クリスボン6109,7209,東洋紡社製バイロンUR8200,UR8300、UR−8700、RV530,RV280、大日精化社製、ダイフェラミン4020,5020,5100,5300,9020,9022、7020,三菱化成社製、MX5004,三洋化成社製サンプレンSP−150、旭化成社製サランF310,F210などが挙げられる。
本発明における非磁性層、磁性層に用いられる結合剤は非磁性粉末または磁性粉末に対し、5〜50%の範囲、好ましくは10〜30%の範囲で用いられる。塩化ビニル系樹脂を用いる場合は5〜30%、ポリウレタン樹脂合を用いる場合は2〜20%、ポリイソシアネートは2〜20%の範囲でこれらを組み合わせて用いることが好ましいが、例えば、微量の脱塩素によりヘッド腐食が起こる場合は、ポリウレタンのみまたはポリウレタンとイソシアネートのみを使用することも可能である。本発明において、ポリウレタンを用いる場合はガラス転移温度が−50〜150℃、好ましくは0℃〜100℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は0.05〜10kg/mm2、降伏点は0.05〜10kg/mm2が好ましい。
本発明に用いるポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート等を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン社製、コロネートL、コロネートHL,コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR,ミリオネートMTL、武田薬品社製、タケネートD−102,タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202、住友バイエル社製、デスモジュールL,デスモジュールIL、デスモジュールN,デスモジュールHL,等がありこれらを単独または硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合せで各層とも用いることができる。
本発明における磁性層には、必要に応じて添加剤を加えることができる。添加剤としては、研磨剤、潤滑剤、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、溶剤、カーボンブラックなどを挙げることができる。
これら添加剤としては、例えば、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基を持つシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、ポリフェニルエーテル、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、フェネチルホスホン酸、α−メチルベンジルホスホン酸、1−メチル−1−フェネチルホスホン酸、ジフェニルメチルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ベンジルフェニルホスホン酸、α−クミルホスホン酸、トルイルホスホン酸、キシリルホスホン酸、エチルフェニルホスホン酸、クメニルホスホン酸、プロピルフェニルホスホン酸、ブチルフェニルホスホン酸、ヘプチルフェニルホスホン酸、オクチルフェニルホスホン酸、ノニルフェニルホスホン酸等の芳香族環含有有機ホスホン酸及びそのアルカリ金属塩、オクチルホスホン酸、2−エチルヘキシルホスホン酸、イソオクチルホスホン酸、イソノニルホスホン酸、イソデシルホスホン酸、イソウンデシルホスホン酸、イソドデシルホスホン酸、イソヘキサデシルホスホン酸、イソオクタデシルホスホン酸、イソエイコシルホスホン酸等のアルキルホスホン酸及びそのアルカリ金属塩、
リン酸フェニル、リン酸ベンジル、リン酸フェネチル、リン酸α−メチルベンジル、リン酸1−メチル−1−フェネチル、リン酸ジフェニルメチル、リン酸ビフェニル、リン酸ベンジルフェニル、リン酸α−クミル、リン酸トルイル、リン酸キシリル、リン酸エチルフェニル、リン酸クメニル、リン酸プロピルフェニル、リン酸ブチルフェニル、リン酸ヘプチルフェニル、リン酸オクチルフェニル、リン酸ノニルフェニル等の芳香族リン酸エステル及びそのアルカリ金属塩、リン酸オクチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸イソオクチル、リン酸イソノニル、リン酸イソデシル、リン酸イソウンデシル、リン酸イソドデシル、リン酸イソヘキサデシル、リン酸イソオクタデシル、リン酸イソエイコシル等のリン酸アルキルエステル及びそのアルカリ金属塩、アルキルスルホン酸エステル及びそのアルカリ金属塩、フッ素含有アルキル硫酸エステル及びそのアルカリ金属塩、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ステアリン酸ブチル、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、エルカ酸等の炭素数10〜24の不飽和結合を含んでも分岐していても良い一塩基性脂肪酸及びこれらの金属塩、又はステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ラウリル酸ブチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレート等の炭素数10〜24の不飽和結合を含んでも分岐していても良い一塩基性脂肪酸と、炭素数2〜22の不飽和結合を含んでも分岐していても良い1〜6価アルコール、炭素数12〜22の不飽和結合を含んでも分岐していても良いアルコキシアルコールまたはアルキレンオキサイド重合物のモノアルキルエーテルのいずれか一つとからなるモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステル又は多価脂肪酸エステル、炭素数2〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミンなどが使用できる。
また、上記炭化水素基以外にもニトロ基およびF、Cl、Br、CF3、CCl3、CBr3等の含ハロゲン炭化水素等炭化水素基以外の基が置換したアルキル基、アリール基、アラルキル基を持つものでもよい。
また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフエノールエチレンオキサイド付加体等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウム又はスルホニウム類等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルホン酸、硫酸エステル基等の酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸又はリン酸エステル類、アルキルベタイン型等の両性界面活性剤等も使用できる。これらの界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されている。
上記潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも純粋ではなく主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物等の不純分が含まれても構わない。これらの不純分は30質量%以下が好ましく、さらに好ましくは10質量%以下である。
これらの添加物の具体例としては、例えば、日本油脂社製:NAA−102、ヒマシ油硬化脂肪酸、NAA−42、カチオンSA、ナイミーンL−201、ノニオンE−208、アノンBF、アノンLG、竹本油脂社製:FAL−205、FAL−123、新日本理化社製:エヌジエルブOL、信越化学社製:TA−3、ライオン社製:アーマイドP、ライオン社製:デュオミンTDO、日清オイリオ社製:BA−41G、三洋化成社製:プロフアン2012E、ニューポールPE61、イオネットMS−400等が挙げられる。
また、本発明における磁性層には、必要に応じてカーボンブラックを添加することができる。磁性層で使用可能なカーボンブラックとしては、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を挙げることができる。比表面積は5〜500m2/g、DBP吸油量は10〜400ml/100g、粒子径は5〜300nm、pHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlが好ましい。
本発明に用いられるカーボンブラックの具体的な例としては、キャボット社製BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、905、800、700、VULCAN XC−72、旭カーボン社製#80、#60、#55、#50、#35、三菱化学社製#2400B、#2300、#900、#1000、#30、#40、#10B、コロンビアンカーボン社製CONDUCTEX SC、RAVEN150、50、40、15、RAVEN−MT−P、ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製ケッチェンブラックECなどが挙げられる。
カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用したりしてもかまわない。また、カーボンブラックを磁性塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは単独又は組み合せで使用することができる。カーボンブラックを使用する場合、磁性体の質量に対して0.1〜30質量%で用いることが好ましい。カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。したがって本発明で使用されるこれらのカーボンブラックは、磁性層及び非磁性層でその種類、量、組み合せを変え、粒子サイズ、吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性を基に目的に応じて使い分けることはもちろん可能であり、むしろ各層で最適化すべきものである。本発明の磁性層で使用できるカーボンブラックは、例えば「カーボンブラック便覧」カーボンブラック協会編、を参考にすることができる。
本発明で用いられる有機溶剤は公知のものが使用できる。本発明で用いられる有機溶媒は、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等を使用することができる。
これら有機溶媒は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分は30%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。本発明で用いる有機溶媒は磁性層と非磁性層でその種類は同じであることが好ましい。その添加量は変えてもかまわない。非磁性層に表面張力の高い溶媒(シクロヘキサノン、ジオキサンなど)を用い塗布の安定性を上げる、具体的には上層溶剤組成の算術平均値が非磁性層溶剤組成の算術平均値を下回らないことが肝要である。分散性を向上させるためにはある程度極性が強い方が好ましく、溶剤組成の内、誘電率が15以上の溶剤が50%以上含まれることが好ましい。また、溶解パラメータは8〜11であることが好ましい。
本発明で使用されるこれらの分散剤、潤滑剤、界面活性剤は、磁性層、さらに後述する非磁性層でその種類、量を必要に応じて使い分けることができる。例えば、無論ここに示した例のみに限られるものではないが、分散剤は極性基で吸着又は結合する性質を有しており、磁性層では主に強磁性金属粉末の表面に、また非磁性層では主に非磁性粉末の表面に前記の極性基で吸着又は結合し、例えば、一度吸着した有機リン化合物は、金属又は金属化合物等の表面から脱着し難いと推察される。したがって、本発明の強磁性金属粉末表面又は非磁性粉末表面は、アルキル基、芳香族基等で被覆されたような状態になるので、該強磁性金属粉末又は非磁性粉末の結合剤樹脂成分に対する親和性が向上し、さらに強磁性金属粉末あるいは非磁性粉末の分散安定性も改善される。
また、潤滑剤としては遊離の状態で存在するため非磁性層、磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い、表面へのにじみ出しを制御する、沸点や極性の異なるエステル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、界面活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添加量を非磁性層で多くして潤滑効果を向上させるなどが考えられる。また本発明で用いられる添加剤のすべて又はその一部は、磁性層又は非磁性層用の塗布液の製造時のいずれの工程で添加してもよい。例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。
〔非磁性層〕
前記非磁性支持体と前記磁性層との間に非磁性層が形成されている。非磁性層が形成されていることで、磁性層の薄層化を図ることができる。そして、該非磁性層中には既述の高硬度物質が含有されていることが好ましい。高硬度物質が含有されていることで、膜の強度が向上して媒体の耐久性を向上させることができる。非磁性層中の高硬度物質の含有量は、1〜10質量%であることが好ましく、更に好ましくは1.5〜5質量%である。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に非磁性粉末と結合剤を含む非磁性層を有する。非磁性層に使用できる非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などが挙げられる。
具体的には二酸化チタン等のチタン酸化物、酸化セリウム、酸化スズ、酸化タングステン、ZnO、ZrO2、SiO2、Cr23、α化率90〜100%のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、板状−アルミナ、板状ITO、α−酸化鉄、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、2硫化モリブデン、酸化銅、MgCO3、CaCO3、BaCO3、SrCO3、BaSO4、炭化珪素、炭化チタンなどが単独又は2種類以上を組み合わせて使用される。好ましいのは、α−酸化鉄、酸化チタンである。
非磁性粉末の形状は、針状、球状、多面体状、板状のいずれでもあってもよい。非磁性粉末の結晶子サイズは、4nm〜500nmが好ましく、40〜100nmがさらに好ましい。結晶子サイズが4nm〜500nmの範囲であれば、分散が困難になることもなく、また好適な表面粗さを有するため好ましい。これら非磁性粉末の平均粒径は、5nm〜500nmが好ましいが、必要に応じて平均粒径の異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くしたりして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましい非磁性粉末の平均粒径は、10〜200nmである。5nm〜500nmの範囲であれば、分散も良好で、かつ好適な表面粗さを有するため好ましい。
非磁性粉末の比表面積は、1〜150m2/gであり、好ましくは20〜120m2/gであり、さらに好ましくは50〜100m2/gである。比表面積が1〜150m2/gの範囲内にあれば、好適な表面粗さを有し、かつ、所望の結合剤量で分散できるため好ましい。ジブチルフタレート(DBP)を用いた吸油量は、5〜100ml/100g、好ましくは10〜80ml/100g、さらに好ましくは20〜60ml/100gである。比重は1〜12、好ましくは3〜6である。タップ密度は0.05〜2g/ml、好ましくは0.2〜1.5g/mlである。タップ密度が0.05〜2g/mlの範囲であれば、飛散する粒子が少なく操作が容易であり、また装置にも固着しにくくなる傾向がある。非磁性粉末のpHは2〜11であることが好ましいが、pHは6〜9の間が特に好ましい。pHが2〜11の範囲にあれば、高温、高湿下又は脂肪酸の遊離により摩擦係数が大きくなることはない。非磁性粉末の含水率は、0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%、さらに好ましくは0.3〜1.5質量%である。含水量が0.1〜5質量%の範囲であれば、分散も良好で、分散後の塗料粘度も安定するため好ましい。強熱減量は、20質量%以下であることが好ましく、強熱減量が小さいものが好ましい。
また、非磁性粉末が無機粉体である場合には、モース硬度は4〜10のものが好ましい。モース硬度が4〜10の範囲であれば耐久性を確保することができる。非磁性粉末のステアリン酸吸着量は、1〜20μmol/m2であり、さらに好ましくは2〜15μmol/m2である。非磁性粉末の25℃での水への湿潤熱は、200〜600erg/cm2(200〜600mJ/m2)の範囲にあることが好ましい。また、この湿潤熱の範囲にある溶媒を使用することができる。100〜400℃での表面の水分子の量は1〜10個/100Åが適当である。水中での等電点のpHは、3〜9の間にあることが好ましい。これらの非磁性粉末の表面には表面処理が施されることによりAl23、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb23、ZnOが存在することが好ましい。特に分散性に好ましいのはAl23、SiO2、TiO2、ZrO2であるが、さらに好ましいのはAl23、SiO2、ZrO2である。これらは組み合わせて使用してもよいし、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いてもよいし、先ずアルミナで処理した後にその表層をシリカで処理する方法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。
本発明の非磁性層に用いられる非磁性粉末の具体的な例としては、例えば、昭和電工製ナノタイト、住友化学製HIT−100、ZA−G1、戸田工業社製DPN−250、DPN−250BX、DPN−245、DPN−270BX、DPB−550BX、DPN−550RX、石原産業製酸化チタンTTO−51B、TTO−55A、TTO−55B、TTO−55C、TTO−55S、TTO−55D、SN−100、MJ−7、α−酸化鉄E270、E271、E300、チタン工業製STT−4D、STT−30D、STT−30、STT−65C、テイカ製MT−100S、MT−100T、MT−150W、MT−500B、T−600B、T−100F、T−500HDなどが挙げられる。堺化学製FINEX−25、BF−1、BF−10、BF−20、ST−M、同和鉱業製DEFIC−Y、DEFIC−R、日本アエロジル製AS2BM、TiO2P25、宇部興産製100A、500A、チタン工業製Y−LOP及びそれを焼成したものが挙げられる。特に好ましい非磁性粉末は二酸化チタンとα−酸化鉄である。
非磁性層には非磁性粉末と共に、カーボンブラックを混合し表面電気抵抗を下げ、光透過率を小さくすると共に、所望のマイクロビッカース硬度を得ることができる。非磁性層のマイクロビッカース硬度は、通常25〜60kg/mm2(245〜588MPa)、好ましくはヘッド当りを調整するために、30〜50kg/mm2(294〜490MPa)であり、薄膜硬度計(日本電気製HMA−400)を用いて、稜角80度、先端半径0.1μmのダイヤモンド製三角錐針を圧子先端に用いて測定することができる。詳細は「薄膜の力学的特性評価技術」リアライズ社を参考にできる。光透過率は一般に波長900nm程度の赤外線の吸収が3%以下、たとえばVHS用磁気テープでは0.8%以下であることが規格化されている。このためにはゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。
本発明における非磁性層に用いられるカーボンブラックの比表面積は100〜500m2/g、好ましくは150〜400m2/g、DBP吸油量は20〜400ml/100g、好ましくは30〜200ml/100gである。カーボンブラックの粒子径は5〜80nm、好ましく10〜50nm、さらに好ましくは10〜40nmである。カーボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlが好ましい。
本発明における非磁性層に用いることができるカーボンブラックの具体的な例としては、キャボット社製BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、800、880、700、VULCAN XC−72、三菱化学社製#3050B、#3150B、#3250B、#3750B、#3950B、#950、#650B、#970B、#850B、MA−600、コロンビアカーボン社製CONDUCTEX SC、RAVEN8800、8000、7000、5750、5250、3500、2100、2000、1800、1500、1255、1250、ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製ケッチェンブラックECなどが挙げられる。
また、カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわない。また、カーボンブラックを塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは上記無機粉末に対して50質量%を越えない範囲、非磁性層総質量の40%を越えない範囲で使用できる。これらのカーボンブラックは単独、または組み合せで使用することができる。本発明の非磁性層で使用できるカーボンブラックは例えば「カーボンブラック便覧」カーボンブラック協会編、を参考にすることができる。
また非磁性層には目的に応じて有機質粉末を添加することもできる。このような有機質粉末としては、例えば、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂も使用することができる。その製法は、特開昭62−18564号公報、特開昭60−255827号公報に記されているようなものが使用できる。
非磁性層の結合剤樹脂、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は、磁性層のそれが適用できる。特に、結合剤樹脂量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。
また、本発明の磁気記録媒体は、下塗り層を設けてもよい。下塗り層を設けることによって支持体と磁性層又は非磁性層との接着力を向上させることができる。下塗り層としては、溶剤への可溶性のポリエステル樹脂が使用される。
〔バックコート層〕
本発明の磁気記録媒体を構成する非磁性支持体の他方の面(磁性層が形成されている面とは反対側の面)には、走行性の向上等を目的としてバックコート層を設けてもよい。バックコート層の厚さは900nm以下が好ましく、100〜700nm以下がより好ましい。この範囲が良いのは、100nm未満では、走行性向上効果が不充分で、700nmを越えるとテープ全厚が厚くなり、1巻当たりの記録容量が小さくなるためである。カーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好ましい。結合剤、各種添加剤は、磁性層や非磁性層の処方が適用される。小粒径カーボンブラックには、粒子径が5nm〜200nmのものが使用されるが、粒径10nm〜100nmのものがより好ましい。粒径が10nm以下になるとカーボンブラックの分散が難しく、粒径が100nm以上では多量のカーボンブラックを添加することが必要になり、何れの場合も表面が粗くなり、磁性層への裏移り(エンボス)原因になる。
[層構成]
本発明の磁気ディスクの厚み構成は支持体が通常、3〜80μm、好ましくは3〜50μm、更に好ましくは3〜10μmである。支持体、好ましくは非磁性可撓性支持体と非磁性層または磁性層の間に密着性向上のための下塗り層を設けてもかまわない。本発明の下塗層厚みは0.01〜0.5μm、好ましくは0.02〜0.5μmである。
磁性層の厚みは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであるが、一般には10〜150nmであり、好ましくは20〜120nmであり、さらに好ましくは30〜100nmであり、とくに好ましくは30〜80nmである。また、磁性層の厚み変動率は±50%以内が好ましく、さらに好ましくは±30%以内である。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
非磁性層の厚みは、0.1〜3.0μmであり、0.3〜2.0μmであることが好ましく、0.5〜1.5μmであることが更に好ましい。なお、本発明の磁気記録媒体の非磁性層は、実質的に非磁性であればその効果を発揮するものであり、例えば不純物として、あるいは意図的に少量の磁性体を含んでいても、本発明の効果を示すものであり、本発明の磁気記録媒体と実質的に同一の構成とみなすことができる。なお、実質的に同一とは、非磁性層の残留磁束密度が10mT以下又は抗磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であることを示し、好ましくは残留磁束密度と抗磁力を持たないことを意味する。
帯電防止やカール補正などの効果を出すために磁性層が設けられている側と反対側の支持体にバック層を設けてもかまわない。この厚みは通常、0.1〜4μm、好ましくは0.3〜2.0μmである。これらの下塗層、バック層は公知のものが使用できる。
なお、下層は実質的に非磁性であればその効果を発揮するものであり、たとえば不純物としてあるいは意図的に少量の磁性粉を含んでも、本発明の効果を示すものであり、本発明と実質的に同一の構成と見なすことができることは言うまでもない。実質的に非磁性層とは下層の残留磁束密度が10mT以下または抗磁力が100エルステッド(8kA/m)以下であることを示し、好ましくは残留磁束密度と抗磁力をもたないことを示す。又、下層に磁性粉を含む場合は、下層の全無機粉末の1/2未満含むことが好ましい。また、下層として、非磁性層に代えて軟磁性粉末と結合剤を含む軟磁性層を形成してもよい。軟磁性層の厚みは上記下層と同様である。
[製造方法]
本発明の製造方法は、非磁性支持体の少なくとも一方の面に強磁性粉末と結合剤とを含む磁性層用塗料を塗布し、塗布原反を得る工程と、前記塗布原反を巻き取りロールに巻き取る工程と、前記巻き取りロールに巻き取られた塗布原反を巻き出し、カレンダー処理する工程とを有する。
本発明で用いられる磁性層用塗料または非磁性層用塗料を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、及びこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる強磁性粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨材、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初又は途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、磁性層用塗料及び非磁性層用塗料を分散させるには、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のものを使用することができる。
本発明の磁気記録媒体の製造方法では、例えば、走行下にある非磁性支持体上に磁性層用塗料又は非磁性層塗料を所定の膜厚となるように塗布して形成する。上記磁性層用塗料又は非磁性層用塗料を塗布する塗布機としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。これらについては例えば(株)総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。
磁性層用塗料の塗布層は、磁気テープの場合、磁性層用塗料の塗布層中に含まれる強磁性粉末にコバルト磁石やソレノイドを用いて磁場配向処理してもかまわない。また異極対向磁石など公知の方法を用い、垂直配向とすることで円周方向に等方的な磁気特性を付与することもできる。特に高密度記録を行う場合は垂直配向が好ましい。
乾燥風の温度、風量、塗布速度を制御することで塗膜の乾燥位置を制御できる様にすることが好ましく、塗布速度は20m/分〜1000m/分、乾燥風の温度は60℃〜200℃が好ましく、80℃〜120℃が更に好ましい。また磁石ゾーンに入る前に適度の予備乾燥を行うこともできる。
このようにして得られた塗布原反は、一旦巻き取りロールにより巻き取られ、しかる後、この巻き取りロールから巻き出され、カレンダー処理に施される。
カレンダー処理には、例えばスーパーカレンダーロールなどが利用される。カレンダー処理によって、表面平滑性が向上するとともに、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上するので、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得ることができる。本発明では、カレンダー処理する工程が、塗布原反の表面の平滑性に応じて、カレンダー処理条件を変化させながら行われることを特徴としている。
カレンダー処理工程後に得られた磁気記録媒体を、サーモ処理して熱硬化を進行させ、このようなサーモ処理は、磁性層用塗料の配合処方により適宜決定すればよいが、例えば35〜100℃であり、好ましくは50〜80℃である。またサーモ処理時間は、12〜72時間、好ましくは24〜48時間である。
カレンダーロールとしてはエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性プラスチックロールを使用できるが、金属ロールで処理することが好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、表面の算術平均粗さが、(カットオフ値0.25mm)において0.1〜4nm、好ましくは1〜3nmの範囲という極めて優れた平滑性を有する表面であることが好ましい。そのために採用されるカレンダー処理条件としては、カレンダーロールの温度を60〜100℃の範囲、好ましくは70〜100℃の範囲、特に好ましくは80〜100℃の範囲であり、圧力は100〜500kg/cm(98〜490kN/m)の範囲であり、好ましくは200〜450kg/cm(196〜441kN/m)の範囲であり、特に好ましくは300〜400kg/cm(294〜392kN/m)の範囲の条件が好ましい。
得られた磁気記録媒体は、裁断機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。裁断機としては、特に制限はないが、回転する上刃(雄刃)と下刃(雌刃)の組が複数設けられたものが好ましく、適宜、スリット速度、噛み合い深さ、上刃(雄刃)と下刃(雌刃)の周速比(上刃周速/下刃周速)、スリット刃の連続使用時間等が選定される。
[物理特性]
テープ長手方向の残留磁束密度と磁性層厚さの積は、0.002〜0.05μTmが好ましく、0.004〜0.05μTmがより好ましく、0.008〜0.05μTmがさらに好ましい。この積が0.002μTm未満では、MRヘッドによる再生出力が小さく、0.05μTmを越えるとMRヘッドによる再生出力が歪みやすくなる。このような磁性層を有する磁気記録媒体は、記録波長を短くでき、加えて、MRヘッドで再生した時の再生出力を大きくでき、しかも再生出力の歪が小さく出力対ノイズ比を大きくできるので好ましい。
本発明に用いられる磁気記録媒体の磁性層の飽和磁束密度は100〜500mTが好ましい。また磁性層の抗磁力(Hc)は、199〜398kA/m(2500〜5000Oe)が好ましく、223〜279kA/m(2800〜3500Oe)が更に好ましい。抗磁力の分布は狭い方が好ましく、SFD及びSFDrは0.6以下、さらに好ましくは0.3以下である。
本発明で用いられる磁気記録媒体のヘッドに対する摩擦係数は、温度−10〜40℃、湿度0〜95%の範囲において0.50以下であり、好ましくは0.3以下である。また、表面固有抵抗は、好ましくは磁性面104〜108Ω/sq、帯電位は−500V〜+500V以内が好ましい。磁性層の0.5%伸びでの弾性率は、面内各方向で好ましくは0.98〜19.6GPa(100〜2000kg/mm2)、破断強度は、好ましくは98〜686MPa(10〜70kg/mm2)、磁気記録媒体の弾性率は、面内各方向で好ましくは0.98〜14.7GPa(100〜1500kg/mm2)、残留のびは、好ましくは0.5%以下、100℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は、好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.1%以下である。
磁性層のガラス転移温度(110Hzで測定した動的粘弾性測定の損失弾性率の極大点)は50〜180℃が好ましく、非磁性層のそれは0〜180℃が好ましい。損失弾性率は1×107〜8×108Pa(1×108〜8×109dyne/cm2)の範囲にあることが好ましく、損失正接は0.2以下であることが好ましい。損失正接が大きすぎると粘着故障が発生しやすい。これらの熱特性や機械特性は媒体の面内各方向において10%以内でほぼ等しいことが好ましい。
磁性層中に含まれる残留溶媒は好ましくは100mg/m2以下、さらに好ましくは10mg/m2以下である。塗布層が有する空隙率は非磁性層、磁性層とも好ましくは30容量%以下、さらに好ましくは20容量%以下である。空隙率は高出力を果たすためには小さい方が好ましいが、目的によってはある値を確保した方が良い場合がある。
磁性層の算術平均粗さRaは、4nm以下、十点平均粗さRzは30nm以下が好ましい。これらは支持体のフィラーによる表面性のコントロールやカレンダ処理のロール表面形状などで容易にコントロールすることができる。カールは±3mm以内とすることが好ましい。
本発明の磁気記録媒体として非磁性層と磁性層で構成した場合、目的に応じ非磁性層と磁性層でこれらの物理特性を変えることができる。例えば、磁性層の弾性率を高くし走行耐久性を向上させると同時に非磁性層の弾性率を磁性層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの当りを良くすることができる。
[磁気記録媒体の記録再生方法]
本発明の磁気記録媒体の記録再生方法は、本発明の磁気記録媒体に最大線記録密度200kfci以上で磁気記録された信号をMRヘッドにより再生することが好ましい。
MRヘッドは、薄膜磁気ヘッドへの磁束の大きさに応答する磁気抵抗効果を利用するものであり、誘導型ヘッドでは得られない高い再生出力が得られるという利点を有する。これは主として、MRヘッドの再生出力が、磁気抵抗の変化に基づくものであるため、ディスクとヘッドとの相対速度に依存せず、また誘導型磁気ヘッドと比較して、高出力が得られるためである。このようなMRヘッドを再生ヘッドとして用いることで、高周波領域で再生特性に優れる。
本発明の磁気記録媒体がテープ状磁気記録媒体の場合、再生ヘッドとしてMRヘッドを用いることで、従来に比べ高周波領域で記録した信号であっても高いS/Nでの再生が可能である。従って、本発明の磁気記録媒体は、より高密度記録用のコンピュータデータ記録用の磁気テープやディスク状の磁気記録媒体として最適である。
以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例において、「部」は質量部を示す。また、「平均粒径」とは、数平均粒径をいう。
〔実施例1〕
Y−N−Fe磁性粉末の合成:
0.5モル/リットルの硫酸鉄(II)七水和物水溶液840mlと1モル/リットルの硝酸鉄(III)九水和物水溶液1000mlを混合攪拌しながら、2.5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を1500ml添加し、マグネタイト粒子を生成した。(30分間攪拌)
このマグネタイト粒子をオートクレーブに入れ、200℃で4時間加熱した。水熱処理後水洗した。既述の方法でTEM撮影した写真からマグネタイト粒子は、球状もしくは紡錘状であり、平均粒子サイズは25nmであった。
このマグネタイト粒子20gに1000mlの水を加え、超音波分散機を用いて、30分間処理した。この処理液に2.5gの硝酸イットリウムを加えて溶解した。30分間撹拌後、0.1モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液200mlを1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに2時間攪拌した。次にこれを水洗し、ろ過後、90℃で乾燥して、マグネタイト粒子表面にイットリウムの水酸化物を被着形成した粉末を得た。
この粉末を水素気流中450℃で2時間加熱還元して、イットリウム−鉄系磁性粉末を得た。
つぎに、水素ガスを流した状態で、徐々に150℃まで降温した。150℃になったところで、水素ガスをアンモニアガスに切り替え、温度を150℃に保ったまま、30時間窒化処理を行った。その後、アンモニアガスを流したまま、90℃まで降温し、アンモニアガスから酸素と窒素の混合ガスに切り替え、2時間安定化処理を行った。
更に、混合ガスを流したまま、40℃まで降温し、12時間保持した後、空気中に取り出した。このようにして得られたイットリウム−窒化鉄系磁性粉末は、そのイットリウムと窒素の含有量を蛍光X線により測定したところ、それぞれ4原子%と12原子%であった。また、X線回折パターンより、Fe162相を示すプロファイルを得た。Fe162に基づく回折ピークと、α−Feに基づく回折ピークが観察され、このイットリウム−窒化鉄系磁性粉末がFe162相とα−Fe相との混合相から成り立っていることがわかった。
さらに、既述したようにTEMで粒子形状を観察し、測定したところ、平均軸比が1.2であり、ほぼ球状の粒子で平均粒子サイズが20nmであることがわかった。また、BET法により求めた比表面積は、57m2/gであった。
また、この磁性粉末について、1,194kA/m(15kOe)の磁界を印加して測定した飽和磁化は140Am2/kg(140emu/g)、保磁力は215kA/m(2,700Oe)であった。
<下層用非磁性層成分>
成分(1)
非磁性無機質粉体 85部
α−酸化鉄
表面処理剤:Al23、SiO2、長軸径:0.15μm、タップ密度:0.8
針状比:7、BET比表面積:52m2/g、pH8、DBP吸油量:33g/100g
カーボンブラック 20部
DBP吸油量:120ml/100g、pH:8
BET比表面積:250m2/g、揮発分:1.5%
ポリウレタン樹脂 15部
分岐側鎖含有ポリエステルポリオール/ジフェニルメタンジイソシアネート系
−SO3Na=70eq/ton
フェニルホスホン酸 3部
α−Al23(平均粒径0.2μm) 5部
シクロヘキサノン 70部
メチルエチルケトン 70部
成分(2)
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
シクロヘキサノン 70部
メチルエチルケトン 100部
上記下層用非磁性塗料成分のうち、成分(1)をオープンニーダーで60分間混練した後、サンドミルで120分間分散した。得られた分散液に成分(2)を加え20分間攪拌した後、3官能性低分子量ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン製 コロネート3041)を6部加え、更に20分間撹拌混合したあと、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性塗料を調製した。
<磁性塗料成分>
混練、分散工程
成分(1A):
・超微粒子粒状磁性粉(イットリウム−窒化鉄系磁性粉末)
(Y−N−Fe) 100部
(Y/Fe:4原子%、N/Fe:12原子%、σs:140emu/g、Hc:215kA/m(2700Oe)、平均粒子サイズ:20nm、平均軸比:1.2)
・ポリウレタン樹脂 15部
分岐側鎖含有ポリエステルポリオール/ジフェニルメタンジイソシアネート系
−SO3Na=70eq/ton
・フェニルホスホン酸 3部
成分(1B):
・ダイヤモンド粉末(平均粒径:80nm) 3部
・板状アルミナ粉末(平均粒径:50nm) 10部
・板状ITO粉末(平均粒径:40nm) 1部
成分(1C):
・カーボンブラック(平均粒径:80nm) 5部
溶剤
・テトラヒドロフラン(THF) 20部
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン 9部
(2)希釈工程用成分:
・パルミチン酸アミド 1.5部
・ステアリン酸イソ−ブチル 1部
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン 350部
(3)配合工程用成分:
・ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製 コロネート3041) 1.5部
・メチルエチルケトン/シクロヘキサノン 29部
上記の磁性塗料のうち、混練分散工程成分(1A)をオープンニーダーで混練した後、0.1μmのジルコニアビーズを用いて、適した溶剤量を加えサンドミル分散した。成分(1B)と(1C)は、それぞれ別々に適した溶剤量を加え超音波分散した。成分(1A)、(1B)、(1C)を攪拌及び超音波混合した。次に、希釈工程用成分(2)を加えて20分間攪拌し、これに(3)配合工程用成分を加え攪拌・濾過後、磁性塗料とした。
上記の非磁性塗料を、芳香族ポリアミドフィルム(厚さ3.6μm、MD=11GPa、MD/TD=0.70、商品名:ミクトロン、東レ社製)からなる非磁性支持体(ベースフィルム)上に、乾燥、カレンダ後の厚さが0.5μmとなるように塗布(23℃)し、インライン乾燥(100℃)で乾燥し、続けてこの非磁性層上に、さらに上記の磁性塗料を磁場配向処理、乾燥、カレンダ処理後の磁性層の厚さが70nmとなるようにウエット・オン・ドライ塗布し、磁場配向処理後、100℃で乾燥し、磁気シートを得た。なお、磁場配向処理はコーティングヘッド後1mの位置からN−N対向磁石(500mT)を4基50cm間隔で設置して行った。塗布速度は200m/分とした。
<バックコート層用塗料成分>
板状ITO粉末(平均粒径:40nm) 20部
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 40部
カーボンブラック(平均粒径:370nm) 0.5部
板状酸化鉄粉末(平均粒径:50nm) 10部
硫酸バリウム 4部
ニトロセルロース 25部
ポリウレタン樹脂(−SO3Na基含有) 20部
シクロヘキサノン 120部
トルエン 120部
メチルエチルケトン 120部
上記バックコート層用塗料成分をサンドミルで滞留時間45分として分散した後、ポリイソシアネート10部を加えてバックコート層用塗料を調製し濾過後、上記で作製した磁気シートの磁性層の反対面に、乾燥、カレンダ後の厚みが0.7μmとなるように塗布し、乾燥した。
このようにして得られた磁気シートを金属ロールからなる7段カレンダで、温度100℃、線圧300kg/cmの条件で鏡面化処理し、磁気シートをコアに巻いた状態で60℃40%R.H.で48時間エージングしたのち、1/2インチ幅に裁断し、これを420m/分で走行させながら磁性層表面に対しラッピングテープ研磨、サファイアブレード研磨そして表面拭き取りの後処理を行い、磁気テープを作製した。
この時、ラッピングテープには富士フィルム社製K10000、ブレードには超硬刃(WC)、表面拭き取りには東レ社製トレシー(商品名)を用い、走行テンション0.294Nで処理を行った。上記のようにして得られた磁気テープに、サーボライタで磁気サーボ信号を記録し、コンピュータ用テープ(磁気記録媒体)を作製した。
〔実施例2〕
実施例1の磁性塗料成分中、ダイヤモンド粉末(平均粒径:80nm)3重量部を、炭化珪素粉末(平均粒径:20nm)5重量部に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2の磁気バルクロールを作製した。
〔実施例3〕
実施例1の磁性塗料成分中、ダイヤモンド粉末(平均粒径:80nm)3重量部を除外した以外は実施例1と同様にして、実施例3の磁気バルクロールを作製した。
〔実施例4〕
実施例1の磁性塗料成分中、板状アルミナ粉末(平均粒径:50nm)10重量部を除外し、ダイヤモンド粉末(平均粒径:80nm)を3重量から10重量部に増量したこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の磁気バルクロールを作製した。
〔実施例5〕
実施例4の磁性塗料成分中、ダイヤモンド粉末(平均粒径:80nm)10重量部をダイヤモンド粉末(平均粒径:50nm)10重量部に変更したこと以外は実施例4と同様にして、実施例5の磁気バルクロールを作製した。
〔実施例6〕
実施例4の磁性塗料成分中、ダイヤモンド粉末(平均粒径:80nm)10重量部をダイヤモンド粉末(平均粒径:150nm)5重量部に変更したこと以外は実施例4と同様にして、実施例6の磁気バルクロールを作製した。
〔実施例7〕
実施例4において、非磁性層を塗布、乾燥した後、カレンダ処理を行った以外は、実施例4と同様にして、実施例7の磁気バルクロールを作製した。なお、カレンダ処理の条件は、金属ロールからなる7段カレンダで、温度90℃、線圧300kg/cmとした。
〔比較例1〕
実施例4において、非磁性支持体(ベースフィルム)上に、最終的な厚さが0.5μmとなるように非磁性層用の塗料を塗布し、この非磁性層上に、さらに上記の磁性塗料を磁場配向処理、磁性層の厚さが70nmとなるようにウエット・オン・ウエットで塗布し、乾燥、磁場配向処理後、100℃で乾燥し、比較例1の磁気バルクロールとしての磁気シートを得た。
<摩擦係数の測定>
得られた磁気バルクロールを切り出し、外側、中間、内側で幅方向に10点、合計30点をテープ状にサンプリングした。これらそれぞれをステンレス棒に50gの張力(T1)で巻きつけ角180°で接触させて、この条件下で、3.3cm/秒の速度で走行させるのに必要な張力(T2)をそれぞれ測定した。この測定値をもとに、下記計算式により各テープの摩擦係数μを求めた。結果を下記表1に示す。
μ=1/π・ln(T2/T1
また、これらμ値の大きい方から5点の平均をMAX値、小さい方から5点を平均してMIN値とした。更に、変動係数を、「(MAX値−MIN値)/(MAX値+MIN値)×100」(単位は%)の式により求めた。結果を下記表1に示す。
Figure 2007272964
上記表1から明かなように、ウェットオンドライ塗布した本発明の実施例1〜7は、ウェットオンウェット塗布した比較例1よりもμ値の変動が小さかった。特に、ビッカース硬度が2000を超えるダイヤモンド(10000超)、炭化珪素(3200)を磁性層に含有した磁気バルクロールでは、更に変動が小さく、生産性の高い磁気バルクロールを得ることができた。

Claims (10)

  1. 非磁性支持体上に、塗布および乾燥を順次行って形成された非磁性層と、塗布、乾燥およびカレンダー処理を順次行って前記非磁性層上に形成された少なくとも1層の磁性層とを有し、前記磁性層のうち最上層の磁性層中に含まれる磁性粉末が下記(1)〜(4)の条件を満たすことを特徴とする磁気記録媒体。
    (1)本質的に球状ないし紡錘状
    (2)鉄または鉄を主体とする遷移元素及び窒素を必須の構成元素として含む窒化鉄系磁性粉末
    (3)数平均粒径が5〜50nm
    (4)平均軸比が1〜2
  2. 前記下塗層が、前記塗布および乾燥を順次行った後、カレンダー処理を行って形成されたことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 非磁性支持体上に、塗布および乾燥を順次行って形成された非磁性層および最上層以外の磁性層と、塗布、乾燥およびカレンダー処理を順次行って形成された最上層の磁性層と有し、前記磁性層のうち最上層の磁性層中に含まれる磁性粉末が下記(1)〜(4)の条件を満たすことを特徴とする磁気記録媒体。
    (1)本質的に球状ないし紡錘状
    (2)鉄または鉄を主体とする遷移元素及び窒素を必須の構成元素として含む窒化鉄系磁性粉末
    (3)数平均粒径が5〜50nm
    (4)平均軸比が1〜2
  4. 前記最上層の磁性層が形成される前にカレンダー処理が行われていることを特徴とする請求項3に記載の磁気記録媒体。
  5. 前記最上層の磁性層の厚さが、150nm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  6. 前記最上層の磁性層中に、さらに、ビッカース硬度が2000以上の高硬度物質が含有されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  7. 前記高硬度物質がダイヤモンドであることを特徴とする請求項6に記載の磁気記録媒体。
  8. 前記窒化鉄系磁性粉末が、鉄に対する窒素の含有量が1〜20原子%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  9. 前記窒化鉄系磁性粉末が、Fe162で表される窒化鉄相を少なくとも含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  10. 前記窒化鉄系磁性粉末が、希土類元素を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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