JP2007294085A - 磁気記録媒体、磁気信号再生システムおよび磁気信号再生方法 - Google Patents

磁気記録媒体、磁気信号再生システムおよび磁気信号再生方法 Download PDF

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健一郎 井上
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Abstract

【課題】薄層磁性層を有する重層構成の磁気記録媒体であって、短波長領域においてSNRが良好な磁気記録媒体を提供すること。
【解決手段】非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層ならびに強磁性粉末および結合剤を含む磁性層をこの順に有する磁気記録媒体。磁性層の厚さは30〜130nmの範囲であり、かつ磁性層表面の光沢度は155〜270%の範囲である。
【選択図】なし

Description

本発明は、磁気記録媒体に関するものであり、詳しくは、高密度記録時に優れた電磁変換特性を有する、特に巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッド(GMRヘッド)における再生に適した磁気記録媒体に関するものである。更に、この磁気記録媒体を使用する磁気信号再生システムおよび磁気信号再生方法に関する。
近年、情報を高速に伝達するための手段が著しく発達し、莫大な情報をもつ画像およびデータ転送が可能となった。このデータ転送技術の向上とともに、情報を記録、再生および保存するための記録再生装置および記録媒体には更なる高記録容量化が要求されている。
高記録容量化の手段として、磁気テープ製造面からのアプローチでは、磁性粉末の微粒子化とそれらの塗膜中への高密度充填、塗膜の平滑化、磁性層の薄層化などの高記録密度化技術が提案されている。例えば、特許文献1には、下層に燐含有の有機化合物を含有させることにより、下層の無機質粉末の分散性を改善し、磁性層の表面性を確保することが提案されている。また、特許文献2および3には、磁性層の表面光沢度を所定の範囲とすることが提案されている。
一方、記録再生装置面からのアプローチとしては、記録信号の短波長化および記録トラック幅の狭小化が行われている。更に、狭小化された記録トラックに再生ヘッドを追従させるために、再生ヘッドのトラック幅の狭小化も進められている。このようにトラック幅の狭小化が進むと、それに伴いS/Nが低下するため高感度なヘッドで再生を行う必要がある。そのため、高感度の磁気抵抗効果型ヘッド(MRヘッド)を用いて信号を再生することが提案され、実用化されている。更に近年、より高感度な再生ヘッドとして、巨大磁気抵抗効果を利用する巨大磁気抵抗効果型ヘッド(GMRヘッド)が提案され、実際にハードディスクの分野で使用されている。
特開平8−306032号公報 特開平6−325345号公報 特開平10−320756号公報
しかし、本発明者らの検討の結果、特許文献1〜3に記載の技術では、高密度記録化のために磁性層を薄層化した重層構成の磁気記録媒体では、短波長記録領域において、特に再生ヘッドとしてGMRヘッドを用いる記録再生システムでは、ノイズが増大し十分なSNRを得ることができないことが判明した。
そこで、本発明の目的は、薄層磁性層を有する重層構成の磁気記録媒体であって、短波長領域においてSNRが良好な磁気記録媒体、特に、特にGMRヘッド再生時のSNRが良好な磁気記録媒体を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
特許文献3に記載されているように、比較的厚い単層構造の磁性層を有する磁気記録媒体では、記録過程での自己減磁、再生過程での出力低下という厚み損失の問題が生じる。
これに対し、特許文献1および2には、特許文献3に記載の磁性層よりも薄層化された磁性層を、非磁性層上に形成した重層構成の磁気記録媒体の開示がある。これにより、上記の磁性層の厚み損失による出力低下をある程度改良することはできる。しかし、本発明者らの検討の結果、特許文献1および2の実施例の磁気記録媒体は、非磁性層上に形成された磁性層が比較的厚いため、例えば磁性層の表面光沢度を特許文献2に記載の範囲としても、短波長記録領域では依然として十分なSNRを得ることは困難であり、特にMRヘッド(特にGMRヘッド)再生時には良好なSNRを得ることはきわめて困難であることが判明した。これは、磁性層が依然として比較的厚いため、短波長領域での記録再生特性が低下すること、磁性層の単位面積あたりの飽和磁束φmが大きくなりMRヘッドの飽和を引き起こすことに起因すると考えられる。
本発明者らは、上記知見に基づき更に検討を重ねた。
光沢度は、可視光の反射率を示し、比較的短い波長の粗さを示している。従って、短波長特性を向上させるためには光沢度を向上させることが重要である。上記光沢度は従来、磁性層の表面性、充填性、配列性を表すものとして認識されていた。そのため、特許文献2では、磁性層の表面性、充填性、配列性に基づき表面光沢度を制御することが提案されている。しかし、磁性層がきわめて薄層化(130nm以下)されると、表面光沢度に対して磁性層の影響だけではなく磁性層の下層の表面性、即ち磁性層と非磁性層との界面の影響も顕在化することが、本発明者らの検討の結果、新たに判明した。これは、磁性層がきわめて薄層化されると光が透過するため表面光沢度に対して非磁性層と磁性層との界面の粗さ(界面変動)も大きく影響するようになるからと考えられる。
以上の知見に基づき本発明者らは更に検討を重ね、磁性層の表面性、充填性、配列性に加えて磁性層と非磁性層との界面の粗さをも制御して磁性層表面の光沢度を155〜270%とすることにより、短波長領域において優れた特性を発揮し、MRヘッド再生時、特にGMRヘッド再生時に良好なSNRを得ることができることを新たに見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的を達成する手段は、以下の通りである。
[1]非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層ならびに強磁性粉末および結合剤を含む磁性層をこの順に有する磁気記録媒体であって、
磁性層の厚さは30〜130nmの範囲であり、かつ
磁性層表面の光沢度は155〜270%の範囲であることを特徴とする磁気記録媒体。
[2]磁性層の単位面積あたりの飽和磁束φmは5mT・μm以上20mT・μm以下である[1]に記載の磁気記録媒体。
[3]磁性層表面の光沢度は、(5×φm+130)%以上270%以下である[2]に記載の磁気記録媒体。
[4]強磁性粉末は六方晶フェライト粉末である[1]〜[3]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[5]六方晶フェライト粉末は、平均板径が10〜40nmの範囲であり、かつ平均板比が1.5〜4.5の範囲である[4]に記載の磁気記録媒体。
[6]再生ヘッドとして巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッドを使用する磁気信号再生システムにおいて使用される[1]〜[5]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
[7][1]〜[5]のいずれかに記載の磁気記録媒体および再生ヘッドを含む磁気信号再生システム。
[8]再生ヘッドは巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッドである[7]に記載の磁気信号再生システム。
[9][1]〜[5]のいずれかに記載の磁気記録媒体に記録された磁気信号を再生ヘッドを用いて再生する磁気信号再生方法。
[10]再生ヘッドは巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッドである[9]に記載の磁気信号再生方法。
本発明によれば、幅広い波長領域で良好な電磁変換特性を示すことができ、特に短波長領域で優れた電磁変換特性をもつ、特にGMRヘッドにおける再生に適した磁気記録媒体を得ることが出来る。
[磁気記録媒体]
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層ならびに強磁性粉末および結合剤を含む磁性層をこの順に有する磁気記録媒体である。本発明の磁気記録媒体は、磁性層の厚さは30〜130nmの範囲であり、かつ磁性層表面の光沢度は155〜270%の範囲である。
以下に、本発明の磁気記録媒体について説明する。
本発明の磁気記録媒体において、磁性層の厚さは30〜130nmの範囲である。磁性層の厚さが上記範囲内であれば、磁気信号を高密度記録することが可能となる。一方、磁性層の厚さが130nmを超えると、MRヘッド使用時にヘッド飽和が生じやすく、良好な電磁変換特性を得ることが困難となる。また、磁性層の厚さが30nm未満では磁性層を均一に塗布することが困難となる。磁性層の厚さは、上記範囲内で、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化することが好ましい。磁性層の厚さは、好ましくは30〜120nm、より好ましくは30〜100nm、特に好ましくは30〜80nmの範囲である。
上記の通り磁性層が厚くなるほどMRヘッドの飽和が生じやすい。これは、一般に磁性層が厚くなるほど単位面積あたりの飽和磁束φmが大きくなるからである。MRヘッドの飽和防止の観点から磁性層の単位面積あたりの飽和磁束φmは20mT・μm以下であることが好ましい。また再生出力確保の観点からφmは5mT・μm以上であることが好ましい。より好ましくは、φmは10〜18mT・μm、更に好ましくは12〜18mT・μmの範囲である。
φmは、磁性層の最大磁束密度Bmと磁性層の厚みδを掛け合わせたBmδとして求められるものであり、振動試料型磁束計を用いて直接測定することができる。具体的には、東英工業社製振動試料型磁束計を用いてHm790kA/m(10000エルステッド)で測定することができる。磁性層の最大磁束密度Bmは、上記φmを考慮して決定すればよく、例えば100〜200mTの範囲とすることができ、120〜180mTの範囲とすることが好ましく、140〜180mTの範囲とすることが特に好ましい。磁性層の最大磁束密度は、強磁性粉末の磁気特性および磁性層の充填率により制御することができる。
本発明では、厚さ30〜130nmの磁性層を有する重層構成の磁気記録媒体において、磁性層表面の光沢度を155〜270%の範囲とする。先に説明したように、厚さ30〜130nmの薄層磁性層を有する磁気記録媒体では、磁性層表面の光沢度が155%未満では、短波長領域での記録特性が著しく低下することが本発明者らの検討により新たに見出された。これは、前述のように薄層磁性層を有する磁気記録媒体では磁性層表面の光沢度に対して非磁性層と磁性層との界面の粗さも影響するからと考えられる。一方、光沢度が高いほど再生出力は向上するが過度に高いと塗膜強度が低下し耐久性が劣化する。そこで、本発明では短波長記録特性と耐久性を両立するために、磁性層表面の光沢度を155〜270%の範囲とする。更には、磁性層表面の光沢度を、(5×φm+130)%以上270%以下とすることが好ましい。より一層好ましくは(5×φm+140)%〜270%、特に好ましくは(5×φm+150)%〜270%の範囲である。
本発明における磁性層表面の光沢度は、JISZ8741に準じ、入射角45°において屈折率1.567のガラス表面の鏡面光沢度を100%として光沢度計を用いて測定した値をいうものとする。
以下に、磁性層表面の光沢度を155〜270%とするための方法について説明する。
前述のように、厚さ30〜130nmの薄層磁性層を有する重層構成の磁気記録媒体では、磁性層表面の光沢度に対しては、(i)磁性層表面の平滑性、(ii)磁性層の配向性、(iii)磁性層の充填性、(iv)磁性層と非磁性層との界面の粗さ(界面変動)が影響する。よって、上記(i)〜(iv)を制御することにより磁性層表面の光沢度を所望の範囲とすることができる。一般に、非磁性層が湿潤状態にあるうちに磁性層を塗布するウェット・オン・ウェット塗布方式では磁性層と非磁性層の界面変動が大きくなる傾向にある。そのため、磁性層と非磁性層との界面粗さを低減するためには、磁性層と非磁性層の塗布方法としては、非磁性支持体上に非磁性層を塗布乾燥した後、磁性層を塗布するウェット・オン・ドライ塗布方式を用いることが好ましい。
更に非磁性層表面を平滑にすることにより磁性層と非磁性層との界面粗さを低減するためには、磁性層塗布前の非磁性層表面の平滑性を高めることが好ましい。そのための手段としては、(a)平滑性の優れた支持体の使用、(b)微粒子非磁性粉体の使用、(c)非磁性層の高分散化(バインダ、工程、分散機の選定)、(d)非磁性層に対する平滑化処理(スムージング処理、カレンダ処理)、(e)平滑化層の形成が挙げられる。スム−ジング処理は、非磁性支持体上に非磁性層を塗布した直後に塗布層がまだ湿潤状態のうちに塗布方向にせん断をかける処理であり、塗布層中の凝集体を破壊するために有効である。通常、硬い板状の平滑なスムーザー(好ましくは中心面平均表面粗さRa≦2.5nm)を湿潤状態の表面に接触させ、せん断をかけることにより行う。カレンダー処理では、カレンダーロールの温度、圧力、速度、素材、表面性、ロール構成等を適宜設定する。
更に、磁性層塗布前に非磁性層表面の耐溶剤性を向上させることにより、磁性層塗布液に非磁性層が溶解し磁性層と非磁性層との界面が粗くなることを防ぐことができる。具体的には、非磁性層に熱硬化樹脂を使用しサ−モ処理を行う方法、および/または、非磁性層に放射線硬化型化合物を用い磁性層塗布前に放射線処理を行う方法、によって非磁性層表面の耐溶剤性を向上させることができる。
以上説明した各手段の詳細は、それぞれ後述する。本発明では、上記手段を任意に組み合わせることにより、厚さ30〜130nmの磁性層を有する重層構成の磁気記録媒体において、磁性層表面の光沢度を155〜270%の範囲とすることができる。
以下に、本発明の磁気記録媒体について、更に詳細に説明する。
非磁性支持体
非磁性支持体は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテ−ト、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、ポリアラミド、芳香族ポリアミド、ポリベンゾオキサゾ−ルなどの公知のフィルムが使用できる。ポリエチレンナフタレート、ポリアミドなどの高強度支持体を用いることが好ましい。また必要に応じ、磁性面と非磁性支持体面の表面粗さを変えるため特開平3−224127号公報に示されるような積層タイプの支持体を用いることもできる。これらの支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理、などを行ってもよい。また、支持体としてアルミまたはガラス基板を適用することも可能である。
中でもポリエステル支持体(以下、単にポリエステルという)が好ましい。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどジカルボン酸およびジオールからなるポリエステルが好ましい。
主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。
また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。
これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールおよび/または1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
中でも、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。特に好ましくはポリエチレン−2,6−ナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルである。
なお、ポリエステルとしては、二軸延伸されていているものでもよく、2層以上の積層体であってもよい。
また、ポリエステルは、さらに他の共重合成分が共重合されていてもよいし、他のポリエステルが混合されていてもよい。これらの例としては、先に挙げたジカルボン酸成分やジオール成分、またはそれらから成るポリエステルを挙げることができる。
ポリエステルには、フィルム時におけるデラミネーションを起こし難くするため、スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、ポリオキシアルキレン基を有するジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、ポリオキシアルキレン基を有するジオールなどを共重合してもよい。
中でもポリエステルの重合反応性やフィルムの透明性の点で、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、4−ナトリウムスルホフタル酸、4−ナトリウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸およびこれらのナトリウムを他の金属(例えばカリウム、リチウムなど)やアンモニウム塩、ホスホニウム塩などで置換した化合物またはそのエステル形成性誘導体、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体およびこれらの両端のヒドロキシ基を酸化するなどしてカルボキシル基とした化合物などが好ましい。この目的で共重合される割合としては、ポリエステルを構成するジカルボン酸を基準として、0.1〜10モル%が好ましい。
また、耐熱性を向上する目的では、ビスフェノール系化合物、ナフタレン環またはシクロヘキサン環を有する化合物を共重合することができる。これらの共重合割合としては、ポリエステルを構成するジカルボン酸を基準として、1〜20モル%が好ましい。
上記ポリエステルは、従来公知のポリエステルの製造方法に従って製造できる。例えば、ジカルボン酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させる直接エステル化法、初めにジカルボン酸成分としてジアルキルエステルを用いて、これとジオール成分とでエステル交換反応させ、これを減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去することにより重合させるエステル交換法を用いることができる。この際、必要に応じてエステル交換触媒あるいは重合反応触媒を用い、または耐熱安定剤を添加することができる。
また、合成時の各過程で着色防止剤、酸化防止剤、結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、粘度調節剤、消泡透明化剤、帯電防止剤、pH調整剤、染料、顔料、反応停止剤などの各種添加剤の1種または2種以上を添加させてもよい。
また、ポリエステルにはフィラーが添加されてもよい。フィラーの種類としては、球形シリカ、コロイダルシリカ、酸化チタン、アルミナ等の無機粉体、架橋ポリスチレン、シリコーン樹脂等の有機フィラー等が挙げられる。
また、支持体を高剛性化するために、これらの材料を高延伸したり、表面に金属や半金属または、これらの酸化物の層を設けることもできる。
本発明において、非磁性支持体の厚みは、好ましくは3〜80μm、より好ましくは3〜50μm、特に好ましくは3〜10μmである。また、前述のように磁性層表面の光沢度を所望の範囲とするためには、非磁性支持体として平滑性の高いものを使用することが好ましい。支持体表面の中心面平均粗さ(Ra)は、好ましくは6nm以下、より好ましくは4nm以下、更に好ましくは0.8nm〜4nmである。このRaは、WYKO社製HD2000で測定される値とする。
また、非磁性支持体の長手方向および幅方向のヤング率は、6.0GPa以上が好ましく、7.0GPa以上がさらに好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、前記の非磁性支持体の少なくとも一方の面に強磁性粉末と結合剤とを含む磁性層を有するものであり、非磁性支持体と磁性層との間に実質的に非磁性である非磁性層(下層、非磁性下層ともいう)を有するものである。
磁性層
磁性層に含まれる強磁性粉末としては、強磁性金属粉末、六方晶フェライト粉末、窒化鉄粉末等を挙げることができる。
(i)六方晶フェライト粉末
六方晶フェライト粉末には、例えば、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライト、それらのCo等の置換体等がある。より具体的には、マグネトプランバイト型のバリウムフェライトおよびストロンチウムフェライト、スピネルで粒子表面を被覆したマグネトプランバイト型フェライト、さらに一部にスピネル相を含有したマグネトプランバイト型のバリウムフェライトおよびストロンチウムフェライト等が挙げられる。その他、所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、B、Ge、Nbなどの原子を含んでもかまわない。一般には、Co−Zn、Co−Ti、Co−Ti−Zr、Co−Ti−Zn、Ni−Ti−Zn、Nb−Zn−Co、Sb−Zn−Co、Nb−Zn等の元素を添加したものを使用できる。また原料・製法によっては特有の不純物を含有するものもある。
信号を記録する領域の長さが、磁性層に含まれる磁性体の大きさと近い大きさになると明瞭な磁化遷移状態を作り出すことができないため、実質的に記録することが不可能となる。このため記録波長が短波長化するほど磁性体サイズは小さくすべきである。本発明では、短波長領域において良好な記録を行うため、六方晶フェライト粉末として、平均板径10〜40nmのものを使用することが好ましい。より好ましくは15〜30nm、更に好ましくは20〜25nmの範囲である。
六方晶フェライトの平均板状比[(板径/板厚)の算術平均]は1〜15であることが好ましく、1〜7であることが更に好ましい。平均板状比が1〜15であれば、磁性層で高充填性を保持しながら充分な配向性が得られ、かつ、粒子間のスタッキングによるノイズ増大を抑えることができる。また、上記粒子サイズの範囲内におけるBET法による比表面積(SBET)は、40m2/g以上が好ましく、40〜200m2/gであることがさらに好ましく、60〜100m2/gであることが最も好ましい。
六方晶フェライト粉末の粒子板径・板厚の分布は、通常狭いほど好ましい。粒子板径・板厚は、粒子TEM写真より、例えば500粒子を無作為に測定することで測定できる。粒子板径・板厚の分布は正規分布ではない場合が多いが、計算して平均サイズに対する標準偏差で表すと、σ/平均サイズ=0.1〜1.0である。粒子サイズ分布をシャープにするには、一般に、粒子生成反応系をできるだけ均一にすると共に、生成した粒子に分布改良処理を施すことも行われている。例えば、酸溶液中で超微細粒子を選別的に溶解する方法等も知られている。
一般に、抗磁力(Hc)は、143.3〜318.5kA/m(1800〜4000Oe)程度の六方晶フェライト粉末は作製可能である。六方晶フェライト粉末の抗磁力(Hc)は、好ましくは159.2〜238.9kA/m(2000〜3000Oe)、更に好ましくは191.0〜214.9kA/m(2200〜2800Oe)である。
抗磁力(Hc)は、粒子サイズ(板径・板厚)、含有元素の種類と量、元素の置換サイト、粒子生成反応条件等により制御できる。
六方晶フェライト粉末の飽和磁化(σs)によっても磁性層のφmを制御することができる。一般に、飽和磁化(σs)は高い方が好ましいが、微粒子になるほど小さくなる傾向がある。本発明では、所望のφmを考慮して六方晶フェライト粉末の飽和磁化(σs)を選択することが好ましく、具体的には、30〜80A・m2/kg(emu/g)の範囲とすることが好ましい。飽和磁化(σs)の改良のため、マグネトプランバイトフェライトにスピネルフェライトを複合することや、含有元素の種類と添加量の選択等がよく知られている。またW型六方晶フェライトを用いることも可能である。磁性体を分散する際に磁性体粒子表面を分散媒、ポリマーに合った物質で処理することも行われている。表面処理剤としては、無機化合物および有機化合物が使用される。主な化合物としてはSi、Al、P等の酸化物または水酸化物、各種シランカップリング剤、各種チタンカップリング剤が挙げられる。添加量は磁性体の質量に対して、通常0.1〜10質量%である。磁性体のpHも分散に重要である。通常4〜12程度で分散媒、ポリマーにより最適値があるが、一般に、媒体の化学的安定性、保存性から6〜11程度が選択される。磁性体に含まれる水分も分散に影響する。分散媒、ポリマーにより最適値があるが通常0.01〜2.0%が選ばれる。
六方晶フェライト粉末の製法としては、(1)酸化バリウム・酸化鉄・鉄を置換する金属酸化物とガラス形成物質として酸化ホウ素等を所望のフェライト組成になるように混合した後溶融し、急冷して非晶質体とし、次いで再加熱処理した後、洗浄・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得るガラス結晶化法、(2)バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後100℃以上で液相加熱した後洗浄・乾燥・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る水熱反応法、(3)バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後乾燥し1100℃以下で処理し、粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る共沈法等があるが、本発明は製法を選ばない。六方晶フェライト粉末は、必要に応じ、Al、Si、Pまたはこれらの酸化物などで表面処理を施してもかまわない。その量は強磁性粉末に対し、例えば0.1〜10質量%であり表面処理を施すと脂肪酸などの潤滑剤の吸着が100mg/m2以下になり好ましい。六方晶フェライト粉末には可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Srなどの無機イオンを含む場合がある。これらは、本質的に無い方が好ましいが、200ppm以下であれば特に特性に影響を与えることは少ない。
(ii)窒化鉄粉末
本発明における窒化鉄粉末とは、少なくともFe162相を含む磁性粉末を意味するが、Fe162相以外の窒化鉄の相を含まないことが好ましい。これは、窒化鉄(Fe4NやFe3N相)の結晶磁気異方性は1×105erg/cc(1×10-2J/cc)程度であるのに対し、Fe162相は2×106〜7×106erg/cc(2×10-1〜7×10-1J/cc)の高い結晶磁気異方性を有するからである。これにより、微粒子化した際にも高い保磁力を維持することができる。この高い結晶磁気異方性は、Fe162相の結晶構造に起因する。結晶構造は、N原子がFeの八面体格子間位置に規則的に入った体心正方晶であり、N原子が格子に入る際の歪が、高い結晶磁気異方性の発生原因と考えられる。Fe162相の磁化容易軸は窒化により伸びたC軸である。
Fe162相を含む粒子の形状は粒状ないし楕円状であることが好ましい。さらに好ましくは球状である。これは、立方晶であるα−Feの等価な3方向のうち一方向が窒化により選ばれc軸(磁化容易軸)となるため、粒子形状が針状であれば、磁化容易軸が短軸方向、長軸方向にある粒子が混在することになり好ましくないからである。従って、長軸長/短軸長の軸比の平均値は好ましくは、2以下(例えば、1〜2)であり、より好ましくは1.5以下(例えば、1〜1.5)である。
一般に粒径は窒化する前の鉄粒子の粒径で決まり、単分散であることが好ましい。これは一般的には、単分散の方が、媒体ノイズが下がるためである。そして、Fe162を主相とする窒化鉄系磁性粉末の粒径は、通常、鉄粒子の粒径で決まり、鉄粒子の粒径分布は単分散であることが好ましい。これは粒子サイズの大きい粒子と小さい粒子で窒化の度合いが異なり、磁気特性が異なるためである。この意味からも窒化鉄系磁性粉末の粒径分布は単分散であることが好ましい。
窒化鉄の平均粒径は、5〜30nmであることが好ましく、5〜25nmであることがより好ましく、8〜15nmであることがより一層好ましく、9〜11nmであることがさらに好ましい。これは、粒径が小さくなると熱揺らぎの影響が大きくなり、超常磁性化し、磁気記録媒体に適さなくなるからである。また、磁気粘性のためヘッドで高速記録する際の保磁力が高くなり、記録しづらくなるからである。一方、粒径が大きいと、飽和磁化を小さくすることが出来ないため、記録時の保磁力が高くなりすぎ、記録をすることが困難となるからである。また、粒子サイズが大きいと、磁気記録媒体としたときの粒子性のノイズが高くなるからである。なお、本発明における窒化鉄の平均粒径は、Fe162相の平均粒径をいい、Fe162粒子の表面に層が形成されている場合は、当該層を含まないFe162粒子そのものについての平均サイズをいうものとする。なお、Fe162粒子は、その表面に酸化防止層等の層を任意に有することができる。
また、窒化鉄の粒径分布は、単分散であることが好ましくい。これは一般的には、単分散の方が、媒体ノイズが下がるためである。粒径の変動係数は15%以下(好ましくは2〜15%)であり、さらに好ましくは、10%以下(好ましくは2〜10%)である。 粒径および粒径の変動係数は、カーボン膜を貼り付けたCu200メッシュに希釈した合金ナノ粒子を載せて乾燥させ、TEM(日本電子製1200EX)で10万倍で撮影したネガを粒径測定器(カールツァイス製KS−300)で測定される算術平均粒径から算出することができる。
Fe162相を含む粒子において、鉄に対する窒素の含有量は、1.0〜20.0原子%が好ましく、さらに好ましくは5.0〜18.0原子%、より好ましくは8.0〜15.0原子%である。これは、窒素が少なすぎると、Fe162相の形成量が少なくなるからであり、保磁力増加は窒化による歪に起因しており、窒素が少なくなると保磁力が低くなるからである。窒素が多すぎると、Fe162相は準安定相であるため、分解して安定相である他の窒化物となり、この結果、飽和磁化が過度に低下するからである。
なお、本発明において「粒径の変動係数」とは、円相当径での粒径分布の標準偏差を求め、これを平均粒径で除したものを意味する。また、「組成の変動係数」とは、粒径の変動係数と同様に、合金ナノ粒子の組成分布の標準偏差を求め、これを平均組成で除したものを意味する。本発明においては、このような値を100倍して%表示とする。
平均粒径および粒径の変動係数は、カーボン膜を貼り付けたCu200メッシュに希釈した合金ナノ粒子を載せて乾燥させ、TEM(日本電子製1200EX)で10万倍で撮影したネガを粒径測定器(カールツァイス製KS−300)で測定される算術平均粒径から算出することができる。
Fe162を主相とする窒化鉄粉末は、その表面が酸化皮膜で覆われていることが好ましい。これは、微粒子Fe162は酸化しやすく、窒素雰囲気でのハンドリングを要するからである。
酸化皮膜は、希土類元素および/またはシリコン、アルミニウムから選ばれる元素を含んでいることが好ましい。これにより、従来の鉄、Coを主成分とするいわゆるメタル粒子と同様の粒子表面を有することとなり、メタル粒子を取り扱っていた工程との親和性が高くなるからである。希土類元素は、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy、Gdが好ましく用いられ、特にYが分散性の観点から好ましく用いられる。
また、シリコンおよびアルミニウム以外に、必要に応じて、ホウ素やリンを含有させてもよい。さらに、炭素、カルシウム、マグネシウム、ジルコニウム、バリウム、ストロンチウムなども有効な元素として含有させてもよい。これらの他の元素と希土類元素および/またはシリコン、アルミニウムとを併用することにより、より高い形状維持性と分散性能を得ることができる。
表面化合物層の組成については、鉄に対する希土類元素あるいはホウ素、シリコン、アルミニウム、リンの総含有量が0.1〜40.0原子%が好ましく、さらに好ましくは1.0〜30.0原子%、より好ましくは3.0〜25.0原子%である。これらの元素が少なすぎると、表面化合物層の形成が困難となり、磁性粉末の磁気異方性が減少するだけでなく、酸化安定性に劣る傾向がある。またこれらの元素が多すぎると、飽和磁化の過度な低下が起こりやすい。
酸化皮膜の厚みは1〜5nmが好ましく、2〜3nmがより好ましい。この範囲より薄いと酸化安定性が低くなりやすく、厚いと実質的に粒子サイズが小さくなりにくくなることがあるからである。
Fe162を主相とする窒化鉄粉末の磁気特性としては、その保磁力(Hc)が、79.6〜318.4kA/m(1,000〜4,000Oe)であることが好ましく、159.2〜278.6kA/m(2000〜3500Oe)であることがより好ましい。さらに好ましくは、197.5〜237kA/m(2500〜3000Oe)である。これは、Hcが低いと、例えば面内記録の場合、隣の記録ビットの影響を受けやすくなり、高記録密度に適さなくなることがあるからであり、高すぎると記録されづらくなることがあるからである。
窒化鉄粉末の「Ms・V」は、5.2×10-16〜6.5×10-16であることが好ましい。なお、「Ms・V」における飽和磁化Msは、例えば、振動式磁気測定器(VSM)を用い測定することができる。また、体積Vは透過型電子顕微鏡(TEM)を用い粒子観察を行い、Fe162相の粒径を求め、体積換算することにより求めることができる。
窒化鉄粉末の飽和磁化は80〜160Am2/kg(80〜160emu/g)が好ましく、80〜120Am2/kg(80〜120emu/g)がより好ましい。これは低すぎると、信号が弱くなることがあり、高すぎると例えば面内記録の場合、隣の記録ビットに影響を及ぼしやすくなり、高記録密度に適さなくなるためである。角型比としては、0.6〜0.9が好ましい。
また、窒化鉄粉末は、BET比表面積が40〜100m2/gであることが好ましい。これは、BET比表面積が小さすぎると、粒子サイズが大きくなり、磁気記録媒体に適用すると粒子性ノイズが高くなり、また磁性層の表面平滑性が低下して、再生出力が低下しやすいからである。また、BET比表面積が大きすぎると、Fe162相を含む粒子が凝集しやすくなり均一な分散物を得ることが難しく、平滑な表面を得ることが難しくなるからである。
本発明において使用可能な窒化鉄は、公知の方法で合成することができ、また市販品として入手可能なものもある。本発明において使用可能な窒化鉄の詳細については、例えば特開2007−36183号公報等を参照することができる。
(iii)強磁性金属粉末
磁性層に使用する強磁性金属粉末は、特に制限されるべきものではないが、α−Feを主成分とする強磁性金属粉末を用いることが好ましい。これらの強磁性金属粉末には、所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ca、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでもかまわない。特に、Al、Si、Ca、Y、Ba、La、Nd、Co、Ni、Bの少なくとも1つをα−Fe以外に含むことが好ましく、Co、Y、Alの少なくとも一つを含むことがさらに好ましい。Coの含有量はFeに対して0原子%以上40原子%以下であることが好ましく、さらに好ましくは15原子%以上35原子%以下、より好ましくは20原子%以上35原子%以下である。Yの含有量は1.5原子%以上12原子%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3原子%以上10原子%以下、特に好ましくは4原子%以上9原子%以下である。Alは1.5原子%以上12原子%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3原子%以上10原子%以下、より好ましくは4原子%以上9原子%以下である。
これらの強磁性金属粉末には、あとで述べる分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前にあらかじめ処理を行ってもかまわない。具体的には、特公昭44−14090号公報、特公昭45−18372号公報、特公昭47−22062号公報、特公昭47−22513号公報、特公昭46−28466号公報、特公昭46−38755号公報、特公昭47−4286号公報、特公昭47−12422号公報、特公昭47−17284号公報、特公昭47−18509号公報、特公昭47−18573号公報、特公昭39−10307号公報、特公昭46−39639号公報、米国特許第3026215号、同3031341号、同3100194号、同3242005号、同3389014号などに記載されている。
強磁性金属粉末には少量の水酸化物、または酸化物が含まれてもよい。強磁性金属粉末は公知の製造方法により得られたものを用いることができ、下記の方法を挙げることができる。複合有機酸塩(主としてシュウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元する方法、酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFeまたはFe−Co粒子などを得る方法、金属カルボニル化合物を熱分解する方法、強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還元剤を添加して還元する方法、金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて微粉末を得る方法などである。このようにして得られた強磁性金属粉末には、公知の徐酸化処理、すなわち有機溶剤に浸漬したのち乾燥させる方法、有機溶剤に浸漬したのち酸素含有ガスを送り込んで表面に酸化膜を形成したのち乾燥させる方法、有機溶剤を用いず酸素ガスと不活性ガスの分圧を調整して表面に酸化皮膜を形成する方法のいずれを施すこともできる。
磁性層に使用される強磁性金属粉末のBET法による比表面積は、45〜100m2/gであることが好ましく、より好ましくは50〜80m2/gである。45m2/g以上であれば低ノイズであり、100m2/g以下であれば良好な表面性を得ることができる。強磁性金属粉末の結晶子サイズは80〜180Åであることが好ましく、より好ましくは100〜180Å、更に好ましくは110〜175Åである。強磁性金属粉末の長軸長は0.01μm以上0.15μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.02μm以上0.15μm以下であり、さらに好ましくは0.03μm以上0.12μm以下である。強磁性金属粉末の針状比は3以上15以下であることが好ましく、さらには5以上12以下であることが好ましい。強磁性金属粉末のσsは100〜180A・m2/kgであることが好ましく、より好ましくは110〜170A・m2/kg、更に好ましくは125〜160A・m2/kgである。強磁性金属粉末の抗磁力は2000〜3500Oe(160〜280kA/m)であることが好ましく、更に好ましくは2200〜3000Oe(176〜240kA/m)である。
強磁性金属粉末の含水率は0.01〜2%とすることが好ましい。結合剤の種類によって強磁性金属粉末の含水率は最適化することが好ましい。強磁性金属粉末のpHは、用いる結合剤との組合せにより最適化することが好ましい。その範囲は4〜12とすることができ、好ましくは6〜10である。強磁性金属粉末は必要に応じ、Al、Si、Pまたはこれらの酸化物などで表面処理を施してもかまわない。その量は強磁性金属粉末に対し0.1〜10%とすることができ、表面処理を施すと脂肪酸などの潤滑剤の吸着量が100mg/m2以下になり好ましい。強磁性金属粉末は可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Srなどの無機イオンを含む場合がある。これらは、本質的に無い方が好ましいが、200ppm以下であれば特性に影響を与えることは少ない。また、本発明に用いられる強磁性金属粉末は空孔が少ないほうが好ましく、その値は20容量%以下、さらに好ましくは5容量%以下である。また形状については先に示した粒子サイズについての特性を満足すれば針状、米粒状、紡錘状のいずれでもかまわない。強磁性金属粉末自体のSFDは小さい方が好ましく、0.8以下であることが好ましい。強磁性金属粉末のHcの分布を小さくすることが好ましい。尚、SFDが0.8以下であると、電磁変換特性が良好で、出力が高く、また、磁化反転がシャープでピークシフトも少なくなり、高密度デジタル磁気記録に好適である。Hcの分布を小さくするためには、強磁性金属粉末においてはゲ−タイトの粒度分布を良くする、焼結を防止するなどの方法がある。
本発明の磁気記録媒体の磁性層、非磁性層、および任意に設けられるバック層の結合剤、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他については、それらに関する公知技術を互いに適宜適用することができる。特に、結合剤量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関する公知技術が適用できる。
結合剤
結合剤としては従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を使用することができる。熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1,000〜200,000、好ましくは10,000〜100,000、重合度が約50〜1000程度のものを使用することができる。先に説明したように非磁性層に熱硬化性樹脂を使用しサーモ処理を行うことにより、非磁性層の耐溶剤性を高め、磁性層と非磁性層との界面の粗さを低減することにより表面光沢度をコントロールすることも可能である。
このような例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクルリ酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタ−ル、ビニルエーテル、等を構成単位として含む重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としてはフェノ−ル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混合物等が挙げられる。これらの樹脂については朝倉書店発行の「プラスチックハンドブック」に詳細に記載されている。また、公知の電子線硬化型樹脂を各層に使用することも可能である。これらの例とその製造方法については特開昭62−256219号公報に詳細に記載されている。以上の樹脂は単独または組合せて使用できるが、好ましいものとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコ−ル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体、から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂の組合せ、またはこれらにポリイソシアネ−トを組み合わせたものがあげられる。
ポリウレタン樹脂の構造はポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用できる。ここに示したすべての結合剤について、より優れた分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、−COOM、−SO3 M、−OSO3 M、−P=O(OM)2 、−O−P=O(OM)2(以上につきMは水素原子、またはアルカリ金属塩基)、−OH、−NR2 、−N+3(Rは炭化水素基)、エポキシ基、−SH、−CN、などから選ばれる少なくともひとつ以上の極性基を共重合または付加反応で導入したものを用いることが好ましい。このような極性基の量は、例えば10-1〜10-8モル/gであり、好ましくは10-2〜10-6モル/gである。
本発明に用いられるこれらの結合剤の具体的な例としてはダウケミカル社製VAGH、VYHH、VMCH、VAGF、VAGD,VROH、VYES、VYNC、VMCC、XYHL、XYSG、PKHH、PKHJ、PKHC、PKFE、日信化学工業社製MPR−TA、MPR−TA5、MPR−TAL、MPR−TSN、MPR−TMF、MPR−TS、MPR−TM、MPR−TAO、電気化学社製1000W、DX80、DX81、DX82、DX83、100FD、日本ゼオン社製MR−104、MR−105、MR110、MR100、MR555、400X−110A、日本ポリウレタン社製ニッポランN2301、N2302、N2304、大日本インキ社製パンデックスT−5105、T−R3080、T−5201、バーノックD−400、D−210−80、クリスボン6109,7209,東洋紡社製バイロンUR8200,UR8300、UR−8700、RV530,RV280、大日精化社製ダイフェラミン4020、5020、5100、5300、9020、9022、7020、三菱化学社製MX5004、三洋化成社製サンプレンSP−150、旭化成社製サランF310、F210などが挙げられる。
非磁性層、磁性層には、非磁性粉末または強磁性粉末に対し、例えば5〜50質量%の範囲、好ましくは10〜30質量%の範囲で結合剤を用いることができる。塩化ビニル系樹脂を用いる場合は5〜30質量%、ポリウレタン樹脂を用いる場合は2〜20質量%、ポリイソシアネートは2〜20質量%の範囲でこれらを組み合わせて用いることが好ましい。但し、例えば、微量の脱塩素によりヘッド腐食が起こる場合は、ポリウレタンのみまたはポリウレタンとイソシアネートのみを使用することも可能である。ポリウレタンを用いる場合はガラス転移温度が−50〜150℃、好ましくは0℃〜100℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は0.05〜10kg/mm2(0.49〜98MPa)、降伏点は0.05〜10kg/mm2(0.49〜98MPa)のものを用いることが好ましい。
ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート等を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン社製コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートMTL、武田薬品社製タケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202、住友バイエル社製デスモジュ−ルL、デスモジュ−ルIL、デスモジュ−ルN、デスモジュ−ルHL、等がありこれらを単独または硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合せで各層とも用いることができる。
磁性層には、必要に応じて添加剤を加えることができる。添加剤としては、研磨剤、潤滑剤、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、溶剤、カーボンブラックなどを挙げることができる。これら添加剤としては、例えば、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基を持つシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、ポリフェニルエーテル、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、フェネチルホスホン酸、α−メチルベンジルホスホン酸、1−メチル−1−フェネチルホスホン酸、ジフェニルメチルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ベンジルフェニルホスホン酸、α−クミルホスホン酸、トルイルホスホン酸、キシリルホスホン酸、エチルフェニルホスホン酸、クメニルホスホン酸、プロピルフェニルホスホン酸、ブチルフェニルホスホン酸、ヘプチルフェニルホスホン酸、オクチルフェニルホスホン酸、ノニルフェニルホスホン酸等の芳香族環含有有機ホスホン酸およびそのアルカリ金属塩、オクチルホスホン酸、2−エチルヘキシルホスホン酸、イソオクチルホスホン酸、イソノニルホスホン酸、イソデシルホスホン酸、イソウンデシルホスホン酸、イソドデシルホスホン酸、イソヘキサデシルホスホン酸、イソオクタデシルホスホン酸、イソエイコシルホスホン酸等のアルキルホスホン酸およびそのアルカリ金属塩、リン酸フェニル、リン酸ベンジル、リン酸フェネチル、リン酸α−メチルベンジル、リン酸1−メチル−1−フェネチル、リン酸ジフェニルメチル、リン酸ビフェニル、リン酸ベンジルフェニル、リン酸α−クミル、リン酸トルイル、リン酸キシリル、リン酸エチルフェニル、リン酸クメニル、リン酸プロピルフェニル、リン酸ブチルフェニル、リン酸ヘプチルフェニル、リン酸オクチルフェニル、リン酸ノニルフェニル等の芳香族リン酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、リン酸オクチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸イソオクチル、リン酸イソノニル、リン酸イソデシル、リン酸イソウンデシル、リン酸イソドデシル、リン酸イソヘキサデシル、リン酸イソオクタデシル、リン酸イソエイコシル等のリン酸アルキルエステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキルスルホン酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ステアリン酸ブチル、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、エルカ酸等の炭素数10〜24の不飽和結合を含んでも分岐していても良い一塩基性脂肪酸およびこれらの金属塩、またはステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ラウリル酸ブチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレート等の炭素数10〜24の不飽和結合を含んでも分岐していても良い一塩基性脂肪酸と、炭素数2〜22の不飽和結合を含んでも分岐していても良い1〜6価アルコール、炭素数12〜22の不飽和結合を含んでも分岐していても良いアルコキシアルコールまたはアルキレンオキサイド重合物のモノアルキルエーテルのいずれか一つとからなるモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステルまたは多価脂肪酸エステル、炭素数2〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミンなどが使用できる。また、上記炭化水素基以外にもニトロ基およびF、Cl、Br、CF3、CCl3、CBr3等の含ハロゲン炭化水素等炭化水素基以外の基が置換したアルキル基、アリール基、アラルキル基を持つものでもよい。
また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフエノールエチレンオキサイド付加体等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルホン酸、硫酸エステル基等の酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸またはリン酸エステル類、アルキルベタイン型等の両性界面活性剤等も使用できる。これらの界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されている。
上記潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも純粋ではなく主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物等の不純分が含まれても構わない。これらの不純分は30質量%以下が好ましく、さらに好ましくは10質量%以下である。
これらの添加物の具体例としては、例えば、日本油脂社製:NAA−102、ヒマシ油硬化脂肪酸、NAA−42、カチオンSA、ナイミーンL−201、ノニオンE−208、アノンBF、アノンLG、竹本油脂社製:FAL−205、FAL−123、新日本理化社製:エヌジエルブOL、信越化学社製:TA−3、ライオン社製:アーマイドP、ライオン社製:デュオミンTDO、日清オイリオ社製:BA−41G、三洋化成社製:プロフアン2012E、ニューポールPE61、イオネットMS−400等が挙げられる。
また、磁性層には、必要に応じてカーボンブラックを添加することができる。磁性層で使用可能なカーボンブラックとしては、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を挙げることができる。比表面積は5〜500m2/g、DBP吸油量は10〜400ml/100g、粒子径は5〜300nm、pHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlが好ましい。
カーボンブラックの具体的な例としては、キャボット社製BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、905、800、700、VULCAN XC−72、旭カーボン社製#80、#60、#55、#50、#35、三菱化学社製#2400B、#2300、#900、#1000、#30、#40、#10B、コロンビアンカーボン社製CONDUCTEX SC、RAVEN150、50、40、15、RAVEN−MT−P、ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製ケッチェンブラックECなどが挙げられる。カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用したりしてもかまわない。また、カーボンブラックを磁性層塗布液に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは単独または組み合せで使用することができる。カーボンブラックを使用する場合、強磁性粉末の質量に対して0.1〜30質量%で用いることが好ましい。カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。したがって本発明で使用されるこれらのカーボンブラックは、磁性層および非磁性層でその種類、量、組み合せを変え、粒子サイズ、吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性を基に目的に応じて使い分けることはもちろん可能であり、むしろ各層で最適化すべきものである。磁性層で使用できるカーボンブラックは、例えば「カーボンブラック便覧」カーボンブラック協会編、を参考にすることができる。
研磨剤
研磨剤としてはα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素チタンカ−バイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主としてモ−ス硬度6以上の公知の材料を単独または組合せて使用することができる。また、これらの研磨剤同士の複合体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。これらの研磨剤には主成分以外の化合物または元素が含まれる場合もあるが主成分が90%以上であれば効果にかわりはない。これら研磨剤の粒子サイズは0.01〜2μmが好ましく、特に電磁変換特性を高めるためには、その粒度分布が狭い方が好ましい。また耐久性を向上させるには必要に応じて粒子サイズの異なる研磨剤を組み合わせたり、単独の研磨剤でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることも可能である。タップ密度は0.3〜2g/cc、含水率は0.1〜5%、pHは2〜11、比表面積は1〜30m2/gが好ましい。研磨剤の形状は針状、球状、サイコロ状、板状のいずれでもよいが、形状の一部に角を有するものが研磨性が高く好ましい。具体的には住友化学社製AKP−12、AKP−15、AKP−20、AKP−30、AKP−50、HIT−20、HIT−30、HIT−55、HIT−60、HIT−70、HIT−80、HIT−100、レイノルズ社製ERC−DBM、HP−DBM、HPS−DBM、不二見研磨剤社製WA10000、上村工業社製UB20、日本化学工業社製G−5、クロメックスU2、クロメックスU1、戸田工業社製TF100、TF140、イビデン社製ベータランダムウルトラファイン、昭和鉱業社製B−3などが挙げられる。これらの研磨剤は必要に応じ非磁性層に添加することもできる。非磁性層に添加することで表面形状を制御したり、研磨剤の突出状態を制御したりすることができる。これら磁性層、非磁性層の添加する研磨剤の粒径、量はむろん最適値に設定すべきものである。
有機溶剤としては、公知のものが使用できる。有機溶媒としては、具体的には、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等を使用することができる。
これら有機溶媒は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分は30質量%以下が好ましく、さらに好ましくは10質量%以下である。本発明で用いる有機溶媒は磁性層と非磁性層でその種類は同じであることが好ましい。その添加量は変えてもかまわない。非磁性層に表面張力の高い溶媒(シクロヘキサノン、ジオキサンなど)を用い塗布の安定性を上げる、具体的には上層溶剤組成の算術平均値が非磁性層溶剤組成の算術平均値を下回らないことが肝要である。分散性を向上させるためにはある程度極性が強い方が好ましく、溶剤組成の内、誘電率が15以上の溶剤が50質量%以上含まれることが好ましい。また、溶解パラメータは8〜11であることが好ましい。
本発明で使用されるこれらの分散剤、潤滑剤、界面活性剤は、磁性層、さらに後述する非磁性層でその種類、量を必要に応じて使い分けることができる。例えば、無論ここに示した例のみに限られるものではないが、分散剤は極性基で吸着または結合する性質を有しており、磁性層では主に強磁性金属粉末の表面に、また非磁性層では主に非磁性粉末の表面に前記の極性基で吸着または結合し、例えば、一度吸着した有機リン化合物は、金属または金属化合物等の表面から脱着し難いと推察される。したがって、強磁性金属粉末表面または非磁性粉末表面は、アルキル基、芳香族基等で被覆されたような状態になるので、該強磁性金属粉末または非磁性粉末の結合剤成分に対する親和性が向上し、さらに強磁性金属粉末あるいは非磁性粉末の分散安定性を改善することができる。また、潤滑剤としては遊離の状態で存在するため非磁性層、磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い、表面へのにじみ出しを制御する、沸点や極性の異なるエステル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、界面活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添加量を非磁性層で多くして潤滑効果を向上させるなどが考えられる。また本発明で用いられる添加剤のすべてまたはその一部は、磁性層または非磁性層用の塗布液の製造時のいずれの工程で添加してもよい。例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。
非磁性層
次に非磁性層に関する詳細な内容について説明する。本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に非磁性粉末と結合剤を含む非磁性層を有する。非磁性層に使用できる非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などが挙げられる。
具体的には二酸化チタン等のチタン酸化物、酸化セリウム、酸化スズ、酸化タングステン、ZnO、ZrO2、SiO2、Cr23、α化率90〜100%のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、α−酸化鉄、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、2硫化モリブデン、酸化銅、MgCO3、CaCO3、BaCO3、SrCO3、BaSO4、炭化珪素、炭化チタンなどが単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。好ましいものは、α−酸化鉄、酸化チタンである。
非磁性粉末の形状は、針状、球状、多面体状、板状のいずれでもあってもよい。非磁性粉末の結晶子サイズは、4nm〜500nmが好ましく、40〜100nmがさらに好ましい。結晶子サイズが4nm〜500nmの範囲であれば、分散が困難になることもなく、また好適な表面粗さを有するため好ましい。これら非磁性粉末の平均粒径は、5nm〜500nmが好ましいが、必要に応じて平均粒径の異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くしたりして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましい非磁性粉末の平均粒径は、10〜200nmである。5nm〜500nmの範囲であれば、分散も良好で、かつ好適な表面粗さを有するため好ましい。
非磁性粉末の比表面積は、例えば1〜150m2/gであり、好ましくは20〜120m2/gであり、さらに好ましくは50〜100m2/gである。比表面積が1〜150m2/gの範囲内にあれば、好適な表面粗さを有し、かつ、所望の結合剤量で分散できるため好ましい。ジブチルフタレート(DBP)を用いた吸油量は、例えば5〜100ml/100g、好ましくは10〜80ml/100g、さらに好ましくは20〜60ml/100gである。比重は、例えば1〜12、好ましくは3〜6である。タップ密度は、例えば0.05〜2g/ml、好ましくは0.2〜1.5g/mlである。タップ密度が0.05〜2g/mlの範囲であれば、飛散する粒子が少なく操作が容易であり、また装置にも固着しにくくなる傾向がある。非磁性粉末のpHは2〜11であることが好ましく、6〜9の間が特に好ましい。pHが2〜11の範囲にあれば、高温、高湿下または脂肪酸の遊離により摩擦係数が大きくなることを防ぐことができる。非磁性粉末の含水率は、例えば0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%、さらに好ましくは0.3〜1.5質量%である。含水量が0.1〜5質量%の範囲であれば、分散も良好で、分散後の塗料粘度も安定するため好ましい。強熱減量は、20質量%以下であることが好ましく、強熱減量が小さいものが好ましい。
また、非磁性粉末が無機粉体である場合には、モース硬度は4〜10のものが好ましい。モース硬度が4〜10の範囲であれば耐久性を確保することができる。非磁性粉末のステアリン酸吸着量は、好ましくは1〜20μmol/m2であり、さらに好ましくは2〜15μmol/m2である。非磁性粉末の25℃での水への湿潤熱は、200〜600erg/cm2(200〜600mJ/m2)の範囲にあることが好ましい。また、この湿潤熱の範囲にある溶媒を使用することができる。100〜400℃での表面の水分子の量は1〜10個/100Åが適当である。水中での等電点のpHは、3〜9の間にあることが好ましい。これらの非磁性粉末の表面には表面処理が施されることによりAl23、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb23、ZnOが存在することが好ましい。特に分散性に好ましいのはAl23、SiO2、TiO2、ZrO2であるが、さらに好ましいのはAl23、SiO2、ZrO2である。これらは組み合わせて使用してもよいし、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いてもよいし、先ずアルミナで処理した後にその表層をシリカで処理する方法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。
非磁性層に用いられる非磁性粉末の具体的な例としては、例えば、昭和電工製ナノタイト、住友化学製HIT−100、ZA−G1、戸田工業社製DPN−250、DPN−250BX、DPN−245、DPN−270BX、DPB−550BX、DPN−550RX、石原産業製酸化チタンTTO−51B、TTO−55A、TTO−55B、TTO−55C、TTO−55S、TTO−55D、SN−100、MJ−7、α−酸化鉄E270、E271、E300、チタン工業製STT−4D、STT−30D、STT−30、STT−65C、テイカ製MT−100S、MT−100T、MT−150W、MT−500B、T−600B、T−100F、T−500HDなどが挙げられる。堺化学製FINEX−25、BF−1、BF−10、BF−20、ST−M、同和鉱業製DEFIC−Y、DEFIC−R、日本アエロジル製AS2BM、TiO2P25、宇部興産製100A、500A、チタン工業製Y−LOPおよびそれを焼成したものが挙げられる。特に好ましい非磁性粉末は二酸化チタンとα−酸化鉄である。
非磁性層には非磁性粉末と共に、カーボンブラックを混合し表面電気抵抗を下げ、光透過率を小さくすると共に、所望のマイクロビッカース硬度を得ることができる。非磁性層のマイクロビッカース硬度は、通常25〜60kg/mm2(245〜588MPa)、好ましくはヘッド当りを調整するために、30〜50kg/mm2(294〜490MPa)であり、薄膜硬度計(日本電気製HMA−400)を用いて、稜角80度、先端半径0.1μmのダイヤモンド製三角錐針を圧子先端に用いて測定することができる。詳細は「薄膜の力学的特性評価技術」リアライズ社を参考にできる。光透過率は一般に波長900nm程度の赤外線の吸収が3%以下、たとえばVHS用磁気テープでは0.8%以下であることが規格化されている。このためにはゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。
非磁性層に用いられるカーボンブラックの比表面積は、例えば100〜500m2/g、好ましくは150〜400m2/g、DBP吸油量は、例えば20〜400ml/100g、好ましくは30〜200ml/100gである。カーボンブラックの粒子径は、例えば5〜80nm、好ましくは10〜50nm、さらに好ましくは10〜40nmである。カーボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlが好ましい。
非磁性層に用いることができるカーボンブラックの具体的な例としては、キャボット社製BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、800、880、700、VULCAN XC−72、三菱化学社製#3050B、#3150B、#3250B、#3750B、#3950B、#950、#650B、#970B、#850B、MA−600、コロンビアカーボン社製CONDUCTEX SC、RAVEN8800、8000、7000、5750、5250、3500、2100、2000、1800、1500、1255、1250、ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製ケッチェンブラックECなどが挙げられる。
また、カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわない。また、カーボンブラックを塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは上記無機粉末に対して50質量%を越えない範囲、非磁性層総質量の40%を越えない範囲で使用できる。これらのカーボンブラックは単独、または組み合せで使用することができる。本発明の非磁性層で使用できるカーボンブラックは例えば「カーボンブラック便覧」カーボンブラック協会編、を参考にすることができる。
また非磁性層には目的に応じて有機質粉末を添加することもできる。このような有機質粉末としては、例えば、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂も使用することができる。その製法は、特開昭62−18564号公報、特開昭60−255827号公報に記されているようなものが使用できる。
非磁性層の結合剤、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は、磁性層のそれが適用できる。特に、結合剤量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。
また、本発明の磁気記録媒体は、下塗り層を設けてもよい。下塗り層を設けることによって支持体と磁性層または非磁性層との接着力を向上させることができる。接着性向上のための下塗り層としては、溶剤への可溶性のポリエステル樹脂を使用することができる。
また、本発明では非磁性支持体表面の粗さをマスキングして平滑な非磁性層を形成するために、非磁性支持体と非磁性層との間に平滑化層を設けることもできる。平滑化層は、例えば非磁性支持体の表面に、ポリマーを含有した塗布液を塗布、乾燥して形成するか、分子中に放射線硬化官能基を有する化合物(放射線硬化型化合物)を含有した塗布液を塗布し、その後、放射線を照射し、塗布液を硬化させて形成することができる。
前記放射線硬化型化合物としては、分子量が200〜2000の範囲にあるものを使用することが好ましい。分子量が上記範囲であると、比較的低分子量であるので、カレンダー工程において塗膜が流動し易く成形性が高く、平滑な塗膜を形成することができる。
放射線硬化型化合物として好ましいものは、分子量200〜2000の2官能のアクリレート化合物であり、更に好ましいものはビスフェノールA、ビスフェノールF、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールFやこれらのアルキレンオキサイド付加物にアクリル酸、メタクリル酸を付加させたものである。
前記放射線硬化型化合物は、ポリマー型の結合剤と併用されてもよい。併用される結合剤としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を挙げることができる。また、硬化処理に使用する放射線として、紫外線を用いる場合は、重合開始剤を併用することが好ましい。重合開始剤としては、公知の光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤および光アミン発生剤等を用いることができる。
また、放射線硬化型化合物は、非磁性層の耐溶剤性向上のために非磁性層に用いることもできる。
層構成
本発明の磁気記録媒体の厚み構成は、非磁性支持体の厚みが前述のように、好ましくは3〜80μm、より好ましくは3〜50μm、特に好ましくは3〜10μmである。また、非磁性支持体と非磁性層の間に下塗り層を設ける場合、下塗り層の厚みは、例えば0.01〜0.8μm、好ましくは0.02〜0.6μmである。
磁性層の厚みは、前述のように、30〜130nmであり、好ましくは30〜120nmであり、さらに好ましくは30〜100nmであり、特に好ましくは30〜80nmである。また、磁性層の厚み変動率(σ/δ)は±50%以内が好ましく、さらに好ましくは±30%以内である。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
非磁性層の厚みは、例えば0.1〜3.0μmであり、0.3〜2.0μmであることが好ましく、0.5〜1.5μmであることが更に好ましい。なお、本発明の磁気記録媒体の非磁性層は、実質的に非磁性であればその効果を発揮するものであり、例えば不純物として、あるいは意図的に少量の磁性体を含んでいても、本発明の効果を示すものであり、本発明の磁気記録媒体と実質的に同一の構成とみなすことができる。なお、実質的に同一とは、非磁性層の残留磁束密度が10mT以下または抗磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であることを示し、好ましくは残留磁束密度と抗磁力を持たないことを意味する。
バック層
本発明の磁気記録媒体には、非磁性支持体の非磁性層および磁性層を有する面とは反対の面にバック層を設けることが好ましい。バック層には、カーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好ましい。バック層形成のための結合剤、各種添加剤は、磁性層や非磁性層の処方を適用することができる。バック層の厚みは、0.9μm以下が好ましく、0.1〜0.7μmが更に好ましい。
製造方法
磁性層、非磁性層またはバック層を形成するための塗布液を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる強磁性粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨材、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、磁性層塗布液、非磁性層塗布液またはバック層塗布液を分散させるには、ガラスビーズを用いることができる。このようなガラスビーズは、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のものを使用することができる。非磁性層と磁性層の界面変動を抑制するには、非磁性層表面を平滑にすることが有効である。その為に、非磁性層塗布液の分散条件を磁性層塗布液の分散条件に対し強化する手法を用いることが出来る。すなわち、分散メディアに関しては高比重で小径のビーズを、充填度を高めて使用することが有効である。また、分散時間は生産適正のある範囲内で、長時間の分散をすることが望ましい。
磁気記録媒体の製造方法では、例えば、走行下にある非磁性支持体の表面に、非磁性層塗布液を所定の膜厚となるように塗布して非磁性層を形成し、次いでその上に、磁性層塗布液を所定の膜厚となるようにして磁性層を塗布して形成する。前述のように、非磁性層平滑化のために磁性層塗布液塗布前の非磁性層表面に平滑化処理を施すこともできる。非磁性層平滑化の為には、非磁性層に対してカレンダー処理を行うことが出来る。平滑度については、後述のカレンダー圧力、カレンダーロール温度、カレンダーロール材質ならびに処理速度を調整することにより、所望の平滑度に設定できる。さらに、カレンダー処理工程後の非磁性層を、サーモ処理して熱硬化を促進することもできる。磁性層塗布前に非磁性層の硬化を促進することにより、非磁性層の耐溶剤性が向上し非磁性層と磁性層の界面の乱れを抑制することが出来る。サーモ処理の条件は、温度については、例えば35〜100℃であり、好ましくは50〜80℃である。またサーモ処理時間は、例えば12〜72時間、好ましくは24〜48時間である。
また、複数の磁性層塗布液を逐次または同時に重層塗布してもよく、非磁性層塗布液と磁性層塗布液とを逐次または同時に重層塗布してもよい。上記磁性層塗布液または非磁性層塗布液を塗布する塗布機としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。これらについては例えば(株)総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。
磁性層塗布液の塗布層は、磁気テープの場合、磁性層塗布液の塗布層中に含まれる強磁性粉末にコバルト磁石やソレノイドを用いて磁場配向処理してもかまわない。ディスクの場合、配向装置を用いず無配向でも十分に等方的な配向性が得られることもあるが、コバルト磁石を斜めに交互に配置すること、ソレノイドで交流磁場を印加するなど公知のランダム配向装置を用いることが好ましい。等方的な配向とは強磁性金属粉末の場合、一般的には面内2次元ランダムが好ましいが、垂直成分をもたせて3次元ランダムとすることもできる。また異極対向磁石など公知の方法を用い、垂直配向とすることで円周方向に等方的な磁気特性を付与することもできる。特に高密度記録を行う場合は垂直配向が好ましい。また、スピンコートを用いて円周配向することもできる。
乾燥風の温度、風量、塗布速度を制御することで塗膜の乾燥位置を制御できる様にすることが好ましく、塗布速度は20m/分〜1000m/分、乾燥風の温度は60℃以上が好ましい。また磁石ゾーンに入る前に適度の予備乾燥を行うこともできる。
このようにして得られた塗布原反は、一旦巻き取りロールにより巻き取られ、しかる後、この巻き取りロールから巻き出され、次いでカレンダー処理に施され得る。
カレンダー処理には、例えばスーパーカレンダーロールなどを利用することができる。カレンダー処理によって、表面平滑性が向上するとともに、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上するので、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得ることができる。カレンダー処理する工程は、塗布原反の表面の平滑性に応じて、カレンダー処理条件を変化させながら行うことが好ましい。
塗布原反は、概ね、巻き取りロールの芯側から外側に向かって光沢度が低下し、長手方向において品質にばらつきがあることがある。なお光沢度は、表面粗さRaと相関があることが知られている。したがって、カレンダー処理工程で、カレンダー処理条件、例えばカレンダーロール圧力を変化させず一定に保持すると、塗布原反の巻き取りによって生じた長手方向における平滑性の相違について何ら対策が講じられていないことになり、最終製品も長手方向に品質のばらつきが生じる。
したがって、カレンダー処理工程で、カレンダー処理条件、例えばカレンダーロール圧力を変化させ、塗布原反の巻き取りによって生じた長手方向における平滑性の相違を相殺することのが好ましい。具体的には、巻き取りロールから巻き出された塗布原反の芯側から外側に向かってカレンダーロールの圧力を低下させていくことが好ましい。本発明者らの検討によれば、カレンダーロールの圧力を下げると光沢度は低下する(平滑性が低下する)ことが見出されている。これにより、塗布原反の巻き取りによって生じた長手方向における平滑性の相違が相殺され、長手方向において品質にばらつきのない最終製品を得ることができる。
なお、前記ではカレンダーロールの圧力を変化させる例について説明したが、これ以外にも、カレンダーロール温度、カレンダーロール速度、カレンダーロールテンションを制御することによって行うことができる。塗布型媒体の特性を考慮すると、カレンダーロール圧力、カレンダーロール温度を制御することが好ましい。カレンダーロール圧力を低くする、あるいはカレンダーロール温度を低くすることにより、最終製品の表面平滑性は低下する。逆に、カレンダーロール圧力を高くする、あるいはカレンダーロール温度を高くすることにより、最終製品の表面平滑性は高まる。
これとは別に、カレンダー処理工程後に得られた磁気記録媒体を、サーモ処理して熱硬化を進行させることもできる。このようなサーモ処理は、磁性層塗布液の配合処方により適宜決定すればよいが、例えば35〜100℃であり、好ましくは50〜80℃である。またサーモ処理時間は、12〜72時間、好ましくは24〜48時間である。
カレンダーロールとしてはエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性プラスチックロールを使用することができる。また金属ロールで処理することもできる。
カレンダー処理条件としては、カレンダーロールの温度を、例えば60〜100℃の範囲、好ましくは70〜100℃の範囲、特に好ましくは80〜100℃の範囲とすることができ、圧力は、例えば100〜500kg/cm(98〜490kN/m)の範囲であり、好ましくは200〜450kg/cm(196〜441kN/m)の範囲で、特に好ましくは300〜400kg/cm(294〜392kN/m)の範囲とすることができる。また非磁性層表面に対するカレンダー処理も、上記条件で行うことが好ましい。
本発明の磁気記録媒体における磁性層は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定した中心面平均表面粗さRaが、好ましくは0.5〜2.5nmであり、より好ましくは0.8〜2.0nm、更に好ましくは1.0〜1.5nmである。
また磁性層の十点平均粗さRzは30nm以下が好ましい。これらは支持体のフィラーによる表面性のコントロールやカレンダ処理のロール表面形状などでコントロールすることができる。カールは±3mm以内とすることが好ましい。
得られた磁気記録媒体は、裁断機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。裁断機としては、特に制限はないが、回転する上刃(雄刃)と下刃(雌刃)の組が複数設けられたものが好ましく、適宜、スリット速度、噛み合い深さ、上刃(雄刃)と下刃(雌刃)の周速比(上刃周速/下刃周速)、スリット刃の連続使用時間等を選定することができる。
[物理特性]
磁性層の抗磁力(Hc)は、143.2〜318.3kA/m(1800〜4000Oe)が好ましく、159.2〜278.5kA/m(2000〜3500Oe)が更に好ましい。抗磁力の分布は狭い方が好ましく、SFDおよびSFDrは0.6以下、さらに好ましくは0.3以下である。
本発明の磁気記録媒体のヘッドに対する摩擦係数は、温度−10〜40℃、湿度0〜95%の範囲において、例えば0.50以下であり、好ましくは0.3以下である。また、表面固有抵抗は、好ましくは磁性面104〜108Ω/sq、帯電位は−500V〜+500V以内が好ましい。磁性層の0.5%伸びでの弾性率は、面内各方向で好ましくは0.98〜19.6GPa(100〜2000kg/mm2)、破断強度は、好ましくは98〜686MPa(10〜70kg/mm2)、磁気記録媒体の弾性率は、面内各方向で好ましくは0.98〜14.7GPa(100〜1500kg/mm2)、残留のびは、好ましくは0.5%以下、100℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は、好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.1%以下である。
磁性層のガラス転移温度(動的粘弾性測定装置(例えばレオバイブロン等)により、110Hzで測定した動的粘弾性測定の損失弾性率の極大点)は50〜180℃が好ましく、非磁性層のそれは0〜180℃が好ましい。損失弾性率は1×107〜8×108Pa(1×108〜8×109dyne/cm2)の範囲にあることが好ましく、損失正接は0.2以下であることが好ましい。損失正接が大きすぎると粘着故障が発生しやすい。これらの熱特性や機械特性は媒体の面内各方向において10%以内でほぼ等しいことが好ましい。
磁性層中に含まれる残留溶媒は、好ましくは100mg/m2以下、さらに好ましくは10mg/m2以下である。塗布層が有する空隙率は非磁性層、磁性層とも好ましくは40容量%以下、さらに好ましくは30容量%以下である。空隙率は高出力を果たすためには小さい方が好ましいが、目的によってはある値を確保した方が良い場合がある。例えば、繰り返し用途が重視されるディスク媒体では空隙率が大きい方が走行耐久性は好ましいことが多い。
本発明の磁気記録媒体は、目的に応じ非磁性層と磁性層でこれらの物理特性を変えることができる。例えば、磁性層の弾性率を高くし走行耐久性を向上させると同時に非磁性層の弾性率を磁性層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの当たりをよくすることができる。
本発明の磁気記録媒体は、先に説明したように短波長領域での記録再生特性に優れる。また、本発明の磁気記録媒体は、高密度記録された信号をAMRヘッドまたはGMRヘッド、好ましくはGMRヘッドにより再生する磁気記録再生システムに好適である。
通常、線記録密度を表す単位としては、一般にfciとbpiの2種類が使用されている。fciは1inchあたりのビット反転数で媒体上に物理的に記録した密度を表す。一方、bpiは、信号処理も含めた1inchあたりのbit数でシステムに依存する。このため媒体の純粋な性能評価としては、通常fciを使用する。本発明の磁気記録媒体に信号を記録する際の好ましい線記録密度の範囲は、100〜400kfciである。さらには175kfci〜400kfciである。実際に使用されるシステムにおいては信号処理に依存するため一義的に決定されないが、目安としてbpiの0.5〜1倍のfciでの性能が反映される。このため200kbpi〜800kbpi、さらに350kbpi〜800kbpiの範囲が特に好ましい。
再生ヘッドのシールド間距離(sh−sh)は、例えば0.1μm〜0.3μm、再生トラック幅は、例えば0.5μm〜10.0μmである。GMRヘッドは、薄膜磁気ヘッドへの磁束の大きさに応答する磁気抵抗効果を利用するものであり、誘導型ヘッドでは得られない高い再生出力が得られるという利点を有する。これは主として、GMRヘッドの再生出力が、磁気抵抗の変化に基づくものであるため、媒体とヘッドとの相対速度に依存しないことに起因する。特にGMRヘッドは、AMRヘッドと比較して読み出し感度がほぼ3倍高い。このようなGMRヘッドを再生ヘッドとして用いることで、短波長領域で高密度記録された信号を高感度に再生することが可能となる。
また、前記再生ヘッドとして、高感度AMRヘッドを用いることもできる。ヘッドの感度の指標としては、一般に磁気抵抗係数が用いられる。通常使用される磁気抵抗素子は、厚み200〜300nmで磁気抵抗係数が2%程度であるのに対し、高感度AMRヘッドは、2〜5%程度である。高感度AMRヘッドを使用する場合にも、本発明の磁気記録媒体に記録された信号を高感度再生することができ、高いSNRを得ることができる。
本発明の磁気記録媒体がテープ状磁気記録媒体の場合、再生ヘッドとしてGMRヘッドを用いることで、従来に比べ短波長領域で記録した信号であっても高いSNRでの再生が可能となる。従って、本発明の磁気記録媒体は、より高密度記録用のコンピュータデータ記録用の磁気テープやディスク状の磁気記録媒体として最適である。
[磁気信号再生システム、磁気信号再生方法]
更に、本発明は、本発明の磁気記録媒体および再生ヘッドを含む磁気信号再生システ、ならびに、本発明の磁気記録媒体に記録された磁気信号を再生ヘッドを用いて再生する磁気信号再生方法、に関する。前記再生ヘッドは、MRヘッドであることが好ましく、GMRヘッドであることが更に好ましい。本発明の磁気信号再生システムおよび磁気信号再生方法において使用される磁気記録媒体、再生ヘッド等の詳細は、先に説明した通りである。
前述のように、本発明の磁気記録媒体によれば、短波長領域において優れた記録再生特性を得ることができ、更にGMRヘッドよって高感度な読み出しが可能となる。かかる磁気記録媒体を使用する本発明の磁気信号再生システムおよび磁気信号再生方法によれば、高密度記録された信号を良好なSNRで再生することができる。
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。なお、ここに示す成分、割合、操作、順序等は本発明の精神から逸脱しない範囲で変更し得るものであり、下記の実施例に制限されるべきものではない。また、実施例中の「部」特に示さない限り質量部を示す。
[実施例1〜15、比較例1〜5、7〜10]
磁性層塗布液1(強磁性粉末:六方晶フェライト粉末(表1中「BaFe」と記載))の調製
強磁性板状六方晶フェライト粉末 100部
酸素を除く組成(モル比):Ba/Fe/Co/Zn=1/9/0.2/1
Hc:160kA/m(2000Oe)
平均板径、平均板状比:別紙参照
BET比表面積:65m2/g
σs:49A・m2/kg(49emu/g)
ポリウレタン樹脂 15部
分岐側鎖含有ポリエステルポリオール/ジフェニルメタンジイソシアネート系
−SO3Na=400eq/ton
α−Al23(粒子サイズ0.15μm) 4部
板状アルミナ粉末 0.5部
ダイヤモンド粉末(平均粒径:60nm) 0.5部
カーボンブラック(平均粒径:20nm) 1部
シクロヘキサノン 110部
メチルエチルケトン 100部
トルエン 100部
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
磁性層塗布液2(強磁性粉末:強磁性金属粉末(表1中「MP」と記載))の調製
強磁性針状金属粉末 100部
組成:Fe/Co/Al/Y=62/25/5/8
表面処理層:Al23、Y23
Hc:167kA/m(2100Oe)
結晶子サイズ:9nm
平均長軸長:40nm
平均針状比:6
BET比表面積:80m2/g
σs:110A・m2/kg(110emu/g)
ポリウレタン樹脂 17部
分岐側鎖含有ポリエステルポリオール/ジフェニルメタンジイソシアネート系
−SO3Na=100eq/ton
フェニルホスホン酸 3部
α−Al23(粒子サイズ0.15μm) 5部
ダイヤモンド粉末(平均粒径:60nm) 1部
シクロヘキサノン 110部
メチルエチルケトン 100部
トルエン 100部
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
磁性層塗布液3(強磁性粉末:窒化鉄粉末)の調製
窒化鉄系磁性粉末(平均粒径:20nm) 100部
Hc:15.9kA/m(2000Oe)
BET比表面積:63m2/g
σs:100A・m2/kg(100emu/g)
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合樹脂 8部
(含有−SO3Na基:0.7×10-4当量/g)
ポリウレタン樹脂 25部
分岐側鎖含有ポリエステルポリオール/ジフェニルメタンジイソシアネート系
−SO3Na=400eq/ton
α−アルミナ(平均粒径:80nm) 5部
板状アルミナ粉末(平均粒径:50nm) 1部
ダイヤモンド粉末(平均粒径:80nm) 1部
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 1.5部
ミリスチン酸 1.5部
メチルエチルケトン 133部
トルエン 100部
ステアリン酸 1.5部
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製コロネートL) 4部
シクロヘキサノン 133部
トルエン 33部
非磁性塗布液の調製
非磁性無機質粉体 85部
α−酸化鉄
表面処理層:Al23、SiO2
平均長軸長:0.15μm
タップ密度:0.8
平均針状比:7
BET比表面積:52m2/g
pH8
DBP吸油量:33g/100g
カーボンブラック 15部
DBP吸油量:120ml/100g、pH:8
BET比表面積:250m2/g、揮発分:1.5%
塩化ビニル樹脂(日本ゼオン社製MR110) 10部
ポリレタン樹脂 10部
分岐側鎖含有ポリエステルポリオール/ジフェニルメタンジイソシアネート系
−SO3Na=120eq/ton
フェニルホスホン酸 3部
シクロヘキサノン 140部
メチルエチルケトン 170部
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
バック層塗布液の調製
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 40.5部
カーボンブラック(平均粒径:370nm) 0.5部
硫酸バリウム 4.05部
ニトロセルロース 28部
ポリウレタン樹脂(SO3Na基含有) 20部
シクロヘキサノン 100部
トルエン 100部
メチルエチルケトン 100部
上記の磁性層塗布液、非磁性層塗布液、バック層塗布液のそれぞれについて、各成分をオープンニーダーで240分間混練した後、ジルコニアビ−ス0.5mmを用いたサンドミルで、磁性層塗布液、非磁性層塗布液は、表1記載の時間、およびバック層塗布液は、6時間分散した。得られた分散液に3官能性低分子量ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン製コロネート3041)をそれぞれ4部加え、更に20分間撹拌混合したあと、0.5μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、各層形成用塗布液を調製した。
上記非磁性層塗布液を、乾燥後の厚さが1.5μmになるように厚さ5μmで中心線表面粗さが0.002μmのポリエチレンナフタレート支持体上に塗布し、スム−ジング処理(硬い板状の平滑なスムーザー(Ra≦2.5nm)を湿潤状態の表面に接触させ、せん断をかけた。処理有無は、表1の「平滑化処理」に記載)後、100℃で乾燥させ非磁性層原反を得た。また非磁性層原反の70℃、24時間の熱処理(処理有無は、表1の「下層熱処理」に記載)および金属ロ−ルからなる7段のカレンダーで速度100m/min、線圧350kg/cm(343kN/m)、温度100℃の条件でカレンダー処理(処理有無は、表1の「下層2R処理」に記載)を行った。
その後、非磁性層上に、乾燥後の厚さが表1記載の厚さとなるように磁性層塗布液1、2または3をウェット・オン・ドライ塗布し、スムージング処理(処理有無は、表1の「平滑化処理」に記載)後、100℃で乾燥させた。その後に更に、金属ロールのみから構成される7段のカレンダーで速度100m/min、線圧350kg/cm(343kN/m)、表1記載の温度(表1の「下層2R処理」に記載)で表面平滑化処理を行った後、1/2インチ幅にスリットして磁気テ−プを作製した。
[比較例6]
非磁性層塗布液を乾燥後の厚さが2μmになるように、また磁性層塗布液1を乾燥後の厚さが100nmになるように、厚さ5μmで中心線表面粗さが0.002μmのポリエチレンナフタレート支持体上に塗布速度200m/分で同時重層塗布を行い、5000G(0.5T)の磁力をもつ5mの同極対抗コバルト磁石ゾーン内に80℃の乾燥風を通過させ長手配向させた。その後金属ロールのみから構成される7段構成のカレンダで温度100℃にて処理を行い、1/2インチ幅にスリットして磁気テ−プを作製した。
〔測定方法〕
得られたテープ試料を以下の方法により測定、評価した。結果を表1に示す。
(1)磁性層の中心面平均表面粗さRaの測定
磁性層の中心面平均表面粗さRaは原子間力顕微鏡(AFM)を用いて以下の条件により求めた。
装置:日本Veeco社製 Nanoscope III
モード:AFMモード(コンタクトモード)
測定範囲:40μm角
スキャンライン:512*512
スキャンスピード:2Hz
スキャンの方向:テープの幅方向に平行な方向
(2)電磁変換特性の測定
電磁変換特性は、ドラムテスター(相対速度2m/sec)を用いて、以下の方法により測定した。
Bs=1.7T、Gap長0.2μmのライトヘッドを用い、線記録密度200kFCIの信号を記録し、GMRヘッド(再生トラック幅(Tw):2.0μm、sh−sh=0.16μm)で再生した。SNRは、200kFCI(記録波長254nm)の出力と0〜400kFCIの積分ノイズの比を測定することで求めた。
(3)光沢度
JISZ8741に準じ、入射角45°において屈折率1.567のガラス表面の鏡面光沢度を100%として光沢度計を用いて長手方向(テープ走行方向)に測定した。
Figure 2007294085
表1から、実施例1〜15は、比較例に比べてSNRが格段に優れていることが分かる。
これに対し、磁性層表面の光沢度が155%未満の比較例1、2、7〜10、磁性層厚が30〜130nmの範囲外の比較例4および5では、いずれもSNRが低下した。磁性層表面の光沢度が270%を超えている比較例3は、塗膜の耐久性に劣り、測定中に塗膜が削れて測定が出来なかった。比較例6は同時重層塗布のため、磁性層と非磁性層との界面の乱れから磁性層表面の光沢度の低下を生じている。その結果、十分なSNRが得られなかった。
本発明の磁気記録媒体は、高密度記録用磁気記録媒体として好適である。

Claims (10)

  1. 非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層ならびに強磁性粉末および結合剤を含む磁性層をこの順に有する磁気記録媒体であって、
    磁性層の厚さは30〜130nmの範囲であり、かつ
    磁性層表面の光沢度は155〜270%の範囲であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 磁性層の単位面積あたりの飽和磁束φmは5mT・μm以上20mT・μm以下である請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 磁性層表面の光沢度は、(5×φm+130)%以上270%以下である請求項2に記載の磁気記録媒体。
  4. 強磁性粉末は六方晶フェライト粉末である請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  5. 六方晶フェライト粉末は、平均板径が10〜40nmの範囲であり、かつ平均板比が1.5〜4.5の範囲である請求項4に記載の磁気記録媒体。
  6. 再生ヘッドとして巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッドを使用する磁気信号再生システムにおいて使用される請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体および再生ヘッドを含む磁気信号再生システム。
  8. 再生ヘッドは巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッドである請求項7に記載の磁気信号再生システム。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気記録媒体に記録された磁気信号を再生ヘッドを用いて再生する磁気信号再生方法。
  10. 再生ヘッドは巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッドである請求項9に記載の磁気信号再生方法。
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