JP2009087466A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高密度記録化を達成し得る磁気記録媒体を提供すること、より詳しくは、垂直磁気記録方式に好適な磁気記録媒体を提供すること。
【解決手段】非磁性支持体上に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層と強磁性粉末および結合剤を含む磁性層とをこの順に有する磁気記録媒体。前記強磁性粉末は、Fe162を主成分とし、平均板径が10〜35nmの範囲であり、かつ平均板状比が1.5〜4.5の範囲である板状窒化鉄粉末である。
【選択図】なし

Description

本発明は、磁気記録媒体に関するものであり、より詳しくは、短波長記録特性に優れる塗布型磁気記録媒体に関するものである。
近年、テラバイト級の情報を高速に伝達するための手段が著しく発達し、莫大な情報をもつ画像およびデータ転送が可能となった。このデータ転送技術の向上とともに、情報を記録、再生および保存するための記録再生装置および記録媒体には更なる高記録容量化が要求されている。
磁気テープに関しては、オーディオテープ、ビデオテープ、コンピューターテープなど種々の用途があり、特にデータバックアップ用テープの分野では、バックアップの対象となるハードディスクの大容量化に伴い、1巻当たり数10〜800GBの記録容量のものが商品化されている。また、1TBを超える大容量バックアップテープが提案されており、その高記録容量化は不可欠である。
高記録容量化のための磁気記録媒体製造面からのアプローチとして、磁性粉末の改良が検討されている。例えば、特許文献1には、六方晶マグネトプランバイト型フェライトを用いた磁気記録媒体が提案されている。また、特許文献2〜4には、Fe162を主成分とする粒状窒化鉄粉末を使用した磁気記録媒体が提案されている。
上記特許文献1に記載の六方晶マグネトプランバイト型フェライトは、磁性体の磁化が小さいという特徴を有するものの、更なる微粒子化を進めた場合、熱揺らぎによる記録の安定性に懸念がある。
これに対し、特許文献2〜4に記載のFe162を主成分とする窒化鉄粉末は、巨大磁気モーメントを有し飽和磁化が大きいため、高密度記録に有利である。
特開2005−129115号公報 WO03/79332 特開2004−47088号公報 特開2004−335019号公報
今後、更に高密度記録化を進めるためには、垂直磁気記録方式が有利であると考えられる。しかし、本発明者らの検討の結果、上記特許文献2〜4に記載の窒化鉄粉末では垂直配向により垂直方向の角型比(SQ)を高めることが困難であることが判明した。
そこで、本発明の目的は、高密度記録化を達成し得る磁気記録媒体を提供すること、より詳しくは、垂直磁気記録方式に好適な磁気記録媒体を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた。上記特許文献2〜4に記載の窒化鉄粉末は、表面酸化膜の影響を小さくするため磁性体形状が粒状である。しかし、粒状であるため磁場による配向を行ったとき磁気的な力が作用しても磁気的な回転力が発生しにくい。本発明者は、これが垂直配向を困難にしている理由であると考え更に検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、上記目的は、下記手段によって達成された。
[1]非磁性支持体上に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層と強磁性粉末および結合剤を含む磁性層とをこの順に有する磁気記録媒体であって、
前記強磁性粉末は、Fe162を主成分とし、平均板径が10〜35nmの範囲であり、かつ平均板状比が1.5〜4.5の範囲である板状窒化鉄粉末である磁気記録媒体。
[2]磁性層の垂直方向角型比は0.35以上である[1]に記載の磁気記録媒体。
[3]前記板状窒化鉄粉末は、143〜279kA/mの範囲の保磁力を有する[1]または[2]に記載の磁気記録媒体。
[4]前記板状窒化鉄粉末は、55〜110A・m2/kgの範囲の飽和磁化を有する[1]〜[3]のいずれかに記載の磁気記録媒体。
本発明によれば、垂直磁気記録方式に適した高密度記録用磁気記録媒体を提供することができる。
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層と強磁性粉末および結合剤を含む磁性層とをこの順に有し、上記強磁性粉末として、Fe162を主成分とし、平均板径が10〜35nmの範囲であり、かつ平均板状比が1.5〜4.5の範囲である板状窒化鉄粉末を含有する。
以下に、本発明の磁気記録媒体について、更に詳細に説明する。
磁性層
本発明の磁気記録媒体において、磁性層に含まれる強磁性粉末は、窒化鉄粉末である。窒化鉄粉末は、少なくとも鉄および窒素を構成元素として含み、希土類金属、アルミニウムおよびシリコンからなる群から選ばれる1種以上の元素を任意に含有し得る磁性粒子であり、巨大磁気モーメントを有し飽和磁化が大きいため高密度記録に有利である。本発明の磁気記録媒体は、高密度記録に有利な窒化鉄粉末の中でも上記粒子サイズを有し、Fe162を主成分とする板状窒化鉄粉末を磁性層に含む。窒化鉄粉末として板状粉末を使用することにより、従来の窒化鉄粒子では困難であった垂直配向を容易に実現することができる。
以下に、前記板状窒化鉄粒子がFe162を主成分とする点、およびその粒子サイズについて説明する。
前記板状窒化鉄粉末は、Fe162を主成分として含む。窒化鉄の結晶構造としては、Fe162、Fe3N、Fe4Nが知られている。中でも、Fe162は大きな保磁力を有し、磁気記録特性に優れるため、本発明ではFe162を主成分として含む窒化鉄粉末を用いる。本発明において、「Fe162を主成分として含む」とは、X線回折においてFe162相を示すプロファイルを示し、かつ鉄に対する窒素の含有量が7.0〜14原子%の範囲であることを意味する。窒素含有量は、蛍光X線分析法、X線電子分光法、窒素分析装置等によって測定することができる。
Fe162における鉄に対する窒素の割合は12.5原子%であり、鉄に対する窒素の含有量が7.0原子%以上12.5原子%未満であることは、Fe162とともに未窒化の鉄粒子が含まれることを意味し、12.5原子%を超え14.0原子%以下であることは、Fe162とともに少量の多窒化物が存在することを意味する。前記板状窒化鉄粉末は、鉄に対する窒素の含有量が10.0〜13.0原子%の範囲にあることが好ましく、Fe162に近い組成であることが更に好ましい。前記板状窒化鉄粉末に含まれる窒化鉄相は、Fe162相を主体とするものであれば、すべてをFe162相とする必要はなく、Fe162相とα−Fe相との混相としてもよく、またFe3N相、Fe4N相を含んでもよい。また、前記板状窒化鉄粉末は、コア部分(内層)として強磁性を示す窒化鉄相を有し、その外層に酸化防止層等の非磁性部分を有することもできる。
後述するように焼結防止のために被着処理が行われた窒化鉄粉末には、通常、希土類金属元素、アルミニウムおよびシリコンからなる群から選ばれる一種以上の元素が含まれる。上記元素の含有量が少なすぎると分散性向上効果が少なく、また還元時の形状維持効果が小さくなる。他方、多すぎると上記元素が未反応で残留した部分が多くなり、保磁力や飽和磁化が大きく低下することがあり、また分散工程、塗布工程等の媒体製造時に支障をきたす場合がある。以上の点を考慮すると、前記窒化鉄粉末における希土類元素、アルミニウムおよびシリコンの含有量の合計は、鉄に対して3〜30原子%であることが好ましく、5〜25原子%であることがより好ましい。
前記板状窒化鉄粉末は、平均板径が10〜35nmの範囲であり、平均板状比が1.5〜4.5の範囲である。平均板径が10nm未満では、十分な磁気特性を得ることができず、平均板径が35nmを超えると、表面平滑性に優れた磁性層を得ることが困難となり、電磁変換特性が劣化する。また、平均板状比が1.5未満では、粒子の配向性が劣り、平均板状比が4.5を超えると表面積が大きくなり飽和磁化を確保することが困難となる。前記板状窒化鉄計粒子の平均板径は、15〜30nmの範囲であることが好ましく、15〜25nmの範囲であることがより好ましい。また、平均板状比は、1.8〜4.0の範囲であることが好ましく、2.0〜3.5の範囲であることがより好ましい。また、ノイズ低減および飽和磁化確保の観点から、前記板状窒化鉄粉末の表面積は、BET比表面積として、30〜90m2/gであることが好ましく、35〜75m2/gであることがより好ましい。
本発明における粒子の平均板径とは、透過型電子顕微鏡(TEM)にて撮影した写真(例えば倍率500000倍)から測定される500個の粒子の板径の平均値をいうものとする。
また、平均板状比とは、上記方法により500個の粒子の板径および板厚を測定し、[(板径)/(板厚)]の平均値として求められる値をいうものとする。
なお、板状窒化鉄粉末が酸化被膜等の層を表面に有する場合、前記平均板径および平均板状比とは、酸化被膜等を含む粒子全体のサイズをいうものとする。
前記板状窒化鉄粉末の磁気特性については、飽和磁化(σs)は55〜110A・m2/kgの範囲であることが好ましい。σsが55A・m2/kg以上であれば、高強度の信号を得ることができ、110A・m2/kg以下であれば、面内記録時に隣接記録ビットに磁気的な影響を及ぼすことなく良好に記録を行うことができる。上記σsは、60〜105A・m2/kgの範囲であることがより好ましい。
また、前記板状窒化鉄粉末の保磁力(Hc)は、143〜279kA/m(1800〜3500Oe)であることが好ましい。Hcが143kA/m以上であれば、面内記録時に隣接記録ビットに磁気的な影響を及ぼすことなく良好に記録を行うことができ、279kA/m以下であれば高密度記録に適する。上記Hcは、より好ましくは160〜270kA/mの範囲である。
前記窒化鉄粉末は、例えば、板状のオキシ水酸化鉄を用い形状を保持させ強磁性金属粉とし、さらに低温窒化し粒子を徐酸化することで製造することができる。低温窒化により、準安定相であるFe162相を主成分とする窒化鉄粒子を得ることができる。原料として使用する板状オキシ水酸化鉄の粒子サイズにより、得られる窒化鉄粉末の粒子サイズを制御することができる。
原料として使用する板状のオキシ水酸化鉄は、例えば特開平3−97626号公報、特開平3−97626号公報、特開平11−21130号公報、特開平11−21131号公報等に記載の方法によって製造することができる。また、特開平8−96345号公報、特開平8−102035号公報等に記載の方法により製造される板状δ−FeOOHも使用可能である。
板状のオキシ水酸化鉄を用い形状を保持させ強磁性金属粉を得るためには、焼結防止技術を使用することができる。焼結防止処理としては、板状のオキシ水酸化鉄を水に分散し、粒子の表面に、希土類金属元素、アルミニウム、シリコン等の元素を被着処理する方法を用いることができる。この被着処理において、水酸化ナトリウムなどアルカリ金属水酸化物ではなくアンモニア水を使用すると、強磁性金属粉の焼結を効果的に防止することができるので好ましい。
必要に応じて上記焼結処理を行った後、脱水、アニール処理を行い、水素還元することにより、強磁性金属粉を得ることができる。還元温度が400℃以上であれば、粒子内を十分に還元することができるため、粒子内に残存する酸素により窒化処理速度が低下することを回避することができる。また、還元時に粒子間で焼結が起こることを防止するためには、還元温度を600℃以下とすることが好ましい。
次いで、得られた強磁性金属粉に対し、窒化処理を施す。前述のように低温窒化により準安定相であるFe162相を得ることができる。窒化温度が高すぎると窒化が過剰に促進され、Fe4NやFe3N相等の割合が増加し、十分な保磁力および飽和磁化を得ることが困難となる。但し、窒化処理温度が低すぎると窒化が十分に進まず保磁力増加効果が少ない。以上の観点から、窒化処理温度は100〜300℃の範囲とすることが好ましい。より好ましくは120〜200℃の範囲である。
上記窒化処理後、必要に応じて徐酸化処理を行うことにより、目的の板状窒化鉄粉末を得ることができる。低温窒化および窒化後の徐酸化処理の条件としては、例えば、特開平11−340023号公報、特開2000−277311号公報、特開2006−196115号公報に示された条件を適用することができる。窒化処理に使用するガス中の酸素量は数ppm以下であることが好ましい。
結合剤
本発明の磁気記録媒体は、磁性層および非磁性層を有し、任意にバックコート層を有し得る。磁性層、非磁性層、およびバックコート層の結合剤、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他の公知技術は、それらを互いに適宜適用することができる。特に、結合剤量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関する公知技術が適用できる。
結合剤としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を使用することができる。熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1,000〜200,000、好ましくは10,000〜100,000、重合度が約50〜1000程度のものを使用することができる。
このような例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクルリ酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエーテル、等を構成単位として含む重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂がある。また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシーポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンとポリイソシアネートの混合物等があげられる。これらの樹脂については朝倉書店発行の「プラスチックハンドブック」に詳細に記載されている。また、公知の電子線硬化型樹脂を各層に使用することも可能である。これらの例とその製造方法については特開昭62−256219号公報に詳細に記載されている。以上の樹脂は単独または組合せて使用できるが、好ましいものとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体、から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂の組合せ、またはこれらにポリイソシアネートを組み合わせたものが挙げられる。
ポリウレタン樹脂としては、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリカプロラクトンポリウレタンなど公知の構造のものが使用できる。ここに示したすべての結合剤について、より優れた分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、−COOM、−SO3 M、−OSO3 M、−P=O(OM)2 、−O−P=O(OM)2(以上につきMは水素原子、またはアルカリ金属塩基)、−OH、−NR2 、−N+3 (Rは炭化水素基)、エポキシ基、−SH、−CN、などから選ばれる少なくともひとつ以上の極性基を共重合または付加反応で導入したものを用いることが好ましい。このような極性基の量は、例えば10-1〜10-8モル/gであり、好ましくは10-2〜10-6モル/gである。
本発明に用いられるこれらの結合剤の具体的な例としてはダウケミカル社製VAGH、VYHH、VMCH、VAGF、VAGD、VROH、VYES、VYNC、VMCC、XYHL、XYSG、PKHH、PKHJ、PKHC、PKFE、日信化学工業社製MPR−TA、MPR−TA5、MPR−TAL、MPR−TSN、MPR−TMF、MPR−TS、MPR−TM、MPR−TAO、電気化学社製1000W、DX80、DX81、DX82、DX83、100FD、日本ゼオン社製MR−104、MR−105、MR110、MR100、MR555、400X−110A、日本ポリウレタン社製ニッポランN2301、N2302、N2304、大日本インキ社製パンデックスT−5105、T−R3080、T−5201、バーノックD−400、D−210−80、クリスボン6109、7209、東洋紡社製バイロンUR8200、UR8300、UR−8700、RV530、RV280、大日精化社製ダイフェラミン4020、5020、5100、5300、9020、9022、7020,三菱化学社製MX5004、三洋化成社製サンプレンSP−150、旭化成社製サランF310、F210などが挙げられる。
非磁性層、磁性層には、非磁性粉末または磁性粉末に対し、例えば5〜50質量%の範囲、好ましくは10〜30質量%の範囲で結合剤を用いることができる。塩化ビニル系樹脂を用いる場合は5〜30質量%、ポリウレタン樹脂を用いる場合は2〜20質量%、ポリイソシアネートは2〜20質量%の範囲でこれらを組み合わせて用いることが好ましい。但し、例えば、微量の脱塩素によりヘッド腐食が起こる場合は、ポリウレタンのみまたはポリウレタンとイソシアネートのみを使用することも可能である。ポリウレタンを用いる場合はガラス転移温度が−50〜150℃、好ましくは0℃〜100℃、破断伸びが100〜2000%、破断応力は0.05〜10kg/mm2(0.49〜98MPa)、降伏点は0.05〜10kg/mm2(0.49〜98MPa)のものを用いることが好ましい。
ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート等を使用することができる。これらのイソシアネート類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン社製コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートMTL、武田薬品社製タケネートD−102,タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202、住友バイエル社製デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN,デスモジュールHL、等がありこれらを単独または硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合せで各層とも用いることができる。
磁性層には、必要に応じて添加剤を加えることができる。添加剤としては、研磨剤、潤滑剤、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、溶剤、カーボンブラックなどを挙げることができる。これら添加剤としては、例えば、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基を持つシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコール、ポリフェニルエーテル、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、フェネチルホスホン酸、α−メチルベンジルホスホン酸、1−メチル−1−フェネチルホスホン酸、ジフェニルメチルホスホン酸、ビフェニルホスホン酸、ベンジルフェニルホスホン酸、α−クミルホスホン酸、トルイルホスホン酸、キシリルホスホン酸、エチルフェニルホスホン酸、クメニルホスホン酸、プロピルフェニルホスホン酸、ブチルフェニルホスホン酸、ヘプチルフェニルホスホン酸、オクチルフェニルホスホン酸、ノニルフェニルホスホン酸等の芳香族環含有有機ホスホン酸およびそのアルカリ金属塩、オクチルホスホン酸、2−エチルヘキシルホスホン酸、イソオクチルホスホン酸、イソノニルホスホン酸、イソデシルホスホン酸、イソウンデシルホスホン酸、イソドデシルホスホン酸、イソヘキサデシルホスホン酸、イソオクタデシルホスホン酸、イソエイコシルホスホン酸等のアルキルホスホン酸およびそのアルカリ金属塩、リン酸フェニル、リン酸ベンジル、リン酸フェネチル、リン酸α−メチルベンジル、リン酸1−メチル−1−フェネチル、リン酸ジフェニルメチル、リン酸ビフェニル、リン酸ベンジルフェニル、リン酸α−クミル、リン酸トルイル、リン酸キシリル、リン酸エチルフェニル、リン酸クメニル、リン酸プロピルフェニル、リン酸ブチルフェニル、リン酸ヘプチルフェニル、リン酸オクチルフェニル、リン酸ノニルフェニル等の芳香族リン酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、リン酸オクチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸イソオクチル、リン酸イソノニル、リン酸イソデシル、リン酸イソウンデシル、リン酸イソドデシル、リン酸イソヘキサデシル、リン酸イソオクタデシル、リン酸イソエイコシル等のリン酸アルキルエステルおよびそのアルカリ金属塩、アルキルスルホン酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、フッ素含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ステアリン酸ブチル、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、エルカ酸等の炭素数10〜24の不飽和結合を含んでも分岐していても良い一塩基性脂肪酸およびこれらの金属塩、またはステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ラウリル酸ブチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレート等の炭素数10〜24の不飽和結合を含んでも分岐していても良い一塩基性脂肪酸と、炭素数2〜22の不飽和結合を含んでも分岐していても良い1〜6価アルコール、炭素数12〜22の不飽和結合を含んでも分岐していても良いアルコキシアルコールまたはアルキレンオキサイド重合物のモノアルキルエーテルのいずれか一つとからなるモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステルまたは多価脂肪酸エステル、炭素数2〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミンなどが使用できる。また、上記炭化水素基以外にもニトロ基およびF、Cl、Br、CF3、CCl3、CBr3等の含ハロゲン炭化水素等炭化水素基以外の基が置換したアルキル基、アリール基、アラルキル基を持つものでもよい。
また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフエノールエチレンオキサイド付加体等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類等のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルホン酸、硫酸エステル基等の酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸またはリン酸エステル類、アルキルベタイン型等の両性界面活性剤等も使用できる。これらの界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されている。
上記潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも純粋ではなく主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物等の不純分が含まれても構わない。これらの不純分は30質量%以下が好ましく、さらに好ましくは10質量%以下である。
これらの添加物の具体例としては、例えば、日本油脂社製:NAA−102、ヒマシ油硬化脂肪酸、NAA−42、カチオンSA、ナイミーンL−201、ノニオンE−208、アノンBF、アノンLG、竹本油脂社製:FAL−205、FAL−123、新日本理化社製:エヌジエルブOL、信越化学社製:TA−3、ライオン社製:アーマイドP、ライオン社製:デュオミンTDO、日清オイリオ社製:BA−41G、三洋化成社製:プロフアン2012E、ニューポールPE61、イオネットMS−400等が挙げられる。
また、磁性層には、必要に応じてカーボンブラックを添加することができる。磁性層で使用可能なカーボンブラックとしては、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を挙げることができる。比表面積は5〜500m2/g、DBP吸油量は10〜400ml/100g、粒子径は5〜300nm、pHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlが好ましい。
カーボンブラックの具体的な例としては、キャボット社製BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、905、800、700、VULCAN XC−72、旭カーボン社製#80、#60、#55、#50、#35、三菱化学社製#2400B、#2300、#900、#1000、#30、#40、#10B、コロンビアンカーボン社製CONDUCTEX SC、RAVEN150、50、40、15、RAVEN−MT−P、ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製ケッチェンブラックECなどが挙げられる。カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用したりしてもかまわない。また、カーボンブラックを磁性塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは単独または組み合せで使用することができる。カーボンブラックを使用する場合、磁性体の質量に対して0.1〜30質量%で用いることが好ましい。カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。したがって本発明で使用されるこれらのカーボンブラックは、磁性層および非磁性層でその種類、量、組み合せを変え、粒子サイズ、吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性を基に目的に応じて使い分けることはもちろん可能であり、むしろ各層で最適化すべきものである。本発明の磁性層で使用できるカーボンブラックは、例えば「カーボンブラック便覧」カーボンブラック協会編、を参考にすることができる。
研磨剤
研磨剤としてはα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイアモンド、窒化珪素、炭化珪素チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主としてモース硬度6以上の公知の材料を単独または組合せて使用することができる。また、これらの研磨剤同士の複合体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。これらの研磨剤には主成分以外の化合物または元素が含まれる場合もあるが主成分が90%以上であれば効果にかわりはない。これら研磨剤の粒子サイズは0.01〜2μが好ましく、特に電磁変換特性を高めるためには、その粒度分布が狭い方が好ましい。また耐久性を向上させるには必要に応じて粒子サイズの異なる研磨剤を組み合わせたり、単独の研磨剤でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることも可能である。タップ密度は0.3〜2g/cc、含水率は0.1〜5%、pHは2〜11、比表面積は1〜30m2/gが好ましい。研磨剤の形状は針状、球状、サイコロ状、板状のいずれでもよいが、形状の一部に角を有するものが研磨性が高く好ましい。具体的には住友化学社製AKP−12、AKP−15、AKP−20、AKP−30、AKP−50、HIT−20、HIT−30、HIT−55、HIT−60、HIT−70、HIT−80、HIT−100、レイノルズ社製ERC−DBM、HP−DBM、HPS−DBM、不二見研磨剤社製WA10000、上村工業社製UB20、日本化学工業社製G−5、クロメックスU2、クロメックスU1、戸田工業社製TF100、TF140、イビデン社製ベータランダムウルトラファイン、昭和鉱業社製B−3などが挙げられる。これらの研磨剤は必要に応じ非磁性層に添加することもできる。非磁性層に添加することで表面形状を制御したり、研磨剤の突出状態を制御したりすることができる。これら磁性層、非磁性層の添加する研磨剤の粒径、量はむろん最適値に設定すべきものである。
有機溶剤としては、公知のものが使用できる。有機溶媒としては、具体的には、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等を使用することができる。
これら有機溶媒は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分は30質量%以下が好ましく、さらに好ましくは10質量%以下である。本発明で用いる有機溶媒は磁性層と非磁性層でその種類は同じであることが好ましい。その添加量は変えてもかまわない。非磁性層に表面張力の高い溶媒(シクロヘキサノン、ジオキサンなど)を用い塗布の安定性を上げる、具体的には上層溶剤組成の算術平均値が非磁性層溶剤組成の算術平均値を下回らないことが肝要である。分散性を向上させるためにはある程度極性が強い方が好ましく、溶剤組成の内、誘電率が15以上の溶剤が50質量%以上含まれることが好ましい。また、溶解パラメータは8〜11であることが好ましい。
本発明で使用されるこれらの分散剤、潤滑剤、界面活性剤は、磁性層、さらに後述する非磁性層でその種類、量を必要に応じて使い分けることができる。例えば、無論ここに示した例のみに限られるものではないが、分散剤は極性基で吸着または結合する性質を有しており、磁性層では主に窒化鉄粉末の表面に、また非磁性層では主に非磁性粉末の表面に前記の極性基で吸着または結合し、例えば、一度吸着した有機リン化合物は、金属または金属化合物等の表面から脱着し難いと推察される。したがって、窒化鉄粉末表面または非磁性粉末表面は、アルキル基、芳香族基等で被覆されたような状態になるので、該窒化鉄粉末または非磁性粉末の結合剤成分に対する親和性が向上し、さらに窒化鉄粉末あるいは非磁性粉末の分散安定性を改善することができる。また、潤滑剤としては遊離の状態で存在するため非磁性層、磁性層で融点の異なる脂肪酸を用い、表面へのにじみ出しを制御する、沸点や極性の異なるエステル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、界面活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添加量を非磁性層で多くして潤滑効果を向上させるなどが考えられる。また本発明で用いられる添加剤のすべてまたはその一部は、磁性層または非磁性層用の塗布液の製造時のいずれの工程で添加してもよい。例えば、混練工程前に強磁性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。
非磁性層
次に非磁性層に関する詳細な内容について説明する。本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末と結合剤を含む非磁性層を有する。非磁性層に使用できる非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などが挙げられる。
具体的には二酸化チタン等のチタン酸化物、酸化セリウム、酸化スズ、酸化タングステン、ZnO、ZrO2、SiO2、Cr23、α化率90〜100%のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、α−酸化鉄、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、2硫化モリブデン、酸化銅、MgCO3、CaCO3、BaCO3、SrCO3、BaSO4、炭化珪素、炭化チタンなどを単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。好ましいものは、α−酸化鉄、酸化チタンである。
非磁性粉末の形状は、針状、球状、多面体状、板状のいずれでもあってもよい。非磁性粉末の結晶子サイズは、4nm〜500nmが好ましく、40〜100nmがさらに好ましい。結晶子サイズが4nm〜500nmの範囲であれば、分散が困難になることもなく、また好適な表面粗さを有するため好ましい。これら非磁性粉末の平均粒径は、5nm〜500nmが好ましいが、必要に応じて平均粒径の異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くしたりして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましい非磁性粉末の平均粒径は、10〜200nmである。5nm〜500nmの範囲であれば、分散も良好で、かつ好適な表面粗さを有するため好ましい。
非磁性粉末の比表面積は、例えば1〜150m2/gであり、好ましくは20〜120m2/gであり、さらに好ましくは50〜100m2/gである。比表面積が1〜150m2/gの範囲内にあれば、好適な表面粗さを有し、かつ、所望の結合剤量で分散できるため好ましい。ジブチルフタレート(DBP)を用いた吸油量は、例えば5〜100ml/100g、好ましくは10〜80ml/100g、さらに好ましくは20〜60ml/100gである。比重は、例えば1〜12、好ましくは3〜6である。タップ密度は、例えば0.05〜2g/ml、好ましくは0.2〜1.5g/mlである。タップ密度が0.05〜2g/mlの範囲であれば、飛散する粒子が少なく操作が容易であり、また装置にも固着しにくくなる傾向がある。非磁性粉末のpHは2〜11であることが好ましく、6〜9の間が特に好ましい。pHが2〜11の範囲にあれば、高温、高湿下または脂肪酸の遊離により摩擦係数が大きくなることを防ぐことができる。非磁性粉末の含水率は、例えば0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%、さらに好ましくは0.3〜1.5質量%である。含水量が0.1〜5質量%の範囲であれば、分散も良好で、分散後の塗料粘度も安定するため好ましい。強熱減量は、20質量%以下であることが好ましく、強熱減量が小さいものが好ましい。
また、非磁性粉末が無機粉体である場合には、モース硬度は4〜10のものが好ましい。モース硬度が4〜10の範囲であれば耐久性を確保することができる。非磁性粉末のステアリン酸吸着量は、例えば1〜20μmol/m2であり、さらに好ましくは2〜15μmol/m2である。非磁性粉末の25℃での水への湿潤熱は、200〜600erg/cm2(200〜600mJ/m2)の範囲にあることが好ましい。また、この湿潤熱の範囲にある溶媒を使用することができる。100〜400℃での表面の水分子の量は1〜10個/100Åが適当である。水中での等電点のpHは、3〜9の間にあることが好ましい。これらの非磁性粉末の表面には表面処理が施されることによりAl23、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb23、ZnOが存在することが好ましい。特に分散性に好ましいものはAl23、SiO2、TiO2、ZrO2であり、さらに好ましいものはAl23、SiO2、ZrO2である。これらは組み合わせて使用してもよいし、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いてもよいし、先ずアルミナで処理した後にその表層をシリカで処理する方法、またはその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。
非磁性層に用いられる非磁性粉末の具体的な例としては、例えば、昭和電工製ナノタイト、住友化学製HIT−100、ZA−G1、戸田工業社製DPN−250、DPN−250BX、DPN−245、DPN−270BX、DPB−550BX、DPN−550RX、石原産業製酸化チタンTTO−51B、TTO−55A、TTO−55B、TTO−55C、TTO−55S、TTO−55D、SN−100、MJ−7、α−酸化鉄E270、E271、E300、チタン工業製STT−4D、STT−30D、STT−30、STT−65C、テイカ製MT−100S、MT−100T、MT−150W、MT−500B、T−600B、T−100F、T−500HD、堺化学製FINEX−25、BF−1、BF−10、BF−20、ST−M、同和鉱業製DEFIC−Y、DEFIC−R、日本アエロジル製AS2BM、TiO2P25、宇部興産製100A、500A、チタン工業製Y−LOPおよびそれを焼成したものが挙げられる。特に好ましい非磁性粉末は二酸化チタンとα−酸化鉄である。
非磁性層には非磁性粉末と共に、カーボンブラックを混合し表面電気抵抗を下げ、光透過率を小さくすると共に、所望のマイクロビッカース硬度を得ることができる。非磁性層のマイクロビッカース硬度は、通常25〜60kg/mm2(245〜588MPa)、好ましくはヘッド当りを調整するために、30〜50kg/mm2(294〜490MPa)であり、薄膜硬度計(日本電気製HMA−400)を用いて、稜角80度、先端半径0.1μmのダイヤモンド製三角錐針を圧子先端に用いて測定することができる。詳細は「薄膜の力学的特性評価技術」リアライズ社を参考にできる。光透過率は一般に波長900nm程度の赤外線の吸収が3%以下、たとえばVHS用磁気テープでは0.8%以下であることが規格化されている。このためにはゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。
非磁性層に用いられるカーボンブラックの比表面積は、例えば100〜500m2/g、好ましくは150〜400m2/g、DBP吸油量は、例えば20〜400ml/100g、好ましくは30〜200ml/100gである。カーボンブラックの粒子径は、例えば5〜80nm、好ましくは10〜50nm、さらに好ましくは10〜40nmである。カーボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlが好ましい。
非磁性層に用いることができるカーボンブラックの具体的な例としては、キャボット社製BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、800、880、700、VULCAN XC−72、三菱化学社製#3050B、#3150B、#3250B、#3750B、#3950B、#950、#650B、#970B、#850B、MA−600、コロンビアカーボン社製CONDUCTEX SC、RAVEN8800、8000、7000、5750、5250、3500、2100、2000、1800、1500、1255、1250、ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製ケッチェンブラックECなどが挙げられる。
また、カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかまわない。また、カーボンブラックを塗布液に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは上記無機粉末に対して50質量%を越えない範囲、非磁性層総質量の40%を越えない範囲で使用できる。これらのカーボンブラックは単独、または組み合せで使用することができる。本発明の非磁性層で使用できるカーボンブラックは例えば「カーボンブラック便覧」カーボンブラック協会編、を参考にすることができる。
また非磁性層には目的に応じて有機質粉末を添加することもできる。このような有機質粉末としては、例えば、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂も使用することができる。その製法は、特開昭62−18564号公報、特開昭60−255827号公報に記されているようなものが使用できる。
非磁性層の結合剤、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は、磁性層のそれが適用できる。特に、結合剤量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。
また、本発明の磁気記録媒体には、下塗り層を設けてもよい。下塗り層を設けることによって支持体と磁性層または非磁性層との接着力を向上させることができる。密着性向上のための下塗り層としては、溶剤への可溶性のポリエステル樹脂を使用することができる。また後述するように、下塗り層として平滑化層を設けることもできる
非磁性支持体
非磁性支持体は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテ−ト、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、ポリアラミド、芳香族ポリアミド、ポリベンゾオキサゾールなどの公知のフィルムが使用できる。ポリエチレンナフタレート、ポリアミドなどの高強度支持体を用いることが好ましい。また必要に応じ、磁性面と非磁性支持体面の表面粗さを変えるため特開平3−224127号公報に示されるような積層タイプの支持体を用いることもできる。これらの支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理、などを行ってもよい。また、支持体としてアルミまたはガラス基板を適用することも可能である。
中でもポリエステル支持体(以下、単にポリエステルという)が好ましい。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどジカルボン酸およびジオールからなるポリエステルが好ましい。
主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。
また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。
これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸および/または2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールおよび/または1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
中でも、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。特に好ましくはポリエチレン−2,6−ナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルである。
なお、ポリエステルとしては、二軸延伸されていているものでもよく、2層以上の積層体であってもよい。
また、ポリエステルは、さらに他の共重合成分が共重合されていてもよいし、他のポリエステルが混合されていてもよい。これらの例としては、先に挙げたジカルボン酸成分やジオール成分、またはそれらから成るポリエステルを挙げることができる。
ポリエステルには、フィルム時におけるデラミネーションを起こし難くするため、スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、ポリオキシアルキレン基を有するジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体、ポリオキシアルキレン基を有するジオールなどを共重合してもよい。
中でもポリエステルの重合反応性やフィルムの透明性の点で、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、4−ナトリウムスルホフタル酸、4−ナトリウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸およびこれらのナトリウムを他の金属(例えばカリウム、リチウムなど)やアンモニウム塩、ホスホニウム塩などで置換した化合物またはそのエステル形成性誘導体、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体およびこれらの両端のヒドロキシ基を酸化するなどしてカルボキシル基とした化合物などが好ましい。この目的で共重合される割合としては、ポリエステルを構成するジカルボン酸を基準として、0.1〜10モル%が好ましい。
また、耐熱性を向上する目的では、ビスフェノール系化合物、ナフタレン環またはシクロヘキサン環を有する化合物を共重合することができる。これらの共重合割合としては、ポリエステルを構成するジカルボン酸を基準として、1〜20モル%が好ましい。
上記ポリエステルは、従来公知のポリエステルの製造方法に従って製造できる。例えば、ジカルボン酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させる直接エステル化法、初めにジカルボン酸成分としてジアルキルエステルを用いて、これとジオール成分とでエステル交換反応させ、これを減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去することにより重合させるエステル交換法を用いることができる。この際、必要に応じてエステル交換触媒あるいは重合反応触媒を用い、または耐熱安定剤を添加することができる。
また、合成時の各過程で着色防止剤、酸化防止剤、結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、粘度調節剤、消泡透明化剤、帯電防止剤、pH調整剤、染料、顔料、反応停止剤などの各種添加剤の1種または2種以上を添加させてもよい。
また、ポリエステルにはフィラーが添加されてもよい。フィラーの種類としては、球形シリカ、コロイダルシリカ、酸化チタン、アルミナ等の無機粉体、架橋ポリスチレン、シリコーン樹脂等の有機フィラー等が挙げられる。
また、支持体を高剛性化するために、これらの材料を高延伸したり、表面に金属や半金属または、これらの酸化物の層を設けることもできる。
非磁性支持体の厚みは、好ましくは3〜80μm、より好ましくは3〜50μm、特に好ましくは3〜10μmである。また、非磁性支持体としては平滑性の高いものを使用することが好ましい。支持体表面の中心面平均粗さ(Ra)は、好ましくは6nm以下、より好ましくは4nm以下、更に好ましくは0.8nm〜4nmである。このRaは、WYKO社製HD2000で測定される値とする。
また、非磁性支持体の長手方向および幅方向のヤング率は、6.0GPa以上が好ましく、7.0GPa以上がさらに好ましい。
層構成
本発明の磁気記録媒体の厚み構成は、非磁性支持体の厚みが、前述のように、好ましくは3〜80μm、より好ましくは3〜50μm、特に好ましくは3〜10μmである。また、非磁性支持体と非磁性層または磁性層の間に下塗り層を設ける場合、下塗り層の厚みは、例えば0.01〜0.8μm、好ましくは0.02〜0.6μmである。
また支持体と非磁性層または磁性層との間、支持体とバックコート層との間に平滑化を目的とした中間層を設けることができ、例えば非磁性支持体の表面に、ポリマーを含有した塗布液を塗布、乾燥して形成するか、分子中に放射線硬化官能基を有する化合物(放射線硬化型化合物)を含有した塗布液を塗布し、その後、放射線を照射し、塗布液を硬化させて形成することができる。
放射線硬化型化合物の数平均分子量は、200〜2000の範囲であることが好ましい。分子量がこの範囲であると、比較的低分子量であるので、カレンダー工程において塗膜が流動し易く成形性が高く、平滑な塗膜を形成することができる。
放射線硬化型化合物として好ましいものは、分子量200〜2000の2官能のアクリレート化合物であり、更に好ましいものはビスフェノールA、ビスフェノールF、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールFやこれらのアルキレンオキサイド付加物にアクリル酸、メタクリル酸を付加させたものである。
上記放射線硬化型化合物は、ポリマー型の結合剤と併用されてもよい。併用される結合剤としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を挙げることができる。放射線として紫外線を用いる場合は、重合開始剤を併用することが好ましい。重合開始剤としては、公知の光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤および光アミン発生剤等を用いることができる。
また、放射線硬化型化合物は、非磁性層に用いることもできる。
磁性層の厚みは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであるが、一般には10〜150nmであり、好ましくは20〜120nmであり、さらに好ましくは30〜100nmであり、特に好ましくは30〜80nmである。また、磁性層の厚み変動率(σ/δ)は±50%以内が好ましく、さらに好ましくは±30%以内である。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
非磁性層の厚みは、例えば0.1〜3.0μmであり、0.3〜2.0μmであることが好ましい。なお、本発明の磁気記録媒体の非磁性層は、実質的に非磁性であればその効果を発揮するものであり、例えば不純物として、あるいは意図的に少量の磁性体を含んでいても、本発明の効果を示すものであり、本発明の磁気記録媒体と実質的に同一の構成とみなすことができる。なお、実質的に同一とは、非磁性層の残留磁束密度が10mT以下または抗磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であることを示し、好ましくは残留磁束密度と抗磁力を持たないことを意味する。
バックコート層
本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の磁性層を有する面とは反対の面にバックコート層を有することができる。バックコート層には、カーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好ましい。結合剤、各種添加剤は、磁性層や非磁性層の処方を適用することができる。特に前記非磁性層の処方を適用することが好適である。バックコート層の厚みは、0.9μm以下が好ましく、0.1〜0.7μmが更に好ましい。
製造方法
本発明の磁気記録媒体は、例えば、非磁性支持体の少なくとも一方の面に非磁性層塗布液および磁性層塗布液を塗布し、塗布原反を得る工程と、前記塗布原反を巻き取りロールに巻き取る工程と、前記巻き取りロールに巻き取られた塗布原反を巻き出し、カレンダー処理する工程とを有する方法によって製造することができる。
磁性層塗布液および非磁性層塗布液を製造する工程は、通常、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる強磁性粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、磁性層塗布液および非磁性層塗布液を分散させるためには、ガラスビーズを用いることができる。このようなガラスビーズとしては、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のものを使用することができる。
磁気記録媒体の製造方法では、例えば、走行下にある非磁性支持体の表面に、非磁性層塗布液と磁性層塗布液とを重層塗布する。塗布方法としては、同時重層塗布、即ち、非磁性層塗布液が湿潤状態にあるうちに、その上に磁性層形成用塗布液を塗布、乾燥させる方法(Wet on wet)を用いてもよく、逐次重層塗布、即ち、非磁性層形成用塗布液を塗布、乾燥させた後、その上に磁性層形成用塗布液を塗布、乾燥させる方法(Wet on dry)を用いてもよい。逐次重層塗布は、磁性層と非磁性層の界面が均一となり磁性層厚み変動が低下してS/Nが良化するため、高密度化に好適である。
磁性層塗布液または非磁性層塗布液を塗布する塗布機としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。これらについては例えば(株)総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。
本発明の磁気記録媒体は、ビデオテープ、コンピュータテープ等の磁気テープであることもでき、フレキシブルディスク、ハードディスク等の磁気ディスクであることもできる。磁気テープの場合、磁性層塗布液を塗布して形成される塗布層は、塗布層中に含まれる強磁性粉末にコバルト磁石やソレノイドを用いて磁場配向処理してもかまわない。ディスクの場合、配向装置を用いず無配向でも十分に等方的な配向性が得られることもあるが、コバルト磁石を斜めに交互に配置すること、ソレノイドで交流磁場を印加するなど公知のランダム配向装置を用いることが好ましい。等方的な配向とは窒化鉄粉末の場合、一般的には面内2次元ランダムが好ましいが、垂直成分をもたせて3次元ランダムとすることもできる。また異極対向磁石など公知の方法を用い、垂直配向とすることで円周方向に等方的な磁気特性を付与することもできる。また、スピンコートを用いて円周配向することもできる。特に高密度記録を行う場合は垂直配向が好ましい。
前記板状窒化鉄粉末は、磁場配向処理により垂直方向の角型比を高めることが可能である。磁性層の垂直方向角型比(膜面垂直角型比SQ)は、0.35以上であることが好ましい。垂直方向角型比が0.35以上であれば、高密度記録に必要な高線記録密度において良好な再生出力を得ることができ、S/Nを良化することができる。磁性層の垂直方向角型比は、0.36〜0.50であることが更に好ましい。
また、乾燥風の温度、風量、塗布速度を制御することで塗膜の乾燥位置を制御することが好ましい。塗布速度は20m/分〜1000m/分、乾燥風の温度は60℃以上が好ましい、また磁石ゾーンに入る前に適度の予備乾燥を行うこともできる。
このようにして得られた塗布原反は、通常、一旦巻き取りロールにより巻き取られ、しかる後、この巻き取りロールから巻き出され、カレンダー処理に施される。
カレンダー処理には、例えばスーパーカレンダーロールなどが利用される。カレンダー処理によって、表面平滑性が向上するとともに、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上するので、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得ることができる。カレンダー処理する工程は、塗布原反の表面の平滑性に応じて、カレンダー処理条件を変化させながら行うことが好ましい。
カレンダー処理条条件としては、カレンダーロールの温度は、好ましくは60〜100℃の範囲、より好ましくは70〜100℃の範囲、特に好ましくは80〜100℃の範囲であり、圧力は、好ましくは100〜500kg/cm(98〜490kN/m)の範囲であり、より好ましくは200〜450kg/cm(196〜441kN/m)の範囲であり、特に好ましくは300〜400kg/cm(294〜392kN/m)の範囲である。塗布型媒体の特性を考慮すると、カレンダーロール圧力、カレンダーロール温度によって表面平滑性を制御することが好ましい。一般に、カレンダーロール圧力を低くする、あるいはカレンダーロール温度を低くすることにより、最終製品の表面平滑性は低下する。逆に、カレンダーロール圧力を高くする、あるいはカレンダーロール温度を高くすることにより、最終製品の表面平滑性は高まる。また、カレンダーロール温度、カレンダーロール速度、カレンダーロールテンションによっても表面平滑性を制御することができる。
これとは別に、カレンダー処理工程後に得られた磁気記録媒体を、サーモ処理して熱硬化を進行させることもできる。このようなサーモ処理は、磁性層塗布液の配合処方により適宜決定すればよい。サーモ処理温度は、例えば35〜100℃であり、好ましくは50〜80℃である。またサーモ処理時間は、12〜72時間、好ましくは24〜48時間である。
カレンダーロールとしてはエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性プラスチックロールを使用することが好ましい。また金属ロールで処理することもできる。
本発明の磁気記録媒体は、磁性層の表面粗さが、中心面平均粗さRaとして、1.5〜3.0nmであることが好ましく、1.8〜2.5nmであることが更に好ましい。前記中心面平均粗さRaは、WYKO社(USアリゾナ州)製の光干渉3次元粗さ計「TOPO−3D」を使用し250μm角の試料面積を測定した値をいうものとする。測定値の算出にあたっては、傾斜補正、球面補正、円筒補正等の補正をJIS−B601に従って実施する。前述の粒子サイズを有する板状窒化鉄粉末は、分散性が良好であり、上記範囲の表面粗さを有する高い表面平滑性を有する磁性層を得ることができる。
得られた磁気記録媒体は、裁断機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。裁断機としては、特に制限はないが、回転する上刃(雄刃)と下刃(雌刃)の組が複数設けられたものが好ましく、適宜、スリット速度、噛み合い深さ、上刃(雄刃)と下刃(雌刃)の周速比(上刃周速/下刃周速)、スリット刃の連続使用時間等が選定される。
物理特性
本発明の磁気記録媒体の磁性層の飽和磁束密度は100〜400mTであることが好ましい。また磁性層の保磁力(Hc)は、143〜279kA/m(1800〜3500Oe)であることが好ましく、より好ましくは170〜250kA/mの範囲である。
保磁力の分布は狭い方が好ましく、SFDおよびSFDrは好ましくは0.6以下、より 好ましくは0.55以下、更に好ましくは0.30〜0.55である。
本発明の磁気記録媒体は、磁性層の残留磁化Mrと磁性層の厚さδとの積であるMrδが2〜30mTμmの範囲であることが好ましく、3〜25mT・μmの範囲であることがより好ましい。30mT・μmを超えると使用されるMRヘッドを飽和させてしまうので好ましくなく、2mT・μm未満では感度が小さく、十分なS/Nを確保することが困難になる。
本発明の磁気記録媒体のヘッドに対する摩擦係数は、温度−10〜40℃、湿度0〜95%の範囲において、好ましくは0.50以下であり、より好ましくは0.3以下である。また、表面固有抵抗は、磁性面104〜108Ω/sqが好ましく、帯電位は−500V〜+500V以内が好ましい。磁性層の0.5%伸びでの弾性率は、面内各方向で好ましくは0.98〜19.6GPa(100〜2000kg/mm2)、破断強度は、好ましくは98〜686MPa(10〜70kg/mm2)、磁気記録媒体の弾性率は、面内各方向で好ましくは0.98〜14.7GPa(100〜1500kg/mm2)、残留のびは、好ましくは0.5%以下、100℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は、好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下、最も好ましくは0.1%以下である。
磁性層のガラス転移温度(110Hzで測定した動的粘弾性測定の損失正接の極大点)は50〜180℃が好ましく、非磁性層のそれは0〜180℃が好ましい。損失弾性率は1×107〜8×108Pa(1×108〜8×109dyne/cm2)の範囲にあることが好ましく、損失正接は0.2以下であることが好ましい。損失正接が大きすぎると粘着故障が発生しやすい。これらの熱特性や機械特性は媒体の面内各方向において10%以内でほぼ等しいことが好ましい。
磁性層中に含まれる残留溶媒は好ましくは100mg/m2以下、さらに好ましくは10mg/m2以下である。塗布層が有する空隙率は非磁性層、磁性層とも好ましくは30容量%以下、さらに好ましくは20容量%以下である。空隙率は高出力を果たすためには小さい方が好ましいが、目的によってはある値を確保した方が良い場合がある。例えば、繰り返し用途が重視されるディスク媒体では空隙率が大きい方が走行耐久性は好ましいことが多い。
本発明の磁気記録媒体では、目的に応じ非磁性層と磁性層でこれらの物理特性を変えることができる。例えば、磁性層の弾性率を高くし走行耐久性を向上させると同時に非磁性層の弾性率を磁性層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの当りを良くすることができる。
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。なお実施例中の「部」の表示は「質量部」を示す。
磁性粉の製造例
[製造例1〜6、比較製造例1〜4]
表1に示す平均板径および板状比を有する板状ゲータイトの5質量%水スラリーを作製した。水スラリーに板状ゲータイトのFeに対し、5at%に相当するAlをアルミン酸ナトリウム溶液として添加し、攪拌しつつ酢酸溶液を添加し、pHを5とした。板状ゲータイトを沈降させ、上澄みを除去する操作を3回繰り返した後、板状ゲータイトのFeに対し8at%に相当する硝酸イットリウム水溶液を加え、攪拌しつつ水酸化ナトリウム水溶液を加えpHを7.5とし、板状ゲータイト粒子表面にAl、Y化合物を被着した。被着処理後の板状ゲータイトを水洗、ろ過、乾燥した後、空気中で350℃、60分加熱脱水し、さらに650℃で2時間アニールした。温度を350℃とし、水素と窒素の混合ガス(水素4vol%)で60分還元後、純水素雰囲気とし、480℃で4時間還元し、AlとYを含有する強磁性金属粉を得た。水素を流しつつ150℃まで降温した。150℃に保持した状態でアンモニアガスを使用し30時間窒化処理を行った。窒素ガスに切り替え、50℃に降温し、窒素中に酸素を0.1〜5vol%程度含有した混合ガスで粒子表面を徐酸化した。このときガス温度が90℃を超えないように酸素濃度を制御した。このようにして得られた窒化鉄系磁性粉末は、X線回折の結果、Fe162相を示すプロフィルを示した。得られた磁性粉末のイットリウム、アルミニウムの含有量を蛍光X線により測定した。蛍光X線により窒素の含有量を測定し、鉄に対して7.0〜14原子%の範囲にあることを確認した。また、高分解能分析透過電子顕微鏡(倍率500000倍)で500個の窒化鉄粒子について平均粒子サイズを測定した。窒化鉄粒子の表面積は、BET法による比表面積として求めた。更に得られた磁性粉末について、796kA/m(10kOe)の磁界を印加して磁気特性を測定した。以上の結果を表1に示す。
[製造例7、8]
表1に示す平均板径および板状比を有するδ−FeOOHの4質量%水スラリーを作製した。水スラリーにδ−FeOOHのFeに対し、7at%に相当するAlを塩化アルミニウム溶液として添加するとともに、5at%に相当するYを硝酸イットリウム溶液として添加し、攪拌しつつ水酸化ナトリウム水溶液を加えpHを8.5とし、δ−FeOOH粒子表面にAl、Y化合物を被着した。表面処理したδ−FeOOHを沈降させ、濃縮後、耐圧容器に入れ、180℃で1時間保持した。次いで、水洗、ろ過、乾燥した。その後の工程は製造例1〜6と同様にし、窒化鉄系磁性粉末を得た。このようにして得られた窒化鉄系磁性粉末は、X線回折の結果、Fe162相を示すプロフィルを示した。
得られた窒化鉄系磁性粉末について、上記と同様の測定を行った。結果を表1に示す。
[比較製造例5]
平均粒子サイズ20nmのマグネタイトを分散し、マグネタイト中の鉄に対し、Al/Feが9.5at%となるように塩化アルミニウム水溶液を添加し、さらにY/Feが2.5at%となるように硝酸イットリウム水溶液を添加した。水酸化ナトリウムで中和し、マグネタイト表面をAiとYの水酸化物を被着した後、ろ過、水洗、乾燥した。次に水素ガスを流した状態で450℃2時間加熱還元し、強磁性金属粉とした。水素ガスを流しつつ150℃まで降温し、ガスをアンモニアガスに切り替え150℃に保持しつつ30時間窒化反応を行った。窒素ガスに切り替え、50℃に降温し、窒素中に酸素を0.1〜5vol%程度含有した混合ガスで粒子表面を徐酸化した。このときガス温度が90℃を超えないように酸素濃度を制御した。このようにして得られた窒化鉄系磁性粉末は、X線回折の結果Fe162相を示すプロフィルを示した。
得られた窒化鉄系磁性粉末について、上記と同様の測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 2009087466
Figure 2009087466
磁気記録媒体の製造例
(磁性層塗布液)
強磁性粉末(表3参照) 100部
結合剤樹脂
塩化ビニル共重合体 13部
(−SO3K基を1×10-4eq/g含有、重合度:300)
ポリエステルポリウレタン樹脂 5部
(ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI
=0.9/2.6/1、−SO3Na基:1×10-4eq/g含有)
α−アルミナ(平均粒子径:0.10μm) 4部
カーボンブラック 2部
(平均粒子径:40nm、粒子径の変動係数:200%)
フェニルフォスフォン酸 4.5部
ブチルステアレート 3部
ステアリン酸 3部
メチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1混合溶剤 280部
上記成分中、強磁性粉末、カーボンブラック、フェニルフォスフォン酸、塩化ビニル共重合体、メチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1混合溶剤130部をニーダで混練した後、上記の残りの成分を添加混合し、次いで0.5mmφのジルコニアビーズを使用しサンドグラインダーで1時間分散した。得られた分散液にポリイソシアネート6部を加え、さらにメチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1混合溶剤20部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを使用して濾過し、磁性層塗布液を調製した。
(非磁性層塗布液)
針状ヘマタイト 80部
BET法による比表面積:65mm2/g、
平均長軸長:0.10μm、平均針状比:7、
pH:8.8、アルミ処理:Al23として1質量%
カーボンブラック 20部
平均粒子径:17nm、
DBP及油量:80ml/100g、
BET法による表面積:240m2/g、pH7.5
結合剤樹脂
塩化ビニル共重合体 13部
(−SO3K基を1×10−4eq/g含有、重合度 300)
ポリエステルポリウレタン樹脂 5部
(ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI
=0.9/2.6/1、−SO3Na基:1×10−4eq/g含有)
フェニルフォスフォン酸 4部
ブチルステアレート 3部
ステアリン酸 3部
メチルエチルケトンとシクロヘキサノン8:2混合溶剤 280部
上記成分中、針状ヘマタイト、フェニルフォスフォン酸、カーボンブラック、塩化ビニル共重合体、メチルエチルケトンとシクロヘキサノン8:2混合溶剤130部をニーダで混練した後、上記の残りの成分を添加混合し、次いで1mmφのジルコニアビーズを使用しサンドグラインダーを使用して1時間分散し調製した。得られた分散液にイソシアネートを10部、シクロヘキサノン30部を加え、得られた分散液を1μmの平均孔径を有するフィルターを使用して濾過し、非磁性塗布液を調製した。
磁気テープの作製:実施例1〜8、比較例1〜8
厚さ6.5μmのポリエチレンナフタレート支持体上に、得られた非磁性層塗布液を乾燥後の厚さが2.0μmとなるように塗布し、乾燥して非磁性層を形成した。別の2スリットの塗布部を有するヘッドを使用して、形成した非磁性層上に、磁性層の厚みが250nmとなるように、前側スリットより磁性層塗布液を給液・塗布し、後段のスリットより塗布液を吸引することで、乾燥後の磁性層厚みが80nmとなるように塗布した。磁性層がまだ湿潤状態にあるうちに配向装置を通過させ配向した。実施例1〜4、比較例1〜4では長手配向処理を行い、実施例5〜8、比較例5〜8では垂直配向処理を行った。長手配向では、希土類磁石(表面磁束500mT)を通過させた後、ソレノイド磁石(磁束密度500mT)中を通過させ、ソレノイド内で配向が戻らない程度まで乾燥させ、さらに乾燥部で磁性層を乾燥し巻き取った(実施例1〜4、比較例1〜4)。垂直配向では、ウェブ上下に希土類磁石(表面磁束500mT)を複数組設置し、N極とS極を対向させ、かつ乾燥風を配向磁石間に導入し、磁性体板面を支持体に対し平行となるように配向・固定した(実施例5〜8、比較例5〜8)。
次に、この非磁性支持体の非磁性下層および磁性層の形成面とは反対面側に、バックコート層塗布液を、乾燥およびカレンダ処理後のバックコート層の厚さが700nmとなるように塗布し、乾燥した。バックコート層塗布液は、下記のバックコート層塗布液成分を、サンドミルを使用し滞留時間45分で分散した後、ポリイソシアネート8.5部を加え、撹拌ろ過して、調製した。
<バックコート層塗布液成分>
カーボンブラック(平均粒径:25nm)・・・40.5部
カーボンブラック(平均粒径:350nm)・・・0.5部
硫酸バリウム・・・4部
ニトロセルロース・・・28部
ポリウレタン樹脂(SO3Na基含有)・・・20部
シクロヘキサノン・・・100部
トルエン・・・100部
メチルエチルケトン・・・100部
このようにして得た磁気記録媒体原反シートを、7段カレンダ(温度80℃、線圧300kg/cm)で鏡面化処理し、60℃、40%RH下、24時間サーモ処理を施した。その後、1/2インチ幅に裁断し、これを100m/分で走行させながら、磁性層表面をダイヤモンドホイール(回転測度+150%、巻付け角30°)で研磨して、磁気テープを作製した。
測定方法
(1)電磁変換特性
以下の方法により、電磁変換特性を測定した。
ドラムテスターに、記録トラック幅1.5μm、再生トラック幅0.75μm、シールド間距離0.15μmの複合GMRヘッドを搭載した。テープとヘッドの相対速度を10.2m/秒とし、λ=0.15μmの入出力特性から最適記録電流を決め、この電流で信号(λ=0.15μm)を記録し、再生した。C/Nは再生キャリアのピークから消磁ノイズまでとし、スペクトルアナライザーの分解能バンド幅は100kHzとした。長手配向した実施例1〜4、比較例1〜4については比較例1、垂直配向した実施例5〜8、比較例5〜8については比較例5に対する相対値で電磁変換特性を表3に示す。
(2)磁気特性
磁気特性は、振動試料型磁力計を使用し、印加磁界796kA/mで測定した。膜面垂直方向の角型比は反磁界補正を行っていない数値で示す。
(3)磁性層平均厚みδ
磁性層の平均厚みδは、以下(i)、(ii)により求めた。
(i)磁気テープ断面像の取得
包埋ブロックを用いたウルトラミクロトーム法により、テープの長手方向に平行な断面超薄切片(切片厚、約80nm〜100nm)を切り出した。透過型電子顕微鏡(HITACHI製TEM H−9000)を用いて、切り出した断面超薄切片中の磁気テープ断面の写真を、倍率10万倍・磁性層・非磁性層界面を中心にテープ長手方向に連続して25〜30μm分撮影して、磁気テープの連続断面像を取得した。
(ii)磁性層平均厚みδの算出
上記(i)で得られた連続写真から、目視にて磁性層表面と磁性層/非磁性層界面ラインを引き、磁性層をトリミングした。次に、トリミングした磁性層ラインをスキャナーで取り込み、磁性層表面と磁性層/非磁性層界面の幅を画像処理して磁性層の平均厚みδを算出した。画像処理には、Carl Zeiss社製 KS Imaging Systems Ver.3を用い、磁性層長手方向に12.5nmおきに約2100点の磁性層厚み幅を測定した。スキャナーからの画像取り込み及び画像解析の際のscale補正は実寸2cmのラインを用いて行った。
実施例および比較例の磁気テープはいずれも、磁性層平均厚みδは80nmであった。
(4)磁性層の表面粗さ
WYKO社(USアリゾナ州)製の光干渉3次元粗さ計「TOPO−3D」を使用し250μm角の試料面積を測定した。測定値の算出にあたっては、傾斜補正、球面補正、円筒補正等の補正をJIS−B601に従って実施し、中心面平均表面粗さRaを表面粗さの値とした。
以上の測定により得られた結果を表3に示す。
Figure 2009087466
評価結果
実施例1〜8の磁気記録媒体は、高出力、高C/Nを達成することができた。特に、実施例5〜8の結果から、平均板径が10〜35nmの範囲であり、かつ平均板状比が1.5〜4.5の範囲である板状窒化鉄粉末を使用することにより、従来の窒化鉄粒子では困難であった垂直配向を容易に実現できることが示された。
本発明の磁気記録媒体は、高密度記録用磁気記録媒体として好適である。

Claims (4)

  1. 非磁性支持体上に、非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層と強磁性粉末および結合剤を含む磁性層とをこの順に有する磁気記録媒体であって、
    前記強磁性粉末は、Fe162を主成分とし、平均板径が10〜35nmの範囲であり、かつ平均板状比が1.5〜4.5の範囲である板状窒化鉄粉末である磁気記録媒体。
  2. 磁性層の垂直方向角型比は0.35以上である請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記板状窒化鉄粉末は、143〜279kA/mの範囲の保磁力を有する請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記板状窒化鉄粉末は、55〜110A・m2/kgの範囲の飽和磁化を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
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