JP2007271472A - 異種金属接合型プローブピンとその製造方法 - Google Patents

異種金属接合型プローブピンとその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】接触部が本体部と異なった金属で構成された異種金属接合型プローブピンにおいて、製造時の熱影響を受けることがなく耐久性に優れたプローブピンを提供する。
【解決手段】WやRe−W,あるいはBe−Cuなどからなる本体部の先端部に、同本体部と異なる先端接合金属を接合した異種金属型プローブピンにおいて、本体部1と先端接合金属2とを超音波振動型接合装置20により接合し、接合後先端接合金属2および接合部3を本体部1(の先端部)とともに尖頭加工してプローブピンの先端接触部を形成した。
【選択図】図2

Description

本発明は、LSIチップなどの半導体集積回路の電気的諸特性を測定する際に用いられるプローブピン、特に異種金属接合型プローブピンとその製造方法に関する。
一般に、プローブピンは、硬くて弾性の高い金属、たとえばW(W系合金を含む)やBe(Be系合金を含む)を素材としたものが用いられている。特にW(W系合金を含む)を素材としたものは、耐磨耗に優れており、直径が数十ミクロンの線材を安価に入手可能なことから広く用いられている。
しかしながら、W(W系合金を含む)を素材としたプローブピンは、数万回程度の使用で電極との接触抵抗が大きくなり、最終的には電気的諸特性の測定が不可能となる、という欠点ある。
このような欠点に対処したものとして、特許文献1に記載のプローブピン(従来例1)が従来提案されている。
このプローブピンは、図6に示すように、本体部01をWで構成し、この本体部01の先端部に、Wと異なる金属(1例としてはAu−Cu−Ag−Ni合金)からなり先端部が半球状(あるいは尖った円錐状)に形成された先端接合金属(接触部)02を融着により結合して形成されている。
このほか、特許文献2に記載のプローブピン(従来例2)も提案されている。
このプローブピンは、図7に示すように、本体部011をW(W系合金を含む)で構成し、この本体部011の先端部に本体部と異なる金属、たとえばPd合金からなり先端部が研磨されて先鋭化されている先端接合金属(接触部)012を溶接で接合して形成されている。
そしてこれら従来例1および従来例2のプローブピンは、いずれも接触部が本体部を構成するW(W系合金を含む)と異なる金属から形成されていて、コンタクト回数(検査回数)を増大しても低い接触抵抗を安定して維持できるという特徴を有するものの、次のような問題点がある。
すなわち、上述の従来例1および従来例2のプローブピンは、本体部の先端部に、本体部を構成するW(W系合金を含む)と異なる金属(たとえばAu−Cu−Ag−Ni合金やPd合金)からなる先端接合金属(接触部)を溶接乃至融着により接合する構成であるので、結合時の溶接乃至融着時の熱影響により、強度が低下してバネ特性や耐磨耗が低下してしまう。また接合面に溶接特有の「巣」が発生し、これが接合強度の低下につながり、折れたり外れたりする原因なるというような不具合がある。
特開平5−41425号公報 特開2000−137042号公報
本発明は、上述のような従来の異種金属接合型プローブピンにおける不具合に対処しようとするもので、先端接触部(先端部)が本体部と異なった金属で構成されるという異種金属型プローブピンにおいて、細径化した場合に高い針圧を得るために本体部をWのような強度の高い金属で形成し、先端接触部はパッド材料が付着せず接触抵抗値が低く安定したAu合金、Pd合金あるいは純Niなどで形成し、熱影響による強度劣化および溶接などによる本体部と接触部との接合部に「巣」が発生しない、耐久性に優れたプローブピンおよびその製造方法を提供しようとするものである。
本発明は、WやRe−W,あるいはBe−Cuなどからなる本体部の先端部に、同本体部と異なる先端接合金属を接合した異種金属型プローブピンにおいて、本体部と先端接合金属との接合面に中庸な圧力を加えながら強力な超音波を与えて接合面を並行振動させることにより、原子拡散を誘起させ、相互金属の原子結合を行って両部材を接合(超音波接合)した点を特徴とする。
さらに本発明は、WやRe−W,あるいはBe−Cuなどからなる本体部の先端部に同本体部と異なる先端接合金属を接合した異種金属接合型プローブピンの製造方法において、上記の本体部と先端接合金属との接合を超音波拡散接合により行い、上記の先端接合金属および接合部を上記本体部とともに尖頭加工して先端接触部を形成したことを特徴とする。
本発明の異種金属接合型プローブピンによれば、先端接触部が本体部と異なった金属からなる構成であるので、本体部を細径化した場合に高い針圧を得るために強度の高いW等で形成し、先端接触部をパッド材料が付着せず接触抵抗値が低く安定したAu合金、Pd合金あるいは純Niなどの先端接合金属で形成することが可能となる。
また、先端接合金属の本体部への結合が容易であり、さらに、メッキにより異種金属を析出結合させるケ−スの様に、接合しようとする先端部金属に制約を受けることがなく、したがって機械的特性の異なる多種類の金属材料の結合が可能となる。
先端接合金属(接触部)と本体部との結合が原子拡散を誘起させて行われるため、若干の加熱を必要とするが、通常溶接の様に、金属材料融点まで加熱させる必要はなく、接合部近傍の強度低下、あるいは溶接特有の巣が発生することはなく、プローブピンの要求特性である数十万回という繰り返しコンタクト時での耐座屈性、耐折損性が得られる。
さらに、ロウ付け接合やメッキによる異種金属の析出結合の場合のような、フラックス、表面処理(洗浄処理)というような特別な処理、装置を必要としない。
先端接合金属としては、Au合金、Pd合金あるいは純Niが好ましい。
Au合金としては、Au:60〜80wt%に、Ag:5〜30wt%、Pt:5〜15wt%金合金のいずれか又は両方を含有し、残部が亜鉛又は銅、あるいは亜鉛と銅である合金がさらに好ましく、Pd合金としては、Pd:30〜40wt%、Ag:25〜35wt%、Au:5〜15wt%、Pt:5〜15wt%、Zn:0.5〜10wt%、残部がCuの組成で構成するのが好ましい。
上記範囲の含有量としたのは、先端接合金属(接触部)の延性が増加して加工性が向上し、また時効硬化特性を付与することができ強度が増加するからである。
以下本発明を図とともに具体的に説明する。
図1は本発明のプローブピンの製造過程を示す系統図、図2は接合装置の概要図、図3は製造されたプローブピンの側面図、図4は引張り試験装置の概略図、図5は抗折試験装置の概略図である。
始めに、図1により本発明のプローブピンの製造過程を説明する。
図1おいて、符号1はWやRe−W,あるいはBe−Cuなどの金属線からなる本体部を、符号2は本体部1の先端部に超音波接合により接合される金属線(本体部と異なる例えば、Au:60〜80wt%に、Ag:5〜30wt%、Pt:5〜15wt%のいずれか又は両方を含有し、残部が亜鉛又は銅、あるいは亜鉛と銅の両方であるAu合金線か、Pd:30〜40wt%、Ag:25〜35wt%、Au:5〜15wt%、Pt:5〜15wt%、Zn:0.5〜10wt%、残部がCuの組成で構成するPd合金線、あるいは純Ni線)からなる先端接合金属を示しており、これら両金属線は一直線上に配置されている(ステップa)。
ステップaに示す状態から、本体部1と先端部接合金属2とを一直線上配置状態を保持しながらそれらの端部を突き合わせ、この状態のもとで本体部1と先端部接合金属2との接合面が超音波接合により接合される。符号3は接合面を示す(ステップb)。
次に先端部接合金属2を適宜長さに切断し(ステップc)、先端部接合金属2および接合面3を本体部1(の先端部)とともに尖頭加工して先細の先端接触部4を形成してプローブピン10を得る(ステップd)。さらに、最終工程として先端接触部4を本体部1の軸線に対してほぼ直角状に折り曲げる曲げ加工が施される(ステップe)。
図2は超音波振動型接合装置20を示しており、本体部1が接合装置20の本体部固定治具13に、先端部接合材料2が接合装置20のワイヤクランプ型超音波振動子14に、それぞれ本体部1と先端部接合材料2とを平行状態でそれらの端部を突き合わした状態で固定される。
この固定状態を保持したままで、先端部接合金属2を油圧または空気圧により、矢6の示す方向(両者の軸線方向)に加圧する。加圧荷重は例えば1〜150gが適当である。 これと同時に、超音波発信装置(図示せず)により発信された超音波振動(例えば40〜70khz)をワイヤクランプ型超音波振動子14により機械振動に変換して、本体部1と先端部接合金属2とを上記の加圧の荷重方向(矢6の示す方向)と直交する方向(矢5の示す方向)に並行振動させる。これにより、両金属の接合面に原子拡散を誘起させ、相互金属の原子結合となる異種金属同士の中間金属層を生成し接合する超音波拡散接合が行われる。
上記の超音波拡散接合の際、接触している金属面に局所的なスリップや弾性変形が起こり温度上昇は発生するが、超音波拡散接合は溶接ほど金属の溶融を必要とせず、その温度上昇は通常接合する金属の融点の35%〜50%程度であるため、両金属面の接合を低温下で行うことが可能となる。また、溶接前の金属表面には酸化被膜や汚れが付着していても振動によりそれらは破壊、飛散して清浄な面同士が接触し、さらに振動が継続することにより原子拡散を誘起させるので、確実な接合が可能となる。
図3は上記のステップa〜dにより製造したプローブピン10の一例の形状を示すもので、この例では、プローブピン10は、φ0.15mmのRe−W素材に厚さ2.0μmのNiメッキnを施した本体部(母材)1の先端部に、先端部接合材料2として、純Ni、Pd合金あるいはAu合金を超音波拡散接合して形成されている。
Re−Wと、純Ni、Pd合金あるいはAu合金とを超音波拡散接合した時の接合面の接合強さを測定する試験(接合強度試験)を行なった。次にその試験について説明する。
テストピ−スはいずれも径0.1mmの線材であり、引張り試験と抗折試験との2種の試験を行った。
図4は引張り試験装置を示している。この装置は上下一組のチャック21、21を備えている。チャック21、21間の寸法L1は50mmである。
試験は、チャック21、21間のほぼ中央部に接合面30aが位置するように、テストピ−ス30をチャック21、21に取り付け、下側のチャック21をテストスピ−ドS1 =1mm/mimで下方に引張り、テストピ−ス30の接合面30aの切断時の引張り強さ(MPa)および伸び(%)を計測した。
図5は抗折試験装置を示している。この装置はスパンL2=7mmの間隔で配置された左右一組のロ−ラ22、22を備えている。
試験は、ロ−ラ22、22間のほぼ中央部に接合面30aが位置するように、テストピ−ス30をロ−ラ22、22上に載置し、接合面(付近)をテストスピ−ドS2=4mm/mimで下方に押下げ、接合面30aの折り曲げ時の抗折力(N/mm2)を計測した。 表1にこれらの試験の結果を示す。なお、表1には、同種の金属を従来技術により接合(Agロウ付け)した場合について同様の試験を行いその結果も併せ記述してある。
本発明の実施形態に示した先端部接合材料2としての純Ni、Pd合金あるいはAu合金の物性を、参考までに表2に示す。
表1を参照することにより、先端部接合材料2を超音波拡散接合により本体部1に接合した構成を採用するとき、従来技術による接合(Agロウ付け)による場合よりも、接合面30aの「引張り強さ」、「抗折力」は優れており、しかも表2を参照すると、超音波拡散接合した時の物性、特に引張り強さ、抗折力は殆ど変化していないことが判明した。
このように、この実施形態の異種金属接合型プローブピンは、本体部が強度の高いRe−Wで形成されているため、細径化しても高い針圧を得ることができ、先端部はAu合金、Pd合金あるいは純Niで形成されているので、パッド材料が付着せず、また接触抵抗値が低く安定している。さらに、本体部と先端部との接合が低温下で行われるので、接合時における熱影響による強度劣化や、溶接などによる本体部と接触部との接合部に「巣」発生することがなく、耐久性に優れたものである。
本発明のプローブピンの製造過程を示す系統図である。 接合装置の概要図である。 製造されたプローブピンの側面図である。 引張り試験装置の概略図である。 抗折試験装置の概略図である。 従来のプローブピンの側面図である。 従来の他のプローブピンの側面図である。
符号の説明
1:本体部(母材)
2:先端部接合金属(接触部、先端部)
3:接合面(接合部)
10:プローブピン
13:本体部固定治具
14:ワイヤクランプ型超音波振動子
20:超音波振動型接合装置
30:テストピ−ス

Claims (2)

  1. タングステンやレニウムタングステン,あるいはベリリウム銅などからなる本体部の先端部に同本体部と異なる先端接合金属を接合した異種金属接合型プローブピンにおいて、上記の本体部と先端接合金属との接合が超音波拡散接合であることを特徴とする異種金属接合型プローブピン。
  2. タングステンやレニウムタングステン,あるいはベリリウム銅などからなる本体部の先端部に同本体部と異なる先端接合金属を接合した異種金属接合型プローブピンの製造方法において、上記の本体部と先端接合金属との接合を超音波拡散接合により行い、上記の先端接合金属および接合部を上記本体部とともに尖頭加工して先端接触部を形成したことを特徴とする異種金属接合型プローブピンの製造方法。
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