JP2007270009A - 脂環構造含有熱可塑性樹脂 - Google Patents
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Abstract
【課題】複屈折が低く、光学特性に優れた厚肉の光学用成形体に好適な成形性に優れた脂環構造含有熱可塑性樹脂を提供する。
【解決手段】縮合環内に芳香環構造を含有する脂環構造含有モノマー(a)40〜95重量%と、50℃以下のガラス転移温度を有する単独重合体を与えることのできる脂環構造含有モノマー(b)5〜20重量%と、テトラシクロドデセン構造を含有する脂環構造含有するモノマー(c)0〜60重量%とを開環共重合し、次いで水素化することによって、ガラス転移温度より15℃高い温度における光弾性定数(X×10−12[Pa−1])のXの絶対値が0〜1500;メルトインデックス(Y[g/10分])が150≧Y≧0.02×|X|+5;23℃における光弾性定数の絶対値が2×10−12[Pa−1]以下;ASTM D570による吸水率が0.1%以下;ガラス転移温度が120〜145℃;である脂環構造含有熱可塑性樹脂を得る。
【選択図】なし。
【解決手段】縮合環内に芳香環構造を含有する脂環構造含有モノマー(a)40〜95重量%と、50℃以下のガラス転移温度を有する単独重合体を与えることのできる脂環構造含有モノマー(b)5〜20重量%と、テトラシクロドデセン構造を含有する脂環構造含有するモノマー(c)0〜60重量%とを開環共重合し、次いで水素化することによって、ガラス転移温度より15℃高い温度における光弾性定数(X×10−12[Pa−1])のXの絶対値が0〜1500;メルトインデックス(Y[g/10分])が150≧Y≧0.02×|X|+5;23℃における光弾性定数の絶対値が2×10−12[Pa−1]以下;ASTM D570による吸水率が0.1%以下;ガラス転移温度が120〜145℃;である脂環構造含有熱可塑性樹脂を得る。
【選択図】なし。
Description
本発明は脂環構造含有熱可塑性樹脂に関する。更に詳しくは複屈折が低く、光学特性に優れた光学用成形体を得るために好適な、成形性に優れた脂環構造含有熱可塑性樹脂に関する。
近年、眼鏡レンズ、透明板などの一般光学部品やオプトエレクトロニクス用の光学部品、特に音響、映像、文字情報等を記録する光ディスク装置のようなレーザ関連機器に用いる光学部品の材料として、高分子樹脂が用いられる傾向が強まっている。これは、高分子樹脂からなる光学材料(以下、「高分子光学材料」とも言う。)が、一般に他の光学材料(光学ガラス等)に比べて、軽量、安価で加工性、量産性に優れているからである。特に、高分子樹脂材料には、射出成形や押出成形のような成形技術が容易に適用できるという大きな利点がある。高分子光学材料としては、特許文献1に開示されているような、縮合環内に芳香環構造を含有する脂環構造含有モノマーと、テトラシクロドデセン構造を含有するモノマーとの開環共重合体の水素添加物が知られている(特許文献1)。
光学材料に求められる要求品質として、透明性に優れ、複屈折が小さく、使用環境下で光学特性が変化しないことや成形性に優れていることなどが挙げられる。
しかし、これまで使用されてきた通常の高分子光学材料には、これら成形技術を適用して得られた製品が少なからず複屈折を示すという性質があった。複屈折には配向複屈折と応力複屈折とがある。熱可塑性高分子材料を成形して光学材料を得る際、熱可塑性樹脂をガラス転移温度以上に加熱溶融してから射出成形や押出成形をする。これらの方法では、所望の形状でガラス転移温度以下まで冷却する。加熱溶融し流動する時に高分子鎖が配向することによって生じるのが配向複屈折で、冷却時の歪などによって生じるのが応力複屈折である。応力複屈折はガラス転移温度以下の温度で徐々に応力が緩和し複屈折が変化していくのに対して、配向複屈折はガラス転移温度以下であっても配向が殆ど緩和せず複屈折が変化しないという点で相違する。
複屈折は特に射出成形法や押出成形法のように高分子を流動させて成形する場合、配向複屈折の影響を強く受けるため高分子固有の複屈折の小さな材料が求められていた。
しかし、これまで使用されてきた通常の高分子光学材料には、これら成形技術を適用して得られた製品が少なからず複屈折を示すという性質があった。複屈折には配向複屈折と応力複屈折とがある。熱可塑性高分子材料を成形して光学材料を得る際、熱可塑性樹脂をガラス転移温度以上に加熱溶融してから射出成形や押出成形をする。これらの方法では、所望の形状でガラス転移温度以下まで冷却する。加熱溶融し流動する時に高分子鎖が配向することによって生じるのが配向複屈折で、冷却時の歪などによって生じるのが応力複屈折である。応力複屈折はガラス転移温度以下の温度で徐々に応力が緩和し複屈折が変化していくのに対して、配向複屈折はガラス転移温度以下であっても配向が殆ど緩和せず複屈折が変化しないという点で相違する。
複屈折は特に射出成形法や押出成形法のように高分子を流動させて成形する場合、配向複屈折の影響を強く受けるため高分子固有の複屈折の小さな材料が求められていた。
本発明の目的は、複屈折が低く、厚みが5mm以上の、環境安定性に優れた光学成形体を得るのに好適な、成形性に優れた脂環構造含有熱可塑性樹脂を提供することにある。
本発明者が検討したところ、脂環構造含有熱可塑性樹脂の製造に用いられる脂環構造含有モノマーとして、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンを用いた場合に、複屈折が顕著に下がる場合のあることが判った。この知見に基づき更に検討した結果、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンは、テトラシクロドデセンやノルボルネンなどと違い、マイナスの光弾性率を持つ単独開環重合体を与えることを見いだした。これらのことから、脂環構造含有モノマーとして、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンを用いることで、23℃での光弾性定数の小さい脂環構造含有熱可塑性樹脂が得られれば、結果的に応力複屈折の小さい高分子材料が得られ、優れた光学材料として用いられることを期待した。
本発明者が検討したところ、脂環構造含有熱可塑性樹脂の製造に用いられる脂環構造含有モノマーとして、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンを用いた場合に、複屈折が顕著に下がる場合のあることが判った。この知見に基づき更に検討した結果、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンは、テトラシクロドデセンやノルボルネンなどと違い、マイナスの光弾性率を持つ単独開環重合体を与えることを見いだした。これらのことから、脂環構造含有モノマーとして、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンを用いることで、23℃での光弾性定数の小さい脂環構造含有熱可塑性樹脂が得られれば、結果的に応力複屈折の小さい高分子材料が得られ、優れた光学材料として用いられることを期待した。
本発明者が検討した結果、特に、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンと、50℃以下のガラス転移温度を有する単独開環重合体を与えることのできるノルボルネン構造を含有するモノマー(例えば、ノルボルネン)とを組み合わせ重合させて得られる樹脂は、それのガラス転移温度より15℃高い温度での光弾性定数が小さく、この樹脂によって、光学成形体のなかでも、厚みが5mm以上の光学レンズなどの肉厚の成形体、特にその最大長さが50mm以上のものを成形する時に生じる配向複屈折を抑制されることができることが判った。
更に、本発明者は、上述したような樹脂であっても、所定範囲のメルトインデックスと所定範囲のガラス転移温度とを満足したものでないと、良好な成形性と高い耐熱性とが得られないことを見いだした。特に、ガラス転移温度より15℃高い温度での光弾性定数が、500×10−12Pa−1を超えるものでは、メルトインデックスとの相関が高くなる。更に、環境による光学特性の変化に影響しないものを得るために吸水率が小さいことも、実用的な厚みが5mm以上の光学レンズを得るために必要である。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
更に、本発明者は、上述したような樹脂であっても、所定範囲のメルトインデックスと所定範囲のガラス転移温度とを満足したものでないと、良好な成形性と高い耐熱性とが得られないことを見いだした。特に、ガラス転移温度より15℃高い温度での光弾性定数が、500×10−12Pa−1を超えるものでは、メルトインデックスとの相関が高くなる。更に、環境による光学特性の変化に影響しないものを得るために吸水率が小さいことも、実用的な厚みが5mm以上の光学レンズを得るために必要である。
本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
かくして本発明によれば、
(1) ガラス転移温度(Tg)より15℃高い温度における光弾性定数(X×10−12[Pa−1])のXの絶対値が0〜1500;
メルトインデックス(Y[g/10分])が前記Xに対して150≧Y≧0.02×|X|+5の関係を有し;
23℃における光弾性定数の絶対値が2×10−12[Pa−1]以下;
ASTM D570による吸水率が0.1%以下;
ガラス転移温度が120〜145℃;
である脂環構造含有熱可塑性樹脂。
(2) 脂環構造含有モノマーの開環重合体の水素添加物である前記(1)の脂環構造含有熱可塑性樹脂。
(3) 前記脂環構造含有モノマーが1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンを含有し、且つ、前記開環重合体は、重クロロホルム中(TMS基準)で測定した13C−NMRスペクトルにおける前記開環重合体中のメチレン基に由来するメチレンピークの高磁場側のピーク面積(A)と低磁場側のピーク面積(B)とが、B/(A+B)≦0.3である前記(2)の脂環構造含有熱可塑性樹脂。
(4) 前記脂環構造含有モノマーが、更にガラス転移温度(Tg)が50℃以下の単独開環重合体を与えることのできるノルボルネン構造を含有するモノマーを含む前記(4)の脂環構造含有熱可塑性樹脂。
(5) 前記(1)〜(4)のいずれかの脂環構造含有熱可塑性樹脂から得られる厚みが5mm以上の光学用成形体。
が提供される。
(1) ガラス転移温度(Tg)より15℃高い温度における光弾性定数(X×10−12[Pa−1])のXの絶対値が0〜1500;
メルトインデックス(Y[g/10分])が前記Xに対して150≧Y≧0.02×|X|+5の関係を有し;
23℃における光弾性定数の絶対値が2×10−12[Pa−1]以下;
ASTM D570による吸水率が0.1%以下;
ガラス転移温度が120〜145℃;
である脂環構造含有熱可塑性樹脂。
(2) 脂環構造含有モノマーの開環重合体の水素添加物である前記(1)の脂環構造含有熱可塑性樹脂。
(3) 前記脂環構造含有モノマーが1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンを含有し、且つ、前記開環重合体は、重クロロホルム中(TMS基準)で測定した13C−NMRスペクトルにおける前記開環重合体中のメチレン基に由来するメチレンピークの高磁場側のピーク面積(A)と低磁場側のピーク面積(B)とが、B/(A+B)≦0.3である前記(2)の脂環構造含有熱可塑性樹脂。
(4) 前記脂環構造含有モノマーが、更にガラス転移温度(Tg)が50℃以下の単独開環重合体を与えることのできるノルボルネン構造を含有するモノマーを含む前記(4)の脂環構造含有熱可塑性樹脂。
(5) 前記(1)〜(4)のいずれかの脂環構造含有熱可塑性樹脂から得られる厚みが5mm以上の光学用成形体。
が提供される。
本発明の脂環構造含有熱可塑性樹脂は、脂環式構造を含有してなる繰り返し単位を有する重合体である。脂環構造含有熱可塑性樹脂中の脂環式構造としては、飽和環状炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和環状炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられるが、機械強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が最も好ましい。脂環式構造は主鎖にあるのが好ましく、具体的には、脂環構造含有モノマーの開環重合体、その水素添加物、脂環構造含有モノマーとα−オレフィンとの付加重合体、その水素添加物、等が挙げられる。
このような脂環構造含有熱可塑性樹脂の中でも、本発明においては、ガラス転移温度より15℃高い温度における光弾性定数(X×10−12[Pa−1])のXの絶対値が0〜1500;
メルトインデックス(Y[g/10分])が前記Xに対して150≧Y≧0.02×|X|+5の関係を有し;
23℃における光弾性定数の絶対値が1×10−12[Pa−1]以下;
ASTM D570による吸水率が0.1%以下;
ガラス転移温度が120〜145℃であるのものを採用する必要がある。
このような脂環構造含有熱可塑性樹脂の中でも、本発明においては、ガラス転移温度より15℃高い温度における光弾性定数(X×10−12[Pa−1])のXの絶対値が0〜1500;
メルトインデックス(Y[g/10分])が前記Xに対して150≧Y≧0.02×|X|+5の関係を有し;
23℃における光弾性定数の絶対値が1×10−12[Pa−1]以下;
ASTM D570による吸水率が0.1%以下;
ガラス転移温度が120〜145℃であるのものを採用する必要がある。
本発明において、ガラス転移温度(Tg)よりも15℃高い温度での光弾性定数(以下、単に「高温度における光弾性定数」ということがある)は、次の方法により算出する。厚さ1mm、幅10mm、長さ30〜40mmの樹脂成形体を得、該成形体を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも15℃高い温度に設定された恒温器に10分間放置する。その後、該恒温器中で成形体の一方を摘み固定し、もう一方に錘を(チャック間距離25mm)付け吊るす。これによって成形体は錘の重さによって伸びる。錘を付けてから20分後、恒温器の中を、3時間かけて前記ガラス転移温度より50℃低い温度まで下げる。錘を取り除き23℃、50%RH下で24時間静置し、次いで成形体の中央部(直径10mmの範囲)のレタデーションを測定波長590nmでの微小面積複屈折計(王子計測器社製、製品名「KOBRA−CCD−X」)により測定する。また、伸ばした後の成形体の断面積を求める。この操作を、錘の重さを変えて複数回測定する。
錘の重さを断面積で除した値(応力)をx軸に、レタデーション値を光路長で除した値をy軸にとり、測定値をプロットし、最小自乗法によって傾きを求める。この傾き値を高温度における光弾性定数とする。
尚、測定に際し、加熱による樹脂の酸化を防止するために、本発明では、脂環構造含有熱可塑性樹脂100重量部に対して、光弾性定数の測定値に影響を及ぼさない酸化防止剤(ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])0.4重量部を配合する。
錘の重さを断面積で除した値(応力)をx軸に、レタデーション値を光路長で除した値をy軸にとり、測定値をプロットし、最小自乗法によって傾きを求める。この傾き値を高温度における光弾性定数とする。
尚、測定に際し、加熱による樹脂の酸化を防止するために、本発明では、脂環構造含有熱可塑性樹脂100重量部に対して、光弾性定数の測定値に影響を及ぼさない酸化防止剤(ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])0.4重量部を配合する。
本発明の脂環構造含有熱可塑性樹脂は、高温度における光弾性定数(X×10−12[Pa−1])のX(以下、単に「X値」という。)の絶対値が、0〜1500、好ましくは500〜1500である。この範囲を超えると、射出成形した場合にゲート付近などで複屈折が高いものができてしまい、均質の肉厚の光学成形体が得られない。
23℃での光弾性定数は、前記、高温度における光弾性定数の測定において、恒温槽の温度を23℃に保った状態で実施する以外は同様の方法により測定する。
本発明の脂環構造含有熱可塑性樹脂の23℃における光弾性定数の絶対値は、2×10−12Pa−1以下、好ましくは1×10−12Pa−1以下である。23℃での光弾性定数の絶対値が大きくなると成形中に生じる応力複屈折の影響が大きくなり、また、使用環境下での複屈折変化による光学特性の変化が起こってしまう。また、成形体の固定時や材料の膨張や収縮に伴う歪の影響などによる複屈折の発現が起こってしまうため小さいほど良い。
本発明の脂環構造含有熱可塑性樹脂の23℃における光弾性定数の絶対値は、2×10−12Pa−1以下、好ましくは1×10−12Pa−1以下である。23℃での光弾性定数の絶対値が大きくなると成形中に生じる応力複屈折の影響が大きくなり、また、使用環境下での複屈折変化による光学特性の変化が起こってしまう。また、成形体の固定時や材料の膨張や収縮に伴う歪の影響などによる複屈折の発現が起こってしまうため小さいほど良い。
高温度における光弾性定数及び23℃における光弾性定数の絶対値(以下、まとめて光弾性定数の絶対値ということがある)を小さくするには、それぞれの測定条件下において、小さい光弾性定数の絶対値を有する単独重合体を与えるモノマーのみを用いることもできるが、多くの脂環構造含有モノマーは、その単独重合体(開環重合体)の光弾性定数の絶対値が、プラス方向に大きい値を取る。このため、脂環構造含有熱可塑性樹脂として、開環重合体の水素添加物を採用する場合、マイナスの光弾性定数を示す単独重合体を与えるモノマーを共重合モノマーとして選択し、共重合体にするのが良い。
具体的には、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレン(MTF)などの縮合環内に芳香環構造を含有する脂環構造含有モノマーを含有するモノマーの開環重合し、水素付加してえられた開環重合体の水素添加物において、MTF由来の構造単位部分のEND体が70〜100%であると、マイナスの光弾性定数を与える重合体が得られる。
具体的には、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレン(MTF)などの縮合環内に芳香環構造を含有する脂環構造含有モノマーを含有するモノマーの開環重合し、水素付加してえられた開環重合体の水素添加物において、MTF由来の構造単位部分のEND体が70〜100%であると、マイナスの光弾性定数を与える重合体が得られる。
また、このような開環重合体の水素添加物は、重クロロホルム中(TMS基準)で測定した13C−NMRスペクトルにおける環状炭化水素構造由来のメチレンピークの高磁場側(A)と低磁場側(B)のピーク面積比B/(A+B)でEND体の量を確認することができる。この面積比が0.3以下であると上記のEND体量の範囲に入っている。
また、付加重合の場合、テトラシクロドデセンやMTFなどがマイナスの光弾性定数を有する単独重合体を与えるモノマーとなり、エチレンなどのα−オレフィンがプラスの光弾性定数を有する単独重合体を与えるモノマーとなるので、α−オレフィンの割合を増やすことで、光弾性定数を小さくすることができ、具体的には、全構造単位中40モル%以上がα−オレフィン由来の構造単位であるのが好ましい。
また、付加重合の場合、テトラシクロドデセンやMTFなどがマイナスの光弾性定数を有する単独重合体を与えるモノマーとなり、エチレンなどのα−オレフィンがプラスの光弾性定数を有する単独重合体を与えるモノマーとなるので、α−オレフィンの割合を増やすことで、光弾性定数を小さくすることができ、具体的には、全構造単位中40モル%以上がα−オレフィン由来の構造単位であるのが好ましい。
尚、単独での開環重合が不可能なモノマーを選択した場合や、得ようとする脂環構造含有熱可塑性樹脂が付加重合体である場合は、異なるモノマー組成の原料を用いて重合して得られる樹脂を用いて光弾性定数を測定し、縦軸に光弾性定数、横軸に併用した異なるモノマーの量比を取った検量線を作成し、併用した異なるモノマーの量が0の時の光弾性定数を、任意の脂環構造含有モノマーの単独重合体の光弾性定数として算出すればよい。
縮合環内に芳香環構造を含有する脂環構造含有モノマーとしては、1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(すなわち、5−フェニル−2−ノルボルネン)、5−メチル−5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ベンジル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(エチルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(イソプロピルフェニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−カルボキシベンジルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−フェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ベンジル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−トリル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(エチルフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(イソプロピルフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジフェニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(ビフェニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(β−ナフチル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(α−ナフチル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−(アントラセニル)−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、1−フェニル−ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン、6−(α−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−(アントラセニル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5−(β−ナフチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、5,6−ジフェニル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプト−2−エン、9−(2−ノルボルネン−5−イル)−カルバゾールなどを挙げることができる。
モノマーの入手のしやすさと、低い複屈折になるという観点から1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンが特に好ましい。
モノマーの入手のしやすさと、低い複屈折になるという観点から1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンが特に好ましい。
このような縮合環内に芳香環構造を含有する脂環構造含有モノマーと開環重合するのに用いられる他のモノマーとしては、ガラス転移温度(Tg)が50℃以下の単独開環重合体を与えることのできるノルボルネン構造を含有するモノマーやテトラシクロドデセン構造を有するモノマーが挙げられる。
ガラス転移温度(Tg)が50℃以下の単独開環重合体を与えることのできるノルボルネン構造を含有するモノマーとしては、ビシクロ[2.2.1]へプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンなどが挙げられる。これらの中でも、メルトインデックスの調節の容易さや生産性の観点からノルボルネンが好ましい。
テトラシクロドデセン構造を含有するモノマーとしては、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−プロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ヘキシルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−シクロヘキシルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ステアリルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、5,10−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、2,10−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチル−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、11,12−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、2,7,9−トリメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、9−エチル−2,7−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、9−イソブチル−2,7−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、9,11,12−トリメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、9−エチル−11,12−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、9−イソブチル−11,12−ジメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、5,8,9,10−テトラメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、
8−メチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−エチリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−n−プロピリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−イソプロピルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−イソプロピリデン−9−ブチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−クロロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−ブロモテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−フルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8,9−ジクロロテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンなどのテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン誘導体などを挙げることができる。
モノマーの入手のしやすさ、反応性などからテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンが最も好ましい。
モノマーの入手のしやすさ、反応性などからテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンが最も好ましい。
メルトインデックスYはJIS K7210のA法により求める。荷重測定温度は280℃、測定荷重は2.16kgfの条件である。尚、メルトインデックス測定に際しては、加熱による樹脂の酸化を防止するために、脂環構造含有熱可塑性樹脂に対して、樹脂のメルトインデックスの値に影響を及ぼさない酸化防止剤(ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])0.4重量部を配合する。
本発明の脂環構造含有熱可塑性樹脂は、高温度における光弾性定数のX値とメルトインデックスY[g/10分]との関係が、150≧Y≧0.02×|X|+5、好ましくは120≧Y≧0.02×|X|+5、より好ましくは100≧Y≧0.02×|X|+5、である。メルトインデックスの値が小さすぎても大きすぎても、生産時の操作性が悪く、良好な成形体が得られない。メルトインデックスを小さくするには、脂環構造含有熱可塑性樹脂の重量平均分子量を小さくしたり、分子量分布を広くしたり、低分子量樹脂を配合したり、高分子鎖末端に直鎖状のモノマーを導入したり、分子鎖間の分子間力を小さくするために極性基を少なくしたり、(付加重合体にあっては)エチレン鎖を短くするなど分子鎖の絡み合いを少なくするなどすればよい。逆にメルトインデックスを大きくするには、脂環構造含有熱可塑性樹脂の重量平均分子量を大きくしたり、分子量分布を狭くしたりすればよい。
メルトインデックスと固有複屈折とは、相関があり、固有複屈折が高くなると、メルトインデックスも高くなる傾向にある。
メルトインデックスと固有複屈折とは、相関があり、固有複屈折が高くなると、メルトインデックスも高くなる傾向にある。
吸水率は、ASTM D570により測定する。試験片は、幅65mm、長さ65mm、厚さ3mmの成形板とし、これをデシケータ内に24時間保存したものについて、23℃の水に24時間浸漬した前後で重量を測定し、その重量変化率から吸水率を求めた。尚、吸水率の測定に際しては、フィルム形成時の樹脂の酸化を防止するため、本発明では、酸化防止剤として樹脂に対して、樹脂の吸水率の値に影響を及ぼさない酸化防止剤(ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])0.4重量部を配合した。
本発明の脂環構造含有熱可塑性樹脂は、吸水率が0.1%以下、好ましくは0.07%以下、より好ましくは0.05%以下である。吸水率の小さいものを得るには、樹脂として、極性基のないものを採用するのが好ましく、特に脂環構造含有熱可塑性樹脂を採用するのが好ましい。
ガラス転移温度は、JIS K7121に基づき、示差走査熱量分析法により、昇温速度10℃/分で測定する。本発明の脂環構造含有熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度が、通常140℃以下、好ましくは50〜140℃、より好ましくは60〜135℃である。尚、ガラス転移温度の測定に際しては、加熱による樹脂の酸化を防止するため、本発明では、酸化防止剤として樹脂に対して、樹脂のガラス転移温度の値に影響を及ぼさない酸化防止剤(ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])0.4重量部を配合した。
ガラス転移温度を下げる方法としては、脂環構造含有熱可塑性樹脂の場合、Tgが50℃以下、好ましくは30℃以下、より好ましくは10℃以下の単独重合体を与えることのできる脂環構造含有モノマーを、重合用モノマーとして含めればよい。このようなモノマーとしては、上述したTgが50℃以下の単独開環重合体を与えることのできるノルボルネン構造を含有するモノマーが挙げられる。このような低Tgの脂環構造含有モノマーの割合は、脂環構造含有モノマー全量に対して、通常1〜10モル%、好ましくは5〜10モル%である。
上述した、本発明で規定している光弾性定数の絶対値、メルトインデックス、ガラス転移温度、吸水率を満足する脂環構造含有熱可塑性樹脂は、縮合環内に芳香環構造を含有する脂環構造含有モノマー、特に1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンを用いて得られ重合体が好ましい。
特に、脂環構造含有熱可塑性樹脂が開環重合体の水素添加物である場合、縮合環内に芳香環構造を含有する脂環構造含有モノマー(a)と、Tgが50℃以下の単独重合体を与えることのできる脂環構造含有モノマー(b)と、テトラシクロドデセン構造を含有する脂環構造含有するモノマー(c)とを、(a)/(b)/(c)の重量%で、好ましくは40〜95/5〜20/0〜60、より好ましくは60〜80/5〜10/5〜30の割合で組み合わせて用いるのがよい。これらを開環重合し次いで水素化することによって、本発明で好適に用いられる脂環構造含有熱可塑性樹脂を容易に得ることができる。開環重合及び水素化する方法は公知の方法によって行うことができる。
特に、脂環構造含有熱可塑性樹脂が開環重合体の水素添加物である場合、縮合環内に芳香環構造を含有する脂環構造含有モノマー(a)と、Tgが50℃以下の単独重合体を与えることのできる脂環構造含有モノマー(b)と、テトラシクロドデセン構造を含有する脂環構造含有するモノマー(c)とを、(a)/(b)/(c)の重量%で、好ましくは40〜95/5〜20/0〜60、より好ましくは60〜80/5〜10/5〜30の割合で組み合わせて用いるのがよい。これらを開環重合し次いで水素化することによって、本発明で好適に用いられる脂環構造含有熱可塑性樹脂を容易に得ることができる。開環重合及び水素化する方法は公知の方法によって行うことができる。
本発明の脂環構造含有熱可塑性樹脂は、Zn及びFeの総量が好ましくは5ppm以下、より好ましくは1ppm以下である。Zn及びFeの総量が少ない方が大気中など酸素の存在する環境下での成形体の酸化劣化を抑制できるので好ましい。
また、本発明の脂環構造含有熱可塑性樹脂は、3mm厚の板にしたときの波長400nmでの光線透過率が好ましくは85%以上である。光線透過率が高いほど、光学レンズなどの高精度の光学用成形体に用いることができる。
また、本発明の脂環構造含有熱可塑性樹脂は、3mm厚の板にしたときの波長400nmでの光線透過率が好ましくは85%以上である。光線透過率が高いほど、光学レンズなどの高精度の光学用成形体に用いることができる。
本発明の脂環構造含有熱可塑性樹脂には目的に応じて、適宜、樹脂に通常配合することができる公知の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、近赤外線吸収剤等の安定剤;滑剤、可塑剤等の樹脂改質剤;染料や顔料等の着色剤;帯電防止剤等が挙げられる。これらの添加剤は、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は本発明の目的を損ねない範囲で適宜選択される。
脂環構造含有熱可塑性樹脂に各種の添加剤を配合する方法に格別な制限はなく、例えば、ロール、ニーダー、押出混練機、バンバリーミキサー、フィーダールーダー等の混練器で練りながら、脂環構造含有熱可塑性樹脂と添加剤とを混合する方法;脂環構造含有熱可塑性樹脂を適当な溶剤に溶解し、これに添加剤を配合して混合し、次いで溶媒を除去する方法;などが挙げられる。
脂環構造含有熱可塑性樹脂に各種の添加剤を配合する方法に格別な制限はなく、例えば、ロール、ニーダー、押出混練機、バンバリーミキサー、フィーダールーダー等の混練器で練りながら、脂環構造含有熱可塑性樹脂と添加剤とを混合する方法;脂環構造含有熱可塑性樹脂を適当な溶剤に溶解し、これに添加剤を配合して混合し、次いで溶媒を除去する方法;などが挙げられる。
本発明の光学用成形体は、前述の脂環構造含有熱可塑性樹脂を成形してなるものである。成形方法は公知の射出成形法や押出成形法により行うことができる。
射出成形法は、通常、必要に応じて添加剤が配合された脂環構造含有熱可塑性樹脂のペレットを射出成形器のホッパーに投入し、成形材料が均一に混合されるように回転数を設定したスクリューで、シリンダーに送られ、次いで、金型へと射出する方法である。シリンダーの温度は、通常150〜400℃、好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜330℃の範囲で適宜選択される。シリンダー温度が過度に低いと流動性が悪化し、成形体にヒケやひずみを生じ、シリンダー温度が過度に高いと樹脂の熱分解によるシルバーストリークが発生したり、成形体が黄変するなどの成形不良が発生したりするおそれがある。
シリンダーから金型への射出速度は、通常1〜50mm/秒である。
シリンダーから金型への射出圧は、通常500〜15000kgf/cm2の範囲で行われる。このときの射出圧は、金型の設計や使用される成形材料の流動性等の条件を考慮して適宜選択し、設定すればよい。
射出成形法は、通常、必要に応じて添加剤が配合された脂環構造含有熱可塑性樹脂のペレットを射出成形器のホッパーに投入し、成形材料が均一に混合されるように回転数を設定したスクリューで、シリンダーに送られ、次いで、金型へと射出する方法である。シリンダーの温度は、通常150〜400℃、好ましくは200〜350℃、より好ましくは230〜330℃の範囲で適宜選択される。シリンダー温度が過度に低いと流動性が悪化し、成形体にヒケやひずみを生じ、シリンダー温度が過度に高いと樹脂の熱分解によるシルバーストリークが発生したり、成形体が黄変するなどの成形不良が発生したりするおそれがある。
シリンダーから金型への射出速度は、通常1〜50mm/秒である。
シリンダーから金型への射出圧は、通常500〜15000kgf/cm2の範囲で行われる。このときの射出圧は、金型の設計や使用される成形材料の流動性等の条件を考慮して適宜選択し、設定すればよい。
保圧は、射出圧によって、金型が略充填された後、金型のゲート部分の溶融樹脂が完全に冷却固化するまでの一定時間かけられる圧力である。保圧は一般に金型の締め圧の範囲内で設定されるが、通常100〜2000kgf/cm2、好ましくは120〜1700kgf/cm2、より好ましくは150〜1500kgf/cm2の範囲において設定される。保圧をこのような値とすることで、成形体に歪みやひけの発生が防止され、成形収縮率を小さくすることができ、寸法精度の優れたものを得ることができる。
このときの金型温度は、樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも、通常低い温度で設定され、好ましくは樹脂のTgよりも2〜50℃低い範囲であり、より好ましくはTgよりも5〜30℃低い範囲の温度において設定される。このような範囲において金型温度を設定することにより、成形体のひずみを低く抑制することができる。
このときの金型温度は、樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも、通常低い温度で設定され、好ましくは樹脂のTgよりも2〜50℃低い範囲であり、より好ましくはTgよりも5〜30℃低い範囲の温度において設定される。このような範囲において金型温度を設定することにより、成形体のひずみを低く抑制することができる。
押出成形の方法としては、Tダイを用いる方法やインフレーション法など、いわゆる溶融押出法が好適に採用される。特に生産性や厚さ精度に優れる点でTダイを用いる方法が好ましい。
Tダイを用いたフィルムの製造方法においては、必要に応じて添加剤が配合された脂環構造含有熱可塑性樹脂を、Tダイを有する押出機に投入し、脂環構造含有熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも通常80〜180℃高い温度に、好ましくはガラス転移温度よりも100〜150℃高い温度にして透明樹脂を融解させ、該融解樹脂をTダイから押し出し、冷却ロール等にて樹脂を冷やしフィルムに形成する。樹脂の融解温度は、過度に低いと透明樹脂の流動性が不足するおそれがあり、逆に過度に高いと脂環構造含有熱可塑性樹脂が劣化する可能性がある。
フィルムを延伸する場合も特に制限はなく、例えば、ロール間の周速の差を利用して縦方向に一軸延伸する方法、テンターを用いて横方向に一軸延伸する方法などの一軸延伸法;フィルムを把持するクリップの間隔が開いて縦方向の延伸と同時にガイドレールの広がり角度により横方向に延伸する同時二軸延伸法、ロール間の周速の差を利用して縦方向に延伸したのち、両端部をクリップにより把持してテンターを用いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法などの二軸延伸法;横又は縦方向に左右異なる速度の送り力若しくは引っ張り力又は引き取り力を付加し得るテンター延伸機や、横又は縦方向に左右等速度の送り力若しくは引っ張り力又は引き取り力を付加することができ、移動する距離が同じで延伸角度を固定し得る又は移動する距離が異なるテンター延伸機を用いて斜め延伸する方法;などを挙げることができる。
以下に実施例、比較例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
実施例1
(重合)
1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレン(以下、MTFと略記)60%、テトラシクロドデセン(以下、TCDと略記)33%、及びノルボルネン(以下、NBと略記)7%からなる単量体混合物18部、トルエン140部、シクロヘキサン280部、分子量調整剤として1−ヘキセン1.13部、重合触媒としてトリイソブチルアルミニウム0.16部、イソブチルアルコール0.07部、イソプロピルエーテル0.1部及び六塩化タングステン0.5部を窒素化で置換した重合反応器に入れ、50℃で5分間撹拌した。その後、直ちに撹拌したままの前記重合反応器中に前記単量体混合物180部と六塩化タングステン0.9部を等速度で30分間で連続的に系内に滴下し、滴下終了後、更に30分間撹拌して重合を終了した。得られた重合反応液をガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、収率は99%以上であることが確認された。また、得られた反応液を1H−NMR及び13C−NMRを用いて分析した結果、MTF由来の繰り返し単位60%、TCD由来の繰り返し単位33%、NB由来の繰り返し単位7%からなる開環共重合体であることが確認された。
実施例1
(重合)
1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレン(以下、MTFと略記)60%、テトラシクロドデセン(以下、TCDと略記)33%、及びノルボルネン(以下、NBと略記)7%からなる単量体混合物18部、トルエン140部、シクロヘキサン280部、分子量調整剤として1−ヘキセン1.13部、重合触媒としてトリイソブチルアルミニウム0.16部、イソブチルアルコール0.07部、イソプロピルエーテル0.1部及び六塩化タングステン0.5部を窒素化で置換した重合反応器に入れ、50℃で5分間撹拌した。その後、直ちに撹拌したままの前記重合反応器中に前記単量体混合物180部と六塩化タングステン0.9部を等速度で30分間で連続的に系内に滴下し、滴下終了後、更に30分間撹拌して重合を終了した。得られた重合反応液をガスクロマトグラフィーを用いて分析した結果、収率は99%以上であることが確認された。また、得られた反応液を1H−NMR及び13C−NMRを用いて分析した結果、MTF由来の繰り返し単位60%、TCD由来の繰り返し単位33%、NB由来の繰り返し単位7%からなる開環共重合体であることが確認された。
(水素添加)
前記の重合反応液を撹拌器付きオートクレーブに移し、珪藻土担持ニッケル触媒(日産ガードラー触媒社製;G−96D、ニッケル担持率58重量%)4部を加え、オートクレーブ内の気相部を水素置換した後、撹拌しながら180℃、ゲージ圧力4.5MPaの反応条件で6時間反応させた。反応終了後、ラジオライト♯800をろ過床として、加圧ろ過器(フンダフィルター、石川島播磨重工社製)を使用し、圧力0.25MPaで加圧ろ過して、無色透明な溶液を得た。次いで得られた溶液に、重合体固形分100重量部あたり、酸化防止剤として(ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])0.4重量部を加えて溶解させた。
この溶液を金属ファイバー製フィルター(孔径0.5μm、ニチダイ社製)にてろ過した。次いで、ろ液を「ゼータプラスフィルター30S」(孔径0.5〜1μm、キュノ社製)でろ過し、更に0.25μmのメンブランフィルターでろ過して異物を除去した。
前記の重合反応液を撹拌器付きオートクレーブに移し、珪藻土担持ニッケル触媒(日産ガードラー触媒社製;G−96D、ニッケル担持率58重量%)4部を加え、オートクレーブ内の気相部を水素置換した後、撹拌しながら180℃、ゲージ圧力4.5MPaの反応条件で6時間反応させた。反応終了後、ラジオライト♯800をろ過床として、加圧ろ過器(フンダフィルター、石川島播磨重工社製)を使用し、圧力0.25MPaで加圧ろ過して、無色透明な溶液を得た。次いで得られた溶液に、重合体固形分100重量部あたり、酸化防止剤として(ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])0.4重量部を加えて溶解させた。
この溶液を金属ファイバー製フィルター(孔径0.5μm、ニチダイ社製)にてろ過した。次いで、ろ液を「ゼータプラスフィルター30S」(孔径0.5〜1μm、キュノ社製)でろ過し、更に0.25μmのメンブランフィルターでろ過して異物を除去した。
次いで、上記で得られたろ液(重合体濃度=20重量%)を予備加熱装置で250℃に加熱し、圧力3MPaで円筒型濃縮乾燥機(日立製作所製)に連続的に供給した。運転条件は圧力1.5kPa、温度290℃とした。溶融状態の重合体は、濃縮乾燥機から連続的に導出し、クラス100のクリーンルーム内でダイから押し出し、水冷後、ペレタイザー(OSP−2、長田製作所製)でカッティングして開環重合体水素添加物のペレットを得た。
この開環重合体水素添加物を13C−NMRスペクトルを用いて分析した結果、MTF由来の環状炭化水素構造由来のメチレンピークの高磁場側(A)と低磁場側(B)のピーク面積比B/(A+B)が0.17であることを確認した。
得られた開環重合体水素添加物は、主鎖中の炭素−炭素二重結合の水素添加率が99.5%以上、芳香環中の炭素−炭素二重結合の水素添加率は99%以上であり、イソプレン換算での重量平均分子量(Mw)は27,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.89であった。
得られた開環重合体水素添加物は、主鎖中の炭素−炭素二重結合の水素添加率が99.5%以上、芳香環中の炭素−炭素二重結合の水素添加率は99%以上であり、イソプレン換算での重量平均分子量(Mw)は27,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.89であった。
実施例2
単量体混合物として、MTF70%、TCD22%及びNB8%からなる単量体混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、開環重合体水素添加物を得た。
得られた開環重合体水素添加物は、主鎖中の炭素−炭素二重結合の水素添加率が99.5%以上、芳香環中の炭素−炭素二重結合の水素添加率は99%以上であり、イソプレン換算での重量平均分子量(Mw)は26,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.83であった。
単量体混合物として、MTF70%、TCD22%及びNB8%からなる単量体混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、開環重合体水素添加物を得た。
得られた開環重合体水素添加物は、主鎖中の炭素−炭素二重結合の水素添加率が99.5%以上、芳香環中の炭素−炭素二重結合の水素添加率は99%以上であり、イソプレン換算での重量平均分子量(Mw)は26,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.83であった。
実施例3
単量体混合物として、MTF93%、及びNB7%からなる単量体混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、開環重合体水素添加物を得た。
得られた開環重合体水素添加物は、主鎖中の炭素−炭素二重結合の水素添加率が99.5%以上、芳香環中の炭素−炭素二重結合の水素添加率は99%以上であり、イソプレン換算での重量平均分子量(Mw)は28,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.03であった。
単量体混合物として、MTF93%、及びNB7%からなる単量体混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、開環重合体水素添加物を得た。
得られた開環重合体水素添加物は、主鎖中の炭素−炭素二重結合の水素添加率が99.5%以上、芳香環中の炭素−炭素二重結合の水素添加率は99%以上であり、イソプレン換算での重量平均分子量(Mw)は28,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.03であった。
比較例1
単量体混合物として、MTF3%、TCD90%及びNB7%からなる単量体混合物を用い、シクロヘキサン280部の代わりにトルエン280部用いた以外は、実施例1と同様にして、開環重合体水素添加物を得た。
得られた開環重合体水素添加物は、主鎖中の炭素−炭素二重結合の水素添加率が99.5%以上、芳香環中の炭素−炭素二重結合の水素添加率は99%以上であり、イソプレン換算での重量平均分子量(Mw)は27,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.79であった。
単量体混合物として、MTF3%、TCD90%及びNB7%からなる単量体混合物を用い、シクロヘキサン280部の代わりにトルエン280部用いた以外は、実施例1と同様にして、開環重合体水素添加物を得た。
得られた開環重合体水素添加物は、主鎖中の炭素−炭素二重結合の水素添加率が99.5%以上、芳香環中の炭素−炭素二重結合の水素添加率は99%以上であり、イソプレン換算での重量平均分子量(Mw)は27,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.79であった。
比較例2
単量体混合物として、MTF100%からなる単量体混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、開環重合体水素添加物を得た。
得られた開環重合体水素添加物は、主鎖中の炭素−炭素二重結合の水素添加率が99.5%以上、芳香環中の炭素−炭素二重結合の水素添加率は99%以上であり、イソプレン換算での重量平均分子量(Mw)は29,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.91であった。
単量体混合物として、MTF100%からなる単量体混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、開環重合体水素添加物を得た。
得られた開環重合体水素添加物は、主鎖中の炭素−炭素二重結合の水素添加率が99.5%以上、芳香環中の炭素−炭素二重結合の水素添加率は99%以上であり、イソプレン換算での重量平均分子量(Mw)は29,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.91であった。
比較例3
分子量調整剤として用いる1−ヘキセンを0.95部にした以外は、実施例1と同様にして、開環重合体水素添加物を得た。
得られた開環重合体水素添加物は、主鎖中の炭素−炭素二重結合の水素添加率が99.5%以上、芳香環中の炭素−炭素二重結合の水素添加率は99%以上であり、イソプレン換算での重量平均分子量(Mw)は32,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.02であった。
分子量調整剤として用いる1−ヘキセンを0.95部にした以外は、実施例1と同様にして、開環重合体水素添加物を得た。
得られた開環重合体水素添加物は、主鎖中の炭素−炭素二重結合の水素添加率が99.5%以上、芳香環中の炭素−炭素二重結合の水素添加率は99%以上であり、イソプレン換算での重量平均分子量(Mw)は32,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.02であった。
比較例4
単量体混合物として、MTF60%及びTCD40%からなる単量体混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、開環重合体水素添加物を得た。
得られた開環重合体水素添加物は、主鎖中の炭素−炭素二重結合の水素添加率が99.5%以上、芳香環中の炭素−炭素二重結合の水素添加率は99%以上であり、イソプレン換算での重量平均分子量(Mw)は28,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.80であった。
単量体混合物として、MTF60%及びTCD40%からなる単量体混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、開環重合体水素添加物を得た。
得られた開環重合体水素添加物は、主鎖中の炭素−炭素二重結合の水素添加率が99.5%以上、芳香環中の炭素−炭素二重結合の水素添加率は99%以上であり、イソプレン換算での重量平均分子量(Mw)は28,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.80であった。
比較例5
単量体混合物として、MTF70%、ジシクロペンタジエン(以下、DCPD)30%からなる単量体混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、開環重合体水素添加物を得た。
得られた開環重合体水素添加物は、主鎖中の炭素−炭素二重結合の水素添加率が99.5%以上、芳香環中の炭素−炭素二重結合の水素添加率は99%以上であり、イソプレン換算での重量平均分子量(Mw)は29,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.93であった。
単量体混合物として、MTF70%、ジシクロペンタジエン(以下、DCPD)30%からなる単量体混合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、開環重合体水素添加物を得た。
得られた開環重合体水素添加物は、主鎖中の炭素−炭素二重結合の水素添加率が99.5%以上、芳香環中の炭素−炭素二重結合の水素添加率は99%以上であり、イソプレン換算での重量平均分子量(Mw)は29,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.93であった。
比較例6
TCDとNBの使用割合を表1の通りに変更する以外は、実施例1と同様にして開環重合体水素添加物を得た。
TCDとNBの使用割合を表1の通りに変更する以外は、実施例1と同様にして開環重合体水素添加物を得た。
[評価]
(1)分子量(Mw、Mw/Mn)
シクロヘキサンを溶媒にして、40℃でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリイソプレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求め、MwとMnの比(Mw/Mn)を算出した。
(2)水素添加率(単位=モル%)
主鎖水素添加率及び芳香環の水素添加率(核水素添加率)を、1H−NMRにより測定した。
(3)ガラス転移温度(Tg;単位=℃)
昇温速度10℃/分の条件で示差走査熱量計を用いJIS K7121に準じ測定した値である。
(4)メルトインデックス(MI;単位=g/10分)
JIS K6719に準拠し、温度280℃、荷重2.16kgで測定した。
(5)光弾性定数(単位=×10−12Pa−1)
上述した方法により光弾性定数を測定した。
(6)光線透過率(単位=%)
厚さ3mmの射出成形品を得、ASTM D−1003に従い分光光線透過率を測定した。
(1)分子量(Mw、Mw/Mn)
シクロヘキサンを溶媒にして、40℃でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリイソプレン換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求め、MwとMnの比(Mw/Mn)を算出した。
(2)水素添加率(単位=モル%)
主鎖水素添加率及び芳香環の水素添加率(核水素添加率)を、1H−NMRにより測定した。
(3)ガラス転移温度(Tg;単位=℃)
昇温速度10℃/分の条件で示差走査熱量計を用いJIS K7121に準じ測定した値である。
(4)メルトインデックス(MI;単位=g/10分)
JIS K6719に準拠し、温度280℃、荷重2.16kgで測定した。
(5)光弾性定数(単位=×10−12Pa−1)
上述した方法により光弾性定数を測定した。
(6)光線透過率(単位=%)
厚さ3mmの射出成形品を得、ASTM D−1003に従い分光光線透過率を測定した。
(7)配向複屈折
幅90mm、長さ60mm、厚さ1mmの射出成形品を得、複屈折計(王子計測器製;KOBRA−CCD/X)を用いて成形品の中央(幅45mm、長さ30mm部分)を0.5mm×0.5mm面積の測定範囲で測定し、平均値を以下の基準で判断した。
650nmの波長で測定したレタデーションの値が20nm以下は○。
650nmの波長で測定したレタデーションの値が20nmから40nmは△。
650nmの波長で測定したレタデーションの値が40nm以上は×。
レタデーションの値が小さいほど配向複屈折が小さい。
幅90mm、長さ60mm、厚さ1mmの射出成形品を得、複屈折計(王子計測器製;KOBRA−CCD/X)を用いて成形品の中央(幅45mm、長さ30mm部分)を0.5mm×0.5mm面積の測定範囲で測定し、平均値を以下の基準で判断した。
650nmの波長で測定したレタデーションの値が20nm以下は○。
650nmの波長で測定したレタデーションの値が20nmから40nmは△。
650nmの波長で測定したレタデーションの値が40nm以上は×。
レタデーションの値が小さいほど配向複屈折が小さい。
(8)応力複屈折
Mark IV xp干渉計システム(Zygo社製)を用いて環境試験(60℃×95%RH×500時間)前後での波面収差変化を測定した。
得られたペレットを用いて、射出成形機(ファナック社製、AUTOSHOTC MODEL 30A)により、型締め力30t、樹脂温度280℃、型温度100℃、射出圧力90MPaにて、光学有効径=2.8mm、最小肉厚T=0.45mm、光軸上の肉厚D=1.8mm(T/D=0.25)の両凸レンズを成形した。成形はクラス1000のクリーンルーム内で行った。
波面収差変化が0.005λ以下であれば◎、
0.005以上0.01以下のものを○とし、
0.01以上の収差変化があるものを×として評価した。
収差変化は応力複屈折の有無を直接反映しており、収差変化が大きいものは応力複屈折も大きくなる。
Mark IV xp干渉計システム(Zygo社製)を用いて環境試験(60℃×95%RH×500時間)前後での波面収差変化を測定した。
得られたペレットを用いて、射出成形機(ファナック社製、AUTOSHOTC MODEL 30A)により、型締め力30t、樹脂温度280℃、型温度100℃、射出圧力90MPaにて、光学有効径=2.8mm、最小肉厚T=0.45mm、光軸上の肉厚D=1.8mm(T/D=0.25)の両凸レンズを成形した。成形はクラス1000のクリーンルーム内で行った。
波面収差変化が0.005λ以下であれば◎、
0.005以上0.01以下のものを○とし、
0.01以上の収差変化があるものを×として評価した。
収差変化は応力複屈折の有無を直接反映しており、収差変化が大きいものは応力複屈折も大きくなる。
(9)成形安定性
射出成形体については、成形温度270℃、金型温度130℃(Tg−15℃程度)、射出速度20mm/秒、射出圧力80MPaの成形条件下で、50個の射出成形体(厚さ10mm×幅10mm×長さ100mm)を得た。得られた順番5個おきにサンプリングされた10個の射出成形体について、その一方の主面の中心を直径90mmの範囲で非接触式3次元形状測定機NH−5N(三鷹光器社製)を用いて平面性をPV値で評価した。PV値の標準偏差σを求め、以下の基準で評価した。
σが0.05以下は○。
σが0.05超過0.1以下は△。
σが0.1超過は×。
射出成形体については、成形温度270℃、金型温度130℃(Tg−15℃程度)、射出速度20mm/秒、射出圧力80MPaの成形条件下で、50個の射出成形体(厚さ10mm×幅10mm×長さ100mm)を得た。得られた順番5個おきにサンプリングされた10個の射出成形体について、その一方の主面の中心を直径90mmの範囲で非接触式3次元形状測定機NH−5N(三鷹光器社製)を用いて平面性をPV値で評価した。PV値の標準偏差σを求め、以下の基準で評価した。
σが0.05以下は○。
σが0.05超過0.1以下は△。
σが0.1超過は×。
押出成形体については、空気を流通させた熱風乾燥機を用いて100℃で4時間ペレットを予備乾燥し、このペレットを50mmφのスクリューを備えた樹脂溶融混練機を有するTダイ式フィルム溶融押出成形機を使用し、溶融樹脂温度270℃、Tダイの幅650mmの条件で押し出し成形することにより厚み100μm、長さ200mの未延伸の長尺フィルムを得た。フィルムの中央を10mおきに10箇所サンプリングして厚みを測定した。測定された厚みの標準偏差σを求め、以下の基準で評価した。
σ値が1μm以下は○。
σ値が1μm超過3μm以下は△。
σ値が3μm以上は×。
いずれの成形体についても、標準偏差が小さいほど、成形再現性が良好で、成形安定性に優れていることを示す。
σ値が1μm以下は○。
σ値が1μm超過3μm以下は△。
σ値が3μm以上は×。
いずれの成形体についても、標準偏差が小さいほど、成形再現性が良好で、成形安定性に優れていることを示す。
また、いずれの実施例及び比較例も残留金属量(誘導結合プラズマ発光分析法により測定)は1ppm未満であり、吸水率(吸水率はASTM D570に基づき測定した。試験片は、幅65mm、長さ65mm、厚さ3mmの成形板とし、これをデシケータ内に24時間保存したものについて、23℃の水に24時間浸漬した前後で重量を測定し、その重量変化率から吸水率を求めた。)も0.01%以下であり、光線透過率(厚さ3mmの射出成形品を得、ASTM D−1003に従い分光光線透過率)は89%以上であった。
これらの結果から、本発明の樹脂は複屈折が低く、また、吸水率や光弾性定数が小さいため環境下での光学特性変化が小さいため光学材料として適していることがわかる。また、Tgが比較的低く、MIも高いため成形性や成形安定性に優れていることがわかる。
Claims (5)
- ガラス転移温度(Tg)より15℃高い温度における光弾性定数(X×10−12[Pa−1])のXの絶対値が0〜1500;
メルトインデックス(Y[g/10分])が前記Xに対して150≧Y≧0.02×|X|+5の関係を有し;
23℃における光弾性定数の絶対値が2×10−12[Pa−1]以下;
ASTM D570による吸水率が0.1%以下;
ガラス転移温度が120〜145℃;
である脂環構造含有熱可塑性樹脂。 - 脂環構造含有モノマーの開環重合体の水素添加物である請求項1記載の脂環構造含有熱可塑性樹脂。
- 前記脂環構造含有モノマーが1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロ−9H−フルオレンを含有し、且つ、前記開環重合体は、重クロロホルム中(TMS基準)で測定した13C−NMRスペクトルにおける前記開環重合体の水素添加物中のメチレン基に由来するメチレンピークの高磁場側のピーク面積(A)と低磁場側のピーク面積(B)とが、B/(A+B)≦0.3である請求項2記載の脂環構造含有熱可塑性樹脂。
- 前記脂環構造含有モノマーが、更にガラス転移温度(Tg)が50℃以下の単独開環重合体を与えることのできるノルボルネン構造を含有するモノマーを含む請求項4記載の脂環構造含有熱可塑性樹脂。
- 請求項1〜4のいずれかに記載された脂環構造含有熱可塑性樹脂から得られる厚みが5mm以上の光学用成形体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006098538A JP2007270009A (ja) | 2006-03-31 | 2006-03-31 | 脂環構造含有熱可塑性樹脂 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006098538A JP2007270009A (ja) | 2006-03-31 | 2006-03-31 | 脂環構造含有熱可塑性樹脂 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007270009A true JP2007270009A (ja) | 2007-10-18 |
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ID=38673132
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006098538A Pending JP2007270009A (ja) | 2006-03-31 | 2006-03-31 | 脂環構造含有熱可塑性樹脂 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007270009A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014103788A1 (ja) * | 2012-12-25 | 2014-07-03 | 日本ゼオン株式会社 | 光学用重合体及びそれを成形してなる光学素子 |
JP2015218277A (ja) * | 2014-05-19 | 2015-12-07 | 日本ゼオン株式会社 | 光学フィルムの製造方法 |
-
2006
- 2006-03-31 JP JP2006098538A patent/JP2007270009A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2014103788A1 (ja) * | 2012-12-25 | 2014-07-03 | 日本ゼオン株式会社 | 光学用重合体及びそれを成形してなる光学素子 |
KR20150099566A (ko) * | 2012-12-25 | 2015-08-31 | 니폰 제온 가부시키가이샤 | 광학용 중합체 및 그것을 성형하여 이루어지는 광학 소자 |
US20150346386A1 (en) * | 2012-12-25 | 2015-12-03 | Zeon Corporation | Optical polymer and optical element obtained by forming thereof |
US9459376B2 (en) * | 2012-12-25 | 2016-10-04 | Zeon Corporation | Optical polymer and optical element obtained by forming thereof |
JPWO2014103788A1 (ja) * | 2012-12-25 | 2017-01-12 | 日本ゼオン株式会社 | 光学用重合体及びそれを成形してなる光学素子 |
CN104854161B (zh) * | 2012-12-25 | 2017-10-17 | 日本瑞翁株式会社 | 光学用聚合物以及将其成型而成的光学元件 |
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JP2015218277A (ja) * | 2014-05-19 | 2015-12-07 | 日本ゼオン株式会社 | 光学フィルムの製造方法 |
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