JP2007269657A - α−グリセロホスホリルコリン結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定の式で表される1,3−ジオキソラン化合物と、特定の式で表される2−クロロ−2−オキサ−1,3,2−ジオキサホスホランと、トリメチルアミンとを反応させ、特定の式で表される1,3−ジオキソラン−グリセリルホスホリルコリン化合物を得、これをカチオン性イオン交換樹脂の存在下、水含有溶媒中で加水開環反応をさせた後、水との共沸溶媒存在下で減圧乾燥することにより結晶化させることを特徴とするα−グリセロホスホリルコリン結晶の製造方法。
【選択図】なし
Description
(イ)、式(1)で表される1,3−ジオキソラン化合物と式(2)で表される2−クロロ−2−オキサ−1,3,2−ジオキサホスホランとトリメチルアミンとを反応させ、式(3)で表される1,3−ジオキソラン−グリセリルホスホリルコリン化合物を得、これをカチオン性イオン交換樹脂の存在下、水含有溶媒中で加水開環反応をさせた後、水との共沸溶媒存在下で減圧乾燥することで、結晶化させることを特徴とするα−グリセロホスホリルコリン結晶の製造方法。
本発明の製造方法は、式(1)で表される1,3−ジオキソラン化合物と式(2)で表される2−クロロ−2−オキサ−1,3,2−ジオキサホスホランとトリメチルアミンとを反応させ、式(3)で表される1,3−ジオキソラン−グリセリルホスホリルコリン化合物を得、これをカチオン性イオン交換樹脂の存在下、水含有溶媒中で加水開環反応をさせた後、水との共沸溶媒存在下で減圧乾燥することにより結晶化させることを特徴とするα−グリセロホスホリルコリン結晶の製造方法であるが、より詳細には、式(1)で表される1,3−ジオキソラン化合物と式(2)で表される2−クロロ−2−オキサ−1,3,2−ジオキサホスホランを反応して得られる1,3−ジオキソラン−グリセリル−エチレンサイクリックホスフェイト化合物にトリメチルアミンを反応させて式(3)で表される1,3−ジオキソラン−グリセリルホスホリルコリン化合物を得て、これをカチオン性イオン交換樹脂の存在下、水含有溶媒中で加水開環反応をさせた後、水との共沸溶媒存在下で減圧乾燥することで、結晶化させることを特徴とする式(4)で表されるα−グリセロホスホリルコリン結晶の製造方法である。
尚、発明の目的を損なわない範囲で、本発明の製造方法は、一つの反応容器中で連続的に行われても、また何段階かの工程に分けて行われてもどちらでもよい。
式(3)中、R1及びR2は同一であっても異なっても良く、水素原子あるいは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖構造を有する飽和炭化水素基を表し、それぞれ式(1)中の、R1及びR2に同じである。
式(3)で表される1,3−ジキソラン−グリセリルホスホリルコリン化合物は、減圧乾燥、再沈殿、再結晶、カラム、イオン交換、ゲル濾過等の処理により単離、精製した後、前記式(4)で表されるα−グリセロホスホリルコリンの結晶を得るための原料として用いることができる。
本発明の製造方法に用いるカチオン性イオン交換樹脂には、H+型カチオン性イオン交換樹脂と、Na+型カチオン性イオン交換樹脂がある。
前記、H+型カチオン性イオン交換樹脂としては、カルボン酸残基の陽イオンが水素イオン(H+)をもつ、カルボン酸残基を有するH+型カチオン性イオン交換樹脂;スルホン酸残基の陽イオンが水素イオン(H+)をもつ、スルホン酸残基を有するH+型カチオン性イオン交換樹脂;がある。
前記、Na+型カチオン性イオン交換樹脂としては、スルホン酸残基の陽イオンがナトリウムイオン(Na+)をもつ、スルホン酸残基を有するNa+型カチオン性イオン交換樹脂;がある。
前記、スルホン酸残基を有するH+型カチオン性イオン交換樹脂としては、具体的には、アンバーリスト15DRY(商品名、ローム&ハース社製)、アンバーリスト15WET(商品名、ローム&ハース社製)、アンバーリスト31WET(商品名、ローム&ハース社製)、ダウエックス50W(商品名、ダウケミカル社製)、ムロマックXSC−12−338(商品名、ムロマチテクノス社製)、ナフィオンNR50(商品名、デュポン社製)等が挙げられる。
また前記、スルホン酸残基を有するNa+型カチオン性イオン交換樹脂としては、具体的には、ダイヤイオンSKシリーズ(商品名、三菱化学社製)、ダイヤイオンUBKシリーズ(商品名、三菱化学社製)等が挙げられる。
以上のカチオン性イオン交換樹脂のうち、反応速度の速さやの点からは、H+型カチオン性イオン交換樹脂を用いるのがよく、中でもダイヤイオンWKシリーズ、アンバーリスト31WET、ナフィオンNR50を用いるのが好ましい。これらH+型カチオン性イオン交換樹脂を用いる場合、反応速度の速さや反応終了後の濾過等を用いたカチオン性イオン交換樹脂の、除去の容易さの理由からは、スルホン酸残基を有するH+型カチオン性イオン交換樹脂を用いるのがよく、中でもアンバーリスト31WET、ナフィオンNR50が最も好ましい。
尚、Na+型カチオン性イオン交換樹脂を用いる場合は、できれば使用前にイオン交換操作を行い任意のイオン交換率でH+型にした後に用いることが反応速度の速さの点から好ましい。
製造例1
500mLの四つ口フラスコに下記組成式(A)
1H NMR(CD3OD):1.32,1.38(two,s,6H,(CH3)2C),3.22 (s,9H,(CH3)3N), 3.63(t,2H,CH2N),3.78−4.09(m,5H,CH2CHCH2),4.29(t,2H,POCH2)
31P NMR (CD3OD):0.69
スクリュー管に製造例1で得られた1,2−イソプロピリデン−3−グリセリルホスホリルコリン10.0g(33.6mmol)を水とエタノールの重量組成比が1.0対0.5である混合溶媒10mLに溶かし、スルホン酸残基を有するH+型カチオン性イオン交換樹脂(ナフィオンNR50、デュポン社製)3gを加え45℃で攪拌した。2時間攪拌反応させた後、イオン交換樹脂を濾別し、反応溶液に適時エタノールを加え、真空乾燥器を用いた減圧乾燥(50℃、1mmHg)により脱水・結晶化させ、前記式(4)で表されるα−グリセロホスホリルコリン結晶を得た。収量は8.2g(31.9mmol)、収率は95.0%であった。1H−NMRおよび31P NMRの測定結果を以下に示す。
1H NMR(CD3OD):3.22 (s,9H,(CH3)3N),),3.51−3.99(m,7H,CH2N,CH2CHCH2),4.31(t,2H,POCH2)
31P NMR (CD3OD):1.03
実施例1のイオン交換樹脂を、カルボン酸残基を有するH+型カチオン性イオン交換樹脂(ダイヤイオンYK11、三菱化学社製)3gに替え、6時間攪拌反応を行い、反応2時間後、4時間後にそれぞれα−グリセロホスホリルコリンの反応転化率を測定した以外は、実施例1と同様に反応を行った。尚、α−グリセロホスホリルコリンの反応転化率は、反応溶液をCD3ODに溶解後、31P−NMRを測定し、1,2−イソプロピリデン−3−グリセリルホスホリルコリンに由来する0.69ppmの積分値と1Pとした場合のα−グリセロホスホリルコリンに由来する1.03ppmの積分値(X)を求め、以下の式(A)で算出した。
6時間攪拌反応を続け、得られたα−グリセロホスホリルコリン結晶の収量は8.3g(32.3mmol)、収率は96.0%であった。
得られたα−グリセロホスホリルコリン結晶の含水量および純度の値は、含水量0.5%および純度99.1%であった。
スクリュー管に製造例1で得られた1,2−イソプロピリデン−3−グリセリルホスホリルコリン10.0g(33.6mmol)を水10mLに溶かし、4N塩酸1mLを加え45℃で攪拌した。6時間攪拌反応させた後、合成吸着剤を用いて触媒を除去し、無水リン酸存在下で真空乾燥器を用いた減圧乾燥(50℃,1mmHg)により脱水・結晶化させ、前記式(4)で表されるα−グリセロホスホリルコリンを得た。収量は8.3g(32.3mmol)、収率は96.0%であった。得られたα−グリセロホスホリルコリンの含水量および純度の、それぞれの値は、含水量4.0%および純度88.0%であった。
また、実験の結果、H+型カチオン性イオン交換樹脂の比較では、カルボン酸残基を有するH+型カチオン性イオン交換樹脂よりも、スルホン酸残基を有するH+型カチオン性イオン交換樹脂を用いた方が、反応速度が速いことがわかった。
Claims (2)
- 式(1)で表される1,3−ジオキソラン化合物と式(2)で表される2−クロロ−2−オキサ−1,3,2−ジオキサホスホランとトリメチルアミンとを反応させ、式(3)で表される1,3−ジオキソラン−グリセリルホスホリルコリン化合物を得、これをカチオン性イオン交換樹脂の存在下、水含有溶媒中で加水開環反応をさせた後、水との共沸溶媒存在下で減圧乾燥することにより結晶化させることを特徴とするα−グリセロホスホリルコリン結晶の製造方法。
- カチオン性イオン交換樹脂が、H+型カチオン性イオン交換樹脂である、請求項1に記載のα−グリセロホスホリルコリン結晶の製造方法。
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