JP4019125B2 - 高度にフッ素化されたカルボン酸およびその製造方法と中間体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高度にフッ素化されたカルボン酸誘導体に関する。医薬や食品添加物、化粧品、液晶、電子材料、高分子材料モノマー、機能性材料、医療材料などのファインケミカルズの製造には有機合成化学の果たす役割が極めて高い。従来の有機合成の概念を越える技術としてフルオラス合成が提案され、その発展が望まれている。フルオラス合成とは、パーフルオロカーボンが有機溶媒や水に溶解せず、三者が互いに分液できることに着目し、高度にフッ素化した誘導体のみをパーフルオロカーボン層に抽出させ、化合物の精製を容易にかつ安全に行うという方法である。例えば化合物Aと化合物Bを反応させる工程に先立ち、高度にフッ素化されたカルボン酸(高度にフッ素化された基を導入する試剤)を化合物Aと反応させる。これは高度にフッ素化された基を導入する試剤のカルボキシル基と、化合物Aの反応である。そののちに主反応である、当該反応生成物と化合物Bとの反応が行われる。これは化合物Aのもう一つの官能基と化合物Bとの反応である。このようにして得られた反応生成物は高度にフッ素化された基を有する為、この反応生成物系にパーフルオロカーボン(溶媒)を加えると、この反応生成物は容易にパーフルオロカーボン層に移行するので、この特性を利用した操作により、分離が極めて容易となる。しかる後、主反応に先立ち付加しておいた高度にフッ素化された基を加水分解等により当該反応生成物からはずし、目的とする反応生成物を、純度高く、効率良く得ることができる。一方、高度にフッ素化されたカルボン酸は、フッ素原子の特性を利用し、材料表面を高度にフッ素化することができ、撥水性、潤滑性などを付与できることが期待できる。いずれの場合にも、高度にフッ素化する為に、高度にフッ素化された基を導入する試剤が必要となる。
【0002】
【従来の技術】
医薬や食品添加物等の分野において、この魅力あるフルオラス合成の手法を用いた有機合成の種々の試みが為されてきたが、いまだ成果が得られていない。それは、上記した予め化合物Aに反応させる、高度にフッ素化された基を導入する試剤に、当該フルオラス合成を成功させるものが無いことによる。高度にフッ素化されたカルボン酸として、(Rf)3Si−C6H4−CO2H 〔Rf:C10F21(CH2)2−、 C6F13(CH2)2−〕(Journal of Organic Chemistry誌、62巻、2917頁、1997年参照)等があるが、いずれも、これらを当該フルオラス合成に高度にフッ素化された基を導入する試剤として用いた時、当該試剤を、上記した化合物Aに付加する反応が困難であり、加えて当該試剤をもって付加した高度にフッ素化された基を、主反応の後に加水分解等により当該反応生成物からはずす操作が困難であるため、当該フルオラス合成に利用できなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、かかる従来の問題に対応することである。即ち、フルオラス合成において上記した試剤を、化合物Aに付加する反応が困難であり、加えて付加した高度にフッ素化された基を、当該反応生成物からはずす操作が困難であるため、当該フルオラス合成に利用できなかった問題を解決することである。この課題は、上記した、当該反応生成物の反応系からの高い分離能を実現するものであり、また、有機化学反応でよく利用される、その単位プロセスで反応に係わらない官能基を保護する高度にフッ素化された保護基を実現するものである。また一つの本発明の課題は、高分子材料や天然素材の特異な表面修飾剤を、そして特異なフルオラス有機プロトン酸触媒を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
フルオラス合成において上記した試剤を化合物Aに付加する反応は困難であり、加えて付加した高度にフッ素化された基を、当該反応生成物から除去する操作が困難であるため、これを当該フルオラス合成に利用できなかった。本発明者らは、鋭意検討した結果、本発明化合物を構成するメチレン基が、従来の問題を解決する効果を見出した。また、以前我々が発明した高度にフッ素化されたカルボン酸[特願2002−63985]以上に充分なフッ素の導入を図り、このことにも成功し、よりフルオラス合成を効率的に行える本発明を完成させたのである。そして、充分なフッ素の導入にはこれまでに誰も発想しえなかった構造である複数のアミノ基を有する一般式[II]で表される製造中間体が必須である。
【化6】
すなわち、本発明は、一般式[I](式中、Rは水酸基、アルコキシ基、ハロゲンを、lは1〜5の整数を、mは2または3を、pは2または3を、qは1または2を表し、m,p,qの数値はその表示各位において同一である必要はない。R’は水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基、パーフルオロアルキル基を、Rfは炭素数5〜10のパーフルオロアルキル基を示し、その表示各位において同一である必要はない。)で表されることを特徴とする高度にフッ素化されたカルボン酸誘導体である。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】
まず、一般式[II]
【化2】
(式中、Rはアルコキシ基を、lは1〜5の整数を、mは2または3を表し、m の数値はその表示各位において同一である必要はない。R'は水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基、パーフルオロアルキル基を示し、その表示各位において同一である必要はない。)で表される、高度にフッ素化されたカルボン酸誘導体の中間体の製造法を説明する。
【0007】
有機溶媒中、塩基存在下、一般式[IV]
【化4】
(式中、mは2または3を表し、mの数値はその表示各位において同一である必要はない。R'は水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基、パーフルオロアルキル基を示し、その表示各位において同一である必要はない。)で表されることを特徴とするアミン誘導体と一般式[V]
【化5】
(式中、Rはアルコキシ基、lは1〜5の整数を表す。)で表されることを特徴とするカルボン酸を縮合させ、さらに得られる縮合体を酸処理することにより、トリフェニルメチル基を除去し、一般式[II]で表される中間体を製造できる。
【0008】
有機溶媒としては、周知の溶媒を使用できる。ジクロロメタン、クロロホルム、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、エーテル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、プロピオニトリル、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロカーボン(たとえば、フロリナートTMFC72、ノベックTMHFE-7200)などを挙げることができる。また、これらの混合物や含水物、あるいは、不均一系での反応ができることは言うまでもない。
【0009】
塩基としては、何ら制限はない。たとえば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、DBUなどの有機塩基、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基あるいは、ブチルリチウム、フェニルリチウムなどの有機金属化合物を挙げることができる。
【0010】
一般式[IV](式中、mは2または3を表し、m の数値はその表示各位において同一である必要はない。R’は水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基、パーフルオロアルキル基を示し、その表示各位において同一である必要はない。)で表されることを特徴とするアミン誘導体は周知の誘導体を利用でき、その製造法になんら制限はない。
【0011】
一般式[V](式中、Rはアルコキシ基、lは1〜5の整数を表す。)で表されることを特徴とするカルボン酸は周知の誘導体を利用でき、その製造法になんら制限はない。
【0012】
一般式[IV]で表されるアミン誘導体を一般式[V]で表されるカルボン酸と反応させる方法についても何ら制限はない。一般式[V]で表されるカルボン酸を予め、酸ハロゲン化物、混合酸無水物、対称酸無水物、活性エステルに変換させて反応させる方法や、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などの縮合試薬と直接反応させる方法が挙げられる。いずれの誘導体も周知の誘導体を利用できる。具体的には、酸塩化物、酸臭化物、ピバル酸混合酸無水物、ペンタフルオロフェニルエステル、p−ニトロフェニルエステル、コハク酸イミドエステルなど周知の誘導体を例示できる。また、縮合試薬としては前述のDCC、PyBOPTM(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート)、BOP(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート)等を挙げることができる。
【0013】
用いる、一般式[IV](式中、mは2または3を表し、m の数値はその表示各位において同一である必要はない。R’は水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基、パーフルオロアルキル基を示し、その表示各位において同一である必要はない。)で表されることを特徴とするアミン誘導体と一般式[V](式中、Rはアルコキシ基、lは1〜5の整数を表す。)で表されることを特徴とするカルボン酸、そして塩基の当量数にも何ら制限はない。いずれか1成分か2成分を過剰に用いることもできる。
【0014】
反応時間、反応温度にも何ら制限はない。いずれも個々の誘導体によって異なり、また、塩基や溶媒によっても異なるが、通常、室温から溶媒の沸点までの範囲で、1時間から7日間の範囲である。
【0015】
トリフェニルメチル基を除去するために用いられる酸としては、何ら制限はない。たとえば、カンファースルホン酸、p-トルエンスルフォン酸、トリフルオロメタンスルフォン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸、塩酸、硫酸、過塩素酸などの無機酸、トリフルオロメタンスルフォネート、トリフルオロボラン、テトラクロロチタンなどのルイス酸を挙げることができ、特に塩酸が望ましい。
【0016】
次に、本発明化合物である一般式[I](式中、Rは水酸基、アルコキシ基、ハロゲンを、lは1〜5の整数を、mは2または3を、pは2または3を、qは1または2を表し、m,p,qの数値はその表示各位において同一である必要はない。R’は水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基、パーフルオロアルキル基を、Rfは炭素数5〜10のパーフルオロアルキル基を示し、その表示各位において同一である必要はない。)で表されることを特徴とする高度にフッ素化されたカルボン酸誘導体の製造法について述べる。
【0017】
一般式[II](式中、Rはアルコキシ基を、lは1〜5の整数を、mは2または3を表し、m の数値はその表示各位において同一である必要はない。R’は水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基、パーフルオロアルキル基を示し、同一であるとは限らない。)で表される請求項4記載の高度にフッ素化されたカルボン酸誘導体の中間体を、有機溶媒中、塩基存在下、一般式[III](式中、Rfは同一もしくは異なる炭素数5〜10のパーフルオロアルキル基を、mは2または3を、pは2または3を、qは1または2を表し、m, p の数値はその表示各位において同一である必要はない。)で表される高度にフッ素化されたカルボン酸と反応させ,一般式[I](式中、Rはアルコキシ基を、lは1〜5の整数を、mは2または3を、pは2または3を、qは1または2を表し、m,p,qの数値はその表示各位において同一である必要はない。R’は水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基、パーフルオロアルキル基を、Rfは炭素数5〜10のパーフルオロアルキル基を示し、その表示各位において同一である必要はない。)で表されることを特徴とする高度にフッ素化されたカルボン酸誘導体を製造できる。
【0018】
一般式[III](式中、Rfは同一もしくは異なる炭素数5〜10のパーフルオロアルキル基を、mは2または3を、pは2または3を、qは1または2を表し、m, p の数値はその表示各位において同一である必要はない。)で表される高度にフッ素化されたカルボン酸は我々の発明した方法[特願2002−63985]の方法で製造できる。
【0019】
パーフルオロアルキル基としては周知のパーフルオロアルキル基を用いることができる。たとえば、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロデシル基、パーフルオロテトラデシル基などを挙げることができる。さらに、分岐構造や立体異性体の有無などを問わないことは言うまでもない。パーフルオロ基の導入率を高めるにはパーフルオロアルキル基は長鎖の方が有効である。しかし、通常取り扱いや入手の容易さを考慮し、炭素数5から10の範囲の誘導体を使用する。
【0020】
パーフルオロアルキル基に結合しているメチレン鎖は何ら制限はなく、通常、炭素数1〜8のメチレン鎖である。特に、炭素数1〜4のメチレン鎖が好ましい。
【0021】
一般式[III](式中、Rfは同一もしくは異なる炭素数5〜10のパーフルオロアルキル基を、mは2または3を、pは2または3を、qは1または2を表し、m, p の数値はその表示各位において同一である必要はない。)で表される高度にフッ素化されたカルボン酸を一般式[II](式中、Rはアルコキシ基を、lは1〜5の整数を、mは2または3を表し、m の数値はその表示各位において同一である必要はない。R’は水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基、パーフルオロアルキル基を示し、その表示各位において同一である必要はない。)で表される中間体と反応させる方法についても何ら制限はなく、具体的には、一般式[II]で表される中間体の製造について述べた例と同じである。
【0022】
一般式[I]で表される高度にフッ素化されたカルボン酸誘導体を製造する際に用いる、有機溶媒、反応時間、反応温度については、何ら制限はなく、具体的には、一般式[II]で表される中間体の製造について述べた例と同じである。
【0023】
以上のようにして得られる本発明化合物である一般式[I](式中、Rはアルコキシ基を、lは1〜5の整数を、mは2または3を、pは2または3を、qは1または2を表し、m,p,qの数値はその表示各位において同一である必要はない。R’は水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基、パーフルオロアルキル基を、Rfは炭素数5〜10のパーフルオロアルキル基を示し、その表示各位において同一である必要はない。)で表されることを特徴とする高度にフッ素化されたカルボン酸のエステル体は通常の方法で一般式[I](式中、Rは水酸基を、lは1〜5の整数を、mは2または3を、pは2または3を、qは1または2を表し、m,p,qの数値はその表示各位において同一である必要はない。R’は水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基、パーフルオロアルキル基を、Rfは炭素数5〜10のパーフルオロアルキル基を示し、その表示各位において同一である必要はない。)で表されるカルボン酸へ変換できる。具体的には、エステルの種類に依存する。たとえば、メチルエステル、エチルエステルなどの場合には、水酸化ナトリウム水溶液を用いる方法などアルカリ加水分解で、第三ブチルエステルの場合にはトリフルオロ酢酸などの酸分解で、ベンジルエステルなどの場合には接触水素化分解で行うことができる。
【0024】
以上のようにして得られる本発明化合物である一般式[I](式中、Rは水酸基を、lは1〜5の整数を、mは2または3を、pは2または3を、qは1または2を表し、m,p,qの数値はその表示各位において同一である必要はない。R’は水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基、パーフルオロアルキル基を、Rfは炭素数5〜10のパーフルオロアルキル基を示し、その表示各位において同一である必要はない。)で表されるカルボン酸は通常の方法で一般式[I](式中、Rはハロゲンを、lは1〜5の整数を、mは2または3を、pは2または3を、qは1または2を表し、m,p,qの数値はその表示各位において同一である必要はない。R’は水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基、パーフルオロアルキル基を、Rfは炭素数5〜10のパーフルオロアルキル基を示し、その表示各位において同一である必要はない。)で表される酸ハロゲン化物へ変換できる。具体的にはハロゲンの種類に依存する。たとえば、酸クロリドの場合はチオニルクロリドや五塩化リンなどを用いる方法で行うことができる。
【0025】
こうして得られた本発明化合物はフルオラス合成に於ける目的化合物の水酸基や官能基にパーフルオロアルキルを有するアシル型保護基として導入できる。その導入は通常のアシル化の方法が適用できることは言うまでもない。本アシル基が導入された化合物はパーフルオロカーボン層へ抽出されやすくなり、精製操作が容易になる。また、水酸基に導入した本アシル基は、ナトリウムメトキシドや水酸化ナトリウムなどの塩基性条件下に容易に除去できる。また、アミノ基に導入したアシル基は塩酸や硫酸などの酸性条件下除去可能である。しかも、脱保護された本発明化合物もしくはその誘導体はパーフルオロカーボン層へ容易に抽出されるため、回収、再利用ができ、環境に優しい製造システムを確立できる。また、本発明化合物は固相合成に用いられる固相担体に代わる液相担体として利用できることは言うまでもない。
【0026】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、その要旨を超えない限り、何ら制限を受けるものではない。
【0027】
【実施例1】
一般式[IV](但し、R は水素、mは2を示す。)で表されるアミン化合物(6.62 g, 11.3 mmol)と一般式[V](但し、RはOMe基、lは3を示す。)で表されるカルボン酸 (1.97 g, 13.5 mmol) のジクロロメタン (100 mL) 溶液にトリエチルアミン (6.3 mL, 45.0 mmol) と PyBOP (7.03 g, 13.5 mmol) を順次加え、室温で3時間撹拌した。反応液に5% クエン酸溶液を加え、酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (ヘキサン : 酢酸エチル = 2 : 1) にて精製した。得られた縮合体に4M-塩酸/ジオキサン溶液(150 mL)を加え、60度で18時間撹拌した。冷後、酢酸エチルを加え、析出した沈殿物をろ取し、一般式[II](但し、RはOMe基、R’は水素、lは3、mは2を示す。)で表される中間体 (2.98 g, 87 %)を得た。 白色粉末:1H-NMR (CD3OD):δ 1.90 (2H, m), 2.42 (2H, m), 2.54 (2H, m), 3.17 4H, m), 3.63 (3H, m), 3.70 (4H, m).
【0028】
【実施例2】
一般式[II](但し、RはOMe基、R’は水素、lは3、mは2を示す。)で表される中間体(170 mg, 0.56 mmol) と一般式[III](但し、RfはC8F17、mは2、pは3、qは2を示す。)で表される高度にフッ素化されたカルボン酸(2.00 g, 1.29 mmol)の無水ジクロロメタン (40 mL) 溶液にトリエチルアミン (0.45 mL, 4.47 mmol) と PyBOP (1.46 g, 2.80 mmol) を順次加え、室温で3時間撹拌した。反応液に5% クエン酸溶液を加え、酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (CHCl3 : MeOH = 50 : 1) にて精製し、一般式[I](但し、RがOMe、R’がH、RfがC8F17、lが3、mが2、pが3、qが2である。)で表される高度にフッ素化されたカルボン酸のメチルエステルを1.50 g(81 %) 得た。(白色粉末):1H-NMR (CDCl3):δ 1.88 (10H, m), 2.09 (8H, m), 2.50 (20H, m), 3.42 (12H, m), 3.62 (12H, m), 3.65 (3H, s)、 MALDI-TOF-MS: Calcd for C88H67F102N7NaO9 (M+Na+): 3326.3、 Found: 3323.5.
【0029】
【実施例3】
一般式[I](但し、RがOMe、R’がH、RfがC8F17、lが3、mが2、pが3、qが2である。)で表される高度にフッ素化されたカルボン酸のメチルエステル (1.50 g, 0.45 mmol) のジオキサン (80 mL) 溶液に1M NaOH (40 mL) を加え、室温で25時間撹拌した。2M HCl を加え、反応液の pH を3に調整し、EtOC4F9-酢酸エチル(2:1)の混合溶媒で3回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、一般式[I](但し、RがOH、R’がH、RfがC8F17、lが3、mが2、pが3、qが2である。)で表される高度にフッ素化されたカルボン酸(1.44 g, 97 %) を得た。(白色粉末): MALDI-TOF-MS: Calcd for C87H66F102N7O9 (M+): 3290.3, Found: 3288.7.
【0030】
【実施例4】
化合物1 (311 mg, 0.57 mmol) と一般式[I](但し、RがOH、R’がH、RfがC8F17、lが3、mが2、pが3、qが2である。)で表される高度にフッ素化されたカルボン酸 (470 mg, 0.14 mmol)の無水ジクロロメタン (35 mL) 溶液に4−ジメチルアミノピリジン (52 mg, 0.43 mmol)とPyBOP (223 mg, 0.43 mmol)を順次加え、室温で18時間撹拌した。減圧濃縮後、反応液をメタノール (40 mL) と パーフルオロカーボン(フロリナートTMFC-72 )(40 mL) で分配抽出し、FC-72層を減圧濃縮して化合物2 (515 mg、 95 %) を得た。
【化7】
【0031】
【実施例5】
化合物3 (25 mg, 6 μmol) のエーテル (0.75 mL) とメタノール (0.75 mL) 混合溶液に28% NaOMe/MeOH (8 μL) を加え、室温で1時間撹拌した。アンバーライト(IR-120; H+ form) を加えて中和し、ろ過した。ろ液の減圧濃縮残渣をFC-72 (10 mL) と メタノール (10 mL) で分配抽出し、メタノール層を減圧濃縮して化合物4 (3.4 mg, 80 %) を得た。一方、FC-72層を減圧濃縮して化合物5(Hfb-OMe) (18.1 mg, 90 %) を得た。
【化8】
【0032】
【発明の効果】
本発明化合物を用いることで、フルオラス合成を効率的に実施することができるようになり、医薬や食品添加物、化粧品、液晶、電子材料、高分子材料モノマー、機能性材料、医療材料などのファインケミカルズの製造、ペプチド、糖鎖、核酸などの複雑な天然物やそのアナローグの製造を容易にすることが可能となった。また、フルオラスプロトン酸触媒や材料表面の改質剤などとしても有用であり、本発明化合物の工業的価値や波及効果は極めて大である。
Claims (4)
- RがOH、R'がH、RfがC8F17、lが3、mが2、pが3、qが2であることを特徴とする請求項1記載の高度にフッ素化されたカルボン酸誘導体。
- RがOCH3、R'がH、RfがC8F17、lが3、mが2、pが3、qが2であることを特徴とする請求項1記載の高度にフッ素化されたカルボン酸誘導体。
- 塩基存在下、一般式[II]
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