JP2003261523A - 高度にフッ素化されたカルボン酸およびその製造方法と中間体 - Google Patents

高度にフッ素化されたカルボン酸およびその製造方法と中間体

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JP2003261523A JP2002064158A JP2002064158A JP2003261523A JP 2003261523 A JP2003261523 A JP 2003261523A JP 2002064158 A JP2002064158 A JP 2002064158A JP 2002064158 A JP2002064158 A JP 2002064158A JP 2003261523 A JP2003261523 A JP 2003261523A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フルオラス合成や材料改質などに必要な高度に
フッ素化された基を導入する試剤として高度にフッ素化
されたカルボン酸を提供する。 【解決手段】下記式 【化1】 一般式[I](式中、Rは水酸基、アルコキシ基、ハロ
ゲンを、lは1〜5の整数を、mは2または3を、pは2
または3を、qは1または2を表し、m,p,qの数値
はその表示各位において同一である必要はない。R’は
水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基、パーフ
ルオロアルキル基を、Rfは炭素数5〜10のパーフル
オロアルキル基を示し、その表示各位において同一であ
る必要はない。)で表されることを特徴とする高度にフ
ッ素化されたカルボン酸誘導体、およびその製造方法で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高度にフッ素化され
たカルボン酸誘導体に関する。医薬や食品添加物、化粧
品、液晶、電子材料、高分子材料モノマー、機能性材
料、医療材料などのファインケミカルズの製造には有機
合成化学の果たす役割が極めて高い。従来の有機合成の
概念を越える技術としてフルオラス合成が提案され、そ
の発展が望まれている。フルオラス合成とは、パーフル
オロカーボンが有機溶媒や水に溶解せず、三者が互いに
分液できることに着目し、高度にフッ素化した誘導体の
みをパーフルオロカーボン層に抽出させ、化合物の精製
を容易にかつ安全に行うという方法である。例えば化合
物Aと化合物Bを反応させる工程に先立ち、高度にフッ
素化されたカルボン酸(高度にフッ素化された基を導入
する試剤)を化合物Aと反応させる。これは高度にフッ
素化された基を導入する試剤のカルボキシル基と、化合
物Aの反応である。そののちに主反応である、当該反応
生成物と化合物Bとの反応が行われる。これは化合物A
のもう一つの官能基と化合物Bとの反応である。このよ
うにして得られた反応生成物は高度にフッ素化された基
を有する為、この反応生成物系にパーフルオロカーボン
(溶媒)を加えると、この反応生成物は容易にパーフル
オロカーボン層に移行するので、この特性を利用した操
作により、分離が極めて容易となる。しかる後、主反応
に先立ち付加しておいた高度にフッ素化された基を加水
分解等により当該反応生成物からはずし、目的とする反
応生成物を、純度高く、効率良く得ることができる。一
方、高度にフッ素化されたカルボン酸は、フッ素原子の
特性を利用し、材料表面を高度にフッ素化することがで
き、撥水性、潤滑性などを付与できることが期待でき
る。いずれの場合にも、高度にフッ素化する為に、高度
にフッ素化された基を導入する試剤が必要となる。
【0002】
【従来の技術】医薬や食品添加物等の分野において、こ
の魅力あるフルオラス合成の手法を用いた有機合成の種
々の試みが為されてきたが、いまだ成果が得られていな
い。それは、上記した予め化合物Aに反応させる、高度
にフッ素化された基を導入する試剤に、当該フルオラス
合成を成功させるものが無いことによる。高度にフッ素
化されたカルボン酸として、(Rf)3Si−C64
CO2H 〔Rf:C1021(CH22−、 C6
13(CH22−〕(Journal of Organic Chemistry誌、
62巻、2917頁、1997年参照)等があるが、い
ずれも、これらを当該フルオラス合成に高度にフッ素化
された基を導入する試剤として用いた時、当該試剤を、
上記した化合物Aに付加する反応が困難であり、加えて
当該試剤をもって付加した高度にフッ素化された基を、
主反応の後に加水分解等により当該反応生成物からはず
す操作が困難であるため、当該フルオラス合成に利用で
きなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、かか
る従来の問題に対応することである。即ち、フルオラス
合成において上記した試剤を、化合物Aに付加する反応
が困難であり、加えて付加した高度にフッ素化された基
を、当該反応生成物からはずす操作が困難であるため、
当該フルオラス合成に利用できなかった問題を解決する
ことである。この課題は、上記した、当該反応生成物の
反応系からの高い分離能を実現するものであり、また、
有機化学反応でよく利用される、その単位プロセスで反
応に係わらない官能基を保護する高度にフッ素化された
保護基を実現するものである。また一つの本発明の課題
は、高分子材料や天然素材の特異な表面修飾剤を、そし
て特異なフルオラス有機プロトン酸触媒を提供すること
にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】フルオラス合成において
上記した試剤を化合物Aに付加する反応は困難であり、
加えて付加した高度にフッ素化された基を、当該反応生
成物から除去する操作が困難であるため、これを当該フ
ルオラス合成に利用できなかった。本発明者らは、鋭意
検討した結果、本発明化合物を構成するメチレン基が、
従来の問題を解決する効果を見出した。また、以前我々
が発明した高度にフッ素化されたカルボン酸[特願20
02−63985]以上に充分なフッ素の導入を図り、
このことにも成功し、よりフルオラス合成を効率的に行
える本発明を完成させたのである。そして、充分なフッ
素の導入にはこれまでに誰も発想しえなかった構造であ
る複数のアミノ基を有する一般式[II]で表される製
造中間体が必須である。
【化6】 すなわち、本発明は、一般式[I](式中、Rは水酸
基、アルコキシ基、ハロゲンを、lは1〜5の整数を、
mは2または3を、pは2または3を、qは1または2を
表し、m,p,qの数値はその表示各位において同一で
ある必要はない。R’は水素、アルキル基、アラルキル
基、アリール基、パーフルオロアルキル基を、Rfは炭
素数5〜10のパーフルオロアルキル基を示し、その表
示各位において同一である必要はない。)で表されるこ
とを特徴とする高度にフッ素化されたカルボン酸誘導体
である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】まず、一般式[II](式中、Rはアルコ
キシ基を、lは1〜5の整数を、mは2または3を表
し、m の数値はその表示各位において同一である必要
はない。R’は水素、アルキル基、アラルキル基、アリ
ール基、パーフルオロアルキル基を示し、その表示各位
において同一である必要はない。)で表される請求項4
記載の高度にフッ素化されたカルボン酸誘導体の中間体
の製造法を説明する。
【0007】有機溶媒中、塩基存在下、一般式[IV]
(式中、mは2または3を表し、mの数値はその表示各
位において同一である必要はない。R’は水素、アルキ
ル基、アラルキル基、アリール基、パーフルオロアルキ
ル基を示し、その表示各位において同一である必要はな
い。)で表されることを特徴とするアミン誘導体と一般
式[V](式中、Rはアルコキシ基、lは1〜5の整数
を表す。)で表されることを特徴とするカルボン酸を縮
合させ、さらに得られる縮合体を酸処理することによ
り、トリフェニルメチル基を除去し、一般式[II]で表
される中間体を製造できる。
【0008】有機溶媒としては、周知の溶媒を使用でき
る。ジクロロメタン、クロロホルム、ヘキサン、ベンゼ
ン、トルエン、テトラヒドロフラン、エーテル、N,N
−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、アセトニトリル、プロピオニトリル、酢酸エチル、
ジメチルスルホキシド、メチルエチルケトン、パーフル
オロヘキサン、パーフルオロカーボン(たとえば、フロ
リナートTMFC72、ノベックTMHFE-7200)な
どを挙げることができる。また、これらの混合物や含水
物、あるいは、不均一系での反応ができることは言うま
でもない。
【0009】塩基としては、何ら制限はない。たとえ
ば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジ
イソプロピルエチルアミン、ピリジン、DBUなどの有
機塩基、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムなどの無機塩基あるいは、ブチルリ
チウム、フェニルリチウムなどの有機金属化合物を挙げ
ることができる。
【0010】一般式[IV](式中、mは2または3を表
し、m の数値はその表示各位において同一である必要
はない。R’は水素、アルキル基、アラルキル基、アリ
ール基、パーフルオロアルキル基を示し、その表示各位
において同一である必要はない。)で表されることを特
徴とするアミン誘導体は周知の誘導体を利用でき、その
製造法になんら制限はない。
【0011】一般式[V](式中、Rはアルコキシ基、
lは1〜5の整数を表す。)で表されることを特徴とす
るカルボン酸は周知の誘導体を利用でき、その製造法に
なんら制限はない。
【0012】一般式[IV]で表されるアミン誘導体を一
般式[V]で表されるカルボン酸と反応させる方法につ
いても何ら制限はない。一般式[V]で表されるカルボ
ン酸を予め、酸ハロゲン化物、混合酸無水物、対称酸無
水物、活性エステルに変換させて反応させる方法や、
N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)な
どの縮合試薬と直接反応させる方法が挙げられる。いず
れの誘導体も周知の誘導体を利用できる。具体的には、
酸塩化物、酸臭化物、ピバル酸混合酸無水物、ペンタフ
ルオロフェニルエステル、p−ニトロフェニルエステ
ル、コハク酸イミドエステルなど周知の誘導体を例示で
きる。また、縮合試薬としては前述のDCC、PyBO
TM(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス
−ピロリジノ−ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェ
ート)、BOP(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキ
シ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフ
ルオロホスフェート)等を挙げることができる。
【0013】用いる、一般式[IV](式中、mは2また
は3を表し、m の数値はその表示各位において同一で
ある必要はない。R’は水素、アルキル基、アラルキル
基、アリール基、パーフルオロアルキル基を示し、その
表示各位において同一である必要はない。)で表される
ことを特徴とするアミン誘導体と一般式[V](式中、
Rはアルコキシ基、lは1〜5の整数を表す。)で表さ
れることを特徴とするカルボン酸、そして塩基の当量数
にも何ら制限はない。いずれか1成分か2成分を過剰に
用いることもできる。
【0014】反応時間、反応温度にも何ら制限はない。
いずれも個々の誘導体によって異なり、また、塩基や溶
媒によっても異なるが、通常、室温から溶媒の沸点まで
の範囲で、1時間から7日間の範囲である。
【0015】トリフェニルメチル基を除去するために用
いられる酸としては、何ら制限はない。たとえば、カン
ファースルホン酸、p-トルエンスルフォン酸、トリフル
オロメタンスルフォン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸など
の有機酸、塩酸、硫酸、過塩素酸などの無機酸、トリフ
ルオロメタンスルフォネート、トリフルオロボラン、テ
トラクロロチタンなどのルイス酸を挙げることができ、
特に塩酸が望ましい。
【0016】次に、本発明化合物である一般式[I]
(式中、Rは水酸基、アルコキシ基、ハロゲンを、lは
1〜5の整数を、mは2または3を、pは2または3を、
qは1または2を表し、m,p,qの数値はその表示各
位において同一である必要はない。R’は水素、アルキ
ル基、アラルキル基、アリール基、パーフルオロアルキ
ル基を、Rfは炭素数5〜10のパーフルオロアルキル
基を示し、その表示各位において同一である必要はな
い。)で表されることを特徴とする高度にフッ素化され
たカルボン酸誘導体の製造法について述べる。
【0017】一般式[II](式中、Rはアルコキシ基
を、lは1〜5の整数を、mは2または3を表し、m
の数値はその表示各位において同一である必要はない。
R’は水素、アルキル基、アラルキル基、アリール基、
パーフルオロアルキル基を示し、同一であるとは限らな
い。)で表される請求項4記載の高度にフッ素化された
カルボン酸誘導体の中間体を、有機溶媒中、塩基存在
下、一般式[III](式中、Rfは同一もしくは異な
る炭素数5〜10のパーフルオロアルキル基を、mは2
または3を、pは2または3を、qは1または2を表
し、m, p の数値はその表示各位において同一である必
要はない。)で表される高度にフッ素化されたカルボン
酸と反応させ,一般式[I](式中、Rはアルコキシ基
を、lは1〜5の整数を、mは2または3を、pは2また
は3を、qは1または2を表し、m,p,qの数値はそ
の表示各位において同一である必要はない。R’は水
素、アルキル基、アラルキル基、アリール基、パーフル
オロアルキル基を、Rfは炭素数5〜10のパーフルオ
ロアルキル基を示し、その表示各位において同一である
必要はない。)で表されることを特徴とする高度にフッ
素化されたカルボン酸誘導体を製造できる。
【0018】一般式[III](式中、Rfは同一もしく
は異なる炭素数5〜10のパーフルオロアルキル基を、
mは2または3を、pは2または3を、qは1または2を
表し、m, p の数値はその表示各位において同一である
必要はない。)で表される高度にフッ素化されたカルボ
ン酸は我々の発明した方法[特願2002−63985]
の方法で製造できる。
【0019】パーフルオロアルキル基としては周知のパ
ーフルオロアルキル基を用いることができる。たとえ
ば、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロヘプチル
基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロデシル基、
パーフルオロテトラデシル基などを挙げることができ
る。さらに、分岐構造や立体異性体の有無などを問わな
いことは言うまでもない。パーフルオロ基の導入率を高
めるにはパーフルオロアルキル基は長鎖の方が有効であ
る。しかし、通常取り扱いや入手の容易さを考慮し、炭
素数5から10の範囲の誘導体を使用する。
【0020】パーフルオロアルキル基に結合しているメ
チレン鎖は何ら制限はなく、通常、炭素数1〜8のメチ
レン鎖である。特に、炭素数1〜4のメチレン鎖が好ま
しい。
【0021】一般式[III](式中、Rfは同一もしく
は異なる炭素数5〜10のパーフルオロアルキル基を、
mは2または3を、pは2または3を、qは1または2を
表し、m, p の数値はその表示各位において同一である
必要はない。)で表される高度にフッ素化されたカルボ
ン酸を一般式[II](式中、Rはアルコキシ基を、lは
1〜5の整数を、mは2または3を表し、m の数値は
その表示各位において同一である必要はない。R’は水
素、アルキル基、アラルキル基、アリール基、パーフル
オロアルキル基を示し、その表示各位において同一であ
る必要はない。)で表される中間体と反応させる方法に
ついても何ら制限はなく、具体的には、一般式[II]で
表される中間体の製造について述べた例と同じである。
【0022】一般式[I]で表される高度にフッ素化さ
れたカルボン酸誘導体を製造する際に用いる、有機溶
媒、反応時間、反応温度については、何ら制限はなく、
具体的には、一般式[II]で表される中間体の製造につ
いて述べた例と同じである。
【0023】以上のようにして得られる本発明化合物で
ある一般式[I](式中、Rはアルコキシ基を、lは1
〜5の整数を、mは2または3を、pは2または3を、q
は1または2を表し、m,p,qの数値はその表示各位
において同一である必要はない。R’は水素、アルキル
基、アラルキル基、アリール基、パーフルオロアルキル
基を、Rfは炭素数5〜10のパーフルオロアルキル基
を示し、その表示各位において同一である必要はな
い。)で表されることを特徴とする高度にフッ素化され
たカルボン酸のエステル体は通常の方法で一般式[I]
(式中、Rは水酸基を、lは1〜5の整数を、mは2ま
たは3を、pは2または3を、qは1または2を表し、
m,p,qの数値はその表示各位において同一である必
要はない。R’は水素、アルキル基、アラルキル基、ア
リール基、パーフルオロアルキル基を、Rfは炭素数5
〜10のパーフルオロアルキル基を示し、その表示各位
において同一である必要はない。)で表されるカルボン
酸へ変換できる。具体的には、エステルの種類に依存す
る。たとえば、メチルエステル、エチルエステルなどの
場合には、水酸化ナトリウム水溶液を用いる方法などア
ルカリ加水分解で、第三ブチルエステルの場合にはトリ
フルオロ酢酸などの酸分解で、ベンジルエステルなどの
場合には接触水素化分解で行うことができる。
【0024】以上のようにして得られる本発明化合物で
ある一般式[I](式中、Rは水酸基を、lは1〜5の
整数を、mは2または3を、pは2または3を、qは1ま
たは2を表し、m,p,qの数値はその表示各位におい
て同一である必要はない。R’は水素、アルキル基、ア
ラルキル基、アリール基、パーフルオロアルキル基を、
Rfは炭素数5〜10のパーフルオロアルキル基を示
し、その表示各位において同一である必要はない。)で
表されるカルボン酸は通常の方法で一般式[I](式
中、Rはハロゲンを、lは1〜5の整数を、mは2また
は3を、pは2または3を、qは1または2を表し、
m,p,qの数値はその表示各位において同一である必
要はない。R’は水素、アルキル基、アラルキル基、ア
リール基、パーフルオロアルキル基を、Rfは炭素数5
〜10のパーフルオロアルキル基を示し、その表示各位
において同一である必要はない。)で表される酸ハロゲ
ン化物へ変換できる。具体的にはハロゲンの種類に依存
する。たとえば、酸クロリドの場合はチオニルクロリド
や五塩化リンなどを用いる方法で行うことができる。
【0025】こうして得られた本発明化合物はフルオラ
ス合成に於ける目的化合物の水酸基や官能基にパーフル
オロアルキルを有するアシル型保護基として導入でき
る。その導入は通常のアシル化の方法が適用できること
は言うまでもない。本アシル基が導入された化合物はパ
ーフルオロカーボン層へ抽出されやすくなり、精製操作
が容易になる。また、水酸基に導入した本アシル基は、
ナトリウムメトキシドや水酸化ナトリウムなどの塩基性
条件下に容易に除去できる。また、アミノ基に導入した
アシル基は塩酸や硫酸などの酸性条件下除去可能であ
る。しかも、脱保護された本発明化合物もしくはその誘
導体はパーフルオロカーボン層へ容易に抽出されるた
め、回収、再利用ができ、環境に優しい製造システムを
確立できる。また、本発明化合物は固相合成に用いられ
る固相担体に代わる液相担体として利用できることは言
うまでもない。
【0026】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体
的に説明するが、その要旨を超えない限り、何ら制限を
受けるものではない。
【0027】
【実施例1】一般式[IV](但し、R は水素、mは2を
示す。)で表されるアミン化合物(6.62 g, 11.3 mmol)
と一般式[V](但し、RはOMe基、lは3を示
す。)で表されるカルボン酸 (1.97 g, 13.5 mmol) の
ジクロロメタン (100 mL) 溶液にトリエチルアミン (6.
3 mL, 45.0 mmol) と PyBOP (7.03 g, 13.5 mmol) を順
次加え、室温で3時間撹拌した。反応液に5% クエン酸
溶液を加え、酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル層
を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、
溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー (ヘキサン: 酢酸エチル = 2 : 1) にて精製
した。得られた縮合体に4M-塩酸/ジオキサン溶液(150
mL)を加え、60度で18時間撹拌した。冷後、酢酸
エチルを加え、析出した沈殿物をろ取し、一般式[II]
(但し、RはOMe基、R’は水素、lは3、mは2を
示す。)で表される中間体 (2.98 g, 87 %)を得た。
白色粉末: 1H-NMR (CD3OD):δ 1.90 (2H, m), 2.42 (2
H, m), 2.54 (2H, m), 3.17 4H, m),3.63 (3H, m), 3.7
0 (4H, m).
【0028】
【実施例2】一般式[II](但し、RはOMe基、R’
は水素、lは3、mは2を示す。)で表される中間体(17
0 mg, 0.56 mmol) と一般式[III](但し、RfはC8
1 7、mは2、pは3、qは2を示す。)で表される高
度にフッ素化されたカルボン酸(2.00 g, 1.29 mmol)の
無水ジクロロメタン (40 mL) 溶液にトリエチルアミン
(0.45 mL, 4.47 mmol) と PyBOP (1.46 g, 2.80 mmol)
を順次加え、室温で3時間撹拌した。反応液に5% クエ
ン酸溶液を加え、酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチ
ル層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥
し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー (CHCl3 : MeOH = 50 :1) にて精製し、
一般式[I](但し、RがOMe、R’がH、RfがC8
17、lが3、mが2、pが3、qが2である。)で表
される高度にフッ素化されたカルボン酸のメチルエステ
ルを1.50 g(81 %) 得た。(白色粉末):1H-NMR (CDC
l3):δ 1.88 (10H, m), 2.09 (8H, m), 2.50 (20H, m),
3.42 (12H, m), 3.62 (12H, m), 3.65 (3H, s)、 MALD
I-TOF-MS: Calcd for C88H67F102N7NaO9 (M+Na+): 332
6.3、 Found: 3323.5.
【0029】
【実施例3】一般式[I](但し、RがOMe、R’が
H、RfがC817、lが3、mが2、pが3、qが2
である。)で表される高度にフッ素化されたカルボン酸
のメチルエステル (1.50 g, 0.45 mmol) のジオキサン
(80 mL) 溶液に1M NaOH (40 mL) を加え、室温で25時
間撹拌した。2M HCl を加え、反応液の pH を3に調整
し、EtOC4F9-酢酸エチル(2:1)の混合溶媒で3回抽出し
た。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧
留去し、一般式[I](但し、RがOH、R’がH、Rf
がC817、lが3、mが2、pが3、qが2であ
る。)で表される高度にフッ素化されたカルボン酸(1.4
4 g, 97 %) を得た。(白色粉末): MALDI-TOF-MS: Ca
lcd for C87H66F102N7O9 (M+): 3290.3, Found: 3288.
7.
【0030】
【実施例4】化合物1 (311 mg, 0.57 mmol) と一般式
[I](但し、RがOH、R’がH、RfがC817、l
が3、mが2、pが3、qが2である。)で表される高
度にフッ素化されたカルボン酸 (470 mg, 0.14 mmol)の
無水ジクロロメタン (35 mL)溶液に4−ジメチルアミノ
ピリジン (52 mg, 0.43 mmol)とPyBOP (223 mg,0.
43 mmol)を順次加え、室温で18時間撹拌した。減圧濃縮
後、反応液をメタノール (40 mL) と パーフルオロカー
ボン(フロリナートTMFC-72 )(40 mL) で分配抽出し、
FC-72層を減圧濃縮して化合物2 (515 mg、 95 %) を得
た。
【化7】
【0031】
【実施例5】化合物3 (25 mg, 6 μmol) のエーテル
(0.75 mL) とメタノール (0.75 mL) 混合溶液に28% NaO
Me/MeOH (8 μL) を加え、室温で1時間撹拌した。ア
ンバーライト(IR-120; H+ form) を加えて中和し、ろ過
した。ろ液の減圧濃縮残渣をFC-72 (10 mL) と メタノ
ール (10 mL) で分配抽出し、メタノール層を減圧濃縮
して化合物4 (3.4 mg, 80 %) を得た。一方、FC-72層
を減圧濃縮して化合物5(Hfb-OMe) (18.1 mg, 90 %)
を得た。
【化8】
【0032】
【発明の効果】本発明化合物を用いることで、フルオラ
ス合成を効率的に実施することができるようになり、医
薬や食品添加物、化粧品、液晶、電子材料、高分子材料
モノマー、機能性材料、医療材料などのファインケミカ
ルズの製造、ペプチド、糖鎖、核酸などの複雑な天然物
やそのアナローグの製造を容易にすることが可能となっ
た。また、フルオラスプロトン酸触媒や材料表面の改質
剤などとしても有用であり、本発明化合物の工業的価値
や波及効果は極めて大である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式[I] 【化1】 (式中、Rは水酸基、アルコキシ基、ハロゲンを、lは
    1〜5の整数を、mは2または3を、pは2または3を、
    qは1または2を表し、m,p,qの数値はその表示各
    位において同一である必要はない。R’は水素、アルキ
    ル基、アラルキル基、アリール基、パーフルオロアルキ
    ル基を、Rfは炭素数5〜10のパーフルオロアルキル
    基を示し、その表示各位において同一である必要はな
    い。)で表されることを特徴とする高度にフッ素化され
    たカルボン酸誘導体。
  2. 【請求項2】 RがOH、R’がH、RfがC817
    lが3、mが2、pが3、qが2であることを特徴とす
    る請求項1記載の高度にフッ素化されたカルボン酸誘導
    体。
  3. 【請求項3】 RがOCH3、R’がH、RfがC
    817、lが3、mが2、pが3、qが2であることを
    特徴とする請求項1記載の高度にフッ素化されたカルボ
    ン酸誘導体。
  4. 【請求項4】 下記式[II] 【化2】 (式中、Rはアルコキシ基を、lは1〜5の整数を、m
    は2または3を表し、mの数値はその表示各位において
    同一である必要はない。R’は水素、アルキル基、アラ
    ルキル基、アリール基、パーフルオロアルキル基を示
    し、その表示各位において同一である必要はない。)で
    表される請求項1記載の高度にフッ素化されたカルボン
    酸誘導体の中間体。
  5. 【請求項5】 RがOCH3、R’は水素、lが3、m
    が2であることを特徴とする請求項4記載の高度にフッ
    素化されたカルボン酸誘導体の中間体。
  6. 【請求項6】 塩基存在下、一般式[II](式中、R
    はアルコキシ基を、lは1〜5の整数を、mは2または
    3を表し、m の数値はその表示各位において同一であ
    る必要はない。R’は水素、アルキル基、アラルキル
    基、アリール基、パーフルオロアルキル基を示し、その
    表示各位において同一である必要はない。)で表される
    製造中間体と下記式[III] 【化3】 (式中、Rfは同一もしくは異なる炭素数5〜10のパ
    ーフルオロアルキル基を、mは2または3を、pは2また
    は3を、qは1または2を表し、m、 p の数値はその表
    示各位において同一である必要はない。)で表される高
    度にフッ素化されたカルボン酸と縮合させる工程を含む
    こと特徴とする請求項1記載の高度にフッ素化されたカ
    ルボン酸誘導体の製造方法。
  7. 【請求項7】 塩基存在下、下記式[IV] 【化4】 (式中、mは2または3を表し、m の数値はその表示
    各位において同一である必要はない。R’は水素、アル
    キル基、アラルキル基、アリール基、パーフルオロアル
    キル基を示し、その表示各位において同一である必要は
    ない。Phはフェニル基を表す。)で表されることを特徴
    とするアミン誘導体と、下記式[V] 【化5】 (式中、Rはアルコキシ基、lは1〜5の整数を表
    す。)で表されることを特徴とするカルボン酸を縮合さ
    せる工程、さらに得られる縮合体を酸処理することによ
    り、トリフェニルメチル基を除去することを特徴とする
    請求項4記載の一般式[II]で表される中間体の製造
    方法。
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