JP2007268915A - ノーカーボン感圧複写紙、感圧複写紙用溶剤組成物およびマイクロカプセル分散液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】動植物油の脂肪酸モノエステルおよび/または植物油と、グルタル酸ジメチルを主成分として含む一般式:ROOC−(CH2)n−COOR、但しn=2〜4の整数、R=C1又はC2のアルキル基、で示される直鎖飽和脂肪酸ジエステルとを主成分とする感圧複写紙用溶剤組成物は耐環境的に好ましく、マイクロカプセル分散液を作成でき、発色濃度、印字保存性に優れたノーカーボン感圧複写紙の製造に使用できる。
【選択図】なし
Description
上述のノーカーボン感圧複写紙に使用されるマイクロカプセルには発色剤が溶媒に溶解されて内包されている。このように発色剤を溶解する溶媒を本発明では感圧複写紙用溶剤組成物と呼ぶ。
(1)ゼラチン−アラビアゴムのポリイオンコンプレックスを利用したコアセルベーション法。
(2)分散媒となる親水性液体と内包すべき疎水性液体の界面において不溶性皮膜を形成する界面重合法。
(3)メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂等の初期縮合物を分散媒となる親水性液体側から添加した後、樹脂化せしめてカプセル化を行うin situ重合法等。
また特許文献2では感圧複写紙用溶剤組成物として特定のグリセライドと植物油の混合物を使用することによって発色濃度が高く、かつ発色汚れのない記録材料を提供することが開示されている。
さらに、前記直鎖飽和脂肪酸ジエステルが、グルタル酸ジメチルを、グルタル酸ジメチル以外の必要に応じて含有する少なくとも一種以上の前記直鎖飽和脂肪酸ジエステルについて、各々に対して50質量%以上の割合で含む直鎖飽和脂肪酸ジエステルであることが好ましい。
前記直鎖飽和脂肪酸ジエステルが実質的にグルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチルおよびコハク酸ジメチルからなる直鎖飽和脂肪酸ジエステルであることが好ましい。
前記動植物油の脂肪酸モノエステルが脂肪酸メチルエステルであることが好ましい。
前記動植物油の脂肪酸モノエステルおよび/または植物油と前記直鎖飽和脂肪酸ジエステルの質量比が100:100乃至100:5の範囲にあることが好ましい。
前記直鎖飽和脂肪酸ジエステルのアジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチルおよびコハク酸ジメチルの質量比がアジピン酸ジメチル10〜25、グルタル酸ジメチル55〜65、コハク酸ジメチル15〜25の範囲にあることがより好ましい。
前述の感圧複写紙用溶剤組成物を疎水性溶剤とし、トリフェニルメタンフタリド系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、インドリルアザフタリド系化合物、フルオラン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スピロピラン系化合物、トリアゼン系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物からなる染料群の中から選択される少なくとも一つの染料とともに内包したマイクロカプセル分散液とすることが好ましい。
前記のマイクロカプセル分散液を含有する塗工液を支持体上に塗布して形成した塗工層を有するノーカーボン感圧複写紙が好ましい。
本発明のノーカーボン感圧複写紙は、上記発色剤および顕色剤を含むものである限り、その形態は特に限定されない。即ち、本発明は、前記のような発色剤層と顕色剤層とが別々の支持体の表面または支持体の別の表面に形成されたノーカーボン紙型感圧記録紙および支持体の同一表面上に発色剤を含有するマイクロカプセルと顕色剤とを含む自己発色層が設けられた自己発色型感圧記録紙の何れの形態であってもよい。
本発明で使用する植物油としては大豆油、サラダ油、綿実油、菜種油、オリーブ油、ヤシ油等の天然植物油が挙げられる。植物油の組成は長鎖脂肪酸トリグリセリド(LCT)の混合物であり、主要脂肪酸は炭素数12以上のパルミチン酸(炭素数16)、ステアリン酸(炭素数18)等の飽和脂肪酸やオレイン酸(炭素数18)、リノール酸(炭素数18)等のような不飽和脂肪酸である。一部に炭素数4の低級脂肪酸、炭素数20、22等の脂肪酸からなるトリグリセリドを含むことも可能だが、溶剤の主体は炭素数12〜18の長鎖脂肪酸からなるトリグリセリドである。
更に脂肪酸モノエステルの中では脂肪酸メチルエステルの方が発色濃度等の点でより好ましい。
特に、特定の直鎖飽和脂肪酸ジエステルを併用するので、染料の溶解性が格別に向上しカプセル分散液残渣量低減の効果があがり、発色汚れが起こりにくくなる。
なかでもC1のジメチルエステルを使用することが染料の溶解性を高める上で効果的であるのでより好ましい。従って具体的には、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチルまたはコハク酸ジメチルの3種の直鎖飽和脂肪酸ジエステルを単独または併用して使用することがより好ましい。
染料として3−ジエチルアミノー6−メチルー7−(2,4−キシリジノ)フルオラン(商品名:BLACK−15、山本化成社製)3部と3−ジエチルアミノー6−メチルー7−(2,6−キシリジノ)フルオラン(商品名:BLACK−173、山本化成社製)3部と3−ジエチルアミノー7−(m−トリフルオロメチル)アニリノフルオラン(商品名:BLACK−100、山田化学社製)3部および3−(N−エチルーp−トルイジノ)−6−メチルー7−アニリノフルオラン(商品名:LDK−1003、山田化学社製)3部を併用して発色剤とし、アジピン酸ジメチル8部、グルタル酸ジメチル24部およびコハク酸ジメチル8部から実質的になる直鎖飽和脂肪酸ジエステル(商品名:DBE、デュポン社製)と大豆油60部との混合物により構成される感圧複写紙用溶剤組成物に溶解した。この発色剤溶液をポリメチレンポリフェニルイソシアネート(商品名:ミリオネートMR−500、日本ポリウレタン工業社製)4部とイソシアヌレート環を有するヘキサメチレンジイソシアネートの3量体(商品名:コロネートHX、日本ポリウレタン工業社製)8部、さらにN−アミノエチルピペラジンのブチレンオキサイド10モル付加物3部とを溶解した。
実施例1において使用した感圧複写紙用溶剤組成物において大豆油の代わりに菜種油30部、パーム油30部100部を使用した他は実施例1と同様にして感圧複写紙用上用紙を作成した。
実施例1において使用した感圧複写紙用溶剤組成物において大豆油の代わりに大豆油脂肪酸メチルエステル60部を使用した他は実施例1と同様にして感圧複写紙用上用紙を作成した。
実施例1において使用した感圧複写紙用溶剤組成物において大豆油の代わりに菜種油脂肪酸メチルエステル30部とパーム油脂肪酸メチルエステル30部を使用した他は実施例1と同様にして感圧複写紙用上用紙を作成した。
実施例1において使用した感圧複写紙用溶剤組成物において大豆油の代わりにパーム油30部と大豆油脂肪酸メチルエステル30部を使用した他は実施例1と同様にして感圧複写紙用上用紙を作成した。
実施例1において使用した感圧複写紙用溶剤組成物において大豆油を90部として、同じ直鎖飽和脂肪酸ジエステルを全体で10部にして使用した他は実施例1と同様にして感圧複写紙用上用紙を作成した。
実施例1において使用した感圧複写紙用溶剤組成物において大豆油の代わりに大豆油脂肪酸エチルエステル60部を使用した他は実施例1と同様にして感圧複写紙用上用紙を作成した。
実施例6において使用した感圧複写紙用溶剤組成物において大豆油の代わりに大豆油脂肪酸メチルエステル90部を使用した他は実施例6と同様にして感圧複写紙用上用紙を作成した。
実施例8において使用した染料の組み合わせを3−ジエチルアミノー7−(m−トリフルオロメチル)アニリノフルオラン(商品名:BLACK−100、山田化学社製)3部、3−(N−エチルーp−トルイジノ)−6−メチルー7−アニリノフルオラン(商品名:LDK−1003、山田化学社製)3部、3−ピロリジノー6−メチルー7−アニリノフルオラン(商品名:PSD−170、日本曹達社製)3部、および3−(N−エチルーN−イソアミルアミノ)−6−メチルー7−アニリノフルオラン(商品名:S−205、山田化学社製)3部、とした他は実施例8と同様にして感圧複写紙用上用紙を作成した。
実施例8において使用した染料の組み合わせを3−ジエチルアミノー6−メチルー7−アニリノフルオラン(商品名:ODB、山本化成社製)3部、3−ジーn−ブチルアミノー6−メチルー7−p−クロロアニリノフルオラン(商品名:ODB−2、山本化成社製)3部、3−(N−シクロヘキシルーN−メチルアミノ)−6−メチルー7−アニリノフルオラン(商品名:PSD−150、日本曹達社製)3部、および3−(N−エチルーN−イソアミルアミノ)−6−メチルー7−アニリノフルオラン(商品名:S−205、山田化学社製)3部、とした他は実施例8と同様にして感圧複写紙用上用紙を作成した。
実施例1において使用した感圧複写紙用溶剤組成物において直鎖飽和脂肪酸ジエステルとして実質的にグルタル酸ジメチルから構成される直鎖飽和脂肪酸ジエステル(商品名:DBE−5、デュポン社製)を40部使用した他は実施例1と同様にして感圧複写紙用上用紙を作成した。
実施例3において使用した感圧複写紙用溶剤組成物において直鎖飽和脂肪酸ジエステルを使用せずに大豆油脂肪酸メチルエステル100部を使用した他は実施例3と同様にして感圧複写紙用上用紙を作成した。
比較例1において使用した同一染料を全て半分量にして使用した他は比較例1と同様にして感圧複写紙用上用紙を作成した。
実施例、比較例で得られた発色剤溶液を30℃で維持し24時間放置した後の染料の析出状態を観察し、それらの結果を表1に示した。
実施例、比較例で得られたカプセル分散液500gを250メッシュの篩でろ過し、篩上に残った固形物を100℃で1時間乾燥してその質量を測定した。
上用紙と下用紙を塗布面同士が対向するように重ね合わせ、オリンピア電子タイプライターe1ectric−65(オリンピア社製)の強圧で発色させ、24時間後に呈色剤塗布面の発色濃度をマクベス反射式濃度計RD−914(マクベス社製)で測定した。
上用紙と下用紙を塗布面同士が対向するように重ね合わせ、その上に50cm2あたり500gの荷重をかけて50℃90%RHの条件下で24時間放置し、下用紙の発色汚れ状態を目視で観察した。
◎:全く汚れていない
○:少し汚れているが実用上問題ない。
△:汚れていて実用上問題有り。
×:著しく汚れていて実用上問題有り。
上用紙と下用紙を市販のKSコピーブライト青発色上用紙N−40(王子製紙社製)と並べて23℃、50%RHの環境下でボールペン印字し印字の応答性を目視で観察した。
◎:比較の市販品と同等あるいは同等以上の応答性である。
○:比較の市販品より応答が少し遅いが実用上問題が無い。
△:比較の市販品と比較して発色が遅い。
各実施例の上記各種特性の比較試験の結果は、参考用として行った感圧複写紙用溶剤組成物として従来から使用していた芳香族系溶媒(商品名:KMC−113、ルトガスクレハ社製、)100部を使用して、実施例1と同じ染料を同じ量使用して実施例1と同様に作成して得られたサンプルとほぼ同様の結果を示すものであった。
また、実施例1において使用したアジピン酸ジメチル8部、グルタル酸ジメチル24部およびコハク酸ジメチル8部から構成される直鎖飽和脂肪酸ジエステルを上記の従来から使用していた芳香族系溶媒60部と混合して感圧複写紙用溶剤組成物とし、実施例1と同様にして得られたサンプルについて上記各種特性の比較試験を行ったところ、発色濃度の項目のみ各実施例のものの8割程度の値を示した。これはこの種の直鎖飽和脂肪酸ジエステルは動植物油の脂肪酸モノエステル、植物油等と組み合わせることがより好ましいことを示していると考えられる。
Claims (8)
- 動植物油の脂肪酸モノエステルおよび/または植物油と、グルタル酸ジメチルを主成分として含む一般式一般式:ROOC−(CH2)n−COOR、但しn=2〜4の整数、R=C1又はC2のアルキル基、で示される直鎖飽和脂肪酸ジエステルとを主成分とする感圧複写紙用溶剤組成物。
- 前記直鎖飽和脂肪酸ジエステルが、グルタル酸ジメチルを、グルタル酸ジメチル以外の必要に応じて含有する少なくとも一種以上の前記直鎖飽和脂肪酸ジエステルについて、各々に対して50質量%以上の割合で含む直鎖飽和脂肪酸ジエステルである請求項1記載の感圧複写紙用溶剤組成物。
- 前記直鎖飽和脂肪酸ジエステルが実質的にグルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチルおよびコハク酸ジメチルからなる直鎖飽和脂肪酸ジエステルである請求項1または2記載の感圧複写紙用溶剤組成物。
- 前記動植物油の脂肪酸モノエステルが脂肪酸メチルエステルである請求項1から3のいずれか一項に記載の感圧複写紙用溶剤組成物。
- 前記動植物油の脂肪酸モノエステルおよび/または植物油と前記直鎖飽和脂肪酸ジエステルの質量比が100:100乃至100:5の範囲にあることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の感圧複写紙用溶剤組成物。
- 前記アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチルおよびコハク酸ジメチルの質量比がアジピン酸ジメチル10〜25、グルタル酸ジメチル55〜65、コハク酸ジメチル15〜25の範囲にあることを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の感圧複写紙用溶剤組成物。
- 請求項1から6のいずれか一項に記載の感圧複写紙用溶剤組成物を疎水性溶剤とし、トリフェニルメタンフタリド系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、インドリルアザフタリド系化合物、フルオラン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スピロピラン系化合物、トリアゼン系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物からなる染料群の中から選択される少なくとも一つの染料とともに内包したマイクロカプセル分散液。
- 請求項7に記載のマイクロカプセル分散液を含有する塗工液を支持体上に塗布して形成した塗工層を有するノーカーボン感圧複写紙。
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