JP2007268538A - 溶接ロボットの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電極32を駆動させて、接合される部材同士を電極31,32で所定の加圧力で挟んだ状態で通電して部材同士を接合するスポット溶接ガン3を備える溶接ロボットの制御装置2は、電極31,32が所定の状態まで摩耗して研磨装置により当該電極31,32の研磨を行う際に、最低限研磨すべき電極31,32の基準研磨量を記憶する記憶手段24と、研磨装置により電極31,32の研磨を行った場合に電極31,32の研磨量を算出する研磨量算出手段62と、研磨量算出手段62により算出された電極31,32の研磨量が記憶手段24に記憶された基準研磨量以上であるか否かを判断する判断手段65と、を備える。
【選択図】図2
Description
溶接作業を繰り返し行うと電極の先端が摩耗し、被溶接物に当接する電極の先端形状が変化してしまう。電極の先端形状が通電路の電流密度を決定するため、このように電極が変形摩耗した状態では、適切な溶接ができなくなり溶接品質に大きく影響を与えてしまう。そのため、電極が変形する前に電極を研磨し、電極の先端形状を整える作業を行う必要がある。電極研磨は、通常、数百打点毎に実施される。研磨作業は、スポット溶接ロボットの制御装置にて指令された加圧力と指令された時間をあらかじめ定められたシーケンスで研磨装置の回転刃をスポット溶接ガンで把持することで実施され、その研磨量が検出される(例えば、特許文献1参照。)。
これにより、電極の研磨作業中に溶接ロボットの制御装置が研磨量を自動的に計測し、電極の研磨結果の良否を判断することができるので、従来のように作業者が電極の研磨作業中に電極が要求された研磨量だけ研磨されたか否かを適宜測定して確認する必要がなくなる。よって、作業効率の向上を図ることができる。
そして、演算手段が、第1の位置検出手段により検出された第1の当接位置と、摩耗量算出手段により算出された摩耗量と、厚さ記憶手段に記憶された研磨装置の厚さと、第3の位置検出手段により検出された第3の当接位置と、に基づいて研磨量を算出する。
これにより、固定電極と移動電極とが当接する第1から第3の当接位置と研磨装置の厚さだけで、研磨装置による電極の研磨量を算出することができるので、研磨量を容易に算出することができる。
これにより、電極の研磨量が要求された基準研磨量に到達していない場合には、繰り返し手段により自動的に再研磨が行われるので、作業者が電極の研磨量が十分でないことに気付かなくても研磨がなされ、電極が研磨不足のまま溶接が行われることを防止することができる。
<スポット溶接ロボットの構成>
図1は、スポット溶接ロボット1及びその制御装置2を備えるスポット溶接ロボットシステム10の概要を示す図である。スポット溶接ロボットシステム10は、自動車車体のスポット溶接ライン等に設けられ、制御装置2による溶接プログラムによりスポット溶接ロボット1の動作制御を行い、ワークWとなる自動車の車体フレームにスポット溶接を施す。
図1、図2に示すように、スポット溶接ロボット1は、土台となるベース11と、関節12で連結された複数のアーム13と、スポット溶接ロボット1を駆動させるサーボモータ14(図2参照)とを備えている。さらに、スポット溶接ロボット1は、連結されたアーム13の最も先端に位置するアーム13の先端部に設けられたスポット溶接ガン3を備えている。
各関節12は、アーム13の一端部を揺動可能として他端部を軸支する揺動関節と、アーム13自身をその長手方向を中心に回転可能に軸支する回転関節とのいずれかから構成される。つまり、スポット溶接ロボット1はいわゆる多関節型ロボットに相当する。
図1、図2に示すように、スポット溶接ガン3は、二つの電極、すなわち固定電極31と移動電極32を備えている。固定電極31は、アーム33に固定され、その先端が上方に向くように設けられている。移動電極32は、アーム33に固定され、その先端が下方に向くように設けられている。移動電極32は、サーボモータ34(図2参照)によりガン開閉軸35を駆動させることにより、固定電極31に向かって移動する。固定電極31と移動電極32は、互いに対向するように配置されている。これにより、サーボモータ34によりガン開閉軸35を駆動させ、固定電極31と移動電極32の間隔を狭めていくことにより、ワークWを固定電極31と移動電極32とで挟持することができる。そして、ワークWを固定電極31と移動電極32とで挟んだ状態で各電極31,32に通電することにより、スポット溶接を行うことができる。サーボモータ34は、制御装置2からの制御信号により駆動制御される。サーボモータ34には、移動電極32の先端位置を検出するセンサ36(図2参照)が内蔵されている。
センサ36は、ワークWの溶接を行った後、各電極31,32の研磨装置9(図5参照)により研磨を行う前の移動電極32が固定電極31に当接する第2の当接位置P2を検出する。すなわち、センサ36は、第2の位置検出手段として機能する。
センサ36は、研磨装置9により各電極31,32の研磨を行った後の移動電極32が固定電極31との間で研磨装置9を挟んだときの移動電極32が研磨装置9に当接する第3の当接位置P3を検出する。すなわち、センサ36は、第3の位置検出手段として機能する。
検出された各当接位置P1〜P3は、制御装置2に送られ、研磨量算出の際に用いられる。
なお、固定電極31及び移動電極32は、繰り返し行われるスポット溶接により摩耗するが、研磨装置9(図5参照)により一定期間又は一定溶接回数毎に研磨され、溶接品質が低下しないようにメンテナンスされる。
図2は、スポット溶接ロボットシステム10の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、制御装置2は、スポット溶接ロボット1の動作制御等に関する処理プログラムに従って各処理を実行するCPU21と、各処理を実行するための処理プログラムや処理データ等が記憶されるメモリ22と、を備えている。
メモリ22には、スポット溶接ロボット1を駆動させる処理プログラム等が記憶されるプログラムエリア23と、スポット溶接ロボット1の駆動制御に当たって必要なデータが記憶されたデータエリア24と、種々のワークメモリやカウンタなどが設けられ、各処理が行われる作業エリア25と、が形成されている。
また、研磨量算出プログラム23aは、センサ36により検出された第1の当接位置P1と、摩耗量算出プログラム23bにより算出された摩耗量と、データエリア24に記憶された研磨装置9の厚さデータ24b(後述する)と、センサ36により検出された第3の当接位置P3と、に基づいて研磨量を算出する機能を実現させる演算プログラム23cを有している。
プログラムエリア23には、研磨量算出プログラム23aにより算出された各電極31,32の研磨量がデータエリア24に記憶された基準研磨量データ24aの値以上であるか否かを判断する機能を実現させる判断プログラム23dが記憶されている。
プログラムエリア23には、判断プログラム23dにより、算出された各電極31,32の研磨量がデータエリア24に記憶された基準研磨量データ24aの値未満であると判断した場合に、研磨装置9による各電極31,32の研磨を再度行わせる機能を実現させる繰り返しプログラム23eが記憶されている。
データエリア24には、研磨装置9における移動電極32の移動方向の厚さに関する厚さデータ24bが記憶されている。
データエリア24には、溶接を行った際に、固定電極31の摩耗量と移動電極32の摩耗量との摩耗比率に関する摩耗比率データ24cが記憶されている。
制御装置2には、ユーザによる操作指示が入力される入力装置4と、ユーザに報知する情報を表示する表示装置5とが設けられている。
なお、入力装置4と表示装置5は、制御装置2の本体に設けられていてもよいし、遠隔操作を実現させるために制御装置2の本体に対して有線又は無線により接続されたペンダント20(図1参照)に設けられていてもよい。
スポット溶接ロボットシステム10は、スポット溶接ロボット1の動作制御を行う制御部61を有する。この制御部61の機能は、制御装置2が担う。
制御部61は、CPU21が研磨量算出プログラム23aを実行することにより、各電極31,32の研磨量を算出する研磨量算出部62を有する。この研磨量算出部62が研磨量算出手段として機能する。研磨量算出部62は、第1の当接位置P1と第2の当接位置P2の差から固定電極31及び移動電極32の摩耗量を算出する摩耗量算出部63を有する。この摩耗量算出部63が摩耗量算出手段として機能する。研磨量算出部62は、第1の当接位置P1と、摩耗量算出部63により算出された摩耗量と、記憶部67(後述する)に記憶された研磨装置9の厚さと、第3の当接位置P3と、に基づいて研磨量を算出する演算部64を有する。この演算部64が演算手段として機能する。
制御部61は、判断部65が、研磨量算出部63により算出された各電極31,32の研磨量が記憶部67に記憶された基準研磨量未満であると判断した場合に、研磨装置9による各電極31,32の研磨を再度行わせる繰り返し部66を有する。この繰り返し部66が繰り返し手段として機能する。
制御部61は、基準研磨量データ24a、研磨装置9の厚さデータ24b、摩耗比率データ24c等を記憶する記憶部67を有する。この記憶部67が記憶手段及び厚さ記憶手段として機能する。
スポット溶接ロボットシステム10は、ワークWにスポット溶接を行う溶接部69を有する。この溶接部69の機能を固定電極31及び移動電極32が担う。
スポット溶接ロボットシステム10は、移動電極32を固定電極31に対して接離するように移動させる移動部70を有する。この移動部70の機能をサーボモータ34が担う。
スポット溶接ロボットシステム10は、第1の当接位置P1から第3の当接位置P3までの電極31,32同士の当接位置を検出する検出部71を有する。この検出部71の機能をセンサ36が担う。すなわち、センサ36が第1の位置検出手段、第2の位置検出手段及び第3の位置検出手段として機能する。
スポット溶接ロボットシステム10は、ユーザによる操作指示が入力される入力部72を有する。この入力部72の機能を入力装置4が担う。
スポット溶接ロボットシステム10は、ユーザに報知する情報を表示する表示部73を有する。この表示部73の機能を表示装置5が担う。
次に、図4、図5を用いて、研磨装置9による電極31,32の研磨量の算出方法について、一連の溶接作業を含めて説明する。
溶接を始める前、すなわち、全ての作業の前に新品(未使用)の電極31,32をスポット溶接ガン3のアームに33にそれぞれ取り付ける。電極31,32の取り付け後、制御装置2により移動電極32を移動させ、移動電極32の先端を固定電極31の先端に当接させる。そして、この移動電極32と固定電極31の当接位置を第1の当接位置P1(図5(a)参照)としてセンサ36が検出し、制御装置2の作業エリア25に一時的に記憶させる(ステップS1)。
第1の当接位置P1の検出後、制御装置2は所定の溶接プログラムに基づいてワークWのスポット溶接をスポット溶接ロボット1に行わせる(ステップS2)。
溶接終了後、ワークWを取り除き、制御装置2により移動電極32を移動させ、移動電極32の先端を固定電極31の先端に当接させる。そして、この移動電極32と固定電極31の当接位置を第2の当接位置P2(図5(b)参照)としてセンサ36が検出し、制御装置2の作業エリア25に一時的に記憶させる(ステップS3)。
電極31,32の摩耗量の算出後、固定電極31と移動電極32の間に研磨装置9を配置し、移動電極32を移動させて研磨装置9を上方と下方から挟み込み、各電極31,32の研磨を行う(ステップS5)。
研磨終了後、この終了した時点での移動電極32の先端と研磨装置9の上面との当接位置を第3の当接位置P3(図5(c)参照)としてセンサ36が検出し、制御装置2の作業エリア25に一時的に記憶させる(ステップS6)。
s=(P3−P1)+t−m ・・・・・(1)
また、ステップS7においては、合計研磨量sの算出後、制御装置2は、合計研磨量をデータエリア24に記憶された厚さデータ24bとして記憶された摩耗比率に基づいて、固定電極31の研磨量と移動電極32の研磨量を算出する。ここで用いられる摩耗比率は、摩耗量を算出する場合と同じ摩耗比率を用いているが、電極31,32の材質が変わらない以上、同じ摩耗率を用いても問題はない。もちろん、摩耗率とは別個に研磨率を予め定義し、データエリア24に記憶させておいてもよい。
上記実施形態によれば、研磨装置9により各電極31,32の研磨を行った場合、制御装置2が研磨量算出プログラム23aを実行することにより、電極31,32の研磨量を算出する。そして、制御装置2が判断プログラム23dを実行することにより、研磨量算出プログラム23aにより算出された各電極31,32の研磨量がデータエリア24に記憶された基準研磨量データ24aの値以上であるか否かを判断する。
これにより、電極31,32の研磨終了後にスポット溶接ロボット1の制御装置2が研磨量を自動的に計測し、電極31,32の研磨結果の良否を判断することができるので、従来のように作業者が電極31,32の研磨終了後に電極31,32が要求された研磨量だけ研磨されたか否かを適宜測定して確認する必要がなくなる。よって、作業効率の向上を図ることができる。
そして、制御装置2が摩耗量算出プログラム23bを実行することにより、第1の当接位置P1と第2の当接位置P2の差から固定電極31及び移動電極32の摩耗量を算出する。
また、センサ36が、研磨装置9により各電極31,32の研磨を行った後の移動電極32が固定電極31との間で研磨装置9を挟んだときの移動電極32が研磨装置9に当接する第3の当接位置P3を検出する。
そして、制御装置2が演算プログラム23cを実行することにより、センサ36により検出された第1の当接位置P1と、摩耗量算出プログラム23bにより算出された摩耗量mと、データエリア24に記憶された研磨装置9の厚さデータ24bと、センサ36により検出された第3の当接位置P3と、に基づいて研磨量を算出する。
これにより、固定電極31と移動電極32とが当接する第1の当接位置P1及び第3の当接位置P3と研磨装置9の厚さtだけで、研磨装置9による電極31,32の研磨量を算出することができるので、研磨量を容易に算出することができる。
これにより、電極31,32の研磨量が要求された基準研磨量に到達していない場合には、繰り返しプログラム23eにより自動的に再研磨が行われるので、作業者が電極31,32の研磨量が十分でないことに気付かなくても研磨がなされ、電極31,32が研磨不足のまま溶接が行われることを防止することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、各プログラムは機能毎に別個に作成してもよいし、全てのプログラムを処理の流れに沿って一体に作成して一つのプログラムとしてもよい。また、全ての処理をプログラムによりソフト的に処理するものに限らず、その一部又は全部の処理をハードウェアで処理するようにしてもよい。また、第1の当接位置から第3の当接位置までを同じセンサで検出しているが、それぞれ別個のセンサにより検出してもよい。また、上記実施形態では、研磨量の算出過程において、新品(未使用)の電極31,32を対象としているが、新品(未使用)の電極に限られるものではなく、使用後の電極に対しても同じ方法で研磨量を算出することができる。
その他、発明の範囲内で自由に変更が可能である。
2 制御装置
3 スポット溶接ガン
31 固定電極(電極)
32 移動電極(電極)
33 アーム
36 センサ(第1の位置検出手段、第2の位置検出手段、第3の位置検出手段)
62 研磨量算出部(研磨量算出手段)
63 摩耗量算出部(摩耗量算出手段)
64 演算部(演算手段)
65 判断部(判断手段)
66 繰り返し部(繰り返し手段)
67 記憶部(記憶手段、厚さ記憶手段)
P1 第1の当接位置
P2 第2の当接位置
P3 第3の当接位置
Claims (3)
- 電極を駆動させて、接合される部材同士を前記電極で所定の加圧力で挟んだ状態で通電して前記部材同士を接合するスポット溶接ガンを備える溶接ロボットの制御装置において、
前記電極が所定の状態まで摩耗して研磨装置により当該電極の研磨を行う際に、最低限研磨すべき前記電極の基準研磨量を記憶する記憶手段と、
前記研磨装置により前記電極の研磨を行った場合に前記電極の研磨量を算出する研磨量算出手段と、
前記研磨量算出手段により算出された前記電極の研磨量が前記記憶手段に記憶された前記基準研磨量以上であるか否かを判断する判断手段と、
を備えることを特徴とする溶接ロボットの制御装置。 - 前記スポット溶接ガンは、アームに固定された固定電極と、前記固定電極に対向配置され、前記固定電極に対して接離可能となるように前記アームに設けられた移動電極と、を有し、
前記研磨装置における前記移動電極の移動方向の厚さを記憶する厚さ記憶手段と、
溶接を行う前の移動電極が固定電極に当接する第1の当接位置を検出する第1の位置検出手段と、
溶接を行った後、前記研磨装置により研磨を行う前の移動電極が固定電極に当接する第2の当接位置を検出する第2の位置検出手段と、
前記研磨装置により各電極の研磨を行った後の移動電極が固定電極との間で前記研磨装置を挟んだときの前記移動電極が前記研磨装置に当接する第3の当接位置を検出する第3の位置検出手段と、を備え、
前記研磨量算出手段は、
前記第1の当接位置と前記第2の当接位置の差から前記固定電極及び前記移動電極の溶接による摩耗量を算出する摩耗量算出手段と、
前記第1の位置検出手段により検出された第1の当接位置と、前記摩耗量算出手段により算出された摩耗量と、前記厚さ記憶手段に記憶された前記研磨装置の厚さと、前記第3の位置検出手段により検出された第3の当接位置と、に基づいて前記研磨装置による研磨量を算出する演算手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の溶接ロボットの制御装置。 - 前記判断手段が、前記研磨量算出手段により算出された各電極の研磨量が前記記憶手段に記憶された前記基準研磨量未満であると判断した場合に、前記研磨装置による各電極の研磨を再度行わせる繰り返し手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶接ロボットの制御装置。
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