JP2010017748A - スポット溶接装置の電極消耗量計測方法及び電極消耗量計測装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電極研磨加工の品質を確保しながらも、研磨作業と電極消耗量検出を同期処理可能にして溶接ラインの稼働ロスを低減可能にし、ロッド側とアーム側の両電極の消耗量検出を精度よく行える技術を提供する。
【解決手段】ドレッサー4を稼働状態として、可動側電極13をドレス刃21に押圧して整形研磨し、研磨完了時に可動側電極13の第1ドレス位置情報を取得し、固定側電極12をドレス刃21に押圧して整形研磨し、研磨完了時に固定側電極12の第2ドレス位置情報を取得し、予め取得した第1基準ドレス位置情報と今回取得した第1ドレス位置情報との差から可動側電極13の消耗量Xを算出し、予め取得した第2基準ドレス位置情報と今回取得した第2ドレス位置情報との差から固定側電極12の消耗量Yを算出する。
【選択図】 図10
【解決手段】ドレッサー4を稼働状態として、可動側電極13をドレス刃21に押圧して整形研磨し、研磨完了時に可動側電極13の第1ドレス位置情報を取得し、固定側電極12をドレス刃21に押圧して整形研磨し、研磨完了時に固定側電極12の第2ドレス位置情報を取得し、予め取得した第1基準ドレス位置情報と今回取得した第1ドレス位置情報との差から可動側電極13の消耗量Xを算出し、予め取得した第2基準ドレス位置情報と今回取得した第2ドレス位置情報との差から固定側電極12の消耗量Yを算出する。
【選択図】 図10
Description
本発明は、スポット溶接装置の電極消耗量計測方法及び電極消耗量計測装置に関し、特に研磨加工の品質を確保しながら、ドレッサーによる可動側及び固定側の電極の研磨加工の都度研磨加工と並行的に両電極の消耗量を精度よく計測可能にしたものに関する。
抵抗溶接であるスポット溶接に用いられる電極は、正常な溶接加工を行う為、常に溶接対象であるワーク(鋼板材料)との接触抵抗を一定に保つことが重要である。接触抵抗が変化することは、抵抗発熱により発熱量が変化することにつながり、その発熱量の変化は、溶融結合される溶融部の状態(溶融量)を変化させ、接合強度に影響を与えることになる。依って、安定した接合強度を得る溶接加工を行う為には、常に電極先端形状を一定の状態に維持することが重要となる。
溶接ライン内では、ドレッサー(研磨装置)を用いて電極先端を整形研磨することで電極先端形状の維持を図っているが、研磨加工を行う際には当然溶接ラインの生産を行うことができないため、溶接ラインの複数のスポット溶接装置のうち1台でも研磨作業を行っていると、他のスポット溶接装置は待機状態となり、大きな稼働ロスが発生する。
近年、スポット溶接の溶接ガンは、サーボモータを用いたサーボガンが主流となっているが、このサーボガンでは、エンコーダ(位置検出装置)により高精度の位置制御と、発生させる加圧力に応じてモータ電流を制御する定電流制御(トルク制御)が特徴であり、これらの位置制御と定電流制御の再現精度を維持する為には溶接加工を行う電極先端位置を正確に把握することが重要である。
そのため、電極位置を検出する為の消耗量検出処理を研磨の都度実施し、常に消耗量を加味した電極先端位置の計算が行われている。しかし、こうして再現精度の維持が図られるが、当然この消耗量検出作業も稼働ロスを発生させる要因となる。この稼働ロスを極力小さくする為には上記の研磨作業と電極先端位置検出作業を、最短時間で処理する技術が要請されている。
特許文献1に記載の「スポット溶接ガンのチップ磨耗量検出装置」においては、摩耗量検出(消耗量検出)作業を行う際、アーム側電極の位置を固定し、ロッド側電極(可動側電極)のみ移動させて研磨加工を行なう。研磨加工時のドレッサー本体位置の変化量をセンサーにて検出してアーム側電極の消耗量を算出し、ロッド側電極の押し込み位置をガン軸エンコーダにて検出して、そのエンコーダ値の変化量から上下の電極総消耗量を算出する。この電極総消耗量からアーム側電極の消耗量を減算することでロッド側電極の消耗量を算出する。そのため、このチップ磨耗量検出技術は、研磨作業と並行的に電極消耗量算出を行うことができる技術である。
特許第3700390号公報
前記の特許文献1の技術では、アーム側電極の位置を固定した状態で、センサーによりドレッサー本体の位置を検出することで、アーム側電極の消耗量を検出するため、研磨作業を行う際の加圧動作は、可動側電極のみを移動させてドレッサー本体を下方へ押し込んだ状態で研磨作業を行う必要がある。そのためアーム側電極の消耗量が増大する程ドレッサー本体を押し込む量が増大し、ドレッサー本体を中立位置に保持する為に設けられたスプリングの反力は、それに応じて増大することになる。
このスプリング反力により、可動側電極から付加される加圧力が効率よくアーム側電極に伝達されず、アーム側電極の加圧力の一部がスプリング反力で分担されるため、アーム側電極がドレス刃に押圧される加圧力が、スプリング反力の増大に応じて小さくなる。そのため、研磨加工条件の中でも最も重要となる加圧力が、アーム側電極の消耗量に応じて変化することになる。また、ロッド側電極は、ドレッサー本体をアーム側電極に当接させる押し込み動作中も研磨加工が行われるため、両電極の加工時間が異なり、切削量がズレることになる。これらによって、研磨加工の品質を安定させることが困難である。
しかも、アーム側電極の消耗量の検出時にアーム側電極をロボットのアームを介して基準位置に保持する際に、上記のスプリング反力によりアーム側電極を基準位置に位置決めする精度が低下し、電極消耗量検出精度を高めることが難しい。
本発明の目的は、電極研磨加工の品質を確保しながらも、研磨作業と電極消耗量検出を同期処理可能にして溶接ラインの稼働ロスを低減可能にすること、ロッド側とアーム側の両電極の消耗量検出を精度よく行えるようにすること等である。
請求項1のスポット溶接装置の電極消耗量計測方法は、溶接ガンの固定側電極と可動側電極とを固定式ドレッサーの回転するドレス刃で整形研磨し、各電極の消耗量を計測する方法において、前記ドレッサーを回転駆動手段で所定の稼働状態とする第1工程と、移動駆動手段により可動側電極を所定の加圧力でドレス刃に押圧して整形研磨し、研磨完了時に第1位置検出手段で可動側電極の第1ドレス位置情報を取得する第2工程と、次に、溶接ガンを移動手段で移動させ、固定側電極をドレス刃に押圧しドレッサーの回転駆動手段が所定負荷状態で整形研磨し、研磨完了時に第2位置検出手段で固定側電極の第2ドレス位置情報を取得する第3工程と、予め取得した第1基準ドレス位置情報と今回の第1ドレス位置情報との差から可動側電極の消耗量を算出すると共に、予め取得した第2基準ドレス位置情報と今回の第2ドレス位置情報との差から固定側電極の消耗量を算出する第4工程とを備えたことを特徴としている。
前記「予め取得した第1基準ドレス位置情報」は、可動側電極が新品のときに第1位置検出手段で検出された可動側電極の第1ドレス位置情報である。前記「予め取得した第2基準ドレス位置情報」は、固定側電極が新品のときに第2位置検出手段で検出された固定側電極の第2ドレス位置情報である。
請求項2のスポット溶接装置の電極消耗量計測装置は、移動駆動手段で移動可能な可動側電極と固定側電極とを備えた溶接ガンと、この溶接ガンを移動させる移動手段と、溶接ガンの両電極を整形研磨するドレス刃とドレス刃を回転駆動する回転駆動手段とを有する固定式ドレッサーと、移動駆動手段と移動手段と回転駆動手段とを制御する制御手段とを備えたスポット溶接装置の為の整形研磨後の両電極の消耗量を計測する装置において、
前記可動側電極の移動位置を検出する第1位置検出手段と、前記固定側電極の移動位置を検出する第2位置検出手段とを備え、前記制御手段に、移動駆動手段により可動側電極を所定の加圧力でドレス刃に押圧して整形研磨した研磨完了時に、前記第1位置検出手段により可動側電極の第1ドレス位置情報を取得し、予め取得した第1基準ドレス位置情報と今回の第1ドレス位置情報との差から可動側電極の消耗量を算出する第1演算手段と、前記移動手段で溶接ガンを移動させ、固定側電極をドレス刃に押圧しドレッサーの回転駆動手段が所定負荷状態で整形研磨した研磨完了時に、前記第2位置検出手段により固定側電極の第2ドレス位置情報を取得し、予め取得した第2基準ドレス位置情報と今回の第2ドレス位置情報との差から固定側電極の消耗量を算出する第2演算手段とを設けたことを特徴としている。
前記可動側電極の移動位置を検出する第1位置検出手段と、前記固定側電極の移動位置を検出する第2位置検出手段とを備え、前記制御手段に、移動駆動手段により可動側電極を所定の加圧力でドレス刃に押圧して整形研磨した研磨完了時に、前記第1位置検出手段により可動側電極の第1ドレス位置情報を取得し、予め取得した第1基準ドレス位置情報と今回の第1ドレス位置情報との差から可動側電極の消耗量を算出する第1演算手段と、前記移動手段で溶接ガンを移動させ、固定側電極をドレス刃に押圧しドレッサーの回転駆動手段が所定負荷状態で整形研磨した研磨完了時に、前記第2位置検出手段により固定側電極の第2ドレス位置情報を取得し、予め取得した第2基準ドレス位置情報と今回の第2ドレス位置情報との差から固定側電極の消耗量を算出する第2演算手段とを設けたことを特徴としている。
前記「予め取得した第1基準ドレス位置情報」、「予め取得した第2基準ドレス位置情報」については、請求項1と同様である。
請求項3のスポット溶接装置の電極消耗量計測装置は、請求項2の発明において、前記移動手段がロボットであり、前記第2位置検出手段がロボットの作動位置情報により固定側電極の移動位置を検出することを特徴としている。
請求項4のスポット溶接装置の電極消耗量計測装置は、請求項2又は3の発明において、前記ドレッサーの稼働状態及び整形研磨の異常を判定する異常判定手段を備えたことを特徴としている。
請求項1の発明によれば、第2工程において、可動側電極の整形研磨の完了後、直ちに可動側電極の第1ドレス位置情報の取得を実行することができ、第3工程において、固定側電極の整形研磨の完了後、直ちに固定側電極の第2ドレス位置情報の取得を実行することができるから、電極の研磨作業と電極の消耗量検出を並行的に同期処理可能となって、これらの作業の為の作業時間の短縮を図ることができ、溶接ラインの稼働ロスを低減することができる。
しかも、構造が簡単でコスト的に有利な固定式ドレッサーを採用して、固定側及び可動側の電極の消耗量の大小に関わらず、第4工程において、第2工程で取得した可動側電極の第1ドレス位置情報と予め取得した第1基準ドレス位置情報とを用いて可動側電極の消耗量を精度よく簡単に検出するとともに、第3工程で取得した固定側電極の第2ドレス位置情報と予め取得した第2基準ドレス位置情報とを用いて固定側電極の消耗量を精度よく簡単に検出することができる。
請求項2の発明によれば、スポット溶接装置は、溶接ガンと、移動手段と、固定式ドレッサーと、制御手段とを備えるとともに、可動側電極の移動位置を検出する第1位置検出手段と、固定側電極の移動位置を検出する第2位置検出手段とを備え、前記制御手段に、移動駆動手段により可動側電極を所定の加圧力でドレス刃に押圧して整形研磨した研磨完了時に、第1位置検出手段により可動側電極の第1ドレス位置情報を取得し、予め取得した第1基準ドレス位置情報と今回の第1ドレス位置情報との差から可動側電極の消耗量を算出する第1演算手段と、移動手段で溶接ガンを移動させ、固定側電極をドレス刃に押圧しドレッサーの回転駆動手段が所定負荷状態で整形研磨した研磨完了時に、第2位置検出手段により固定側電極の第2ドレス位置情報を取得し、予め取得した第2基準ドレス位置情報と今回の第2ドレス位置情報との差から固定側電極の消耗量を算出する第2演算手段とを設けたので、基本的に、請求項1の発明と同様の効果が得られる。
請求項3の発明によれば、前記溶接ガンを移動させる移動手段がロボットであるので、汎用性に優れた移動手段となり、前記第2位置検出手段はロボットの作動位置情報により固定側電極の移動位置を検出するので、固定側電極の第2ドレス位置情報を確実に取得することができる。
請求項4の発明によれば、前記ドレッサーの稼働状態及び整形研磨の異常を判定する異常判定手段を備えたため、前記稼働状態及び整形研磨の異常を検知して、異常発生がない良好な研磨が行えたことを研磨時に保証する。また、異常発生時には、異常発生を外部に報知することで、不良発生を未然に防止し対策を講ずることができる。
請求項4の発明によれば、前記ドレッサーの稼働状態及び整形研磨の異常を判定する異常判定手段を備えたため、前記稼働状態及び整形研磨の異常を検知して、異常発生がない良好な研磨が行えたことを研磨時に保証する。また、異常発生時には、異常発生を外部に報知することで、不良発生を未然に防止し対策を講ずることができる。
本発明のスポット溶接装置の電極消耗量計測技術では、ドレッサーを稼働状態として、可動側電極をドレス刃に押圧して整形研磨し、研磨完了時(加圧保持の状態)に可動側電極の第1ドレス位置情報を取得し、固定側電極をドレス刃に押圧して整形研磨し、研磨完了時(旋回負荷保持の状態)に固定側電極の第2ドレス位置情報を取得し、予め取得した第1基準ドレス位置情報と今回取得した第1ドレス位置情報との差から可動側電極の消耗量を算出し、予め取得した第2基準ドレス位置情報と今回取得した第2ドレス位置情報との差から固定側電極の消耗量を算出する。
図1〜図7に示すように、スポット溶接装置1は、移動手段に相当する例えば6軸のロボット2、ロボット2のアーム先端部に装備された溶接ガン3、溶接ガン3の両電極12,13(固定側電極12と可動側電極13)を整形研磨する固定式ドレッサー4、ロボット2と溶接ガン3と固定式ドレッサー4を制御する制御手段に相当するコントローラ5を備えている。
図1、図2、図7に示すように、溶接ガン3は、ロボット2のアーム先端部に固定されたベース部材10、ベース部材10に固定されたコ字形のアーム11、アーム11の先端部に交換可能に取付けられた固定側電極12(アーム側電極12)、固定側電極12と同心上に且つ対向するようにロッド14の先端部に交換可能に取付けられた可動側電極13(ロッド側電極13)、固定側電極12に対して可動側電極13を接近離隔方向へロッド14を介して移動可能な移動駆動手段に相当するサーボモータからなる溶接ガン駆動モータ15、溶接ガン駆動モータ15に付設されたエンコーダ16を備え、溶接ガン駆動モータ15とエンコーダ16がコントローラ5に電気的に接続されている。
図1、図3〜図7に示すように、固定式ドレッサー4は、そのドレッサー本体20に、溶接ガン3の両電極12,13を整形研磨するドレス刃21、ドレス刃21を回転駆動する回転駆動手段に相当するサーボモータからなるドレッサー駆動モータ22、ドレッサー駆動モータ22に付設されたエンコーダ23を備え、ドレッサー駆動モータ22とエンコーダ23がコントローラ5に電気的に接続され、定位置に立設されたフレーム24の上部にドレッサー本体20が片持ち状に固定支持されている。
ドレッサー本体20は、ベース部材27を有し、そのベース部材27に、ドレス刃21が上下方向の軸心回りに回転自在に支持されるとともに、ドレッサー駆動モータ22が垂下状に取付けられ、ドレッサー駆動モータ22の出力がギヤ機構28を介してドレス刃21に伝達される。ドレス刃21は電極12,13を択一的に研磨可能に、このドレス刃21として両電極12,13に夫々対応する上下2組のドレス刃21が設けられている。
2組のドレス刃21はギヤ機構28を介して回転される共通のリング体21aに固定され、各ドレス刃21はリング体21aに架着された十字に交差する1対の刃形成部材に、両回転方向に対応するように形成された1対の刃で構成されている。各電極12,13は、その先端部が外周テーパ部を有する所定形状に形成され、この所定形状に電極12,13を整形研磨可能に1対の刃を含む刃形成部材が形成されている。
図7に示すように、コントローラ5は、図示の各部30〜36を備え、ロボット制御部30はロボット2(図示略の複数のモータ)を制御し、溶接ガン制御部31は溶接ガン3(溶接ガン駆動モータ15、図示略の電極駆動部)を制御し、ドレッサー制御部32は固定式ドレッサー4(ドレッサー駆動モータ22)を制御し、これらの制御によりワークにスポット溶接が行われる。
ロボット制御部30は、ロボット2の作動位置情報により固定側電極12の移動位置を演算する移動位置演算部30aを有し、この移動位置演算部30a等が固定側電極12の移動位置を検出する第2位置検出手段に相当する。溶接ガン制御部31は、溶接ガン駆動モータ15の動作電流値を検出する電流検出部31a、エンコーダ16からの信号を受けて可動側電極13の移動位置を演算する移動位置演算部31bを有し、エンコーダ16と移動位置演算部31bが、可動側電極13の移動位置を検出する位置検出手段に相当する。ドレッサー制御部32は、ドレッサー駆動モータ22の動作電流値を検出する電流検出部32a、エンコーダ23からの信号を受けてドレス刃21の回転速度を演算する回転速度演算部32bを有する。
電極位置情報取得部34は、位置情報取得手段に相当し、第1電極位置情報取得部34a、第2電極位置情報取得部34bにて構成される。第1電極位置情報取得部34aは、基準位置を登録する基準電極(新品電極)を用い本システムを使用する初期時に、ロボット2により溶接ガン3を前記研磨位置に移動させ、溶接ガン駆動モータ15により可動側電極13を所定の加圧力でドレス刃21に押圧した押圧時に、場合によっては、更にドレッサー駆動モータ22によりドレス刃21を回転させ、電極13を整形研磨した研磨完了時に、移動位置演算手段31bから可動側電極13の第1基準ドレス位置情報を取得する。
第2電極位置情報取得部34bは、同様に基準電極(新品電極)を用い本システムを使用する初期時に、ロボット2により溶接ガン3を前記研磨位置に移動させ、ロボット2により固定側電極12を所定の加圧力でドレス刃21に押圧した押圧時に、場合によっては、更にドレッサー駆動モータ22によりドレス刃21を回転させ、ドレッサー駆動モータ22が所定負荷状態で電極12を整形研磨した研磨完了時に、移動位置演算手段30aから固定側電極12の第2基準ドレス位置情報を取得する。
第1基準ドレス位置情報(可動側電極消耗量算出基準)と第2基準ドレス位置情報(固定側電極消耗量算出基準)は、本システムを使用する初期時に登録するもので、溶接ガンの形状変更及びドレッサーの設置位置変更等が行われない限り、データを更新する必要はない。
電極消耗量演算部35は、演算手段に相当し、第1電極消耗量演算部35a、第2電極消耗量演算部35aにて構成される。第1電極消耗量演算部35aは、第1演算手段に相当し、溶接ガン駆動モータ15により可動側電極13を所定の加圧力でドレス刃21に押圧して整形研磨した研磨完了時(加圧保持の状態)に、移動位置演算部31bから第1ドレス位置情報を取得し、予め取得した第1基準ドレス位置情報と今回の第1ドレス位置情報との差から可動側電極13の消耗量Xを算出し、第2電極消耗量演算部35bは、第2演算手段に相当し、ロボット2で溶接ガン3を移動させ、固定側電極12をドレス刃21に押圧し固定式ドレッサー4のドレッサー駆動モータ22が所定負荷状態で整形研磨した研磨完了時(旋回負荷保持の状態)に、移動位置演算部30aから固定側電極12の第2ドレス位置情報を取得し、予め取得した第2基準ドレス位置情報と今回の第2ドレス位置情報との差から固定側電極12の消耗量Yを算出する。
電極研磨処理異常判定部36は、異常判定手段に相当し、固定式ドレッサー4の稼働状態及び整形研磨状態の異常を判定する。ここで、ロボット2、溶接ガン3、固定式ドレッサー4、コントローラ5により、スポット溶接装置1の為の整形研磨後の各電極12,13の消耗量を計測する電極消耗量計測装置6が構成されている。
次に、両電極12,13の研磨と消耗量計測の為にコントローラ5が実行する処理・制御について詳しく説明する。尚、この処理・制御を実行する為のプログラムがコントローラ5のコンピュータROM等に格納され、この処理・制御は電極12,13の研磨開始の指令を受けて開始される。
図8に示すように、この処理・制御が開始されると、先ず、ロボット2が制御されて、溶接ガン3が前記研磨位置へ移動し(S1)、両電極12,13がドレス刃21を挟んで位置し且つ可動側電極13がドレス刃21に近接した研磨作業開始位置に到達すると(S2)、ドレッサー駆動モータ22が制御されて、ドレス刃21の旋回動作が開始される(S3)。このドレッサー駆動モータ22の制御では、ドレス刃21の回転数が諸条件に基づいて指定された指定回転数(例えば、400rpm)になるように、微小時間毎に、ドレス刃21の検出回転数とドレッサー駆動モータ22の検出電流値から指令電流値が設定され、その指令電流値にドレッサー駆動モータ22の検出電流値が収束するように電流値制御が行われる。これによりドレス刃21が定回転数制御される。
次に、ドレス刃21の回転数が監視され、例えば0.1秒程度経過し、指定回転数に到達すると(S4;Yes )、溶接ガン駆動モータ15が制御されて、可動側電極13が固定側電極12に接近する下方へ駆動され、これにより、可動側電極13がドレス刃21に当接してドレス刃21を押圧する加圧動作が開始される(S5)。S3,S4;Yes が、固定式ドレッサー4をドレッサー駆動モータ22で所定の稼働状態とする第1工程に相当する。この溶接ガン駆動モータ15の制御では、溶接ガン駆動モータ15の検出電流値が、諸条件に基づいて指定された指定加圧力に対応する(設定された加圧力電流値テーブルから決まる)指令電流値に収束するように電流値制御が行われる。これにより研磨時の加圧トルクが定トルク制御される。
次に、可動側電極13の加圧力が監視され、例えば0.1秒程度経過し、指定加圧力に到達する(S6;Yes )、つまり、溶接ガン駆動モータ15の検出電流値が指令電流値に到達すると、研磨開始とされ、研磨加工時間の計時が開始される(S7)。その後、研磨加工時間が監視され、諸条件に基づいて指定された指定研磨加工時間(例えば0.5秒)を経過すると(S8;Yes )、研磨完了とされ、その研磨完了時に検出された可動側電極13の第1ドレス位置情報が取得される(S9)。S5、S6;Yes 、S7、S8;Yes
、S9が第2工程に相当する。
、S9が第2工程に相当する。
そして、予め取得された可動側電極13の第1基準ドレス位置情報とS9で今回取得された可動側電極13の第1ドレス位置情報との差から可動側電極13の消耗量Xが算出され(S10)、次に、ロボット2が制御されて、溶接ガン3が全体的に上方へ駆動され、或いは、溶接ガン駆動モータ15が制御されて、可動側電極13が固定側電極12から離隔する上方へ駆動され、電極12,13の開放動作が開始される(S11)。
次に、図9に示すように、ロボット2が制御されて、溶接ガン3が全体的に上方へ駆動され、固定側電極12がドレス刃21に当接することで、固定側電極12の研磨動作が開始される(S12)。その後、ドレッサー駆動モータ22の検出電流値が監視され、指定電流値に到達すると(S13;Yes )、ドレッサー駆動モータ22が所定負荷状態で整形研磨する駆動状態となり、ここで、研磨開始とされ、研磨加工時間の計時が開始される(S14)。その後、研磨加工時間が監視され、諸条件に基づいて指定された指定研磨加工時間(例えば0.5秒)を経過すると(S15;Yes )、研磨完了とされ、その研磨完了時に検出された固定側電極12の第2ドレス位置情報が取得される(S16)。
S12、S13;Yes 、S14、S15;Yes 、S12が第3工程に相当する。そして、予め取得された固定側電極12の第2基準ドレス位置情報とS16で今回取得された固定側電極12の第2ドレス位置情報との差から固定側電極12の消耗量Yが算出される(S17)。ここで、S10、S17が第4工程に相当する。その後、ロボット2と溶接ガン駆動モータ15が制御されて、溶接ガン3が両電極12,13をドレス刃21から離隔させた研磨作業完了位置に到達すると(S18;Yes )、ドレッサー駆動モータ22が制御されて、ドレス刃21の旋回動作が停止され(S19)、ロボット2が制御され、溶接ガン3が作業元位置の方へ移動し(S20)、その作業元位置に到達すると(S21)、この処理・制御が終了する。
ここで、図10に基づいて説明すると、実線で今回の研磨に供する両電極12,13を示し、点線で新品の研磨に供する両電極12,13を示している。尚、(a)は、両電極12,13の研磨作業開始位置を示している。(b)は、可動側電極13が基準位置情報となる第1基準ドレス位置になり、ドレス刃21に近接する。
(c)は可動側電極13の研磨完了時の状態を示し、(b)から(c)の状態になる過程において、溶接ガン駆動モータ15により可動側電極13が下降駆動されて、可動側電極13は新品研磨完了時からの消耗量Xに相当する距離下降するが、ここで、可動側電極13の第1ドレス位置情報が取得され、この第1ドレス位置情報と第1基準ドレス位置情報から、可動側電極13の消耗量Xが算出される。
(d)は固定側電極12が基準位置情報となる第2基準ドレス位置になり、ドレス刃21に近接する。(e)は固定側電極12の研磨完了時の状態を示し、(d)から(e)の状態になる過程において、ロボット2により溶接ガン3が上昇駆動されて、固定側電極12は新品研磨完了時からの消耗量Yに相当する距離上昇するが、ここで、固定側電極12の第2ドレス位置情報が取得され、この第2ドレス位置情報と第2基準ドレス位置情報から、固定側電極12の消耗量Yが算出される。
ところで、上記の処理・制御と並行に、S3〜S19の実行中には旋回チェック処理が実行され、S6〜S8の実行中とS13〜S15の実行中には研磨作業監視処理が実行され、S5〜S18の実行中には加圧チェック処理が実行される。次に、この処理について説明する。尚、この処理を実行する為のプログラムがコントローラ5のコンピュータROM等に格納されている。
先ず、図11に示すように、旋回チェック処理では、ドレッサー駆動モータ22の電流について、指令電流値−検出電流値≦基準値か否か判定され(S30)、S30;Yes の場合、次に、検出電流値≦上限値か否か判定され(S31)、S31;Yes の場合、ドレス刃21の旋回制御の追従が正常と判定され、次に、ドレス刃21の旋回動作が停止でない場合(S32;No)、リターンし、ドレス刃21の旋回動作が停止の場合(S32;Yes )、終了する。
一方、指令電流値−検出電流値≦基準値でない場合(S30;No)、追従異常判定(S33)が行われ、また、検出電流値≦上限値でない場合(S31;No)、過負荷異常判定(S34)が行われ、夫々、S35において、その異常に関する異常報知が何らかの報知機器を用いて行われ、終了する。S33、S34の異常判定が行われた場合には、実行中の図8、図9の処理・制御を中断させることが好ましい。
次に、図12に示すように、研磨作業監視処理では、ドレッサー駆動モータ22の電流について、下限値≦検出電流値≦上限値(異常判定電流値)か否か判定され(S40)、S40;Yes の場合、ドレス刃21への電極12,13の接触が正常と判定され、次に、指定研磨加工時間を経過していない場合(S41;No)、リターンし、指定研磨加工時間を経過した場合(S41;Yes )、終了する。下限値≦検出電流値≦上限値(異常判定電流値)でない場合(S40;No)、電極接触異常と判定され(S42)、その異常に関する異常報知(S43)が何らかの報知機器を用いて行われ、終了する。S43の異常判定が行われた場合には、実行中の図8、図9の処理・制御を中断させることが好ましい。
次に、図13に示すように、加圧チェック処理では、溶接ガン駆動モータ15の電流について、指令電流値−検出電流値≦基準値か否か判定され(S50)、S50;Yes の場合、次に、検出電流値≦上限値か否か判定され(S51)、S51;Yes の場合、可動側電極13の加圧制御の追従が正常と判定され、次に、電極12,13の開放動作が完了したか否か判定され(S52)、S52;Noの場合、リターンし、S52;Yes の場合、終了する。
一方、指令電流値−検出電流値≦基準値でない場合(S50;No)、追従異常判定(S53)が行われ、また、検出電流値≦上限値でない場合(S51;No)、過負荷異常判定(S54)が行われ、夫々、S55において、その異常に関する異常報知が何らかの報知機器を用いて行われ、終了する。S53、S54の異常判定が行われた場合には、実行中の図8、図9の処理・制御を中断させることが好ましい。
また、加圧チェック処理では、図13の処理と並行的に図14の処理が実行され、この処理では、先ず、溶接ガン駆動モータ15の電流について、指令電流値≦検出電流値か否か判定され(S60)、S60;Yes の場合は、終了する。S60;Noの場合、S5の電極加圧動作開始時から計時され時間が所定の加圧到達時間を経過したか否か判定され(S61)、S61;Noの場合、S60へリターンし、S61;Yes の場合、設定加圧力未到達と判定され(S62)、S63において、その未到達に関する異常報知が何らかの報知機器を用いて行われ、終了する。S62の設定加圧力未到達判定が行われた場合には、実行中の図8、図9の処理・制御を中断させることが好ましい。
以上説明したスポット溶接装置1の電極消耗量計測装置6及び電極消耗量計測方法によれば、可動側電極13の整形研磨の完了後、直ちに可動側電極13の第1ドレス位置情報の取得を実行することができ、固定側電極12の整形研磨の完了後、直ちに固定側電極12の第2ドレス位置情報の取得を実行することができるから、電極12,13の研磨作業と電極12,13の消耗量検出を並行的に同期処理可能となって、これらの作業の為の作業時間の短縮を図ることができ、溶接ラインの稼働ロスを低減することができる。
しかも、構造が簡単でコスト的に有利な固定式ドレッサー4を採用して、固定側及び可動側の電極12,13の消耗量の大小に関わらず、今回取得した可動側電極13の第1ドレス位置情報と予め取得した第1基準ドレス位置情報とを用いて可動側電極13の消耗量を精度よく簡単に検出するとともに、今回取得した固定側電極12の第2ドレス位置情報と予め取得した第2基準ドレス位置情報とを用いて固定側電極12の消耗量を精度よく簡単に検出することができる。
依って、電極12,13の先端位置を正確に把握でき、つまり、スポット溶接時の高精度の位置制御と定電流制御とを実現し、電極12,13と溶接対象であるワーク(鋼板材料)との接触抵抗を一定に保って、安定した所望の接合強度を得ることが可能になる。
また、溶接ガン3を移動させる移動手段として、ロボット2を採用したので、汎用性に優れたものになり、ロボット2の作動位置情報により固定側電極12の移動位置を検出するので、固定側電極12の第2ドレス位置情報を確実に取得することができる。固定式ドレッサー4の稼働状態及び整形研磨状態の異常を判定するようにしたので、その稼働状態及び整形研磨状態の異常を検知して対策を講ずることができる。尚、本発明については、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を付加して実施可能である。
1 スポット溶接装置
2 ロボット
3 溶接ガン
4 固定式ドレッサー
5 コントローラ
12 固定側電極
13 可動側電極
15 溶接ガン駆動モータ
16 エンコーダ
21 ドレス刃
22 ドレッサー駆動モータ
2 ロボット
3 溶接ガン
4 固定式ドレッサー
5 コントローラ
12 固定側電極
13 可動側電極
15 溶接ガン駆動モータ
16 エンコーダ
21 ドレス刃
22 ドレッサー駆動モータ
Claims (4)
- 溶接ガンの固定側電極と可動側電極とを固定式ドレッサーの回転するドレス刃で整形研磨し、各電極の消耗量を計測する方法において、
前記ドレッサーを回転駆動手段で所定の稼働状態とする第1工程と、
移動駆動手段により可動側電極を所定の加圧力でドレス刃に押圧して整形研磨し、研磨完了時に第1位置検出手段で可動側電極の第1ドレス位置情報を取得する第2工程と、
次に、溶接ガンを移動手段で移動させ、固定側電極をドレス刃に押圧しドレッサーの回転駆動手段が所定負荷状態で整形研磨し、研磨完了時に第2位置検出手段で固定側電極の第2ドレス位置情報を取得する第3工程と、
予め取得した第1基準ドレス位置情報と今回の第1ドレス位置情報との差から可動側電極の消耗量を算出すると共に、予め取得した第2基準ドレス位置情報と今回の第2ドレス位置情報との差から固定側電極の消耗量を算出する第4工程と、
を備えたことを特徴とするスポット溶接装置の電極消耗量計測方法。 - 移動駆動手段で移動可能な可動側電極と固定側電極とを備えた溶接ガンと、この溶接ガンを移動させる移動手段と、溶接ガンの両電極を整形研磨するドレス刃とドレス刃を回転駆動する回転駆動手段とを有する固定式ドレッサーと、移動駆動手段と移動手段と回転駆動手段とを制御する制御手段とを備えたスポット溶接装置の為の整形研磨後の両電極の消耗量を計測する装置において、
前記可動側電極の移動位置を検出する第1位置検出手段と、
前記固定側電極の移動位置を検出する第2位置検出手段とを備え、
前記制御手段に、
移動駆動手段により可動側電極を所定の加圧力でドレス刃に押圧して整形研磨した研磨完了時に、前記第1位置検出手段により可動側電極の第1ドレス位置情報を取得し、予め取得した第1基準ドレス位置情報と今回の第1ドレス位置情報との差から可動側電極の消耗量を算出する第1演算手段と、
前記移動手段で溶接ガンを移動させ、固定側電極をドレス刃に押圧しドレッサーの回転駆動手段が所定負荷状態で整形研磨した研磨完了時に、前記第2位置検出手段により固定側電極の第2ドレス位置情報を取得し、予め取得した第2基準ドレス位置情報と今回の第2ドレス位置情報との差から固定側電極の消耗量を算出する第2演算手段とを設けたことを特徴とするスポット溶接装置の電極消耗量計測装置。 - 前記移動手段がロボットであり、前記第2位置検出手段がロボットの作動位置情報により固定側電極の移動位置を検出することを特徴とする請求項2に記載のスポット溶接装置の電極消耗量計測装置。
- 前記ドレッサーの稼働状態及び整形研磨状態の異常を判定する異常判定手段を備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載のスポット溶接装置の電極消耗量計測装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008181842A JP2010017748A (ja) | 2008-07-11 | 2008-07-11 | スポット溶接装置の電極消耗量計測方法及び電極消耗量計測装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008181842A JP2010017748A (ja) | 2008-07-11 | 2008-07-11 | スポット溶接装置の電極消耗量計測方法及び電極消耗量計測装置 |
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ID=41703133
Family Applications (1)
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JP2008181842A Pending JP2010017748A (ja) | 2008-07-11 | 2008-07-11 | スポット溶接装置の電極消耗量計測方法及び電極消耗量計測装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2010017748A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2008
- 2008-07-11 JP JP2008181842A patent/JP2010017748A/ja active Pending
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