JP2007265894A - 燃料電池の特性測定装置及び方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池の電気的特性の測定を効率的且つ高精度に行うことができる燃料電池の特性測定装置を提供する。
【解決手段】燃料電池の特性を測定するための交流インピーダンス法において、各周波数で計測されたインピーダンスに基づいて所定の燃料電池の等価回路の回路定数をそれぞれ求めるインピーダンス計測部304と、異なる周波数で求められた回路定数の差分が所定の設定値以下であるか否かを判定して、所定値以下である場合に回路定数を決定する判定部306とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池の電気的特性を測定する際に用いて最適な燃料電池の特性測定装置及び方法に関する。
燃料電池の内部損失を測定するための手法の1つとして、損失をインピーダンスに置き換えて測定する交流インピーダンス法(交流法)がある。交流インピーダンス法では、動作状態の燃料電池に電子負荷装置やバイポーラ電源を用いて微小の交流電流を負荷として重畳させ、その際の電池電圧を観測することで各周波数における内部インピーダンスが測定される。電池の負荷電流に重畳する交流電流周波数を変化させながら測定を行い、燃料電池の等価回路となる内部インピーダンスを実数部と虚数部に分けて演算し、コール・コール・プロット図(Cole-Cole Plot)を描くことで、電池内部の特性が定量的に把握される。
例えば特許文献1に記載されている装置では、最初に、予め定められた測定周波数F1、F2及びF3の交流信号を燃料電池セルに対して印加してインピーダンスを測定する。複素平面上で得られたこれらインピーダンスに対し、抵抗値が夫々取得され、更にこれら抵抗値から、劣化診断要素が生成される。劣化診断要素は、周波数F1、F2及びF3に対する抵抗値を夫々R1、R2及びR3とすると、R1、R2−R1、及びR3−2R2+R1として規定されており、この劣化診断要素の値を、異なる時刻に得られた劣化診断要素の値と比較することによって、燃料電池の劣化が診断される。
特開2005−285614号公報
交流インピーダンス法によって得られる燃料電池のインピーダンスの軌跡は、完全な半円とはならない。従って、上記従来の技術に示される様に、2〜3点の測定点から燃料電池のインピーダンスの周波数特性曲線を算出しようとしても、誤差が大きく、精度の高い結果を得ることは困難である。
一方、対象とする周波数範囲で精細な測定(測定点を増やした測定)を行えば、高精度な周波数特性曲線を得ることが可能である。しかし、交流インピーダンス法では、比較的高い周波数から非常に低い周波数まで、広い範囲で特性を求める必要があるので、特に1Hz、0.1Hz等の低い周波数で交流波形の複数周期分の測定を行おうとすると、数秒〜数分といった時間が掛かってしまう。すなわち、精細な測定を行うと、多大な時間が必要であり、また係る測定によって燃料電池は劣化することになる。そのため、従来の技術では、短時間で効率的且つ高精度に燃料電池の劣化を診断することは事実上不可能であった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、燃料電池の電気的特性の測定を効率的且つ高精度に行うことができる燃料電池の特性測定装置及び方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、燃料電池の出力電流に交流成分を重畳し、燃料電池の出力電圧を測定することで燃料電池の特性を測定する特性測定装置において、交流成分の周波数を変化させる周波数設定手段と、周波数設定手段によって設定された周波数で燃料電池のインピーダンスを計測するインピーダンス計測手段と、インピーダンス計測手段によって計測されたインピーダンスに基づいて、燃料電池に対応する所定の等価回路の回路定数を求める演算手段と、異なる計測結果に基づいて演算手段が求めた回路定数の差分が所定の設定値以下であるか否かを判定する判定手段と、判定手段が設定値以下であると判定した場合に回路定数を決定する決定手段とを備えることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、前記周波数設定手段が高い周波数から低い周波数へと周波数を変化させて設定し、設定された周波数が所定の周波数以下である場合にのみ、前記演算手段が前記等価回路の回路定数を求めることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、前記判定手段が設定値以下であると判定した後、前記インピーダンス計測手段によって所定の最低周波数における計測を行い、前記演算手段でその計測結果を用いて前記等価回路の回路定数をさらに求めることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、前記インピーダンス計測手段によってある周波数で計測されたインピーダンスを用いて求められた回路定数と、他の周波数で求められた回路定数との差が所定の値以上であった場合には、当該周波数で計測を繰り返して行うことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、前記当該周波数での計測の繰り返しが所定の回数を超えても他の周波数で求められた回路定数との差が所定の値以上であった場合には、電池流路内でフラッディングが発生していると判定する手段をさらに備えていることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、前記等価回路として燃料電池のアノードとカソードとを分けたモデルを用いている場合には、フラッディングが発生している極を特定する手段をさらに備えていることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、燃料電池の出力電流に交流成分を重畳し、燃料電池の出力電圧を測定することで燃料電池の特性を測定する特性測定方法において、交流成分の周波数を変化させる周波数設定過程と、周波数設定過程で設定された周波数で燃料電池のインピーダンスを計測するインピーダンス計測過程と、インピーダンス計測過程で計測されたインピーダンスに基づいて、燃料電池に対応する所定の等価回路の回路定数を求める演算過程と、異なる計測結果に基づいて演算過程で求められた回路定数の差分が所定の設定値以下であるか否かを判定する判定過程と、判定過程で設定値以下であると判定された場合に回路定数を決定する決定過程とを含んでいることを特徴とする。
本発明によれば、異なる周波数におけるインピーダンス計測結果に基づいて求められた回路定数の差分が所定の設定値以下となったところで回路定数が決定されるので、精細な測定を行いながら一定の精度が確保されたところで測定を終えることができ、高精度化と測定時間の短縮を両立し、効率的な測定を行うことができる。
以下、図面を参照して本発明による燃料電池の特性測定装置の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態の構成を示すブロック図である。なお、図1では、燃料電池100に対する燃料ガスおよび酸化ガスの供給系および排出系等は図示を省略している。
本実施の形態の特性測定装置は、燃料電池100と電子負荷装置200とインピーダンス計測器300からなる。インピーダンス計測器300は、内部にCPU(中央処理装置)、RAM、ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク等の記憶装置や、各種入出力インターフェースを備え、フラッシュメモリ等に記録されている所定のプログラムを実行することで各部の制御や、外部装置との信号の入出力を行う。燃料電池100と電子負荷装置200と電流計測部302は、結線11によって電気的に直列に接続されている。電圧計測部303は結線12によって燃料電池100に並列に接続され、その両端電圧(端子電圧)を測定する。電子負荷制御部301は、電子負荷装置200に対して、直流電流値と、重畳交流電流の振幅と周波数を指示・設定し、燃料電池100に対する負荷の制御を行う。インピーダンスの計測は、電子負荷装置200によって燃料電池100の出力電流に交流電流を重畳させた負荷を印加し、そのときに電流計測部302と電圧計測部303で計測された交流波形をインピーダンス計測部304に取り込み、その電流の交流分に対する電圧の交流分の応答という形で周波数fでのゲインとフェーズを求める、という手法で行う。この周波数fを変えて順次ゲインとフェーズを測定することによって、燃料電池100の交流インピーダンス特性が得られる。得られたゲイン、フェーズの結果を複素平面上に表したものを、図2に実験結果の一例として示す。
図2は、負荷電流の交流分の周波数を変化させたときのインピーダンスを、横軸にインピーダンスの実数部Z’、縦軸にインピーダンスの虚数部Z”をとって表したプロット図(コール・コール・プロット図)である。インピーダンス計測部304によって計測された値を矩形(experiment)でプロットし、等価回路に基づいて計算された特性を実線(simulation)で示している。インピーダンス計測の際、電子負荷制御部301は、高い周波数から低い周波数へとあらかじめ定められた複数の値で周波数を離散的に変化させる指示を出し、インピーダンス計測部304は、それらの各周波数で電流及び電圧の計測波形を取り込み、フーリエ演算などを用いて演算によってインピーダンスを求める。
他方、等価回路フィッティング部305は、設定された周波数が所定の周波数fs以下となった場合に(図2の等価回路フィッティング実施範囲で)、過去に計測された複数の計測結果に基づいて、あらかじめ定めた所定の等価回路の回路定数を求める演算を行う。図3は、本実施の形態で用いる燃料電池の等価回路の一例を示している。抵抗Rmは溶液抵抗に、Ca,Ccは電気二重層容量に、Ra,Rcは反応抵抗に、それぞれ対応している。ただし、図3に示す等価回路は、燃料電池の等価回路の一例であって、等価回路の構成はこれに限らず、より複雑なものや、あるいはより単純なものであってもよい。この場合、等価回路フィッティング部305は、インピーダンス計測結果の複数の実測値に基づき、図3に示すような等価回路を表すモデル式から求められるインピーダンスの計算結果と、インピーダンスの実測値との誤差が最も小さくなるように、等価回路の各回路定数を求める演算処理を行う。例えば最小2乗法のような既知の手法を用いることができる。
判定部306は、インピーダンス計測部304による複数の異なる計測結果に基づいて、等価回路フィッティング部305で求められた複数の回路定数の差分(回路定数の変化量)が所定の設定値以下であるか否かを判定する。例えば、各定数Rm,Ca,Cc,Ra,Rcのそれぞれについて、それまでの複数の計測結果に基づいて推定された値と、最新の計測結果までを含めた複数の計測結果に基づいて推定された値の差を求め、それが所定の値(例えば0.01mΩあるいは0.1F)以下であった否かを判定する。さらに、判定部306は、判定の結果が設定値以下であった場合には、最新の計測結果(最も低い周波数での計測結果)を用いて求められた回路定数に、計測結果の最終値を決定する処理を行う。そして、その結果は、所定の出力装置(図示省略)に出力される。
図2に示すように、電子負荷制御部301は、周波数fが無限大(∞)に近い値(実際には例えば10kHz)から、あらかじめ定めたステップで周波数を減少させながら、燃料電池100の直流出力電流に交流分を重畳するような電流制御を行い、インピーダンス計測部304が各周波数でインピーダンスを計測する(図2で矩形をプロットした値を計測する)。そして、交流分の周波数が設定値fs以下となった場合に、等価回路フィッティング部304が、等価回路の回路定数を求める演算を開始する。等価回路フィッティング部304が演算を開始した後、判定部306は、回路定数の差分の判定を開始し、差分が所定の値以下となったところで、電子負荷制御部301等の各部に対して計測を終了する旨の指示を出力する。図2の例では、フィッティング差分が所定の値となったところで計測が終了し、それ以降、破線の矩形部分のインピーダンス測定が省略されることになる。
次に図4を参照して、図1のインピーダンス計測器300の処理について詳細に説明する。なお、この例では、周波数f(i)(i=0,1,2,…)にあらかじめ所定の複数の測定周波数の値が設定されていて、燃料電池100の等価回路として図3に示す5個の定数Rm,Ca,Cc,Ra,Rcからなるモデルを用いるものとする。また、燃料電池100の直流出力電流の値Idcについては、図示してない他のルーティンにおいて設定されているものとする。
操作者によって図示していない所定の操作子が操作されたとすると、インピーダンス計測器300は、周波数設定カウンタiとフィッティング回数カウンタjの初期化(i=0,j=0)を行い、測定処理を開始する(ステップS000)。インピーダンス計測器300は、周波数f(i)において、対象燃料電池100のインピーダンス計測を実施し、インピーダンスの実数部Z’(i)、虚数部Z”(i)を取得する(ステップS001)。
次に、等価回路フィッティング開始判定が行われ(ステップS002)、設定周波数f(i)が所定の周波数fs以下の場合には、等価回路モデルへのフィッティングが実施され(ステップS003)、そうでない場合にはカウンタiがインクリメントされて(i=i+1)、次の設定周波数でインピーダンス計測が行われる(ステップS0021からステップS001)。
ステップS003では等価回路モデルへのフィッティングの結果が、変数Res(j)に記憶される(ステップS004)。変数Res(j)は、複数の計測結果から求められた回路定数の推定値Rm,Ra,Ca,Rc,Ccを要素とする多次元の配列変数である。
次に、フィッティング定数差分判定を開始するか否かが判定され(ステップS005)、カウンタjが1より大きい場合にはフィッティング結果比較のための演算が行われ(ステップS006)、他方、1以下の場合はカウンタjがインクリメントされて(ステップS0051)、ステップS0021及びステップS001〜S005の処理が繰り返して行われる。
ステップS006では、フィッティング結果の比較のため、カウンタjとj−1におけるフィッティング結果Res(j)とRes(j−1)の差が求められる。次に、フィッティング結果Res(j)の差分判定として、ステップS006で求めた各要素(各回路定数Rm,Ra,Ca,Rc,Cc)の差分(変化量)があらかじめ定めた設定値以下であるか否かが判定される(ステップS007)。各要素の差分が設定値以下であった場合には、フィッティング結果Res(j)を電流値Idcでの等価回路モデル定数に決定する処理が行われ(ステップS008)、他方、いずれかの要素の差分値が設定値を超えていた場合にはステップS0051でカウンタjがインクリメントされ、ステップS0021でカウンタiがインクリメントされ、そして他の周波数f(i)においてインピーダンス計測ならびにフィッティングおよびその結果の判定処理が行われる(ステップS001〜S007)。
燃料電池の交流インピーダンス計測における低周波数の測定領域は、1Hz〜0.1Hz程度となるが、これらの周波数におけるインピーダンス測定には各測定点で数秒〜数十秒程度必要とする。これは、インピーダンス測定のS/N(信号雑音比)向上のため、交流波形の複数周期分の測定を行う必要があるからである。また、周波数の測定間隔は対数あるいは線形で設定されるが、例えば0.1Hzの次に0.11Hzでの測定が必要となり、このような間隔で測定を行うことは測定時間をさらに増加させることになる。また、低周波数領域(例えば1Hz以下)では、燃料電池100内で生成される水の流れの影響による、測定バラツキの拡大も無視できない(水の流れの変化が秒のオーダーで発生すると考えられる。)。
これに対し、本実施の形態では、既定周波数fs以下の周波数となったところで、まず既定周波数fsまでの交流インピーダンスデータから等価回路モデルへのフィッティングを行って回路定数を求め、その後は周波数の測定終了毎にそれ以前の交流インピーダンスデータからフィッティングを行い、その変化量が設定値以下となったところで、回路定数を決定し、測定を終了する。これによれば、低周波領域での測定を省略することができるので、低周波数領域での測定回数を減少させ、さらに低周波領域での測定における電気化学的反応による測定ばらつきの影響を低減することが期待できる。さらに、等価回路モデルへのフィッティング結果の差分が所定の設定以下となったところで回路定数を決定するので、測定回数を減じたことによる精度の低下も一定の範囲に抑えることができると期待できる。すなわち、本実施の形態によれば、高精度かつ短時間の測定を行うことができ、さらに生成水による測定バラツキへの影響を排除した、燃料電池の特性測定を行うことが可能となるのである。
なお、上記実施の形態については、次のような変更を行うことが可能である。
(1)図4のステップS008で回路定数を決定した後、所定の最低周波数(図2の測定点P1、周波数f≒0Hz)においてステップS001と同様にしてインピーダンス計測を行い、ステップS003〜S004と同様にしてそのインピーダンス計測結果を用いて等価回路モデルへのフィッティングを行い、回路定数をさらに求めるようにすることができる。この構成によれば、あらかじめ設定しておいた最低周波数でのインピーダンス測定を実施して再度フィッティングを行うので、より信頼性の高い等価回路定数を得ることが可能となる。
(2)ある周波数でのインピーダンス計測結果が、過去の計測結果から予想される誤差範囲からはずれた場合に、同一周波数でインピーダンス計測を再度実施するという構成を採用することもできる。例えば、図4のステップS001である周波数(当該周波数)で計測されたインピーダンスを用いてステップS003〜S004で回路定数を求めた後、その回路定数と他の周波数で求められた回路定数との差を比較する処理を追加する。そして、この差の大きさが所定の値以上であった場合には、当該周波数でステップS001のインピーダンス計測およびステップS003〜S004の回路定数の演算と、他の周波数で求められた回路定数との差の比較を再度実施する。これらの処理を、差の値が所定の設定値以内となるまで繰り返すようにする。例えば既定の周波数fs以降の交流インピーダンス計測において、直前の周波数までの計測で求められた回路定数と、最新の計測に基づいて得られた回路定数との差を比較し、それが既定値以上の場合には、その周波数で、再度インピーダンス計測を行うようにする。燃料電池のインピーダンス計測では、低周波領域で、生成水の排水や、瞬間的なノイズにより、インピーダンス計測自体のバラツキが大きくなる場合があるが、必要に応じてその周波数での測定回数を増やすことでその影響を排除することが可能となる。
(3)(2)の構成で、当該周波数での計測の繰り返し回数が所定の回数を超えても他の周波数との差が所定の値以上であった場合には、生成水の排水等による影響が継続している可能性すなわち電池流路内でフラッディング(flooding)が発生している可能性が高いと判定し、その判定結果を例えばディスプレイなどの出力装置に出力するような構成を追加することができる。例えば繰り返し処理の間の等価回路定数をすべて記憶しておいて、変化の傾向を確認し、繰り返し処理を何度行っても、インピーダンス計測結果がばらついて収束しない場合には、生成水によるフラッディングが発生していると判断することが可能となる。
(4)燃料電池の等価回路としてアノードとカソードとを分けたモデルを用いる場合には、(3)の構成で、どちらの極に対応する等価回路定数が収束していないのかを判定する構成を追加し、フラッディングが発生している極を特定する機能を追加することができる。等価回路モデルによっては、アノード、カソードを分けた判定をすることが可能であり、その場合はフラッディングがどちらの極で発生しているのかを判定することが可能となる。このようなモデルが適用される燃料電池の構成としては、例えば、参照電極を備えているものがある。参照電極とアノードおよびカソード間の電位差をそれぞれ計測することで、各電極に対応する等価回路定数を求めることができ、収束しない定数を特定することでフラッディングが発生している極を特定することができる。
なお、本発明の実施の形態は、上記のものに限定されず、さらに他の変更を行うことが可能である。例えば、図4のステップS007の判定処理においてすべての回路定数に対して比較を行うのではなく、特定の回路定数に限定することが可能である。特定の回路定数(例えばRaのみとか、Rcのみとか)の差分(変化量)が所定の範囲内にあるときに、そのときの値ですべての回路定数を決定するようにする。
また、本発明の構成は、図1に示す各構成を含むもの、燃料電池100以外の構成からなるもの、インピーダンス計測器300のみからなるもの等として考えることができる。さらに、インピーダンス計測器300において、例えば電流計測部302および電圧計測部303を汎用の計測器から構成し、電子負荷制御部301、インピーダンス計測部304、等価回路フィッティング部305、および判定部306を汎用のコンピュータを用いて構成することも可能であり、その場合には、本発明の構成を電子負荷制御部301、インピーダンス計測部304、等価回路フィッティング部305、および判定部306からなるものととらえることが可能であり、また、電子負荷制御部301、インピーダンス計測部304、等価回路フィッティング部305、および判定部306の各機能をプログラムによって実現し、それを実現するソフトウェアプログラムを製品として販売することも可能である。その際、プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、あるいは通信回線を介して配布することが可能である。
また、本発明は、燃料電池の劣化診断に特化したものではなく、燃料電池の電気的特性(交流インピーダンス特性)を、予め決められた燃料電池等価回路モデルへのフィッティングを随時行うことによって高速に燃料電池の等価回路モデル化を実現することで測定する装置としてとらえることができる。勿論、等価回路定数の変化から劣化診断も可能であるし、燃料電池開発における評価工数の軽減にも大きく貢献できる。
本発明の燃料電池の特性計測装置の実施の形態のブロック図。 図1の構成によるインピーダンス計測結果の一例を説明するための図。 燃料電池の等価回路モデルの一例を示す図。 図1の機能を説明するためのフローチャート。
符号の説明
100…燃料電池、200…電子負荷装置、300…インピーダンス計測器(周波数設定手段)、301…電子負荷制御部、302…電流計測部、303…電圧計測部、304…インピーダンス計測部(インピーダンス計測手段)、305…等価回路フィッティング部(演算手段)、306…判定部(判定手段,決定手段)









Claims (7)

  1. 燃料電池の出力電流に交流成分を重畳し、燃料電池の出力電圧を測定することで燃料電池の特性を測定する特性測定装置において、
    交流成分の周波数を変化させる周波数設定手段と、
    周波数設定手段によって設定された周波数で燃料電池のインピーダンスを計測するインピーダンス計測手段と、
    インピーダンス計測手段によって計測されたインピーダンスに基づいて、燃料電池に対応する所定の等価回路の回路定数を求める演算手段と、
    異なる計測結果に基づいて演算手段が求めた回路定数の差分が所定の設定値以下であるか否かを判定する判定手段と、
    判定手段が設定値以下であると判定した場合に回路定数を決定する決定手段と
    を備えることを特徴とする燃料電池の特性測定装置。
  2. 前記周波数設定手段が高い周波数から低い周波数へと周波数を変化させて設定し、
    設定された周波数が所定の周波数以下である場合にのみ、前記演算手段が前記等価回路の回路定数を求める
    ことを特徴とする請求項1記載の燃料電池の特性測定装置。
  3. 前記判定手段が設定値以下であると判定した後、前記インピーダンス計測手段によって所定の最低周波数における計測を行い、前記演算手段でその計測結果を用いて前記等価回路の回路定数をさらに求める
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池の特性測定装置。
  4. 前記インピーダンス計測手段によってある周波数で計測されたインピーダンスを用いて求められた回路定数と、他の周波数で求められた回路定数との差が所定の値以上であった場合には、当該周波数で計測を繰り返して行う
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池の特性測定装置。
  5. 前記当該周波数での計測の繰り返しが所定の回数を超えても他の周波数で求められた回路定数との差が所定の値以上であった場合には、電池流路内でフラッディングが発生していると判定する手段を
    さらに備えていることを特徴とする請求項4記載の燃料電池の特性測定装置。
  6. 前記等価回路として燃料電池のアノードとカソードとを分けたモデルを用いている場合には、フラッディングが発生している極を特定する手段を
    さらに備えていることを特徴とする請求項5記載の燃料電池の特性測定装置。
  7. 燃料電池の出力電流に交流成分を重畳し、燃料電池の出力電圧を測定することで燃料電池の特性を測定する特性測定方法において、
    交流成分の周波数を変化させる周波数設定過程と、
    周波数設定過程で設定された周波数で燃料電池のインピーダンスを計測するインピーダンス計測過程と、
    インピーダンス計測過程で計測されたインピーダンスに基づいて、燃料電池に対応する所定の等価回路の回路定数を求める演算過程と、
    異なる計測結果に基づいて演算過程で求められた回路定数の差分が所定の設定値以下であるか否かを判定する判定過程と、
    判定過程で設定値以下であると判定された場合に回路定数を決定する決定過程と
    を含んでいることを特徴とする燃料電池の特性測定方法。
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