JP2007262289A - 光開始剤及び重合性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 空気中での硬化が可能な紫外線によって効率良くラジカルを発生し、かつ液晶骨格を有する光開始剤において、重合性液晶材料への溶解性を改善する。
【解決手段】 一般式(I)
【化1】
Figure 2007262289

で表される光開始剤、当該光開始剤を含有する重合性組成物及び当該重合性組成物の重合物である光学異方体を提供する。本発明の光開始剤は、重合性液晶材料への溶解性が優れることから、重合性液晶材料に開始剤を溶解させる際の加熱が最小限に抑えることが可能となり、不用意な熱重合の誘起を抑制できることから、重合性液晶材料を用いた光学異方体や液晶デバイス作製の際における、光開始剤として非常に有用である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、位相差フィルム等に応用される光学異方体の製造に有用な光開始剤、及び当該光開始剤を含有する重合性組成物に関する。
重合性液晶材料を配向させた状態で光重合させることにより位相差フィルム等の光学異方体を製造する方法が知られている。又、重合性液晶材料を重合性を有さない液晶材料中で紫外線により硬化させることにより、液晶材料中に高分子が形成された液晶表示素子を作製する方法が知られている。このような重合性液晶材料の硬化に用いる光開始剤として、揮発性低減や配向性改良の観点から、液晶骨格を導入したものが開示されている(特許文献1参照)。さらに、空気中での硬化も可能にするべく紫外線によって効率良くラジカルを発生し、かつ液晶骨格を有する光開始剤も開示されている(特許文献2参照)。しかしながら、これらの引用文献に記載された光開始剤は、重合性液晶材料との溶解性については十分とは言えず、液晶骨格を有し重合性液晶材料中への溶解性が良い光開始剤が求められていた。
特開平11−181010号公報 欧州特許出願公開1388538号明細書
本願発明が解決しようとする課題は、空気中での硬化が可能な紫外線によって効率良くラジカルを発生し、かつ液晶骨格を有する光開始剤において、重合性液晶材料への溶解性を改善することにある。
上記課題を解決するために、光開始剤の化合物構造について検討した結果、液晶骨格に特定の連結基を導入した構造が有効であることを見出し、本願発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、一般式(I)
Figure 2007262289
(式中、R1は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表すが、該炭化水素基はハロゲン原子又はシアノ基で置換されていても良く、基中に存在する隣接しない-CH2-は、酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして-O-、-S-、-NH-、-NR0-、(R0は水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)-SiRaRb-、(Ra及びRbはそれぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)-CO-、-COO-、-OCO-、OCOO-、-SCO-、-COS-、-CH=CH-又は-C≡C-で置換されていてもよくR1は又、P-Sp-X-を表し、、(Pは反応性官能基を表し、Spはスペーサー基又は単結合を表し、Xは-O-、-S-、-CO-、−COO-、-OCO-、OCOO-、-SCO-、-COS-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OOCCH=CH-又は単結合を表す。)R2及びR3はそれぞれ独立的に炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、R4及びR5はそれぞれ独立的に炭素原子数1〜20の炭化水素基を表すか又は又は-NR4R5が置換もしくは無置換の芳香環又は脂環を表し、これらの環はヘテロ原子で置換されていても良く、A及びBはそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基又はフルオレン2,7-ジイル基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基及びフルオレン2,7-ジイル基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のF、Cl、CF3、OCF3又はCH3を有することができ、Y1及びY2はそれぞれ独立的に、単結合、-COO-、-OCO-、-CH=N-、-N=CH-、-C≡C-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2O-、-OCH2CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-CF2O-、-OCF2-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-CH=CH-、-CH2CH2CH=CH-、-CH=CHCH2CH2-、-CH2CH=CHCH2-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH2CH2OCO-、-CH2CH2COO-、-COOCH2CH2-又は-OCOCH2CH2-を表すが、すくなくとも一つは-CH2CH2OCO-、-CH2CH2COO-、-COOCH2CH2-又は-OCOCH2CH2-を表し、nは0〜2の整数を表す。)で表される光開始剤、当該光開始剤を含有する重合性組成物及び当該重合性組成物の重合物である光学異方体を提供する。
本願発明の光開始剤は、骨格中にY1及びY2として、すくなくとも一つは-CH2CH2OCO-、-CH2CH2COO-、-COOCH2CH2-、-OCOCH2CH2-を導入することにより、液晶骨格に柔軟性を与えて、溶解性を確保したものである。液晶骨格に過剰の柔軟性を付与すると、液晶温度範囲が狭くなる等の液晶としての性質を損なう傾向があるが、-CH2CH2OCO-、-COOCH2CH2-は光開始剤として重合性液晶材料への溶解性と液晶としての性質を損なわないという2点を高い水準で両立できる。又、重要な特性である光開始剤としての感度波長域調整にはカルボニル基で置換されたベンゼン環から環A、環B、連結基Y1及び連結基Y2の全体を考慮して吸収波長を設計する必要がある。この際、Y1 及びY2として、すくなくとも一つは-CH2CH2OCO-、-CH2CH2COO-、-COOCH2CH2-、-OCOCH2CH2-を導入することよって、電子共役範囲を容易に設定できるという利点もある。例えば、環Aまで芳香環にすると感度波長域が可視光領域にまで及んでしまう場合でも、Y1として-CH2CH2OCO-、-CH2CH2COO-、-COOCH2CH2-、-OCOCH2CH2-を導入すれば、カルボニル基で置換されたベンゼン環からの共役構造を環Bまでにとどめることが可能になり、感度波長域を紫外領域にとどめることができる。これによって、安価なベンゼン環等の芳香環を環Aに導入しやすくなるという分子設計上有利な点もある。
本発明の光開始剤は、重合性液晶材料への溶解性が優れる。そのため、重合性液晶材料に本発明の開始剤を溶解させる際に、加熱が最小限ですむので、不用意な熱重合の誘起を抑制できる。又、本発明の光開始剤を重合性液晶材料に添加した状態で、長期間、光開始剤が析出することが無いので保存安定性が優れる。紫外線によって効率良くラジカルを発生するので、重合性液晶材料への添加量も最小限で済む。さらに、液晶骨格を有しているので、重合性液晶材料としての性質を損なうことが無いことから、重合性液晶材料を用いた光学異方体や液晶デバイス作製の際における、光開始剤として非常に有用である。
以下に本発明の一例について説明する。本発明の光開始剤の一般式(I)で表される光開始剤は次のような構造が好ましい。Rが炭化水素基を表す場合、基中の炭素原子数は、重合性液晶材料との相溶性の観点から2〜12が好ましく、3〜8がより好ましい。Rが-SiRaRb-を表す場合、Ra及びRbはそれぞれ独立的に水素原子又は又は、炭素原子数1〜2のアルキルが好ましい。R1が、P-Sp-Xを表すことが好ましく、この場合反応性官能基Pとしては、アクリロイルオキシ基又はメタアクリロイルオキシ基が好ましく、スペーサ基Spは炭素原子数3〜8のアルキレン基が好ましく、Xとしては、-O-、-COO-、-OCO-、OCOO-基又は単結合が好ましく、-O-がより好ましい。R2及びR3はそれぞれ独立的に炭素原子数1〜4のアルキル基が好ましい。R4及びR5はそれぞれ独立的に炭素原子数1〜4のアルキル基が好ましい。R4及びR5は又は、隣接する窒素原子、R4及びR5が環状構造を表すことがより好ましく、この場合環状構造は置換もしくは無置換の芳香環又は脂環を表し、これらの環はヘテロ原子で置換されていても良いが、この中でも、-NR4R5としては、式(I-a)が特に好ましい。
Figure 2007262289
A及びBはそれぞれ独立的に、()1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基又はフルオレン2,7-ジイル基が好ましく、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、フルオレン2,7-ジイル基がより好ましい。Y1及びY2は少なくとも一つの-CH2CH2OCO-、-CH2CH2COO-、-COOCH2CH2-又は-OCOCH2CH2-を除いて、Y1及びY2はそれぞれ独立的に、単結合、-COO-又は-OCO-、が好ましい。液晶としての性質を付与する観点、揮発性を抑制する観点から、nは1又は2が好ましく、相溶性との観点も考慮するとnは1がより好ましい。
一般式(I)で表される光開始剤は、より具体的には、下記一般式(I-1)〜一般式(I-34)で表される化合物を例として挙げることができる。
Figure 2007262289
Figure 2007262289
Figure 2007262289
Figure 2007262289
(式中、mは1〜20の整数を表し、aは0又は1を表す。)
これらの化合物の中でも、重合性液晶材料との相溶性や液晶としての性質を付与する観点、揮発性抑制・吸収波長域を紫外領域に調節する観点を総合して、一般式(I-3)、(I-13)、(I-14)、(I-17)、(I-20)、(I-21)、(I-27)、(I-28)、(I-29)、(I-30)、(I-33)又は(I-34)が好ましく、光開始剤として反応性官能基を有している観点も考慮すると、一般式(I-3)、(I-17)、(I-27)又は(I-30)が好ましい。又、Adv.Mater.11,573(1999)や特表2005-513241に開示されているように、2色性開始剤としての利用が重視される場合、一般式(I-17)、(I-18)、(I-19)、(I-20)又は(I-21)が好ましく、一般式(I-17)又は(I-20)が更に好ましい。
本発明の化合物は、通常の有機合成で用いられる手法で合成することができる。例えば、以下のような合成例を挙げることができる。
Figure 2007262289
(式中、R1、Y1、A及びBは一般式(I)におけるものと同じ意味を表す。)
式(S-1)のフェネチルアルコールと式(S-2)の2-ブロモイソブチリルブロミドをフリーデルクラフツ反応させた後、モルホリンと反応させ式(S-4)のフェネチルアルコール誘導体を得る。式(S-4)と一般式(S-5)のカルボン酸誘導体とをジシクロヘキシルカルボジイミド等の縮合剤を用いて反応させ、一般(S-6)で表される本発明の化合物を得ることができる。
又、以下のような合成例も挙げることができる。
Figure 2007262289
(式中、R1、Y1、A及びBは一般式(I)におけるものと同じ意味を表す。)
式(S-7)の4-フェニル安息香酸と式(S-8)のイソブチリルクロリドをフリーデルクラフツ反応させた後、カルボニル基のアルファ水素を臭素により置換し、さらにモルホリンと反応させることにより、式(S-10)の安息香酸誘導体を得る。式(S-10)と一般(S-11)のアルコール誘導体とをジシクロヘキシルカルボジイミド等の縮合剤を用いて反応させ、一般式(S-12)で表される本発明の化合物を得ることができる。
次に本発明の重合性液晶組成物について説明する。本発明の重合性液晶組成物は、室温でスメクチックA相又はネマチック相を呈するように調製することが好ましい。具体的には35℃以下、このましくは30℃以下、さらに好ましくは25℃以下でもスメクチックA相又はネマチック相が保たれるようにすることが好ましい。本発明の重合性液晶組成物中に含まれる重合性液晶化合物としては、重合性官能基としてアクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基を有するものが好ましい。重合性液晶化合物としては、重合性官能基を分子内に2つ以上持つものが好ましい。このような2官能以上の化合物としては、一般式(II)
Figure 2007262289
(式中、W1及びW2はそれぞれ独立的に単結合、−O−、−COO−又は−OCO−を表し、Y3及びY4はそれぞれ独立的に−COO−又は−OCO−を表し、r及びsはそれぞれ独立的に2〜18の整数を表し、式中に存在する3種の1,4−フェニレン基の水素原子は炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数1〜7のアルカノイル基、シアノ基又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良い。)で表される化合物が好ましい。一般式(II)で表される化合物の中でも、一般式(II-1)〜一般式(II-8)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 2007262289
(式中、r及びsはそれぞれ独立的に一般式(II)におけるものと同じ意味を表す。)
一般式(II-1)〜一般式(II-8)において、r及びsはそれぞれ独立的に3〜6の整数が好ましい。
又、一般式(III)
Figure 2007262289
(式中、W及びWはそれぞれ独立的に単結合、−O−、−COO−又は−OCO−を表し、Y5は−COO−又は−OCO−を表し、p及びqはそれぞれ独立的に2〜18の整数を表し、式中に存在する3種の1,4−フェニレン基の水素原子はそれぞれ独立的に、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数1〜7のアルカノイル基、シアノ基又はハロゲン原子で一つ以上置換されていても良い。)で表される化合物も好ましい。 一般式(III)で表される化合物の中でも、一般式(III-1)〜一般式(III-8)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 2007262289
(式中、p及びqはそれぞれ独立して一般式(III)におけるものと同じ意味を表す。)
このような化合物の中でも耐熱性や耐久性の点から、一般式(III-2)、(III-5)、(III-6)、(III-9)又は(III-10)で表される化合物が好ましく、一般式(III-2)の化合物が特に好ましい。
この他にも重合性官能基を分子内に2つ以上持つ重合性液晶化合物としては、一般式(a−1)〜一般式(a―10)で表される化合物を含有させることができる。
Figure 2007262289
(式中、u及びvはそれぞれ独立して2〜18の整数を表す。)
これらの中でも、一般式(a-2)又は(a-3)の化合物の利用は好ましい。一般式(a−1)〜一般式(a―10)において、u及びvはそれぞれ独立して3〜18が好ましく、4〜16がより好ましく、6〜12が特に好ましい。
さらに、液晶温度範囲や複屈折率の調節、粘度低減を目的として一般式(IV)
Figure 2007262289
(式中、eは0〜18の整数を表し、eが0又は1のときfは0を表し、eが2〜18のとき、fは0又は1を表し、iは0〜2の整数を表し、C、D及びEはそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基又はフルオレン2,7-ジイル基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基及びフルオレン2,7-ジイル基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のF、Cl、CF3、OCF3又はCH3を有することができ、Y6及びY7はそれぞれ独立的に、単結合、-COO-、-OCO-、-CH=N-、-N=CH-、-C≡C-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2O-、-OCH2CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-CF2O-、-OCF2-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-CH=CH-、-CH2CH2CH=CH-、-CH=CHCH2CH2-、-CH2CH=CHCH2-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH2CH2OCO-又は-COOCH2CH2-を表し、Y8は単結合、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-CONH-、-NHCO-、-CH2COO-又は-CH2OCO-を表し、Zは炭素原子数1〜18のアルキル基、炭素原子数2〜18のアルケニル基、ハロゲン原子、CN又はNCSを表し、該アルキル基又はアルケニル基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のF、Cl、CN、CH3又はCF3を有することができ、該アルキル基又はアルケニル基中に存在する1個又は2個以上のCH2基は、O原子が相互に直接結合しないものとして、O、CO又はCOOで置換されていてもよい。)で表される単官能の重合性液晶化合物を添加することもできる。その添加量は50質量%以下が好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、15質量%以下が特に好ましい。一般式(IV)で表される化合物の中でも、一般式(IV-1)〜一般式(IV-11)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 2007262289
(式中、e及びfはそれぞれ独立して一般式(IV)におけるものと同じ意味を表し、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基又は炭素原子数2〜12のアルケニル基を表す。)
さらに本発明の重合性液晶組成物には、重合性官能基を有する化合物であって、液晶性を示さない化合物を添加することもできる。このような化合物としては、通常、この技術分野で高分子形成性モノマーあるいは高分子形成性オリゴマーとして認識されるものであれば特に制限なく使用することができるが、その添加量は組成物として液晶性を呈するように調整する必要がある。
本発明の重合性液晶組成物中における本発明の光開始剤の濃度は、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜5質量%がさらに好ましく、0.4〜3質量%が特に好ましい。又、本発明の光開始剤の他に、他の光開始剤を添加することができる。光開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
又、本発明の重合性液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために、安定剤を添加することもできる。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類、ニトロソ化合物等が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、液晶組成物に対して0.005〜1質量%の範囲が好ましく、0.02〜0.5質量%がさらに好ましく、0.03〜0.1質量%が特に好ましい。
又、本発明の重合性液晶組成物を偏光フィルムや配向膜の原料、又は印刷インキ及び塗料、保護膜等の用途に利用する場合には、その目的に応じて金属、金属錯体、染料、顔料、色素、蛍光材料、燐光材料、界面活性剤、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等を添加することもできる。
次に本発明の重合体について説明する。本発明の重合性液晶組成物を重合させることによって製造される重合体は種々の用途に利用できる。例えば、本発明の重合性液晶組成物を、配向させない状態で重合させた場合、光散乱板、偏光解消板、モアレ縞防止板として利用可能である。又、本発明の重合性液晶組成物を配向させた状態において、重合させることにより製造された重合体は、物理的性質に異方性を有しており、有用である。このような重合体は、例えば、本発明の重合性液晶組成物表面を、布等でラビング処理した基板、もしくは有機薄膜を形成した基板表面を布等でラビング処理した基板、あるいはSiO2 を斜方蒸着した配向膜を有する基板上に担持させるか、基板間に挟持させた後、本発明の液晶を重合させることによって製造することができる。
重合性液晶組成物を基板上に担持させる際の方法としては、スピンコーティング、ダイコーティング、エクストルージョンコーティング、ロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、ディッピング、プリント法等を挙げることができる。又コーティングの際、重合性液晶組成物に有機溶媒を添加しても良い。有機溶媒としては、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、セロソルブ類を挙げることができる。これらは単独でも、組み合わせて用いても良く、その蒸気圧と重合性液晶組成物の溶解性を考慮し、適宜選択すれば良い。又、その添加量は90重量%以下が好ましい。添加した有機溶媒を揮発させる方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥を用いることができる。重合性液晶材料の塗布性をさらに向上させるためには、基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設けることや、重合性液晶材料にレベリング剤を添加するのも有効である。基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設けるのは、重合性液晶材料を重合させて得られる重合体と基板の密着性が良くない場合に、密着性を向上させる手段としても有効である。
重合性液晶組成物を基板間に挟持させる方法としては、毛細管現象を利用した注入法が挙げられる。基板間に形成された空間を減圧し、その後、重合性液晶材料を注入する手段も有効である。
ラビング処理、あるいはSiO2 の斜方蒸着以外の配向処理としては、液晶材料の流動配向の利用や、電場又は磁場の利用を挙げることができる。これらの配向手段は単独で用いても、又組み合わせて用いても良い。さらに、ラビングに代わる配向処理方法として、光配向法を用いることもできる。この方法は、例えば、ポリビニルシンナメート等の分子内に光二量化反応する官能基を有する有機薄膜、光で異性化する官能基を有する有機薄膜又はポリイミド等の有機薄膜に、偏光した光、好ましくは偏光した紫外線を照射することによって、配向膜を形成するものである。この光配向法に光マスクを適用することにより配向のパターン化が容易に達成できるので、重合体内部の分子配向も精密に制御することが可能となる。
基板の形状としては、平板の他に、曲面を構成部分として有していても良い。基板を構成する材料は、有機材料、無機材料を問わずに用いることができる。基板の材料となる有機材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、トリアセチルセルロース、セルロース、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられ、又、無機材料としては、例えば、シリコン、ガラス、方解石等が挙げられる。
これらの基板を布等でラビングすることによって適当な配向性を得られない場合、公知の方法に従ってポリイミド薄膜又はポリビニルアルコール薄膜等の有機薄膜を基板表面に形成し、これを布等でラビングしても良い。又、通常のツイステッド・ネマチック(TN)素子又はスーパー・ツイステッド・ネマチック(STN)素子で使用されているプレチルト角を与えるポリイミド薄膜は、重合体内部の分子配向構造を更に精密に制御することができることから、特に好ましい。
又、電場によって配向状態を制御する場合には、電極層を有する基板を使用する。この場合、電極上に前述のポリイミド薄膜等の有機薄膜を形成するのが好ましい。
本発明の重合性液晶組成物を重合させる方法としては、迅速な重合の進行が望ましいので、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射することによって重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良いし、非偏光光源を用いても良い。又、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合には、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性が与えられていなければならない。又、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、さらに活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。又、照射時の温度は、本発明の重合性液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。特に、光重合によって重合体を製造しようとする場合には、意図しない熱重合の誘起を避ける意味からも可能な限り室温に近い温度、即ち、典型的には25℃での温度で重合させることが好ましい。活性エネルギー線の強度は、0.1mW/cm〜2W/cmが好ましい。強度が0.1mW/cm以下の場合、光重合を完了させるのに多大な時間が必要になり生産性が悪化してしまい、2W/cm以上の場合、重合性液晶化合物又は重合性液晶組成物が劣化してしまう危険がある。
重合によって得られた本発明の重合体は、初期の特性変化を軽減し、安定的な特性発現を図ることを目的として熱処理を施すこともできる。熱処理の温度は50〜250℃の範囲で、又熱処理時間は30秒〜12時間の範囲が好ましい。
このような方法によって製造される本発明の重合体は、基板から剥離して単体で用いても、剥離せずに用いても良い。又、得られた重合体を積層しても、他の基板に貼り合わせて用いてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。又、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
(実施例1)
光開始剤の合成例
ヘキサン475ml、6-クロロ-1-ヘキサノール63.2g、ヒドロキノン0.5g、p-トルエンスルホン酸4.4gの混合物を生成してくる水を留去しながら6時間還流させた。室温まで冷却後300mlのTHFを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、ついで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を水洗した後、有機溶媒を減圧留去して式(1)
Figure 2007262289
の粗生成物を100g得た。
2-(4-ヒドロキシフェニル)エチルアルコール200g、式(1)の化合物44g、炭酸カリウム32g、2,4-ジ-tertブチルフェノール0.4g、DMF200mlの混合物を80℃で16時間加熱撹拌した。室温まで冷却後、有機層を希塩酸水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、有機溶媒を減圧留去して式(2)
Figure 2007262289
の粗生成物6gを得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、式(2)の精製物を4.0g得た。
塩化アルミニウム30.0gにジクロロメタン50mlに注ぎ入れて-10℃に冷却した後、撹拌しながら100mlのジクロロメタンに溶解させた4-フェニル安息香酸20gを反応液の温度が0℃以下を保ちながら滴下した。さらに、50mlのジクロロメタンに溶解させたイソブチリルクロリド12gを反応液の温度が0℃以下を保ちながら滴下した。反応液の温度を室温にして、5時間撹拌した。反応液を500gの氷と300mlの10%塩酸水溶液からなる混合物に静かに加えて撹拌した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、有機溶媒を減圧留去して式(3)
Figure 2007262289
の粗生成物を13g得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、式(3)の精製物7.0gを得た。
式(3)の化合物6.5g、ジクロロメタン50mlの混合物を撹拌しながら10℃に冷却した後、撹拌しながら臭素6gを5分間かけて滴下した。滴下終了後、反応液の温度を室温にして10時間撹拌した。反応液を飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、有機溶媒を減圧留去して式(4)
Figure 2007262289
の粗生成物を6.2g得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、式(4)の精製物4.7gを得た。
式(4)の化合物4.5g、モルホリン50gの混合物を16時間110℃に保ちながら撹拌した。室温まで冷却後、水を500ml加え、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、有機溶媒を減圧留去して本発明の式(5)
Figure 2007262289
の粗生成物3.9gを得た。得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、式(5)の精製物2.5gを得た。
ジクロロメタン50mlに、式(2)の化合物2.0g、ジメチルアミノピリジン0.1g、式(4)の化合物2.2g、ジシクロヘキシルカルボジイミド1.7gを加えて室温で8時間撹拌した。有機層を希塩酸水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、有機溶媒を減圧留去して本発明の式(6)
Figure 2007262289
の粗生成物2.5gを得た。得られた粗精製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、式(6)の精製物1.6gを得た。
1H-NMR(400MHz、CDCl3):δ1.30〜1.65(m、14H)、2.41(t、4H)、3.01(t、2H)、3.72(t、4H)、3.97(t、2H)、4.15(t、2H)、4.64(t、2H)、5.84(t、1H)、6.13(dd、2H)、6.38(d、2H)、6.80〜7.95(m、12H)
(実施例2)
以下に示す組成の重合性液晶組成物(A)を調製した。
Figure 2007262289
重合性液晶組成物(A)は、室温でネマチック液晶相を示した。ネマチック−等方性液体相転移温度(TNI)は56℃であった。波長589nmにおける異常光屈折率neは1.664、常光屈折率noは1.505、屈折率異方性は0.159であった。これに本発明の式(6)の光開始剤を1%分添加して重合性液晶組成物(B)を調製した。式(6)の開始剤を重合性液晶組成物(A)中に完全に相溶させるのに必要な温度は48℃であった。重合性液晶組成物(B)のTNIは57℃、波長589nmにおけるneは1.665、noは1.506、屈折率異方性は0.159であった。この重合性液晶組成物を、加熱真空注入法(温度80℃、133Paに30分間減圧)により、縦5cm、横5cm、ギャップ5μmのホモジニアス配向セルに注入した。25℃まで冷却後、重合性液晶組成物(B)が均一にホモジニアス配向していることを確認した。これに高圧水銀ランプを用いて4mW/cm2の紫外線を120秒間照射したところ、重合性液晶組成物(B)が硬化しており、均一な配向状態を保ったまま重合したことが確かめられた。
(比較例1)
実施例2で調製した重合性液晶組成物(A)に、式(11)の光開始剤イルガキュアー651(チバスペシャリティケミカルズ社)
Figure 2007262289
を1%分添加して重合性液晶組成物(C)を調製した。イルガキュアー651を重合性液晶組成物(A)中に完全に相溶させるのに必要な温度は66℃であった。重合性液晶組成物(C)のTNIは52℃、波長589nmにおけるneは1.660、noは1.508、屈折率異方性は0.152であった。この重合性液晶組成物を、加熱真空注入法(温度80℃、133Paに30分間減圧)により、縦5cm、横5cm、ギャップ5μmのホモジニアス配向セルに注入した。25℃まで冷却後、重合性液晶組成物(C)が均一にホモジニアス配向していることを確認した。これに高圧水銀ランプを用いて4mW/cm2の紫外線を120秒間照射したが、重合性液晶組成物(C)は重合しなかった。原因究明したところ、真空注入法による注入の際にイルガキュアー651がほとんど揮発してしまったことが分かった。
実施例2と比較例1との比較から、本発明の光開始剤は重合性液晶材料に溶解する際に必要な加熱温度が、通常の光開始剤より低く、重合性液晶材料への相溶性が高いことがわかる。又、本発明の開始剤を添加しても重合性液晶材料のネマチック−等方性液体相転移温度、及び複屈折率を低下させないのに対し、通常の光開始剤を添加すると重合性液晶材料のネマチック−等方性液体相転移温度、及び複屈折率を低下させてしまう。つまり、本発明の光開始剤を添加しても、重合性液晶材料の液晶としての性質を損なう傾向が無いことがわかる。さらに、本発明の光開始剤は、真空注入法を適用しても揮発しにくいことがわかる。
(実施例3)
以下に示す組成の重合性液晶組成物(D)を調製した。重合性液晶組成物(D)は、一度、等方性液体相まで加熱してから冷却すると、72℃でネマチック相に相転移した。このネマチック相は室温においても保たれた。
Figure 2007262289
この重合性液晶組成物(D)に、これに本発明の式(6)の光開始剤を5%分添加して本発明の重合性液晶組成物(E)を調製した。式(6)の開始剤を重合性液晶組成物(D)中に完全に相溶させるのに必要な温度は50℃であった。この重合性液晶組成物(E)をシクロヘキサンとプロピレングリコールモノメチルエーテルとシクロヘキサンの1:1(容量比)の混合溶媒中に、濃度が33%になるように溶解させて塗布液(F)を調製した。この塗布液を5cm角のポリイミド配向膜付きガラス基板上にスピンコート(3000rpm、15秒)した。これを、温度80℃、133Paに20分間減圧して溶媒を揮発させた。空気中で室温まで冷却後、30分間放置したが、本発明の光開始剤の結晶析出は認められなかった。これに、空気中で高圧水銀ランプを用いて20mW/cm2の紫外線を300秒照射したところ、硬化することが確かめられた。
(比較例2)
実施例3で調製した重合性液晶組成物(D)に、式(12)の光開始剤
Figure 2007262289
を5%分添加して重合性液晶組成物(G)を調製した。式(12)の開始剤を重合性液晶組成物(D)中に完全に相溶させるのに必要な温度は89℃であった。この重合性液晶組成物(G)をシクロヘキサンとプロピレングリコールモノメチルエーテルとシクロヘキサンの1:1(容量比)の混合溶媒中に、濃度が33%になるように溶解させて塗布液(H)を調製した。この塗布液を5cm角のポリイミド配向膜付きガラス基板上にスピンコート(3000rpm、15秒)した。これを、温度80℃、133Paに20分間減圧して溶媒を揮発させた。空気中で室温まで冷却後、30分間放置したところ、一部に式(12)の光開始剤の結晶析出が観察された。これに、空気中で高圧水銀ランプを用いて20mW/cm2の紫外線を300秒照射したところ、結晶析出部分以外は硬化することが確かめられた。
実施例3と比較例2との比較から、本発明の光開始剤は、ほぼ同じ化学構造で、ほぼ同じ分子量を有する光開始剤と比較して、重合性液晶材料への相溶性が高いため、重合性液晶材料に溶解する際に加熱温度が低くてすみ、重合性液晶材料の不用意な熱重合の誘起を抑止することができる。又、光開始剤の結晶析出も抑制できるので、均一な光学異方体を得ることができる。

Claims (4)

  1. 一般式(I)
    Figure 2007262289
    (式中、R1は炭素原子数1〜20の炭化水素基を表すが、該炭化水素基はハロゲン原子又はシアノ基で置換されていても良く、基中に存在する隣接しない-CH2-は、酸素原子又は硫黄原子が相互に直接結合しないものとして-O-、-S-、-NH-、-NR0-、(R0は水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)-SiRaRb-、(Ra及びRbはそれぞれ独立的に水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。)-CO-、-COO-、-OCO-、OCOO-、-SCO-、-COS-、-CH=CH-又は-C≡C-で置換されていてもよくR1は又、P-Sp-X-を表し、、(Pは反応性官能基を表し、Spはスペーサー基又は単結合を表し、Xは-O-、-S-、-CO-、−COO-、-OCO-、OCOO-、-SCO-、-COS-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH=CHCOO-、-OOCCH=CH-又は単結合を表す。)R2及びR3はそれぞれ独立的に炭素原子数1〜20の炭化水素基を表し、R4及びR5はそれぞれ独立的に炭素原子数1〜20の炭化水素基を表すか又は又は-NR4R5が置換もしくは無置換の芳香環又は脂環を表し、これらの環はヘテロ原子で置換されていても良く、A及びBはそれぞれ独立的に、1,4-フェニレン基、1,4-シクロヘキシレン基、1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、テトラヒドロチオピラン-2,5-ジイル基、1,4-ビシクロ(2,2,2)オクチレン基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基又はフルオレン2,7-ジイル基を表し、該1,4-フェニレン基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、2,6-ナフチレン基、フェナントレン-2,7-ジイル基、9,10-ジヒドロフェナントレン-2,7-ジイル基、1,2,3,4,4a,9,10a-オクタヒドロフェナントレン2,7-ジイル基及びフルオレン2,7-ジイル基は非置換であるか又は置換基として1個又は2個以上のF、Cl、CF3、OCF3又はCH3を有することができ、Y1及びY2はそれぞれ独立的に、単結合、-COO-、-OCO-、-CH=N-、-N=CH-、-C≡C-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2O-、-OCH2CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-CF2O-、-OCF2-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、-CH=CH-、-CH2CH2CH=CH-、-CH=CHCH2CH2-、-CH2CH=CHCH2-、-CH=CHCOO-、-OCOCH=CH-、-CH2CH2OCO-、-CH2CH2COO-、-COOCH2CH2-又は-OCOCH2CH2-を表すが、すくなくとも一つは-CH2CH2OCO-、-CH2CH2COO-、-COOCH2CH2-又は-OCOCH2CH2-を表し、nは0〜2の整数を表す。)で表される光開始剤。
  2. R1がP-Sp-X-を表し、Pがアクリロイルオキシ基を表し、-NR4R5が式(I-a)
    Figure 2007262289
    を表す請求項1記載の光開始剤。
  3. 請求項1記載の光開始剤、及び重合性液晶化合物を含有する重合性組成物。
  4. 請求項2記載の重合性液晶組成物の重合物である光学異方体。


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