JP2007261372A - 車両用空調ユニットの配管取り出し構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】空調ケースの配管取り出し口を、より少ない部品で確実にシールすることによって組み付け作業性を容易とし、コストを抑える。
【解決手段】冷媒導入配管3aと冷媒導出配管3bとの両方のケース貫通部を、スリットSの付いたシールパッキン5で覆い、そのシールパッキン5を上下ケース1・2で挟持してシールするようにしている。
これによれば、両配管3a・3bの先端側に接続ブロック3cをろう付けして一体としたものにおいても、シールパッキン5にスリットSを設けたことにより両配管3a・3bのケース貫通部に容易にシールパッキン5を後から取り付けることができ、組み付け作業を容易としてコストを抑えることができる。また、そのシールパッキン5を上下ケース1・2で挟持することにより、シールパッキン51つだけで確実にシールすることができる。
【選択図】図3
【解決手段】冷媒導入配管3aと冷媒導出配管3bとの両方のケース貫通部を、スリットSの付いたシールパッキン5で覆い、そのシールパッキン5を上下ケース1・2で挟持してシールするようにしている。
これによれば、両配管3a・3bの先端側に接続ブロック3cをろう付けして一体としたものにおいても、シールパッキン5にスリットSを設けたことにより両配管3a・3bのケース貫通部に容易にシールパッキン5を後から取り付けることができ、組み付け作業を容易としてコストを抑えることができる。また、そのシールパッキン5を上下ケース1・2で挟持することにより、シールパッキン51つだけで確実にシールすることができる。
【選択図】図3
Description
本発明は、車両用空調ユニットからの配管取り出し構造に関するものであり、特に冷媒蒸発器の冷媒導入・導出配管の取り出し部などに用いて好適なものである。
図5の(a)は、従来の車両用空調ユニットの配管取り出し構造の一例を示す縦断面図であり、(b)は(a)中のA視拡大図である。複数のケース部材1・2を嵌合して形成される空調ケースと、その空調ケース内に収納されてその嵌合面の一部から2本の配管3a・3bを延出させるエバポレータ(冷媒蒸発器)3とを有する車両用空調ユニットの配管取り出し構造である。
配管3a・3bには、パイプ用断熱保護部材としてのパイプインシュレータ31a・31bを被せたうえ、配管3a・3b間に樹脂プレート(もしくはゴムグロメット)10Aを挟み込んで取り出し口における水や風の侵入や空調風が漏れ出るのを防止している。また、図6の(a)は、従来の車両用空調ユニットの配管取り出し構造の他の一例を示す縦断面図であり、(b)は(a)中のB視図である。
図5の構造では、エバポレータ3側に構成していた接続ブロック3cと膨張弁4とを、ケース嵌合面側に構成している。そして、シールパッキン55を孔部の内面側に貼付した樹脂部材10Bを、外方から空調ケースの取り出し口に嵌めて、膨張弁4の周りをシールパッキン55で埋めることによって水や風の侵入や空調風が漏れ出るのを防止している。ちなみに図6中の6は、図示しないエンジンルームと車室とを隔てる隔壁に設けられた貫通孔の周りに押し当ててシールするシールパッキンである。
しかしながら、図5の構造では、樹脂プレート10Aをケース部材1と嵌合させるために、図5(b)に破線で示すような嵌合溝構造が必要であり、水や風の侵入や空調風が漏れ出るのを防止するためには嵌合調整が必要である。また、樹脂プレート10Aの位置はマーキングなどをすればコスアップしてもある程度出せるが、エバポレータ3を上下のケース部材1・2内に組み付けをする際に嵌合溝が確実に嵌合するように調整しながら組付けをする必要がある。
また、図6の構造では、配管部分の構成を簡素にできるが、空調ケース内の冷媒蒸発器(3)より延出される両配管(3a、3b)の先端側に、少なくとも接続ブロック(3c)がロウ付けやかしめなどによって組み付けされていて、両配管(3a、3b)の先端側が一体となっているため、パイプインシュレータなどの丸パッキンを両配管(3a、3b)に通すことができない。
このため、膨張弁4の周りをシールパッキン55で埋めることでシールしているが、樹脂部材10Bの孔部内面側にシールパッキン55を貼付する作業が難しいため、結果的に高価な対応となっている。本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目して成されたものであり、その目的は、空調ケースの配管取り出し口を、より少ない部品で確実にシールすることによって組み付け作業性を容易とし、コストを抑えることのできる車両用空調ユニットの配管取り出し構造を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために、請求項1ないし請求項8に記載の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、複数のケース部材(1、2)を嵌合して形成される空調ケースと、
空調ケース内に収納されてその嵌合面の一部から冷媒導入配管(3a)と冷媒導出配管(3b)とを延出させる冷媒蒸発器(3)とを有する車両用空調ユニットの配管取り出し構造であり、
冷媒導入配管(3a)と冷媒導出配管(3b)との両方のケース貫通部を、スリット(S)の付いたシール部材(5)で覆い、そのシール部材(5)を複数のケース部材(1、2)で挟持してシールすることを特徴としている。
空調ケース内に収納されてその嵌合面の一部から冷媒導入配管(3a)と冷媒導出配管(3b)とを延出させる冷媒蒸発器(3)とを有する車両用空調ユニットの配管取り出し構造であり、
冷媒導入配管(3a)と冷媒導出配管(3b)との両方のケース貫通部を、スリット(S)の付いたシール部材(5)で覆い、そのシール部材(5)を複数のケース部材(1、2)で挟持してシールすることを特徴としている。
この請求項1に記載の発明によれば、両配管(3a、3b)の先端側に接続ブロック(3c)をろう付けして一体としたものにおいても、シール部材(5)にスリット(S)を設けたことにより両配管(3a、3b)のケース貫通部に容易にシール部材(5)を後から取り付けることができ、組み付け作業を容易としてコストを抑えることができる。また、そのシール部材(5)を複数のケース部材(1、2)で挟持することにより、シール部材(5)1つだけで確実にシールすることができる。
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の車両用空調ユニットの配管取り出し構造において、複数のケース部材(1、2)のシール部材(5)を挟持する部分に、断面略三角形のシールリブ(9)を両配管(3a、3b)の貫通方向と略直交する方向に連続するように形成したことを特徴としている。この請求項2に記載の発明によれば、より確実・簡単にシール性を保つことができる。
また、請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の車両用空調ユニットの配管取り出し構造において、シール部材(5)には、両配管(3a、3b)を貫通させるパイプ貫通用孔(5a)を二つ並行して形成しているとともに、
スリット(S)は、パイプ貫通用孔(5a)間略中央の外周面から切り込み、そこから両方のパイプ貫通用孔(5a)へ向けて振り分けるようにして形成したことを特徴としている。
スリット(S)は、パイプ貫通用孔(5a)間略中央の外周面から切り込み、そこから両方のパイプ貫通用孔(5a)へ向けて振り分けるようにして形成したことを特徴としている。
この請求項3に記載の発明によれば、容易に両配管(3a、3b)のケース貫通部に取り付けることができるうえ、天地反転など姿勢を変えた場合においても脱落するようなことが無い。
また、請求項4に記載の発明では、請求項1に記載の車両用空調ユニットの配管取り出し構造において、シール部材(5)には、両配管(3a、3b)を貫通させるパイプ貫通用孔(5a)を二つ並行して形成しているとともに、
スリット(S)は、片側のパイプ貫通用孔(5a)に寄った位置(a点)の外周面から切り込んでそのパイプ貫通用孔(5a)の周りを回り込み、パイプ貫通用孔(5a)間の略中央から両方のパイプ貫通用孔(5a)へ向けて振り分けるようにして形成したことを特徴としている。
スリット(S)は、片側のパイプ貫通用孔(5a)に寄った位置(a点)の外周面から切り込んでそのパイプ貫通用孔(5a)の周りを回り込み、パイプ貫通用孔(5a)間の略中央から両方のパイプ貫通用孔(5a)へ向けて振り分けるようにして形成したことを特徴としている。
この請求項4に記載の発明によれば、比較的容易に両配管(3a、3b)のケース貫通部に取り付けることができるうえ、天地反転など姿勢を変えた場合においても脱落するようなことが無い。また、図4に示すように、両配管(3a、3b)の取り出し高さが違って傾斜している場合においても、パイプ貫通用孔(5a)の周りでシール部材(5)の重なっている部分が長く形成されているため、確実・簡単にシール性を保つことができる。
また、請求項5に記載の発明では、請求項1ないし請求項4のうちいずれか1項に記載の車両用空調ユニットの配管取り出し構造において、二つのパイプ貫通用孔(5a)は、同じ径としたことを特徴としている。これは、両配管(3a、3b)の径のわずかな違いをシール部材(5)に反映すると、両配管(3a、3b)に対するシール部材(5)の方向性が増えるうえ、誤組付しても確認しにくいためにシール性が悪化する懸念ある。
しかし、この請求項5に記載の発明によれば、二つのパイプ貫通用孔(5a)を同じ径とすることにより、シール部材(5)の方向性を1つ減らすことができ、よりシール部材(5)の取り付け作業を容易にすることができる。なお、シールする部分の配管径のわずかな違いは、シール部材(5)の圧縮代にて吸収することができる。
また、請求項6に記載の発明では、請求項1ないし請求項5のうちいずれか1項に記載の車両用空調ユニットの配管取り出し構造において、パイプ貫通用孔(5a)の径は、太い方の冷媒導出配管(3b)の径よりも僅かに大きくしたことを特徴としている。これは、パイプ貫通用孔(5a)の径が冷媒導出配管(3b)の径よりも小さいと、シール部材(5)を両配管(3a、3b)に取り付けたときにスリット(S)に隙間が開くこととなるが、この請求項6に記載の発明によれば、シール部材(5)を両配管(3a、3b)に取り付けた後も、スリット(S)を確実に密着させることができる。
また、請求項7に記載の発明では、請求項1ないし請求項6のうちいずれか1項に記載の車両用空調ユニットの配管取り出し構造において、シール部材(5)のパイプ貫通方向の厚み(T)を、両配管(3a、3b)の延出側端に設けられた接続用部材(3c)と、その接続用部材(3c)から両配管(3a、3b)のうちいずれか一方が最初に曲がった部分との内側寸法(L)と略同等としたことを特徴としている。
この請求項7に記載の発明によれば、シール部材(5)の位置ずれに対する懸念を無くすことができるようになる。但し、シール部材(5)の位置ずれに対して空調ケース側の吸収代を大きく取ることができる場合はこの限りではない。
また、請求項8に記載の発明では、請求項3または請求項4に記載の車両用空調ユニットの配管取り出し構造において、空調ケース内に冷媒蒸発器(3)を収納するうえで、複数のケース部材(1、2)のうちいずれか一方のケース部材(1、2)内に冷媒蒸発器(3)を載置する時点において、
シール部材(5)のスリット(S)の切り込み部のある側が上側となるようケース貫通部にシール部材(5)を取り付けたことを特徴としている。
シール部材(5)のスリット(S)の切り込み部のある側が上側となるようケース貫通部にシール部材(5)を取り付けたことを特徴としている。
この請求項8に記載の発明によれば、上下のケース部材(1、2)を嵌合するうえで、まず、嵌合時下側となるケース部材(1、2)内に冷媒蒸発器(3)を載置する際、シール部材(5)のスリット(S)の切り込み部のある側が上側となっていることで、図3・図4中に矢印Fで示すような反力を作り出してスリット(S)に隙間が発生することを防止することができる。ちなみに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態(請求項1〜3、5〜8の適用例)について添付した図1ないし図3を用いて詳細に説明する。まず図1は、本発明の一実施形態に係る車両用空調ユニットの概略構造を示す模式図である。本実施形態は、本発明による配管取り出し構造を、水冷エンジン搭載車両の車両用空調ユニットに適用したものである。
以下、本発明の第1実施形態(請求項1〜3、5〜8の適用例)について添付した図1ないし図3を用いて詳細に説明する。まず図1は、本発明の一実施形態に係る車両用空調ユニットの概略構造を示す模式図である。本実施形態は、本発明による配管取り出し構造を、水冷エンジン搭載車両の車両用空調ユニットに適用したものである。
空気流路を成すケース部材としての空調ケース(後の上下ケース)1・2の空気上流部位には、車室内空気(内気)を吸入するための内気吸入口11と車室外空気(外気)を吸入するための外気吸入口12とが形成されるとともに、これらの吸入口11・12を選択的に開閉するための内外気切換ドア13が設けられている。
また、この内外気切換ドア13は、サーボモータ14などの駆動手段によって開閉駆動される。この内外気切換ドア13の下流側部位には、送風ブロワ15が配設されており、この送風ブロワ15によって両吸入口11・12のうちいずれかから吸入された空気が、後述する各開口部25・27・29に向けて送風される。
送風ブロワ15の空気下流側には、空気冷却手段を成すエバポレータ(冷媒蒸発器)3が配設されており、送風ブロワ15によって送風された空気は、全てこのエバポレータ3を通過する。エバポレータ3は、コンプレッサ7、コンデンサ8、膨張弁4と共に環状に配管結合されて冷凍サイクルを構成している。そして、コンプレッサ7は図示しない車両走行用エンジンに電磁クラッチ7aを介して連結されており、この電磁クラッチ7aを断続することで稼働をON−OFFして制御される。
エバポレータ3の空気下流側には、空気加熱手段を成すヒータコア21が配設されており、このヒータコア21は、図示しない車両走行用エンジンの冷却水を熱源として空気を加熱する。また、空調ケース1・2内には、ヒータコア21をバイパスするバイパス通路22が形成されているとともに、ヒータコア21の空気上流側には、ヒータコア21を通る風量とバイパス通路22を通る風量との風量割合にて吹出温度を調節するエアミックスドア23が配設されている。
そして、サーボモータ24などの駆動手段にてこのエアミックスドア23の開度を調節して、風量割合を調節している。また、空調ケース1・2の最下流側部位には、フロントガラスの内面に向けて空調空気を吹き出すためのデフロスタ開口部25と、車室内乗員の上半身に向けて空調空気を吹き出すためのフェイス開口部27と、車室内乗員の足元に向けて空調空気を吹き出すためのフット開口部29とが形成されている。
そして、各開口部25・27・29の空気上流側部位には、デフロスタドア26・フェイスドア28・フットドア30が配設されていて、これらのドアをサーボモータ31などの駆動手段によって連動させながらそれぞれの開口部を開閉することにより、吹出モードが切り換えられる。
また、電磁クラッチ7a、送風ブロワ15、およびサーボモータ14・24・31などの駆動手段を制御する図示しない電子制御装置(ECU)がある。このECUは、中央演算装置(CPU)、随時読み込み書き込み可能な記憶装置(RAM)、および読み込み専用の記憶装置(ROM)などからなる周知のマイクロコンピュータである。
このECU21には、所望の車室内温度を設定する図示しない温度設定手段と、車室内の温度を検出する内気温センサーと、外気の温度を検出する外気温センサーと、車室内に侵入する日射量を検出する日射センサーと、エバポレータ3からの冷気の温度を検出する出口温センサーと、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサーと、サーボモータ24に付いていてエアミックスドア23の開度を検出するポテンションメーターなどが入力接続されている。
そして、ECUは、当該車両の図示しないイグニッションスイッチがONされたときに図示しないバッテリーから給電されて作動状態になり、この空調装置の作動を開始させるエアコンスイッチがONされたときにECU内に記憶されたコンピュータプログラムの実行を開始する。
ECUは、先のセンサー群からの入力信号に基づいて所定の手順により、内外気切り替えドア13を駆動するサーボモータ14や、送風ブロワ7を駆動する図示しないモータコントローラーや、エアミックスドア23を駆動するサーボモータ24や、モード切り替えドア26・28・30を駆動するサーボモータ31などに制御信号を出力する。
次に、本発明に係る要部の構造について、図2・図3を用いて説明する。図2は、本発明の一実施形態における車両用空調ユニットの配管取り出し部の縦断面図である。また、図3の(a)は、本発明の第1実施形態を示す図2中のC−C断面における模式図であり、(b)は、(a)中のD視図である。
複数の上下ケース(ケース部材)1・2を嵌合して形成される空調ケースと、その空調ケース内に収納されてその嵌合面の一部から冷媒導入配管3aと冷媒導出配管3bとを延出させるエバポレータ3とを有する車両用空調ユニットの配管取り出し構造である。両配管3a・3bの先端側には、接続用部材としての接続ブロック3cをろう付けして両配管3a・3bを一体としており、その接続ブロック3cの外方(エンジンルーム側)にはボックス型の膨張弁4を、図示しないボルトによって組み付けている。
上下ケース1・2は、この膨張弁4を取り囲むように形成されており、その先端側(エンジンルーム側)面にはシールパッキン6が貼付されている。このシールパッキン6は、図6で示した従来構造と同じく、図示しないエンジンルームと車室とを隔てる隔壁に設けられた貫通孔の周りに押し当ててシールするためのシールパッキン6である。
そして、両配管3a・3bのケース貫通部にシール部材としてのシールパッキン5を取り付けている。このシールパッキン5は、図3に示すように、両配管3a・3bを貫通させるパイプ貫通用孔5aを二つ並行して形成しているとともに、パイプ貫通用孔5a間略中央の外周面から切り込み、そこから両方のパイプ貫通用孔5aへ向けて振り分けるようにしてスリットSを形成している。
このシールパッキン5は、単泡のウレタン材などを型で打ち抜いて形成したようなものである。なお、二つのパイプ貫通用孔5aは、同じ径として方向性を減らしているとともに、そのパイプ貫通用孔5aの径は、太い方の冷媒導出配管3bの径よりも僅かに大きくしている。
また、シールパッキン5のパイプ貫通方向の厚みT(図3(b)参照)を、両配管3a・3bの延出側端に設けられた接続ブロック3cと、その接続ブロック3cから両配管3a・3bのうちいずれか一方が最初に曲がった部分との内側寸法L(図2参照)とを略同等としている。このように、両配管3a・3bのケース貫通部を、上述したシールパッキン5で覆い、そのシールパッキン5を上下ケース1・2で挟持してシールするようにしている。
なお、空調ケース内にエバポレータ3を収納するうえで、上下ケース1・2のうちいずれか片側のケース1・2内にエバポレータ3を組み付ける時点において、シールパッキン5のスリットSの切り込み側が上(天)側となるよう両配管3a・3bのケース貫通部にシールパッキン5を取り付けている。そして、上下ケース1・2のシールパッキン5を挟持する部分に、断面略三角形のシールリブ9を両配管3a・3bの貫通方向と略直交する方向に連続するように形成している。
次に、本実施形態での特徴と、その効果について述べる。まず、冷媒導入配管3aと冷媒導出配管3bとの両方のケース貫通部を、スリットSの付いたシールパッキン5で覆い、そのシールパッキン5を上下ケース1・2で挟持してシールするようにしている。
これによれば、両配管3a・3bの先端側に接続ブロック3cをろう付けして一体としたものにおいても、シールパッキン5にスリットSを設けたことにより両配管3a・3bのケース貫通部に容易にシールパッキン5を後から取り付けることができ、組み付け作業を容易としてコストを抑えることができる。また、そのシールパッキン5を上下ケース1・2で挟持することにより、シールパッキン51つだけで確実にシールすることができる。
また、上下ケース1・2のシールパッキン5を挟持する部分に、断面略三角形のシールリブ9を両配管3a・3bの貫通方向と略直交する方向に連続するように形成している。これによれば、より確実・簡単にシール性を保つことができる。
また、シールパッキン5には、両配管3a・3bを貫通させるパイプ貫通用孔5aを二つ並行して形成しているとともに、スリットSは、パイプ貫通用孔5a間略中央の外周面から切り込み、そこから両方のパイプ貫通用孔5aへ向けて振り分けるようにして形成している。これによれば、容易に両配管3a・3bのケース貫通部に取り付けることができるうえ、天地反転など姿勢を変えた場合においても脱落するようなことが無い。
また、二つのパイプ貫通用孔5aは、同じ径としている。これは、両配管3a・3bの径のわずかな違いをシールパッキン5に反映すると、両配管3a・3bに対するシールパッキン5の方向性が増えるうえ、誤組付しても確認しにくいためにシール性が悪化する懸念ある。
しかし、これによれば、二つのパイプ貫通用孔5aを同じ径とすることにより、シールパッキン5の方向性を1つ減らすことができ、よりシールパッキン5の取り付け作業を容易にすることができる。なお、シールする部分の配管径のわずかな違いは、シールパッキン5の圧縮代にて吸収することができる。
また、パイプ貫通用孔5aの径は、太い方の冷媒導出配管3bの径よりも僅かに大きくしている。これは、パイプ貫通用孔5aの径が冷媒導出配管3bの径よりも小さいと、シールパッキン5を両配管3a・3bに取り付けたときにスリットSに隙間が開くこととなるが、これによれば、シールパッキン5を両配管3a・3bに取り付けた後も、スリットSを確実に密着させることができる。
また、シールパッキン5のパイプ貫通方向の厚みTを、両配管3a・3bの延出側端に設けられた接続ブロック3cと、その接続ブロック3cから両配管3a・3bのうちいずれか一方が最初に曲がった部分との内側寸法Lと略同等としている。これによれば、シールパッキン5の位置ずれに対する懸念を無くすことができるようになる。但し、シールパッキン5の位置ずれに対して空調ケース側の吸収代を大きく取ることができる場合はこの限りではない。
また、空調ケース内にエバポレータ3を収納するうえで、上下ケース1・2のうちいずれか一方のケース1・2内にエバポレータ3を載置する時点において、シールパッキン5のスリットSの切り込み部のある側が上側となるようケース貫通部にシールパッキン5を取り付けている。
これによれば、上下ケース1・2を嵌合するうえで、まず、嵌合時下側となるケース1・2内にエバポレータ3を載置する際、シールパッキン5のスリットSの切り込み部のある側が上側となっていることで、図3中に矢印Fで示すような反力を作り出してスリットSに隙間が発生することを防止することができる。
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態(請求項4の適用例)を示す図2中のC−C断面における模式図である。上述した第1実施形態と異なる特徴部分を説明する。本実施形態のシールパッキン5には、両配管3a・3bを貫通させるパイプ貫通用孔5aを二つ並行して形成しているとともに、スリットSは、片側のパイプ貫通用孔5aに寄った位置(図4中のa点)の外周面から切り込んでそのパイプ貫通用孔5aの周りを回り込み、パイプ貫通用孔5a間の略中央から両方のパイプ貫通用孔5aへ向けて振り分けるようにして形成している。
図4は、本発明の第2実施形態(請求項4の適用例)を示す図2中のC−C断面における模式図である。上述した第1実施形態と異なる特徴部分を説明する。本実施形態のシールパッキン5には、両配管3a・3bを貫通させるパイプ貫通用孔5aを二つ並行して形成しているとともに、スリットSは、片側のパイプ貫通用孔5aに寄った位置(図4中のa点)の外周面から切り込んでそのパイプ貫通用孔5aの周りを回り込み、パイプ貫通用孔5a間の略中央から両方のパイプ貫通用孔5aへ向けて振り分けるようにして形成している。
これによれば、比較的容易に両配管3a・3bのケース貫通部に取り付けることができるうえ、天地反転など姿勢を変えた場合においても脱落するようなことが無い。また、図4に示すように、両配管3a・3bの取り出し高さが違って傾斜している場合においても、パイプ貫通用孔5aの周りでシールパッキン5の重なっている部分が長く形成されているため、確実・簡単にシール性を保つことができる。
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、接続ブロック3cの外方側に膨張弁4を構成しているが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、図5に示す従来構成のようにエバポレータ3側に構成したものであっても良いし、本車両用空調ユニットを車両に搭載してからエンジンルーム側から膨張弁4を接続する構成であっても良いし、接続ブロック3cの先にエンジンルーム側の配管を接続し、その配管の途中に膨張弁4が構成されているものであっても良い。また、図5に示す従来構成のように、冷媒配管3a・3bの先端側は一体となっていなくとも良い。
上述の実施形態では、接続ブロック3cの外方側に膨張弁4を構成しているが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、図5に示す従来構成のようにエバポレータ3側に構成したものであっても良いし、本車両用空調ユニットを車両に搭載してからエンジンルーム側から膨張弁4を接続する構成であっても良いし、接続ブロック3cの先にエンジンルーム側の配管を接続し、その配管の途中に膨張弁4が構成されているものであっても良い。また、図5に示す従来構成のように、冷媒配管3a・3bの先端側は一体となっていなくとも良い。
また、上述の実施形態でのエバポレータ3は、空調ケース内で冷媒配管3a・3bを取り廻すサイド配管タイプで示したが、空調ケースの嵌合面の一部を冷媒配管3a・3bで貫通するものであれば同様の構造とできるため、エバポレータ3のタイプは問わない。また、膨張弁4もボックス型の膨張弁で示しているが、これに限定するものではない。また、当配管取り出し構造をヒータコアの温水配管の取り出し部に適用しても良い。
1…下ケース(ケース部材、空調ケース)
2…上ケース(ケース部材、空調ケース)
3…エバポレータ(冷媒蒸発器)
3a…冷媒導入配管
3b…冷媒導出配管
3c…接続ブロック(接続用部材)
5…シールパッキン(シール部材)
5a…パイプ貫通用孔
9…シールリブ
a点…片側のパイプ貫通用孔5aに寄った位置
L…内側寸法
S…スリット
T…厚み
2…上ケース(ケース部材、空調ケース)
3…エバポレータ(冷媒蒸発器)
3a…冷媒導入配管
3b…冷媒導出配管
3c…接続ブロック(接続用部材)
5…シールパッキン(シール部材)
5a…パイプ貫通用孔
9…シールリブ
a点…片側のパイプ貫通用孔5aに寄った位置
L…内側寸法
S…スリット
T…厚み
Claims (8)
- 複数のケース部材(1、2)を嵌合して形成される空調ケースと、
前記空調ケース内に収納されてその嵌合面の一部から冷媒導入配管(3a)と冷媒導出配管(3b)とを延出させる冷媒蒸発器(3)とを有する車両用空調ユニットの配管取り出し構造であり、
前記冷媒導入配管(3a)と前記冷媒導出配管(3b)との両方のケース貫通部を、スリット(S)の付いたシール部材(5)で覆い、そのシール部材(5)を前記複数のケース部材(1、2)で挟持してシールすることを特徴とする車両用空調ユニットの配管取り出し構造。 - 前記複数のケース部材(1、2)の前記シール部材(5)を挟持する部分に、断面略三角形のシールリブ(9)を前記両配管(3a、3b)の貫通方向と略直交する方向に連続するように形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調ユニットの配管取り出し構造。
- 前記シール部材(5)には、前記両配管(3a、3b)を貫通させるパイプ貫通用孔(5a)を二つ並行して形成しているとともに、
前記スリット(S)は、前記パイプ貫通用孔(5a)間略中央の外周面から切り込み、そこから両方の前記パイプ貫通用孔(5a)へ向けて振り分けるようにして形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調ユニットの配管取り出し構造。 - 前記シール部材(5)には、前記両配管(3a、3b)を貫通させるパイプ貫通用孔(5a)を二つ並行して形成しているとともに、
前記スリット(S)は、片側の前記パイプ貫通用孔(5a)に寄った位置(a点)の外周面から切り込んでその前記パイプ貫通用孔(5a)の周りを回り込み、前記パイプ貫通用孔(5a)間の略中央から両方の前記パイプ貫通用孔(5a)へ向けて振り分けるようにして形成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調ユニットの配管取り出し構造。 - 二つの前記パイプ貫通用孔(5a)は、同じ径としたことを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちいずれか1項に記載の車両用空調ユニットの配管取り出し構造。
- 前記パイプ貫通用孔(5a)の径は、太い方の前記冷媒導出配管(3b)の径よりも僅かに大きくしたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のうちいずれか1項に記載の車両用空調ユニットの配管取り出し構造。
- 前記シール部材(5)のパイプ貫通方向の厚み(T)を、前記両配管(3a、3b)の延出側端に設けられた接続用部材(3c)と、その接続用部材(3c)から前記両配管(3a、3b)のうちいずれか一方が最初に曲がった部分との内側寸法(L)と略同等としたことを特徴とする請求項1ないし請求項6のうちいずれか1項に記載の車両用空調ユニットの配管取り出し構造。
- 前記空調ケース内に前記冷媒蒸発器(3)を収納するうえで、前記複数のケース部材(1、2)のうちいずれか一方のケース部材(1、2)内に前記冷媒蒸発器(3)を載置する時点において、
前記シール部材(5)の前記スリット(S)の切り込み部のある側が上側となるよう前記ケース貫通部に前記シール部材(5)を取り付けたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の車両用空調ユニットの配管取り出し構造。
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