JP2007260817A - 研磨材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁気記録ディスク等のテクスチャリング加工において、低Ra値化に対応でき、かつ十分な加工レートや、テクスチャー痕の均一性、シャープさを保持しつつ、加工面のスクラッチ発生を抑制できる研磨材料を提供する。
【解決手段】主として平均繊維径5μm以下の極細短繊維からなる不織布を有し、高分子溶液および/またはラジカル反応性化合物溶液を不織布と共存させた状態でラジカル種を発生させる改質処理により得られる研磨材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、記録メディアや集積回路基盤の仕上げ用に用いられる高精密研磨や研磨砥粒を用いた表面研磨加工、さらにはアルミニウムならびにガラス基盤などの磁気記録ディスク製造工程においてディスク基盤の表面にオングストロームオーダーの溝を付けるテクスチャリング加工に使用できる研磨材料に関する。
近年、光ディスク、磁気ディスク等の記録媒体や集積回路基盤は精力的な技術開発が行われているが、さらなる高容量化、高記録密度化への要求は依然として本分野における最重要課題としてあげられている。このような高性能化が進めば進むほど各種基盤表面加工の高精度化が要求されるようになってきた。例えばハードディスク用の磁気ディスクにおいてはディスク基板としてガラス、あるいはアルミニウム基板が用いられているが、一般的には磁性体薄膜層をコーティングする前にポリッシング加工とよばれる前加工とテクスチャリング加工とよばれる後加工がある。 ポリッシング加工は基板表面のうねりや凹凸を改善し、表面平滑化を図る工程である。一方、テクスチャリング加工は前加工で平滑化した基板表面に同心円上に近いオングストロームオーダーの微小な溝(以下、テクスチャー痕)を多数形成させる工程であり、図1に示すようなテクスチャリング加工装置が用いられている。
このテクスチャリング加工は磁気ディスクに磁気異方性を与えることで磁気記録特性(特に記録密度、信頼性)を向上させるとともに、ハードディスクドライブの非作動時における磁気ヘッドと磁気ディスク表面との吸着を防止することを目的に現在の磁気ディスク製造の重要かつ必須の工程となっている。
テクスチャリング加工はサブミクロン以下の平均粒径の微粒子を含む砥粒スラリーを研磨テープと磁気ディスク基盤の間に供給し、ディスク基盤を回転させながら研磨テープ上に分散された砥粒スラリー中の微粒子で研磨する遊離砥粒法が一般的である。このときいかに均一でシャープなオングストロームオーダーのテクスチャー痕を付与できるかにより、磁気記録特性は大きく影響を受ける。
求められているテクスチャー痕を評価する具体的な指標としてはテクスチャリング後の表面算術平均粗さ(Ra値)やテクスチャー痕よりも大きなスクラッチ発生度数などが一般的であり、双方とも値が小さい方が良好なテクスチャー痕と認められている。
現在Ra値は10オングストローム以下が主流であり、さらなる記憶容量増大のためには5オングストローム以下が求められている。一方、スクラッチに関しては、その存在が直接磁気ディスクの記録領域欠陥となるために、理想的にはスクラッチレスのテクスチャリング加工技術が求められている。しかし一般的にRa値の低下に反比例して問題となるスクラッチ発生度数は増大する傾向にあるため、現在、低Ra値とスクラッチ低減化を両立させる目的でテクスチャリング工程のキー材料である砥粒、および研磨テープに代表される研磨材料の両面での開発が精力的になされている。
現在、研磨材料として用いられているのは極細繊維の織物あるいは不織布である。例えば直径約5μmの極細繊維を用いた編み込みタイプの研磨テープを用いることが開示されている(特許文献1)。また0.1デニール以下の極細繊維の織物テープ、不織布テープ、植毛テープ、編組物テープを用いる方法が開示されている(特許文献2)。
ところで、現在要求されているRa値10オングストローム以下のテクスチャリング加工を達成するために用いられる砥粒は平均粒径が0.5μm以下や、さらには0.2μm以下のものが使用されるようになってきている。ところがこれらの極細繊維利用研磨材料では、このようなサブミクロンオーダーの砥粒を用いた場合、適切な糸径の異形断面形状と砥粒の組み合わせを選択することで、確かに低Ra値化が図れるが、砥粒を十分に研磨材料表面に分散できなかったり、砥粒の保持性に問題があった。この砥粒の分散性不良、保持性不良は、砥粒自身の粒径が小さいことも相重なり、テクスチャリング加工中に砥粒微粒子が凝集しやすく、ひとたび砥粒微粒子が限界以上の大きさに凝集してしまうと、微細で均一なテクスチャー痕を形成することが困難になるばかりでなく、凝集微粒子による巨大スクラッチ発生という致命的な障害を引き起こしてしまという欠点があった。
かかる極細繊維利用研磨材料の欠点を克服するために次世代の極細繊維利用研磨材料が近年、登場している。例えば研磨材料の表面の平滑性に着目し、平滑性に優れた不織布を用いる方法では、例えば繊維径が10μm以下の繊維からなる絡合不織布、あるいはメルトブロー不織布を少なくとも片面に有する研磨シートが提案されている(特許文献3)。しかしながら分割性繊維を通常の方法で絡合した絡合不織布にしてもメルトブロー法により得られた不織布にしても。強度が低いために補強層を積層する必要があった。
そこで基材の強度向上やディスク基板表面への当たりの調節などを目的として、不織布に高分子弾性体を含浸させる方法が提案されている。例えば、極細繊維絡合不織布中に高分子弾性体が含有されており、0.03dtex以下の繊度を有する極細繊維からなる立毛が存在するテクスチャリング加工用研磨シートが提案されている(特許文献4)。ところがこれらの技術だけではディスク基板表面の加工ムラやバリが発生し、磁気記録ヘッドとディスクの衝突によるヘッドの破損などの問題を引き起こしたり、基板表面にスクラッチの発生を防ぐことが出来なかった。
このような欠点に対し、加工性の均一性とスクラッチ発生の抑制を目的として、平均繊度0.001〜0.03dtexのポリアミド極細繊維に高分子弾性体が付与された基布で構成され、該基布の表面粗さが5.0μm以下である研磨材料が提案されている(特許文献5)。しかしながらこのような材料でも依然としてスクラッチの発生が問題となっていた。
また、以上のような研磨材料の不織布構造の最適化に加えて、表面改質手段を用いることも提案されている。例えば−OH、−COOH、―CONH、−SOのような親水基を有する化合物を0.3dtex以下の極細繊維に固着または共重合またはグラフト重合させ繊維を親水化させた研磨材料が開示されている(特許文献6)。該発明は研磨材料に親水性を付与することで砥粒との親和性、砥粒の分散性、砥粒微粒子の凝集防止効果が向上し、スクラッチ発生を抑制できるというものである。しかしながらスクラッチの発生自体は減少しているものの、必ずしも十分な親水化が達成されているとはいえず、テクスチャリング工程における重要な問題となる加工レートが低い、テクスチャー痕がシャープでないという問題点があった。、
特開平6−295432号公報 特開平10−188272号公報 特開平9−262775号公報 特開平2002−79472号公報 特開平2003−94320号公報 特開2002−224945号公報
本発明は特に磁気ディスク等のテクスチャリング加工において、さらなる低Ra値化に対応でき、かつ十分なテクスチャリング加工レートや、テクスチャー痕の均一性、シャープさを保持しつつ、加工面のスクラッチ発生を抑制できる研磨材料を提供するものである。
かかる課題において、上記した不織布利用研磨材料において、研磨材料を高分子および/またはラジカル反応性化合物を用いてグラフト化することにより高機能化するという概念については触れられていない。そこで本発明者らは上記課題の解決について鋭意検討を重ねた結果、十分な加工レート、加工表面の低Ra値化、テクスチャー痕の均一性、シャープさを実現しつつ、加工面のスクラッチ発生を抑制できるなど、すべてのテクスチャリング要求特性を満足できる研磨材料が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、「平均繊維径5μm以下の極細合成繊維を含む不織布を有し、高分子溶液および/またはラジカル反応性化合物溶液を共存させた状態で、ラジカル種を発生させる改質処理により得られる研磨材料。」である。
本発明によれば、不織布を有する研磨材料において、不織布と高分子溶液および/またはラジカル反応性化合物溶液を共存させた状態でラジカル種を発生させる改質処理により、例えばハードディスク用磁気ディスクのテクスチャリング加工において、実用に十分な加工レート、加工表面の低Ra値化、テクスチャー痕の均一性、シャープさを実現しつつ、加工面のスクラッチ発生を抑制できるなど、すべてのテクスチャリング要求特性を満足できる研磨材料を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の研磨材料は記録メディアや集積回路基盤などの半導体関連材料や光学製品、宝飾品など、表面研磨加工や表面汚れの除去などを必要とする各種用途に使用できるものであるが、特に磁気記録ディスク基板のテクスチャリング加工用研磨材料として好適であるので、以下では主にテクスチャリング加工用に焦点をあてて説明する。
本発明の研磨材料については、平均繊維径5μmの極細短繊維からなる不織布からなり、この不織布は、例えば、具体的には、海島型口金を用いて海島型複合繊維を紡糸、延伸、捲縮、カットを経て得る原綿を用いて、ニードルパンチングにより絡合させて極細化前の不織布を構成する。次いで、該複合繊維からなる極細化前の不織布に水溶性樹脂を付与した後に、海成分を溶解除去あるいは物理的、化学的作用により剥離、分割し、平均繊維径5μm以下に極細化して不織布を得る。その後、好ましくは高分子弾性体を付与し、該高分子弾性体を実質的に凝固、固化させる。次いで、該水溶性樹脂を溶解除去した後に、好ましくはバッフィング処理を施すことにより、不織布複合体を得る。さらに、高分子溶液および/またはラジカル反応性化合物溶液を不織布(不織布複合体が有するものも含む)と共存させた状態でラジカル種を発生させる改質処理により、本発明の研磨材料を得ることができるものである。
本発明の不織布を構成する熱可塑性樹脂は、繊維形成能があり、物理的処理または化学的処理により、極細繊維を発生可能な、2種類以上の熱可塑性樹脂を組み合わせることができる。例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリアミド系共重合体等のポリアミド類;ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートおよびそれらを主体とする共重合体などのポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン類、ポリアクリロニトリル類、ポリビニル類、ポリ乳酸、乳酸共重合体ポリグリコール酸などの脂肪族ポリエステル系重合体類、脂肪族ポリエステルアミド系共重合体類などが繊維成分として用いることのできる熱可塑性樹脂の例として挙げられる。
島成分を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリアミド類あるいはポリエステル類が耐摩耗性、および耐ヘタリ性に優れるばかりでなく、さらにスラリー液とのなじみが特に良好であり、スラリー液中の研磨砥粒の保持性、分散性に優れるため好適である。ポリアミド類はとりわけ柔軟性に優れることにより、被研磨物との接触抵抗が低く微細研磨に適した素材として、抜群の機能を有するために特に好適に用いられる。
かかる複合繊維の溶解除去あるいは物理的、化学的作用により剥離、分割される海成分を構成するポリマーとしては、上記のポリアミド類、ポリエステル類、ポリエチレン、ポリスチレン、共重合ポリスチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン類を使用することができる。これらの中から極細短繊維の断面形成性、紡糸性、延伸性などを考慮して、海成分と島成分とを選択して組み合わせればよいが、特にニードルパンチしたときの繊維の高絡合化による表面繊維の高密度化を満足させる上から、海成分としては、ポリスチレン、共重合ポリスチレンが好ましく使用される。
本発明では、上記の複合繊維を溶解除去あるいは物理的、化学的作用により剥離、分割した後の極細短繊維の平均繊維径は0.3〜5μmであることが好ましく、0.5〜4μmであることがより好ましい。さらに好ましくは1〜3μmである。0.3μm未満である場合には、繊維強度及び剛性が低く、研削不足になるばかりでなく、スラリー中の遊離砥粒の保持性、分散性に劣るため、スクラッチが発生しやすいため好ましくない。5μmを越える場合には、研磨材料表面での立毛繊維の緻密性に劣り、高精度の仕上げを達成できないため好ましくない。
本発明では、研磨材料を構成する極細短繊維の繊維径のCV値が30%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。ここで、繊維径のCV値とは極細繊維の繊維径バラツキを表すもので、該繊維径分布の標準偏差を、極細繊維の繊維径の平均値で除した値のことである。研磨材料を構成する極細繊維の繊維径バラツキが大きいものは、研磨材料表面における低繊度繊維と高繊度繊維との剛性差に起因する立毛繊維の分布の偏りが生じるとともに、砥粒分散の不均一性につながり、基板表面粗さの低減、研磨後のうねりの抑制及びスクラッチの抑制という高精度のテクスチャー加工を達成できない。
所望の繊維径を有する極細繊維を得るには、海島型複合繊維を用いるのが好ましく、通常、海島型複合繊維の製造方法としては、海島型口金を用いた海島型複合紡糸法とチップブレンド、ポリマーブレンド等の混合紡糸法とが挙げられる。通常、混合紡糸法を用いて得られる極細繊維の繊維径のCV値は30を越えた値から100%の範囲である。基板表面粗さ3オングストローム以下という超高精度のテクスチャー加工を生産性良く行うためには、前記繊維径のCV値は小さければ小さいほどよく、10%以下とすることが好ましい。所望の繊維径のCV値とするためには、海島型口金を用いた海島型複合紡糸法が最適である。チップブレンド、ポリマーブレンド等の混合紡糸法を用いると、複合繊維横断面における島成分の繊維径の内外周差が大きく、前記繊維径のCV値を達成するのは極めて難しいばかりでなく、海島型口金を用いた複合紡糸により得られる極細短繊維に比べ、部分的に極細短繊維同士が接着した束状となる状態になりやすく、繊維の均一分散性に劣るため、立毛繊維の粗な部分で砥粒の凝集が起こり、スクラッチが発生しやすい。
本発明では、極細短繊維束内の繊維数は30〜300本/束であることが好ましい。より好ましくは70〜200本/束である。該極細繊維束内の繊維数が30本/束未満である場合には、研磨材料立毛面における緻密性に劣り好ましくない。一方、300本/束を越えると、バッフィング処理を施した際に極細繊維の分散性が低下し、立毛面の繊維分布が不均一になり、テクスチャー加工ムラという未加工部分が基板表面に発生するとともに、該研磨材料にスラリーを付与した際に極細繊維が膠着しやすいため、研磨材料表面上に繊維の存在しない部分が発生し、該部分に砥粒が凝集し、スクラッチの発生につながりやすく好ましくない。
本発明における海島型複合繊維の不織布は、該複合繊維を短繊維化した後、ウエブとなし、ニードルパンチ、ウォータージェットパンチ、あるいはそれらの組み合わせによる絡合手段により形成することができる。繊維配向の均一性に優れた不織布を得るためには、カード・クロスラッパーを用いてシート幅方向に配列させた積層ウエブを形成せしめた後、針のバーブの向きが不織布ウエブ幅方向に対し垂直方向になるようにしてニードルパンチ処理を行うことが好ましい。メルトブロー、スパンボンドなど紡糸から直接形成する長繊維不織布は、とりわけ研磨材料においては、極細繊維相互の絡合および表面繊維の緻密性が、短繊維不織布よりも著しく劣り、かつ、表面繊維密度の粗密ムラが大きくなりすぎるので、極細長繊維不織布は研磨材料として使用することには適さない。
かかる短繊維の繊維長は3〜200mmであることが好ましく、10〜150mmであることがより好ましい。かかる短繊維は不織布製造の過程でわずかに抜け出ることがあり、繊維長が短い場合には抜け出る割合が高くなってしまうため好ましくない。一方、長すぎる場合には工程通過性が不良となるため好ましくない。乾式不織布での好ましい繊維長は20〜120mm、湿式不織布での好ましい繊維長は3〜10mmである。
ニードルパンチの際の針のバーブ方向については、シート幅方向に配列される複合繊維を高効率にて絡合させ、研磨材料表面繊維の緻密性を得るためには、シート幅方向に対し垂直つまり90゜に向けることが最適であるが、もし、垂直にするのが難しいような場合には、該垂直方向から、±30゜程度の角度範囲内、さらに好ましくは±15゜程度の角度範囲内でずれてバーブを用いるようにしてもある程度の効果が得られる。
ニードルパンチ処理のパンチング本数としては、繊維の高絡合化による繊維の高密度化(緻密な立毛面形成)の観点から1000〜3500本/cm2であることが好ましい。1000本/cm2未満では、研磨材料表面繊維の緻密性に劣り、3500本/cm2を越えると、加工性の悪化を招くとともに、繊維損傷が大きくなるため好ましくない。針のバーブの方向をシート幅方向に対し垂直にすることにより、上記範囲の針本数にて効率よく繊維絡合が進み、タテ配向繊維の高密度化を達成しうるのである。ニードルパンチング後の不織布シートの繊維密度は、0.2g/cm3以上であることが好ましく、0.2g/cm3未満の場合、不織布シート中のタテ配向繊維の緻密性に劣るものであり、表面繊維密度の緻密化を図れず好ましくない。
本発明において、極細短繊維の緻密性を上げるために、極細繊維化処理を行う前に、不織布シートの熱水収縮処理を行うことが好ましい。均一かつ高い収縮を得るためにも、海成分はポリスチレン、共重合ポリスチレンであることが好ましく、また表面繊維の緻密性と均一分散性を両立させる観点から、海成分重量比率は海島型複合繊維総重量に対し40〜80%であることが好ましい。より好ましくは50〜70%の範囲である。
本発明において、バルキーな構造体を形成し、スラリー液中に含まれる研磨砥粒を介したディスク基板表面への当たりを制御するとともに、研磨材料表面上への高分子弾性体の露出を抑制するためには、極細繊維化処理を行う前に、不織布シートに水溶性樹脂を含浸付与することが好ましい。該水溶性樹脂を含む水溶液中に不織布シートを通し、該水溶性樹脂を含浸させた後、不織布シート中の水分を除去するために加熱処理を行う過程において、加熱時間、加熱温度を適宜調整することで該水溶性樹脂が不織布シート中に含まれる水分と共にシート表層部に移動し、シート厚み方向に偏った分布をとることにより、高分子弾性体が研磨材料表面に露出しにくい状態を可能とする。また、高分子弾性体の研磨材料表面上への露出抑制とクッション性を両立させる点から、該水溶性樹脂の含有率は、極細繊維重量に対し40〜80%であることが好ましい。該水溶性樹脂にはポリビニルアルコールや水系ポリウレタンなどを好適に用いることができる。
本発明の研磨材料は、極細短繊維不織布に高分子弾性体を付与させることによって得られる(不織布複合体)。該高分子弾性体は、表面凹凸や振動吸収のためのクッション、繊維形態保持などの役割を有し、該極細短繊維不織布と一体化させることにより、被研磨物へのフィット性および被研磨物へのキズの抑制効果に優れるものである。かかる高分子弾性体としては、ウレタン系、シリコーン系、アクリル系高分子などを使用することができる。中でも、ポリウレタンが加工性やクッション性の上から好ましい。さらにかかるポリウレタンでも、そのソフトセグメントとして、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系もしくはこれらの共重合したものからなるものを使用することができ、ポリウレタン付与後のバッフィング処理の際に、研磨材料表面上の立毛繊維が緻密で且つ均一分散された状態とするためには、シート弾性の観点から、これらポリウレタン中でも特に、ポリエーテル系単独、もしくはポリエーテル系と、50%以下の割合でポリエステル系、ポリカーボネート系の少なくとも1種とを共重合したポリウレタンが好ましく用いられる。
研磨時のクッション性およびフィット性は、研磨精度の上で重要であり、極細短繊維と高分子弾性体の割合や空隙率(見掛け密度でわかる)によって制御し、研磨精度や研磨目的によって調節される。高分子弾性体の含有量は、成型上極細短繊維重量に対し20%〜60%であることが好ましく、含有量によって研磨材料の表面状態、空隙率、クッション性、硬度、強度などを調節することができる。20%未満である場合、クッション性に劣るため、スクラッチを発生しやすく好ましくない。60%を越えると、加工性及び生産性に劣るとともに、表面上に高分子弾性体が露出しやすく、砥粒の凝集によるスクラッチを引き起こしやすいため好ましくない。かかる高分子弾性体の付与方法としては、該高分子弾性体を塗布あるいは含浸後凝固させる方法などを採用することができる。
本発明の研磨材料は、極細短繊維不織布に高分子弾性体を付与し、不織布複合体とした後にバッフィング処理することが好ましい。。ここでいうバッフィング処理とは、少なくとも片面が立毛面となっている状態で、スエード調に仕上げられていてもよい。バッフィング処理は針布やサンドペーパーを使用して行うのが一般的である。とりわけ、高分子弾性体付与後、表面をサンドペーパーを使用して、起毛処理することにより均一で緻密な立毛を形成することができる。
本発明において、研磨材料の見掛け密度としては、表面繊維の緻密性及び均一性が高く、所望の表面繊維の線密度を得ることを考慮すると、0.2〜0.6g/cm3の範囲にあることが好ましく、研磨材料の厚みとしては、平滑性やクッション性、形態保持性を含めて考慮すると0.3〜1.2mmの範囲にあることが好ましい。
本発明では、研磨材料の立毛面における表面繊維本数の線密度が30本/100μm幅以上で、かつシート連続長手方向における該線密度のCV値が30%以下あることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
ここでいう表面繊維本数の線密度は以下により定義されるものである。該研磨材料立毛面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、シート連続長手方向において、任意に1mm間隔で100μm幅の30カ所を抽出する。各抽出箇所における最表層に存在する極細繊維の繊維本数を測定し、表面繊維本数の線密度とする。またこれを母集団とした標準偏差値及び平均値から該線密度のCV値を算出する。
表面繊維本数の線密度が30本/100μm幅未満である場合には、緻密性に劣り、砥粒を微細に分散させるに至らず、高精度の仕上げを達成できないとともに、研磨材料表面上の繊維が存在しない部分に砥粒が凝集し、スクラッチの発生につながりやすく好ましくない。またシート連続長手方向における表面繊維本数の線密度のCV値が大きいほど、砥粒分散の不均一性につながり、研磨後のうねりが大きくなり、高精度の仕上げを達成できないため好ましくない。
本発明では上記のような構成を有する不織布を作成した後、不織布と高分子溶液および/またはラジカル反応性化合物溶液を共存させた状態でラジカル種を発生させることにより最終的な研磨材料を得る。
ここで高分子溶液とは高分子化合物を適切な溶媒に溶解させたものをさす。用いられる高分子化合物については、研磨用途の要求性能に応じて広範囲の化合物群から選ぶことが出来る。かかる高分子化合物を例示するとポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸ヒドロキシエチル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニルピロリドンなどの付加重合系ポリマーやその共重合体、誘導体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンイミンなどの開環重合系ポリマーやそ共重合体、誘導体があげられる。
例えばテクスチャリング加工材料における好適な高分子化合物は、親水性基や親水性セグメントを有する親水性高分子化合物である。かかる好適な高分子化合物を例示すると例えばポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミンなどである。このような親水性高分子化合物を用いることで、テクスチャリング加工時の砥粒微粒子の凝集を防止でき、基板表面のスクラッチ発生を抑制することができる。
用いる高分子化合物の分子量については、研磨用途の要求性能や研磨材料への加工工程に適するか否かに応じて選択されるため、一概に規定することはできない。さらに分子量と高分子溶液中の高分子の濃度との相関関係を考慮する必要があるため、一概には規定できるものではない。しかし分子量が1000を下回るものについては、研磨材料に適用した場合、元の基材不織布と比較して顕著な改質効果が認められないため不適である場合が多い。
一方、分子量の上限については分子量が大きいほど元の基材不織布と比較して顕著な改質効果を付与できる傾向がある。しかし、用いる高分子化合物の性質によっては研磨材料への加工工程においてゲル化が生じて加工できなかったり、加工できたとしても研磨材料の柔軟性が大幅に損なわれ、結果として研磨工程に適用できなかったりという問題があるが、このような問題は高分子溶液の濃度を抑えることで解決できることもあるため、好適な分子量上限については明確に規定することができない。このような高分子化合物を用いる際には単独の高分子化合物でもよいし、複数の高分子化合物を同時に使用してもよい。
このような高分子化合物を適切な溶媒に溶解させることで本発明の高分子溶液を得ることが出来る。用いる溶媒については高分子化合物を溶解させることができるものであればどのようなものでも良く広範囲の溶媒群から選択することが出来るが、ラジカル種を発生させる研磨材料を処理する次行程でラジカルの反応性を極端に阻害するものは好ましくない。好適な溶媒を例示すると水、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどである。このような溶媒は一種単独で使用することもできれば、用いる高分子化合物の溶解性を向上させる目的で複数の溶媒を用いた混合溶媒として用いてもよい。
テクスチャリング加工材料における好適な溶媒は、不織布改質工程で高分子化合物として親水性を有する化合物を用いることから、水を主成分とする溶媒が最も好ましい。
さらに本発明の高分子溶液には改質工程の反応制御のため、高分子化合物、溶媒以外に様々な化合物を添加しておくことが出来る。かかる化合物は不織布と高分子化合物溶液との親和性を高める目的で添加される各種界面活性剤や、ラジカルの反応性を制御する連鎖移動剤、ラジカル捕捉剤、重合禁止剤などである。
用いられる界面活性剤としては、ノニオン系、カチオン系、アニオン系いずれのタイプでもよい。ラジカルの反応性を制御する目的ではメルカプト基やスルフィド結合を有する化合物、ハロゲン化化合物、アルコール類、アミン類、キノン類などの有機化合物や塩化銅、塩化鉄などの無機化合物、あるいは酸素などがあげられる。かかる化合物の添加量としては、ラジカル反応性をどれくらい制御するかにより用いる化合物の性質を考慮した上で用いるため、一概に規定することが出来ないが、好ましくは高分子化合物に対して10重量%以下である。さらに好ましくは5重量%以下である。
次にラジカル反応性化合物溶液について説明する。本発明におけるラジカル反応性化合物溶液とはラジカル反応性化合を適切な溶媒に溶解させたものをさす。ここで用いられるラジカル反応性化合物とは、放射線照射、光照射により自らラジカル種となるような化合物や、ラジカル種の存在下、そのラジカル種の付加反応や置換反応、各種置換基の引き抜き反応などのラジカル反応に関与しうる化合物を意味するもので、研磨用途の要求性能に応じて広範囲の化合物群から選ぶことが出来る。
かかるラジカル反応性化合物を例示すると、エチレン、プロピレン、アセチレン、スチレン、シクロヘキセン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、ビニルアセテート、ビニルピロリドンなどの不飽和結合部位を分子中に少なくとも1つ有する化合物やその誘導体が好ましく、メルカプト基やスルフィド結合、ハロゲン基を有する化合物などもあげられる。
例えばテクスチャリング加工材料における好適なラジカル反応性化合物は、親水性基や親水性セグメントを有するラジカル反応性化合物である。かかる好適なラジカル反応性化合物を例示すると例えば、ビニル酢酸、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ビニルスルホン、ビニルピリジン、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミドなどである。
本発明においては以上のようなラジカル反応性化合物を単独で用いてもよいし、、あるいは複数のラジカル反応性化合物を同時に使用してもよい。
このようなラジカル反応性化合物を適切な溶媒に溶解させることで本発明のラジカル反応性化合物溶液を得ることが出来る。用いるラジカル反応性化合物の性質によってはラジカル反応性化合物自体をラジカル反応性化合物溶液、すなわち無溶媒で用いることも可能である場合もある。
用いる溶媒についてはラジカル反応性化合物を溶解させることができるものであればどのようなものでも良く、広範囲の溶媒群から選択することが出来るが、ラジカル種を発生させる研磨材料を処理する次行程でラジカルの反応性を極端に阻害するものは好ましくない。好適な溶媒を例示すると水、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどである。このような溶媒は一種単独で使用することもできれば、用いるラジカル反応性化合物の溶解性を向上させる目的で複数の溶媒を用いた混合溶媒として用いてもよい。
テクスチャリング加工材料における好適な溶媒は、不織布改質工程でラジカル反応性化合物として親水性を有する化合物を用いることから、水を主成分とする溶媒が最も好ましい。
さらに本発明のラジカル反応性化合物溶液には改質工程の反応制御のため、ラジカル反応性化合物、溶媒以外に様々な化合物を添加しておくことが出来る。かかる化合物は不織布とラジカル反応性化合物溶液との親和性を高める目的で添加される各種界面活性剤や、ラジカルの反応性を制御する連鎖移動剤、ラジカル捕捉剤、重合禁止剤などである。用いられる界面活性剤としては、ノニオン系、カチオン系、アニオン系いずれのタイプでもよい。ラジカルの反応性を制御する目的ではメルカプト基やスルフィド結合を有する化合物、ハロゲン化化合物、アルコール類、アミン類、キノン類などの有機化合物や塩化銅、塩化鉄などの無機化合物、あるいは酸素などがあげられる。かかる化合物の添加量としては、ラジカル反応性をどれくらい制御するかにより用いる化合物の性質を考慮した上で用いるため、一概に規定することが出来ないが、好ましくは高分子化合物に対して10重量%以下である。さらに好ましくは5重量%以下である。
本発明は以上の高分子溶液あるいはラジカル反応性化合物溶液を不織布を共存させた状態でラジカル種を発生させる不織布改質処理工程を経て、最終的な研磨材料を得るものであるが、不織布改質工程において高分子溶液、ラジカル反応性溶液をそれぞれ単独で不織布に共存させても良いし、高分子溶液、ラジカル反応性溶液を混合溶液として不織布に共存させてもよい。
次に本発明における不織布改質工程でのラジカル種発生手段について説明する。本発明の研磨材料を得るためには、高分子溶液および/またはラジカル反応性溶液と不織布基材を共存させた状態で、効率よくラジカル種を発生させ、不織布基材を構成する繊維表面に高分子鎖を導入する必要がある。そのためのラジカル発生手段としては高分子溶液および/またはラジカル反応性溶液に熱分解型あるいは光分解型のラジカル開始剤を添加しておき、不織布基材の共存下で、加熱または光照射によりラジカル種を発生させる方法(以下、ラジカル開始剤法と略す)、および高分子溶液および/またはラジカル反応性溶液と不織布基材の共存下、放射線照射によりラジカル種を発生させる方法(以下、放射線照射法と略す)があげられる。本発明では基本的には上記2つの方法を単独で用いることが好ましいが、場合によっては両法を併用してもよい。
まずラジカル開始剤法について述べる。
用いるラジカル開始剤としてはベンゾイルパーオキサイドなどのパーオキサイド系開始剤、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系開始剤、過硫酸アンモニウムや過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩系開始剤に代表される熱分解型ラジカル開始剤や、ベンゾインエーテルやベンゾフェノン等の光分解型ラジカル開始剤があげられる。いずれの開始剤においても高分子溶液、ラジカル反応性溶液にあらかじめ添加しておき、研磨材料基材と共存させた状態で加熱、あるいは光照射を行うことでラジカル種を発生させることが出来る。
用いるラジカル開始剤の濃度としては溶液中の高分子、またはラジカル反応性化合物に対して10重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以下である。10重量%を超える場合には繊維表面にグラフト化される高分子鎖長が極端に短くなってしまったり、グラフト化されないフリーな高分子の存在量が増大したりして、十分な改質効果が望めない。
反応条件については用いるラジカル開始剤により反応温度、光の波長、反応時間、および求められる改質処理の度合い等の要因を考慮した上で適宜決められるものである。
ラジカル開始剤とともに反応性を促進させる目的で例えば光分解型ラジカル開始剤を使用する場合には増感剤などの各種添加剤を共存させることが出来る。また、場合によっては熱分解型ラジカル開始剤と光分解型ラジカル開始剤を併用し、加熱、または光照射工程を逐次行うことで不織布基材の改質を行うことも可能である。
次に放射線照射法について述べる。
高分子溶液、ラジカル反応性溶液と研磨材料基材と共存させた状態で放射線を照射することで目的とする不織布基材の改質が達成されるが、この時用いる放射線としてはα線、β線、γ線、X線、電子線などがあるが、特に好適に用いられるのはγ線と電子線である。
放射線を照射する場合には線量が高すぎると不織布構成高分子自身や高分子溶液中の高分子、ラジカル反応性化合物の変性や分解、あるいはせっかく繊維構成高分子表面にグラフト化された高分子鎖の変性や分解を生じさせてしまう。逆に線量が低すぎる場合には効率よくラジカル種を発生させることができず、意図した改質効果が得られない。好ましい照射線量は5〜60kGyであり、より好ましくは10〜40kGyである。
ラジカル開始剤法は上述の特開2002−224945号公報にも記載されている通り、布帛のグラフト化による表面改質に一般的に用いられている方法であり、ラジカル開始剤由来のラジカル種がラジカル反応性化合物、例えば不飽和結合を有するビニルモノマーやアクリルモノマーに付加することでラジカル重合を開始させる役割を果たすとともに、繊維構成高分子への連鎖移動反応等で繊維構成高分子ラジカルを生じさせ、結果として繊維表面にラジカル反応性化合物由来の高分子鎖がグラフトした改質繊維が得られる。
しかしながら実際にはラジカル反応性の低い繊維構成高分子由来の高分子ラジカルを効率よく発生させることが出来ず、アクリル酸などの活性の高いモノマーを用いる以外は意図した改質効果が発揮できないことが多い。同様の理由から、本発明において高分子溶液を用いた不織布改質の場合も、ラジカル反応性の高い不飽和結合を有する高分子溶液を用いる以外は、高分子溶液中の高分子ラジカルを効率よく発生することが困難であるという問題を有している。すなわち本法では不織布改質工程時に共存させる高分子化合物、およびラジカル反応性化合物の適用範囲が狭いということになる。
一方、放射線照射法では用いる放射線種、および放射線照射量をコントロールすることで、ラジカル開始剤を用いた場合よりも遙かに高効率で繊維構成高分子ラジカル種を発生させることができるという利点がある。この方法の場合、ラジカル反応性化合物のラジカル重合を容易に開始させるばかりでなく、ラジカル開始剤法の弱点であったラジカル反応性の低い繊維構成高分子ラジカルや高分子溶液中の高分子ラジカルも容易かつ高効率で発生させることができ、必要十分な改質効果を達成できることから、不織布改質工程時に共存させる高分子化合物、およびラジカル反応性化合物の適用範囲が広いということになる。
本発明においては研磨用途の様々な要求特性に応じて最適な改質のなされた研磨材料を提供することが重要であるため、ラジカル発生手段としては高分子ラジカルを高効率で発生させることの出来る放射線照射法を用いる方法が適している。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
まず実施例で用いた評価法とその測定条件について以下に説明する。
(1)研磨材料の評価方法
(A)研磨材料の厚み
研磨材料の厚みを10箇所について測定し、10箇所の測定値を平均することにより厚みを求めた。
(B)研磨材料の見かけ密度
研磨材料を10cm角に切り取って、重量を測定し、重量を前記(A)で測定した厚みと上記10cm角から計算したサンプル体積で除して見掛け密度を求めた。
(C)研磨材料の極細繊維重量に対する高分子弾性体の含有率
研磨材料を10cm角に切り取って、重量を測定し、この重量をaとした。次にサンプルをジメチルホルムアミド中に室温で24時間浸して研磨材料に含まれるポリウレタンを完全に溶出させた。溶出後の研磨材料を水で十分に洗浄して含まれるジメチルホルムアミドを完全に水に置換し、120℃の熱風乾燥器で乾燥させた後、重量を測定し、この重量をbとした。(a−b)/bを百分率で表した値を極細繊維重量に対する高分子弾性体の含有率とした。
(D)研磨材料の平均繊維径及び繊維径CV値
研磨材料を厚み方向にカットした断面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、任意の300カ所の極細繊維の直径を測定し、これを母集団とした標準偏差値及び平均値を算出する。該平均値を平均繊維径とし、該標準偏差値を該平均値で除した値を繊維径のCV値とした。
(E)研磨材料の表面繊維本数の線密度及び線密度CV値
研磨材料の立毛面を観察面として走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し、シート連続長手方向において、任意に1mm間隔で100μm幅の30カ所を抽出する。各抽出箇所における最表層に存在する極細繊維の繊維本数を測定し、表面繊維本数の線密度とする。またこれを母集団とした標準偏差値及び平均値を算出する。該標準偏差値を該平均値で除した値を線密度CV値とした。
(2)HD用磁気ディスク基板テクスチャリング加工
研磨材料を幅40mmに裁断し、研磨テープに加工した。またHD用磁気ディスク基板としてはテクスチャリング工程前のポリッシング加工されたNi−P処理3.5インチアルミ基盤を用いた。テクスチャリング加工は図1に示すようなテクスチャリング加工機を用い、研磨テープ1水準につき2枚の磁気ディスク基盤を加工した。基盤の回転数300rpm、研磨テープの移動速度2cm/分とし、最大出現粒度0.1μmの人工ダイヤモンドを配合したスラリーを20cc/分の条件下で滴下しながら30秒間テクスチャリング加工を行った。なお、テクスチャリング加工はNi−P処理アルミ基盤2枚を用い、両面加工(計4面)を行った。
(3)テクスチャリング加工後の磁気ディスク基板評価方法。
得られたテクスチャリング加工後の磁気ディスク基板について、以下の項目を評価した。
(A)加工レート
テクスチャリング加工前と後の磁気ディスク基盤の重量を測定し、2枚のディスク
における加工前後の重量減少値(単位:mg)の平均値を求め、これを加工レートとした。
(B)平均表面粗さ(Ra)
触針式表面粗さ測定装置を用いてテクスチャリング加工後の磁気ディスク基板表面
(計4面)の平均表面粗さ(Ra)を測定し、その平均値を求めた。
(C)スクラッチ数
テクスチャリング加工後の磁気ディスク用基板表面(計4面)全体を顕微鏡で観察し、異常0.1μm×100μm以上の大きさのキズ(スクラッチ)の数を計数し、その平均値をスクラッチ数とした。スクラッチ数が20個未満の場合を加工性良とし、研磨材料として好適であるとした。
(4)不織布複合体の作製
本発明に用いた不織布複合体について以下に述べる。
島成分としてナイロン6と、海成分として共重合ポリスチレンを用いて、島本数100本/ホールの海島型口金を通して、島/海重量比率40/60で溶融紡糸した後、延伸、捲縮、カットを経て、複合繊度4.2dtex、繊維長51mmの海島型複合繊維の原綿を形成した。
この海島型複合繊維の原綿を用いて、カード、クロスラッパー工程を経て積層ウエブを形成し、ついでこの積層ウエブに100本/cm2のニードルパンチを行った。次にこの不織布シートの上下から、針のバーブ方向をシート幅方向に対し垂直にして1500本/cm2のパンチ本数でニードルパンチし、目付690g/m2、密度0.25g/cm3の不織布を作製した。この不織布シートを熱水収縮させた後、ポリビニルアルコールを島成分繊維重量に対し50重量%含浸させてから海成分を溶解除去した。
次いでポリウレタン(ソフトセグメントがポリエーテル系とポリエステル系との比率が75対25の割合からなるもの)を極細短繊維重量に対し40重量%含浸させ、水中で該ポリウレタンを凝固した後、ポリビニルアルコールを溶解抽出した。
次いでサンドペーパーを用いてバッフィングを施し、厚さ0.5mm、目付170g/m2、見掛け密度0.34g/cm3の不織布複合体を得た。
得られた不織布複合体中の極細繊維の平均繊維径は1.4μm、繊維径CV値は5%であった。
またこの不織布複合体の表面繊維本数の線密度は抽.出した30カ所全て30本/100μm幅以上であり、平均43本/100μm幅、線密度CV値は4%であった。
また、この不織布複合体に改質処理を行った研磨材料においても、厚さ、目付、見掛け密度、平均繊維径、繊維径CV値、表面繊維本数の線密度、線密度CV値は変化しなかった。
比較例
この不織布複合体を用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.7mg、平均表面粗さ(Ra)は4オングストローム、スクラッチ数は35個であった。研磨材料として好適でなかった。
実施例1
(4)で得られた不織布複合体を1重量%のポリアクリル酸(和光純薬工業(株)社製分子量25000)水溶液中に不織布全体を浸漬させた状態でγ線を照射した。γ線照射線量は25kGyであった。加工後の不織布を純水にて十分に洗浄し、乾燥させることで研磨材料を得た。得られた研磨材料を用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.6mg、平均表面粗さ(Ra)は2オングストローム、スクラッチ数は3個であった。研磨材料として好適であった。
実施例2
1重量%のポリエチレングリコール(和光純薬工業(株)社製分子量20000)水溶液を用いた以外は実施例1記載の方法と同様にして研磨材料を得た。得られた研磨材料を用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.7mg、平均表面粗さ(Ra)は3オングストローム、スクラッチ数は6個であった。研磨材料として好適であった。
実施例3
1重量%のポリビニルアルコール(Aldrich社製鹸化度80%、分子量10000)水溶液を用いた以外は実施例1記載の方法と同様にして研磨材料を得た。得られた研磨材料を用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.6mg、平均表面粗さ(Ra)は3オングストローム、スクラッチ数は8個であった。研磨材料として好適であった。
実施例4
1重量%のポリビニルピロリドン(BASF社製Kollidon(登録商標)17PF分子量約10000)水溶液を用いた以外は実施例1記載の方法と同様にして研磨材料を得た。得られた研磨材料を用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.5mg、平均表面粗さ(Ra)は4オングストローム、スクラッチ数は5個であった。研磨材料として好適であった。
実施例5
1重量%のポリエチレンイミン(和光純薬工業(株)社製分子量10000)水溶液を用いた以外は実施例1記載の方法と同様にして研磨材料を得た。得られた研磨材料を用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.6mg、平均表面粗さ(Ra)は3オングストローム、スクラッチ数は8個であった。研磨材料として好適であった。
実施例6
(4)で得られた不織布と10重量%のアクリル酸(和光純薬工業(株)社製)と5重量%の過硫酸アンモニウムからなる水溶液を用い、ミニカラー染色機(株式会社テクサム技研製)を用い、80℃、30分でグラフト化処理を行った。加工後の不織布を純水にて十分に洗浄し、乾燥させることで研磨材料を得た。得られた研磨材料を用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート(SR)0.7mg、平均表面粗さは3オングストローム、スクラッチ数は7個であった。研磨材料として好適であった。
実施例7
(4)で得られた不織布を1重量%のポリアクリル酸(和光純薬工業(株)社製分子量25000)水溶液中に不織布全体を浸漬させた状態で加速電圧600kVの電子線照射装置を用い電子線を照射した。電子線照射線量は27kGyであった。加工後の不織布を純水にて十分に洗浄し、乾燥させることで研磨材料を得た。得られた研磨材料を用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.7mg、平均表面粗さ(Ra)は4オングストローム、スクラッチ数は10個であった。研磨材料として好適であった。
実施例8
1重量%のポリエチレングリコール(和光純薬工業(株)社製分子量20000)水溶液を用いた以外は実施例7記載の方法と同様にして研磨材料を得た。得られた研磨材料を用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.7mg、平均表面粗さ(Ra)は4オングストローム、スクラッチ数は7個であった。研磨材料として好適であった。
比較例と実施例との比較において、本発明の不織布改質処理工程を用いた実施例1〜8の研磨材料では加工レートおよび表面粗さを保持したまま、スクラッチ数の低減化効果が認められ、テクスチャリング加工研磨用材料として好適な材料を得ることが出来た。
図1は本発明の研磨材料を用いてテクスチャー加工する工程を例示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
符号の説明
1:基板
2:ゴムローラ
3:供給リール
4:回収リール
5:供給ノズル
F:研磨材料
S:スラリー

Claims (10)

  1. 平均繊維径5μm以下の極細短繊維からなる不織布を有し、高分子溶液および/またはラジカル反応性化合物溶液を不織布と共存させた状態でラジカル種を発生させる改質処理により得られる研磨材料。
  2. 不織布と高分子弾性体とを一体化せしめた不織布複合体からなる請求項1記載の研磨材料。
  3. 前記高分子弾性体がポリウレタンである請求項2に記載の研磨材料。
  4. 前記不織布の少なくとも片面が立毛面となっている請求項1〜3のいずれかに記載の研磨材料。
  5. 前記平均繊維径が0.3〜5μmであり、かつ繊維径のCV値が30%以下であり、前記立毛面における表面繊維本数の繊密度が30本/100μm以上であるとともに、シート連続長手方向における上記繊密度のCV値が30%以下であることを特徴とする請求項4に記載の研磨材料。
  6. 放射線照射によりラジカル種を発生させる請求項1〜5のいずれかに記載の研磨材料。
  7. 前記高分子溶液が親水性高分子を含む溶液である請求項1〜6のいずれかに記載の研磨材料。
  8. 前記親水性高分子がポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載の研磨材料。
  9. ラジカル反応性化合物が不飽和結合を有する化合物である請求項1〜8のいずれかに記載の研磨材料。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の研磨材料を用いて磁気ディスク基盤を研磨する磁気ディスク基盤の製造方法。
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