JP2007007840A - 研磨用織物 - Google Patents

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憲一 田畑
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Abstract

【課題】磁気記録ディスク等のテクスチャリング加工において、低Ra値化に対応でき、かつ十分な加工レートや、テクスチャー痕の均一性、シャープさを保持しつつ、加工面のスクラッチ発生を抑制できる研磨用織物を提供する。
【解決手段】主として異形断面形状を有するマルチフィラメント糸条を使用した織物に、織物と高分子溶液および/またはラジカル反応性化合物溶液を共存させた状態でラジカル種を発生させる織物改質処理工程を経ることで、また、単糸繊度が0.01〜3dtexの異形断面形状を有するマルチフィラメント糸条を含む織物と高分子溶液および/またはラジカル反応性化合物溶液を共存させた状態でラジカル種を発生させる織物改質処理工程を適用することで、要求特性を満足できる研磨用織物を得ることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、記録メディアや集積回路基盤の仕上げ用に用いられる高精密研磨や研磨砥粒を用いた表面研磨加工、さらにはアルミニウムならびにガラス基盤などの磁気記録ディスク製造工程においてディスク基盤の表面にオングストロームオーダーの溝を付けるテクスチャリング加工に使用できる研磨用織物に関する。
近年、光ディスク、磁気ディスク等の記録媒体や集積回路基盤は精力的な技術開発が行われているが、さらなる高容量化、高記録密度化への要求は依然として本分野における最重要課題としてあげられている。このような高性能化が進めば進むほど各種基盤表面加工の高精度化が要求されるようになってきた。例えばハードディスク用の磁気ディスクにおいてはディスク基板としてガラス、あるいはアルミニウム基板が用いられているが、一般的には磁性体薄膜層をコーティングする前にポリッシング加工とよばれる前加工とテクスチャリング加工とよばれる後加工がある。ポリッシング加工は基板表面のうねりや凹凸を改善し、表面平滑化を図る工程である。一方、テクスチャリング加工は前加工で平滑化した基板表面に同心円上に近いオングストロームオーダーの微小な溝(以下、テクスチャー痕)を多数形成させる工程であり、図1に示すようなテクスチャリング加工装置が用いられている。
このテクスチャリング加工は磁気ディスクに磁気異方性を与えることで磁気記録特性(特に記録密度、信頼性)を向上させるとともに、ハードディスクドライブの非作動時における磁気ヘッドと磁気ディスク表面との吸着を防止することを目的に現在の磁気ディスク製造の重要かつ必須の工程となっている。
テクスチャリング加工はサブミクロン以下の平均粒径の微粒子を含む砥粒スラリーを研磨用テープと磁気ディスク基盤の間に供給し、ディスク基盤を回転させながら研磨テープ上に分散された砥粒スラリー中の微粒子で研磨する遊離砥粒法が一般的である。このときいかに均一でシャープなオングストロームオーダーのテクスチャー痕を付与できるかにより、磁気記録特性は大きく影響を受ける。
求められているテクスチャー痕を評価する具体的な指標としてはテクスチャリング後の表面算術平均粗さ(Ra値)やテクスチャー痕よりも大きなスクラッチ発生度数などが一般的であり、双方とも値が小さい方が良好なテクスチャー痕と認められている。
現在Ra値は10オングストローム以下が主流であり、さらなる記憶容量増大のためには5オングストローム以下が求められている。一方、スクラッチに関しては、その存在が直接磁気ディスクの記録領域欠陥となるために、理想的にはスクラッチレスのテクスチャリング加工技術が求められている。しかし一般的にRa値の低下に反比例して問題となるスクラッチ発生度数は増大する傾向にあるため、現在、低Ra値とスクラッチ低減化を両立させる目的でテクスチャリング工程のキー材料である砥粒、および研磨テープに代表される研磨材料の両面での開発が精力的になされている。
現在、研磨材料として用いられているのは極細繊維の不織布あるいは織物である。例えば直径約5μmの極細繊維を用いた編み込みタイプの研磨テープを用いることが開示されている(特許文献1)。また0.1デニール以下の極細繊維の織布テープ、不織布テープ、植毛テープ、編組物テープを用いる方法が開示されている(特許文献2)。
ところで、現在要求されているRa値10オングストローム以下のテクスチャリング加工を達成するために用いられる砥粒は平均粒径が0.5μm以下や、さらには0.2μm以下のものが使用されるようになってきている。ところが初期に用いられたこれらの極細繊維利用研磨材料では、このようなサブミクロンオーダーの砥粒を用いた場合、砥粒を十分に研磨材料表面に分散できなかったり、砥粒の保持性に問題があった。この砥粒の分散性不良、保持性不良は、砥粒自身の粒径が小さいことも相重なり、テクスチャリング加工中に砥粒微粒子が凝集しやすく、ひとたび砥粒微粒子が限界以上の大きさに凝集してしまうと、微細で均一なテクスチャー痕を形成することが困難になるばかりでなく、凝集微粒子による巨大スクラッチ発生という致命的な障害を引き起こしてしまという欠点があった。
かかる極細繊維利用研磨材料の欠点を克服するために次世代の極細繊維利用研磨材料が近年、登場している。例えば繊維軸方向に連続筋状溝を有する繊維(特許文献3)、多葉形断面形状繊維(特許文献4)、3個以上の頂角を有する横断面形状繊維(特許文献5)を用いた織物構造の研磨材料が提案されている。これら異形断面形状繊維を用いた研磨材料では、いずれも繊維軸方向に連続の襞構造を有しており、この襞により砥粒の均一分散性向上や研磨屑の捕捉性を向上させることで高い加工レートを保持したまま微細で均一なテクスチャー痕の付与と、低Ra値化が実現できるというものである。
しかしながら上記異形断面形状繊維を用いた研磨材料においては、適切な糸径の異形断面形状と砥粒の組み合わせを選択することで、確かに低Ra値化が図れるが、砥粒との化学的親和性が不十分であることから、砥粒の分散性が悪く、砥粒微粒子の凝集が原因と推定されるスクラッチが多発してしまうという欠点があった。
また、例えば−OH、−COOH、―CONH、−SO3のような親水基を有する化合物を0.3dtex以下の極細繊維に固着または共重合またはグラフト重合させ繊維を親水化させた研磨布が開示されている(特許文献6)。該発明は研磨材料に親水性を付与することで砥粒との親和性、砥粒の分散性、砥粒微粒子の凝集防止効果が向上し、スクラッチ発生を抑制できるというものである。
しかしながらスクラッチの発生自体は減少しているものの、テクスチャリング工程における重要な問題となる加工レートが低い、テクスチャー痕がシャープでないという問題点があった。、これは単に研磨材料自体の親水性を向上させただけでは、スクラッチ低減化以外の重要なテクスチャリング特性を保持、あるいは向上させることには繋がらないということを示唆するものである。
特開平6−295432号公報 特開平10−188272号公報 特開2003−225856号公報 特開2003−313744号公報 特開2003−340707号公報 特開2002−224945号公報
本発明は特に磁気ディスク等のテクスチャリング加工において、さらなる低Ra値化に対応でき、かつ十分なテクスチャリング加工レートや、テクスチャー痕の均一性、シャープさを保持しつつ、加工面のスクラッチ発生を抑制できる研磨用織物を提供するものである。
かかる課題において、上記した繊維利用研磨材料において、研磨材料を高分子を用いてグラフト化することにより高機能化するという概念、および極細繊維利用研磨材料において、異形断面形状繊維を用いるという概念と、研磨材料を高分子およびモノマー(ラジカル反応性化合物)を用いてグラフト化により高機能化するという概念の組み合わせについては触れられていない。そこで本発明者らは両技術概念の融合による上記課題の解決について鋭意検討を重ねた結果、十分な加工レート、加工表面の低Ra値化、テクスチャー痕の均一性、シャープさを実現しつつ、加工面のスクラッチ発生を抑制できるなど、すべてのテクスチャリング要求特性を満足できる研磨用織物が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、第一の発明として「織物と高分子溶液を共存させた状態でラジカル種を発生させることにより得られる研磨用織物」および第二の発明として「単糸繊度が0.01〜3dtexの異形断面形状を有するマルチフィラメント糸条を含む織物と高分子溶液および/またはラジカル反応性化合物溶液を共存させた状態で、ラジカル種を発生させることにより得られる研磨用織物」である。
本発明によれば、研磨用材料において織物に、織物と高分子溶液を共存させた状態でラジカル種を発生させる織物改質処理工程を経ることで、また、単糸繊度が0.01〜3dtexの異形断面形状を有するマルチフィラメント糸条を含む織物と高分子溶液および/またはラジカル反応性化合物溶液を共存させた状態でラジカル種を発生させる織物改質処理工程を適用することで、例えばハードディスク用磁気ディスクのテクスチャリング加工において、実用に十分な加工レート、加工表面の低Ra値化、テクスチャー痕の均一性、シャープさを実現できるなど、すべてのテクスチャリング要求特性を満足できる研磨用織物を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の研磨用織物は記録メディアや集積回路基盤などの半導体関連材料や光学製品、宝飾品など、表面研磨加工や表面汚れの除去などを必要とする各種用途に使用できるものであるが、特に磁気記録ディスク基板のテクスチャリング加工用研磨用織物として好適であるので、以下では主にテクスチャリング加工用に焦点をあてて説明する。
第一の発明に用いられる研磨用織物を構成する繊維の単糸繊度については特に規定されるものではないが好ましくはヨコ糸、タテ糸の少なくとも一方が0.01〜3dtexの単糸繊度のものである。さらに好ましくは0.05〜2.5dtex、より好ましくは0.1〜1.5dtexのものである。
繊維を構成するポリマーは特に限定されるものではなく、通常の方法で製糸可能なものであればいずれのポリマーであっても使用することができる。例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリオレフィンなどを例示することができ、なかでもポリアミドが特に好ましく用いられる。
次に第二の発明に用いられる研磨用織物を構成するマルチフィラメント糸条の単糸繊度についてはヨコ糸、タテ糸の少なくとも一方が0.01〜3dtexの単糸繊度であり、断面形状は異形であることが必要である。
単糸繊度が0.01〜3dtexの異形断面形状を有するマルチフィラメント糸条を含む織物を構成する繊維の断面形状について説明する。ここで異形断面形状とは通常の丸断面以外の断面形状のことをさす。用いられる単糸の断面形状は丸断面以外のものであれば特に限定されるものではなく、多角形断面、星型断面、多葉形型断面などの異形断面形状を有するものである。テクスチャリング加工などの極めて微細かつ精密な加工における種々の研磨特性を達成するために特に好ましい断面形状としては多葉形断面形状である。異形断面形状として多葉形断面形状を有するマルチフィラメント糸条は、例えば、2種の異なるポリマーからなる剥離分割型複合繊維の1成分を完全に溶出せしめることによって得ることができる。
多葉形断面形状マルチフィラメント糸条を作るために使用されるポリマーは、特に限定されるものではなく、通常の方法で製糸可能なものであればいずれのポリマーであっても使用することができる。例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリオレフィンなどを例示することができ、なかでもポリアミドが特に好ましく用いられる。
多葉形断面形状マルチフィラメント糸条は、単糸繊度が0.01〜3dtex、好ましくは0.05〜2.5dtex、より好ましくは0.1〜1.5dtexの多葉形断面形状マルチフィラメント糸条である。単糸繊度が0.01〜3dtexの範囲を外れる場合、例えば0.01dtexを下回る場合には、隣り合った葉と葉の間に形成した溝の深さが浅いため、スラリーを十分に取り込めないことから磁気ディスク基板に均一で微細なテクスチャー痕を加工することが出来ない。また、3dtexを上回る場合にはスラリーを取り込み過ぎ、結果として均質なテクスチャー痕を加工することは困難となるばかりか、砥粒微粒子の凝集が生じてしまい、スクラッチ多発の要因となってしまう。
ここで、単糸横断面の多葉形断面形状は重要であり、以下の要件を満たすことが好ましい。
(1)葉が中心から放射線状に延びていること、(2)葉の枚数が3〜50枚であること、(3)中心から葉の先端の長さに対し、隣り合った葉となす溝の最下端までの長さ比が0.1〜0.9であること。
上記の範囲を外れる場合、例えば上記(2)、(3)項の範囲を外れる場合には、(1)項の多葉形断面形状の繊維を製造することが難しくなり、たとえできたとしても、優れたテクスチャー加工性は発揮できない場合がある。
葉の枚数は、3〜50枚が好ましく、より好ましくは4〜45枚、さらに好ましくは、5〜40枚である。かつ、繊維中心から葉の先端の長さに対し、隣り合った葉となす溝の最下端までの長さの比は0.1〜0.9でが好ましく、より好ましくは0.2〜0.8、さらに好ましくは0.3〜0.7である。葉数が3〜50枚の範囲、かつ、中心から葉の先端の長さに対し、隣り合った葉となす溝の最下端までの長さ比が0.1〜0.9の範囲を外れる場合には、単繊維の溝部にスラリーを保持することができないため、磁気ディスク基板面に均質なテクスチャー加工ができない場合がある。
ここで図2に本発明における好適な断面形状を、図3には好適ではない断面形状を示す。図中、aは繊維中心から葉の先端までの長さであり、bは繊維中心から溝の最下端までの長さである。
本発明の多葉形断面形状を有するマルチフィラメント糸条は、生糸でも良いが実質的にノントルクのけん縮糸を用いる方がより好ましい。例えばかかる実質的にノントルクのけん縮糸を得る方法としては、押し込みスタッファー法、ギヤ法、および2段ヒーター仮撚り法などが挙げられるが、2段ヒーター仮撚り法が好ましく用いられる。この2段ヒータ仮撚り法は、第1次の仮撚りに続き、第2次の熱処理を行うもので、仮撚り糸を連続してオーバーフィード状態で走行熱処理することによって、伸長変形抗力の小さいけん縮成分が相殺されて、変形抗力が大きく細かで強固なけん縮成分が残った仮撚り糸が得られる。すなわち、トルクと伸縮性が小さく、かつ、バルキー性と熱的寸法安定性に優れた仮撚り加工糸が得られる。
本発明において、実質的にノントルクとは、撚り数が5ターン/m以下を意味するが、熱セットされてトルクの小さいものも含む。この実質的にノントルクのけん縮糸を用いることによって、得られる織物は、表面が実質的に多葉形断面形状を有するマルチフィラメント糸条で覆われた織物になり、テクスチャー作業時において、多葉形断面形状を有するマルチフィラメント糸条の凹部や多葉形断面形状のマルチフィラメント糸条で形成された空隙に微細粒子スラリーが取り込まれ、磁気ディスク面に接した時にスラリーが織物から徐々に吐き出され、磁気ディスク面が均質に研磨され、良好な磁気ディスクを得ることができる。
図4(C)、(D)にそのモデル図を例示する。図4(C)は、スラリーが織物に取り込まれた状態を示し、図4(D)は、研磨時の状態を示す。多葉形断面形状fが収束されたマルチフィラメント糸条Mは、その内部に溝の空隙Gを形成している。このマルチフィラメント糸条Mの織物にスラリーSが取り込まれ、磁気ディスク面Hに接した時に織物内部に取り込まれたスラリーが徐々に吐き出され磁気ディスク面が均質に研磨され、良好な磁気ディスクを得ることができる。
本発明の研磨用織物においては、好ましくは一定方向、すなわちテープの長さ方向への移動による研磨性能向上のため、多葉形断面形状を有するマルチフィラメント糸条を少なくともタテ糸またはヨコ糸の一方に用いるが、ヨコ糸を多葉形断面形状を有するマルチフィラメント糸条とし、他の糸条をタテ糸にすることが好ましく、ヨコ糸がタテ糸よりも広い面積で表面を覆う織物にすることが好ましい。
マルチフィラメント糸条が表面を多く覆うようにするためにはタテ糸本数よりヨコ糸本数を多くすることによって、ヨコ糸のフィラメント糸条が織物表面に多く浮き、タテ糸を織物表面にできるだけ出さないようにすることができる。かかるタテ糸には、前述の単糸繊度0.5〜5dtexのマルチフィラメント糸条が好ましく用いられる。このタテ糸は、織物の形態安定化に役立ち、生機から製品に仕上げるまでの熱履歴を受けて寸法変化の少ない織物となり、織物の寸法変化は、98℃の熱水中で処理した時の収縮率が6%以下のものが好ましい。この収縮率が大きすぎるとテクスチャリング加工時にかかる張力で布帛が変形し、十分な研磨性能を示さない。
織り組織については織り組織は平織り、綾織り、朱子織り等のいずれでも良いがヨコ糸の浮き構造をより効果的にするため、朱子織りのように一方の糸条が織物表面を多くカバーする組織が、より好ましい。
本発明の実施態様として、多葉形断面形状を有するマルチフィラメント糸条が主に織物表面に多く配され、制電性繊維等の他の糸条が織物内部に存在する構造とすることもできる。
本発明では上記のような構成を有する織物を作成した後、織物と高分子溶液および/またはラジカル反応性化合物溶液を共存させた状態でラジカル種を発生させることにより最終的な研磨用織物を得る。
ここで高分子溶液とは高分子化合物を適切な溶媒に溶解させたものをさす。用いられる高分子化合物については、研磨用途の要求性能に応じて広範囲の化合物群から選ぶことが出来る。かかる高分子化合物を例示するとポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸ヒドロキシエチル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリビニルピロリドンなどの付加重合系ポリマーやその共重合体、誘導体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンイミンなどの開環重合系ポリマーやそ共重合体、誘導体があげられる。
例えばテクスチャリング加工用織物における好適な高分子化合物は、親水性基や親水性セグメントを有する親水性高分子化合物である。かかる好適な高分子化合物を例示すると例えばポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミンなどである。このような親水性高分子化合物を用いることで、テクスチャリング加工時の砥粒微粒子の凝集を防止でき、基板表面のスクラッチ発生を抑制することができる。
用いる高分子化合物の分子量については、研磨用途の要求性能や研磨用織物への加工工程に適するか否かに応じて選択されるため、一概に規定することはできない。さらに分子量と高分子溶液中の高分子の濃度との相関関係を考慮する必要があるため、一概には規定できるものではない。しかし分子量が1000を下回るものについては、研磨用織物に適用した場合、元の基材織物と比較して顕著な改質効果が認められないため不適である場合が多い。
一方、分子量の上限については分子量が大きいほど元の基材織物と比較して顕著な改質効果を付与できる傾向がある。しかし、用いる高分子化合物の性質によっては研磨用織物への加工工程においてゲル化が生じて加工できなかったり、加工できたとしても研磨用織物の柔軟性が大幅に損なわれ、結果として研磨工程に適用できなかったりという問題があるが、このような問題は高分子溶液の濃度を抑えることで解決できることもあるため、好適な分子量上限については明確に規定することができない。このような高分子化合物を用いる際には単独の高分子化合物でもよいし、複数の高分子化合物を同時に使用してもよい。
このような高分子化合物を適切な溶媒に溶解させることで本発明の高分子溶液を得ることが出来る。用いる溶媒については高分子化合物を溶解させることができるものであればどのようなものでも良く広範囲の溶媒群から選択することが出来るが、ラジカル種を発生させる研磨用織物を処理する次行程でラジカルの反応性を極端に阻害するものは好ましくない。好適な溶媒を例示すると水、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどである。このような溶媒は一種単独で使用することもできれば、用いる高分子化合物の溶解性を向上させる目的で複数の溶媒を用いた混合溶媒として用いてもよい。
テクスチャリング加工用織物における好適な溶媒は、織物改質工程で高分子化合物として親水性を有する化合物を用いることから、水を主成分とする溶媒が最も好ましい。
さらに本発明の高分子溶液には改質工程の反応制御のため、高分子化合物、溶媒以外に様々な化合物を添加しておくことが出来る。かかる化合物は織物と高分子化合物溶液との親和性を高める目的で添加される各種界面活性剤や、ラジカルの反応性を制御する連鎖移動剤、ラジカル捕捉剤、重合禁止剤などである。
用いられる界面活性剤としては、ノニオン系、カチオン系、アニオン系いずれのタイプでもよい。ラジカルの反応性を制御する目的ではメルカプト基やスルフィド結合を有する化合物、ハロゲン化化合物、アルコール類、アミン類、キノン類などの有機化合物や塩化銅、塩化鉄などの無機化合物、あるいは酸素などがあげられる。かかる化合物の添加量としては、ラジカル反応性をどれくらい制御するかにより用いる化合物の性質を考慮した上で用いるため、一概に規定することが出来ないが、好ましくは高分子化合物に対して10重量%以下である。さらに好ましくは5重量%以下である。
次に第二の発明において用いられるラジカル反応性化合物溶液について説明する。本発明におけるラジカル反応性化合物溶液とはラジカル反応性化合を適切な溶媒に溶解させたものをさす。ここで用いられるラジカル反応性化合物とは、放射線照射、光照射により自らラジカル種となるような化合物や、ラジカル種の存在下、そのラジカル種の付加反応や置換反応、各種置換基の引き抜き反応などのラジカル反応に関与しうる化合物を意味するもので、研磨用途の要求性能に応じて広範囲の化合物群から選ぶことが出来る。
かかるラジカル反応性化合物を例示すると、エチレン、プロピレン、アセチレン、スチレン、シクロヘキセン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、ビニルアセテート、ビニルピロリドンなどの不飽和結合部位を分子中に少なくとも1つ有する化合物やその誘導体が好ましく、メルカプト基やスルフィド結合、ハロゲン基を有する化合物などもあげられる。
例えばテクスチャリング加工用織物における好適なラジカル反応性化合物は、親水性基や親水性セグメントを有するラジカル反応性化合物である。かかる好適なラジカル反応性化合物を例示すると例えば、ビニル酢酸、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ビニルスルホン、ビニルピリジン、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミドなどである。
本発明においては以上のようなラジカル反応性化合物を単独で用いてもよいしあるいは複数のラジカル反応性化合物を同時に使用してもよい。また前述の高分子溶液を単独、あるいは複数同時に添加することもできる。
このようなラジカル反応性化合物を適切な溶媒に溶解させることで本発明のラジカル反応性化合物溶液を得ることが出来る。用いるラジカル反応性化合物の性質によってはラジカル反応性化合物自体をラジカル反応性化合物溶液、すなわち無溶媒で用いることも可能である場合もある。
用いる溶媒についてはラジカル反応性化合物を溶解させることができるものであればどのようなものでも良く、広範囲の溶媒群から選択することが出来るが、ラジカル種を発生させる研磨用織物を処理する次行程でラジカルの反応性を極端に阻害するものは好ましくない。好適な溶媒を例示すると水、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどである。このような溶媒は一種単独で使用することもできれば、用いるラジカル反応性化合物の溶解性を向上させる目的で複数の溶媒を用いた混合溶媒として用いてもよい。
テクスチャリング加工用織物における好適な溶媒は、織物改質工程でラジカル反応性化合物として親水性を有する化合物を用いることから、水を主成分とする溶媒が最も好ましい。
さらに本発明のラジカル反応性化合物溶液には改質工程の反応制御のため、ラジカル反応性化合物、溶媒以外に様々な化合物を添加しておくことが出来る。かかる化合物は織物とラジカル反応性化合物溶液との親和性を高める目的で添加される各種界面活性剤や、ラジカルの反応性を制御する連鎖移動剤、ラジカル捕捉剤、重合禁止剤などである。用いられる界面活性剤としては、ノニオン系、カチオン系、アニオン系いずれのタイプでもよい。ラジカルの反応性を制御する目的ではメルカプト基やスルフィド結合を有する化合物、ハロゲン化化合物、アルコール類、アミン類、キノン類などの有機化合物や塩化銅、塩化鉄などの無機化合物、あるいは酸素などがあげられる。かかる化合物の添加量としては、ラジカル反応性をどれくらい制御するかにより用いる化合物の性質を考慮した上で用いるため、一概に規定することが出来ないが、好ましくは高分子化合物に対して10重量%以下である。さらに好ましくは5重量%以下である。
本発明は以上の高分子溶液あるいはラジカル反応性化合物溶液を研磨用織物基材を共存させた状態でラジカル種を発生させる織物改質処理工程を経て、最終的な研磨用織物を得るものであるが、織物改質工程において高分子溶液、ラジカル反応性溶液をそれぞれ単独で織物に共存させても良いし、高分子溶液、ラジカル反応性溶液を混合溶液として織物に共存させてもよい。
次に本発明における織物改質工程でのラジカル種発生手段について説明する。本発明の研磨用織物を得るためには、高分子溶液および/またはラジカル反応性溶液と織物基材を共存させた状態で、効率よくラジカル種を発生させ、織物基材を構成する繊維表面に高分子鎖を導入する必要がある。そのためのラジカル発生手段としては高分子溶液および/またはラジカル反応性溶液に熱分解型あるいは光分解型のラジカル開始剤を添加しておき、織物基材の共存下で、加熱または光照射によりラジカル種を発生させる方法(以下、ラジカル開始剤法と略す)、および高分子溶液および/またはラジカル反応性溶液と織物基材の共存下、放射線照射によりラジカル種を発生させる方法(以下、放射線照射法と略す)があげられる。本発明では基本的には上記2つの方法を単独で用いることが好ましいが、場合によっては両法を併用してもよい。
まずラジカル開始剤法について述べる。
用いるラジカル開始剤としてはベンゾイルパーオキサイドなどのパーオキサイド系開始剤、
アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系開始剤、過硫酸アンモニウムや過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩系開始剤に代表される熱分解型ラジカル開始剤や、ベンゾインエーテルやベンゾフェノン等の光分解型ラジカル開始剤があげられる。いずれの開始剤においても高分子溶液、ラジカル反応性溶液にあらかじめ添加しておき、研磨用織物基材と共存させた状態で加熱、あるいは光照射を行うことでラジカル種を発生させることが出来る。
用いるラジカル開始剤の濃度としては溶液中の高分子、またはラジカル反応性化合物に対して10重量%以下が好ましく、より好ましくは5重量%以下である。10重量%を超える場合には繊維表面にグラフト化される高分子鎖長が極端に短くなってしまったり、グラフト化されないフリーな高分子の存在量が増大したりして、十分な改質効果が望めない。
反応条件については用いるラジカル開始剤により反応温度、光の波長、反応時間、および求められる改質処理の度合い等の要因を考慮した上で適宜決められるものである。
ラジカル開始剤とともに反応性を促進させる目的で例えば光分解型ラジカル開始剤を使用する場合には増感剤などの各種添加剤を共存させることが出来る。また、場合によっては熱分解型ラジカル開始剤と光分解型ラジカル開始剤を併用し、加熱、または光照射工程を逐次行うことで織物基材の改質を行うことも可能である。
次に放射線照射法について述べる。
高分子溶液、ラジカル反応性溶液と研磨用織物基材と共存させた状態で放射線を照射することで目的とする織物基材の改質が達成されるが、この時用いる放射線としてはα線、β線、γ線、X線、電子線などがあるが、特に好適に用いられるのはγ線と電子線である。
放射線を照射する場合には線量が高すぎると織物構成高分子自身や高分子溶液中の高分子、ラジカル反応性化合物の変性や分解、あるいはせっかく繊維構成高分子表面にグラフト化された高分子鎖の変性や分解を生じさせてしまう。逆に線量が低すぎる場合には効率よくラジカル種を発生させることができず、意図した改質効果が得られない。好ましい照射線量は5〜60kGyであり、より好ましくは10〜40kGyである。
ラジカル開始剤法は上述の特開2002−224945号公報にも記載されている通り、布帛のグラフト化による表面改質に一般的に用いられている方法であり、ラジカル開始剤由来のラジカル種がラジカル反応性化合物、例えば不飽和結合を有するビニルモノマーやアクリルモノマーに付加することでラジカル重合を開始させる役割を果たすとともに、繊維構成高分子への連鎖移動反応等で繊維構成高分子ラジカルを生じさせ、結果として繊維表面にラジカル反応性化合物由来の高分子鎖がグラフトした改質繊維が得られる。しかしながら実際にはラジカル反応性の低い繊維構成高分子由来の高分子ラジカルを効率よく発生させることが出来ず、アクリル酸などの活性の高いモノマーを用いる以外は意図した改質効果が発揮できないことが多い。同様の理由から、本発明において高分子溶液を用いた織物改質の場合も、ラジカル反応性の高い不飽和結合を有する高分子溶液を用いる以外は、高分子溶液中の高分子ラジカルを効率よく発生することが困難であるという問題を有している。すなわち本法では織物改質工程時に共存させる高分子化合物、およびラジカル反応性化合物の適用範囲が狭いということになる。
一方、放射線照射法では用いる放射線種、および放射線照射量をコントロールすることで、ラジカル開始剤を用いた場合よりも遙かに高効率で繊維構成高分子ラジカル種を発生させることができるという利点がある。この方法の場合、ラジカル反応性化合物のラジカル重合を容易に開始させるばかりでなく、ラジカル開始剤法の弱点であったラジカル反応性の低い繊維構成高分子ラジカルや高分子溶液中の高分子ラジカルも容易かつ高効率で発生させることができ、必要十分な改質効果を達成できることから、織物改質工程時に共存させる高分子化合物、およびラジカル反応性化合物の適用範囲が広いということになる。
本発明においては研磨用途の様々な要求特性に応じて最適な改質のなされた研磨用織物を提供することが重要であるため、ラジカル発生手段としては高分子ラジカルを高効率で発生させることの出来る放射線照射法を用いる方法が適している。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、実施例中におけるHD用磁気ディスク基板テクスチャリング加工および評価は以下の方法で行った。
(1)HD用磁気ディスク基板テクスチャリング加工
研磨用織物を幅40mmに裁断(織物のヨコ糸方向を幅方向とする)したものを研磨テープに加工したものを、またHD用磁気ディスク基板としてはテクスチャリング工程前のポリッシング加工されたNi−P処理3.5インチアルミ基盤を用いた。テクスチャリング加工は図1に示すようなテクスチャリング加工機を用い、研磨用織物1水準につき2枚の磁気ディスク基盤を加工した。基盤の回転数300rpm、研磨用織物テープの移動速度2cm/分とし、最大出現粒度0.1μmの人工ダイヤモンドを配合したスラリーを20cc/分の条件下で滴下しながら30秒間テクスチャリング加工を行った。なお、テクスチャリング加工はNi−P処理アルミ基盤2枚を用い、両面加工(計4面)を行った。
(2)テクスチャリング加工後の磁気ディスク基板評価方法
得られたテクスチャリング加工後の磁気ディスク基板について、以下の項目を評価した。
(A)加工レートテクスチャリング加工前と後の磁気ディスク基盤の重量を測定し、2枚のディスクにおける加工前後の重量減少値(単位:mg)の平均値を求め、これを加工レートとした。
(B)平均表面粗さ(Ra)
触針式表面粗さ測定装置を用いてテクスチャリング加工後の磁気ディスク基板表面(計4面)の平均表面粗さ(Ra)を測定し、その平均値を求めた。
(C)スクラッチ数
テクスチャリング加工後の磁気ディスク用基板表面(計4面)全体を顕微鏡で観察し、異常0.1μm×100μm以上の大きさのキズ(スクラッチ)の数を計数し、その平均値をスクラッチ数とした。
(3)織物
本発明に用いた織物について以下に述べる。
(織物A)タテ糸に56dtex、18フィラメントのポリエステル長繊維(単糸繊度3.1dtex)を用い、ヨコ糸に135dtex、18フィラメントの海島型複合繊維(70島/フィラメント、単糸繊度0.8dtex)であって、島成分がポリエチレンテレフタレートで海成分がポリエステルの酸成分としてテレフタル酸と5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合体からなるアルカリ熱水可溶性ポリエステルからなる繊維(海島の比率は20/80)を仮ヨリ加工(仮ヨリ数:300T/M、温度:180℃)糸2本引き揃えて用い、5枚バックサテン織物を製織した。織物密度はタテは137本/インチでヨコは119本/インチとしこれを生機とした。この生機をいったん130℃×20分の熱水処理後さらに80℃で60分間水酸化ナトリウム1%存在下で処理することにより完全に海成分を除去した。次に湯洗い水洗してから乾燥して仕上げ、これを織物Aとした。得られた織物はヨコ糸、タテ糸ともに円形断面のものであり、顕微鏡により表面を観察した結果、タテ糸よりもヨコ糸が表面を広い面積で覆っていた。
(織物B)タテ糸に、33dtex、12フィラメントのポリエステル長繊維(単糸繊度2.75dtex)を用い、密度をタテ277本/インチ、ヨコ110本/インチとし、組織を8枚バックサテンとする以外は織物Aと同様の方法で仕上げ、これを織物Bとした。
得られた織物はヨコ糸、タテ糸ともに円形断面のものであり、顕微鏡により表面を観察した結果、タテ糸よりもヨコ糸が表面を広い面積で覆っていた。
(織物C)タテ糸に、33dtex、12フィラメントのポリエステル長繊維(単糸繊度2.75dtex)を用い、ヨコ糸に44dtex、9フィラメントの海島型複合繊維(70島/フィラメント、単糸繊度0.5dtex)であって、島成分がポリアミドで海成分がポリエステルの酸成分としてテレフタル酸と5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合体からなるアルカリ熱水可溶性ポリエステルからなる繊維(海島の比率は20/80)を仮ヨリ加工(仮ヨリ数:300T/M、温度:160℃)糸2本引き揃えて用い、8枚バックサテン織物を製織した。織物密度はタテは278本/インチでヨコは117本/インチとしこれを生機とした。この生機をいったん130℃×20分の熱水処理後さらに80℃で60分間水酸化ナトリウム1%存在下で処理することにより完全に海成分を除去した。次に湯洗い水洗してから乾燥して仕上げ、これを織物Cとした。得られた織物はヨコ糸、タテ糸ともに円形断面のものであり、顕微鏡により表面を観察した結果、タテ糸よりもヨコ糸が表面を広い面積で覆っていた。
(織物D)タテ糸に、44dtex、34フィラメントのポリアミド長繊維(単糸繊度1.29dtex)を用い、ヨコ糸にウーリー仮より加工した56dtex、9フィラメントの剥離分割型マルチフィラメント糸条(単糸繊維の断面形状は、中心がポリアミド成分の8葉形で、それを取り巻く形でポリエステル成分が配された剥離分割型の繊維であって、ポリエステル溶出・除去後の単繊維繊度が約0.93dtexの剥離分割型繊維)の実質ノントルクの糸4本引きそろえて用いた。織物密度は、タテ233本/インチ、ヨコ111本/インチとし、組織は、8枚サテンとし、これを生機とした。得られた生機をアルカリの存在下で熱処理し、ヨコ糸のポリエステル成分を完全に除去し、ヨコ糸を8葉形断面糸にした。8葉形断面形状は、葉が中心から葉の先端部に向かって葉の幅が漸次狭くなり、すなわち葉の先端部に向かって葉と葉の間の隙間が漸次広がるように放射線状に延びて広がっており、中心から葉の先端までの長さに対し、隣り合った葉の間にできた溝の最下端までの比は、0.5であった。次に、湯洗い水洗してから乾燥して仕上げ、これを織物Dとした。得られた織物表面を顕微鏡により観察した結果、タテ糸よりもヨコ糸が表面を広い面積で覆っていた。
比較例1
織物Aを用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.7mg、平均表面粗さ(Ra)は7オングストローム、スクラッチ数は51個であった。研磨用織物として好適でなかった。
比較例2
織物Bを用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.7mg、平均表面粗さ(Ra)は6オングストローム、スクラッチ数は39個であった。研磨用織物として好適でなかった。
比較例3
織物Cを用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.7mg、平均表面粗さ(Ra)は5オングストローム、スクラッチ数は26個であった。研磨用織物として好適でなかった。
比較例4
織物Dを用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.7mg、平均表面粗さ(Ra)は4オングストローム、スクラッチ数は16個であった。研磨用織物として好適でなかった。
実施例1
織物Aを1重量%のポリアクリル酸(和光純薬工業(株)社製 分子量25000)水溶液中に織物全体を浸漬させた状態でγ線を照射した。γ線照射線量は25kGyであった。加工後の織物を純水にて十分に洗浄し、乾燥させることで研磨用織物を得た。得られた研磨用織物を用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.7mg、平均表面粗さ(Ra)は7オングストローム、スクラッチ数は21個であった。研磨用織物として好適であった。
実施例2
織物Bと1重量%のポリエチレングリコール(和光純薬工業(株)社製 分子量20000)水溶液を用いた以外は実施例1記載の方法と同様にして研磨用織物を得た。得られた研磨用織物を用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.8mg、平均表面粗さ(Ra)は6オングストローム、スクラッチ数は18個であった。研磨用織物として好適であった。
実施例3
織物Cと1重量%のポリビニルアルコール(Aldrich社製 鹸化度80%、分子量10000)水溶液を用いた以外は実施例1記載の方法と同様にして研磨用織物を得た。得られた研磨用織物を用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.8mg、平均表面粗さ(Ra)は4オングストローム、スクラッチ数は8個であった。研磨用織物として好適であった。
実施例4
織物Dと1重量%のポリアクリル酸(和光純薬工業(株)社製 分子量25000)水溶液を用いた以外は実施例1記載の方法と同様にして研磨用織物を得た。得られた研磨用織物を用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.3mg、平均表面粗さ(Ra)は2オングストローム、スクラッチ数は1個であった。研磨用織物として好適であった。
実施例5
織物Dと1重量%のポリエチレングリコール(和光純薬工業(株)社製 分子量20000)水溶液を用いた以外は実施例1記載の方法と同様にして研磨用織物を得た。得られた研磨用織物を用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.6mg、平均表面粗さ(Ra)は4オングストローム、スクラッチ数は2個であった。研磨用織物として好適であった。
実施例6
織物Dと1重量%のポリビニルアルコール(Aldrich社製 鹸化度80%、分子量10000)水溶液を用いた以外は実施例1記載の方法と同様にして研磨用織物を得た。得られた研磨用織物を用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.7mg、平均表面粗さ(Ra)は4オングストローム、スクラッチ数は4個であった。研磨用織物として好適であった。
実施例7
織物Dと1重量%のポリビニルピロリドン(BASF社製 Kollidon(登録商標) 17 PF 分子量約10000)水溶液を用いた以外は実施例1記載の方法と同様にして研磨用織物を得た。得られた研磨用織物を用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.6mg、平均表面粗さ(Ra)は4オングストローム、スクラッチ数は3個であった。研磨用織物として好適であった。
実施例8
織物Dと1重量%のポリエチレンイミン(和光純薬工業(株)社製 分子量10000)水溶液を用いた以外は実施例1記載の方法と同様にして研磨用織物を得た。得られた研磨用織物を用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.6mg、平均表面粗さ(Ra)は3オングストローム、スクラッチ数は5個であった。研磨用織物として好適であった。
実施例9
織物Dを用い、10重量%のアクリル酸(和光純薬工業(株)社製)と5重量%の過硫酸アンモニウムからなる水溶液を用い、ミニカラー染色機(株式会社テクサム技研製)を用い、80℃、30分でグラフト化処理を行った。加工後の織物を純水にて十分に洗浄し、乾燥させることで研磨用織物を得た。得られた研磨用織物を用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート(SR)0.5mg、平均表面粗さは3オングストローム、スクラッチ数は2個であった。研磨用織物として好適であった。
実施例10
織物Aを1重量%のポリアクリル酸(和光純薬工業(株)社製 分子量25000)水溶液中に織物全体を浸漬させた状態で加速電圧600kVの電子線照射装置を用い電子線を照射した。電子線照射線量は27kGyであった。加工後の織物を純水にて十分に洗浄し、乾燥させることで研磨用織物を得た。得られた研磨用織物を用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.7mg、平均表面粗さ(Ra)は6オングストローム、スクラッチ数は23個であった。研磨用織物として好適であった。
実施例11
織物Bと1重量%のポリエチレングリコール(和光純薬工業(株)社製 分子量20000)水溶液を用いた以外は実施例10記載の方法と同様にして研磨用織物を得た。得られた研磨用織物を用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.7mg、平均表面粗さ(Ra)は5オングストローム、スクラッチ数は19個であった。研磨用織物として好適であった。
実施例12
織物Cと1重量%のポリエチレングリコール(和光純薬工業(株)社製 分子量20000)水溶液を用いた以外は実施例10記載の方法と同様にして研磨用織物を得た。得られた研磨用織物を用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.8mg、平均表面粗さ(Ra)は5オングストローム、スクラッチ数は10個であった。研磨用織物として好適であった。
実施例13
織物Dと1重量%のポリエチレングリコール(和光純薬工業(株)社製 分子量20000)水溶液を用いた以外は実施例10記載の方法と同様にして研磨用織物を得た。得られた研磨用織物を用い、テクスチャリング加工を行ったところ、加工レート0.6mg、平均表面粗さ(Ra)は4オングストローム、スクラッチ数は4個であった。研磨用織物として好適であった。
以上のテクスチャリング加工結果を表1にまとめた。
Figure 2007007840
比較例1〜4との比較において、本発明の織物改質処理工程を用いた実施例1〜13の研磨用織物では加工レートを保持したまま、表面粗さの低減化効果、およびスクラッチ数の低減化効果が認められた。また、実施例1〜3と実施例4〜13の比較においては、織物改質処理工程を織物を構成するマルチフィラメント糸条を異形断面(多葉形断面)形状とした織物に適用することで、表面粗さの低減化と劇的なスクラッチ数低減化が達成されることが明らかとなった。
図1は本発明の研磨織物を用いてテクスチャー加工する工程を例示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。 図2は本発明の断面形状を示したものである。 図3は本発明以外の断面形状を示したものである。 図4は本発明のテクスチャー織物によるテクスチャー作用を示す説明図である。
符号の説明
1:基板
2:ゴムローラ
3:供給リール
4:回収リール
5:供給ノズル
F:研磨用織物
a:中心から葉の先端までの長さ
b:中心から溝の最下端までの長さ
f:多葉形断面形状
M:マルチフィラメント糸条
S:スラリー
G:溝の空隙
H:磁気ディスク面

Claims (16)

  1. 織物と高分子溶液を共存させた状態で、ラジカル種を発生させることにより得られる研磨用織物。
  2. 前記織物がヨコ糸、タテ糸の少なくとも一方が単糸繊度が0.01〜3dtexの繊維を含む織物である請求項1に記載の研磨用織物。
  3. 単糸繊度が0.01〜3dtexの異形断面形状を有するマルチフィラメント糸条を含む織物と高分子溶液および/またはラジカル反応性化合物溶液を共存させた状態で、ラジカル種を発生させることにより得られる研磨用織物。
  4. 前記異形断面形状が多葉形断面形状である請求項3に記載の研磨用織物。
  5. 前記多葉形断面形状が以下の(1)〜(3)の要件を満たす請求項4に記載の研磨用織物。
    (1)葉が中心から放射線状に延びていること、(2)葉の枚数が3〜50枚であること、(3)中心から葉の先端の長さに対し、隣り合った葉となす溝の最下端までの長さ比が0.1〜0.9であること。
  6. 前記多葉形断面形状を有するマルチフィラメント糸条が複合繊維の割繊糸からなり、割繊溶出後の単糸繊度が0.01〜1.5dtexである請求項4または5に記載の研磨用織物。
  7. 前記複合繊維が剥離型の割繊糸または海島型の海溶出糸である請求項6に記載の研磨用織物。
  8. タテ糸、ヨコ糸の一方が異形断面形状を有するマルチフィラメント糸条よりなる請求項1〜7のいずれかに記載の研磨用織物。
  9. ヨコ糸が異形断面形状を有するマルチフィラメント糸条よりなる請求項10に記載の研磨用織物。
  10. ヨコ糸がタテ糸よりも広い面積で表面を覆う請求項9に記載の研磨用織物。
  11. 織物を構成する繊維がポリエステルあるいはポリアミド繊維である請求項1〜10のいずれかに記載の研磨用織物。
  12. 放射線照射によりラジカル種を発生させる請求項1〜11のいずれかに記載の研磨用織物。
  13. 高分子溶液が親水性高分子を含む溶液である請求項1〜12のいずれかに記載の研磨用織物。
  14. 親水性高分子がポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリアクリル酸から選ばれる1種または複数液である請求項13に記載の研磨用織物。
  15. ラジカル反応性化合物が不飽和結合を有する化合物である請求項3〜14のいずれかに記載の研磨用織物。
  16. 請求項1〜15いずれかに記載の研磨用織物を用いて磁気ディスク基盤を研磨する磁気ディスク基盤の製造方法。
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