JP2007253359A - インクジェット記録用塗工インク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(1)Tgが0℃以上であり、カチオン電荷密度が3×10-3 mV/nm2以上であるカチオン性ポリマー粒子を含む塗工インク、(2)前記塗工インクと、着色剤を含有する水系インクとから構成されるインクセットであって、インクジェット記録方式により、記録媒体上に該塗工インクを塗工処理し、その塗工処理部分に該水系インクを重ねて印刷するインクセット、及び(3)前記塗工インクを用いたインクジェット印刷方法である。
【選択図】なし
Description
インクジェット記録方法に関しては、例えば、特許文献1には、無色の微粒子を含有する液体を被記録材に付着させる液体付着過程と、その液体付着部分に、顔料、水、樹脂微粒子、水溶性溶剤を含む記録液を吐出させる記録液吐出過程とを有し、該液体付着過程では、被記録材の表面粗さ(Ra)が特定範囲に調製され、かつ、表面張力が25〜50mN/mである該記録液による被記録材表面への動的接触角が30°/sec以上に設定されるインクジェット記録方法が開示されている。
インクセットに関しては、例えば、特許文献3には、ブラック用、イエロー用、マゼンタ用及びシアン用インクを有するインクセットであって、少なくとも1種のインクが、水不溶性の色材をその1〜20重量%の有機高分子類で被覆してなるカプセル化色材を含む水性インクであるインクセットが開示されている。
また、特許文献4には、色材を含む記録液と、該色材と反応性を有する成分を含む処理液とから構成されたインクセットであって、処理液と記録液をインクジェットヘッドから吐出して被記録媒体に重ねることによって形成される記録部の断面が、該記録液を構成する成分で形成される層と、該処理液を構成する成分で形成される層とに別れて形成され、それらの層の厚さが0.01〜10μmであるインクセットが開示されている。
しかし、上記特許文献に開示されたインクジェット記録方法やインク、インクセットでは、にじみのない優れた印字物を得ることができなかった。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)を提供する。
(1)記録媒体に下記工程1及び2を順次施すインクジェット印刷方法に用いられる塗工インクであって、ガラス転移温度(Tg)が0℃以上であり、カチオン電荷密度が3×10-3 mV/nm2以上であるカチオン性ポリマー粒子を含むインクジェット記録用塗工インク。
工程1:インクジェット記録方式により、記録媒体の全部又は一部に、塗工インクを塗工処理する工程
工程2:工程1で得られた記録媒体の塗工処理した部分に、着色剤を含有する水系インクを、インクジェット記録方式により重ねて印刷する工程
(2)ガラス転移温度(Tg)が0℃以上であって、カチオン電荷密度が3×10-3 mV/nm2以上であるカチオン性ポリマー粒子を含む塗工インクと、着色剤を含有する水系インクとから構成されるインクセットであって、インクジェット記録方式により、記録媒体上に該塗工インクを塗工処理し、その塗工処理部分に該水系インクを重ねて印刷する、インクセット。
(3)塗工インク及び水系インクを用いて、記録媒体に下記工程1及び2を順次施す、インクジェット印刷方法。
工程1:記録媒体の全部又は一部に、ガラス転移温度(Tg)が0℃以上であって、カチオン電荷密度が3×10-3 mV/nm2以上であるカチオン性ポリマー粒子を含む塗工インクを、インクジェット記録方式により、塗工処理する工程
工程2:工程1で得られた記録媒体の塗工処理した部分に、着色剤を含有する水系インクを、インクジェット記録方式により重ねて印刷する工程
工程1:インクジェット記録方式により、記録媒体の全部又は一部に、塗工インクを塗工処理する工程
工程2:工程1で得られた記録媒体の塗工処理した部分に、着色剤を含有する水系インクを、インクジェット記録方式により重ねて印刷する工程
本発明に用いられる塗工インクは、ガラス転移温度(Tg)が0℃以上であって、カチオン電荷密度が3×10-3 mV/nm2以上であるポリマー粒子(以下、単に「ポリマー粒子」ということがある)を含有する水系インクである。
(ポリマー粒子)
ポリマー粒子としては、連続相を水系とする媒体中に、界面活性剤の存在下又は不存在下で、ポリマーエマルジョンとなって分散可能であるポリマー粒子が好ましい。特に、(i)エチレン性不飽和モノマーを乳化重合してなるポリマー粒子、及び(ii)塩生成基含有モノマー由来の構成単位を含む自己乳化ポリマー粒子が好ましい。ここで、自己乳化ポリマー粒子とは、界面活性剤の不存在下、ポリマー自身の官能基(特に塩基性基又はその塩)によって、水中で乳化状態である水不溶性ポリマーの粒子をいう。
これらのポリマー粒子は、単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
ポリマー粒子を構成するポリマーの具体例としては、(メタ)アクリル系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマー、スチレン−ブタジエン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、スチレン−(メタ)アクリル系ポリマー、ブタジエン系ポリマー、スチレン系ポリマー等が挙げられる。
カチオン性モノマーとしては、アミノ基を有する単量体の酸中和物、該単量体を4級化剤で4級化した第4級アンモニウム塩、又はジアリル型第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
アミノ基を有する単量体としては、ジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミド類、ジアルキルアミノ基を有するスチレン類、ビニルピリジン類、N−ビニル複素環化合物類、及びビニルエーテル類から選ばれる1種以上が好ましい。
ジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジイソブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジt−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ジアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリルアミド類としては、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジイソブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジt−ブチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ジアルキルアミノ基を有するスチレン類としては、ジメチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン等が挙げられ、ビニルピリジン類としては、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン等が挙げられ、N−ビニル複素環化合物類としては、N−ビニルイミダゾール等が挙げられ、ビニルエーテル類としては、アミノエチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル等が挙げられる。
一般式(1)において、R2、R3及びR4の炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基が挙げられる。Zとしては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、又はプロパン−1,2−ジイル基、テトラメチレン基等が挙げられる。
Xの陰イオンとしては、ハロゲンイオン、酸の共役塩基、又は炭素数1〜4のアルキルサルフェートイオンが挙げられる。ハロゲンイオンとしては、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等が挙げられ、酸の共役塩基としては、酸中和物を得るための好ましい酸(後記)から水素原子を除いた基が挙げられる。
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ジエチルジアリルアンモニウムクロライド等のジアリル型第4級アンモニウム塩が挙げられる。
また、一般式(1)又は(2)で表される化合物が第4級アンモニウム塩であるとき、この第4級アンモニウム塩を得るために用いる好ましい4級化剤としては、塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、ヨウ化メチル等のハロゲン化アルキル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジ−n−プロピル等の硫酸ジアルキル等のアルキル化剤が挙げられる。
カチオン性ポリマーが疎水性モノマー(c)由来の構成単位を含有している場合、その疎水性モノマー(c)由来の構成単位の含有量は、得られるポリマー粒子の分散安定性の観点から、好ましくは50〜99.5重量%、より好ましくは60〜99.5重量%、特に好ましくは70〜99.5重量%である。
また、カチオン性ポリマー中における〔(カチオン性モノマー由来の構成単位)/(疎水性モノマー(c)由来の構成単位)〕の重量比は、保存安定性、光沢性の観点から、好ましくは0.003〜0.5、より好ましくは0.003〜0.3、特に好ましくは0.005〜0.2である。
乳化重合に用いる界面活性剤は特に限定されないが、カチオン性界面活性剤が好適である。カチオン性界面活性剤とは、常にカチオン性を帯びた界面活性剤のみならず、pHの変化によりカチオン性を帯びることがある界面活性剤も含む。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
アルキルアミン塩としては、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート等が挙げられる。第4級アンモニウム塩としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルアンモニウムクロライド、セチルアンモニウムクロライド等のアルキルトリメチルアンミニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライド等のジアルキルジメチルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
アルキルベタインとしては、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等が挙げられ、アルキルアミンオキサイドとしては2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
本発明で用いるカチオン性ポリマー粒子が、(ii)塩生成基含有モノマー由来の構成単位を含む自己乳化ポリマー粒子の場合、後述する着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の製法において、着色剤を用いない以外は同様の製法により製造することができる。用いる水不溶性ポリマーの重量平均分子量の好ましい範囲も同じである。
ポリマー粒子を構成するポリマーの構成単位と、後述する着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子を構成するポリマーの構成単位とは、同一でも異なっていてもよい。
温度プログラム:
1.30 〜 250℃:昇温速度 30℃/min,保持時間 1min
2.250〜−100℃:冷却速度 30℃/min,保持時間30min
3.−100〜250℃:昇温速度 5℃/min,保持時間 1min
4.250 〜 30℃:冷却速度 30℃/min,保持時間 2min
ポリマー粒子は、印刷後のにじみ抑制の観点から、Tgの異なるものを組み合わせてもよい。また、Tgの異なるコアとシェルを有するコア・シェル型2重構造のポリマー粒子を用いてもよい。
また、粒子1個当りのゼータ電位は、カチオン電荷密度を上記の範囲内にして、印刷後のにじみ抑制の観点から、好ましくは30mV以上、更に好ましくは70mV以上であり、その上限は、好ましくは300mV以下、更に好ましくは200mV以下である。
単位表面積当りのカチオン電荷密度は、粒子1個当りのゼータ電位を後述する平均粒径の表面積で除した値である。
なお、ゼータ電位は、ポリマー粒子を固形分1%となるようにイオン交換水で希釈した液を、ポリマー粒子濃度(重量%)、ポリマー密度(g/cm3)、誘電率を入力し、電気音響法高濃度ゼータ電位測定装置Zeta Potential Analyser Zeta Probe (Colloidal Dynamics社) を用いて25℃で測定する。
ポリマー粒子の平均粒径は、塗工インクの保存安定性及び記録媒体のにじみ抑制の観点から、1000nm以下が好ましく、700nm以下がより好ましく、500nm以下が更に好ましく、400nm以下が特に好ましく、その下限は、10nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましく、40nm以上が最も好ましい。それらの観点から、前記平均粒径は、10〜1000nmが好ましく、30〜700nmがより好ましく、30〜500nmが更に好ましく、40〜400nmが特に好ましい。
なお、平均粒径の測定は、大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析)を用いて、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数200回、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力し、測定濃度は5×10-3重量%程度で行う。
塗工インクの粘度(20℃)は、良好な吐出性を維持するために、2〜12mPa・sが好ましく、2.5〜10mPa・sが更に好ましい。
塗工インクには、通常水系インクに用いられる湿潤剤、分散剤、消泡剤、防黴剤、キレート剤、しわ防止剤等の添加剤を含有させることができる。
着色剤としては特に制限はなく、顔料、疎水性染料、水溶性染料(酸性染料、反応染料、直接染料等)等を用いることができるが、耐水性、分散安定性及び耐擦過性の観点から、顔料及び疎水性染料が好ましい。
顔料及び疎水性染料は、水系インクに使用する場合には、界面活性剤、ポリマーを用いて、インク中で安定な微粒子にする必要がある。特に、耐滲み性、耐水性等の観点から、水不溶性ポリマーの粒子中に顔料及び/又は疎水性染料を含有させることが好ましい。
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンソラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、及びC.I.ピグメント・グリーンからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
疎水性染料としては、油溶性染料、分散染料等が挙げられ、これらの中では油溶性染料が好ましい。
油溶性染料としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック、C.I.ソルベント・イエロー、C.I.ソルベント・レッド、C.I.ソルベント・バイオレット、C.I.ソルベント・ブルー、C.I.ソルベント・グリーン、C.I.ソルベント・オレンジ等の各品番製品が挙げられ、オリエント化学株式会社、BASF社等から市販されている。
分散染料としては、例えば、C.I.ディスパーズ・イエロー、C.I.ディスパーズ・オレンジ、C.I.ディスパーズ・レッド、C.I.ディスパーズ・バイオレット、C.I.ディスパーズ・ブルー、C.I.ディスパーズ・グリーンからなる群から選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。これらの中では、イエローとしてC.I.ソルベント・イエロー29及び30、シアンとしてC.I.ソルベント・ブルー70、マゼンタとしてC.I.ソルベント・レッド18及び49、ブラックとしてC.I.ソルベント・ブラック3及び7、及びニグロシン系の黒色染料が好ましい。
上記の着色剤は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
本発明に用いられる着色剤を含有する水系インクは、下記(1)〜(3)の分散体を含有することが好ましい。
(1)着色剤を界面活性剤、顔料誘導体又は水溶性ポリマーで水中に分散させた分散体
(2)親水性基が直接又は他の原子団を介して顔料に結合している自己分散型顔料の水分散体
(3)着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体
前記分散体(1)に用いられる界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤がいずれも挙げられ、顔料誘導体としては、イオン性官能基又はイオン性官能基の塩を有する、アゾ誘導体、ジアゾ誘導体、フタロシアニン誘導体、キナクリドン誘導体、イソインドリノン誘導体、ジオキサジン誘導体、ペリレン誘導体、ペリノン誘導体、チオインジゴ誘導体、アントラキノン誘導体、キノフタロン誘導体等が挙げられる。
前記水溶性ポリマーは、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10gを越えるもの、好ましくは20g以上、更に好ましくは30g以上であるポリマーである。上記溶解量は、水溶性ポリマーがカルボキシ基、アンモニウム基等の塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、水溶性ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量をいう。
前記水溶性ポリマーは、分散性の観点から、その重量平均分子量が2,000〜50,000であることが好ましい。なお、水溶性ポリマーの重量平均分子量は、溶媒として60ミリモル/Lのリン酸及び50ミリモル/Lのリチウムブロマイドを溶解したジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定することができる。
ここで、他の原子団としては、炭素原子数1〜24、好ましくは炭素原子数1〜12のアルキレン基、置換基を有してもよいフェニレン基又は置換基を有してもよいナフチレン基等が挙げられる。
アニオン性親水基としては、顔料粒子を水系媒体に安定に分散しうる程度に十分に親水性が高いものであれば、任意のものを用いることができる。その具体例としては、カルボキシ基(−COOM1)、スルホン酸基(-SO3M1)、リン酸基(−PO3M1 2)、−SO2NH2、−SO2NHCOR20又はそれらの解離したイオン形(−COO-、-SO3 -、−PO3 2-、−PO3 - M1)等が挙げられる。上記化学式中、M1は、同一でも異なってもよく、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。R20は、炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基である。
これらのアニオン性親水基の中では、特にカルボキシ基(−COOM1)、スルホン酸基(-SO3M1)が好ましい。
カチオン性親水基としては、アンモニウム基、アミノ基等が挙げられる。
これらの中でも、本発明に用いられる水系インクとしては、優れた吐出信頼性、印刷物の光沢性を向上させる観点から、(3)着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体を用いることが好ましく、下記に説明する。
水不溶性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーとしては、水不溶性ビニルポリマー、水不溶性エステル系ポリマー、水不溶性ウレタン系ポリマー等が挙げられる。これらの中では、水分散体の安定性の観点から、水不溶性ビニルポリマーが好ましい。
ここで水不溶性ポリマーとは、105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下であるポリマーをいう。上記溶解量は、水不溶性ポリマーが塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、水不溶性ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
このような水不溶性グラフトポリマーとしては、塩生成基含有モノマー(a)(以下「(a)成分」ということがある)、マクロマー(b)(以下「(b)成分」ということがある)、及び疎水性モノマー(c)(以下「(c)成分」ということがある)を含むモノマー混合物(以下「モノマー混合物」ということがある)を共重合してなる水不溶性ビニルポリマーが好ましい。
(a)成分は、得られる分散体の分散安定性を高める等の観点から用いられるものであり、カチオン性モノマー、アニオン性モノマー等が挙げられる。具体的には、特開平9−286939号公報第5頁第7欄24行〜同頁第8欄29行に記載されているもの等を用いることができる。塩生成基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アンモニウム基等が挙げられる。
カチオン性モノマーの代表例としては、不飽和アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられ、これらの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミドが好ましい。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコネート等が挙げられる。
不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記アニオン性モノマーの中では、分散安定性、吐出信頼性等の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸又はメタクリル酸がより好ましい。
上記(a)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(b)成分は、水不溶性ポリマー微粒子の分散安定性を高めると共に、にじみの抑制等の観点から用いられ、数平均分子量が500〜100,000、好ましくは1,000〜10,000で、片末端に不飽和基等の重合性官能基を有するモノマーであるマクロマーが挙げられる。
なお、(b)成分の数平均分子量は、標準物質としてポリスチレンを用い、溶媒として50ミリモル/Lの酢酸を含有するテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定することができる。
(b)成分のマクロマーとしては、具体的には、下記(b−1)スチレン系マクロマー、(b−2)アルキル(メタ)アクリレート系マクロマー、(b−3)芳香環含有(メタ)アクリレート系マクロマー、(b−4)シリコーン系マクロマー等が挙げられる。
スチレン系マクロマーとは、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー(b−1 モノマーという)を有するマクロマーを意味する。スチレン系モノマーの中ではスチレンが好ましい。
スチレン系マクロマーは、例えば、片末端に重合性官能基を有するスチレン単独重合体、及び片末端に重合性官能基を有する、スチレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。片末端に存在する重合性官能基は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、これらを共重合させることで、スチレン系マクロマー由来の構成単位を有する水不溶性グラフトポリマーを得ることができる。他のモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、後記のアルキル(メタ)アクリレート(b−2 モノマー)、及びスチレン以外の芳香環含有(メタ)アクリレート(b−3 モノマー)等が挙げられる。
側鎖中、又はスチレン系マクロマー中、スチレン系モノマー由来の構成単位の含有量は、耐マーカー性の観点から、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成株式会社の商品名、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレート系マクロマーとは、ヒドロキシ基を有していてもよい、炭素数1〜22、好ましくは炭素数1〜18のアルキル基を有する、アルキル(メタ)アクリレート(b−2 モノマー)を有するマクロマーを意味する。
b−2 モノマーとしては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
b−2 モノマー由来の構成単位を含む側鎖は、片末端に重合性官能基を有するアルキル(メタ)アクリレート系マクロマーを共重合することにより得られ、例えば、メチルメタクリレート系マクロマー、ブチルアクリレート系マクロマー、イソブチルメタクリレート系マクロマー、ラウリルメタクリレート系マクロマー等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレート系マクロマーは、片末端に重合性官能基を有するアルキル(メタ)アクリレートの単独重合体、及び片末端に重合性官能基を有する、アルキル(メタ)アクリレートと他のモノマーとの共重合体が挙げられ、重合性官能基は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましい。他のモノマーとしては、前記のスチレン系モノマー(b−1 モノマー)、後記のスチレン以外の芳香環含有(メタ)アクリレート(b−3 モノマー)等が挙げられる。
側鎖中、又はアルキル(メタ)アクリレート系マクロマー中、(メタ)アクリル酸エステル由来の構成単位の含有量は、最も多く、耐マーカー性の観点から、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
芳香環含有(メタ)アクリレート系マクロマーとは、芳香環含有(メタ)アクリレート(b−3 モノマー)を有するマクロマーを意味する。芳香環含有(メタ)アクリレートとしては、下記式(3)で表されるモノマーが好ましい。
CH2=CR9COOR10 (3)
(式中、R9は水素原子又はメチル基を示し、R10は、置換基を有していてもよい、炭素数7〜22のアリールアルキル基又は炭素数6〜22のアリール基を示す。)
具体的には、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、フタルイミドメチル(メタ)アクリレート、p−ニトロフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチルフタレート等が挙げられる。これらの中では、特にベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
芳香環含有(メタ)アクリレート系マクロマーは、片末端に重合性官能基を有する芳香環含有(メタ)アクリレートの単独重合体、及び片末端に重合性官能基を有する、芳香環含有(メタ)アクリレートと他のモノマーとの共重合体が挙げられ、重合性官能基は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましい。他のモノマーとしては、前記のスチレン系モノマー(b−1 モノマー)、(メタ)アクリル酸エステル(b−2 モノマー)等が挙げられる。
側鎖中、又は芳香環含有(メタ)アクリレート系マクロマー中、芳香環含有(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量は最も多い。
本発明で用いられる水不溶性グラフトポリマーは、オルガノポリシロキサン鎖を側鎖として有していてもよい。この側鎖は、例えば、好ましくは下記式(4)で表される、片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロマーを共重合することにより得ることができる。
CH2=C(CH3)−COOC3H6−〔Si(CH3)2−O〕t−Si(CH3)3 (4)
(式中、tは8〜40の数を示す)
本発明に用いられるポリマーが、水不溶性グラフトポリマーである場合、[主鎖/側鎖]の重量比は、耐マーカー性及び保存安定性を向上させる観点から、1/1〜20/1であることが好ましく、3/2〜15/1が更に好ましく、2/1〜10/1が特に好ましい。なお、重合性官能基は側鎖に含有されるものとしてその重量比を計算する。
上記の中では、片末端に重合性官能基を有するスチレン系マクロマーがカーボンブラックとの親和性が高く、保存安定性を向上させる観点から好ましい。
(c)成分は、印字濃度等の向上の観点から用いられ、アルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリルアミド、芳香環含有モノマー等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)セチル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート、(イソ)ベヘニル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。これらの中では、炭素数8〜30、好ましくは炭素数12〜22の長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリレートが、分散安定性の観点から好ましく、特に(イソ)ラウリル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート、(イソ)ベヘニル(メタ)アクリレートが好ましい。
芳香環含有モノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー(c−1)、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアリールエステル、エチルビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレン、ビニルナフタレン、クロロスチレン等の炭素数6〜22の芳香族基含有ビニルモノマー(c−2)が好ましく挙げられる。これらの中でも、ベンジル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
なお、本明細書にいう「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を含むことを意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの双方の場合を含むことを示す。
上記(c)成分は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(d)成分は、分散安定性を高めるものである。(d)成分としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルカンジイル基の平均付加モル数を示す。以下同じ。)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレートが好ましい。
CH2=C(R11)COO(R12O)pR13 (5)
(式中、R11は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、R12はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、R13はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基、pは平均付加モル数を示し、1〜60、好ましくは1〜30の数である。)
(e)成分は、水性インクの吐出信頼性を高め、連続印字してもヨレの発生を抑制する等の優れた効果を発現するものである。
式(3)において、R12又はR13が有してもよいヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子又は硫黄原子が挙げられる。
R12又はR13で示される基の代表例としては、炭素数6〜30の芳香族基、炭素数3〜30のヘテロ環基、炭素数1〜30のアルカンジイル基等が挙げられ、これらは置換基を有していてもよい。これらの基は2種以上を組み合わせたものであってもよい。置換基としては、芳香族基、ヘテロ環基、アルキル基、ハロゲン原子、アミノ基等が挙げられる。
R13としては、フェニル基、炭素数1〜30、好ましくは分岐鎖を有していても良い炭素数1〜20の脂肪族アルキル基、芳香族環を有する炭素数7〜30のアルキル基又はヘテロ環を有する炭素数4〜30のアルキル基が好ましく挙げられる。R13のより好ましい例としては、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基、(イソ)ブチル基、(イソ)ペンチル基、(イソ)ヘキシル基等の炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基等が挙げられる。
商業的に入手しうる(d)、(e)成分の具体例としては、新中村化学工業株式会社の多官能性アクリレートモノマー(NKエステル)M−40G、同90G、同230G、EH―4E、日本油脂株式会社のブレンマーシリーズ、PE−90、同200、同350,PME−100、同200、同400、同1000、PP−500、同800、同1000、AP−150、同400、同550、同800、50PEP−300、50POEP−800B等が挙げられる。
上記(d)成分及び(e)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(a)成分の含有量は、得られる分散体の分散安定性等の観点から、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜40重量%、より好ましくは3〜30重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。
(b)成分の含有量は、得られる分散体の分散安定性、印刷物のにじみ抑制等の観点から、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは3〜40重量%、特に好ましくは5〜35重量%である。
(c)成分の含有量は、印字濃度等の観点から、好ましくは5〜90重量%、より好ましくは5〜80重量%、さらに好ましくは10〜60重量%である。
(a)成分の含有量と、(b)成分と(c)成分の合計含有量との重量比((a)/[(b)+(c)])は、得られる水系インクの長期保存安定性、吐出信頼性等の観点から、好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.02〜0.7、更に好ましくは0.05〜0.5である。
(e)成分の含有量は、吐出信頼性、分散安定性等の観点から、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜30重量%、さらに好ましくは5〜30重量%である。
(a)成分と(d)成分との合計含有量は、水中での安定性、耐水性等の観点から、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは7〜50重量%、さらに好ましくは10〜40重量%である。
また、(a)成分と(e)成分の合計含有量は、水中での分散安定性、吐出信頼性等の観点から、好ましくは5〜75重量%、より好ましくは7〜50重量%、さらに好ましくは10〜40重量%である。
(a)成分と(d)成分と(e)成分との合計含有量は、水中での分散安定性及び吐出信頼性の観点から、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは7〜50重量%、さらに好ましくは10〜40重量%である。
本発明の水不溶性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、前記モノマー混合物を共重合させることによって製造されるが、これらの重合法の中では、溶液重合法の場合に、特ににじみ抑制や印字濃度等の本発明の効果が好適に得られる。
溶液重合法で用いる溶媒としては、水不溶性ポリマーと親和性の高い極性有機溶媒が好ましく、水に対する溶解度が20℃において、50重量%以下のものが好ましく、5重量%以上のものが好ましい。極性有機溶媒としては、例えば、ブトキシエタノール等の脂肪族アルコール;トルエン、キシレン等の芳香族類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ブトキシエタノール、又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加することができる。
モノマー混合物の重合条件は、使用する重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるが、通常、重合温度は30〜100℃、好ましくは50〜80℃であり、重合時間は1〜20時間である。また、重合雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価(KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100
塩生成基がカチオン性基である場合、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーのアミン価(HCLmg/g)×ポリマーの重量(g)/(36.5×1000)]}×100
酸価やアミン価は、ポリマーの構成単位から算出することができるが、適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して滴定する方法を用いて求めることもできる。
着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子は、次の工程(a)及び(b)により、水分散体として得ることが好ましい。
工程(a):水不溶性ポリマー、有機溶媒、着色剤、水及び必要により中和剤を含有する混合物を、分散処理する工程
工程(b):前記有機溶媒を除去する工程
前記工程(a)では、まず、前記水不溶性ポリマーを有機溶媒に溶解させ、次に着色剤、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、前記有機溶媒に加えて混合し、水中油型の分散体を得ることが好ましい。混合物中、着色剤は、5〜50重量%が好ましく、有機溶媒は、10〜70重量%が好ましく、水不溶性ポリマーは、2〜40重量%が好ましく、水は、10〜70重量%が好ましい。水不溶性ポリマーが塩生成基を有する場合、中和剤を用いることが好ましいが、中和度には、特に限定がない。通常、最終的に得られる水分散体の液性が中性、例えば、pHが4.5〜10であることが好ましい。前記水不溶性ビニルポリマーの望まれる中和度により、pHを決めることもできる。
アルコール系溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、イソプロパノール、アセトン及びメチルエチルケトンが好ましく、特に、メチルエチルケトンが好ましい。これらの溶媒は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
中和剤としては、水不溶性ポリマー中の塩生成基の種類に応じて、酸又は塩基を使用することができる。中和剤としては、前記のものを用いることができる。
着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の平均粒径は、分散安定性、吐出性の観点から、好ましくは50〜200nm、更に好ましくは70〜170nm、特に好ましくは70〜150nmである。
着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子のD90(散乱強度の頻度分布における、小粒子側から計算した累積90%の値)は、粗大粒子を減らして分散体の保存安定性を高める観点及び記録媒体の光沢性向上の観点から、800nm以下が好ましく、500nm以下が更に好ましく、300nm以下が特に好ましく、その下限は、100nm以上が好ましく、120nm以上が更に好ましい。それらの観点から、前記D90は、100〜800nmが好ましく、100〜500nmが更に好ましく、120〜300nmが特に好ましい。
なお、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の平均粒径、D90は、ポリマー粒子の平均粒径と同じ測定方法により求めることができる。
水系インク中における着色剤の含有量は、分散安定性、印字濃度等を高める点から1〜20重量%が好ましく、3〜10重量%が更に好ましい。
着色剤が水不溶性ポリマーに含有されてなる場合、水不溶性ポリマーと着色剤の量比は、印字濃度を高める等の観点から、〔着色剤/水不溶性ポリマー〕の重量比が、好ましくは50/50〜90/10、より好ましくは50/50〜80/20、更に好ましくは55/45〜78/22である。
水系インク中、水の含有量は、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは40〜80重量%である。
本発明で用いる記録媒体は、インクジェット記録方式に適用できるものであれば特に制限はなく、紙、プラスチック、及びそれらの複合物等が挙げられる。
記録媒体は、空隙型インク受容層やアルミナ系インク受容層を有する、通常、光沢紙、写真用紙と言われるものであってもよいが、本発明によれば、普通紙にも、光沢性の優れた写真印刷物や、印字物を得ることができるため、本発明の効果を発揮させるにはインク受容層を有しない、通常、普通紙又はコピー紙と言われるものが好適である。
ここでインク受容層とは、アルミナ、シリカ等の多孔質無機粒子と水溶性樹脂(バインダー)から構成された空隙型インク受容層を意味し、かかるインク受容層を有する記録媒体は、例えば、「インクジェットプリンターの応用と材料」(株式会社シーエムシー2002年発行)のp174〜p181に記載されている。
本発明で好適に使用し得る記録媒体の具体例としては、例えば、ゼロックス社製の商品名、ゼロックス4024、キヤノン株式会社製のPB用紙、株式会社リコー社製のPPC用紙マイペーパー等の市販の普通紙が挙げられる。
本発明は、塗工インク及び水系インクを用いて、記録媒体に下記工程1及び2を順次施す、インクジェット印刷方法である。
工程1:記録媒体の全部又は一部に、ガラス転移温度(Tg)が0℃以上であって、カチオン電荷密度が3×10-3 mV/nm2以上であるカチオン性ポリマー粒子を含む塗工インクを、インクジェット記録方式により、塗工処理する工程
工程2:工程1で得られた記録媒体の塗工処理した部分に、着色剤を含有する水系インクを、インクジェット記録方式により重ねて印刷する工程
塗工する領域は、記録媒体の全部、即ち全面であってもよく、一部であってもよく、工程2で得られる印刷画面の画像品質の要求に応じて、決めることができる。例えば、工程2で写真画像を印刷する場合、その部分だけを予め工程1で塗工しておくことができる。
工程2では、工程1で得られた、記録媒体の塗工処理した部分に、着色剤を含有する水系インクをインクジェット記録方式により重ねて印刷する。この場合、記録媒体に塗工インクを塗工した後、引き続き連続的に、着色剤を含有する水系インクをその塗工処理した部分に印刷してもよく、塗工インクを記録媒体に塗工した後、一定時間後に、着色剤を含有する水系インクをその塗工処理した部分に印刷してもよい。
本発明においてインクジェット記録方式は制限されないが、特にピエゾ方式のインクジェットプリンタに好適である。
本発明のインクセットは、ガラス転移温度(Tg)が0℃以上であって、カチオン電荷密度が3×10-3 mV/nm2以上であるカチオン性ポリマー粒子を含む塗工インクと、着色剤を含有する水系インクとから構成されるインクセットであって、インクジェット記録方式により、記録媒体上に該塗工インクを塗工処理し、その塗工処理部分に該水系インクを重ねて印刷する、インクセットである。
インクセットは、水系インクとして、2種以上の異なる色、好ましくは有彩色のインクを備えている。ここで、「異なる色」とは、日本電色工業株式会社の分光式色差計SE−2000等を用いて、印刷物をD65/2の光の波長で反射光を測定し、L*a*b*表色系で表示したとき、a*(赤−緑方向の色度)とb*(黄−青方向の色度)が同一でない色をいう。例えば、シアン、イエロー、マゼンタ、ライトシアン、ダークイエロー、及びライトマゼンタからなる群から選ばれる2種以上の有彩色等が挙げられる。
本発明のインクセットは、これらの有彩色から選ばれる2色以上の水系インクの組み合わせを含むことが好ましく、3色インクセット、4色インクセット、5色インクセット、6色インクセット、7色インクセット以上のいずれであってもよい。
より好ましくは、減法混色の3原色であるマゼンタインク、イエローインク及びシアンインクから選ばれる2色以上の異なる色の水系インクを備えたインクセットであり、これら3色のインクを備えたインクセットが特に好ましい。本発明のインクセットは、更に、自己分散型カーボンブラック等のブラックインクを備えていてもよい。
製造例1(ポリマー粒子1の水分散体の製造)
反応容器内に、イオン交換水510部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(花王株式会社製のコータミン86W、有効分28%)50部、スチレン133部、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド7部を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら80℃まで昇温後、ラジカル重合開始剤2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.5部をイオン交換水5部に溶解した溶液を加え、更に80℃で3時間熟成させ、乳化組成物を得た。
得られた乳化組成物を、減圧下、60℃で、水を除去し、固形分含有量(有効分含有量)が30%のポリマー粒子1を含む水分散体を得た。
得られたポリマー粒子1の平均粒径は60nmであり、ゼータ電位は94mVであった。
平均粒径の測定は、大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析)を用いて、前記の測定条件により行った。ゼータ電位は、ポリマー粒子分散体を固形分1%となるようにイオン交換水で希釈した液を、電気音響法高濃度ゼータ電位測定装置Zeta Potential Analyser Zeta Probe (Colloidal Dynamics社) を用いて、ポリマー粒子濃度1重量%、ポリマー密度1.05g/cm3、誘電率2.5を入力し、測定した。測定した平均粒径とゼータ電位の値から、このポリマー粒子1個の単位表面積当りのカチオン電荷密度を計算により求めた結果、8.3×10-3mV/nm2であった。
ポリマー粒子1のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製、DSC6200)を用いて測定した結果、72℃であった。
ポリマー粒子の平均粒径、、ゼータ電位、Tgの測定条件は、以下の製造例において同様である。
製造例1において、仕込量をそれぞれ、イオン交換水を535部、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(花王株式会社製のコータミン86W、有効分28%)を25部、スチレンを133部、N,Nジメチルアミノプロピルアクリルアミドを7部に変えて、製造例1と同様に行い、固形分含有量(有効分含有量)が38%のポリマー粒子2を含む水分散体を得た。
得られたポリマー粒子2の平均粒径は65nm、ゼータ電位は106mV(ポリマー粒子濃度1重量%、ポリマー密度1.05g/cm3、誘電率2.5を入力)、単位表面積当りのカチオン電荷密度8.0×10-3mV/nm2、Tgは76℃であった。
反応容器内に、イオン交換水600部、メチルメタクリレート98部、ジメチルアミノエチルメタクリレートのメチルクロライド四級化物2部を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら70℃まで昇温後、ラジカル重合開始剤2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩0.5部をイオン交換水5部に溶解した溶液を加え、更に70℃で2時間、75℃で2時間熟成させ、乳化組成物を得た。
得られた乳化組成物を、減圧下、60℃で、水を除去し、固形分含有量(有効分含有量)が40%のポリマー粒子3を含む水分散体を得た。
得られたポリマー粒子3の平均粒径は277nm、ゼータ電位は97mV(ポリマー粒子濃度1重量%、ポリマー密度1.19g/cm3、誘電率2.6を入力)、単位表面積当りのカチオン電荷密度0.4×10-3mV/nm2、Tgは102℃であった。
反応容器内に、メチルエチルケトン20部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.25部、及び(a)メタクリル酸/(b)スチレンマクロマー(商品名:AS−6S:東亜合成株式会社製)/(c)ベンジルメタクリレート/(e)NKエステルEH―4E(新中村化学工業株式会社製のオクトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、エチレンオキサイドの平均付加モル数:4)=15/30/50/5(有効分重量比)のモノマー混合物250部の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、上記モノマー混合物の残りの90%を仕込み、前記重合連鎖移動剤2.25部、メチルエチルケトン40部及びラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))2.5部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記ラジカル重合開始剤3部をメチルエチルケトン30部に溶解した溶液を加え、更に65℃で3時間、70℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。次に、このポリマー溶液に、メチルエチルケトンを適量添加し、攪拌することにより、固形分含有量(有効分含有量)が50%のポリマー溶液を得た。得られたポリマーの重量平均分子量は、約2万であった。
得られたペーストをイオン交換水で希釈(約10%)し、十分に攪拌した後、エバポレーターを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、固形分含有量(有効分含有量)が20%の顔料含有粒子の水分散体を得た。
上記で得られた顔料含有粒子の水分散体25部、グリセリン10部、2−{2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ}エタノール5部、ヘキサンジオール2部、アセチレングリコールEO付加物(平均付加モル数:10)(川研ファインケミカル株式会社製、商品名:アセチレノールE100)0.5部及びイオン交換水57.5部を混合し、得られた混合液を1.2μmのメンブランフィルター〔Sartorius社製、商品名:Minisart〕で濾過し、水系マゼンタインクを得た。
シアンインクについては、シアン顔料〔C.I.ピグメント・ブルー15:4、大日精化株式会社製、商品名:クロモファイン・ブルー4965〕を使用し、イエローインクについては、イエロー顔料〔C.I.ピグメント・イエロー74、山陽色素株式会社製、商品名:ファーストイエロー7414〕を使用して、同様の方法で水系シアンインク及び水系イエローインクを得た。
得られたポリマー粒子の平均粒径は、マゼンタは99nm、シアンは81nm、イエローは111nmであり、D90はマゼンタは157nm、シアンは130nm、イエローは218nmであった。
自己分散カーボンブラックCW−2(オリヱント化学工業株式会社、固形分15%)55.3部、グリセリン15部、2−{2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ}エタノール5部、ヘキサンジオール2部、アセチレングリコールEO付加物(平均付加モル数:10)(川研ファインケミカル株式会社製、商品名:アセチレノールE100)0.5部及びイオン交換水22.2部を混合し、得られた混合液を前記メンブランフィルターで濾過し、黒インクを得た。
製造例1で製造したポリマー粒子1(固形分含有量30%、平均粒径60nm)68.0部、2−{2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ}エタノール5部、ヘキサンジオール2部、アセチレングリコールEO付加物(平均付加モル数:10)(川研ファインケミカル株式会社製、商品名:アセチレノールE100)0.5部及びイオン交換水24.5部を混合し、得られた混合液を前記メンブランフィルターで濾過し、水系塗工インク1を得た。
製造例2で製造したポリマー粒子2(固形分含有量38%、平均粒径65nm)55.3部、2−{2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ}エタノール5部、ヘキサンジオール2部、前記(調製例1)アセチレングリコールEO付加物0.5部及びイオン交換水37.2部を混合し、得られた混合液を前記メンブランフィルターで濾過し、水系塗工インク2を得た。
カチオン性ポリマーエマルション〔大成ファインケミカル株式会社製、商品名:UW−550CS、固形分34%、ガラス転移温度52℃、平均粒径92nm、ゼータ電位(ポリマー粒子濃度1重量%、ポリマー密度1.19g/cm3、誘電率2.6を入力)92mV、単位表面積当りのカチオン電荷密度3.5×10-3mV/nm2〕44.1部、2−{2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ}エタノール5部、ヘキサンジオール2部、前記(調製例1)アセチレングリコールEO付加物0.5部及びイオン交換水48.4部を混合し、得られた混合液を前記メンブランフィルターで濾過し、水系塗工インク3を得た。
製造例3で製造したポリマー粒子3(固形分含有量40%、平均粒径277nm)50部、2−{2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ}エタノール5部、ヘキサンジオール2部、前記(調製例1)アセチレングリコールEO付加物0.5部及びイオン交換水42.5部を混合し、得られた混合液を前記メンブランフィルターで濾過し、水系塗工インク4を得た。
調製例5(塗工インク5の調製)
カチオン性ポリマーエマルション〔日信化学工業株式会社製、商品名:ビニブラン2650、固形分40%、ガラス転移温度−30℃、平均粒径173nm、ゼータ電位(ポリマー粒子濃度1重量%、ポリマー密度1.19g/cm3、誘電率2.6を入力)23mV、単位表面積当りのカチオン電荷密度0.2×10-3mV/nm2〕37.5部、2−{2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシ}エタノール5部、ヘキサンジオール2部、前記(調製例1)アセチレングリコールEO付加物0.5部及びイオン交換水55.0部を混合し、得られた混合液を前記メンブランフィルターで濾過し、水系塗工インク5を得た。
市販のセイコーエプソン株式会社のインクジェットプリンタ(品番:EM−930C、ピエゾ方式)のブラックインクを、表1に示すように、上記塗工インク1〜4に置き換えて、記録媒体に塗工処理及び印刷を行った。
記録媒体として、ゼロックス社製、普通紙「ゼロックス4024」を用意し、これに記録媒体を普通紙フォトモード(双方向印刷オフ)でベタ印刷することによって、塗工を行った。繰り返し塗工を行うことによって、塗工量を変化させた。なお、塗工インク中のポリマー粒子の塗工量(g/m2)(1塗工回数当たりの塗工量)は、塗工インクを同印刷条件でOHPシート(セイコーエプソン株式会社製、商品名:MJOHPS1N)に印刷した後、水を蒸発(20℃、12時間)させた残存量(塗工後に水を蒸発させたOHPシートの重量−塗工前のOHPシートの重量)から、下記式により求めた。
塗工量(g/m2)=残存量(g)×(塗工インク中のポリマー粒子の含有率(重量%))×〔1/[100−塗工インク中の水の含有率(重量%)]〕×[1/塗工したOHPシートの面積(m2)]
印刷は、同プリンターにより、製造例4(シアンインク、イエローインク、マゼンタインク)及び製造例5(黒インク)で得られた水系インクを用い、記録媒体をフォトモードで、塗工処理した部分に重ねてベタ印刷を行った。
得られた印刷物のカラーインク(シアンインク、イエローインク、マゼンタインク)単色ベタ印刷部と黒インクの境界のにじみを比較し、目視により評価し、平均点数を求めた。結果を表1に示す。
〔評価基準〕
2:全くにじみなし
1:ややにじみあり
0:明らかににじみあり
Claims (7)
- 記録媒体に下記工程1及び2を順次施すインクジェット印刷方法に用いられる塗工インクであって、ガラス転移温度(Tg)が0℃以上であり、カチオン電荷密度が3×10-3 mV/nm2以上であるカチオン性ポリマー粒子を含むインクジェット記録用塗工インク。
工程1:インクジェット記録方式により、記録媒体の全部又は一部に、塗工インクを塗工処理する工程
工程2:工程1で得られた記録媒体の塗工処理した部分に、着色剤を含有する水系インクを、インクジェット記録方式により重ねて印刷する工程 - カチオン性ポリマー粒子1個当りのゼータ電位が30mV以上である、請求項1記載のインクジェット記録用塗工インク。
- カチオン性ポリマー粒子の平均粒径が10〜1000nmである、請求項1又は2記載のインクジェット記録用塗工インク。
- カチオン性ポリマー粒子を構成するポリマーが、下記一般式(1)及び/又は(2)で表されるモノマー由来の構成単位を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用塗工インク。
- 水系インクが、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体を含むものである、請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用塗工インク。
- ガラス転移温度(Tg)が0℃以上であって、カチオン電荷密度が3×10-3 mV/nm2以上であるカチオン性ポリマー粒子を含む塗工インクと、着色剤を含有する水系インクとから構成されるインクセットであって、インクジェット記録方式により、記録媒体上に該塗工インクを塗工処理し、その塗工処理部分に該水系インクを重ねて印刷する、インクセット。
- 塗工インク及び水系インクを用いて、記録媒体に下記工程1及び2を順次施す、インクジェット印刷方法。
工程1:記録媒体の全部又は一部に、ガラス転移温度(Tg)が0℃以上であって、カチオン電荷密度が3×10-3 mV/nm2以上であるカチオン性ポリマー粒子を含む塗工インクを、インクジェット記録方式により、塗工処理する工程
工程2:工程1で得られた記録媒体の塗工処理した部分に、着色剤を含有する水系インクを、インクジェット記録方式により重ねて印刷する工程
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