JP2005029596A - インクジェット記録用水系インク - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な吐出性及び保存安定性を有し、高印字濃度を付与しうるインクジェット記録用インクの提供。
【解決手段】着色剤を含む水不溶性ビニルポリマーのポリマー粒子の水分散体を含有するインクジェット記録用水系インクであり、異なる着色剤が、それぞれ同一又は類似の水不溶性ビニルポリマー粒子に含有されてなる水分散体を2種以上含有しているインクジェット記録用水系インク。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録用水系インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて文字や画像を得る記録方式である。この方式は、その装置が低騒音で操作性がよいという利点を有するのみならず、カラー化が容易であり、また記録部材として普通紙を使用することができるという利点がある。
【0003】
インクジェット記録方式の普及に伴い、専用紙に対するカラー画像品位の向上が求められている。そして、インク及び紙を改良することで、インクが紙に着弾した際、にじみを生じさず、乾燥速度を高め、紙表面に色材を留まらせることにより、高印字品質が達成されている。このような高印字品質を達成できるインクとして、同一のインクの中に2種類以上の着色剤を含有させるタイプのものが知られている。
【0004】
例えば、カーボンブラックを使用するインクとして、窒素吸着比表面積、DBP吸収量、比着色力の異なるカーボンブラック混合して使用する水性インク(例えば特許文献1参照)、自己分散性の顔料と、分散剤の作用によって初めて水性媒体に分散させることができる顔料と、その分散剤とを含有させて調製するインク(例えば特許文献2参照)等の方法で、ブラック画像品位を向上させる提案がなされている。
【0005】
一方、有機顔料を使用するインクとして、中和されたアニオン性基を有する有機高分子化合物で顔料が被覆されてなる着色微粒子を含むインクジェットプリンター用水性記録液において、同じ2種類以上の有機顔料を同時に含有させるインクジェットプリンター用水性記録液が提案されている(例えば特許文献3参照)。
【0006】
また、シアンインクとしてC.I.ピグメントブルー60、22、64、又は21と、C.I.ピグメントブルー15:3とを組み合わせて用いたシアンインク組成物と、C.I.−ピグメントイエロー109及びC.I.−ピグメントイエロー110を含んでなるイエローインク並びにC.I.−ピグメントレッド122又はC.I.−ピグメントレッド209を含んでなるマゼンタインクとが組み合わされたインクセット(例えば特許文献4参照)、2種以上のキナクリドン系化合物からなるキナクリドン固溶体顔料を含有するインクジェットプリンター用インキ(例えば特許文献5参照)等といった方法でカラー画像品位を向上させる提案がなされている。
【0007】
しかし、これらのインク及びインクセットは、2種類以上の顔料を混合して水分散体を合成しているために、それぞれの顔料の良い点を打ち消してしまったり、自己分散性顔料を使用することで、樹脂により分散させた水分散体の安定性を低下させるという課題がある。また、樹脂が異なる水分散体を2種類以上混合して合成するインクも存在するが、樹脂が異なるために混合した際に混合ショックが起こり、保存安定性が低下するという課題がある。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−47434号公報
【特許文献2】
特開2000−239589号公報
【特許文献3】
特開平11−209672号公報
【特許文献4】
特開平10−120956号公報
【特許文献5】
特開平10−21916号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、吐出性及び保存性が良好であり、更に耐水性及び耐光性に優れたインクジェット記録用水系インクを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、課題の解決手段として、着色剤を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を含有するインクジェット記録用水系インクであり、異なる着色剤が、それぞれ同一又は類似の水不溶性ビニルポリマー粒子に含有されてなる水分散体を2種以上含有しているインクジェット記録用水系インクを提供する。
【0011】
ここで2種以上とは、着色剤が異なることを意味し、着色剤が異なるとは、色相が異なるだけでなく、同一色であっても物性が異なるものも含まれる。
【0012】
本発明のインクジェット記録用水系インクは、インク中に、1つの着色剤を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を1つの組み合わせとして、着色剤を含有させる水不溶性ビニルポリマーは着色剤ごとに同一又は類似のものを使用し、着色剤を替えた組み合わせを2種以上含むものである。
【0013】
本発明のインクジェット記録用水系インクにおいて「水系」とは、インクに含有された溶媒中、水が最大割合を占めていることを意味するものであり、水100%でも良いし、前記要件を満たすものであれば、水と1種又は2種以上の有機溶媒との混合物も含まれる。
【0014】
本発明のインクジェット記録用水系インクは、白インク以外の着色インクであるが、ブラックインクも含まれる。
【0015】
「ブラックインク」とは、NIPPON DENSHOKU Spectro Color Meter SE2000〔日本電色工業(株)製、商品名〕を用い、上質普通紙〔エプソン(株)製、商品名:KA4250NT 〕の印字物をD65/2 の光の波長で反射光を測定し、CIELABで表示したとき、L*が50以下、a*が−5以上、5以下、b*が−5以上、5以下の色差を有するインクが例示される。
【0016】
ブラックインクに用いられる着色剤としては、上記したものの中で、例えば、C.I.ソルベント・ブラック3、7、27、29、34、カーボンブラック(C.I.ピグメント・ブラック7)等から2種類以上を使用することが好ましく、耐水性、耐光性の観点から、窒素吸着比表面積、DBP吸収量、一次粒子径のいずれかが異なる2種類以上のカーボンブラックを用いることが更に好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のインクジェット記録用水系インクは、着色剤を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を含有するものである。
【0018】
着色剤を含む水不溶性ビニルポリマー粒子は、少なくとも着色剤と水不溶性ビニルポリマーにより粒子が形成されているものであれば粒子形態は特に制限されるものではなく、例えば、水不溶性ビニルポリマーに着色剤が内包された粒子形態、水不溶性ビニルポリマーに着色剤が均一に分散された粒子形態、水不溶性ビニルポリマーに着色剤が内包されているが、粒子表面に一部の着色剤が露出された粒子形態等が含まれる。
【0019】
<着色剤>
着色剤としては、疎水性染料及び顔料のいずれが用いられていてもよく、水系インクの使用目的等に応じて、これらうちのいずれか又は双方を混合して使用することができる。着色剤は、目的とする色調の着色インクとするために2種類以上の着色剤を用いることが好ましい。
【0020】
疎水性染料としては、油溶性染料、分散染料、塩基性染料等が挙げられる。これらの中では、油溶性染料及び分散染料がポリマー粒子中に良好に含有させることができることから好ましい。
【0021】
油性溶染料としては、特に限定されるものではないが、例えば、C.I.ソルベント・ブラック3、7、27、29、34;C.I.ソルベント・イエロー14、16、29、30、56、82;C.I.ソルベント・レッド1、3、8、18、24、27、43、49、51、72、73;C.I.ソルベント・バイオレット 3;C.I.ソルベント・ブルー2、11、70;C.I.ソルベント・グリーン3、7;C.I.ソルベント・オレンジ2等が挙げられる。
【0022】
分散染料としては、C.I.ディスパーズ・イエロー5、42、54、64、79、82、83、93、99、100、119、122、124、126、160、184:1、186、198、199、204、224、237;C.I.ディスパーズ・オレンジ13、29、31:1、33、49、54、55、66、73、118、119、163;C.I.ディスパーズ・レッド54、60、72、73、86、88、91、93、111 、126、127、134、135、143、145、152、153、154、159、164、167:1、177、181、204、206、207、221、239、240、258、277、278、283、311、323、343、348、356、362;C.I.ディスパーズ・バイオレット33;C.I.ディスパーズ・ブルー56、60、73、87、113、128、143、148、154、158、165、165:1、165:2、176、183、185、197、198、201、214、224、225、257、266、267、287、354、358、365、368;C.I.ディスパーズ・グリーン6:1、9等が挙げられる。
【0023】
疎水性染料は、水不溶性ビニルポリマー粒子中に効率的に含有させる観点から、有機溶媒(例えば、メチルエチルケトン、20℃)に2g/L 以上、好ましくは20〜500 g/L 溶解するものが好ましい。
【0024】
顔料としては、公知の無機顔料及び有機顔料のいずれを用いることもできる。また、必要により、それらと体質顔料とを併用することもできる。
【0025】
無機顔料としては、カーボンブラック(ピグメント・ブラック7)、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
【0026】
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジスアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アンソラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。体質顔料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
【0027】
顔料として、親水性基が直接又は他の原子団を介して顔料に結合している自己分散型顔料も好ましい。自己分散型顔料としては、例えば、特開平10−140064 号公報、特開平10−110127 号公報等に記載されているもの等が挙げられる。自己分散型顔料具体例としては、キャボット社製のCAB−O−JET(登録商標)300 等が挙げられる。自己分散型顔料は、印字濃度を高めるうえで好ましい。
【0028】
着色剤の含有量は、印字濃度及びポリマー粒子中に含有させやすさの観点から、水不溶性ビニルポリマー100重量部に対して、好ましくは20〜1200重量部、より好ましくは50〜900重量部、更に好ましくは100〜800重量部である。
【0029】
<水不溶性ビニルポリマー>
水不溶性ビニルポリマーとしては、塩生成基含有モノマー(A)群、疎水性モノマー(B)群、必要により、ノニオン性の親水性モノマー(C)群及び/又はマクロマー(D)群を重合させることによって製造されるものが好ましい。なお、本発明の課題を解決できる範囲内で他のモノマーを併用することができる。
【0030】
塩生成基含有モノマー(A)としては、アニオン性モノマー及びカチオン性モノマーが挙げられる。
【0031】
アニオン性モノマーとしては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
【0032】
不飽和カルボン酸モノマーとしては、(メタ)アクリル酸〔(メタ)アクリル酸は、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの混合物を意味する〕、スチレンカルボン酸、マレイン酸系モノマー〔無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸モノアミド、又はそれらうちの2種類以上の混合物〕、イタコン酸等が挙げられる。
【0033】
不飽和スルホン酸モノマーとしては、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−アルキル(炭素数1〜4)プロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等が挙げられる。これらの中では、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、中でもアクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。
【0034】
不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2− アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0035】
カチオン性モノマーとしては、不飽和3級アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。
【0036】
カチオン性モノマーとしては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(N’,N’− ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、メタクリロイルオキシエチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート等が挙げられる。これらの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0037】
疎水性モノマー(B)としては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香環含有モノマー等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0038】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等のエステル部分が炭素数1〜18のアルキル基である(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0039】
なお、前記(イソ又はターシャリー)及び(イソ)は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルを示す。
【0040】
芳香環含有モノマーは、耐水性の観点から、スチレン、ビニルナフタレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸及びネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステルからなる群より選ばれた1種以上が好ましい。これらの中ではスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン及びビニルナフタレンからなる群より選ばれた1種以上が、耐水性、耐擦過性の観点からより好ましい。
【0041】
ノニオン性の親水性モノマー(C)を用いることにより、印刷画像の光沢に優れ、低粘度かつ吐出性が優れた水系インクを得ることができるという利点がある。これは、モノマー(C)が有する親水性の高いオキシエチレン基やオキシプロピレン基等の親水性水和層が、水系インクの中で広がることに基づくものと考えられる。
【0042】
ノニオン性の親水性モノマー(C)としては、下記一般式で示されるものが好ましく、オキシアルキレン単位としてオキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、オキシテトラメチレン単位を構成単位として有するモノマーが好ましく、pは、好ましくは2〜25である。
【0043】
CH=CRCOO(AO)
〔式中、AOは、炭素数2〜4のオキシアルキレン単位(但し、p個のオキシアルキレン単位は、同一でも異なっていてもよい。)オキシアルキレン単位が異なる場合は、ブロック付加、ランダム付加、及び交互付加のいずれでもよい。Rは水素原子又はメチル基、pは1〜50の数、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜9のアルキル基で置換されていてもよいフェニル基を示す。〕
モノマー(C)としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコール・プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール・テトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール・ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・ブチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0044】
商業的に入手しうるモノマー(C)の具体例としては、新中村化学(株)製のNKエステル M−20G, 40G, 90G, 230G, 日本油脂(株)のブレンマーPEシリーズ、 PME−100, 200, 400, 1000,PP−1000, PP−500, PP−800, AP−150, AP−400, AP−550, AP−800, 50PEP−300, 70PEP−350B, AEP シリーズ,30PPT−800, 50PPT−800, 70PPT−800, APTシリーズ,10PPB−500B, 10APB−500B, 50POEP−800B, 50AOEP−800B, ASEPシリーズ,PNEPシリーズ, PNPEシリーズ, 43ANEP−500, 70ANEP−550等が挙げられる。
【0045】
マクロマー(D)としては、数平均分子量500 〜100,000、好ましくは1,000〜10,000 の重合可能な不飽和基を有するモノマーであるマクロマーが挙げられる。マクロマー(D)の数平均分子量は、溶媒として1mmol/L のドデシルメチルアミン含有クロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
【0046】
マクロマー(D)としては、シリコーンマクロマー及びスチレン系マクロマーが挙げられ、 これらは単独で用いてもよく、併用してもよい。
【0047】
シリコーンマクロマーの中では、一般式(I):
X(Y)Si(R3−r(Z) (I)
(式中、Xは重合可能な不飽和基、Yは2価の結合基、Rはそれぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、アリール基又はアルコキシ基、Zは500 以上の数平均分子量を有する1価のシロキサンポリマーの残基、qは0又は1、rは1〜3の整数を示す)
で表されるシリコーンマクロマーが、インクジェットプリンターのヘッドの焦げ付きを防止する観点から好ましい。
【0048】
一般式(I)で表されるシリコーンマクロマーにおいて、Xは重合可能な不飽和基であるが、その代表例としては、CH=CH−、CH=C(CH)−等の炭素数2〜6の1価の不飽和炭化水素基が挙げられる。
【0049】
Yは、2価の結合基であるが、その代表例としては、−COO−、−COO(CH−(aは1〜5の整数を示す)、フェニレン基等の2価の結合基が挙げられる。これらの中では−COOC−が好ましい。
【0050】
は、それぞれ独立して水素原子、低級アルキル基、アリール基又はアルコキシ基であるが、その具体例としては、水素原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜5の低級アルキル基;フェニル基等の炭素数6〜20のアリール基;メトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基等が挙げられる。これらの中では、メチル基が好ましい。
【0051】
Zは、好ましくは500 以上の数平均分子量を有する1価のシロキサンポリマーの残基であるが、好ましいZとしては、数平均分子量500〜5000のジメチルシロキサンポリマーの1価の残基が挙げられる。
【0052】
qは0又は1であるが、好ましくは1である。rは1〜3の整数であるが、より好ましくは1である。
【0053】
シリコーンマクロマーの代表例としては、下記の一般式(II)、(III)、(IV)、(V)で表されるシリコーンマクロマー等が挙げられる。
【0054】
Figure 2005029596
〔式中の各記号の意味は次のとおり;
:水素原子又はメチル基
:それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基
b:5〜60の数
Ph:フェニレン基
E:−[Si(R−O]−Si(R基(Rは前記と同じ。cは5〜65の数を示す)〕
これらの中では、一般式(II)で表されるシリコーンマクロマーが好ましく、特に次の一般式(II−1):
CH=C(CH)−COOC−[Si(CH−O]−Si(CH (II−1)
(式中、dは8〜40の数を示す)
で表されるシリコーンマクロマーが好ましい。その具体例として、FM−0711〔チッソ(株)製、商品名〕等が挙げられる。
【0055】
スチレン系マクロマーは、ビニルポリマーに顔料を十分に含有させる観点から、好適に使用しうるものである。
【0056】
スチレン系マクロマーとしては、片末端に重合性官能基を有するスチレン単独重合体又はスチレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。これらの中では、片末端に重合性官能基としてアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有するものが好ましい。
【0057】
商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、東亜合成(株)製のAS−6、AS−6S,AN−6、AN−6S, HS−6、HS−6S等が挙げられる。
【0058】
スチレンと他のモノマーとの共重合体におけるスチレン含量は、着色剤が十分にビニルポリマーに含有されるようにする観点から、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。他のモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0059】
水不溶性ビニルポリマーにおける塩生成基含有モノマー(A)の含量(原料基準)は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜45重量%、更に好ましくは3〜40重量%である。
【0060】
水不溶性ビニルポリマーにおける疎水性モノマー(B)の含量(原料基準)は、印字濃度及び分散安定性の観点から、好ましくは5〜93重量%、より好ましくは10〜80重量%、更に好ましくは15〜75重量%である。
【0061】
水不溶性ビニルポリマーにおけるノニオン性の親水性モノマー(C)の含量(原料基準)は、吐出安定性及び印字濃度の観点から、好ましくは0〜40重量%、より好ましくは5〜35重量%、更に好ましくは10〜30重量%である。
【0062】
水不溶性モノマーにおけるマクロマー(D)の含量(原料基準)は、バブルジェット(登録商標)のインクジェットプリンターにおいて、ヒーター面の焦げ付きを抑制する観点及び分散安定性の観点から、好ましくは0〜30重量%、より好ましくは1〜25重量%、更に好ましくは2〜20重量%である。
【0063】
水不溶性ビニルポリマーがアニオン性ポリマーであるためには、塩生成基含有モノマー(A)として、アニオン性モノマーが用いられていることが好ましい。
【0064】
水不溶性ビニルポリマーがカチオン性ポリマーであるためには、塩生成基含有モノマー(A)として、カチオン性モノマーが用いられていることが好ましい。
【0065】
水不溶性ビニルポリマーの重量平均分子量は、着色剤の分散安定性及びインク粘度への影響を考慮して、好ましくは3,000〜300,000、より好ましくは4,000〜200,000である。水不溶性ビニルポリマーの重量平均分子量は、前記水溶性ポリマーと同様の方法を用いて測定したときの値である。
【0066】
水不溶性ビニルポリマーは、中和されていることが好ましい。中和度は、分散安定性が良好であればよく、特に限定がない。通常、水不溶性ポリマーを構成している塩生成基含有モノマー(A)中の塩生成基1モルあたり中和剤を20〜200 モル%添加することが好ましい。
【0067】
中和の際に用いられる中和剤としては、水不溶性ビニルポリマーの塩生成基の種類に応じて適宜選択すればよい。例えば、水不溶性ビニルポリマーにカチオン性モノマーを用いた場合は、中和剤として酢酸、メトキシ酢酸、プロピオン酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等を用いることができる。また、水不溶性ビニルポリマーにアニオン性モノマーが用いられている場合には、中和剤として、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の3級アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等を用いることができる。
【0068】
水不溶ビニルポリマーは、上記したモノマーを用い、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の重合法を適用して製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
【0069】
溶液重合法に用いられる溶媒は、極性有機溶媒であることが好ましい。極性有機溶媒が水混和性有機溶媒である場合には、水と混合して用いることもできる。
【0070】
極性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、(イソ)プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン又はこれらと水との混合液が好ましい。
【0071】
重合の際には、ラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、2, 2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’− アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスブチレート、2,2’− アゾビス(2− メチルブチロニトリル)、1,1’− アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジ−t− ブチルペルオキシド、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物が挙げられる。
【0072】
重合開始剤の量は、モノマー混合物100 重量部あたり、好ましくは0.001 〜5重量部、より好ましくは0.01〜2重量部である。
【0073】
重合の際には、更に重合連鎖移動剤を添加してもよい。重合連鎖移動剤の具体例としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、メルカプトエタノール等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲンジスルフィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド類;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素類;ペンタフェニルエタン等の炭化水素類;アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコレート、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジテルペン、α−メチルスチレンダイマー、9,10− ジヒドロアントラセン、1,4−ジヒドロナフタレン、インデン、1,4−シクロヘキサジエン等の不飽和環状炭化水素化合物;2,5−ジヒドロフラン等の不飽和ヘテロ環状化合物等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0074】
モノマーの重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー及び溶媒の種類等によって異なる。通常、重合温度は、30〜100 ℃、好ましくは50〜80℃であり、重合時間は1〜20時間である。重合雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
【0075】
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法によってポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去することにより、精製することができる。
【0076】
塩生成基含有モノマー(A)中の塩生成基を中和させた後の水不溶性ビニルポリマーの25℃での水に対する溶解度は、水系インクの低粘度化の観点から10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、1重量%以下であることが更に好ましい。
【0077】
着色剤を含有する水不溶性ビニルポリマー粒子の平均粒径は、ノズルの目詰まり防止及び保存安定性の観点から、好ましくは0.01〜0.50μm、より好ましくは0.02〜0.30μm、更に好ましくは0.04〜0.20μmである。平均粒径は実施例に示す「保存前の平均粒径」に相当し、実施例に示す方法で測定される。
【0078】
〔インクジェット記録用水系インク〕
本発明のインクジェット記録用水系インクは、インク中に、1つの着色剤を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を1つの組み合わせとして、着色剤を替えた組み合わせを2種以上含むものである。着色剤を含有させる水不溶性ビニルポリマーは、着色剤ごとに同一又は類似のものを使用する。本発明の水系インクは、凝集安定性が高いため、1つのインクで表される色の再現範囲は広くなるものと考えられる。
【0079】
着色剤として疎水性染料を含有させたポリマー粒子の水分散体は、公知の乳化法によって製造することができる。水分散体は、例えば、水不溶性ポリマー及び疎水性染料を有機溶媒に溶解させ、得られた溶液に必要に応じて中和剤を加えて水不溶性ポリマーの塩生成基をイオン化し、これに水を添加した後、必要に応じて分散機又は超音波乳化機を用いて分散を行ない、その有機溶媒を留去して水系に転相することによって得ることができる。
【0080】
着色剤として顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体は、水不溶性ポリマーを有機溶媒に溶解させ、得られた溶液に顔料、水、中和剤及び必要に応じ界面活性剤を加えて混練し、ペーストとした後、該ペーストを必要に応じて水で希釈し、有機溶媒を留去して水系にすることによって得ることができる。
【0081】
本発明では、複数の異なる着色剤を用いるものであるが、この異なる着色剤は、色が異なるもののほか、同色のものであるが異なる染料又は顔料であるものも含まれる。
【0082】
着色剤と組み合わせる水不溶性ビニルポリマーは、良好な保存安定性、色調を得る観点から、同一又は類似のものを用いる。同一の水不溶性ビニルポリマーとは、モノマー(例えば、上記したモノマーの種類)及びモノマーの組成比(含有割合)が全く同一のものであり、類似の水不溶性ビニルポリマーとは次のものが挙げられる。
【0083】
(i)モノマーの種類は全く同一であるが、各モノマーの組成比(含有割合)が異なるもの;
(ii)ポリマーの主成分となるモノマー〔水不溶性ビニルポリマーの構成単位であるモノマーであり、その含有量(原料基準)が10重量%以上のモノマーを意味する。〕が本質的に同じ(本質的に同じであるとは、塩の種類の違い、オキシアルキレン単位の繰り返し数の違い、アルキル基の鎖長の違い、アクリロイル基とメタクリロイル基の違い等の場合を意味する。)で、前記主成分となるモノマーの組成比(含有割合)が全く同一のもの;
(iii) ポリマーの主成分となるモノマー〔水不溶性ビニルポリマーの構成単位であるモノマーであり、その含有量(原料基準)が10重量%以上のモノマーを意味する。〕が本質的に同じ(本質的に同じであるとは、塩の種類の違い、オキシアルキレン単位の繰り返し数の違い、アルキル基の鎖長の違い、アクリロイル基とメタクリロイル基の違い等の場合を意味する。)で、前記主成分となるモノマーの組成比(含有割合)が異なるもの。
【0084】
本発明の水系インクにおける着色剤を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の含有量は、十分な印字濃度を得る観点及び吐出性の観点から、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜20重量%、更に好ましくは2〜15重量%である。
【0085】
水不溶性ビニルポリマー粒子としてアニオン性ポリマー又はカチオン性ポリマー粒子を用いたときは、水不溶性ビニルポリマー粒子中におけるアニオン性ポリマー粒子の含有量は、それぞれ、好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.5〜5重量%である。
【0086】
本発明の水系インクには、更に、各種添加剤、湿潤剤、分散剤、消泡剤、防黴剤及び/又はキレート剤、pH調整剤等を適量で添加することができる。
【0087】
湿潤剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、炭素数4〜8のアルキルジオール類、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリセリンモノn−ブチルエーテル等の多価アルコール及びそのエーテル、アセテート類、N−メチル−2− ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等の含窒素化合物等が挙げられる。水系インク中における湿潤剤の量は、好ましくは0.1 〜50重量%、より好ましくは0.1 〜30重量%である。
【0088】
分散剤としては、アニオン系、ノニオン系、カチオン系、両性系の分散剤を用いることができる。
【0089】
本発明の水系インクがアニオン性の水系インクであるときのpH(20℃)は、7以上11以下が好ましく、8〜11がより好ましい。また、カチオン性の着色インクのpH(20℃)は、3以上7未満が好ましく、3〜6がより好ましい。
【0090】
アニオン性の水系インクに酸を添加してpHを調整することにより、カチオン性インクとして用いたり、カチオン性の水系インクにアルカリを添加してpHを調整することにより、アニオン性の水系インクとして用いることもできる。
【0091】
本発明の水系インクには、着色剤が2種以上含有されているので、希望する色再現範囲を有するインクに調整することができる。また、水分散体に使用される水不溶性ビニルポリマーは同一又は類似のものであるため、2種以上を混合する際にソルベントショックを起こすことが無く、吐出性及び保存性が良好である。
【0092】
本発明のインクジェット記録用水系インクを用いて専用紙に印字する場合、水系インクに水不溶性ビニルポリマーが含有されているので、印字の光沢性、耐擦過性が良好である。
【0093】
本発明のインクジェット記録用水系インクは、顔料及び/又は疎水性染料を含有させた水不溶性ビニルポリマーのポリマー粒子の水分散体を含有するものであり、耐水性及び耐擦過性に優れた印字物を得ることができるので好ましい。本発明のインクジェット記録用水系インクは、粘度(20℃)を5.0mPa・s以下の範囲のものが、吐出安定性、保存安定性の観点から好ましい。
【0094】
【実施例】
製造例1及び比較製造例1
反応容器内に、メチルエチルケトン20重量部及び重合連鎖移動剤(2− メルカプトエタノール)0.03重量部、表1に示す各モノマー(重量部表示)のそれぞれの10重量%の量ずつを入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
【0095】
一方、滴下ロートに、表1に示す各モノマー(重量部表示)の残りの90重量%の量を仕込み、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.27重量部、メチルエチルケトン60重量部及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2重量部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
【0096】
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、2,2’− アゾビス(2,4− ジメチルバレロニトリル)0.3重量部をメチルエチルケトン5重量部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、ポリマー溶液を得た。
【0097】
得られたポリマー溶液の一部を、減圧下、105 ℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去することによって単離した。標準物質としてポリスチレン、溶媒として60mmol/Lのリン酸及び50mmol/L のリチウムブロマイド含有ジメチルホルムアミドを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより重量平均分子量を測定した。
【0098】
なお、表1に示す化合物の詳細は、以下のとおりである。
・ポリエチレン(EO=9)グリコールモノメタクリレート:新中村化学(株)製,NKエステルM−90G
・スチレンマクロマー:東亜合成(株)製、商品名:AS−6S、数平均分子量:6000、重合性官能基:メタクロイルオキシ基
【0099】
【表1】
Figure 2005029596
【0100】
製造例2
製造例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー6重量部をメチルエチルケトン45重量部に溶かし、その中に中和剤 (20%水酸化ナトリウム水溶液)を所定量加えて塩生成基を中和し、キナクリドン顔料〔C.I.ピグメント・レッド122、大日本インキ化学工業(株)製、製品名:Fastogen Super Magenta R〕18重量部を加え、3本ロールミルで1時間混練した。
【0101】
得られた混練物に、イオン交換水120 重量部を加え、攪拌した後、減圧下で60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去することにより、表2に示す顔料導入率で、固形分濃度が20重量%の顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を得た。
【0102】
製造例3
製造例2において、キナクリドン顔料〔C.I.ピグメント・レッド122 〕の代わりに、キナクリドン顔料〔C.I.ピグメント・バイオレット19、クラリアント(株)製、製品名:Hostaperm Red E5B02〕を用いた以外は製造例2と同様にして、表2に示す顔料導入率で、固形分濃度が20重量%の顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を得た。
【0103】
製造例4
製造例2において、キナクリドン顔料〔C.I.ピグメント・レッド122 〕の代わりに、銅フタロシアニン顔料〔C.I.ピグメント・ブルー15:3、大日本インキ化学工業(株)製、製品名:Fastogen Blue TGR−SD〕を用いた以外は製造例2と同様にして、表2に示す顔料導入率で、固形分濃度が20重量%の顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を得た。
【0104】
製造例5
製造例2において、キナクリドン顔料〔C.I.ピグメント・レッド122 〕の代わりに、アルミフタロシアニン顔料〔山陽色素(株)製、製品名:Cyanine Blue A−13R〕を用いた以外は製造例2と同様にして、表2に示す顔料導入率で、固形分濃度が20重量%の顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を得た。
【0105】
製造例6
製造例2において、キナクリドン顔料〔C.I.ピグメント・レッド122 〕の代わりに、不溶性アゾ顔料〔C.I.ピグメント・イエロー74、大日精化工業(株)製、製品名:Fast Yellow 031〕を用いた以外は製造例2と同様にして、表2に示す顔料導入率で、固形分濃度が20重量%の顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を得た。
【0106】
製造例7
製造例2において、キナクリドン顔料〔C.I.ピグメント・レッド122 〕の代わりに、イソインドリノン顔料〔C.I.ピグメント・イエロー110、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製、商品名:CROMOPHTAL Yellow 3RT〕を用いた以外は製造例2と同様にして、表2に示す顔料導入率で、固形分濃度が20重量%の顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を得た。
【0107】
比較製造例2
製造例2において、製造例1で得られたポリマー溶液の代わりに、比較製造例1で得られたポリマー溶液を用いた以外は製造例2と同様にして、顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を得た。
【0108】
比較製造例3
製造例4において、製造例1で得られたポリマー溶液の代わりに、比較製造例1で得られたポリマー溶液を用いた以外は製造例4と同様にして、顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を得た。
【0109】
【表2】
Figure 2005029596
【0110】
製造例8
製造例2において、キナクリドン顔料〔C.I.ピグメント・レッド122 〕の代わりに、カーボンブラック〔C.I.ピグメント・ブラック7、キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク製、BLACK PEARLS 2000、DBP吸収量:330ml/100g、比表面積:1500m/g、一次粒子径12nm〕を用いた以外は製造例2と同様にして、表3に示す顔料導入率で、固形分濃度が20重量%の顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を得た。
【0111】
製造例9
製造例2において、キナクリドン顔料〔C.I.ピグメント・レッド122 〕の代わりに、カーボンブラック〔C.I.ピグメント・ブラック7、キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク製、MONARCH 1100、DBP吸収量:65ml/100g、比表面積:240m/g、一次粒子径14nm〕を用いた以外は製造例2と同様にして、表3に示す顔料導入率で、固形分濃度が20重量%の顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を得た。
【0112】
【表3】
Figure 2005029596
【0113】
実施例1
製造例2で得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体、製造例3で得られた顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を、表4に示す組成になるように添加剤と混合し、得られた混合液を0.5 μmのフィルター〔アセチルセルロース膜、外径:2.5cm 、富士写真フイルム(株)製〕を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ〔テルモ(株)製〕で濾過し、粗大粒子を除去し、表2に記載の組成となるように添加剤及び水を含有させて、水系インクを調整した。なお、インク配合は、特開平11−349876号公報記載の実施例1を参考に調製した。
【0114】
実施例2〜4
実施例1において、水系インクに用いられる顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を表4に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして、水系インクを調製した。
【0115】
比較例1〜2
実施例1において、水系インクに用いられる顔料含有ビニルポリマー粒子の水分散体を表4に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして、水系インクを調製した。
【0116】
次に、各実施例及び各比較例で得られたインクセットの性能を以下の方法に従って調べた。その結果を表4に示す。
【0117】
(1)吐出安定性
市販のインクジェットプリンター〔エプソン(株)製、型番:EM−900C〕を用い、インクの吐出性を以下の評価基準で評価した。
【0118】
〔評価基準〕
○:全ノズルで吐出良好。
△:一部のノズルで吐出不良あり。
×:吐出不良。
【0119】
(2)平均粒径及び分散安定性
大塚電子(株)製、レーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント法)を用い、インクに含まれている着色剤を含有するポリマー粒子の平均粒径(以下、「保存前の平均粒径」という)を測定した。インクを密閉容器に入れ、60℃の恒温槽に1ヵ月保存後、同様の方法にて平均粒径(以下、「保存後の平均粒径」という)を測定した。分散安定性の指標として、分散安定度を次式:
分散安定度(%)=〔保存後の平均粒径〕/〔保存前の平均粒径〕×100
に従って求め、以下の評価基準に基づいて評価した。
【0120】
〔評価基準〕
◎:分散安定度が95%以上105%未満。
○:分散安定度が90%以上95%未満、又は105%以上110%未満。
△:分散安定度が70%以上90%未満、又は110%以上130%未満。
×:分散安定度が70%未満又は130 %以上。
【0121】
(3)印字濃度
前記プリンターを用いて、市販の普通紙〔上質普通紙、エプソン(株)製、商品名:KA4250NP〕にベタ印字し〔印字条件=用紙種類:普通紙、モード設定:速い〕、25℃で1時間放置後、印字濃度をマクベス濃度計(マクベス社製、品番:RD914) で測定し、以下の評価基準に基づいて評価した。なお、インクは第一のヘッドと第二のヘッドにセットし、同時に吐出させて印字物を得た。
【0122】
〔評価基準〕
◎:印字濃度が1.20以上。
○:印字濃度が1.10以上1.20未満。
△:印字濃度が1.00以上1.10未満。
×:印字濃度が1.00未満。
【0123】
(4)耐水性
前記プリンターを用い、前記市販の普通紙にベタ印字し、25℃で1時間乾燥させた試料の特定の印字箇所の印字濃度を測定後、静水中に垂直に10秒間浸漬し、そのまま垂直に引き上げた。25℃で24時間自然乾燥させた後、浸漬前と同じ箇所の印字濃度を測定し、浸漬前の印字濃度に対する浸漬後の印字濃度の残存率を次式:
残存率(%)=〔浸漬後の印字濃度〕/〔浸漬前の印字濃度〕×100
に従って求め、以下の評価基準に基づいて耐水性を評価した。
〔評価基準〕
◎:残存率95%以上。
○:残存率80%以上95%未満。
△:残存率60%以上80%未満。
×:残存率60%未満。
【0124】
(5)耐光性
前記印字濃度を測定したベタ印字物に、キセノンフェードメーター(ATLAS 社製、商品名) で10000 カウント照射し続けた後、再びマクベス濃度計RD914 で照射前における測定と同じ印字箇所の印字濃度を測定した。照射前の印字濃度に対する照射後の印字濃度の残存率を次式:
残存率(%)=〔照射後の印字濃度〕/〔照射前の印字濃度〕×100
に従って求め、以下の評価基準に基づいて耐光性を評価した。
【0125】
〔評価基準〕
◎:残存率95%以上。
○:残存率80%以上95%未満。
△:残存率60%以上80%未満。
×:残存率60%未満。
【0126】
【表4】
Figure 2005029596
【0127】
TEGMBE:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
サーフィノール465:活性剤、エアプロダクツ社製
Ploxel XL2:防腐剤、ZENECA社製
表4に示された結果から、各実施例で得られた水系インクは、いずれも、良好な吐出性及び保存安定性を有し、普通紙に高印字濃度を形成することがわかる。また、各実施例で得られた水系インクは、耐水性及び耐光性に優れた印字物を与えるものであることがわかる。
【0128】
【発明の効果】
本発明のインクジェット記録用水系インクは、良好な吐出性、保存安定性及び高印字濃度を付与するという効果を奏することができ、更に耐水性及び耐光性に優れた印字が得られる。

Claims (5)

  1. 着色剤を含む水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を含有するインクジェット記録用水系インクであり、異なる着色剤が、それぞれ同一又は類似の水不溶性ビニルポリマー粒子に含有されてなる水分散体を2種以上含有しているインクジェット記録用水系インク。
  2. 着色剤が顔料及び/又は疎水性染料である請求項1記載のインクジェット記録用水系インク。
  3. 水不溶性ビニルポリマーが、塩生成基含有モノマー及び疎水性モノマーを重合してなる請求項1又は2記載のインクジェット記録用水系インク。
  4. 水不溶性ビニルポリマーが、更にノニオン性の親水性モノマーを重合してなる請求項3記載のインクジェット記録用水系インク。
  5. 水不溶性ビニルポリマーの重量平均分子量が3,000〜300,000である請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インク。
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