JP2003105234A - 水系インク - Google Patents

水系インク

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JP2003105234A JP2001297684A JP2001297684A JP2003105234A JP 2003105234 A JP2003105234 A JP 2003105234A JP 2001297684 A JP2001297684 A JP 2001297684A JP 2001297684 A JP2001297684 A JP 2001297684A JP 2003105234 A JP2003105234 A JP 2003105234A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】色調に優れ、光沢紙での印字濃度が向上し、水
系インクの低粘度化が可能で、更に耐水性及び耐擦過性
にも優れた水分散体、及びそれが用いられた水系インク
を提供することを課題とする。更に詳しくは、吐出安定
性が良好なインクジェット記録用水系インクとして好適
に使用しうる水系インクを提供すること。 【解決手段】(1)着色剤、(2)塩生成基を有するポ
リマーA、並びに(3)塩生成基を有するポリマーB及
び/又は塩生成基を有しないポリマーCを含有してな
り、ポリマーBの単位重量あたりの塩生成基量がポリマ
ーAの単位重量あたりの塩生成基量よりも少ないポリマ
ー粒子の水分散体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリマー粒子の水
分散体及びそれを含有する水系インクに関する。更に詳
しくは、インクジェット記録用水系インクをはじめ、万
年筆用インク、ボールペン用インク、サインペン用イン
ク等の筆記具用水系インク等として使用しうる水系イン
ク及びそれに用いられる着色剤を含有するポリマー粒子
の水分散体に関する。
【0002】
【従来の技術】水系インクには、色調改善及び光沢紙等
での印字濃度の向上が要求されている。しかしながら、
印字濃度の向上と色調改善とを両立させることは、着色
剤の種類によっては困難であることがある。例えば、フ
タロシアニン系色素に用いられるシアン色等において
は、その両立が困難となることがある。フタロシアニン
系色素の場合、印字濃度を向上させるために、その含量
を多くすると色調が赤味がかり、色調の悪化を招く。
【0003】着色剤を有するポリマー粒子の水分散体を
含有する水系インクは、ポリマー粒子が着色剤とポリマ
ーとからなるため、水系インク中のポリマー粒子の含有
率を変えないで、着色剤量を減少させるとポリマー量を
増加させる必要があり、ポリマー量が増加すると塩生成
基量が増加するため、ポリマー粒子の水分散体の粘度が
増加するので、水系インクの粘度が増加する。また、イ
ンクジェット記録用水系インクとして用いた場合には、
吐出安定性が低下することがある。
【0004】これに対して、ポリマー量が増加しても塩
生成基が増加しないようにするために、塩生成基の比率
の小さいポリマーを用いると、水分散体の長期保存安定
性が低下することがあるので、塩生成基の比率を小さく
することができないことがある。
【0005】また、ポリマー量が増加すると光沢紙上に
ポリマー皮膜が形成されやすくなってポリマー皮膜によ
り光沢が発現されやすくなり、光沢紙での印字濃度が向
上する。しかし、ポリマー量を増加させると塩生成基量
が増加するため、ポリマー粒子の水分散体の粘度が増加
する。また、インクジェット記録用水系インクとして用
いた場合には、水系インクの粘度が増加し、吐出安定性
が低下することがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、色調に優
れ、光沢紙での印字濃度が向上し、水系インクの低粘度
化が可能で、更に耐水性及び耐擦過性にも優れた水分散
体、及びそれが用いられた水系インクを提供することを
課題とする。更に詳しくは、吐出安定性が良好なインク
ジェット記録用水系インクとして好適に使用しうる水系
インクを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、 (1)着色剤、 塩生成基を有するポリマーA(以下、ポリマーAとい
う)、及び 塩生成基を有するポリマーB(以下、ポリマーBとい
う)及び/又は塩生成基を有しないポリマーC(以下、
ポリマーCという)を含有してなり、ポリマーBの単位
重量あたりの塩生成基量がポリマーAの単位重量あたり
の塩生成基量よりも少ないポリマー粒子の水分散体、並
びに (2)前記水分散体を含有してなる水系インクに関す
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明においては、着色剤を含有
するポリマー粒子の水分散体が用いられ、かつポリマー
粒子を構成しているポリマーとして、ポリマーAと、ポ
リマーB及び/又はポリマーCとが用いられている点
に、1つの大きな特徴がある。
【0009】印字の色調及び光沢紙での印字濃度の向上
を図るためには、ポリマー粒子中におけるポリマーの含
有量を増大させればよい。
【0010】ここで、本発明においては、ポリマー粒子
を構成するポリマーとして、ポリマーAのみならず、ポ
リマーB及び/又はポリマーCが用いられているので、
第1の効果としてポリマー粒子における塩生成基の含有
量を一定とした場合でも、ポリマー粒子におけるポリマ
ーの含有量を増大させることができる。したがって、ポ
リマー粒子におけるポリマーの含有量が多いにもかかわ
らず塩生成基量が増加しておらず、ポリマー粒子の水分
散体の粘度及びそれが用いられた水系インクの粘度が増
大しないため、例えば、インクジェットに使用した場合
であっても良好な吐出性を維持することができる。
【0011】また、ポリマーB及び/又はポリマーCが
使用されているので、第2の効果として着色剤量及びポ
リマー量に関係なく、ポリマー粒子における塩生成基量
を制御することができるため、色調、光沢紙での印字濃
度の向上、並びに水分散体及び水分散体を含有するイン
クの低粘度化を図ることができる。
【0012】ポリマーA、ポリマーB及びポリマーC
は、水不溶性ポリマーであることが好ましい。
【0013】水不溶性ポリマーの例としては、水に不溶
のビニルポリマー、水に不溶のエステル系ポリマー、水
に不溶のウレタン系ポリマー等が挙げられる。これら水
に不溶のポリマーの中では、水に不溶のビニルポリマー
が好ましい。
【0014】ポリマーA及びポリマーBが有する塩生成
基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基、
3級アミン基等が挙げられる。なお、塩生成基量は、ポ
リマーにおける単位重量あたりの塩生成基のモル数で示
す。
【0015】ポリマーA及びポリマーBに使用しうるビ
ニルポリマーは、例えば、(a) 塩生成基含有モノマー
〔以下、(a) 成分という〕と、(b) 塩生成基含有モノマ
ーと共重合可能なモノマー〔以下、(b) 成分という〕と
を含むモノマー混合物を共重合させて得られた塩生成基
を有するビニルポリマーが好ましい。
【0016】また、モノマー混合物には、着色剤が十分
にポリマー粒子に含有されるようにする観点から、マク
ロマー〔以下、(c) 成分という〕が含有されていること
が好ましい。この場合、(c) 成分は、(a) 成分及び/又
は(b) 成分と共重合可能なマクロマーである。
【0017】ポリマーA及びポリマーBにおける塩生成
基量は、(a) 成分の量を調整することによって制御する
ことができる。
【0018】(a) 成分としては、カチオン性モノマー、
アニオン性モノマー等が挙げられる。その例として、特
開平9−286939号公報5頁7欄24行〜8欄29行に記載さ
れているモノマー等が挙げられる。
【0019】カチオン性モノマーの代表例としては、不
飽和3級アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含
有モノマー等が挙げられる。それらの中では、N,N−
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−
(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アク
リルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
【0020】アニオン性モノマーの代表例としては、不
飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、
不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。それらの中で
は、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸モ
ノマーが好ましい。
【0021】(b) 成分としては、メチル(メタ)アクリ
レート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピ
ル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブ
チル(メタ)アクリレート、(イソ)アミル(メタ)ア
クリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベ
ンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレ
ート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)
ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル
(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル
類;スチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン、
クロロスチレン等のスチレン系モノマー等が挙げられ
る。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して
用いることができる。
【0022】なお、本明細書において、「(メタ)アク
リレート」は、アクリレート又はメタクリレートを示
す。また、「(イソ)プロポキシ」は、n−プロポキシ
又はイソプロポキシを示す。
【0023】(b) 成分には、印字濃度及び耐マーカー性
向上の観点から、スチレン系モノマーが含まれているこ
とが好ましい。スチレン系モノマーとしては、スチレン
及び2−メチルスチレンが好ましい。これらは、単独で
用いてもよく、併用してもよい。(b) 成分におけるスチ
レン系モノマーの含有量は、印字濃度及び耐マーカー性
向上の観点から、10〜100 重量%、好ましくは40〜100
重量%であることが望ましい。
【0024】(c) 成分としては、数平均分子量500 〜10
0000、好ましくは1000〜10000 の片末端に重合性官能基
を有するモノマーであるマクロマーが挙げられる。
【0025】(c) 成分の数平均分子量は、溶媒として1
mmol/Lのドデシルジメチルアミン含有クロロホルムを用
いたゲルクロマトグラフィーにより、標準物質としてポ
リスチレンを用いて測定される。
【0026】(c) 成分の代表例としては、シリコーンマ
クロマー、スチレンマクロマー及びメタクリル酸アルキ
ルエステルマクロマーからなる群より選ばれた1種以上
が挙げられる。
【0027】シリコーンマクロマーは、インクジェット
プリンターのヘッドの焦げ付きを防止する観点から、好
適に使用しうるものである。
【0028】シリコーンマクロマーの中では、式
(I): X1(Y1)q Si(R1 3-r (Z1)r (I) (式中、X1 は重合可能な不飽和基、Y1 は2価の結合
基、R1 はそれぞれ独立して水素原子、低級アルキル
基、アリール基又はアルコキシ基、Z1 は500 以上の数
平均分子量を有する1価のシロキサンポリマーの残基、
qは0又は1、rは1〜3の整数を示す)で表されるシ
リコーンマクロマーが、インクジェットプリンターのヘ
ッドの焦げつきを防止する観点から好ましい。
【0029】式(I)で表されるシリコーンマクロマー
において、X1 としては、CH2 =CH−基、CH2
C(CH3 )−基等の炭素数2〜6の1価の不飽和炭化
水素基が挙げられる。Y1 としては、−COO−基、−
COOCa 2a−基(aは1〜5の整数を示す)、フェ
ニレン基等の2価の結合基が挙げられ、−COOC3
6 −が好ましい。R1 としては、水素原子;メチル基、
エチル基等の炭素数1〜5の低級アルキル基;フェニル
基等の炭素数6〜20のアリール基、メトキシ基等の炭素
数1〜20のアルコキシ基等が挙げられる。それらの中で
は、メチル基が好ましい。Z1 は、好ましくは数平均分
子量500 〜5000のジメチルシロキサンポリマーの1価の
残基である。qは0又は1であるが、好ましくは1であ
る。rは1〜3の整数であるが、好ましくは1である。
【0030】シリコーンマクロマーの代表例としては、
式(I−1): CH2 =CR2-COOC3H6-[Si(R3)2-O]b -Si(R3)3 (I−1) (式中、R2 は水素原子又はメチル基、R3 はそれぞれ
独立して水素原子又は炭素数1〜5の低級アルキル基、
bは5〜60の数を示す)で表されるシリコーンマクロマ
ー、
【0031】 式(I−2): CH2 =CR2-COO-[Si(R3)2-O] b -Si(R3)3 (I−2) (式中、R2 、R3 及びbは前記と同じ)で表されるシ
リコーンマクロマー、
【0032】 式(I−3): CH2 =CR2-Ph-[Si(R2)2-O] b-Si(R3)3 (I−3) (式中、Phはフェニレン基、R4 、R5 及びbは前記
と同じ)で表されるシリコーンマクロマー、
【0033】 式(I−4): CH2 =CR2-COOC3H6-Si(OE)3 (I−4) 〔式中、R2 は前記と同じ。Eは式: -[Si(R2)2O] c-S
i(R2)3基(R2 は前記と同じ。cは5〜65の数を示す)
を示す〕で表されるシリコーンマクロマー等が挙げられ
る。
【0034】それらの中では、式(I−1)で表される
シリコーンマクロマーが好ましく、特に、式(I−1
a): CH2 =C(CH3)-COOC3H6-[Si(CH3)2-O]d -CH3 (I−1a) (式中、dは8〜40の数を示す)で表されるシリコーン
マクロマーが好ましい。その代表例として、FM−0711
〔チッソ(株)製、商品名〕等が挙げられる。
【0035】スチレン系マクロマーは、ビニルポリマー
に着色剤を十分に含有させる観点から、好適に使用しう
るものである。その中でも、片末端に重合性官能基を有
するスチレン系マクロマーは、着色剤がポリマー粒子に
十分に含有されるようにする観点から好ましい。
【0036】スチレン系マクロマーとしては、片末端に
重合性官能基を有するスチレン単独重合体又はスチレン
と他のモノマーとの共重合体が挙げられる。前記共重合
体におけるスチレン含量は、着色剤が十分にポリマー粒
子に含有されるようにする観点から、60重量%以上、好
ましくは70重量%以上であることが望ましい。前記他の
モノマーとしては、アクリロニトリル等が挙げられる。
アクリロニトリルとしては、片末端に重合性官能基とし
てアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を
有するものが好ましい。
【0037】メタクリル酸アルキルエステルマクロマー
は、ビニルポリマーに着色剤を十分に含有させるという
観点及びポリマー粒子の水分散体の安定性を向上させる
という観点から、好適に使用しうるものである。
【0038】メタクリル酸アルキルエステルマクロマー
としては、メタクリル酸メチルマクロマー、メタクリル
酸イソブチルマクロマー及びメタクリル酸ドデシルマク
ロマーからなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。
【0039】また、モノマー混合物には、(d) 水酸基含
有モノマー〔以下、(d) 成分という〕及び(e) 式(II): CH2 =C(R4 )COO(R5 O)p 6 (II) (式中、R4 は水素原子又は低級アルキル基、R5 はヘ
テロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化
水素基、R6 は水素原子、又はヘテロ原子を有していて
もよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基、pは1〜60の
数を示す)で表されるモノマー〔以下、(e) 成分とい
う〕からなる群より選ばれた1種以上が含まれていても
よい。
【0040】(d) 成分としては、2-ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)
アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30)
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n
=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリ
コール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1
〜15))(メタ)アクリレート等が挙げられる。それら
の中では、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが
好ましい。
【0041】(e) 成分は、水系インクの吐出安定性を高
め、連続印字してもヨレの発生を抑制するという優れた
効果を発現するものである。
【0042】式(II)において、R4 は水素原子又は低級
アルキル基である。低級アルキル基としては、炭素数1
〜4のアルキル基が挙げられる。
【0043】R5 は、ヘテロ原子を有していてもよい炭
素数1〜30の2価の炭化水素基である。ヘテロ原子とし
ては、例えば、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子及び
硫黄原子が挙げられる。R5 の代表例としては、置換基
を有していてもよい炭素数6〜43の芳香族環、置換基を
有していてもよい炭素数3〜30のヘテロ環及び置換基を
有していてもよい炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖のアル
キレン基が挙げられ、これらの環又は基は2種以上を組
合せたものであってもよい。置換基としては、炭素数6
〜29の芳香族環、炭素数3〜29のヘテロ環、ハロゲン原
子、アミノ基等が挙げられる。
【0044】R5 の好適な例としては、炭素数1〜24の
置換基を有していてもよいフェニレン基、炭素数1〜3
0、好ましくは炭素数1〜20の脂肪族アルキレン基、芳
香族環を有する炭素数7〜30のアルキレン基及びヘテロ
環を有する炭素数4〜30のアルキレン基が挙げられる。
【0045】また、R5 O基の好適な例としては、エチ
レンオキサイド基、(イソ)プロピレンオキサイド基、
テトラメチレンオキサイド基、ヘプタメチレンオキサイ
ド基、ヘキサメチレンオキサイド基及びこれらアルキレ
ンオキサイドの1種以上の組合せからなる炭素数2〜7
のアルキレンオキサイド基やフェニレンオキサイド基が
挙げられる。
【0046】R6 は、ヘテロ原子を有していてもよい炭
素数1〜30の1価の炭化水素基である。ヘテロ原子とし
ては、例えば、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が挙げ
られる。R6 の代表例としては、置換基を有していても
よい炭素数6〜43の芳香族環、置換基を有していてもよ
い炭素数3〜30のヘテロ環及び置換基を有していてもよ
い炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基が挙げ
られ、これらの環又は基は2種以上を組合せたものであ
ってもよい。置換基としては、炭素数6〜29の芳香族
環、炭素数3〜29のヘテロ環、ハロゲン原子、アミノ基
等が挙げられる。
【0047】R6 の好適な例としては、フェニル基、炭
素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20の脂肪族アルキル
基、芳香族環を有する炭素数7〜30のアルキル基及びヘ
テロ環を有する炭素数4〜30のアルキル基が挙げられ
る。
【0048】R6 のより好適な例としては、メチル基、
エチル基、(イソ)プロピル基、(イソ)ブチル基、
(イソ)ペンチル基、(イソ)ヘキシル基等の炭素数1
〜6のアルキル基、フェニル基等が挙げられる。pは1
〜60の数であるが、中でも1〜30の数が好ましい。
【0049】(e) 成分の具体例としては、メトキシポリ
エチレングリコール(1〜30:式(II)中のpの値を示
す。以下同じ)(メタ)アクリレート、メトキシポリテ
トラメチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレー
ト、エトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メ
タ)アクリレート、(イソ)プロポキシポリエチレング
リコール(1〜30)(メタ)アクリレート、ブトキシポ
リエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレー
ト、メトキシポリプロピレングリコール(1〜30)(メ
タ)アクリレート、メトキシ(エチレングリコール・プ
ロピレングリコール共重合)(1〜30、その中のエチレ
ングリコール:1〜29)(メタ)アクリレート等が挙げ
られ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上を混合して
使用することができる。それらの中では、メトキシポリ
エチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレートが
好ましい。
【0050】ビニルポリマーにおける(a) 成分の含量
は、得られる分散体の分散安定性の観点から、1〜40重
量%、好ましくは2〜40重量%が望ましい。
【0051】ビニルポリマーにおける(b) 成分の含量
は、印字濃度及び耐マーカー性の向上の観点から、5〜
93重量%、好ましくは10〜80重量%が望ましい。なお、
スチレン系モノマーを含む(b) 成分を用いる場合、ビニ
ルポリマーにおける(b) 成分の含量は、10〜70重量%が
好ましい。
【0052】ビニルポリマーにおける(c) 成分の含量
は、インクジェットプリンターのヒーター面の焦げ付き
を抑制する観点及びビニルポリマーに着色剤を十分に含
有させる観点から、1〜25重量%、好ましくは5〜20重
量%が望ましい。
【0053】ビニルポリマーにおける(d) 成分の含量
は、吐出安定性及び印字濃度の観点から、5〜40重量
%、好ましくは7〜20重量%が望ましい。
【0054】また、(a) 成分と(d) 成分との合計含量
は、水中での分散安定性及び耐水性の観点から、6〜60
重量%、好ましくは10〜50重量%が望ましい。
【0055】ビニルポリマーにおける(e) 成分の含量
は、吐出安定性及び分散安定性の観点から、5〜50重量
%、好ましくは10〜40重量%であることが望ましい。
【0056】また、ビニルポリマーにおける(a) 成分と
(e) 成分との合計含量は、水中での分散安定性及び吐出
安定性の観点から、6〜60重量%が好ましい。
【0057】また、ビニルポリマーにおける(a) 成分と
(d) 成分と(e) 成分との合計含量は、水中での分散安定
性及び吐出安定性の観点から、6〜60重量%、好ましく
は7〜50重量%が望ましい。
【0058】ビニルポリマーにおいては、ポリマーA及
びポリマーBにおける塩生成基の量は、単位重量あたり
の(a) 成分のモル数に等しい。
【0059】ポリマーAの単位重量あたりの塩生成基量
(以下、SAAという)は、ポリマー粒子の水分散体を
形成するに足りる量が必要であり、分散体の分散安定性
の観点から、好ましくは1.2 ×10-7〜5.6 ×10-6モル/
mg、より好ましくは2.3 ×10-7〜5.6 ×10-6モル/m
gである。
【0060】ポリマーBの単位重量あたりの塩生成基量
は、0を超えかつSAA未満であることが好ましく、0
を超えかつ0.8 ×SAA以下がより好ましく、0を超え
かつ0.4 ×SAA以下が更に好ましい。
【0061】ポリマーCは、塩生成基を有しないポリマ
ーである。ポリマーCとしては、(b) 成分及び/又は
(c) 成分を含むモノマー混合物を重合させることによっ
て得られたビニルポリマーが好ましい。したがって、ビ
ニルポリマーは、(b) 成分からなるホモポリマー、(c)
成分からなるホモポリマー、及び(b) 成分と(c) 成分と
からなるコポリマーのいずれであってもよい。
【0062】なお、前記モノマー混合物は、(d) 成分及
び/又は(e) 成分を含んでもよい。この場合、ビニルポ
リマーにおける(d) 成分の含量は、ポリマーA及びポリ
マーBとの親和性、水分散体の粘度の観点から、好まし
くは0〜40重量%、より好ましくは0〜20重量%であ
る。また、ビニルポリマーにおける(e) 成分の含量は、
ポリマーA及びポリマーBとの親和性、並びに水分散体
の粘度の観点から、好ましくは0〜40重量%、より好ま
しくは0〜20重量%である。
【0063】ポリマーA、ポリマーB及びポリマーCに
使用されるビニルポリマーの重量平均分子量は、いずれ
も、好ましくは3000〜200,000 、より好ましくは10,000
〜150,000 であることが、印刷後の耐久性及び分散安定
性の観点から好ましい。
【0064】ポリマーA、ポリマーB及びポリマーCの
うちの1種以上には、シリコーンマクロマー、スチレン
マクロマー及びメタクリル酸アルキルエステルマクロマ
ーからなる群より選ばれた1種以上が含まれていること
が着色剤が十分にポリマー粒子に含有されるようにする
観点から好ましい。
【0065】また、ポリマーB及び/又はポリマーCが
自己乳化性を有しない場合、ポリマーAからなる連続相
中にポリマーB及び/又はポリマーCからなる分散相が
含有されたポリマー粒子(以下、「ポリマー粒子D」と
いう)が得られる。ポリマー含有量が一定の場合、ポリ
マー粒子Dの水分散体の粘度は、ポリマーAのみのポリ
マー粒子の水分散体と対比して低くなる。したがって、
本発明においては、低粘度化の観点から、ポリマーB又
はポリマーCは、自己乳化性を有しないポリマーである
ことが好ましい。
【0066】なお、本明細書にいう「自己乳化性を有し
ないポリマー」とは、水中に添加し、攪拌下で混合する
ことによっては乳化状態とはならないポリマーをいう。
【0067】乳化状態となるか否かは、ポリマー60質量
部をトルエン60質量部に溶解し、ポリマーが有する塩生
成基と等モルの中和剤(アニオン性の塩生成基であれ
ば、水酸化ナトリウム水溶液、カチオン性の塩生成基で
あれば、グルコン酸水溶液を使用)を添加して混合した
溶液を、イオン交換水300 質量部に添加し、攪拌下で混
合し、エバポレーター等を用いて有機溶媒を留去するこ
とにより、乳化状態となっているか否かを目視で観察す
ることによって判断される。
【0068】ポリマーでのポリマーA、ポリマーB及び
ポリマーCの合計に対する割合は、ポリマーAが30〜95
重量%が好ましく、50〜70重量%がより好ましい。ポリ
マーBは水分散体の粘度及び分散安定性の観点から0〜
70重量%が好ましく、15〜40重量%がより好ましい。ポ
リマーCは水分散体の粘度及び分散安定性の観点から0
〜70重量%が好ましく、15〜40重量%がより好ましい。
【0069】乳化状態におけるエマルジョンの平均粒子
径は、好ましくは15μm 以下である。
【0070】ビニルポリマーは、塊状重合法、溶液重合
法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、
モノマー混合物を重合させることによって得られる。そ
れらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
【0071】溶液重合法で用いる有機溶媒としては、極
性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒として、水混和性
極性有機溶媒を用いる場合には、水混和性極性有機溶媒
と水とを混合して用いることもできる。
【0072】有機溶媒としては、例えば、メタノール、
エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族ア
ルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類;酢酸エチル等のエステル類;トルエン、キシレン等
の芳香族炭化水素等が挙げられる。それらの中では、メ
タノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケト
ン、トルエン、これらの混合液又はこれらと水との混合
液が好ましい。
【0073】なお、重合の際には、ラジカル重合開始剤
を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、
2, 2'-アゾビスイソブチロニトリル、2, 2'-アゾビス
(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2'-アゾ
ビスブチレート、2,2'- アゾビス(2- メチルブチロニト
リル)、1,1'- アゾビス(1- シクロヘキサンカルボニト
リル)等のアゾ化合物が好適である。また、重合開始剤
として、t-ブチルペルオキシオクトエート、ジ-t- ブチ
ルペルオキシド、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化
物を使用することもできる。
【0074】重合開始剤の量は、モノマー混合物に対し
て、好ましくは0.001 〜5モル%、より好ましくは0.01
〜2モル%である。
【0075】なお、重合の際には、更に重合連鎖移動剤
をモノマー混合物に添加してもよい。重合連鎖移動剤の
具体例としては、オクチルメルカプタン、n-ドデシルメ
ルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-テトラデシル
メルカプタン、メルカプトエタノール等のメルカプタン
類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジイソプロピ
ルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲンジスルフ
ィド類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラブ
チルチウラムジスルフィド等のチウラムジスルフィド
類;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素
類;ペンタフェニルエタン等の炭化水素類;及びアクロ
レイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2-エチル
ヘキシルチオグリコレート、タービノーレン、α−テル
ピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、α−メチルスチ
レンダイマー、更に9,10- ジヒドロアントラセン、1,4-
ジヒドロナフタレン、インデン、1,4-シクロヘキサジエ
ン等の不飽和環状炭化水素化合物;2,5-ジヒドロフラン
等の不飽和ヘテロ環状化合物等が挙げられ、これらは単
独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
【0076】モノマー混合物の重合条件は、使用するラ
ジカル重合開始剤、モノマー、有機溶媒の種類等によっ
て異なるので一概には決定することができない。通常、
重合温度は、好ましくは30〜100 ℃、より好ましくは50
〜80℃であり、重合時間は、好ましくは1〜20時間であ
る。また、重合雰囲気は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲
気であることが好ましい。
【0077】重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、
有機溶媒の留去等の公知の方法によって共重合体を単離
することができる。また、得られた共重合体は、再沈澱
を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等
により、未反応のモノマー等を除去することにより、精
製することができる。
【0078】着色剤としては、染料及び顔料が挙げられ
る。着色剤の中では、耐水性、耐光性、耐オゾン性等の
点から、顔料が好ましい。
【0079】着色剤を含有するポリマー粒子の代表例と
しては、水に不溶のポリマーに染料又は顔料を含有させ
たポリマー粒子が挙げられる。このポリマー粒子は、印
字物に耐水性及び耐擦過性を付与するという優れた性質
を有するものである。
【0080】ポリマー粒子中に含有させることができる
染料の種類には、特に限定がないが、疎水性染料が好ま
しい。
【0081】疎水性染料の例としては、油性染料、分散
染料等が挙げられる。それらの中では、油性染料及び分
散染料がポリマー粒子中に良好に含有させることができ
ることから好ましい。
【0082】油性染料としては、特に限定されるもので
はないが、例えば、C.I.ソルベント・ブラック3、7、
27、29、34;C.I.ソルベント・イエロー14、16、29、5
6、82;C.I.ソルベント・レッド1、3、8、18、24、2
7、43、51、72、73;C.I.ソルベント・バイオレット
3;C.I.ソルベント・ブルー2、11、70;C.I.ソルベン
ト・グリーン3、7;C.I.ソルベント・オレンジ2等が
挙げられる。
【0083】分散染料としては、特に限定されるもので
はないが、好ましい例としては、C.I.ディスパーズ・イ
エロー5、42、54、64、79、82、83、93、99、100 、11
9 、122 、124 、126 、160 、184:1 、186 、198 、19
9 、204 、224 、237 ;C.I.ディスパーズ・オレンジ1
3、29、31:1、33、49、54、55、66、73、118 、119 、1
63 ;C.I.ディスパーズ・レッド54、60、72、73、86、8
8、91、93、111 、126、127 、134 、135 、143 、145
、152 、153 、154 、159 、164 、167:1 、177 、181
、204 、206 、207 、221 、239 、240 、258 、277
、278 、283 、311 、323 、343 、348 、356 、362
;C.I.ディスパーズ・バイオレット33;C.I.ディスパ
ーズ・ブルー56、60、73、87、113 、128 、143 、148
、154 、158 、165 、165:1 、165:2 、176 、183 、1
85 、197 、198 、201 、214 、224 、225 、257 、266
、267 、287 、354 、358 、365 、368 ;C.I.ディス
パーズ・グリーン6:1 、9等が挙げられる。
【0084】疎水性染料は、ポリマー粒子中に効率よく
含有させる観点から、20℃において、一般に乳化の際に
使用される有機溶媒に対する溶解度が2g/L 以上、好ま
しくは20〜500g/Lであることが望ましい。
【0085】染料を含有させたポリマー粒子の水分散体
は、公知の乳化法によって製造することができる。例え
ば、ポリマー及び疎水性染料を有機溶媒に溶解させ、必
要に応じて中和剤を加えてポリマー中の塩生成基をイオ
ン化し、これに水を添加した後、必要に応じて超音波乳
化機を用いて乳化を行ない、その有機溶媒を留去して水
系に転相することにより、染料を含有させたポリマー粒
子の水分散体を得ることができる。
【0086】また、ポリマー粒子中に含有させることが
できる顔料の種類にも特に制限がなく、公知の無機顔料
及び有機顔料のいずれも使用することができる。
【0087】無機顔料としては、カーボンブラック、金
属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。黒
色においては、カーボンブラックが好ましい。カーボン
ブラックとしては、ファーネスブラック、ランプブラッ
ク、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げ
られる。
【0088】有機顔料としては、アゾ顔料、ジアゾ顔
料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソイン
ドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリ
ノン顔料、チオインジゴ顔料、アンソラキノン顔料、キ
ノフタロン顔料等が挙げられ、特にピグメント・イエロ
ー17, 74, 83, 93, 97, 110, 124, 128, 138, 139, 15
1, 154, 180等、ピグメント・レッド57:1, 122, 146, 1
84, 202, 224, 238, 245等、ピグメント・バイオレット
19等、ピグメント・ブルー15, 15:1, 15:2, 15:3, 15:
4, 16, 60, 76等、ピグメント・グリーン7, 36 等、及
びこれらを含む固溶体が好ましい。
【0089】なお、必要により、無機顔料及び有機顔料
は、体質顔料と併用することもできる。体質顔料として
は、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
【0090】顔料を含有させたポリマー粒子の水分散体
を得る方法としては、ポリマーを有機溶媒に溶解させ、
顔料、水、中和剤及び必要に応じ界面活性剤を加えて混
練しペーストとした後、必要に応じて該ペーストを水で
希釈し、有機溶媒を留去して水系にする方法が好まし
い。ポリマーを溶解させる有機溶媒としては、先に述べ
た溶液重合法で用いる有機溶媒と同様のものが用いられ
る。
【0091】ポリマー粒子中の着色剤の量は、ポリマー
粒子への着色剤の含有のさせやすさの観点及び印字濃度
の観点から、ポリマーの固形分100 質量部に対して20〜
2000質量部、好ましくは40〜900 質量部、より好ましく
は40〜600 質量部である。
【0092】着色剤を含有したポリマー粒子の粒径は、
分散安定性の観点から、10〜500nmであることが好まし
い。
【0093】ポリマー粒子を含有する水系インクにおけ
る着色剤の含有量は、十分な印字濃度が得られるのであ
ればよく、特に限定がない。通常、該含有量は、十分な
吐出性及び印字濃度を付与する観点から、1〜30重量
%、好ましくは2〜20重量%、より好ましくは4〜15重
量%である。
【0094】水分散体の粘度はインク配合時の吐出性の
観点から1.2 〜6mPa ・sであることが好ましく、2〜
5mPa ・sであることがより好ましい。粘度は以下の実
施例に示す方法によって測定される。インク粘度も同様
の方法によって測定される。
【0095】本発明の水系インクは、前記水分散体に、
公知の各種添加剤、例えば、多価アルコール類のような
湿潤剤、分散剤、消泡剤、防黴剤及び/又はキレート
剤、pH調整剤等を添加することによって得ることがで
きる。
【0096】かくして得られる水系インクは、特にイン
クジェット記録用水系インクとして好適に使用しうるも
のである。
【0097】
【実施例】製造例1〜5(ポリマーA及びポリマーBの
製造) 反応容器内に、メチルエチルケトン20質量部、モノマー
及び重合連鎖移動剤を表1の初期仕込みモノマーの欄に
示すように仕込み、窒素ガス置換を十分に行なった。
【0098】一方、滴下ロートに、表1の滴下モノマー
の欄に示すようにモノマー、重合連鎖移動剤、メチルエ
チルケトン60質量部及び2,2'- アゾビス(2,4- ジメチル
バレロニトリル)1.2 質量部を入れ、十分に窒素置換を
行なった。
【0099】窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪
拌しながら70℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を
3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から2時間経過
後、2, 2' - アゾビス(2, 4- ジメチルバレロニトリ
ル)0.3 質量部をメチルエチルケトン5質量部に溶解し
た溶液を加え、更に70℃で2時間、75℃で2時間熟成さ
せ、ポリマーA及びポリマーBの各溶液を得た。
【0100】ポリマーAは、得られたポリマーA溶液の
一部を、減圧下、105 ℃で2時間乾燥させ、溶剤を除去
することによって得た。
【0101】
【表1】
【0102】なお、表1〜2に記載の各名称は、以下の
ことを意味する。 スチレンマクロマー:東亜合成(株)製、商品名:AS-6
S(スチレン単独重合マクロマー、数平均分子量:6000、
重合性官能基:メタクリロイルオキシ基) メタクリル酸イソブチルマクロマー:東亜合成(株)
製、商品名:AW-6S(メタクリル酸イソブチル単独重合マ
クロマー、数平均分子量:6000、重合性官能基:メタク
リロイルオキシ基) シリコーンマクロマー:チッソ(株)製、商品名:FM-0
711(数平均分子量:1000、式 (I) で表される化合物) M-40G :メトキシ末端ポリエチレングリコール(4モル)
メタクリル酸エステル〔新中村化学(株)製、商品名:
NKエステルM-40G) M-90G :メトキシ末端ポリエチレングリコール(9モル)
メタクリル酸エステル〔新中村化学(株)製、商品名:
NKエステルM-90G) M-230G:メトキシ末端ポリエチレングリコール(23 モ
ル) メタクリル酸エステル〔新中村化学(株)製、商品
名:NKエステルM-230G〕 ポリスチレン:三洋化成工業(株)製、商品名:ハイマ
ーST-95 (数平均分子量:4000) Pigment Blue 15:3 :大日本インキ化学工業(株)製、
商品名:Fastogen BlueTGR
【0103】製造例6〜10(顔料含有ポリマー粒子の水
分散体の製造) 標準物質としてポリスチレン、溶剤として50mmol/Lの酢
酸含有テトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィーにより、ポリマーAの重量平均分
子量を測定した。その結果を表1に示す。
【0104】得られたポリマーAを表2に示すように仕
込み、表2に示すポリマーA用有機溶媒250 質量部に溶
かし、その中に表2に示すように中和剤の水溶液(5mmol
/L)を加えてポリマーAの塩生成基の一部を中和し、更
に着色剤を表2に示すように仕込み、製造例6〜8では
更に表2に示すポリマーB及びポリマーCを同量のメチ
ルエチルケトンで溶解したものを仕込み、ビーズミルで
混練した。混練前の混合物を混合物Eという。混合物E
の組成を表2に示す。
【0105】混合物Eの混練物に、イオン交換水300 質
量部を加え、十分に攪拌した後、エバポレーターを用い
て該有機溶媒及び水を留去し、固形分濃度が20重量%の
着色剤含有ポリマー粒子の水分散体を得た。
【0106】
【表2】
【0107】実施例1〜3及び比較例1〜2 製造例6〜10で得られた水分散体のポリマー粒子の平均
粒径及び水分散体の粘度を下記方法により評価した。そ
の結果を表3に示す。
【0108】
【表3】
【0109】表3に示された結果から、実施例1〜3と
比較例2とは、ポリマー含有量が同じ60質量部である。
しかし、ポリマーAの含有量が同じ40質量部である実施
例1〜3で得られた水分散体の粘度は、ポリマーAの含
有量が60質量部である比較例2で得られた水分散体より
も低く、ポリマー含有量及びポリマーAの含有量が40質
量部である比較例1で得られた水分散体とほぼ同じであ
ることがわかる。
【0110】実施例4〜6及び比較例3〜4 製造例6〜10で得られた顔料含有ポリマー粒子の水分散
体40質量部、グリセリン10質量部、アセチレングリコー
ル・ポリエチレンオキサイド付加物〔川研ファインケミ
カル(株)製、商品名:アセチレノールEH〕1質量部及
びイオン交換水49質量部を混合し、得られた混合液を5
μm のフィルター〔アセチルセルロース膜、外径:2.5c
m 、富士写真フイルム(株)製〕を取り付けた容量25mL
の針なしシリンジ〔テルモ(株)製〕で濾過により、粗
大粒子を除去することによって、それぞれ製造例6〜10
に対応する実施例4〜6及び比較例3〜4の水系インク
を得た。
【0111】実施例4〜6及び比較例3〜4で得られた
水系インクについて、下記方法により物性を評価した。
その結果を表4に示す。
【0112】
【表4】
【0113】〔評価方法〕 (1)平均粒径 コールターカウンターN4(コールター社製、商品名)
を用いて製造直後に平均粒径を測定した。
【0114】(2)粘度 20℃での粘度をE型粘度計(トキメック社製)を用いて
測定した。
【0115】(3)印字濃度 ジェットプリンター〔セイコーエプソン(株)製、型
番:PM-760C 〕に、各実施例又は比較例で得られた水系
インクを用い、光沢紙〔MC光沢紙、セイコーエプソン
(株)製、商品名:KA420MK 〕にベタ印字し、25℃で1
時間乾燥させた試料の特定の印字箇所の印字濃度をマク
ベス濃度計〔マクベス社製、品番:RD914 〕で測定し
た。
【0116】(4)色調 ジェットプリンター〔セイコーエプソン(株)製、型
番:PM-760C 〕に、各実施例又は比較例で得られた水系
インクを用い、光沢紙〔MC光沢紙、セイコーエプソン
(株)製、商品名:KA420MK 〕にベタ印字し、25℃で1
時間乾燥させた試料の特定の印字箇所の色調を分光式色
差計〔日本電色工業(株)製、商品名:SE-2000 〕で測
定した。
【0117】(5)吐出性 バブルジェットプリンター〔(株)キャノン製、型番:
BJC-430J〕の純正インク、又は各実施例若しくは各比較
例で得られた水系インクを1ヵ月間、60℃の雰囲気中で
保持する試験を行った。
【0118】次に、このプリンターを用い、該水系イン
クで普通紙〔ゼロックス(Xerox) 社製、商品名:4024 D
P 20 lb.Paper 〕にベタ印字した時の吐出率を式: 〔吐出率〕=〔試験後の実施例又は比較例における水系
インクの吐出重量〕÷〔純正インクの吐出重量〕×100 に従って求め、以下の評価基準に基づいて吐出性を評価
した。
【0119】〔評価基準〕 ○:吐出率が80%以上 △:吐出率が60%以上80%未満 ×:吐出率が60%未満
【0120】また、表4に示された結果から、各実施例
で得られた水系インクは、いずれも、光沢紙での印字濃
度及び色調に優れていることがわかる。
【0121】また、実施例4〜6と比較例4とは、ポリ
マー含有量が同じ60質量部である。しかし、ポリマーA
の含有量が同じ40質量部である実施例4〜6で得られた
水系インクの粘度は、ポリマーAの含有量が同じ60質量
部である比較例4で得られた水系インクよりも低く、ポ
リマー含有量及びポリマーAの含有量が40質量部である
比較例3で得られた水系インクとほぼ同じである。ま
た、実施例4〜6で得られた水系インクは、吐出性も良
好であることがわかる。
【0122】また、実施例4〜6で得られた水系インク
の印字濃度は顔料の含有量が各実施例よりも多い60質量
部である比較例3で得られた水系インクよりも高いが、
これは粘度を増加させずにポリマー含有量を増加させる
ことできたからである。実施例4〜6で得られた水系イ
ンクの色調は、比較例3よりも優れているが、これは粘
度を増加させずにポリマー含有量を増加させることがで
きたからである。
【0123】
【発明の効果】本発明の水分散体は、光沢紙での印字濃
度、色調に優れ、分散体の粘度の低下が図られたもので
ある。したがって、前記水分散体が用いられた水系イン
クは、インクジェット記録用水系インクとして有用であ
る。
フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 FC01 2H086 BA53 BA55 BA59 4J039 AD03 AD09 AD10 AD12 AD23 AE11 BE01 BE02 BE07 BE08 CA06 GA24 GA26 GA27 GA28

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)着色剤、(2)塩生成基を有する
    ポリマーA、並びに(3)塩生成基を有するポリマーB
    及び/又は塩生成基を有しないポリマーCを含有してな
    り、ポリマーBの単位重量あたりの塩生成基量がポリマ
    ーAの単位重量あたりの塩生成基量よりも少ないポリマ
    ー粒子の水分散体。
  2. 【請求項2】 ポリマーA、ポリマーB及びポリマーC
    のうちの1種以上がシリコーンマクロマー、スチレンマ
    クロマー及びメタクリル酸アルキルエステルマクロマー
    からなる群より選ばれた1種以上を含有する請求項1記
    載の水分散体。
  3. 【請求項3】 ポリマーB及び/又はポリマーCが自己
    乳化性を有しないポリマーである請求項1又は2記載の
    水分散体。
  4. 【請求項4】 着色剤が顔料である請求項1〜3いずれ
    か記載の水分散体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4いずれか記載の水分散体を
    含有してなる水系インク。
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