JP2007253043A - 液滴噴射装置及び塗布体の製造方法 - Google Patents

液滴噴射装置及び塗布体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】塗布対象物に着弾した液滴の表層膜の破裂による塗布体の製造不良の発生を防止することができる液滴噴射装置を提供する。
【解決手段】液滴を塗布対象物2aに噴射して塗布する塗布部と、液滴が塗布された塗布対象物2aを収容する収容室5aと、収容室5a内の気体を排気する排気部5cと、排気部5cにより収容室5a内から排気される気体の排気流量を調整する調整部5dと、排気流量を段階的に変化させるように調整部5dを制御する制御手段とを備える。
【選択図】図4

Description

本発明は、液滴を塗布対象物に噴射して塗布する液滴噴射装置及び塗布体の製造方法に関する。
液滴噴射装置は、通常、液晶表示装置、有機EL(Electro Luminescence)表示装置、電子放出表示装置、プラズマ表示装置及び電気泳動表示装置等の様々な表示装置を製造するために用いられている。
液滴噴射装置は、塗布対象物に向けて複数のノズルから液滴(例えば、インク)をそれぞれ噴射する液滴噴射ヘッド(例えば、インクジェットヘッド)及び塗布対象物上に着弾した液滴を乾燥させる乾燥部等を備えている。この液滴噴射装置は、液滴噴射ヘッドにより塗布対象物に液滴を着弾させ、所定のパターンのドット列を形成し、塗布対象物上の液滴を乾燥させて、例えば、カラーフィルタやブラックマトリクス(カラーフィルタの額縁)等の塗布体を製造する。
このような液滴噴射装置の中には、塗布対象物の乾燥時、真空乾燥によりインクを高速に乾燥させる液滴噴射装置が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。この液滴噴射装置の乾燥部は、液滴が塗布された塗布対象物を収容する真空チャンバー等の収容室内の気体を排気して収容室内を真空にする排気部等を備えている。
特開2001−235277号公報 特開2003−234273号公報
しかしながら、真空乾燥により高速にインクを乾燥させると、気流が収容室内に発生し、その気流により塗布対象物上のインク表面が乾燥してしまう。このため、インク内から発生する気体(例えば、溶剤、水分及び溶存ガス等)が抜けきる前に、インク表面に薄膜、すなわち表層膜が形成されてしまう。その状態で、気体がインク内から発生すると、その気体によりインク表面の表層膜が破裂し、その破裂部分からインクが流れ出るため、インクの飛散やインクのはみ出しが生じ、塗布体の製造不良が発生してしまう。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、塗布対象物に着弾した液滴の表層膜の破裂による塗布体の製造不良の発生を防止することができる液滴噴射装置及び塗布体の製造方法を提供することである。
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、液滴噴射装置において、液滴を塗布対象物に噴射して塗布する塗布部と、液滴が塗布された塗布対象物を収容する収容室と、収容室内の気体を排気する排気部と、排気部により収容室内から排気される気体の排気流量を調整する調整部と、排気流量を段階的に変化させるように調整部を制御する制御手段とを備えることである。
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、液滴噴射装置において、液滴を塗布対象物に噴射して塗布する塗布部と、液滴が塗布された塗布対象物が収容される収容位置から離間させて設けられ複数の貫通孔を有する分散板、及び収容位置と分散板との間に収容位置に対して接離可能に設けられた遮蔽板を具備し、液滴が塗布された塗布対象物を収容位置に収容する収容室と、収容室内の気体を排気する排気部とを備え、収容室は、分散板の表面より天面側の側面及び天面からなる面内に設けられた開口部を有しており、排気部は、開口部を通じて収容室内の気体を排気することである。
本発明の実施の形態に係る第3の特徴は、塗布体の製造方法において、液滴を塗布対象物に噴射して塗布するステップと、液滴が塗布された塗布対象物を収容室に収容するステップと、収容室内の気体を排気するステップと、収容室内から排気される気体の排気流量を段階的に変化させるステップとを有することである。
本発明の実施の形態に係る第4の特徴は、塗布体の製造方法において、液滴を塗布対象物に噴射して塗布するステップと、液滴が塗布された塗布対象物が収容される収容位置から離間させて設けられ複数の貫通孔を有する分散板、及び収容位置と分散板との間に収容位置に対して接離可能に設けられた遮蔽板を具備する収容室に、液滴が塗布された塗布対象物を収容位置に位置付けて収容し、収容した塗布対象物に遮蔽板を近接させるステップと、分散板より天面側の側面及び天面からなる面内に設けられた開口部を通じて収容室内の気体を排気するステップとを有することである。
本発明によれば、塗布対象物に着弾した液滴の表層膜の破裂による塗布体の製造不良の発生を防止することができる。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態について図1ないし図6を参照して説明する。
図1に示すように、第1の実施の形態に係る液滴噴射装置1は、塗布対象物である基板2aを収容する基板収容部3と、液滴を基板2aに噴射して塗布する塗布部4と、塗布済の基板2aを乾燥させる乾燥部5Aと、乾燥後の基板2aである塗布体2bを収容する塗布体収容部6と、それらの基板収容部3、塗布部4、乾燥部5A及び塗布体収容部6の間の基板2aの搬送を行う搬送部7とを備えている。
基板収容部3は、架台3aと、その架台3a上に着脱可能に取付けられる収容棚3bとを有している。収容棚3b内には、複数の基板2aが収容されている。これらの基板2aが搬送部7により塗布部4にそれぞれ搬送される。
塗布部4は、液体であるインクを液滴として基板2aに塗布するためのインク塗布ボックス4aと、そのインク塗布ボックス4aにインクを供給するインク供給ボックス4bとを有している。インク塗布ボックス4aには、液滴を噴射する複数の液滴噴射ヘッド8が設けられている。この塗布部4は、各液滴噴射ヘッド8により、インクを液滴(インク滴)として噴射し、基板2aの表面に、例えばカラーフィルタの額縁パターンを塗布する。なお、塗布済の基板2aは搬送部7により塗布部4から乾燥部5Aに搬送される。
乾燥部5Aは、塗布済の基板2aを収容する真空チャンバー等の収容室5a等を有している。この乾燥部5Aは、収容室5a内の気体を排気して収容室5a内を真空にし、収容室5a内に収容した塗布済の基板2a上の液滴を乾燥させる。
塗布体収容部6は、架台6aと、その架台6a上に着脱可能に取付けられる収容棚6bとを有している。この収容棚6bには、乾燥済の基板2aである塗布体2bが搬送部7により搬送されて収容される。
搬送部7は、上下方向に移動可能な昇降軸7aと、その昇降軸7aの上端部に連結されて水平面(X−Y平面)内で回動可能なリンク7b、7cと、そのリンク7b、7cの先端部に取付けられたアーム7dとを有している。この搬送部7は、昇降軸7aの昇降及びリンク7b、7cの回動を行い、基板収容部3の収容棚3bから基板2aを取り出して塗布部4に搬送し、さらに、塗布済の基板2aを塗布部4から乾燥部5Aに搬送して乾燥部5A内に載置し、加えて、乾燥済の基板2aである塗布体2bを乾燥部5A内から取り出して塗布体収容部6に搬送し収容棚6b内に載置する。
次に、塗布部4について詳しく説明する。
図2に示すように、塗布部4では、インク塗布ボックス4aと、インク供給ボックス4bとが互いに隣接して配置され、共に架台11の上面に固定されている。
インク塗布ボックス4aの内部には、基板2aを保持してこの基板2aをX軸方向及びY軸方向に移動させる基板移動機構12と、液滴噴射ヘッド8をそれぞれ有する3つのインクジェットヘッドユニット13と、それらのインクジェットヘッドユニット13を一体にX軸方向に移動させるユニット移動機構14と、各液滴噴射ヘッド8を清掃するヘッドメンテナンスユニット15と、インクを収容する3つのインクバッファタンク16とが設けられている。
基板移動機構12は、Y軸方向ガイド板17、Y軸方向移動テーブル18、X軸方向移動テーブル19及び基板保持テーブル20が積層されている。これらのY軸方向ガイド板17、Y軸方向移動テーブル18、X軸方向移動テーブル19及び基板保持テーブル20は平板状に形成されている。
Y軸方向ガイド板17は架台11の上面に固定されている。Y軸方向ガイド板17の上面には、複数のガイド溝17aがY軸方向に沿って設けられている。
Y軸方向移動テーブル18は、各ガイド溝17aにそれぞれ係合する複数の突起部(図示せず)を下面に有しており、Y軸方向ガイド板17の上面にY軸方向に移動可能に設けられている。また、Y軸方向移動テーブル18の上面には、複数のガイド溝18aがX軸方向に沿って設けられている。このY軸方向移動テーブル18は、送りネジと駆動モータとを用いた送り機構(図示せず)により各ガイド溝17aに沿ってY軸方向に移動する。
X軸方向移動テーブル19は、各ガイド溝18aに係合する突起部(図示せず)を下面に有しており、Y軸方向移動テーブル18の上面にX軸方向に移動可能に設けられている。このX軸方向移動テーブル19は、送りネジと駆動モータとを用いた送り機構(図示せず)により各ガイド溝18aに沿ってX軸方向に移動する。
基板保持テーブル20は、X軸方向移動テーブル19の上面に固定されて設けられている。この基板保持テーブル20は、基板2aを吸着する吸着機構(図示せず)を備えており、その吸着機構により上面に基板2aを固定して保持する。吸着機構としては、例えばエアー吸着機構等を用いる。なお、基板保持テーブル20は、X軸方向移動テーブル19と共にY軸方向に移動し、保持した基板2aに対してインク滴の塗布を行う塗布位置(図1及び図2参照)と、基板保持テーブル20上に基板2aを載せ降ろしする載置位置とに移動可能である。
ユニット移動機構14は、架台11の上面に立設された一対の支柱21と、それらの支柱21の上端部間に連結されてX軸方向に延出するX軸方向ガイド板22と、そのX軸方向ガイド板22にX軸方向に移動可能に設けられ各インクジェットヘッドユニット13を支持するベース板23とを有している。
一対の支柱21は、X軸方向においてY軸方向ガイド板17を挟むように設けられている。また、X軸方向ガイド板22の前面には、ガイド溝22aがX軸方向に沿って設けられている。
ベース板23は、ガイド溝22aに係合する突起部(図示せず)を背面に有しており、X軸方向ガイド板22にX軸方向に移動可能に設けられている。このベース板23は、送りネジと駆動モータとを用いた送り機構(図示せず)によりガイド溝22aに沿ってX軸方向に移動する。このようなベース板23の前面には、3つのインクジェットヘッドユニット13が取付けられている。
各インクジェットヘッドユニット13は、ベース板23に垂設されており、それぞれ液滴噴射ヘッド8を具備している。これらの液滴噴射ヘッド8は、各インクジェットヘッドユニット13の先端にそれぞれ着脱可能に設けられている。液滴噴射ヘッド8は、液滴が吐出される複数のノズルを有し、それらの各ノズルから液滴を基板2aに向けて噴射する。
インクジェットヘッドユニット13には、基板2a面に対して垂直方向、すなわちZ軸方向に液滴噴射ヘッド8を移動させるZ軸方向移動機構13aと、液滴噴射ヘッド8をY軸方向に移動させるY軸方向移動機構13bと、液滴噴射ヘッド8をθ方向に回転させるθ方向回転機構13cとが設けられている。これにより、液滴噴射ヘッド8は、Z軸方向及びY軸方向に移動可能であり、θ軸方向に回転可能である。
ヘッドメンテナンスユニット15は、各インクジェットヘッドユニット13の移動方向の延長線上であってY軸方向ガイド板17から離して配設されている。このヘッドメンテナンスユニット15は、各インクジェットヘッドユニット13の液滴噴射ヘッド8を清掃する。なお、ヘッドメンテナンスユニット15は、各インクジェットヘッドユニット13の液滴噴射ヘッド8がヘッドメンテナンスユニット15に対向する待機位置まで移動すると、各液滴噴射ヘッド8を自動的に清掃する。
インクバッファタンク16は、その内部に貯留したインクの液面と液滴噴射ヘッド8のノズル面との水頭差(水頭圧)を利用し、ノズル先端のインクの液面(メニスカス)を調整する。これにより、インクの漏れ出しや吐出不良が防止されている。
インク供給ボックス4bの内部には、インクをそれぞれ収容する複数のインクタンク24が着脱可能に取付けられている。各インクタンク24は、供給パイプ25によりインクバッファタンク16を介してそれぞれ液滴噴射ヘッド8に接続されている。すなわち、液滴噴射ヘッド8は、インクタンク24からインクバッファタンク16を介してインクの供給を受ける。
インクとしては、水性インク、油性インク及び紫外線硬化インク等の各種のインクを用いる。例えば、油性インクは、顔料、溶剤(インク溶剤)、分散剤、添加剤及び界面活性剤等の各種の成分により構成されている。ここで、カラーフィルタの額縁を形成する場合には、黒インクが用いられる。この額縁とは、光が透過する透過領域(RGB領域)の周囲に設けられた遮光領域である。
また、溶剤としては、例えば、PGMEA(プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、シクロヘキサノン、BCTAC(ブタルカルビトールアセテート)を2:2:6の比で混合した溶剤を用いる。PGMEA及びシクロヘキサノンの蒸気圧は、500Pa(20℃)であり、BCTACの蒸気圧は、1.3Pa(20℃)である。
架台11の内部には、液滴噴射装置1の各部を制御するための制御部26及び各種のプログラムを記憶する記憶部(図示せず)等が設けられている。制御部26は、各種のプログラムに基づいて、Y軸方向移動テーブル18の移動制御、X軸方向移動テーブル19の移動制御、ベース板23の移動制御、Z軸方向移動機構13aの駆動制御、Y軸方向移動機構13bの駆動制御及びθ方向回転機構13cの駆動制御等を行う。これにより、基板保持テーブル20上の基板2aと、各インクジェットヘッドユニット13の液滴噴射ヘッド8との相対位置を色々と変化させることができる。さらに、制御部26は、各種のプログラムに基づいて、乾燥部5Aの駆動制御及び搬送部7の駆動制御等を行う。
次いで、乾燥部5Aについて詳しく説明する。
図3及び図4に示すように、乾燥部5Aは、塗布済の基板2aを収容する真空チャンバー等の収容室5aと、その収容室5aの底面M1に突没自在に設けられて突出位置で基板2aを支持する支持部である複数の支持ピン5b(図4参照)と、収容室5aに収容された基板2aの下方から収容室5a内の気体を排気する排気部5cと、その排気部5cにより収容室5a内から排気される気体の排気流量(m/s)を調整する調整部5dとを備えている。
収容室5aは、箱型の形状に形成されており、開閉可能なドア31(図3参照)を有している。このドア31から塗布済の基板2aが収容室5a内に収容される。ドア31が開かれ、塗布済の基板2aが収容室5a内に収容され、その後、そのドア31は気密となるように閉じられる。乾燥後、再びドア31が開けられ、乾燥済の基板2aである塗布体2bが取り出される。また、収容室5aは、その底面M1に設けられた開口部K1を有している。なお、この開口部K1は、収容室5aの底面M1、及び収容した基板2aの表面より底面M1側の側面M2からなる面内に設けられる。
支持ピン5bは、棒状に形成されており、収容室5aの底面M1に複数個設けられている。これらの支持ピン5bは、収容室5aの底面M1に突没自在に形成されており、所定の突出位置、すなわち基板2aの収容位置で互いに協力して基板2aを支持する。
排気部5cは、収容室5aの底面M1の開口部K1に接続された排気経路である排気パイプ32と、その排気パイプ32中に設けられた真空タンク33と、排気パイプ32を介して収容室5a内の気体を吸引する吸引部34とを有している。
排気パイプ32は、収容室5aの底面M1の略中央に接続されている。真空タンク33は、調整部5dと吸引部34との間に設けられている。この真空タンク33は、吸引部34により、例えば5〜10kPaの所定の真空圧まで吸引され、真空状態になる。吸引部34は、収容室5aに調整部5d及び真空タンク33を介して排気パイプ32により接続されている。吸引部34としては、例えば吸引ポンプ等を用いる。この吸引部34は、制御部26により駆動制御され、排気パイプ32を介して収容室5a内の気体を吸引して排気する。
調整部5dは、排気パイプ32の開口率を変更することが可能に形成されている。この調整部5dは、制御部26により駆動制御され、排気パイプ32の開口率を変更する。調整部5dとしては、例えば、バタフライ弁や電磁弁等の開閉弁等を用いる。
このような調整部5dは、制御部26による駆動制御に応じて、排気パイプ32の開口率を変更し、排気部5cにより収容室5a内から排気される気体の排気流量を段階的に変化させ(段階開放)、収容室5aの底面M1の開口部K1から収容室5a内の気体を排気して、収容室5a内を真空にする。このとき、制御部26は、排気流量を段階的に変化させるように、すなわち排気流量を最大排気流量より小さくし、収容室5a内の真空圧が所定の真空圧になった場合、排気流量を最大排気流量にするように調整部5dを制御する。
これにより、例えば、図5に示すように、波形Aのような真空プロファイルが得られる。波形Aは、排気パイプ32の開口率を変えて排気流量を段階的に変更し、収容室5a内の気体を排気した場合の波形である。なお、波形Bは、排気パイプ32の開口率を100%にして排気流量を変えることなく、高速に収容室5a内の気体を排気した場合の波形である(比較例)。
まず、調整部5dは、制御部26により駆動制御され、排気パイプ32の開口率を40%に調整する。これにより、排気パイプ32の開口率が40%になり、第1段階の排気流量で収容室5a内の気体が排気される(図5中の100s付近まで)。
次いで、調整部5dは、制御部26により駆動制御され、真空圧が例えば30〜50kPa程度になった場合(引き始めから約100s後に)、排気パイプ32の開口率を100%(全開)に調整する。これにより、排気パイプ32の開口率が100%になり、第2段階の排気流量で収容室5a内の気体が排気される(図5中の100s付近以後)。この第2段階の排気流量は第1段階の排気流量より多くなる。
次に、このような液滴噴射装置1の液滴塗布処理について説明する。液滴噴射装置1の制御部26は各種のプログラムに基づいて液滴噴射処理を実行する。
図6に示すように、制御部26は、搬送部7を駆動制御し、基板収容部3の収容棚3bから基板2aを取り出して塗布部4に搬送し、その基板2aを塗布部4の基板保持テーブル20上に載置する(ステップS1)。この基板2aは、吸着機構により基板保持テーブル20上に保持される。なお、基板保持テーブル20は載置位置に待機している。
次いで、制御部26は、塗布部4を駆動制御し、基板保持テーブル20上の基板2aに対する液滴の塗布を行う(ステップS2)。詳しくは、制御部26は、塗布部4を駆動制御し、基板保持テーブル20を載置位置から塗布位置に移動させ、各インクジェットヘッドユニット13を待機位置から基板2aに対向する位置まで移動させる。その後、制御部26は、Y軸方向移動テーブル18及びX軸方向移動テーブル19を駆動制御し、加えて、各インクジェットヘッドユニット13の液滴噴射ヘッド8を駆動制御し、各液滴噴射ヘッド8により塗布対象物である基板2aに向かって液滴を噴射する噴射動作を行う。
これにより、各液滴噴射ヘッド8は、インクを液滴として各ノズルからそれぞれ噴射し、移動する基板2aにそれらの液滴を着弾させ、所定のパターンのドット列を順次形成する。なお、噴射動作完了後、制御部26は、各インクジェットヘッドユニット13を待機位置まで戻し、基板保持テーブル20を塗布位置から載置位置に移動させる。
その後、制御部26は、搬送部7を駆動制御し、載置位置に待機する基板保持テーブル20から塗布済の基板2aを取り出して乾燥部5Aに搬送し、その基板2aを乾燥部5Aの収容室5a内に載置する(ステップS3)。この基板2aは、各支持ピン5bにより収容室5a内で支持される。
制御部26は、乾燥部5Aを駆動制御し、乾燥部5Aの収容室5a内の塗布済の基板2aを乾燥させる(ステップS4)。詳しくは、制御部26は、排気部5cを駆動制御し、まず、真空タンク33内を例えば5〜10kPaの所定の真空圧にし、その後、調整部5dを駆動制御し、収容室5aの底面M1の開口部K1から収容室5a内の気体を排気して、収容室5a内を真空にする。このとき、制御部26は、排気部5cにより収容室5a内から排気される気体の排気流量を段階的に変化させるように、すなわち、排気パイプ32の開口率を40%にして排気流量を最大排気流量より小さくし、収容室5a内の真空圧が例えば30〜50kPaの所定の真空圧になった場合、排気パイプ32の開口率を100%にして排気流量を最大排気流量にするように調整部5dを駆動制御する。これにより、収容室5aの真空圧は、図5に示す波形Aのように変化し、収容室5a内は真空状態になり、塗布済みの基板2aの乾燥が完了する。
その後、制御部26は、搬送部7を駆動制御し、乾燥部5Aの収容室5a内から乾燥済の基板2aである塗布体2bを取り出して塗布体収容部6に搬送し、その基板2aを塗布体収容部6の収容棚6b内に載置する(ステップS5)。
次に、制御部26は、基板収容部3に収容されている全ての基板2aに対するインク滴の塗布が完了したか否かを判断する(ステップS6)。ここでは、塗布済の基板2aの数をカウントし、そのカウント値が所定値に達しているか否かを判断している。全ての基板2aに対するインク滴の塗布が完了したと判断した場合には(ステップS6のYES)、処理を終了する。一方、全ての基板2aに対するインク滴の塗布が完了していないと判断した場合には(ステップS6のNO)、処理をステップS1に戻し、前述の処理を繰り返す。
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、排気部5cにより収容室5a内から排気される気体の排気流量を調整する調整部5dと、その排気流量を段階的に変化させるように調整部5dを制御することによって、気流が収容室5a内に発生することが抑えられるので、基板2aに着弾した液滴(インク滴)の表面に発生する表層膜の形成を抑えることが可能になり、その表層膜の破裂による塗布体2bの製造不良の発生を防止することができる。
さらに、排気流量を最大排気流量より小さくし、収容室5a内の真空圧が所定の真空圧になった場合、排気流量を最大排気流量にするように調整部5dを制御することによって、気流が収容室5a内に発生することが確実に抑えられるので、基板2aに着弾した液滴(インク滴)の表面に発生する表層膜の形成を確実に抑えることができる。
加えて、収容室5aは、収容した基板2aの表面より底面M1側の側面M2及び底面M1からなる面内に設けられた開口部K1を有しており、排気部5cは、開口部K1を通じて収容室5a内の気体を排気することから、気流が収容室5a内に発生することがより確実に抑えられるので、基板2aに着弾した液滴(インク滴)の表面に発生する表層膜の形成をより確実に抑えることができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について図5及び図7を参照して説明する。
本発明の第2の実施の形態は、基本的に第1の実施の形態と同様である。第2の実施の形態では、第1の実施の形態との相違点について説明する。なお、第1の実施の形態で説明した部分と同一部分は同一符号で示し、その説明も省略する。
図7に示すように、乾燥部5Bは、塗布済の基板2aを収容する真空チャンバー等の収容室5aと、その収容室5aの底面M1に突没自在に設けられて突出位置で基板2aを支持する支持部である複数の支持ピン5bと、収容室5aに収容された基板2aの上方から収容室5a内の気体を排気する排気部5cと、排気部5cにより収容室5a内から排気される気体の排気流量(m/s)を調整する調整部5dとを備えている。
収容室5a内には、塗布済の基板2aが収容される収容位置から離間させて設けられ複数の貫通孔41aを有する分散板41と、その収容位置と分散板41との間に収容位置に対して接離可能に設けられた遮蔽板42と、その遮蔽板42を各支持ピン5bにより支持された基板2aに対して接離方向に移動させる移動部43とが設けられている。また、収容室5aは、その天面M3に設けられた開口部K2を有している。なお、この開口部K2は、収容室5aの天面M3、及び分散板41の表面より天面M3側の側面M2からなる面内に設けられる。
分散板41は、収容室5a内を上側空間と下側空間とに仕切っている。この分散板41には、貫通孔41aが、例えば四角形状に形成されている。分散板41としては、例えばパンチングプレート等を用いる。収容室5aの上側空間には、排気部5dが接続されており、下側空間には、塗布済の基板2aが収容される。
遮蔽板42は、塗布済の基板2aの収容位置、すなわち各支持ピン5bにより支持された基板2aと分散板41との間を移動可能に形成され、その基板2aに対して接離可能に設けられている。遮蔽板42としては、例えばガラス板等を用いる。なお、排気部5dによる排気を行う場合には、遮蔽板42は基板2aに近接する近接位置に位置付けられる。このときの遮蔽板42と基板2aとの離反距離(ギャップ)は、例えば5〜10mm程度である。
移動部43は、遮蔽板42を支持し、その遮蔽板42を基板2aに対して接離方向に移動させる。これにより、遮蔽板42は、基板2aの収容位置と分散板41との間で上下方向に移動する。この移動部43は、制御部26により駆動制御される。なお、排気部5dによる排気が行われる場合には、移動部43は、遮蔽板42と基板2aとの離反距離が例えば5〜10mm程度になるように基板2aに遮蔽板42を近接させる。また、搬送部7による搬送が行われる場合には、移動部43は、搬送部7による搬送動作を妨げないように基板2aから遮蔽板42を離反させる。
排気部5cは、収容室5aの天面M3の開口部K2に接続された排気経路である排気パイプ44と、その排気パイプ44中に設けられた真空タンク45と、排気パイプ44を介して収容室5a内の気体を吸引する吸引部46とを有している。
排気パイプ44は、収容室5aの天面M3の略中央に接続されている。真空タンク45は、調整部5dと吸引部46との間に設けられている。この真空タンク45は、吸引部46により、例えば5〜10kpaの所定の真空圧まで吸引され、真空状態になる。吸引部46は、収容室5aに調整部5d及び真空タンク45を介して排気パイプ44により接続されている。吸引部46としては、例えば吸引ポンプ等を用いる。この吸引部46は、制御部26により駆動制御され、排気パイプ44を介して収容室5a内の気体を吸引して排気する。
調整部5dは、排気パイプ44の開口率を変更することが可能に形成されている。この調整部5dは、制御部26により駆動制御され、排気パイプ44の開口率を変更する。調整部5dとしては、例えば、バタフライ弁や電磁弁等の開閉弁等を用いる。
このような排気部5dは、制御部26による駆動制御に応じて、排気パイプ44の開口率を100%(全開)にして、排気部5cにより収容室5a内から排気される気体の排気流量を最大排気流量にし、収容室5aの天面M3の開口部K2から収容室5a内を高速に排気して真空にする。このとき、制御部26は、排気流量が最大排気流量になるように調整部5dを駆動制御する。これにより、例えば、図5に示すように、波形Bのような真空プロファイルが得られる。
ここで、液滴噴射装置1の液滴塗布処理の流れは、第1の実施の形態と同様である(図6参照)。図6中のステップS4では、制御部26は、乾燥部5Bを駆動制御し、乾燥部5Bの収容室5a内の塗布済の基板2aを乾燥させる(ステップS4)。詳しくは、制御部26は、まず、移動部43を駆動制御し、収容位置に収容された基板2aと遮蔽板42との離反距離が例えば5〜10mm程度になるまで、基板2aに対して遮蔽板42を近接させる。その後、制御部26は、排気部5cを駆動制御し、真空タンク45内を例えば5〜10kPaの所定の真空圧にし、その後、調整部5dを駆動制御し、収容室5aの天面M3の開口部K2から収容室5a内の気体を排気して、収容室5a内を真空にする。このとき、制御部26は、排気パイプ44の開口率を100%にして排気流量が最大排気流量になるように調整部5dを駆動制御する。これにより、収容室5aの真空圧は、図5に示す波形Bのように変化し、収容室5a内は真空状態になり、塗布済みの基板2aの乾燥が完了する。
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、複数の貫通孔41aを有する分散板41を収容室5a内に設け、その分散板41の下方に遮蔽板42を設け、塗布済の基板2aを遮蔽板42の下方に位置付けて遮蔽板42に近接させて収容し、分散板41の上方から収容室5a内の気体を排気することによって、気流が収容室5a内に発生することが抑えられるので、基板2aに着弾した液滴(インク滴)の表面に発生する表層膜の形成を抑えることが可能になり、その表層膜の破裂による塗布体2bの製造不良の発生を防止することができる。
(他の実施の形態)
なお、本発明は、前述の実施の形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
例えば、前述の第1の実施の形態においては、排気流量を最大排気流量より小さくし、収容室5a内の真空圧が所定の真空圧になった場合、排気流量を最大排気流量にするように調整部5dを制御するようにしているが、これに限るものではなく、例えば、排気流量を繰り返し変化させ、収容室5a内の真空圧が所定の真空圧になった場合、排気流量を最大排気流量にするように調整部5dを制御するようにしてもよい。この場合には、調整部5dは、排気パイプ32の開口率を100%(全開)と0%(全閉)とに繰り返し変更し、その後、排気パイプ32の開口率を100%にして排気流量を最大排気流量にする。このとき、制御部26は、例えばPWN(パルス幅変調)制御等を行い、所望の排気流量プロファイルとなるよう、排気パイプ32の開口率を100%と0%とに繰り返し変更するように調整部5dを制御する。
また、前述の第1の実施の形態においては、排気流量を2段階にして収容室5a内の気体を排気しているが、これに限るものではなく、例えば、排気流量を3段階や4段階にして収容室5a内の気体を排気するようにしてもよい。なお、初期の排気流量は他の排気流量より少なくなるように設定される。
また、前述の第1の実施の形態においては、調整部5dとして開閉弁を用いているが、これに限るものではなく、例えば、2連ポンプ等を用いるようにしてもよい。
また、前述の第1の実施の形態においては、収容室5aの底面M1に排気パイプ32を接続しているが、これに限るものではなく、例えば、収容された基板2aの表面より底面M1側の側面M2に接続するようにしてもよい。さらに、収容室5aに1本の排気パイプ32を接続し、その排気パイプ32を介して吸引部34により収容室5a内の気体を排気しているが、これに限るものではなく、例えば、収容室5aに2本の排気パイプ32を接続し、それらの排気パイプ32を介して吸引部34により収容室5a内の気体を排気するようにしてもよい。この場合には、2本の排気パイプ32は、インク表面に発生する表層膜の形成を促すような気流を発生させない位置に配設される。
また、前述の第2の実施の形態においては、収容室5aの天面M3に排気パイプ44を接続しているが、これに限るものではなく、例えば、分散板41の表面より天面M3側の側面M2に接続するようにしてもよい。さらに、収容室5aに1本の排気パイプ44を接続し、その排気パイプ44を介して吸引部46により収容室5a内の気体を排気しているが、これに限るものではなく、例えば、収容室5aに2本の排気パイプ44を接続し、それらの排気パイプ44を介して吸引部46により収容室5a内の気体を排気するようにしてもよい。この場合には、2本の排気パイプ44は、インク表面に発生する表層膜の形成を促すような気流を発生させない位置に配設される。
本発明の第1の実施の形態に係る液滴噴射装置の概略構成を示す平面図である。 図1に示す液滴噴射装置が備える塗布部の概略構成を示す斜視図である。 図1に示す液滴噴射装置が備える乾燥部の概略構成を示す斜視図である。 図3に示す乾燥部の概略構成を示す模式図である。 真空引き時間と真空圧との関係を説明するための説明図である。 図1に示す液滴噴射装置の液滴塗布処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態に係る液滴噴射装置が備える乾燥部の概略構成を示す模式図である。
符号の説明
1…液滴噴射装置、2a…塗布対象物(基板)、4…塗布部、5a…収容室、5c…排気部、5d…調整部、26…制御手段(制御部)、41…分散板、41a…貫通孔、42…遮蔽板、K1…開口部、K2…開口部、M1…底面、M2…側面、M3…天面、S2…ステップ、S3…ステップ、S4…ステップ

Claims (10)

  1. 液滴を塗布対象物に噴射して塗布する塗布部と、
    前記液滴が塗布された前記塗布対象物を収容する収容室と、
    前記収容室内の気体を排気する排気部と、
    前記排気部により前記収容室内から排気される前記気体の排気流量を調整する調整部と、
    前記排気流量を段階的に変化させるように前記調整部を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする液滴噴射装置。
  2. 前記制御手段は、前記排気流量を最大排気流量より小さくし、前記収容室内の真空圧が所定の真空圧になった場合、前記排気流量を前記最大排気流量にするように前記調整部を制御することを特徴とする請求項1記載の液滴噴射装置。
  3. 前記制御手段は、前記排気流量を繰り返し変化させ、前記収容室内の真空圧が所定の真空圧になった場合、前記排気流量を最大排気流量にするように前記調整部を制御することを特徴とする請求項1記載の液滴噴射装置。
  4. 前記収容室は、収容した前記塗布対象物の表面より底面側の側面及び前記底面からなる面内に設けられた開口部を有しており、
    前記排気部は、前記開口部を通じて前記収容室内の気体を排気することを特徴とする請求項1、2又は3記載の液滴噴射装置。
  5. 液滴を塗布対象物に噴射して塗布する塗布部と、
    前記液滴が塗布された前記塗布対象物が収容される収容位置から離間させて設けられ複数の貫通孔を有する分散板、及び前記収容位置と前記分散板との間に前記収容位置に対して接離可能に設けられた遮蔽板を具備し、前記液滴が塗布された前記塗布対象物を前記収容位置に収容する収容室と、
    前記収容室内の気体を排気する排気部と、
    を備え、
    前記収容室は、前記分散板の表面より天面側の側面及び前記天面からなる面内に設けられた開口部を有しており、
    前記排気部は、前記開口部を通じて前記収容室内の気体を排気することを特徴とする液滴噴射装置。
  6. 液滴を塗布対象物に噴射して塗布するステップと、
    前記液滴が塗布された前記塗布対象物を収容室に収容するステップと、
    前記収容室内の気体を排気するステップと、
    前記収容室内から排気される前記気体の排気流量を段階的に変化させるステップと、
    を有することを特徴とする塗布体の製造方法。
  7. 前記排気流量を段階的に変化させるステップでは、前記排気流量を最大排気流量より小さくし、前記収容室内の真空圧が所定の真空圧になった場合、前記排気流量を前記最大排気流量にすることを特徴とする請求項6記載の塗布体の製造方法。
  8. 前記排気流量を段階的に変化させるステップでは、前記排気流量を繰り返し変化させ、前記収容室内の真空圧が所定の真空圧になった場合、前記排気流量を最大排気流量にすることを特徴とする請求項6記載の塗布体の製造方法。
  9. 前記真空にするステップでは、前記収容室に収容された前記塗布対象物の表面より底面側の側面及び前記底面からなる面内に設けられた前記収容室の開口部を通じて前記収容室内の気体を排気することを特徴とする請求項6、7又は8記載の塗布体の製造方法。
  10. 液滴を塗布対象物に噴射して塗布するステップと、
    前記液滴が塗布された前記塗布対象物が収容される収容位置から離間させて設けられ複数の貫通孔を有する分散板、及び前記収容位置と前記分散板との間に前記収容位置に対して接離可能に設けられた遮蔽板を具備する収容室に、前記液滴が塗布された前記塗布対象物を前記収容位置に位置付けて収容し、収容した前記塗布対象物に前記遮蔽板を近接させるステップと、
    前記分散板より天面側の側面及び前記天面からなる面内に設けられた開口部を通じて前記収容室内の気体を排気するステップと、
    を有することを特徴とする塗布体の製造方法。



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