JP2007251762A - 水晶振動子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】角速度が発生していないとき、振動脚に面外振動を生じない振動ジャイロ用の水晶振動子の製造方法を提供する。
【解決手段】Zカット水晶板をウエットエッチング加工する水晶振動子の製造方法において、水晶振動子を構成する水晶振動片の外形形状を決めるための耐食膜パターンを−Z軸側の主表面のみに形成し、+Z軸側の主表面は全面を耐食膜で被覆する。水晶振動片は、基部に複数の振動脚を有し、振動脚の長手方向がY軸と平行に形成されるとともに、振動脚の先端側が−Y方向で基部側が+Y方向となることを特徴とする。また前記のY、Z軸に関する+−の符号を逆転した構成も可能である。
【選択図】図1
【解決手段】Zカット水晶板をウエットエッチング加工する水晶振動子の製造方法において、水晶振動子を構成する水晶振動片の外形形状を決めるための耐食膜パターンを−Z軸側の主表面のみに形成し、+Z軸側の主表面は全面を耐食膜で被覆する。水晶振動片は、基部に複数の振動脚を有し、振動脚の長手方向がY軸と平行に形成されるとともに、振動脚の先端側が−Y方向で基部側が+Y方向となることを特徴とする。また前記のY、Z軸に関する+−の符号を逆転した構成も可能である。
【選択図】図1
Description
本発明は、Zカット水晶板をウエットエッチング加工して得られる振動ジャイロの製造方法に関するものである。
水晶振動子の適用例の一つとして振動ジャイロがある。振動ジャイロは、航空機,車両等の移動体の姿勢制御装置,自動車のナビゲーションシステム,ビデオカメラの手振れ検出装置等に使用されている。
この振動ジャイロには、一般的に、二脚又は三脚の音叉型水晶ジャイロ(適宜、振動ジャイロと略称する)がある。二脚の音叉型水晶ジャイロは、駆動用圧電素子が設けられた第1の振動脚と、検出用圧電素子が設けられた第2の振動脚とからなっており、三脚の音叉型水晶ジャイロは、駆動用圧電素子が設けられた第1及び第2の振動脚と、検出用圧電素子が設けられた第3の振動脚とからなっている。
例えば、二脚の音叉型水晶ジャイロは、二脚音叉型水晶振動片をパッケージに収納した水晶振動子を用いて構成され、駆動電極を設けた振動脚(駆動脚)を励振することにより、検出電極を設けた振動脚(検出脚)を駆動脚の励振方向と同一方向に共振させる。この水晶振動子が回転すると、検出電極が設けられた振動脚(検出脚)は、回転により受けるコリオリ力によって、励振方向と直交する方向に振動する。この振動を検出電極で検出することによって、水晶振動子が回転する角速度を検出することができる。
また、上記振動ジャイロは、角速度を積分することによって回転した角度を算出することができる。そのため、角速度に誤差が含まれると、この誤差が累積して角度誤差となる。したがって、振動ジャイロの測定精度を向上させるためには、角速度の誤差を低減することが重要である。
水晶振動片を製造する一般的な方法は、水晶板の両主表面に水晶振動片の外形形状を決めるための耐食膜パターンを形成してから、ウエットエッチング加工を行い、その後電極を形成するという方法である。この方法では、両主表面に形成する耐食膜パターンの位置を厳密に合わせることが困難であるため、ウエットエッチング加工後の水晶振動片の形状がばらつき、周波数等の特性を安定させることができない。振動ジャイロの場合、両主表面の耐食膜パターンの位置がずれると振動脚の断面形状にゆがみが生じ、駆動脚を振動させると角速度が生じていなくても面外振動が生じるという問題がある。
また、振動脚側面や、振動脚が基部と連結している部分(叉部)には、水晶の結晶異方性に起因するエッチング残渣が残る。叉部のエッチング残渣により振動脚の面内振動が妨げられ、面外振動の原因となるという問題がある。これらの面外振動が、角速度とは無関係な出力(漏れ出力)を生じ、ノイズやドリフトの原因となって、振動ジャイロの精度を悪化させる。
両主表面に形成する耐食膜パターンの位置ずれに起因する不具合を解決する方法として、耐食膜パターンを一方の主表面のみに形成し、他方の主表面は全体を耐食膜で被覆した状態でウエットエッチング加工を行うという方法がある(例えば特許文献1)。
特開昭52−035592号公報(第4図)
特許文献1に示される水晶振動片の製造方法は、耐食膜パターンを片方の主表面のみに形成するため耐食膜パターンの位置合わせは不要になり、水晶振動片の形状のばらつきを小さくすることができる。両主表面の耐食膜パターンの位置ずれによる振動脚の断面形状のゆがみもなくすことができる。しかし、叉部のエッチング残渣は形成されるので、駆動脚を振動させると、角速度が発生していなくても面内振動だけではなく面外振動が生じるという問題が残る。
そこで、本発明の目的は、角速度が発生していないときに駆動脚を振動させても、面外振動を生じない振動ジャイロの製造方法を提供することである。
本発明の発明者は、耐食膜パターンを水晶板の一方の主表面のみに形成し、他方の主表面の全面を耐食膜で被覆した状態でウエットエッチング加工を行うとき、特定のカット角に切り出した水晶板を使用し、特定の軸方向に水晶振動片の外形形状を合わせ、耐食膜パターンを特定の軸方向の主表面に形成することにより、叉部のエッチング残渣が面内振動を妨げない形状となり、面外振動の生じない振動ジャイロが得られることを見出した。
本発明の水晶振動子の製造方法は、Zカット水晶板の一方の主表面に水晶振動片の外形形状を決めるための耐食膜パターンを形成し、他方の主表面は全面を耐食膜で被覆した状態でウエットエッチング加工を行い水晶振動片の外形を形成するとき、前記Zカット水晶板の水晶振動片の外形形状を決めるための耐食膜パターンを形成する主表面は−Z軸側の主表面であり、水晶振動片は、基部に複数の振動脚を有し、振動脚の長手方向がY軸と平行に形成されるとともに、振動脚の先端側が−Y方向で基部側が+Y方向となることを特徴とする。
または、Zカット水晶板の一方の主表面に水晶振動片の外形形状を決めるための耐食膜パターンを形成し、他方の主表面は全面を耐食膜で被覆した状態でウエットエッチング加工を行って水晶振動片の外形を形成するとき、前記Zカット水晶板の水晶振動片の外形形状を決めるための耐食膜パターンを形成する主表面は+Z軸側の主表面であり、水晶振動片は、基部に複数の振動脚を有し、振動脚の長手方向がY軸と平行に形成されるとともに、振動脚の先端側が+Y方向で基部側が−Y方向となることを特徴とする。前記のいずれかの製造方法で作った水晶振動子は、振動ジャイロに好適である。
本発明の水晶振動子の製造方法によれば、角速度が発生していないとき、振動脚に面外振動を生じない振動ジャイロを製造することができる。
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の製造方法により得られた二脚音叉型水晶振動片の図面で、図1(a)は平面図、図1(b)は前記二脚音叉型振動片の脚先から基部の方向を見た図で、振動脚11、12の先端面に描いた矢印は振動方向を表している。
図1(a)、(b)において、二脚音叉型水晶振動片10は、平行に配置された駆動脚11と検出脚12が、基部13と一体に形成された構造となっている。各脚の伸びる方向(長手方向)はY軸と平行であり、基部13側が+Y軸方向で、脚先端が−Y軸方向である。図1(a)で見えている主表面は+Z軸方向であり、ウエットエッチング加工のとき、この主表面は全面を耐食膜で被覆した状態で、水晶振動片の外形形状を決めるための耐食膜パターンは、反対側である−Z軸側の主表面に形成したものである。
二本の脚11、12が基部13と連結している部分(叉部)は、+X軸側、−X軸側両方に、水晶の結晶異方性に起因するエッチング残渣として14、15、16、17が生じる。これらのエッチング残渣14、15、16、17は二本の脚11、12のそれぞれの両側に対称に生じるため、駆動脚11を励振したときにどちらの振動脚にも面外振動を生じない。
また、図2は本発明の別の実施形態である。図1の構成と同じものには同じ番号をつけている。図2(a)で見えている主表面は+Z軸方向であり、ウエットエッチング加工のとき、この主表面に水晶振動片の外形形状を決めるための耐食膜パターンを形成し、反対側である−Z軸側の主表面は全面を耐食膜で被覆したものである。
図1と同様に、二本の脚11、12が基部13と連結している部分(叉部)は、+X軸側、−X軸側両方に、水晶の結晶異方性に起因するエッチング残渣として14、15、16、17が生じる。これらのエッチング残渣14、15、16、17は二本の脚11、12のそれぞれの両側に対称に生じるため、駆動脚11を励振したときにどちらの脚にも面外振動を生じない。
図3に、比較例の二脚音叉型水晶振動片を示す。図3(a)は平面図、図3(b)は脚先から基部の方向を見た図である。図1の構成と同じものには同じ番号をつけてある。結晶軸に対する水晶振動片の脚の方向は図1と同じであるが、水晶振動片の外形形状を決めるための耐食膜パターンを、図1とは逆に+Z軸側の主表面に形成してウエットエッチングしたものである。
図3(a)、(b)では、二本の脚11、12が基部13と連結している部分(叉部)は、駆動脚11の−X軸側と、二本の脚11、12の間にエッチング残渣18、19が生じる。駆動脚11は両側に対称にエッチング残渣が生じるので面外振動は生じないが、検出脚12は−X方向の片側のみにエッチング残渣が生じるため、駆動脚11を励振したときに振動のバランスがくずれて、先端面の矢印に見るように面外振動を生じる。
図4は別の比較例で、水晶振動片の脚の結晶軸に対する方向は図1と同じで、水晶振動片の外形形状を決めるための耐食膜パターンを両方の主表面に形成し、ウエットエッチング加工が水晶板の両側から進んだときの状態を示す。図1の構成と同じものには同じ番号をつけている。
図4(a)、(b)では、二本の脚11、12が基部13と連結している部分(叉部)で、どちらも−X軸側にエッチング残渣20、21が生じる。脚の片側のみにエッチング残渣が生じるため、駆動脚11を励振したときに振動のバランスがくずれて、両振動脚とも先端面の矢印に見るように面外振動を生じる。
なお、以上の説明におけるZカット水晶板の主平面または振動脚の長手方向を、水晶の結晶軸であるY軸、Z軸からそれぞれ若干傾けて製造しても構わない。傾ける角度は一般的にはプラスマイナス5°以内である。
本発明の水晶振動子は、振動ジャイロに適用することができ、航空機,車両等の移動体の姿勢制御装置,自動車のナビゲーションシステム,ビデオカメラの手振れ検出装置等に利用することができる。
10 二脚音叉型水晶振動片
11 駆動脚
12 検出脚
13 基部
14、15、16、17、18、19、20、21 叉部残渣
11 駆動脚
12 検出脚
13 基部
14、15、16、17、18、19、20、21 叉部残渣
Claims (3)
- 水晶振動子を構成する水晶振動片であって基部と一体の複数の振動脚を有する水晶振動片を製造するに当たり、Zカット水晶板の一方の主表面に水晶振動片の外形形状を決めるための耐食膜パターンを形成し、他方の主表面は全面を耐食膜で被覆した状態でウエットエッチング加工を行って外形を形成する製造方法において、
振動脚の長手方向を前記Zカット水晶板のY軸と平行に形成して、振動脚の先端側を−Y方向、基部側を+Y方向とし、
前記Zカット水晶板の−Z軸側の主表面に水晶振動片の外形形状を決めるための耐食膜パターンを形成してエッチングすることを特徴とする水晶振動子の製造方法。 - 請求項1における前記Zカット水晶板のY、Z軸に関する+−の符号を逆転したことを特徴とする水晶振動子の製造方法。
- 請求項1または請求項2に記載の水晶振動子の製造方法において、
前記Zカット水晶板の主表面または振動脚の長手方向を、水晶の結晶軸であるY、Z軸に対し最大±5°までの範囲で傾斜させることを特徴とする水晶振動子の製造方法。
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2006
- 2006-03-17 JP JP2006074569A patent/JP2007251762A/ja active Pending
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