JP2007246627A - タイヤトレッド用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ - Google Patents

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尚博 佐坂
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Abstract

【課題】低燃費性及び操縦安定性を維持しつつ、乾燥路面及び湿潤路面での制動性を向上し得るタイヤトレッド用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】(A)天然ゴム及び合成ゴムから選ばれる少なくとも一種以上のゴムからなるゴム成分100質量部に対して、(B)ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量が5,000〜500,000である芳香族ビニル−共役ジエン共重合体2〜70質量部と、(C)シリカ10〜150質量部及び(D)同一分子内に、前記ゴム成分に対する反応基A1個以上と前記シリカに対する吸着基B2個以上を有する化合物0.5〜6質量部を含むことを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤトレッド用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤに関する。さらに詳しくは、本発明は、低燃費性及び操縦安定性を維持しつつ、乾燥路面及び湿潤路面での制動性に優れる空気入りタイヤを与えるタイヤトレッド用ゴム組成物、及びそれを用いた空気入りタイヤに関するものである。
近年、省エネルギーの社会的な要請によって、自動車の低燃費化に対する要求はより過酷なものとなりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の減少が求められてきている。タイヤの転がり抵抗を下げて低燃費性を向上する手法としては、タイヤ構造の最適化による手法についても検討されてきたものの、ゴム組成物としてより発熱の少ない材料を用いることが最も一般的な手法として行われている。
このような発熱の小さいゴム組成物を得るために、これまで、ゴム組成物に使用する充填材の分散性を高める技術開発が数多くなされてきた。その中でも特に、リチウム化合物を用いたアニオン重合で得られる共役ジエン系重合体の重合活性部位を充填材と相互作用を持つ官能基にて修飾する方法が、最も一般的になっている。
このような方法の中で最も代表的なものとして、充填材にカーボンブラックを用い、重合活性部位をスズ化合物にて修飾する方法(例えば特許文献1参照)、同様にカーボンブラックを用い、重合活性末端にアミノ基を導入する方法(例えば特許文献2参照)、アミノシラン化合物を導入する方法(例えば特許文献3参照)等が知られている。
一方、近年、自動車の安全性への関心の高まりに伴い、低燃費性能のみならず、操縦安定性並びに乾燥路面及び湿潤路面での制動性についても要求が高まってきた。このため、タイヤトレッドのゴム組成物に対する性能要求は、単なる転がり抵抗の低減に止まらず、低燃費性能と、操縦安定性並びに乾燥路面及び湿潤路面での制動性とを高度に満足するものが必要とされている。
これらの要求される諸特性の内、良好な低燃費性と良好な湿潤路面での制動性とを同時にタイヤに与えるゴム組成物を得る方法として、これまで一般的に用いられてきた補強用充填材であるカーボンブラックに変えてシリカを用いる方法がすでに行われている。
しかしながら、シリカ配合量を増量すると低燃費性が低下し、シリカ配合量を減量すると低燃費性は向上するものの操縦安定性並びに乾燥路面及び乾燥路面での制動性が低下する不具合があった。
また、アロマティックオイル等の軟化剤を配合することにより、湿潤路面での制動性を向上することが知られているが、低燃費性、操縦安定性及び乾燥路面での制動性が低下する不具合があった。
そこで、空気入りタイヤの低燃費性及び操縦安定性を維持しつつ、乾燥路面及び湿潤路面での制動性を向上し得るタイヤトレッド用ゴム組成物が要望されていた。
特開平05−043738号公報 特開昭62−207342号公報 特公平6−57767号公報 特開平01−197541号公報 特開平9−118785号公報 特開2003−176378号公報
本発明は、このような状況下で、低燃費性及び操縦安定性を維持しつつ、乾燥路面及び湿潤路面での制動性を向上し得るタイヤトレッド用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とするものである。
本発明者らは前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の重量平均分子量を有する芳香族ビニル−共役ジエン共重合体、シリカ及びゴムとシリカの双方に反応性を有する特定の化合物を配合することにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)(A)天然ゴム及び合成ゴムから選ばれる少なくとも一種以上のゴムからなるゴム成分100質量部に対して、(B)ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量が5,000〜500,000である芳香族ビニル−共役ジエン共重合体2〜70質量部と、(C)シリカ10〜150質量部及び(D)同一分子内に、前記ゴム成分に対する反応基A1個以上と前記シリカに対する吸着基B2個以上を有する化合物0.5〜6質量部を含むことを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物、
(2)(B)成分である芳香族ビニル−共役ジエン共重合体が、結合芳香族ビニル含有量5〜80質量%、かつ共役ジエン部分のビニル結合含有量10〜80%である上記1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物、
(3)(B)成分である芳香族ビニル−共役ジエン共重合体が、スズ含有化合物、ケイ素含有化合物及び窒素含有化合物から選ばれる少なくとも一種以上の化合物で変性されてなる上記1又は2に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物、
(4)(B)成分である芳香族ビニル−共役ジエン共重合体が、スチレン−ブタジエン共重合体である上記1〜3のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物、
(5)ゴム成分100質量部に対して、(B)成分である芳香族ビニル−共役ジエン共重合体と軟化剤との総量が5〜80質量部である上記1〜4のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物、
(6)さらに、ゴム成分100質量部に対して、(E)カーボンブラック及び/又はシリカ以外の無機充填材を、(C)成分のシリカとの合計量が20〜180質量部の範囲になるように5〜80質量部の割合で含む上記1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物、
(7)(C)成分のシリカ並びに(E)成分のカーボンブラック及び/又はシリカ以外の無機充填材の総量の内、(C)成分のシリカの比率が30質量%以上である上記6に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物、
(8)さらに、(F)シランカップリング剤を、(C)成分のシリカに対して1〜20質量%の割合で含む上記1、6又は7に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物、
(9)(D)成分における反応基Aが、非芳香族共役2重結合基又は2重結合にカルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基及びアミド基から選ばれる1種が隣接した基である上記1〜8のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物、
(10)反応基Aが、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸及びソルビン酸から選ばれる不飽和カルボン酸から誘導される基である、上記9に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物、
(11)(D)成分における吸着基Bがカルボキシル基である上記1〜10のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物、
(12)(D)成分の化合物が、さらにオキシアルキレン基を有する上記1〜11のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物、
(13)(D)成分の化合物が、両末端カルボン酸型のポリエチレングリコール/マレイン酸ポリエステルである上記12に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物、及び
(14)上記1〜13のいずれかに記載のゴム組成物をトレッドゴムに用いてなる空気入りタイヤ、
を提供するものである。
本発明によれば、低燃費性及び操縦安定性を維持しつつ、乾燥路面及び湿潤路面での制動性を向上し得るタイヤトレッド用ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤを提供することができる。
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物(以下、単にゴム組成物と称することがある)は、必須成分として、(A)天然ゴム及び合成ゴムから選ばれる少なくとも一種以上のゴムからなるゴム成分、(B)ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量が5,000〜500,000である芳香族ビニル−共役ジエン共重合体、(C)シリカ及び(D)同一分子内に、前記ゴム成分に対する反応基A1個以上と前記シリカに対する吸着基B2個以上を有する化合物を含み、さらに、所望により、(E)カーボンブラック及び/又はシリカ以外の無機充填材及び(F)シランカップリング剤を含有することができる。
前記(A)成分のゴム成分に含まれる天然ゴム及び/又は合成ゴムにおいて、
天然ゴムとしては、極性基含有単量体、スズ含有単量体又はアルコキシシリル基含有単量体をグラフト重合させてなる変性天然ゴムも含まれる。また、合成ゴムとしては、例えばポリイソプレン合成ゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、(B)成分以外のスチレン−ブタンジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレン三元共重合体ゴム(EPDM)等が挙げられる。この(A)成分の天然ゴムや合成ゴムは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記合成ゴムの一部が多官能型、例えば四塩化スズのような変性剤を用いることにより、分岐構造を有しているものでもよい。
(A)成分としては、乗用車用、軽自動車用、小型トラック用等の小型タイヤに用いられるタイヤトレッド用ゴム組成物には、(B)成分以外のスチレン−ブタンジエンゴム(以下、単にSBRと称することがある)単独又はこのSBRと天然ゴム及び/若しくは他の合成ゴムとの併用が好ましい。一方、トラック・バス用等の大型タイヤに用いられるタイヤトレッド用ゴム組成物には、天然ゴム単独又はこの天然ゴムと合成ゴムとの併用が好ましい。
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物の(B)成分として、ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量が5,000〜500,000であることを要する。そして、好ましくは20,000〜150,000、より好ましくは50,000〜150,000である低分子量芳香族ビニル−共役ジエン共重合体が用いられる。5,000未満では、低燃費性、操縦安定性及び乾燥路面での制動性が低下し500,000を超えると作業性が低下するからである。また、分子量分布は狭いのが好ましい。広いと低燃費性が低下する傾向となる。
また、(B)成分である芳香族ビニル−共役ジエン共重合体が、結合芳香族ビニル含有量5〜80質量%、かつ共役ジエン部分のビニル結合含有量10〜80%であることが好ましい。結合芳香族ビニル含有量及び共役ジエン部分のビニル結合含有量がこの範囲であれば、所望する低燃費性、操縦安定性並びに乾燥路面及び湿潤路面での制動性の並立が可能となるからである。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。好ましくは、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレンが挙げられる。特に、スチレンが好ましい。
共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、1,3−イソプレン、ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン等が用いられ、特に、1,3−ブタジエンが好ましい。
(B)成分である芳香族ビニル−共役ジエン共重合体(以下、単に共重合体(B)と称することがある)は、所定の分子構造が与えられる限り、種々の製造方法によって得ることができる。また、この共重合体(B)としては、各種液状のポリマー又はゴムが適用可能であり、好ましくは、スチレンとブタジエンとを溶液重合することにより好適に製造される。特に好ましくは、共重合体(B)は溶液重合スチレンーブタジエン共重合体である。
共重合体(B)は、(1)単量体である芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とを重合開始剤を用いて共重合させ、重合活性部位を有する芳香族ビニル一共役ジエン共重合体を生成させた後、該重合活性部位を各種変性剤で変性する方法や、(2)単量体である芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物とを官能基を有する重合開始剤を用いて共量合させる方法で得ることができる。(例えば、特許文献4及び5参照)
上記共重合体(B)の重合に用いる重合開始剤としては、有機リチウム化合物が好ましく、ヒドロカルビルリチウム及びリチウムアミド化合物等の窒素含有有機リチウム化合物が更に好ましい。なお、重合開始剤として有機リチウム化合物を用いた場合、芳香族ビニル化合物と共役ジェン化合物とは、アニオン重合で共重合される。重合開始剤としてヒドロカルビルリチウムを用いる場合、重合開始末端にヒドロカルビル基を有し、他方の末端が重合活性部位である共重合体が得られる。一方、重合開始剤としてリチウムアミド化合物を用いる場合、重合開始末端に窒素含有官能基を有し、他方の末端が重合活性部位である共重合体が得られ、該共重合体は、変性剤で変性することなく、窒素含有化合物で変性された共重合体(B)と同様に用いることができる。なお、重合開始剤の使用量は、単量体100g当り0.2〜20ミリモルの範囲が好ましい。
上記ヒドロカルビルリチウムとしては、エチルリチクム、n−プロピルリチウム、イソプロビルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチルーフェニルリチウム、4−フェニルーブチルリチウム、シクロへキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物等が挙げられ、これらの中でも、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム等のアルキルリチウムが好ましく、n−ブチルリチウムが特に好ましい。
ー方、上記リチウムアミド化合物としては、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジヘキシルアミド、リチウムジヘブチルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピペラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムメチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド等が挙げられ、これらの中でも、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムへプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド等の環状のリチウムアミド化合物が好ましく、リチウムヘキサメチレンイミド及びリチウムビロリジドが特に好ましい。
上記重合開始剤を用いて、芳香族ビニル化合物一共役ジエン化合物共重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、例えば、重合反応に不活性な炭化水素溶媒中で、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との混合物を重合させることで共重合体を製造することができる。ここで、重合反応に不括性な炭化水素溶媒としては、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−へキセン、2−へキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
また、共重合体(B)の共役ジエン部分のビニル結合含有量を10〜80%に制御するためには、共役ジエン微細構造調節剤(以下、ランダマイザーと称することがある)としてルイス塩基を用いることができる。このようなルイス塩基の代表的な例は、エーテル、及び第三アミン、例えばジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ビステトラヒドロフリルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジペリジンエタン、カリウム−t−アミレート、カリウム−t−ブトキシド及びナトリウム−t−アミレートが挙げられる。(例えば、特許文献5参照)
これらランダマイザーの使用量は、重合開始剤1モル当り0.01〜100モル当量の範囲が好ましい。
上記重合反応は、溶液重合で実施することが好ましく、重合反応溶液中の上記単量体の濃度は、5〜50質量%の範囲が好ましく、10〜30質量%の範囲が更に好ましい。なお、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との混合物中の芳香族ビニル化合物の含有率は、5〜80質量%の範囲が好ましく、目的とする共重合体(B)の芳香族ビニル化合物量に応じて適宜選択することができる。また、重合形式は特に限定されず、回分式でも連続式でもよい。
上記重合反応の重合温度は、0〜150℃の範囲が好ましく、20〜130℃の範囲が更に好ましい。また、該重合は、発生圧力下で実施できるが、通常は、使用する単量体を実質的に液相に保つのに十分な圧力下で行うのが好ましい。ここで、重合反応を発生圧力より高い圧力下で実施する場合、反応系を不活性ガスで加圧することが好ましい。また、重合に使用する単量体、重合開始剤、溶媒等の原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物等の反応阻害物質を予め除去したものを用いることが好ましい。
上記重合活性部位を有する共重合体の重合活性部位を変性剤で変性するにあたって、使用する変性剤としては、スズ含有化合物、ケイ素含有化合物及び窒素含有化合物が好ましい。ここで、スズ含有化合物又はケイ素含有化合物の変性剤としては、下記式(I):
1 aZXb ・・・(I)
[式中、R1は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基からなる群から選択され;Zは、スズ又はケイ素であり;Xは、それぞ
れ独立して塩素又は臭素であり;aは0〜3で、bは1〜4で、但し、a+b=4である]で表される変性剤が例示される。式(I)の変性剤で変性することで
、共重合体(B)の耐コールドフロー性を改良することができる。なお、式(I
)の変性剤で変性して得られる共重合体(B)は、少なくとも一種のスズ−炭素結合又はケイ素−炭素結合を有する。
式(I)のR1として、具体的には、メチル基、エチル基、n−ブチル基、ネ
オフィル基、シクロへキシル基、n−オクチル基、2−エチルへキシル基等が挙げられる。
式(I)の変性剤としては、四塩化スズ、トリブチルスズクロリド、ジオクチ
ルスズジクロリド、ジブチルスズジクロリド、塩化トリフェニルスズ等のスズ含有化合物、四塩化ケイ素、トリブチルケイ素クロリド、ジオクチルケイ素ジクロリド、ジブチルケイ素ジクロリド、塩化トリフェニルケイ素等のケイ素含有化合物が挙げられる。
また、窒素含有化合物の変性剤としては、2,4−トリレンジイソシアナート、ジイソシアナートジフェニルメタン等のイソシアネート系化合物;4,4'−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン化合物、1,3−ジメチル−2−イミダゾリドン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリドン等の尿素誘導体、4−ジメチルアミノベンジリデンアニリン等の芳香環含有窒素含有化合物、1,3−ジメチル−2,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、N−メチルピロリドン等の環状窒素含有化合物が挙げられる。
さらに、上記変性剤として好適なケイ素含有化合物としては、下記式(II)
Figure 2007246627
[式中、A1は(チオ)エポキシ、(チオ)インシアネート、(チオ)ケトン、(チオ)アルデヒド、イミン、アミド、イソシアヌル酸トリエステル、(チオ)カルポン酸ヒドロカルビルエステル、(チオ)カルポン酸の食属塩、カルボン酸無水物、カルボン酸ハロゲン化物、炭酸ジヒドロカルビルエステル、環状三級アミン、非環状三級アミン、ニトリル、ピリジン、スルフイド及びマルチスルフイドの中から選ばれる少なくとも一種の官能基を有する一価の基で;R2は単結合又は二価の不活性炭化水素基で;R3及びR4は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基で;nは0〜2の整数であり;R3が複数ある場合、複数のR3は互いに同一でも異なっていてもよく;OR4が複数ある場合、複数のOR4は互いに同一でも異なっていてもよく;また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない]で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物及びその部分縮合物、並びに、下記式(III):
5 p−Si−(OR64-p ・・・(III)
[式中,R5及びR6は、それぞれ独立して炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり;pは0〜2の整数であり;R5が複数ある場合、複数のR5は互いに同一でも異なっていてもよく;OR6が複数ある場合、複数のOR6は互いに同一でも異なっていてもよく;また分子中には活性プロトン及びオニウム塩は含まれない]で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物及びその部分縮合物も好ましい。
式(II)において、A1における官能基の中で、イミンはケチミン、アルジミン、アミジンを包含し、(チオ)カルボン酸エステルは、アクリレートやメタクリレート等の不飽和カルボン酸エステルを包含し、非環状三級アミンは、N、N-二置換アニリン等のN、N-二置換芳香族アミンを包含し、また環状三級アミンは、環の一部として(チオ)エーテルを含むことができる。また、(チオ)カルボン酸の金属塩の金属としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Zn等を挙げることができる。
2のうちの二価の不活性炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基が好ましい。該アルキレン基は直鎖状,枝分かれ状,環状のいずれであってもよいが、特に直鎖状のものが好適である。該直鎖状アルキレン基としては、メチレン基,エチレン基,トリメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,オクタメチレン基,デカメチレン基,ドデカメチレン嘉等が挙げられる。
またR3及びR4としては、炭素数l〜20のアルキル基,炭素数2〜18のアルケニル基,炭素数6〜18のアリール基,炭素数7〜18のアラルキル基等が挙げられる。ここで、上記アルキル基及びアルケニル基は直鎖状,枝分かれ状.環状のいずれであってもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロへキンル基、ビニル基、プロぺニル基、アリル基、へキセニル基、オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロへキセニル基等が挙げられる。また、上記アリール基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、例えば、フェニル基,トリル基,キシリル基,ナフチル基等が挙げられる。更に、上記アラルキル基は、芳香環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよく、例えば、ベンジル基,フェネチル基,ナフチルメチル基等が挙げられる。
式(II)において、nは0〜2の単数であるが、0が好ましく、また、この分子中には活性プロトン及びオニウム塩を有しないことが必要である。
式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えば(チオ)エポキシ基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、(2−グリシドキシエチル)メチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(3−グリンドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチル(メチル)ジメトキシシラン及びこれらの化合物におけるエポキシ基をチオエポキシ基に置き換えたものを挙げることができるが、これらの中でも、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
また、イミン基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物として、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−エチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(シクロへキシリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン及びこれらのトリエトキシシリル化合物に対応するトリメトキシシリル化合物、メチルジエトキシシリル化合物、エチルジエトキシシリル化合物、メチルジメトキシシリル化合物、エチルジメトキシシリル化合物等を挙げることができるが、これらの中でも、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン及びN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンが特に好ましい。
更に、イミン(アミジン)基含有化合物としては、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4,5−ジヒドロイミダゾール、1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−トリエトキシシリルプロピル]−4,5−ジヒドロイミダゾール、N−(3−イソプロポキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダノール、N−(3−メチルジエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール等が挙げられ、これらの中でも、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾールが好ましい。
また更に、カルボン酸エステル基含有化合物としては、3−メタクリロイロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイロキシプロビルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイロキンプロピルトリイソプロポキシシラン等が挙げられ、これらの中でも、3−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
また、イソシアネート基含有化合物としては、3−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアナトプロピルトリイソプロポキシシラン等が挙げられ、これらの中でも、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシランが好ましい。
更に、カルボン酸無水物含有化合物としては、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−メチルジエトキシシリルプロピルコハク酸無水物等が挙げられ、これらの中でも、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物が好ましい。
また、環状三級アミン基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリメトキシ)シラン、(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン、(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリエトキシ)シラン、2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリエトキシ)シラン、2−(1−ヘキサメチレンイミノ)エチル(トリメトキシ)シラン、3−(1−ピロリジニル)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ピロリジニル)プロピル(トリメトキシ)シラン、3−(1−へプタメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ドデカメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(ジエトキシ)エチルシラン,3−[10−(トリエトキシシリル)デシル]−4−オキサゾリン等が挙げられ、これらの中でも、3−(1−ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン及び(1−ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シランが好ましい。
更に、非環状三級アミン基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、3−ジメチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−ジメチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン、3−ジエチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン、3−ジエチルアミノプロピル(トリメトキシ)シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリエトキシ)シラン、2−ジメチルアミノエチル(トリメトキシ)シラン、3−ジメチルアミノプロピル(ジエトキシ)メチルシラン、3−ジブチルアミノプロピル(トリエトキシ)シラン等が挙げられ、これらの中でも、3−ジエチルアミノプロピル(トリエトキン)シラン及び3−ジメチルアミノプロビル(トリエトキシ)シランが好ましい。
また更に、その他のヒドロカルビルオキンシラン化合物としては、2−(トリメトキシシリルエチル〉ピリジン、2−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、2−シアノエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
上記式(II)のヒドロカルビルオキシシラン化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、上記ヒドロカルビルオキシシラン化合物の部分縮合物も用いることができる。
式(III)において、R5及びR6については、それぞれ上記式(II)におけるR3及びR4について説明したとおりである。
式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン等が挙げられ、これらの中でも、テトラエトキシシランが特に好ましい。
式(III)のヒドロカルビルオキシシラン化合物は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらヒドロカルビルオキシシラン化合物の部分縮合物を用いることもできる。
上述の変性剤の中で、シリカとカーボンブラックとの双方にカップリングし得るという観点から、イソシアネート系化合物、アミノベンゾフェノン化合物、尿素誘導体、芳香環含有窒素含有化合物及び環状窒素含有化合物、並びにイミン基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物、イミン(アミジン)基含有化合物、イソシアネート基含有化合物、環状三級アミン基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物、非環状三級アミン基含有ヒドロカルビルオキシシラン化合物等の窒素含有シラン化合物から選ばれる窒素含有化合物が特に、好ましい。
上記変性剤による重合活性部位の変性反応は溶液反応で行うことが好ましく、該溶液中には、重合時に使用した単量体が含まれていてもよい。また、変性反応の反応形式は特に制限されず、バッチ式でも連続式でもよい。更に、変性反応の反応温度は、反応が進行する限り特に限定されず、重合反応の反応温度をそのまま採用してもよい。なお、変性剤の使用量は、共重合体の製造に使用した重合開始剤1モルに対し、0.25〜3.0モルの範囲が好ましく、0.5〜1.5モルの範囲が更に好ましい。
本発明においては、上記共重合体(B)を含む反応溶液を乾燥して共重合体(B)を分離した後、得られた共重合体(B)を上記ゴム成分(A)に配合してもよいし、共重合体(B)を含む反応溶液を上記ゴム成分(A)のゴムセメントに溶液状態で混合した後、乾燥して、ゴム成分(A)及び共重合体(B)の混合物を得てもよい。
本発明において、共重合体(B)は、前記(A)成分であるゴム成分100質量部に対して、2〜70質量部含まれる。2質量部未満では乾燥路面及び湿潤路面での制動性の改良効果が不十分であり、70質量部を超えると耐摩耗性が悪化するからである。
また、共重合体(B)と軟化剤との総量が、前記(A)成分であるゴム成分100質量部に対して、5〜80質量部、好ましくは5〜60質量部であることが作業性と耐摩耗性の双方を満足する観点から好ましい。軟化剤と併用する共重合体(B)としては、上述の20,000〜150,000(より好ましくは50,000〜150,000)である低分子量芳香族ビニル−共役ジエン共重合体が好適に用いられる。
ここで、軟化剤とは、例えばパラフィン系、ナフテン系、アロマチック系等のプロセス油、石油樹脂、可塑剤等を挙げることができる。プロセス油としては、引張強度、耐摩耗性を重視する用途にはアロマチック系が、ヒステリシスロス、低温特性を重視する用途にはナフテン系又はパラフィン系が用いられる。本発明における軟化剤の使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0〜78質量部が好ましく、78質量部以下であれば加硫ゴムの引張強度、低発熱性が良好となる。
本発明のゴム組成物の低燃費性向上のためには、軟化剤を含有しないことが好ましいが、作業性向上のためには、軟化剤を含有することが好ましい。
本発明のゴム組成物において、(C)成分として用いられるシリカとしては特に制限はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意に選択して用いることができる。
このシリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、中でも破壊特性の改良効果並びにウェットグリップ性の両立効果が最も顕著である湿式シリカが好ましい。この湿式シリカは、補強性、加工性、ウェットグリップ性、耐摩耗性のバランス等の面から、BET法による窒素吸着比表面積(N2SA)が140〜280m2/gであることが好ましく、170〜250m2/gであることがより好ましい。好適な湿式シリカとしては、例えば東ソー・シリカ(株)製のAQ、VN3、LP、NA等、デグッサ社製のウルトラジルVN3(N2SA:210m2/g)等が挙げられる。
当該シリカの含有量は、前記(A)成分であるゴム成分100質量部に対して、10〜150質量部、好ましくは30〜80質量部の範囲で選定される。当該シリカの含有量が10質量部未満では、後述する(D)成分の化合物による操縦安定性及び乾燥路面での制動性の向上効果が不十分であるし、150質量部を超えると低燃費性及び作業性が悪化するからである。
本発明のゴム組成物においては、(D)成分として、同一分子内に、前記(A)成分であるゴム成分に対する反応基A1個以上と前記(C)成分のシリカに対する吸着基B2個以上を有する化合物(以下、化合物(D)と称することがある。)が用いられる。
前記化合物(D)において、ゴム成分に対する反応基Aは、2重結合を有する基であって、該2重結合を活性化する基が隣接するものが好ましく、特に非芳香族共役2重結合基又は2重結合にカルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基及びアミド基から選ばれる1種が隣接した基であることが好ましい。なお、ここで隣接とは2重結合の両端又は一方にカルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基及びアミド基から選ばれる1種を有することをいう。
当該化合物(D)としては、反応基Aがマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸又はソルビン酸から選ばれる不飽和カルボン酸から誘導される基であることが好ましく、中でもマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸から誘導される基、特にはマレイン酸、アクリル酸から誘導される基であることが最も好ましい。吸着基Bに関しては、カルボキシル基が好ましい。また、化合物(D)はさらにオキシアルキレン基を有することが好ましい。オキシアルキレン基を有することによって、ゴムとの相溶性が向上し、シリカ等の無機充填材との親和性が良好となる。オキシアルキレン基の平均付加モル数は、ゴムに対する反応基Aの個数1個当たり、1〜30モルの範囲であることが好ましく、さらには1〜20モル、特には2〜15モルの範囲であることが好ましい。(例えば、特許文献6参照)
化合物(D)の具体例としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、クエン酸等のポリカルボン酸モノ[(メタ)アクリロイルオキシアルキル]エステル[ここで(メタ)アクリロイルは、メタクリロイル又はアクリロイルを示す。];,マレイン酸モノリンゴ酸エステル等の不飽和カルボン酸とオキシカルボン酸との(ポリ)エステル;エチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のジオールとマレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸との両末端にカルボキシル基を有するエステル;N−(2−カルボキシエチル)マレアミド酸等のN−(カルボキシアルキル)マレアミド酸;下記一般式(IV)、(V)又は(VI)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2007246627
一般式(IV)において、A2、A3及びA4はこれらのうち一つが式−(R7O)n−CO−CR8=CR9−R10で表される基であり、他は水素原子である。ここでR7は炭素数2〜4のアルキレン基、好ましくはエチレン基又はプロピレン基である。またR8、R9及びR10はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であって、好ましくはR8が水素原子又はメチル基、R9及びR10が水素原子である。nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す1〜30の数であり、好ましくは1〜20、さらには好ましくは2〜15の数である。
Figure 2007246627
一般式(V)において、R11、R12及びR13はそれぞれ独立に炭素数2〜4のアルキレン基、好ましくはエチレン基又はプロピレン基であり、m1、m2及びm3はそれぞれオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す数で、m1+m2+m3が0〜90、好ましくは3〜60、さらに好ましくは6〜45となる数である。
HOOC−CH=CH−COO−R14−OOC−CH=CH−COOH
・・・(VI)
一般式(VI)において、R14は、式−R15O−で示される基、式−(R16O)s−で示される基、式−CH2CH(OH)CH2O−で示される基又は式−(R17O−COR18−COO−)t17O−で示される基である。ここで、R15は炭素数2〜36のアルキレン基,アルケニレン基又は2価の芳香族炭化水素基であって、好ましくは炭素数2〜18のアルキレン基又はフェニレン基、さらに好ましくは炭素数4〜12のアルキレン基である。またR16は炭素数2〜4のアルキレン基、好ましくはエチレン基又はプロピレン基であり、sはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す1〜60の数であり、好ましくは2〜40、さらに好ましくは4〜30の数である。R17は炭素数2〜18のアルキレン基、アルケニレン基、2価の芳香族炭化水素基又は−(R19O)u19−であり(R19は炭素数2〜4のアルキレン基、uはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す1〜30の数であり、好ましくは1〜20、さらに好ましくは2〜15の数である)、R18は炭素数2〜18のアルキレン基、アルケニレン基又は2価の芳香族炭化水素基であって、好ましくは炭素数2〜12のアルキレン基又はフェニレン基、さらに好ましくは炭素数2〜8のアルキレン基である。tは平均値で1〜30、好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜15の数である。
一般式(IV)で表される化合物の具体例としては、トリメリット酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)エステル、トリメリット酸モノ[2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エチル]エステル、トリメリット酸モノ(ω−(メタ)アクリロイルオキシポリオキシエチレン(10))エステル等のトリメリット酸モノ(ω−(メタ)アクリロイルオキシPOA(n))エステル(ここで(メタ)アクリロイルはメタクリロイル又はアクリロイルを示し、POA(n)はオキシエチレン又はオキシプロピレンが平均して1〜30モル付加したポリオキシエチレン(以下、「POE」と略記することがある)又はポリオキシプロピレン(以下、「POP」と略記することがある)を示す。)が挙げられる。
一般式(V)で表される化合物の具体例としては、POE(8)グリセリントリマレエート、POE(3)グリセリントリマレエート、POP(10)グリセリントリマレエート等のPOA(m)グリセリントリマレエート(ここでPOA(m)はオキシエチレン又はオキシプロピレンが平均して0〜90モル付加したポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンを示す。)等が挙げられる。
一般式(VI)で表される化合物の具体例としては、グリセリンジマレエート、1,4−ブタンジオールジマレエート、1,6−ヘキサンジオールジマレエート等のアルキレンジオールのジマレエート、1,6−ヘキサンジオールジフマレート等のアルキレンジオールのジフマレート、PEG200ジマレエート、PEG600ジマレエート等のポリオキシアルキレングリコールのジマレエート(ここでPEG200、PEG600とは、それぞれ平均分子量200又は600のポリエチレングリコールを示す)、両末端にカルボキシル基を有するポリブチレンマレエート、両末端にカルボキシル基を有するポリ(PEG200)マレエート等の両末端カルボン酸型ポリアルキレングリコール/マレイン酸ポリエステル、両末端にカルボキシル基を有するポリブチレンアジペートマレエート、PEG600ジフマレート等のポリオキシアルキレングリコールのジフマレート、両末端にカルボキシル基を有するポリブチレンフマレート、両末端にカルボキシル基を有するポリ(PEG200)フマレート等の両末端カルボン酸型ポリアルキレングリコール/フマル酸ポリエステル等が挙げられる。
当該化合物(D)としては、ゴム組成物のドライ操縦安定性の向上効果等の性能の面から、前記一般式(VI)で表される化合物が好ましく、特に両末端カルボン酸型のポリエチレングリコール/マレイン酸ポリエステルが好適である。
当該化合物(D)は、分子量250以上であることが好ましく、さらには250〜5000の範囲であること、特には250〜3000の範囲であることが好ましい。この範囲であると引火点が高く、安全上望ましいばかりでなく、発煙が少なく作業環境上も好ましい。
この(D)成分の化合物(D)は、本発明に係るゴム組成物の操縦安定性及び乾燥路面での制動性の向上に寄与する。
本発明のゴム組成物においては、(D)成分として、当該化合物(D)を1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その含有量は、前記(A)成分であるゴム成分100質量部に対して、0.5〜6質量部、好ましくは0.5〜4質量部の範囲で選定される。この含有量が0.5質量部未満では操縦安定性及び乾燥路面での制動性の向上効果が不十分であり、一方、6質量部を超えると加硫速度の低下が認められる。
本発明のゴム組成物においては、物性等を改良する目的で、所望により補強用充填材として、(E)カーボンブラック及び/又はシリカ以外の無機充填材を、前記(C)成分のシリカと共に含有させることができる。前記カーボンブラックとしては特に制限はなく、例えばHAF、N339、IISAF、ISAF、SAF等が挙げられる。カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA、JIS K 6217−2:2001に準拠する)は60〜160m2/gであることが好ましく、80〜160m2/gであることがより好ましい。また、ジブチルフタレート吸油量(DBP、JIS K 6217−4:2001に準拠する)が好ましくは70〜170cm3/100g、より好ましくは90〜170cm3/100gのカーボンブラックである。これらのカーボンブラックを用いることにより、諸物性、特に破壊特性の改良効果は大きくなる。好ましいカーボンブラックはHAF−HS、N339、IISAF、ISAF、N234、SAFである。
一方、シリカ以外の無機充填材としては、例えば、下記一般式(VII)で表される無機フィラーを挙げることができる。
mM1・xSiOy・zH2O ・・・(VII)
(式中、M1 は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム、及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、m、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。尚、上記式において、x、zがともに0である場合には、該無機フィラーはアルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの金属、金属酸化物又は金属水酸化物となる。)
上記式で表わされる無機フィラーとしては、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al23)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al23・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、炭酸アルミニウム[Al2(CO32]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5 、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO32]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等が使用できる。また、前記一般式(VII)中のM1がアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一つである場合が好ましい。
上記式で表されるこれらの無機化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明においては、補強性及びゴム組成物への分散性等の面から、(C)成分のシリカと上記(E)成分のカーボンブラック及び/又はシリカ以外の無機充填材との合計量が、(A)成分であるゴム成分100質量部に対して、通常20〜180質量部、好ましくは20〜100質量部の範囲になるように、上記(E)成分のカーボンブラック及び/又はシリカ以外の無機充填材は、5〜80質量部、好ましくは5〜60質量部の割合で含有させるのがよい。
本発明においては、低燃費性及び湿潤路面での制動性の向上のためには、(C)成分のシリカ並びに(E)成分のカーボンブラック及び/又はシリカ以外の無機充填材の総量の内、(C)成分のシリカの比率が30質量%以上であることが好ましい。
本発明のゴム組成物においては、(C)成分のシリカの性能をさらに向上させる目的で、(F)シランカップリング剤を含有させることができる。
このシランカップリング剤としては、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド等が挙げられるが、これらの中で補強性改善効果等の点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド及び3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィドが好適である。これらのシランカップリング剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物においては、ゴム成分として、分子末端にシリカとの親和性の高い官能基が導入された変性重合体が用いられているため、シランカップリング剤の配合量は、通常の場合より低減することができる。好ましいシランカップリング剤の配合量は、シランカップリング剤の種類等により異なるが、シリカに対して、通常1〜20質量%の範囲で選定される。この量が少ないとカップリング剤としての効果が充分に発揮されにくく、また、多いとゴム成分のゲル化を引き起こすおそれがある。カップリング剤としての効果及びゲル化防止等の点から、このシランカップリング剤の配合量は、シリカに対して、好ましくは4〜16質量%、より好ましくは7〜13質量%の範囲である。
本発明のゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、通常ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば加硫剤、加硫促進剤、プロセス油、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸等を含有させることができる。
上記加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部が好ましく、0.5〜5.0質量部がより好ましい。
本発明で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜5.0質量部が好ましく、更に好ましくは0.2〜3.0質量部である。
本発明のゴム組成物は、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後、加硫を行い、タイヤ用途として、タイヤトレッドに用いられる。また、その他アンダートレッド、サイドウォール、カーカスコーティングゴム、ベルトコーティングゴム、ビードフィラー、チェーファー、ビードコーティングゴム等にも用いることができる。
本発明の空気入りタイヤは、前述の本発明のゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて、上記のように各種薬品を含有させた本発明のゴム組成物が未加硫の段階でタイヤトレッドに加工され、タイヤ成型機上で通常の方法により貼り付け成型され、生タイヤが形成される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。
次に、本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、供試タイヤの低燃費性、操縦安定性並びに乾燥路面及び湿潤路面での制動性は、下記の方法に従って測定した。
(1)低燃費性
190kPaの内圧を充填した供試タイヤ を、外径が1707.6mm,幅が400mmのスチール平滑面を有する回転ドラムに、440kgfの力で押圧して80km/時で回転させた時のタイヤ軸の転がり抵抗(FR)を次式によって求めた。この転がり抵抗(FR)の逆数を低燃費性の指標とした。比較例1の転がり抵抗(FR)の逆数を100とし、指数表示した。指数の数値が大きいほど低燃費性に優れていることを表している。
R=Ft×(1+rT/RD)
Ft: タイヤ軸上の転がり抵抗
D: ドラムの半径
rT: タイヤ軸とドラム表面の距離
(2)操縦安定性
供試タイヤを実車に装着し、乾燥状態のサーキットコースを各種走行モードにてスポーツ走行したときのテストドライバーのフィーリング評価を10点評価法により実施した。評価結果は、比較例1を100とする指数表示で表した。数値が大きいほど操縦安定性が良好であることを表している。
(3)乾燥路面での制動性
供試タイヤを実車に装着し、乾燥路面での制動距離を測定した。評価結果は、比較例1のタイヤの制動距離の逆数を100とした指数で表した。指数の数値が大きいほど乾燥路面での制動性に優れていることを表している。
(4)湿潤路面での制動性
供試タイヤを実車に装着し、水深2mmの湿潤路面での制動距離を測定した。評価結果は、比較例1のタイヤの制動距離の逆数を100とした指数で表した。指数の数値が大きいほど湿潤路面での制動性に優れていることを表している。
製造例1 共重合体(B)−1の製造
乾燥し、窒素置換した800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン300g、1,3−ブタジエン40g、スチレン13g、ジテトラヒドロフリルプロパン0.90ミリモルを加え、更にn−ブチルリチウム(n−BuLi)0.90ミリモルを加えた後、50℃で2時間重合反応を行った。この際の重合転化率は、ほぼ100%であった。この重合反応系に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5ミリリットルを加えて、重合反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して未変性の共重合体(B−1)を得た。
製造例2〜5 共重合体(B)−2〜5の製造
製造例1と同様に重合し、重合転化率を、ほぼ100%とした後、重合反応系に、変性剤として表1に示す変性剤を表1に示す量速やかに加え、更に50℃で30分間変性反応を行った。その後、この重合反応系に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール溶液(BHT濃度:5質量%)0.5ミリリットルを加えて、反応を停止させ、更に常法に従って乾燥して、変性された共重合体(B−2〜5)を得た。
表1に、共重合体(B)−1〜5の結合スチレン含有量、共役ジエン部分のビニル結合含有量及び重量平均分子量(Mw)を示す。
なお、表1の結合スチレン含有量は 1H−NMRスペクトルの積分比により、共役ジエン部分のビニル結合含有量は赤外法(モレロ法)により求めた。また、重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー製HLC−8020、カラム:東ソー製GMH−XL(2本直列)、検
出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、各共重合体のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を求めた。
Figure 2007246627
実施例1〜8及び比較例1〜7
表1に示す共重合体(B)−1〜5を用い、表2に示す配合組成の15種類のゴム組成物を調製し、これらのゴム組成物をトレッドに配設する15種類のタイヤサイズ195/65R15の乗用車用空気入りラジアルタイヤを試作した。これら15種類のタイヤの低燃費性、操縦安定性並びに乾燥路面及び湿潤路面での制動性を評価した。評価結果を表2に示す。
Figure 2007246627
[注]
*1: 油展乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴム:JSR(株)製「SBR1712」、オイル含量27.3質量%
*2: 非油展乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴム:JSR(株)製「SBR1500」
*3: ポリブタジエンゴム:JSR(株)製「BR01」
*4: N234(ISAF−HS)東海カーボン(株)製「シースト7HM」
*5: 東ソー・シリカ(株)製「AQ」
*6: デグサ社製「Si75」
*7: 出光興産(株)製「ダイアナプロセスオイル AC−460」
*8: 化合物(D)PEGM:花王(株)製、両末端カルボン酸型の平均重合度4.5のポリエチレングリコール/マレイン酸ポリエステル(ポリエステル部分の重合度5)
*9: N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン:大内新興化学工業社製「ノクラック6C」
*10:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド:大内新興化学工業社製「ノクセラーCZ」
*11: ジフェニルグアニジン:三新化学工業(株)製「サンセラーD−G」
表2から分かるように、実施例1〜8のタイヤは、いずれも、比較例1〜7のタイヤと比較して、低燃費性、操縦安定性並びに乾燥路面及び湿潤路面での制動性がバランスよく向上している。
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物は、低燃費性、操縦安定性並びに乾燥路面及び湿潤路面での制動性がバランスよく改良されているので、乗用車、小型トラック及び小型バス、軽自動車、大型トラック、大型バス等の広範囲の車両用空気入りタイヤとして好適に用いられる。

Claims (14)

  1. (A)天然ゴム及び合成ゴムから選ばれる少なくとも一種以上のゴムからなるゴム成分100質量部に対して、(B)ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算の重量平均分子量が5,000〜500,000である芳香族ビニル−共役ジエン共重合体2〜70質量部と、(C)シリカ10〜150質量部及び(D)同一分子内に、前記ゴム成分に対する反応基A1個以上と前記シリカに対する吸着基B2個以上を有する化合物0.5〜6質量部を含むことを特徴とするタイヤトレッド用ゴム組成物。
  2. (B)成分である芳香族ビニル−共役ジエン共重合体が、結合芳香族ビニル含有量5〜80質量%、かつ共役ジエン部分のビニル結合含有量10〜80%である請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  3. (B)成分である芳香族ビニル−共役ジエン共重合体が、スズ含有化合物、ケイ素含有化合物及び窒素含有化合物から選ばれる少なくとも一種以上の化合物で変性されてなる請求項1又は2に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  4. (B)成分である芳香族ビニル−共役ジエン共重合体が、スチレン−ブタジエン共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  5. ゴム成分100質量部に対して、(B)成分である芳香族ビニル−共役ジエン共重合体と軟化剤との総量が5〜80質量部である請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  6. さらに、ゴム成分100質量部に対して、(E)カーボンブラック及び/又はシリカ以外の無機充填材を、(C)成分のシリカとの合計量が20〜180質量部の範囲になるように5〜80質量部の割合で含む請求項1に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  7. (C)成分のシリカ並びに(E)成分のカーボンブラック及び/又はシリカ以外の無機充填材の総量の内、(C)成分のシリカの比率が30質量%以上である請求項6に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  8. さらに、(F)シランカップリング剤を、(C)成分のシリカに対して1〜20質量%の割合で含む請求項1、6又は7に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  9. (D)成分における反応基Aが、非芳香族共役2重結合基又は2重結合にカルボニル基、カルボキシル基、オキシカルボニル基及びアミド基から選ばれる1種が隣接した基である請求項1〜8のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  10. 反応基Aが、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸及びソルビン酸から選ばれる不飽和カルボン酸から誘導される基である、請求項9に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  11. (D)成分における吸着基Bがカルボキシル基である請求項1〜10のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  12. (D)成分の化合物が、さらにオキシアルキレン基を有する請求項1〜11のいずれかに記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  13. (D)成分の化合物が、両末端カルボン酸型のポリエチレングリコール/マレイン酸ポリエステルである請求項12に記載のタイヤトレッド用ゴム組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載のゴム組成物をトレッドゴムに用いてなる空気入りタイヤ。
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