JP2007244330A - 大豆豆汁液の製造方法および該製造方法により得られる大豆豆汁液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 原料大豆を洗浄水と接触させることにより研磨する工程と、前記工程にて得られた湿式研磨された大豆を浸漬処理する工程と、前記浸漬処理工程で得られた吸水膨潤した大豆を加温・加圧条件下において加熱処理する工程と、該加熱処理工程により得られた軟化した大豆に加水しながら擂砕処理する工程とからなることを特徴とする大豆豆汁液の製造方法。
【選択図】 図1
Description
しかし、高温処理の温度が150℃〜200℃の高温であることから、有用な大豆蛋白質が変質するおそれがある。
一方、分離されたオカラの処理の解決も従前から切望されてきた問題である。
1)原料大豆を洗浄水と接触させることにより湿式研磨する工程と、
2)前記工程にて得られた湿式研磨された大豆を浸漬処理する工程と、
3)前記浸漬処理により得られた吸水膨潤した大豆を加温・加圧条件下において加熱処理する工程と、
4)前記加熱処理工程により得られた軟化した大豆に加水しながら擂砕処理する工程
とからなることを特徴とする大豆豆汁液の製造方法
が提供される。
前記1)〜4)の各工程を含む大豆豆汁液の製造方法により得られ、固形成分含有量が20重量%以上であることを特徴とする大豆豆汁液
が提供される。
3倍以上とする前記大豆豆汁液の製造方法。
2)前記浸漬処理の温度が、5℃〜30℃であり、浸漬時間が3〜20時間である前
記大豆豆汁液の製造方法。
3)前記加熱処理工程の加熱処理帯域内における温度が、110℃〜130℃であり、
同帯域内の圧力が0.5kg/cm2以上である大豆豆汁液の製造方法。
4)前記擂砕処理工程において、加熱処理により得られた軟化大豆に添加される水の
重量が前記軟化大豆重量に対し、20%〜100%である前記大豆豆汁液の製造
方法。
5)固形分含有量が、25重量%以上である前記大豆豆汁液。
また、脱皮、脱胚処理をしなくとも、サポニン、イソフラボン等の不快味成分による収斂味、苦味等も消失する。
本発明に係る大豆豆汁液の製造方法における製造工程のフローチャートを図1に示す。
図1に従い、本発明に係る大豆豆汁液の製造方法における製造工程について説明する。
本発明に係る製造工程は、洗浄研磨工程100、浸漬処理工程101、加熱処理工程102および擂砕処理工程103とからなっている。
原料大豆1は、先ず、洗浄研磨工程100に供され、研磨工程では、研磨機を用いて、異物を除去する。
煮熟軟化した大豆は、擂砕処理工程103に供され、加水され半固体状態で擂砕装置(チョッパー)から押し出され、所定の微細化物に擂砕され、該擂砕物を含有する豆汁液が得られる。
原料大豆
本発明に係る大豆豆汁液の製造方法において使用される原料大豆としては、特に限定されるものではなく、国内産、外国産のいずれでも使用することができ、また、これらの混合物でもよい。国産品としては、例えば、スズユタカ、キタホマレ、トヨマサリ、トヨコマチ、ツルノコ、ムラユタカ等を用いることができる。また、外国産では、米国産、中国産、カナダ産、ブラジル産等を挙げることができる。
本発明に係る大豆豆汁液の製造方法における原料大豆の洗浄研磨工程は、本発明においては、脱皮処理、脱胚処理を行なわないことから微生物等の除去にとって重要である。
本発明に係る洗浄研磨工程は、原料大豆を研磨装置に供し、3倍重量以上の洗浄水を連続的に供給し、大豆層を撹拌し湿式研磨を行い、大豆に付着する微生物を含む異物を除去する工程である。
前記洗浄水のさらに好ましい使用量は、原料大豆に対し5〜8倍重量である。
また、研磨の手段としては特に限定されるものではないが、洗浄機を連結させることにより撹拌操作を反覆し、最終段階では高圧シャワーを用いるか、または、熱水、オゾン水等を用いることが好ましい。研磨処理は水中で常温で行なってもよい。
本発明における浸漬処理工程は、前記洗浄研磨工程において得られた洗浄研磨された大豆を清浄な水に浸漬し大豆中に水分を吸収させ膨潤させる工程である。
浸漬温度は、特に限定されるものではないが、5℃〜30℃が好適であり、かかる温度条件下において、通常、3時間〜20時間の浸漬時間が採用される。また、浸漬処理は大豆を以下に示す所定量の水中に静置させることにより行なわれるが、大豆を撹拌してもよい。撹拌することにより浸漬による効果を迅速に得ることができる。
浸漬処理に使用される浸漬水は、大豆に対し、重量基準で3倍重量以上、好ましくは5〜10の範囲で用いられ、浸漬水の重量が3倍に満たないと、大豆の吸水膨潤が十分でないという弊害が生ずるおそれがある。浸漬処理は、大豆が吸水し、その重量が該浸漬処理の開始時の2倍程度になるまで継続する。
本発明における加熱処理工程は、前工程の浸漬処理工程において得られた吸水膨潤した大豆を付着した浸漬水の除去後、加熱処理帯域において水を添加するかまたは添加せずに加圧条件下で加熱処理することにより行なわれる。
かかる加熱処理は、大豆の煮熟・蒸熟または蒸煮を包含するものであり、いずれの加熱処理形態でもよい。例えば、吸水膨潤した大豆にさらに水を加え、追加水の存在下における加熱条件下での処理に供することができ、また、水を加えずそのまま加熱条件下の加熱処理帯域に供することもできる。
本発明に係る加熱処理工程において前記の煮熟は、所謂「ゆでる」操作であり、加熱処理帯域において吸水膨潤した大豆に対して水を加えて加熱するものであり、蒸熟は、「蒸す」操作であり、水の追加をすることなく加熱するものである。一方、蒸煮は、加熱処理帯域において、吸水膨潤した大豆に対し、所謂「ゆでる」操作と「蒸す」操作を連続的に行なう操作を包含するものである。
本発明においては、吸水膨潤した大豆の状態、その他の条件により前記のいずれかの操作を選択し、または組み合せて採用することができるが、特に煮熟によることが好適である。
かかる加熱処理により大豆中に存在する酵素リポキシナーゼを分解することができるので、豆汁液に青豆臭が生ずることは解消される。
過熱蒸気は飽和蒸気を圧力を上げることなく、加熱したものであり、100℃を超える高温での加熱処理に用いられる。
前工程の加熱処理工程にて得られ軟化された大豆は、擂砕処理に供される。擂砕処理工程では軟化大豆に対し、該軟化大豆重量の20重量%以上、好ましくは50〜100%の範囲の重量の水を添加しながら、加水された大豆を微細な網目を通過させることにより、擂砕される。具体的には、擂砕装置に供給された軟化大豆は押し出され網目を通過直後に該網目と摺動して回転する裁断刃により微細化される。
本発明における擂砕処理では、網目の寸法は、直径2mm未満であり、好ましくは1.5mm以下、さらに好ましくは1mm以下のものが用いられる。網目寸法が直径2mm以上の場合、軟化大豆を十分に擂砕することができず、特に種皮の部分があらくなるため目的とする豆汁液を得ることができない。
前記製造工程を経ることにより得られる大豆豆汁液の典型的な組成を例示すれば、大豆豆汁液100g中に主たる成分として原料大豆由来の蛋白質5〜15g、脂質3〜8g、炭水化物4〜9gを含有し、固形成分を18〜25%含有するものを挙げることができる。もっとも、本発明に係る大豆豆汁液の組成はかかる組成に限定されるものではない。
本発明に係る大豆豆汁液は、大豆の全成分を含有し、濃厚液であるから、用途に応じて希釈をし、また、他成分を添加することにより、次の飲食品の素材として利用することができる。
1.発酵豆汁液
発酵豆汁液は、本発明に係る大豆豆汁液に乳酸菌を添加し乳酸発酵を行なうことに
より得られるヨーグルト様飲料である。前記乳酸菌としては、特に限定されるもので
はなく、例えば、ラクトバチラス・ブルカリカスストレプトコッカス・サーモフィラ
ス、その他選択することができる。
2.麹を利用した豆汁飲料
3.豆汁液を利用した味噌汁およびスープ類
4.豆汁なべの素
製造工程は、精選工程10、脱皮工程11、浸漬工程12、磨砕工程13、加熱(煮熟)工程14、冷却工程15、濾過工程16とからなっている。
かかる製造工程において、原料大豆1は選別工程に供された後、脱皮工程11において、種皮および胚軸が除去され、浸漬工程12において水に16時間または一昼夜浸し、吸水させ、膨潤させた大豆を磨砕工程13にて通常、注水しながら粉砕する。磨砕物を加熱(煮熟)工程14において、水を加えて100℃以下の温度に加熱(煮熟)し豆汁液を調製する。
次いで、冷却工程15で常温以上に冷却した後、濾過工程16において豆汁液の固液分離が行なわれ搾ることにより繊維質(おから)4を分離し、豆乳3が得られる。
かかる従来法の難点は前記した通りである。
原料大豆(国産品)10kgを容器に採り洗浄水を用いシャワー湿式研磨、水洗いの操作により大豆を充分に洗浄し表皮付着物を除去した。
吸水した大豆は籠に入れた状態でオートクレーブ(大豆を蒸熟するための加圧装置)に収納し蒸熟を行う。この時の条件は、オートクレーブ内の圧力が0.75kg/cm2 を示してから30分間加圧処理を施した。
脱圧後、籠ごと取り出し熱い蒸熟大豆に加水しながら擂砕機(チョッパー)に投入し、擂砕した。擂砕機の網目の直径を0.9mmとし、加水する温水を40℃とし、その量を蒸熟大豆20kgに対し同量の20kgとした。豆汁液の収量は40kgで原料大豆の4倍量であった。
得られた豆汁液は、青豆臭も特有の収斂味、苦味も官能上は感じることがなく、大豆由来の固形分を20%以上含むザラツキ感が薄く、舌触りの良い濃厚な液が得られた。
湿式研磨、浸漬、加熱処理の各工程については、実施例1と同一の操作および条件により処理し得られた蒸熟大豆に対し、大豆重量の30重量%相当の40℃の温湯を加えながら、網目直径0.9mmのチョッパーで擂砕し、ペースト状の大豆擂砕物を得た。
このペースト状擂砕物に対し、蒸熟大豆重量の70重量%および100重量%相当の40℃温水をそれぞれ加えて各豆汁液を調製した。
各豆汁液は、いずれも青豆臭がなく、収斂味、苦味もなく、また、ザラツキ感も薄く舌触りの良い濃厚液であり、実施例1で得られた豆汁液と同等の性状を示した。
この結果、蒸熟大豆の擂砕の際、加水量を少なくしたペースト状擂砕物を調製し、これに任意量の水を加えて必要とする豆汁液の製造が可能であることがわかった。
湿式研磨、浸漬、加熱処理の各工程については、実施例1と同一の操作および条件を採用し、得られた蒸熟大豆に対し、この蒸熟大豆重量の100重量%相当量の水を加え、混合物を直径3mmの網目を通過させた。網目が大きく、蒸熟大豆を均一に擂砕することができず、特に種皮の部分が荒く混在し、本発明の目的とするザラツキ感がなく、舌触りの良い濃厚液は得られなかった。
湿式研磨、浸漬、加熱処理の各工程については、実施例1と同一の操作および条件を採用し、得られた蒸熟大豆に対し、この蒸熟大豆重量の100重量%相当量の水を加え、混合物を直径2mmの網目を通過させた。網目が大きく、蒸熟大豆を均一に擂砕することができず、特に種皮の部分が荒く、本発明の目的とするザラツキ感がなく、舌触りの良い濃厚液は得られなかった。
原料大豆10kgに大豆重量の2倍量の清浄な水を加え常温で10時間浸漬した。大豆は吸水膨潤し約2倍重量となった。
次に、吸水膨潤した大豆に対し、大豆重量の約4倍の水を加えながら、磨砕装置により15,000rpmで5分間磨砕処理した後、磨砕物を蒸煮釜に採り、水を20%の固形分を含む豆汁液が得られるように加え、蒸気を吹き込み釜内の温度を90〜100℃に加熱した。
加熱処理終了後、豆汁液が得られたが、青豆臭があり、収斂味、苦味もあり、大豆蛋白食品として商品価値の低いものであった。また、種皮部分が摩砕機からはじき出され微細化できず、豆汁液中に混在するものであった。
原料大豆10kgを精選し、脱皮・脱胚軸処理した後、比較例3と同様の条件および操作により浸漬処理、磨砕処理、加熱処理および濾過処理を行い、豆乳を得た。豆乳からは、青豆臭、収斂味等は消失していたが、固形分濃度は10%に低下し、大豆中に含まれる蛋白質、イソフラボン等は豆乳には少なく、栄養素の損失が生じた。また、脱皮・脱胚軸処理および固液分離による繊維(おから)等の廃棄物の処理を必要とした。
2:豆汁液
3:豆乳
4:繊維質(おから)
100:洗浄研磨工程
101:浸漬処理工程
102:加熱処理工程
103:擂砕処理工程
10:精選工程
11:脱皮・脱胚軸処理工程
12:浸漬工程
13:磨砕工程
14:加熱(煮熟)工程
15:冷却工程
16:濾過工程
Claims (6)
- 原料大豆を洗浄水と接触させることにより研磨する工程と、前記工程にて得られた湿式研磨された大豆を浸漬処理する工程と、前記浸漬処理工程で得られた吸水膨潤した大豆を加温・加圧条件下において加熱処理する工程と、該加熱処理工程により得られた軟化した大豆に加水しながら擂砕処理する工程とからなることを特徴とする大豆豆汁液の製造方法。
- 前記加熱処理工程が、煮熟・蒸熟または蒸煮による加熱処理を包含する工程である請求項1に記載の大豆豆汁液の製造方法。
- 前記加熱処理工程の加温・加圧条件は、加熱温度が90℃〜130℃であり、圧力が0.5kg/cm2 以上である請求項1または2に記載の大豆豆汁液の製造方法。
- 前記擂砕処理工程における軟化大豆重量に対する加水重量が20重量%以上である請求項1に記載の大豆豆汁液の製造方法。
- 前記擂砕処理工程における網目寸法が直径2mm未満である請求項4に記載の大豆豆汁液の製造方法。
- 請求項1ないし4のいずれかの請求項に記載の大豆豆汁液の製造方法により得られ、大豆豆汁液中の固形成分含有量が、20重量%以上であることを特徴とする大豆豆汁液。
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