JP2007244330A - 大豆豆汁液の製造方法および該製造方法により得られる大豆豆汁液 - Google Patents

大豆豆汁液の製造方法および該製造方法により得られる大豆豆汁液 Download PDF

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Abstract

【課題】 大豆が含有する栄養素のすべてを利用することができ、脱皮処理、脱皮脱胚処理を行なうことなく、青豆臭、収斂味、苦味等がなく、咽喉ごしに優れ、廃棄物も発生しない大豆豆汁液の製造方法および高濃度の大豆豆汁液を提供する。
【解決手段】 原料大豆を洗浄水と接触させることにより研磨する工程と、前記工程にて得られた湿式研磨された大豆を浸漬処理する工程と、前記浸漬処理工程で得られた吸水膨潤した大豆を加温・加圧条件下において加熱処理する工程と、該加熱処理工程により得られた軟化した大豆に加水しながら擂砕処理する工程とからなることを特徴とする大豆豆汁液の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、大豆豆汁液の製造方法および該製造方法により得られる大豆豆汁液に関するものであり、さらに詳しくは、大豆のもつ栄養素のすべてが利用可能であって、廃棄物を全く排出しない製造工程からなる新規な大豆豆汁液の製造方法および大豆蛋白飲食品の製造に有用な大豆豆汁液に関するものである。
大豆は、「畑の牛肉」ともいわれるほど栄養価の高い食品であり、良質の蛋白質や人体に有用な健康保持機能成分を豊富に含んでいる。日本食品標準成分表(四訂)によれば、大豆の一般成分は、下表の通り示されており、これらの栄養素は種子全体にわたって含有されている。
Figure 2007244330
大豆の種子は、種皮(全重量8%)と胚とから構成されており、胚は子葉(90%)、幼根、幼芽、胚軸(1%〜3%)からなっているが、特に、大豆の子葉および胚軸に含有される蛋白質は、乾燥種子の35%〜50%に達し、さらに子葉および胚軸中には、Mg、Ca、K等の無機成分も蓄積されている。また、大豆中には微量成分としてサポニン、イソフラボン類が配糖体として含まれるが、これらの成分のなかでもゲニスチン、グリスチン、ダイジン、ゲニスタイン、ダイゼイン等のイソフラボン類およびそのβ−グルコシド類は抗腫瘍性物質であることが知られており、生理活性、特に、エストロゲン作用、抗酸化作用、発ガン抑制作用を利用した食品素材等が検討されている。これらの物質は胚軸中に集積されているが、イソフラボン類のなかでもダイジン等は種皮にも存在している。
前記の如く、大豆は、栄養素を各部位のいずれにも含有しており、成分の分離等を行なわず全組織をすべて使用することができれば、大豆の栄養素をすべて利用することになるので、大豆の栄養価値の利用の観点からは重要かつ不可欠な事項である。
ところで、大豆は、日本人の食生活には欠かせない食品素材として古くより味噌、醤油、納豆等の発酵食品または豆乳飲料または豆腐、湯葉等として利用されてきた。近年健康食品志向が強まり、日本食が注目され、植物性蛋白質を多量に含有する大豆を素材とする食品が評価され、特に1999年10月米国食品医薬品局(FDA)が大豆蛋白を所定量摂取すれば、低飽和脂肪酸および低コレステロールの食事療法の効果が得られ、心臓病の危険性を低減できるという表示を認可したことにより、豆乳飲料および豆腐に対し再認識され、需要が著しく増大した。
しかしながら、豆乳自体には特有の青豆臭があり、その原因は、大豆中の不飽和脂肪酸が、大豆の磨砕のときに大豆中に含まれる酵素リポキシナーゼと接触し酸化 を受けてヒドロペルオキシドを形成し、これがヘキセナール、ヘキサノール 等のカルボニル化合物に変異し、蛋白質と強固に結合し、におい物質を生成するためとされている。 また、収斂味、苦味味等の不快味成分も存在し、これらは、前記の如く、主として大豆中の胚軸中に微量含まれるサポニンA、イソフラボン等によるものとされている。
従って、従来、大豆蛋白食品にとって悪風味となる青豆臭、不快味の消去対策としてこれらの成分を除去するため脱皮処理、脱皮脱胚軸処理が行なわれている。
例えば、先行技術1(特開2004−357621号公報)(以下、「特許文献1」という。)には、青臭みがなく、かつ大豆の香味の良好な豆乳を製造するための方法としてマイクロ波照射を行なって丸大豆内部温度を65℃〜110℃に高めた後、脱皮処理または脱皮・脱胚軸処理した大豆を80℃〜100℃の熱水で浸漬処理して用いることが記載されている。イソフラボン類が存在する種皮を剥皮機等を用いる機械的手段により除去し、サポニン等を多く含有する胚軸は、粗砕ローラーで子葉と種皮を剥離させた後、風力分離機等により除去されている。
また、先行技術2(特開2005−46118号公報)(以下、「特許文献2」という。)には、青豆臭、咽喉刺激性がない豆乳を製造する方法として大豆を65℃〜78℃で磨砕し、得られた磨砕物(呉)を80℃以上、例えば90℃〜120℃の温度に10秒〜3分程度加熱してこれを固液分離する方法が記載されている。そこには脱皮処理、脱胚軸処理については開示がなく、初期の段階の磨砕工程で加温しているとはいえリポキシナーゼと不飽和脂肪酸との作用は完全に回避できず、また、収斂味等の成分は除去できないのでこれらの不快成分の消去は十分でない。特許文献2に記載の豆乳の製造方法には、固液分離に伴なうオカラの処理の問題もある。
さらに先行技術3(特開2003−93008号公報)(以下、「特許文献3」という。)には、青臭味等の不快味がない豆乳の製造方法として、大豆を破砕後洗浄し、水蒸気中、50℃〜90℃で吸水処理した後、さらに過熱蒸気中150℃〜200℃で高温処理する方法が記載されている。
しかし、高温処理の温度が150℃〜200℃の高温であることから、有用な大豆蛋白質が変質するおそれがある。
かかる状況下において現在、前記のように豆乳の製造過程において、前記青豆臭の消去を目的として脱皮処理が、また、収斂味、苦味等の消去を目的として脱皮・脱胚軸処理が行なわれることにより、種皮、胚軸が除去されているが、その結果、種皮、胚軸に含有されているそれぞれ有用な蛋白質、イソフラボン類等の栄養素が除去され、これらの栄養素の著しい損失が生じている。
一方、分離されたオカラの処理の解決も従前から切望されてきた問題である。
特開2004−357621号公報 特開2005−46118号公報 特開2003−93008号公報
従って、本発明の課題の第1は、大豆が含有する栄養素のすべてを利用することができ、脱皮処理、脱皮・脱胚軸処理を行なうことなく青豆臭および収斂味、苦味等がなく、廃棄物を発生しない大豆豆汁液の製造方法を提供することにある。
また、本発明の課題の第2は、従来の豆乳の製造過程で、必要とされている繊維質の分離工程を備えることなく、風味、咽喉ごしのよい大豆豆汁液の製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の課題の第3は、繊維質を多く含有する固形成分含有量が多く、大豆蛋白飲食品の製造に有用な大豆豆汁液を提供することにある。
そこで、本発明者は、本発明の前記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、原料大豆を浸漬処理後、加熱処理に供し、加熱処理された大豆を擂砕処理に供することにより、前記本発明の課題、すなわち、大豆が有する栄養素をすべて利用し、廃棄物を生成させず、しかも青豆臭、収斂味等がなく、咽喉ごしのよい大豆豆汁液が得られることに着目し、かかる知見に基いて本発明の完成に到達した。
かくして、本発明によれば、
1)原料大豆を洗浄水と接触させることにより湿式研磨する工程と、
2)前記工程にて得られた湿式研磨された大豆を浸漬処理する工程と、
3)前記浸漬処理により得られた吸水膨潤した大豆を加温・加圧条件下において加熱処理する工程と、
4)前記加熱処理工程により得られた軟化した大豆に加水しながら擂砕処理する工程
とからなることを特徴とする大豆豆汁液の製造方法
が提供される。
また、本発明によれば、
前記1)〜4)の各工程を含む大豆豆汁液の製造方法により得られ、固形成分含有量が20重量%以上であることを特徴とする大豆豆汁液
が提供される。
本発明は、前記の如く、大豆の洗浄研磨工程、浸漬処理工程、加熱処理工程および擂砕処理工程を含む大豆豆汁液の製造方法ならびに該製造方法により得られる固形成分が高濃度の大豆豆汁液を提供するものであるが、さらに好ましい実施の態様として次に1)〜5)に掲げるものを包含する。
1)前記洗浄研磨の条件として、大豆との接触に用いられる洗浄水重量を大豆重量の
3倍以上とする前記大豆豆汁液の製造方法。
2)前記浸漬処理の温度が、5℃〜30℃であり、浸漬時間が3〜20時間である前
記大豆豆汁液の製造方法。
3)前記加熱処理工程の加熱処理帯域内における温度が、110℃〜130℃であり、
同帯域内の圧力が0.5kg/cm2以上である大豆豆汁液の製造方法。
4)前記擂砕処理工程において、加熱処理により得られた軟化大豆に添加される水の
重量が前記軟化大豆重量に対し、20%〜100%である前記大豆豆汁液の製造
方法。
5)固形分含有量が、25重量%以上である前記大豆豆汁液。
本発明によれば、脱皮処理を行なわないので、脱皮処理により廃棄されていた種皮に含有される蛋白質等の栄養素を有効に利用することができる。同時に脱皮処理による廃棄物が発生せず、その処理を必要としないので含有成分の損失を防止すると共におからに相当する繊維質の処理も解決するという一石二鳥の効果を奏することができる。
また、製造過程の初期の段階において、90℃以上、好ましくは110℃以上の比較的高温で加熱処理を行なうのでリポキシナーゼが分解され、大豆中の不飽和脂肪酸と接触する機会がなく、ヘキセナール、ヘキサナール等を生成することがないために青豆臭を発生することがないことからリポキシナーゼ欠損大豆等を選択使用する必要がない。
また、脱皮、脱胚処理をしなくとも、サポニン、イソフラボン等の不快味成分による収斂味、苦味等も消失する。
従って、本発明によれば、脱皮処理、脱胚処理工程を要するものではなく、さらに、リポキシナーゼを除去する工程を必要としないので技術的効果に加えて経済性においても著しく顕著な効果を奏する。
さらに、本発明に係る大豆豆汁液は高濃度の固形成分を有し、かつ固形成分中に含有される多量の繊維質は微細である。従って、大豆の良い香りが強く、飲料として咽喉ごしもよく飲み易いという効果を奏する。
また、後述するように、乳酸菌等を用いて発酵させたヨーグルト様豆汁液、麹利用による豆汁飲料、味噌汁、スープ類等の素材として好適である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る大豆豆汁液の製造方法における製造工程のフローチャートを図1に示す。
図1に従い、本発明に係る大豆豆汁液の製造方法における製造工程について説明する。
本発明に係る製造工程は、洗浄研磨工程100、浸漬処理工程101、加熱処理工程102および擂砕処理工程103とからなっている。
原料大豆1は、先ず、洗浄研磨工程100に供され、研磨工程では、研磨機を用いて、異物を除去する。
次に、研磨の終了した大豆は、浸漬処理工程101に供される。該工程では、大豆の3倍量の水が加えられ、大豆が吸水され大豆重量が2倍程度になるまで浸漬処理を継続する。通常10〜12時間程度の浸漬時間を要する。吸水膨潤した大豆は、加熱処理工程102に供され、加圧・加熱処理帯域、例えば、圧力釜内で0.5kg/cm2以上の加圧条件下で過熱蒸気の吹き込みにより煮熟される。
煮熟軟化した大豆は、擂砕処理工程103に供され、加水され半固体状態で擂砕装置(チョッパー)から押し出され、所定の微細化物に擂砕され、該擂砕物を含有する豆汁液が得られる。
ここで得られる豆汁液は、高濃度で固形分が20%以上のものである。なお、本発明に係る明細書において「固形分」とは、大豆豆汁液から水を除去した残分をいうものとし、繊維質のほか蛋白質その他の大豆由来の成分を合算したものである。
本発明に係る大豆豆汁液の製造方法における製造工程の特徴は、洗浄研磨工程100および浸漬処理工程101の次に加熱処理工程102が設けられており、その次に擂砕処理工程103が設けられている点にあり、後述するように図2に示す従来から採用されている豆乳の製造工程、すなわち、脱皮処理11→浸漬工程12→磨砕工程13→加熱処理工程14→濾過工程16順による製造工程とは別異の大豆豆汁液の製造方法にある。
従来法によれば、脱皮処理後、一晩水に浸漬することにより、水を吸って2.2〜2.3倍となった大豆を磨砕機で注水しながら粉砕する。摩砕物に水を加えて蒸煮釜で加熱した後、摩砕物の濾過により豆乳とオカラが得られる。
オカラは変敗しやすいという問題があり、pHを下げて保存性を保持する必要がある。食用に供される割合は少なく、家畜飼料または肥料とされるか焼却または廃棄されており、今後の有効利用が必要とされている。
すなわち、本発明は、従来すでに製造販売されている豆乳および豆乳の製造方法とは相違する全く新規な大豆豆汁液の製造方法および大豆豆汁液を提案するものである。
すなわち、豆乳とは、通常、「大豆を水に浸漬後、加熱、濾過して得られる乳状の飲料であり、日本農林規格(JAS)によれば、大豆から熱水等により蛋白質、その他の成分を溶出させ、繊維質を除去して得られた乳状の飲料であって、大豆固形分が8%以上のものである(豆乳類の日本農林規格。)とされている。
つまり、従来公知の豆乳は、繊維質を除去して得られた乳状飲料であって、大豆固形分が8%以上のものであるのに対し、本発明に係る大豆豆汁液は、繊維質を含有している点、固形成分が20重量%以上のものである点において他の成分組成を対比するまでもなく、別異のものである。
かかる大豆豆汁液は、前記の如き本発明に係る大豆豆汁の製造方法によってはじめて実現できたものである。
以下、本発明に係る大豆豆汁液の製造方法において用いられる原料大豆等および各製造工程について詳細に説明する。
原料大豆
本発明に係る大豆豆汁液の製造方法において使用される原料大豆としては、特に限定されるものではなく、国内産、外国産のいずれでも使用することができ、また、これらの混合物でもよい。国産品としては、例えば、スズユタカ、キタホマレ、トヨマサリ、トヨコマチ、ツルノコ、ムラユタカ等を用いることができる。また、外国産では、米国産、中国産、カナダ産、ブラジル産等を挙げることができる。
洗浄研磨工程
本発明に係る大豆豆汁液の製造方法における原料大豆の洗浄研磨工程は、本発明においては、脱皮処理、脱胚処理を行なわないことから微生物等の除去にとって重要である。
本発明に係る洗浄研磨工程は、原料大豆を研磨装置に供し、3倍重量以上の洗浄水を連続的に供給し、大豆層を撹拌し湿式研磨を行い、大豆に付着する微生物を含む異物を除去する工程である。
前記洗浄水のさらに好ましい使用量は、原料大豆に対し5〜8倍重量である。
また、研磨の手段としては特に限定されるものではないが、洗浄機を連結させることにより撹拌操作を反覆し、最終段階では高圧シャワーを用いるか、または、熱水、オゾン水等を用いることが好ましい。研磨処理は水中で常温で行なってもよい。
浸漬処理工程
本発明における浸漬処理工程は、前記洗浄研磨工程において得られた洗浄研磨された大豆を清浄な水に浸漬し大豆中に水分を吸収させ膨潤させる工程である。
浸漬温度は、特に限定されるものではないが、5℃〜30℃が好適であり、かかる温度条件下において、通常、3時間〜20時間の浸漬時間が採用される。また、浸漬処理は大豆を以下に示す所定量の水中に静置させることにより行なわれるが、大豆を撹拌してもよい。撹拌することにより浸漬による効果を迅速に得ることができる。
浸漬処理に使用される浸漬水は、大豆に対し、重量基準で3倍重量以上、好ましくは5〜10の範囲で用いられ、浸漬水の重量が3倍に満たないと、大豆の吸水膨潤が十分でないという弊害が生ずるおそれがある。浸漬処理は、大豆が吸水し、その重量が該浸漬処理の開始時の2倍程度になるまで継続する。
加熱処理工程
本発明における加熱処理工程は、前工程の浸漬処理工程において得られた吸水膨潤した大豆を付着した浸漬水の除去後、加熱処理帯域において水を添加するかまたは添加せずに加圧条件下で加熱処理することにより行なわれる。
かかる加熱処理は、大豆の煮熟・蒸熟または蒸煮を包含するものであり、いずれの加熱処理形態でもよい。例えば、吸水膨潤した大豆にさらに水を加え、追加水の存在下における加熱条件下での処理に供することができ、また、水を加えずそのまま加熱条件下の加熱処理帯域に供することもできる。
本発明に係る加熱処理工程において前記の煮熟は、所謂「ゆでる」操作であり、加熱処理帯域において吸水膨潤した大豆に対して水を加えて加熱するものであり、蒸熟は、「蒸す」操作であり、水の追加をすることなく加熱するものである。一方、蒸煮は、加熱処理帯域において、吸水膨潤した大豆に対し、所謂「ゆでる」操作と「蒸す」操作を連続的に行なう操作を包含するものである。
本発明においては、吸水膨潤した大豆の状態、その他の条件により前記のいずれかの操作を選択し、または組み合せて採用することができるが、特に煮熟によることが好適である。
前記加熱処理帯域は、加圧条件下に維持可能な帯域、具体的にはオートクレーブ、蒸煮釜の如き圧力釜と該釜に設けた加圧蒸気の吹込み手段とからなる。加熱処理帯域の加圧条件は、0.5kg/cm2 〜2kg/cm2 、好ましくは、0.7kg/cm2 〜1kg/cm2 である。また、温度条件は90℃〜130℃、好ましくは110℃〜120℃の範囲で採用される。加熱処理時間は、温度圧力条件により対応して調整され、0.3時間〜5時間の範囲において設定されることが好ましいが、具体的には吸水膨潤した大豆を圧力釜に投入し、新たに大豆重量の2倍重量の水を注入し、前記圧力釜に過熱蒸気を吹き込む。釜内圧力を0.5kg/cm2 〜1kg/cm2 とし、0.3時間〜5時間、投入した大豆を加熱処理する。
加熱処理温度90℃で加熱処理時間5時間、130℃で0.3時間に調整することにより均一に加熱処理により軟化した大豆を得ることができる。
かかる加熱処理により大豆中に存在する酵素リポキシナーゼを分解することができるので、豆汁液に青豆臭が生ずることは解消される。
過熱蒸気は飽和蒸気を圧力を上げることなく、加熱したものであり、100℃を超える高温での加熱処理に用いられる。
擂砕処理工程
前工程の加熱処理工程にて得られ軟化された大豆は、擂砕処理に供される。擂砕処理工程では軟化大豆に対し、該軟化大豆重量の20重量%以上、好ましくは50〜100%の範囲の重量の水を添加しながら、加水された大豆を微細な網目を通過させることにより、擂砕される。具体的には、擂砕装置に供給された軟化大豆は押し出され網目を通過直後に該網目と摺動して回転する裁断刃により微細化される。
本発明における擂砕処理では、網目の寸法は、直径2mm未満であり、好ましくは1.5mm以下、さらに好ましくは1mm以下のものが用いられる。網目寸法が直径2mm以上の場合、軟化大豆を十分に擂砕することができず、特に種皮の部分があらくなるため目的とする豆汁液を得ることができない。
大豆豆汁液の成分
前記製造工程を経ることにより得られる大豆豆汁液の典型的な組成を例示すれば、大豆豆汁液100g中に主たる成分として原料大豆由来の蛋白質5〜15g、脂質3〜8g、炭水化物4〜9gを含有し、固形成分を18〜25%含有するものを挙げることができる。もっとも、本発明に係る大豆豆汁液の組成はかかる組成に限定されるものではない。
大豆豆汁液を用いた飲食品
本発明に係る大豆豆汁液は、大豆の全成分を含有し、濃厚液であるから、用途に応じて希釈をし、また、他成分を添加することにより、次の飲食品の素材として利用することができる。
1.発酵豆汁液
発酵豆汁液は、本発明に係る大豆豆汁液に乳酸菌を添加し乳酸発酵を行なうことに
より得られるヨーグルト様飲料である。前記乳酸菌としては、特に限定されるもので
はなく、例えば、ラクトバチラス・ブルカリカスストレプトコッカス・サーモフィラ
ス、その他選択することができる。
2.麹を利用した豆汁飲料
3.豆汁液を利用した味噌汁およびスープ類
4.豆汁なべの素
図2は、従来採用されている豆乳の製造方法の各工程を示すフローチャートである。
製造工程は、精選工程10、脱皮工程11、浸漬工程12、磨砕工程13、加熱(煮熟)工程14、冷却工程15、濾過工程16とからなっている。
かかる製造工程において、原料大豆1は選別工程に供された後、脱皮工程11において、種皮および胚軸が除去され、浸漬工程12において水に16時間または一昼夜浸し、吸水させ、膨潤させた大豆を磨砕工程13にて通常、注水しながら粉砕する。磨砕物を加熱(煮熟)工程14において、水を加えて100℃以下の温度に加熱(煮熟)し豆汁液を調製する。
次いで、冷却工程15で常温以上に冷却した後、濾過工程16において豆汁液の固液分離が行なわれ搾ることにより繊維質(おから)4を分離し、豆乳3が得られる。
かかる従来法の難点は前記した通りである。
以下、実施例、比較例により本発明について具体的に説明する。もっとも、本発明は、実施例等により何ら制限されるものではない。
実施例1
原料大豆(国産品)10kgを容器に採り洗浄水を用いシャワー湿式研磨、水洗いの操作により大豆を充分に洗浄し表皮付着物を除去した。
この大豆を大豆重量の5倍以上の円柱型の容器に入れ、大豆重量の3倍以上の水を注入する。2時間後に換水し浮遊物及び沈澱物などすべて除去し新しい水を注水し14時間(最初から計16時間)大豆を水中に浸漬する。十分に吸水した大豆は籠に入れ大豆に付着している水を1時間要し除去した(水切り操作)。この操作をした後の大豆は元重量の2.2倍となった。
吸水した大豆は籠に入れた状態でオートクレーブ(大豆を蒸熟するための加圧装置)に収納し蒸熟を行う。この時の条件は、オートクレーブ内の圧力が0.75kg/cm2 を示してから30分間加圧処理を施した。
脱圧後、籠ごと取り出し熱い蒸熟大豆に加水しながら擂砕機(チョッパー)に投入し、擂砕した。擂砕機の網目の直径を0.9mmとし、加水する温水を40℃とし、その量を蒸熟大豆20kgに対し同量の20kgとした。豆汁液の収量は40kgで原料大豆の4倍量であった。
得られた豆汁液は、青豆臭も特有の収斂味、苦味も官能上は感じることがなく、大豆由来の固形分を20%以上含むザラツキ感が薄く、舌触りの良い濃厚な液が得られた。
実施例2
湿式研磨、浸漬、加熱処理の各工程については、実施例1と同一の操作および条件により処理し得られた蒸熟大豆に対し、大豆重量の30重量%相当の40℃の温湯を加えながら、網目直径0.9mmのチョッパーで擂砕し、ペースト状の大豆擂砕物を得た。
このペースト状擂砕物に対し、蒸熟大豆重量の70重量%および100重量%相当の40℃温水をそれぞれ加えて各豆汁液を調製した。
各豆汁液は、いずれも青豆臭がなく、収斂味、苦味もなく、また、ザラツキ感も薄く舌触りの良い濃厚液であり、実施例1で得られた豆汁液と同等の性状を示した。
この結果、蒸熟大豆の擂砕の際、加水量を少なくしたペースト状擂砕物を調製し、これに任意量の水を加えて必要とする豆汁液の製造が可能であることがわかった。
比較例1
湿式研磨、浸漬、加熱処理の各工程については、実施例1と同一の操作および条件を採用し、得られた蒸熟大豆に対し、この蒸熟大豆重量の100重量%相当量の水を加え、混合物を直径3mmの網目を通過させた。網目が大きく、蒸熟大豆を均一に擂砕することができず、特に種皮の部分が荒く混在し、本発明の目的とするザラツキ感がなく、舌触りの良い濃厚液は得られなかった。
比較例2
湿式研磨、浸漬、加熱処理の各工程については、実施例1と同一の操作および条件を採用し、得られた蒸熟大豆に対し、この蒸熟大豆重量の100重量%相当量の水を加え、混合物を直径2mmの網目を通過させた。網目が大きく、蒸熟大豆を均一に擂砕することができず、特に種皮の部分が荒く、本発明の目的とするザラツキ感がなく、舌触りの良い濃厚液は得られなかった。
比較例3
原料大豆10kgに大豆重量の2倍量の清浄な水を加え常温で10時間浸漬した。大豆は吸水膨潤し約2倍重量となった。
次に、吸水膨潤した大豆に対し、大豆重量の約4倍の水を加えながら、磨砕装置により15,000rpmで5分間磨砕処理した後、磨砕物を蒸煮釜に採り、水を20%の固形分を含む豆汁液が得られるように加え、蒸気を吹き込み釜内の温度を90〜100℃に加熱した。
加熱処理終了後、豆汁液が得られたが、青豆臭があり、収斂味、苦味もあり、大豆蛋白食品として商品価値の低いものであった。また、種皮部分が摩砕機からはじき出され微細化できず、豆汁液中に混在するものであった。
比較例4
原料大豆10kgを精選し、脱皮・脱胚軸処理した後、比較例3と同様の条件および操作により浸漬処理、磨砕処理、加熱処理および濾過処理を行い、豆乳を得た。豆乳からは、青豆臭、収斂味等は消失していたが、固形分濃度は10%に低下し、大豆中に含まれる蛋白質、イソフラボン等は豆乳には少なく、栄養素の損失が生じた。また、脱皮・脱胚軸処理および固液分離による繊維(おから)等の廃棄物の処理を必要とした。
本発明に係る豆汁液の製造方法の各工程を示すフローチャートである。 従来の豆乳の製造方法の各製造工程を示すフローチャートである。
符号の説明
1:大豆(原料)
2:豆汁液
3:豆乳
4:繊維質(おから)
100:洗浄研磨工程
101:浸漬処理工程
102:加熱処理工程
103:擂砕処理工程
10:精選工程
11:脱皮・脱胚軸処理工程
12:浸漬工程
13:磨砕工程
14:加熱(煮熟)工程
15:冷却工程
16:濾過工程

Claims (6)

  1. 原料大豆を洗浄水と接触させることにより研磨する工程と、前記工程にて得られた湿式研磨された大豆を浸漬処理する工程と、前記浸漬処理工程で得られた吸水膨潤した大豆を加温・加圧条件下において加熱処理する工程と、該加熱処理工程により得られた軟化した大豆に加水しながら擂砕処理する工程とからなることを特徴とする大豆豆汁液の製造方法。
  2. 前記加熱処理工程が、煮熟・蒸熟または蒸煮による加熱処理を包含する工程である請求項1に記載の大豆豆汁液の製造方法。
  3. 前記加熱処理工程の加温・加圧条件は、加熱温度が90℃〜130℃であり、圧力が0.5kg/cm2 以上である請求項1または2に記載の大豆豆汁液の製造方法。
  4. 前記擂砕処理工程における軟化大豆重量に対する加水重量が20重量%以上である請求項1に記載の大豆豆汁液の製造方法。
  5. 前記擂砕処理工程における網目寸法が直径2mm未満である請求項4に記載の大豆豆汁液の製造方法。
  6. 請求項1ないし4のいずれかの請求項に記載の大豆豆汁液の製造方法により得られ、大豆豆汁液中の固形成分含有量が、20重量%以上であることを特徴とする大豆豆汁液。
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