JP2007240554A - ポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物、パターンの製造方法及び電子部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物は、フェノール性水酸基を有するジアミン(a1)とトリカルボン酸一無水物(a2)を反応させて得られるジイミドジカルボン酸に、ジイソシアナート(a3)を反応させて得られるアルカリ水溶液可溶性のポリアミドイミド(A)と、光により酸を発生する化合物(B)と、及び溶剤(C)とを含有してなる。電子部品は、電子デバイス中にパターンの層を層間絶縁膜層又は表面保護膜層等として有する。
【選択図】 なし
Description
また、最近、ポリイミド樹脂自身に感光特性を付与した感光性ポリイミドが用いられてきているが、これを用いるとパターン作成工程が簡略化でき、煩雑な製造工程の短縮が行えるという特徴を有する(例えば、特許文献1〜3参照)。
ポリアミドイミド樹脂に感光特性を付与した感光性ポリアミドイミド樹脂としては、光重合性不飽和結合を分子内に有する溶剤現像ネガ型が知られている(例えば、特許文献4,5参照)。さらに、オルトナフトキノンジアジドスルホン酸化合物を含有するポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物も知られている(例えば、特許文献6〜8参照)。
まず、本発明によるポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物について説明する。
本発明のポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物は、フェノール性水酸基を有するジアミン(a1)とトリカルボン酸一無水物(a2)を反応させて得られるジイミドジカルボン酸に、ジイソシアナート(a3)を反応させて得られるアルカリ水溶液可溶性のポリアミドイミド(A)と、光により酸を発生する化合物(B)と、及び溶剤(C)とを含有してなるポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物である。
以下、ポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物に含有される各成分について説明する。
ポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物の(A)成分は、その合成方法から特定することが可能であり、それは、フェノール性水酸基を有するジアミン(a1)とトリカルボン酸一無水物(a2)を反応させて得られるジイミドジカルボン酸に、ジイソシアナート(a3)を反応させて得られるアルカリ水溶液可溶性のポリアミドイミドである。
ここで、フェノール性水酸基を有するジアミン(a1)は、後述するトリカルボン酸一無水物と反応してジイミドジカルボン酸を形成するとともに、アルカリ水溶液可溶性ポリアミドイミドのアルカリ水溶液可溶性を発現するためのモノマーである。
そのようなフェノール性水酸基を持たないジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、ベンジシン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等の芳香族ジアミン化合物、この他にもシロキサン骨格の入ったジアミンとして、LP−7100、X−22−161AS、X−22−161A、X−22−161B、X−22−161C及びX−22−161E(いずれも信越化学工業株式会社製、商品名)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いる。
トリカルボン酸一無水物としては、トリメリト酸無水物(1,2,4−トリカルボキシベンゼン−1,2無水物)、ヘミメリト酸無水物(1,2,3−トリカルボキシベンゼン−1,2無水物)、2,3,5−トリカルボキシナフタレン−2,3−無水物、4−(4−カルボキシフェノキシ)フタル酸無水物、1,2,4−カルボキシシクロヘキサン−1,2無水物、1,2,3−トリカルボキシシクロプロパン−1,2無水物、1,2,3−トリカルボキシシクロブタン−1,2無水物、アコニチン酸無水物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのトリカルボン酸一無水物のうち、耐熱性等の観点からトリメリト酸無水物、ヘミメリト酸無水物、2,3,5−トリカルボキシナフタレン−2,3−無水物、4−(4−カルボキシフェノキシ)フタル酸無水物、1,2,4−カルボキシシクロヘキサン−1,2無水物、1,2,3−トリカルボキシシクロプロパン−1,2無水物、1,2,3−トリカルボキシシクロブタン−1,2無水物などの環状トリカルボン酸一無水物が好ましい。さらに、アルカリ水溶液に対する溶解性、i線透明性、耐熱性等の観点から1,2,4−カルボキシシクロヘキサン−1,2無水物、1,2,3−トリカルボキシシクロプロパン−1,2無水物、1,2,3−トリカルボキシシクロブタン−1,2無水物などの脂環式トリカルボン酸一無水物が好ましい。
ジイソシアナートとしては、1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3−フェニレンジイソシアナート、1,4−ジイソシアナトブタン、1,4−フェニレンジイソシアナート、1,6−ジイソシアナトヘキサン、1,8−ジイソシアナトオクタン、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジイソシアナート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアナート、4−クロロ−6−メチル−1,3−フェニレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、m−キシリレンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート(2,4−ジイソシアナトトリレン、2,5−ジイソシアナトトリレン、2,6−ジイソシアナトトリレン、α,4−ジイソシアナトトリレンの単体又は混合物)、trans−1,4−シクロへキシレンジイソシアナート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアナート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアナート、4−ブロモ−6−メチル−1,3−フェニレンジイソシアナート、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアナート)、4,4’−メチレンビス(2−クロロフェニルイソシアナート)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルフェニルイソシアナート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)、4,4’−オキシビス(フェニルイソシアナート)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物の(A)成分は、また、その構造から特定することが可能であり、これは、下記一般式(I)で示される繰り返し単位を有する。
上記一般式(II)の具体例としては、前述したフェノール性水酸基を有するイミド化ジアミンオリゴマーの残基を挙げることができる。
(式中、mは1以上の正数であり、n、lはそれぞれ1〜10000の正数である。また、式中、Uは(2+m)価の有機基を示し、Vは3価の有機基を示し、Wは活性水素を有さない2価の有機基を示し、Yは2価の有機基を示す。)
本発明に使用される(B)成分である光により酸を発生する化合物は、感光剤であり、酸を発生させ、光の照射部のアルカリ水溶液への可溶性を増大させる機能を有するものである。その種類としては、o−キノンジアジド化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩などが挙げられ、特に制限はないが、o−キノンジアジド化合物が、感度が高いので、好ましいものとして挙げられる。
本発明に使用される(C)成分である溶剤としては、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ベンジル、n−ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート、3−メチルメトキシプロピオネート、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリルアミド、テトラメチレンスルホン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。
これらの溶剤は単独で又は2種以上併用して用いることができる。また、(C)成分である溶剤の配合量は特に制限はないが、一般に組成物中溶剤の割合が20〜90重量%となるように調整されることが好ましい。
先に示した本発明のポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物において、(A)〜(C)成分に加え、架橋剤(D)、具体的に好ましいものとしてエポキシ基を有する化合物やフェノール性水酸基を有する化合物を用いることができる。このうち、フェノール性水酸基を有する化合物は、配合することによってアルカリ水溶液で現像する際に露光部の溶解速度が増加し感度が上がり、また、パターン形成後の膜の硬化時に、ポリアミドイミドと反応、すなわち橋架けする。これによって、膜の脆さや膜の溶融を防ぐことができるので好ましい。
(式中、Xはその両側の2つのベンゼン環を繋ぐ単なる結合(即ちXとしては何もなし)又は2価の有機基を示し、R3〜R6は各々独立に水素原子又は一価の有機基を示し、m及びnは各々独立に1〜3の整数であり、p及びqは各々独立に0〜4の整数である。)
(式中、個々のX’は、各々独立に、その両側を繋ぐ単なる結合(即ちX’としては何もなし)、アルキレン基(例えば炭素原子数が1〜10のもの)、アルキリデン基(例えば炭素数が2〜10のもの)、それらの水素原子の一部又は全部をハロゲン原子で置換した基、スルホン基、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合、アミド結合等から選択されるものであり、R’’は水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基又はハロアルキル基であり、複数存在する場合は互いに同一でも異なっていてもよく、gは1〜10の整数である。)
本発明に使用される(D)成分である架橋剤として、フェノール性水酸基を有する化合物に類似の化合物を添加することもできる。フェノール性水酸基を有する化合物に類似の化合物は、配合することによってアルカリ水溶液で現像する際に露光部の溶解速度が増加して感度が上がり、また、パターン形成後の膜の硬化時に、膜の溶融を防ぐことができる。さらに、フェノール性水酸基を有する化合物類似の化合物を(D)成分として用いると、感度、解像度、接着性に優れ、耐熱性をはじめとした物性に優れるパターンを得ることができる。そのような化合物として、以下の式(VI)に示す化合物を例示することができる。
先に示した本発明のポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物において、(A)〜(C)成分、さらに必要に応じて加える(D)成分に加え、溶解促進剤(E)を用いることができる。この(E)成分はアルカリ水溶液に対する溶解性を向上させ、感度や解像性が向上する点で好ましい。
なお、前述の通り、例えばフェノール性水酸基を有する化合物の中には、架橋剤(D)としての機能及び溶解促進剤(E)としての機能をあわせ持つものがある。そのような(D)成分と(E)成分の機能をあわせ持つ化合物を使用すれば、(D)成分と(E)成分をあえて別々に使用する必要はない。この場合、現像時間、未露光部残膜率の許容幅及び現像時の溶解促進効果の観点から、(D)成分と(E)成分の機能をあわせ持つ化合物の配合量は、(A)成分100重量部に対して、1〜30重量部が好ましく、3〜25重量部がより好ましい。
本発明において、熱潜在酸発生剤は加熱により酸を発生する化合物であり、熱潜在酸発生剤から発生する酸としては、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸のようなアリールスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸のようなパーフルオロアルキルスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸のようなアルキルスルホン酸が望ましい。熱潜在酸発生剤の配合量は、(A)成分100重量部に対して0.1〜30重量部が好ましく、0.2〜20重量部がより好ましく、0.5〜10重量部がさらに好ましい。
本発明において、溶解阻害剤は、(A)成分のアルカリ水溶液に対する溶解性を阻害する化合物であり、ポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物に含有させることができる。具体的には、ジフェニルヨードニウムニトラート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムニトラート、ジフェニルヨードニウムブロミド、ジフェニルヨードニウムクロリド、ジフェニルヨードニウムヨージド等である。これらは、残膜厚や現像時間をコントロールするのに役立つ。上記成分の配合量は、感度と現像時間の許容幅の点から、(A)成分100重量部に対して0.01〜20重量部が好ましく、0.01〜15重量部がより好ましく、0.05〜10重量部がさらに好ましい。
本発明のポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物は、硬化膜の基板との接着性を高めるために、有機シラン化合物、アルミキレート化合物等のカップリング剤を含むことができる。有機シラン化合物としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、尿素プロピルトリエトキシシラン、メチルフェニルシランジオール、エチルフェニルシランジオール、n−プロピルフェニルシランジオール、イソプロピルフェニルシランジオール、n−ブチルシフェニルシランジオール、イソブチルフェニルシランジオール、tert−ブチルフェニルシランジオール、ジフェニルシランジオール、エチルメチルフェニルシラノール、n−プロピルメチルフェニルシラノール、イソプロピルメチルフェニルシラノール、n−ブチルメチルフェニルシラノール、イソブチルメチルフェニルシラノール、tert−ブチルメチルフェニルシラノール、エチルn−プロピルフェニルシラノール、エチルイソプロピルフェニルシラノール、n−ブチルエチルフェニルシラノール、イソブチルエチルフェニルシラノール、tert−ブチルエチルフェニルシラノール、メチルジフェニルシラノール、エチルジフェニルシラノール、n−プロピルジフェニルシラノール、イソプロピルジフェニルシラノール、n−ブチルジフェニルシラノール、イソブチルジフェニルシラノール、tert−ブチルジフェニルシラノール、フェニルシラントリオール、1,4−ビス(トリヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(メチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(エチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(プロピルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ブチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジメチルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジエチルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジプロピルドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジブチルヒドロキシシリル)ベンゼン等が挙げられる。これらのカップリング剤を用いる場合は、(A)成分100重量部に対して、0.1〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。
また、本発明のポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物は、塗布性、例えばストリエーション(膜厚のムラ)を防いだり、現像性を向上させるために、適当な界面活性剤あるいはレベリング剤を添加することができる。このような界面活性剤あるいはレベリング剤としては、例えば、ポリオキシエチレンウラリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル等があり、市販品としては、メガファックスF171、F173、R−08(大日本インキ化学工業株式会社製商品名)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム株式会社商品名)、オルガノシロキサンポリマーKP341、KBM303、KBM403、KBM803(信越化学工業株式会社製商品名)等が挙げられる。
次に、本発明によるパターンの製造方法について説明する。本発明のパターンの製造方法は、上述したポジ型感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布して乾燥する工程と、前記乾燥工程により得られた感光性樹脂膜を露光する工程と、前記露光後の感光性樹脂膜を、アルカリ水溶液を用いて現像する工程と、及び前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程とを含む。以下、各工程について説明する。
まず、ポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程では、ガラス基板、半導体、金属酸化物絶縁体(例えばTiO2、SiO2等)、窒化ケイ素などの支持基板上に、上述したポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物を、スピンナーなどを用いて回転塗布した後、この支持基板をホットプレート、オーブンなどを用いて乾燥する。これにより、支持基板上にポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物の被膜が形成される。
次に、露光工程では、支持基板上で被膜となった感光性ポリアミドイミド樹脂組成物に、マスクを介して紫外線、可視光線、放射線などの活性光線を照射する。本発明において、感光性ポリアミドイミド樹脂組成物のアルカリ水溶液可溶性ポリアミドイミドは、i線に対する透明性が高いので、i線の照射を好適に用いることができる。
なお、露光後、必要に応じて露光後加熱(PEB)を行ってから、現像工程に進むこともできる。露光後加熱の温度は70℃〜140℃、露光後加熱の時間は1分〜5分が好ましい。
現像工程では、活性光線が露光した感光性ポリアミドイミド樹脂組成物の露光部を、現像液で除去することによりパターンが得られる。現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウムなどのアルカリ水溶液が好ましいものとして挙げられる。これらの水溶液の塩基濃度は、0.1〜10重量%とすることが好ましい。さらに、上記現像液にアルコール類や界面活性剤を添加して使用することもできる。これらはそれぞれ、現像液100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の範囲で配合することができる。
次いで、加熱処理工程では、現像後得られたパターンを加熱処理することにより、ポリアミドイミドのパターンを形成することができる。加熱処理工程における加熱温度は、250℃以下、望ましくは、200℃以下であり、より望ましくは、140〜200℃の範囲である。
パターンの製造方法の加熱処理工程における加熱処理としては、通常の窒素置換されたオーブンを用いる以外に、マイクロ波硬化装置や周波数可変マイクロ波硬化装置を用いることもできる。これらを用いることにより、基板やデバイスの温度を例えば200℃以下に保ったままで、感光性ポリアミドイミド樹脂組成物膜のみを効果的に加熱することが可能である。
次に、本発明によるパターンの製造方法の一例として、半導体装置の製造工程を図面に基づいて説明する。図1−1〜図1−5は、多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を説明する概略断面図である。これらの図1−1〜図1−5において、回路素子(図示しない)を有するSi基板等の半導体基板1は、回路素子の所定部分を除いてシリコン酸化膜等の保護膜2で被覆され、露出した回路素子上に第1導体層3が形成されている。半導体基板1上にスピンコート法等でポリイミド樹脂等の層間絶縁膜4が成膜される(図1−1)。
次に、本発明による電子部品について説明する。本発明による電子部品は、ポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物を用いて上記パターンの製造方法によって形成されるパターンを有する。ここで、電子部品としては、半導体装置や多層配線板、各種電子デバイス等を含む。また、上記パターンは、具体的には、半導体装置の表面保護膜や層間絶縁膜、多層配線板の層間絶縁膜等の形成に使用することができる。本発明による電子部品は、前記組成物を用いて形成される表面保護膜や層間絶縁膜を有すること以外は特に制限されず、様々な構造をとることができる。
また、本発明のポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物は、応力緩和性、接着性等にも優れるため、近年開発された各種構造のパッケージにおける各種の構造材としても使用することができる。図2、図3にそのような半導体装置の一例の断面構造を示す。
攪拌機、温度計、還流管、及び、ディーンシュターク型水分受器を備えた0.5リットルのフラスコ中に、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン5.49g、及び、トリメリト酸無水物6.05gをN−メチルピロリドン50gに溶解させた。この溶液を80℃に加熱し、30分間反応させた。次に、トルエン30mlを加え、160℃で2時間加熱後、さらに180℃に昇温してトルエンを留去した。反応液を冷却し、さらに、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアナート)3.00gを加え、150℃で2時間反応させた。反応生成物は1リットルの水に投入し、析出物を回収、純水で洗浄した後、減圧乾燥してポリアミドイミドを得た(以下、ポリマーA1とする)。ポリマーA1のGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は20,000、分散度は1.6であった。
攪拌機、温度計、還流管、及び、ディーンシュターク型水分受器を備えた0.5リットルのフラスコ中に、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン5.49g、及び、1,2,4−カルボキシシクロヘキサン−1,二無水物6.24gをN−メチルピロリドン50gに溶解させた。この溶液を80℃に加熱し、30分間反応させた。次に、トルエン30mlを加え、160℃で4時間加熱後、さらに180℃に昇温してトルエンを留去した。反応液を冷却し、さらに、トリレンジイソシアナート(2,4−ジイソシアナトトリレンと2,6−ジイソシアナトトリレンの混合物)2.87gを加え、150℃で2時間反応させた。反応生成物は1リットルの水に投入し、析出物を回収、純水で洗浄した後、減圧乾燥してポリアミドイミドを得た(以下、ポリマーA2とする)。ポリマーA2のGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は40,000、分散度は2.6であった。
攪拌機、温度計、還流管、及び、ディーンシュターク型水分受器を備えた0.5リットルのフラスコ中に、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン10.98g、及び、オキシジフタル酸二無水物4.65gをN−メチルピロリドン50gに溶解させた。この溶液を80℃に加熱し、30分間反応させた。次に、トルエン30mlを加え、160℃で3時間加熱後、さらに180℃に昇温してトルエンを留去した。反応液を冷却し、1,2,4−カルボキシシクロヘキサン−1,二無水物6.24gを加え、溶液を80℃に加熱し、30分間反応させた。次に、トルエン30mlを加え、160℃で4時間加熱後、さらに180℃に昇温してトルエンを留去した。反応液を冷却し、さらに、トリレンジイソシアナート(2,4−ジイソシアナトトリレンと2,6−ジイソシアナトトリレンの混合物)3.13gを加え、150℃で2時間反応した。反応生成物は1リットルの水に投入し、析出物を回収、純水で洗浄した後、減圧乾燥してポリアミドイミドを得た(以下、ポリマーA3とする)。ポリマーA3のGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は43,000、分散度は2.1であった。
合成例1〜3で得られたアルカリ水溶液可溶性のポリアミドイミドA1〜A3を溶剤(γ−ブチロラクトンとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの重量比9:1の混合物)に溶解させた。この溶液を3μm孔のテフロン(登録商標)フィルタを用いて加圧ろ過し、ろ液をガラス基板上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、膜厚10μmの塗膜を形成した。この塗膜の365nm(i線)における透過率を(株)日立製作所製分光光度計U−3310により測定した。その結果を表1に示す。
分析例1で得られたアルカリ水溶液可溶性のポリアミドイミドA1〜A3の溶液(ろ液)をシリコン基板上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、膜厚10μmの塗膜を形成した。この塗膜を2.38%−水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液に浸積し、塗膜が完溶するまでの時間を測定して溶解速度を算出した。その結果を表1に示す。
配合
合成例1〜3におけるアルカリ水溶液可溶性のポリアミドイミド[(A)成分]100重量部に対し、o−キノンジアジト化合物(B)、溶剤(C)、フェノール性水酸基を有する化合物(D)を表2に示した所定量にて配合し、さらに接着助剤として尿素プロピルトリエトキシシランの50%メタノール溶液5重量部を配合した。この溶液を3μm孔のテフロン(登録商標)フィルタを用いて加圧ろ過して、ポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物の溶液(M1〜M8)を得た。
なお、実施例1〜8において、フェノール性水酸基を有する化合物(D)は溶解促進剤(E)としても作用する。
前記ポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物の溶液(M1〜M8)をシリコン基板上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、膜厚11〜13μmの塗膜を形成した。その後、i線ステッパー(キャノン製FPA−3000iW)を用いて、マスクを介してi線(365nm)での縮小投影露光を行った。樹脂M1の塗膜については、さらに、g線ステッパー(キャノン製FPA−1550MARKII)を用いて、マスクを介してg線
(436nm)で縮小投影露光を行った。露光後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38%水溶液にて現像を行い、残膜厚が初期膜厚の70〜90%程度となるように現像を行った。その後、水でリンスしパターン形成に必要な最小露光量と解像度を求めた。結果を表3に記す。
さらに、前記ポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物の溶液(M1〜M8)をシリコン基板上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、膜厚約15μmの塗膜を形成した。その後、樹脂M2〜M8の塗膜をプロキシミティ露光機(キャノン製PLA−600FA)を用いて、マスクを介してi線(365nm)で露光を行った。樹脂M1の塗膜は、プロキシミティ露光機(キャノン製PLA−600FA)を用いて、マスクを介してg線(436nm)で露光を行った。露光後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38%水溶液にて現像を行い、10mm幅の矩形パターンを得た。その後、前記塗膜を以下の方法で加熱処理(硬化)した。
硬化は以下の方法で行い、膜厚約10μmの硬化膜を得た。
(i)縦型拡散炉(光洋サーモシステム製μ−TF)を用い、窒素中、温度200℃(昇温時間1.5時間)で1時間、塗膜を加熱処理した。
(ii)周波数可変型マイクロ波硬化炉(ラムダテクノロジー社製Microcure2100)を用い、マイクロ波出力450W、マイクロ波周波数5.9〜7.0GHz、温度175℃(昇温時間5分間)、2時間加熱処理した。
なお、硬化前後の膜厚の収縮率((1−硬化後の膜厚/硬化前の膜厚)×100[%])を表4に示す。
上記の方法で硬化した膜厚約10μmの硬化膜をシリコン基板から剥離し、剥離膜のガラス転移温度(Tg)をセイコーインスツルメンツ社製TMA/SS600で測定した。なお、試料の幅は2mm、膜厚は9〜11μmであり、チャック間は10mmとする。また、荷重は10gで、昇温速度は5℃/分である。また、剥離膜の平均破断伸度(EL)を島津製作所製オートグラフAGS−H100Nによって測定した。なお、試料の幅は10mm、膜厚は9〜11μmであり、チャック間は20mmとする。引っ張り速度は5mm/分で、測定温度は室温(20℃〜25℃)程度とする。ここでは、同一条件で得た硬化膜について5本以上の測定値の平均を「平均破断伸度(EL)」とする。硬化条件、Tg、及び、ELを表4に示す。
攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸15.48g、N−メチルピロリドン90gを仕込み、フラスコを5℃に冷却した後、塩化チオニル12.64gを滴下し、30分間反応させて、4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸クロリドの溶液を得た。次いで、攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン87.5gを仕込み、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン18.30gを添加し、攪拌溶解した後、ピリジン8.53gを添加し、温度を0〜5℃に保ちながら、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロリドの溶液を30分間で滴下した後、30分間攪拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収、純水で3回洗浄した後、減圧乾燥してポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)を得た(以下、ポリマーαとする)。ポリマーαのGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は14580、分散度は1.6であった。
比較合成例におけるポリヒドロキシアミド[(A)成分]100重量部に対し、o−キノンジアジト化合物(B)として上記化学式(VII)のB2、溶剤(C)としてN−メチル−2−ピロリドン(C1)、フェノール性水酸基を有する化合物(D)として上記化学式(VIII)のD2を表2に示すように配合した。さらに接着助剤として尿素プロピルトリエトキシシランの50%メタノール溶液5重量部を配合した。この溶液を3μm孔のテフロン(登録商標)フィルタを用いて加圧ろ過して、ポジ型感光性樹脂組成物の溶液(M9)を得た。配合量を表2に併記した。続いて、実施例1〜8と同様に感光特性を調べ、その結果を表3に併記した。さらに、実施例1〜8と同様に硬化膜の物性を測定し、その結果を表4に併記した。
なお、比較例において、フェノール性水酸基を有する化合物(D)は溶解促進剤(E)としても作用する。
合成例1〜3で得られたポリアミドイミドA1〜A3のi線(365nm)に対する透過率を表1に示した。A1は透過率が低いが、トリカルボン酸一無水物(a2)として脂環式トリカルボン酸一無水物から得られるポリアミドイミドA2、A3は透過率が高く共に50%を越えていた。一方、ポリアミドイミドA1〜A3の2.38%−水酸化テトラメチルアンモニウムに対する溶解速度についても表1に示した。A1〜A3いずれも250nm/s以上の極めて良好な溶解性を示すことがわかった。
2 保護膜
3 第1導体層
4 層間絶縁膜層
5 感光樹脂層
6A、6B、6C、6D 窓
7 第2導体層
8 表面保護膜層
11 層間絶縁層
12 Al配線層
13 絶縁層
14 表面保護膜層
15 パッド部
16 再配線層
17 導電性ボール
18 コア
19 カバーコート層
20 バリアメタル
21 カラー
22 アンダーフィル
23 シリコンチップ
24 接続部
Claims (15)
- フェノール性水酸基を有するジアミン(a1)とトリカルボン酸一無水物(a2)を反応させて得られるジイミドジカルボン酸に、ジイソシアナート(a3)を反応させて得られるアルカリ水溶液可溶性のポリアミドイミド(A)と、光により酸を発生する化合物(B)と、及び溶剤(C)とを含有してなるポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物。
- 前記フェノール性水酸基を有するジアミン(a1)として、フェノール性水酸基を有するジアミンとテトラカルボン酸二無水物との縮合物を用いることを特徴とする請求項1に記載のポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物。
- 前記トリカルボン酸一無水物(a2)が環状トリカルボン酸一無水物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物。
- 前記一般式(I)のVが、置換又は無置換の環状構造を有する有機基であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物。
- 前記ポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物が、前記(A)成分100重量部に対して、前記(B)成分5〜100重量部を配合してなることを特徴とする請求項1から請求項6のうち、いずれか1項に記載のポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物。
- 前記(B)成分が、o−キノンジアジド化合物であることを特徴とする請求項1から請求項7のうち、いずれか1項に記載のポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物。
- 前記ポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物が、さらに架橋剤(D)を含むことを特徴とする請求項1から請求項8のうち、いずれか1項に記載のポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物。
- 前記ポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物が、さらに溶解促進剤(E)を含むことを特徴とする請求項1から請求項9のうち、いずれか1項に記載のポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物。
- 前記架橋剤(D)及び溶解促進剤(E)がフェノール性水酸基を有する化合物であることを特徴とする請求項1から請求項10のうち、いずれか1項に記載のポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物。
- 前記アルカリ水溶液可溶性のポリアミドイミド(A)の被膜厚さ10μm、波長365nm(i線)における透過率が10%以上であり、2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液の溶解速度が5nm/s以上であることを特徴とする請求項1から請求項11のうち、いずれか1項に記載のポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物。
- 請求項1から請求項12のうち、いずれか1項に記載のポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥する工程と、前記乾燥工程により得られた感光性樹脂膜を露光する工程と、前記露光後の感光性樹脂膜をアルカリ水溶液を用いて現像する工程と、及び前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程とを含むことを特徴とするパターンの製造方法。
- 前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程において、加熱温度が200℃以下であることを特徴とする請求項13に記載のパターンの製造方法。
- 請求項13又は14に記載のパターンの製造方法により製造されるパターンの層を有してなる電子デバイスを有する電子部品であって、前記電子デバイス中に前記パターンの層を、層間絶縁膜層又は表面保護膜層として有することを特徴とする電子部品。
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