JP2007239603A - 可変圧縮比エンジン - Google Patents

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大輔 田中
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康治 平谷
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Abstract

【課題】低負荷域においてNOxトラップ触媒等のNOx浄化装置が不要なほどNOxの排出量が少ない超希薄燃焼を可能とする可変圧縮比エンジンを提供する。
【解決手段】運転状態を検出する運転状態検出手段と、混合気の空燃比を調節する空燃比制御手段70と、燃焼室30の圧縮比を変更する圧縮比変更手段51〜53と、混合気に点火する点火手段40と、点火手段の点火エネルギーを増大させる点火エネルギー増大手段70と、運転状態が所定負荷よりも低い低負荷域であるとき、負荷に応じて燃焼室の圧縮比を高めて希薄空燃比限界を拡大し、その拡大した希薄空燃比限界付近まで空燃比を希薄化し、希薄化された混合気を安定して点火するために点火エネルギーを増大させる運転状態制御手段70とを備える。
【選択図】図1

Description

この発明は、可変圧縮比エンジンに関する。
エンジンは、空燃比がリーンである方が燃料消費量が少なく燃費が向上する。ところが空燃比がストイキ(空燃比15程度)よりもややリーンの状態(空燃比16〜17程度)では窒素酸化物(NOx)の排出量が非常に多くなる。空燃比がさらにリーンの状態では、空燃比が16程度のときよりはNOxの排出量が減少するものの、それでも依然としてNOxの排出量が多い。またエンジンは希薄空燃比限界を超えては混合気中に含有される燃料が少なすぎて、筒内燃焼が不安定になって運転できない。そこで従来のいわゆるリーンバーンエンジンは、筒内燃焼が不安定にならず、かつ燃費を向上させるために、希薄空燃比限界を超えない範囲で空燃比をリーンにしている。そして、排出される多量のNOxについては触媒で浄化する必要があり、このために使用するNOx浄化触媒(例えばNOxを一旦トラップしてからNOxを浄化するNOxトラップ触媒など)は高価である。またNOxを還元するために燃料又は過濃燃焼ガスを必要とするので燃費低減効果が少ない。
ところで希薄空燃比限界を拡大するには、圧縮比を高くするとよいことが知られている。すなわち圧縮比が高ければ点火時の燃焼室内容積が小さいので、少ない燃料でも着火しやすくなる。そのため空燃比が、よりリーンな範囲でも安定して筒内燃焼するのである。
そこで特許文献1に記載されたエンジンは、シリンダヘッドに設けた可変容積用ピストンによって燃焼室容積を変化させることで圧縮比を可変にし、低負荷時には圧縮比を高めて希薄空燃比限界を拡大して、よりリーンな空燃比での運転を可能にしている。
特開昭60−240837号公報
しかし、前述した従来の可変圧縮比エンジンは、確かに圧縮比を高くすることで希薄燃焼安定限界を拡大でき、空燃比をよりリーンにすることができ、NOxを減少できる。ところがこのようなエンジンでは、空燃比をせいぜい24〜25程度にすることが限界であり、NOxトラップ触媒などを完全に廃止することができるまでNOxを減少することはできない。
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、NOxトラップ触媒等のNOx浄化装置が不要なほどNOxの排出量が少ない超希薄燃焼を可能とする可変圧縮比エンジンを提供することを目的としている。
本発明は以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
本発明は、運転状態を検出する運転状態検出手段(ステップS1)と、混合気の空燃比を調節する空燃比制御手段(70)と、燃焼室(30)の圧縮比を変更する圧縮比変更手段(51〜53)と、混合気に点火する点火手段(40)と、前記点火手段の点火エネルギーを増大させる点火エネルギー増大手段(70)と、前記運転状態が所定負荷よりも低い低負荷域であるとき、負荷に応じて前記燃焼室の圧縮比を高めて希薄空燃比限界を拡大し、その拡大した希薄空燃比限界付近まで前記空燃比を希薄化し、希薄化された混合気を安定して点火するために前記点火エネルギーを増大させる運転状態制御手段(70)とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、低負荷域において圧縮比を高圧縮化することによって希薄空燃比限界を拡大し、希薄混合気の燃焼を安定させることができる。このとき、混合気を点火する点火エネルギーを増大させることによって、希薄混合気の燃焼をさらに安定させることができる。このようにして、低負荷域においてNOxをほとんど発生させない超希薄燃焼を実現することができる。
以下では図面等を参照して本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明による可変圧縮比エンジンの第1実施形態を示す図である。
本件発明者らは、従来より、図1に示すようなピストンとクランクシャフトとを2つのリンクで連結する複リンク機構による可変圧縮比エンジン(以下「複リンク式可変圧縮比エンジン」という)について鋭意研究を重ねている。この複リンク式可変圧縮比エンジンは、ピストンとクランクシャフトとを1つのリンク(コンロッド)で連結し、圧縮比が一定である通常のエンジン(以下「ノーマルエンジン」という)に比べて、ピストンが上死点付近に滞在する期間が長いという特性がある(詳細は例えば特開2002-285857号公報)。
そして発明者らのさらなる研究によって、この特性を利用すれば、複リンク式可変圧縮比エンジンの希薄燃焼安定限界を拡大でき、NOx排出量をほとんど無くすことができるということが知見された。
本発明は、発明者らのそのような知見に基づいてなされたものである。
まず最初に複リンク式可変圧縮比エンジンについて説明する。図1は、本実施形態で採用する複リンク式可変圧縮比エンジンを示す図であり、図1(A)はエンジンの全体図、図1(B)は図1(A)のB−B断面を示す断面図である。
図1(A)に示すように、エンジン10は内部に燃焼室30を有する。エンジン10は、外気を燃焼室30に導く吸気ポート56と、燃焼後の排気を排出する排気ポート62とを備える。
燃焼室30と吸気ポート56との間には吸気弁55を備える。吸気弁55は、吸気ポート56と燃焼室30との間を開閉して燃焼室30への吸気量を調節する。また、吸気ポート56は燃料噴射弁41を備える。燃料噴射弁41は、図示しない燃料タンクと連結して燃焼室30に燃料を供給する。燃料噴射弁41は、燃料を霧状に噴射して外気と混ぜ合わせて混合気を生成する。燃焼室30に供給された混合気は点火プラグ42によって点火される。点火プラグ42は、後述するように点火エネルギーの大きさを可変制御することができる。
また、吸気ポート56にはスワールコントロールバルブ43が備えられている。スワールコントロールバルブ43は、図1(B)に示すように吸気ポート56を2分割して一方を開閉させる。そこで、スワールコントロールバルブ43を閉じた状態で吸気すると、吸気の流速が増大して燃焼室に旋回流(スワール)が生成される。また、スワールコントロールバルブ43の開度を制御することによってスワールの強さを調整することができる。このようにして燃焼室内のガス流動を強化すると、燃焼火炎表面の面積が増加することによって火炎が広範囲で混合気に接触することができる。したがって、混合気の燃焼を促進させて火炎の伝播速度を速くすることができ、燃焼を短期間で完了させることができる。
さらに、燃焼室30と排気ポート62との間には排気弁61を備える。排気弁61は、排気ポート62と燃焼室30との間を開閉して排ガスを排出する。排気弁61は後述するように開閉タイミングの変更が可能である。本実施形態では、排気弁61の開閉タイミングを制御することによってEGR量を調整することができる。
複リンク式可変圧縮比エンジン10は、ピストン32とクランクシャフト33とを2つのリンク(アッパリンク(第1リンク)11、ロアリンク(第2リンク)12)で連結するとともに、コントロールリンク(第3リンク)13でロアリンク12の姿勢を制御して機関圧縮比を変更する。
アッパリンク11は、上端をピストンピン21を介してピストン32に連結し、下端を連結ピン22を介してロアリンク12の一端に連結する。ピストン32は、燃焼圧力を受け、シリンダブロック31のシリンダ31a内を往復動する。
ロアリンク12は、一端を連結ピン22を介してアッパリンク11に連結し、他端を連結ピン23を介してコントロールリンク13に連結する。また、ロアリンク12は、ほぼ中央の連結孔に、クランクシャフト33のクランクピン33bを挿入し、クランクピン33bを中心軸として回転する。ロアリンク12は左右の2部材に分割可能に構成される。クランクシャフト33は、複数のジャーナル33aとクランクピン33bとを備える。ジャーナル33aは、シリンダブロック31及びラダーフレーム34によって回転自在に支持される。クランクピン33bは、ジャーナル33aから所定量偏心しており、ここにロアリンク12が回転自在に連結する。
コントロールリンク13は、先端に連結ピン23を挿入し、ロアリンク12に回動可能に連結する。またコントロールリンク13は、他端を偏心連結ピン24を介してコントロールシャフト25に連結する。コントロールリンク13は、この偏心連結ピン24を中心として揺動する。またコントロールシャフト25にはギヤが形成されており、そのギヤがアクチュエータ51の回転軸52に設けられたピニオン53に噛合する。アクチュエータ51によってコントロールシャフト25が回転させられ、偏心連結ピン24が移動する。
これら各機構の制御は、運転状態に応じてコントローラ70によって行なわれる。コントローラ70は中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。
コントローラ70は、アクチュエータ51を制御してコントロールシャフト25を回転させて圧縮比を変更する。また、コントローラ70は吸気ポート56に設けられた燃料噴射弁41の燃料噴射を制御する。さらに、コントローラ70はシリンダヘッドに設けられた点火プラグ42の点火時期を制御する。また、コントローラ70は排気弁61の開閉タイミングを制御してEGR量を調整する。さらに、コントローラ70は点火プラグ42の点火時期や点火エネルギーの量を制御する。
図2は排気弁61の開閉タイミング調整機構を説明する図であり、図2(A)は開弁時の状態、図2(B)は閉弁時の状態を表す。本実施形態では、排気の完了前に排気弁61を閉じることで排ガスを燃焼室内に残留させ、この排ガスによってEGR効果を得る。したがって、EGR量を制御するためには排気弁61をクランクシャフトの回転と独立して開閉する機構を必要とする。
このような排気弁61の開閉タイミングを調整する機構としては、例えば特開2004-346825号公報のように開閉リフト量と開閉タイミングを変更するものや、特開2000-45733号公報のように電磁駆動機構によって開閉タイミングを変更可能なものがある。ここでは電磁駆動機構によるものを簡単に説明する。
排気弁61は、バルブシート63に着座又は離座することによって排気ポート62を開閉する。排気弁61のバルブステム64には、可動子65が固着されている。可動子65は上側スプリング66及び下側スプリング67と連結する。上側スプリング66は図上方に下側スプリング67は図下方に可動子65を付勢し、軸方向に弾性的に支持する。上側スプリング66及び下側スプリング67は、バルブステム64を遊挿する。
可動子65の上下には開弁用電磁コイル68と閉弁用電磁コイル69とが備えられている。可動子65は磁性材料で形成されており、これらの電磁コイルの一方を通電すると、発生した磁力によって可動子65が電磁コイルに引き寄せられる。また、開弁用電磁コイル68は下側スプリング67を、閉弁用電磁コイル69は上側スプリング66を遊挿している。
次に、排気弁61の開閉動作について説明する。開弁用電磁コイル68及び閉弁用電磁コイル69への電力供給がともに遮断されている状態では、上側スプリング66及び下側スプリング67の弾性力によって、可動子65は電磁コイル68,69の中間に位置する。開弁用電磁コイル68に通電すると、図2(A)に示すように可動子65は開弁用電磁コイル68に引き寄せられて矢印Cの方向に移動し、排気ポート62を開弁する。一方、閉弁用電磁コイル69に通電すると、図2(B)のように可動子65は閉弁用電磁コイル69に引き寄せられて矢印Dの方向に移動し、排気ポート62を閉弁する。
このように電磁コイル68,69の通電を切替えることによって、排気弁61をクランクシャフトの回転と独立して開閉させることができる。
図3は複リンク式可変圧縮比エンジンによる圧縮比変更方法を説明する図である。
コントロールシャフト25を回転して、偏心連結ピン24の位置を変更することで、機関圧縮比が変更する。例えば図3(A)、図3(C)に示すように偏心連結ピン24を位置Aにすれば、上死点位置が高くなり高圧縮比になる。
そして図3(B)、図3(C)に示すように、偏心連結ピン24を位置Bにすれば、コントロールリンク13が上方へ押し上げられ、連結ピン23の位置が上がる。これによりロアリンク12はクランクピン33bを中心として反時計方向に回転し、連結ピン22が下がり、ピストン上死点(TDC)におけるピストン32の位置が下降する。したがって圧縮比が低圧縮比になる。
図4は、ピストン挙動を示す図であり、図4(A)は図4(B)の点線部の拡大図である。
上述したように、複リンク式可変圧縮比エンジンは、同じ圧縮比であるノーマルエンジンに比べて、ピストンが上死点付近に滞在する期間が長い。この点を図4を参照して説明する。図4には、ノーマルエンジンと同じ圧縮比にした複リンク式可変圧縮比エンジンのピストン挙動が細実線で示されている。この図より、複リンク式可変圧縮比エンジンは、同じ圧縮比であるノーマルエンジンに比べて、ピストンが上死点付近に滞在する期間が長いことが分かる。
さらにピストンが上死点から所定の距離内にあるときを、ピストンが上死点付近にあるとすると、複リンク式可変圧縮比エンジンの高圧縮比のときに上死点付近にあるときの方が、低圧縮比のときに上死点付近にあるときよりも、ピストンの上死点付近滞在期間が長い。すなわち図4(B)において、L1>L2である。なお、L1、L2ともに、上死点前より上死点後の方が長い。
このように複リンク式可変圧縮比エンジンは、ノーマルエンジンに比べてピストンが上死点付近に滞在する期間が長い。さらに圧縮比が高い方がピストンが上死点付近に滞在する期間が長い。ピストンが上死点付近に長く滞在するということは、燃焼中に高圧縮状態が長く維持されるということである。特に、上死点後に高圧縮状態が長く維持されると、超希薄燃焼であっても比較的大きな燃焼エネルギーを得ることができるので燃焼性が安定する。また、ピストンのストローク特性を単振動に近い特性にすれば、エンジン全体の振動を小さくすることができる。
複リンク式可変圧縮比エンジンはこのような特性を有することから、図5の特性を有する。図5(A)は、空燃比と燃焼安定度との関係を示す図である。図中の細線はノーマルエンジン、太線は複リンク式可変圧縮比エンジンである。
この図を見て分かるように、ノーマルエンジン(圧縮比8〜12程度)において燃焼安定性を確保できる空燃比は22程度である。
一方、複リンク式可変圧縮比エンジンによれば、ピストンの上死点付近滞在時間が長いために圧縮比が高い状態が長くなり、燃焼安定限界が損なわれにくい。そして圧縮比を高くすることで(例えば圧縮比18程度)、空燃比A/Fが30程度まで安定した燃焼をすることができる。
図5(B)は、複リンク式可変圧縮比エンジンにおける空燃比と排出NOx量との関係を示す図である。図中の太線は高圧縮比の場合、細線は低圧縮比の場合である。
この図より、圧縮比が低い方が排出されるNOx量が少ないものの、空燃比を略30以上にしてしまうと、圧縮比にかかわらず、ほとんどNOxが排出されないことが分かる。
また、希薄化した混合気の燃焼を安定させるためには、前述のように燃焼中に高圧縮状態を長く維持することに加え、点火エネルギーを増大させるとよい。図6は圧縮比、空燃比、点火進角量と要求点火エネルギーとの関係を示すグラフである。各グラフの縦軸は要求点火エネルギーを、横軸は図6(A)は圧縮比、図6(B)は空燃比、図6(C)は点火進角を示す。
図6(A)に示すように、混合気の圧縮比と要求点火エネルギーは略比例し、圧縮比が高いほど大きな点火エネルギーを必要とする。図6(B)に示すように、混合気の空燃比が大きいほど大きな点火エネルギーを必要とする。図6(C)に示すように、点火時期を進角させるほど必要となる点火エネルギーが減少し、点火時期の遅角化にともなって大きな点火エネルギーを必要となる。
したがって、本実施形態のように高圧縮化された希薄燃焼領域では、高い燃焼安定性を確保するために点火エネルギーを増大させる必要がある。
図7は、点火エネルギーの調節を可能とする点火装置40を示しており、図7(A)は点火装置40の構成図、図7(B)は一次コイルの通電時間と二次コイルの起電力との関係を示すグラフである。
図7(A)に示すように、点火装置40は、点火プラグ42と、イグニッションコイル44とを備える。点火プラグ42は、高電圧をかけられると中心電極と接地電極との間の絶縁が破られて放電し、電気火花を発生させる。点火プラグ42の中心電極は、イグニッションコイル44の出力端子と接続される。イグニッションコイル44は、高電圧を発生させる。イグニッションコイル44は、鉄心45と、一次コイル46と、二次コイル47とを備える。一次コイル46及び二次コイル47は、鉄心45に巻回されている。
ここで、イグニッションコイル44が高電圧を発生させる仕組みについて説明する。
一次コイル46に電流が流れると磁束が発生する。この磁束は、一次コイル46を流れる電流の大きさに比例する。この磁束は二次コイル47を貫いているため、一次コイルの通電を遮断すると、相互誘導によって二次コイル47に起電力を生じさせる。このとき、この起電力の大きさはコイルの巻数に比例する。したがって、高い放電電圧を得るために二次コイル47の巻数を許容範囲内で多くしてある。
本実施形態では、運転状態によって点火エネルギーの大きさを制御する。図7(B)に示すようにコイルを流れる電流は通電を開始してから徐々に増加する。したがって、一次コイル46の通電時間を調節することによって電流の量を調節することができる。また、前述のように一次コイル46の電流量と二次コイル47で生じる起電力は比例することから、一次コイル46の通電時間によって点火エネルギーの大きさを制御することができる。そこで、図7(C)(D)に示すように通常点火時には通電を開始してからt1時間後に通電を遮断し、希薄燃焼領域の点火エネルギー強化時にはt1よりも大きいt2時間経過後に通電を遮断する。
以上のことから、これらの特性を利用して本発明では圧縮比、空燃比及び点火エネルギーを以下のように制御するようにした。これらの制御はコントローラ70によって実行される。
図8は、コントローラ70によって実行される本発明による制御ロジックのメインフローチャートである。
ステップS1では、各種センサが検出した情報に基づいて現在走行中の運転状態を取得する。具体的には空気吸入量や燃料噴射量などに基づいて、現在の運転負荷領域が低負荷域、中負荷域若しくは高負荷域に属しているかを判断する。
ステップS2では、ステップS1で取得した運転負荷領域が低負荷域に属するか否かを判定する。運転状態が低負荷域に属する場合にはステップS3に処理を移し、属さない場合にはステップS4に処理を移す。
ステップS3では、低負荷運転制御を行う。低負荷運転制御では超希薄燃焼を行ない、NOxをほとんど排出させないようにする。具体的な処理については後述する。
ステップS4では、運転負荷領域が中負荷域に属するか否かを判定する。中負荷域に属する場合にはステップS5に処理を移して中負荷運転制御を行い、中負荷域に属さない場合にはステップS6に処理を移して高負荷運転制御を行う。
図9は低負荷運転制御のサブルーチンを示すフローチャートである。低負荷運転制御では空燃比A/Fが30以上の超希薄燃焼を行ってNOxの排出量を略ゼロにする。超希薄燃焼を安定して行なうために、圧縮比の高圧縮比化などの制御を行う。
ステップS31では、負荷に応じた空燃比A/Fを設定する。このとき、空燃比A/FはNOxをほとんど発生させない30以上の値が設定される。
ステップS32では、負荷に応じた圧縮比εを設定する。このとき、圧縮比εは超希薄燃焼であっても安定した燃焼が可能なε1以上の値に設定される。
ステップS33では、燃焼室内に発生させるガス流動の強さを設定する。希薄混合気の燃焼を補助し、燃焼安定性を向上させるためである。このガス流動の強さは負荷に応じて設定する。
ステップS34では、排気弁61の開閉タイミングを制御してEGR量を略ゼロにする。
ステップS35では、負荷に応じて点火エネルギーを増大させる。前述したように超希薄燃焼を行なう場合には、設定された圧縮比や空燃比に応じて点火エネルギーを増大させる必要があるからである。
図10は中負荷運転制御のサブルーチンを示すフローチャートである。中負荷運転制御は概ね従来の制御と同様である。
ステップS51では、空燃比A/Fをストイキに設定する。空燃比が30以上の超希薄燃焼では、要求されるエンジン出力を実現できないからである。
ステップS52では、負荷に応じた圧縮比εを設定する。この圧縮比εは高圧縮比ではなく、通常の圧縮比の範囲内とする。これは、空燃比が30以下で燃焼させる場合に圧縮比を高圧縮比化すると、かえってNOxの発生量が増加するからである(図5(B))。そこで、超希薄領域からストイキまでの中間領域の空燃比では運転せず、中負荷域となったら空燃比をストイキに設定し、通常の圧縮比で運転する。
ステップS53では、燃焼室内に発生させるガス流動の強さを負荷に応じて設定する。
ステップS54では、NOxを減らすため排気弁61の開閉タイミングを制御して負荷に応じたEGR量に調整する。
ステップS55では、通常よりもやや強化した点火エネルギーとなるように制御する。
図11は高負荷運転制御のサブルーチンを示すフローチャートである。高負荷運転制御では、ノッキングの発生を抑制する。
ステップS61では、空燃比A/Fをストイキよりもややリッチに設定する。
ステップS62では、圧縮比εを設定する。このとき、高負荷であるほど圧縮比εを低く設定し、一定以上の負荷を要求された場合には圧縮比εを最小圧縮比εminに設定する。高負荷運転時に圧縮比を高くしすぎると燃焼室内の温度が上昇し、ノッキングが発生しやすくなるからである。
ステップS63では、燃焼室内に発生させるガス流動の強さを負荷に応じて設定する。ガス流動は燃焼安定性を向上させるとともに、ノッキングの発生を抑制する。
ステップS64では、出力を優先させるため排気弁61の開閉タイミングを制御してEGR量を略ゼロにする。
ステップS65では、燃焼室内は高温となっており、点火エネルギーを増大させる必要がなく、通常の点火エネルギーに設定する。
図12は本発明による制御を実行したときの効果を説明する図である。横軸はエンジンの負荷を、図12(A)は縦軸に空燃比、図12(B)はEGR、図12(C)は圧縮比、図12(D)はガス流動、図12(E)は要求点火エネルギー、図12(F)はNOxの発生量を示す。
本実施形態によれば、低負荷域のときには(S2でYes)、空燃比A/Fを30以上に設定して超希薄燃焼を行なう(S31;図12(A))。このような超希薄燃焼でも、圧縮比εの高圧縮化(S32;図12(C))、ガス流動(スワール)の強化(S33;図12(D))及び点火エネルギーの増大(S35;図12(E))によって安定した燃焼性を確保することができる。したがって、低負荷域において安定した燃焼性を確保しながらNOx排出量を略ゼロにすることができる(図12(F))。
さらに、このように負荷が低くなるほど空燃比を希薄にし、燃焼安定性を確保するために圧縮比を上げることで、負荷調整のためのスロットリングが必要なく、ノンスロットル運転を実現でき、ポンプロスを低減できる。
一方、本実施形態ではEGR量を略ゼロとしているが、負荷に応じた量のEGRガスを導入してもよい。例えば、負荷が低いほどEGR量を増やすことによって燃焼室内の温度を上昇させて、圧縮比を大幅に高くすることなく燃焼安定性を向上させることができるとともに、ポンプロスを低減することができる。
本実施形態によれば、中負荷域のときには(S4でYes)、エンジン出力が不足するために超希薄燃焼を行なうことができない。そこで、空燃比εをストイキに設定し(S51;図12(A))、負荷に応じてEGRガスを導入することで(S54;図12(B))、三元触媒のみでNOxを浄化することができる(図12(F))。
また、負荷が低いほど圧縮比を高くするとともに(S52;図12(C))燃焼室内のガス流動を強化し(S53;図12(D))、点火エネルギーを通常よりも増大させることによって(S55;図12(E))、燃焼性をより安定させることができる。
さらに、このようにEGRガスを導入することで、機関スロットル開度が開きポンプロスを低減できる。また中負荷域における圧縮比を、低負荷域の圧縮比よりも低く設定してノッキングを防止することができる。なお、NOxは三元触媒によって浄化する。
本実施形態によれば、高負荷域のときには(S4でNo)、圧縮比を中負荷域の圧縮比よりもさらに低く設定してノッキングを防止することができる(S62;図12(C))。
(第2実施形態)
図13は、本発明による可変圧縮比エンジンの第2実施形態を示す図である。
なお以下に示す各実施形態では前述した実施形態と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付して重複する説明を適宜省略する。
本実施形態では、電気火花を発生させて混合気に着火する点火装置ではなく、レーザーを用いた点火装置140を備えている。このようなレーザー点火装置140は、例えば実開昭62-59775号公報に開示されている。レーザー点火装置140は、発射されたレーザー光を凸レンズを用いて焦点Pに集束させることによって着火に必要なエネルギーを得ることができる。また、点火装置以外の構成は第1実施形態と同様である。
図14は、レーザー点火装置140の構成図である。レーザー点火装置140は、円筒状の筐体146の内部にレーザー照射部147とレーザー光に作用する複数のレンズを備える。これらのレンズは、第1平行レンズ148と、凹レンズ149と、第2平行レンズ150と、凸レンズ(集光レンズ)151である。
レーザー照射部147は、レーザー発振器144で発生して光ファイバ145に導かれたレーザー光を筐体146の内部に照射する。第1平行レンズ148は、発射されたレーザー光の光束を平行光線にする。凹レンズ149は、この平行光線を拡径する。第2平行レンズ150は、拡径されたレーザー光の光束を再び平行光線にする。また、第2平行レンズ150は筐体146の内部を摺動可能に備えられる。第2平行レンズ150は、筐体149内を移動することによって凹レンズ149との距離を調節し、レーザー光の径を調整することができる。凸レンズ151は、第2平行レンズ147を通過した平行光線を焦点Pに集束させる。凸レンズ151は燃焼室に臨んで設けられるため、耐熱性及び耐振性に優れたサファイアレンズなどが用いられる。
図15は、レーザー点火装置140の着火可能範囲の調整手段を説明する図であり、図15(A)は着火可能範囲を狭く、図15(B)は着火可能範囲を広く設定する場合を示す。
図15(A)に示すように、第2平行レンズ150が凸レンズ151の近くに位置する状態でレーザー光を照射すると、凹レンズ149によってレーザー光は大きく拡径する。また、凸レンズ151から焦点Pまでの距離は一定であるため、レーザー光の集束は急角度となる。
一方、図15(B)に示すように、第2平行レンズ150が凸レンズ151から離れた凹レンズ149に近い位置にあるときにレーザー光が照射されると、レーザー光が大きく拡径される前に第2平行レンズ150に到達することとなる。その結果、レーザー光は比較的細い径の状態で平行光線に変換されて凸レンズ151に到達する。したがって、前述のように凸レンズ151の焦点Pまでの距離は一定であるため、レーザー光の集束角度は小さくなる。
光源から照射されるレーザー光のエネルギーは、径が細くなるほどエネルギー密度が大きくなる。したがって、焦点Pでエネルギー密度が最大となる。図15(A)及び(B)の矢印で示した範囲F1及びF2は、混合気に着火するのに必要なエネルギーを有している範囲を示している。したがって、図15(A)に示すように第2平行レンズ150を凸レンズ151に近接させると、レーザー光の集束角度が大きくなるため、着火可能範囲は狭くなる。一方、図15(B)に示すように第2平行レンズ150を凹レンズ149に近接させると、レーザー光の集束角度が小さくなるため、着火可能範囲は広くなる。
図16は、第1実施形態のような火花点火式の点火装置と、本実施形態におけるレーザー点火装置とを比較するグラフである。図16(A)(B)は通常の点火プラグを使用した場合を示す。図16(A)は筒内圧力と放電電圧との関係を示し、横軸は筒内圧力、縦軸は放電電圧である。図16(B)はプラグ温度と放電電圧との関係を示し、横軸はプラグ温度、縦軸は放電電圧である。図16(C)(D)はレーザー点火装置を使用した場合を示す。図16(C)は筒内圧力とレーザー出力との関係を示し、横軸は筒内圧力、縦軸はレーザー出力である。図16(D)は筒内温度と放電電圧との関係を示し、横軸は筒内温度、縦軸はレーザー出力である。
図16(A)に示すように、火花点火式点火装置では圧縮比(筒内圧力)の上昇にともなって、高い放電電圧すなわち点火エネルギーが必要となる。一方、図16(C)に示すように、本実施形態のようなレーザー点火では着火可能範囲内の分子密度が高まるほどレーザー出力が熱エネルギーへ変換されやすいため、圧縮比の上昇により筒内圧力が高まるほど点火に必要なレーザー出力を低下させることができる。したがって、レーザー出力が一定であっても筒内圧力を高めることによって、レーザー出力を高めることと同様の効果を得ることができる。
希薄燃焼領域では燃焼温度が低くなるため、火花点火式点火装置では点火プラグの温度が低下する。図16(B)に示すように、点火プラグの温度が低い場合には冷却損失が増大するために、点火エネルギーが低下してしまう。一方、図16(D)に示すように、レーザー点火ではこのような問題がなく高エネルギーの点火が可能である。
図17は本実施形態のレーザー点火装置140の負荷領域に応じた制御を説明する図である。図17(A)は縦軸に着火可能範囲、図17(B)はレーザー出力を示し、横軸はともにエンジンの負荷を示す。なお、本実施形態においても空燃比や圧縮比などは第1実施形態と同様の制御を行う(図12(A)〜(D))。
低負荷域のときには、着火可能範囲R(Rmax>R>R0,図17(A))を広範囲に設定する。また、着火可能範囲Rの増大にともなってレーザーのエネルギー密度が低下するため、これを補うためにレーザー出力LPを増大させる(LPmax>LP>LP2,図17(B))。さらに、低負荷域では圧縮比を高圧縮比化することによって筒内圧力が高くなり、必要な点火エネルギーが減少して相対的にレーザー出力を高めることと同様の効果を得ることができる。
中負荷域のときには、通常の着火可能範囲Rを通常の値(R0)に設定するとともに(図17(A))、レーザー出力LPを通常よりも大きな一定の値(LP1)に設定する(図17(B))。また、高負荷域のときには着火可能範囲R及びレーザー出力LPはそれぞれ通常値(R0,LP0)に設定される。
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に低負荷域で超希薄燃焼を実現することができる。また、本実施形態によれば着火可能範囲を制御できるため、低負荷域で着火可能範囲Rを広く設定することによって火炎伝播距離を短くすることができ、さらに燃焼安定性を向上させることができる。
(第3実施形態)
図18は、本発明による可変圧縮比エンジンの第3実施形態を示す図である。
本実施形態では、高エネルギーの点火装置として燃焼室と隣接して副燃焼室244が設けられている。副燃焼室244は、燃焼室とは別経路から燃料が供給される。また、副燃焼室244には副燃焼室内に供給された燃料に点火する副点火プラグ245を備える。さらに、副燃焼室244と燃焼室との間には、副燃焼室244内で着火された燃焼火炎を燃焼室に送り込む複数の噴孔244aが形成されている。なお、その他の構成については第1実施形態と同様である。
本実施形態によれば、副燃焼室244の噴孔244aから主燃焼室へ乱流強度の高いトーチ火炎が複数噴射される。そのため、点火プラグ42のみで点火する場合と比較して、火炎伝播距離を短くすることができる。この結果、希薄燃焼時でも燃焼速度を増加させることができ、燃焼安定性を確保できる。また、希薄燃焼領域よりも負荷の高いEGR領域や全負荷領域では、点火プラグ42を用いた通常の点火装置によって点火することによってノッキングを回避することができる。
(第4実施形態)
図19は、本発明による可変圧縮比エンジンの第4実施形態を示す図である。
本実施形態では、第1実施形態と比べてコントロールシャフト25の制御方向及び大きさを変更する。すなわち第1実施形態ではコントロールシャフト25を右回転するほど高圧縮比にしていたが、本実施形態では左回転するほど高圧縮比になる(図19(A))。また、本実施形態の方がコントロールシャフト25が大きく、コントロールシャフト25の中心から偏心連結ピン24までの距離が長い(図19(A))。このような寸法にすることで、ピストン挙動をより特徴的に、すなわち上死点付近での挙動を極端に設定することができ、ピストン上昇速度を下降速度よりも遅くすることができる。すなわちL31<L32の度合が大きくなる。
また、左回転するほど高圧縮比になるようにしたことで、高圧縮比になる方がピストン上昇が速くなる。すなわちL31<L41になる。また高圧縮比になる方がピストン下降が遅くなる。すなわちL32>L42になる。
本実施形態によれば、高圧縮比ではピストンの上昇速度が速く上死点に達するまでの期間が短い。そのためプレイグニッション(自己着火)を防止することができる。またピストンの下降が遅いのでピストンの上死点付近の滞在時間が長く、燃焼安定性を確保できる。一方、低圧縮比ではピストンの下降速度が速いので、燃焼後期のノッキングを防止することができる。
(第5実施形態)
本実施形態では、低負荷域において1燃焼サイクル内で複数回の点火を行なう多段点火方式を採用する。図20は、点火タイミングと各点火タイミングで生成された火炎の成長過程を示している。図20(A)は1燃焼サイクル内の点火タイミングを示す図であり、図20(B)〜(F)は1燃焼サイクル中の各時点(t11〜t15)での燃焼火炎の生成・成長の様子を示している。なお、構成及び中高負荷域の制御については第1実施形態と同様である。
本実施形態では、1燃焼サイクル内で3回の点火を行なう(図20(A);t11,t13,t15)。まず、ガス流動(スワール)を強化して最初の点火を行なう(図20(B);時刻t11)。その後、燃焼火炎は図20(C)に示すようにスワールの旋回方向に成長する(t12)。時刻t13になると、2回目の点火が行なわれる(図20(D))。図20(E)に示すように2回目に点火された燃焼火炎は最初に点火された燃焼火炎の後に続くように成長する(t14)。その後、3回目の点火を行なう(図20(F);t15)。
本実施形態によれば、強化されたガス流動によってスワールの旋回方向に燃焼火炎が輸送される。そこで、連続的に混合気に点火することによって多点点火方式と同様に火炎伝播距離を短縮させることができる。また、負荷に応じて点火回数を設定し、負荷が低い場合には1燃焼サイクル中の点火回数を増やすことによって、燃焼安定性をさらに向上させることができる。なお、ガス流動はタンブル流でもほぼ同様の効果が得られる。
(第6実施形態)
図21は、本発明による可変圧縮比エンジンの第6実施形態のピストン構造を示す図であり、図21(A)は斜視図であり、図21(B)は図21(A)のB−B断面図であり、図21(C)は図21(A)のC−C断面図である。また図22はピストン挙動を示す図である。
可変圧縮比エンジンに図21に示したピストン32を使用してもよい。すなわちピストン32は図21(C)に示されているようにピストンスカートが大幅に短縮されている。
このようなピストン32を使用すれば、図22に示されているようにカウンターウエイトがピストンピン側方を通過できる。そのためアッパリンク11を最小限の長さとして、ピストン32の下死点位置をクランクシャフト33に最接近させることで、その分のピストンストロークを拡大することができる。なお、このような構成にするためにはピストンスカート部の強度が課題となるが、図22(B)に示すように、複リンク機構の特性を利用し、ピストン32の上死点位置においてアッパリンク11が略直立にすることでピストン32にかかる横方向荷重(スラスト荷重)を低減できる。これにより、ピストンスカート部の強度は確保される。
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明と均等であることは明白である。
例えば、火花点火式の点火装置とレーザー点火装置とを併用して、高エネルギーの点火を必要とする場合にはレーザー点火装置を使用し、その他の運転領域では火花点火式の点火装置を使用するように切替えてもよい。
また、燃焼室内に複数の点火装置を設け、希薄燃焼の際に多点点火を行なってもよい。こうすることによって、希薄燃焼時に燃焼火炎の伝播速度が低下してしまう場合でも燃焼期間を短縮することができ、安定した燃焼性を確保することができる。
さらに、上記実施形態では、排気弁の開閉タイミングによって調整するいわゆる内部EGR方式でEGR量を調整することを例示して説明したが、排気通路を吸気通路とを連通するEGR通路をEGR弁で開閉するいわゆる外部EGR方式によってEGR量を調整してもよい。
本発明による可変圧縮比エンジンの第1実施形態を示す図である。 排気弁の開閉タイミング調整機構を説明する図である。 複リンク式可変圧縮比エンジンによる圧縮比変更方法を説明する図である。 ピストン挙動を示す図である。 複リンク式可変圧縮比エンジンの特性を示す図である。 圧縮比、空燃比、点火進角と要求点火エネルギーの関係を説明する図である。 点火エネルギーの制御機構を説明する図である。 本発明による具体的な制御ロジックのメインフローチャートである。 低負荷運転制御のサブルーチンを示すフローチャートである。 中負荷運転制御のサブルーチンを示すフローチャートである。 高負荷運転制御のサブルーチンを示すフローチャートである。 本発明による制御を実行したときの効果を説明する図である。 本発明による可変圧縮比エンジンの第2実施形態を示す図である。 レーザー点火装置の構造を説明する図である。 レーザー点火装置の着火可能領域を説明する図である。 通常の点火装置とレーザー点火装置について、温度及び筒内圧力と出力(点火エネルギー)との関係を比較するグラフである。 レーザー点火装置の制御を説明する図である。 本発明による可変圧縮比エンジンの第3実施形態を示す図である。 本発明による可変圧縮比エンジンの第4実施形態のピストン挙動を示す図である。 本発明による可変圧縮比エンジンの第5実施形態の点火タイミングと燃焼火炎の成長過程を示す図である。 本発明による可変圧縮比エンジンの第6実施形態のピストン構造を示す図である。 ピストン挙動を示す図である。
符号の説明
10 複リンク式可変圧縮比エンジン
11 アッパリンク(第1リンク)
12 ロアリンク(第2リンク)
13 コントロールリンク(第3リンク)
30 燃焼室
32 ピストン
33 クランクシャフト
40 点火装置(点火手段)
41 燃料噴射弁
42 点火プラグ
43 スワールコントロールバルブ(ガス流動生成手段)
44 イグニッションコイル
51 アクチュエータ(圧縮比変更手段)
52 回転軸(圧縮比変更手段)
53 ピニオン(圧縮比変更手段)
55 吸気弁
56 吸気ポート
61 排気弁
62 排気ポート
70 コントローラ(運転状態制御手段)
ステップS1 運転状態検出手段
ステップS31,S51,S61 空燃比制御手段
ステップS35,S55 点火エネルギー増大手段

Claims (27)

  1. 運転状態を検出する運転状態検出手段と、
    混合気の空燃比を調節する空燃比制御手段と、
    燃焼室の圧縮比を変更する圧縮比変更手段と、
    混合気に点火する点火手段と、
    前記点火手段の点火エネルギーを増大させる点火エネルギー増大手段と、
    前記運転状態が所定負荷よりも低い低負荷域であるとき、負荷に応じて前記燃焼室の圧縮比を高めて希薄空燃比限界を拡大し、その拡大した希薄空燃比限界付近まで前記空燃比を希薄化し、希薄化された混合気を安定して点火するために前記点火エネルギーを増大させる運転状態制御手段と、
    を備えることを特徴とする可変圧縮比エンジン。
  2. 複数のリンクを介してクランクシャフトに連結するピストンを備え、
    前記圧縮比変更手段は、前記複数のリンクのうちの少なくともひとつのリンクの動作を規制して前記ピストンの上死点位置を調整して圧縮比を変更する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の可変圧縮比エンジン。
  3. 前記複数のリンクは、ピストンピンを介して連結される第1リンクと、前記第1リンクに揺動可能に連結されるとともに前記クランクシャフトに回転可能に装着される第2リンクとであって、
    前記圧縮比変更手段は、前記第2リンクに連結され、その第2リンクの動作を規制して圧縮比を変更する、
    ことを特徴とする請求項2に記載の可変圧縮比エンジン。
  4. 1本のコンロッドを介してクランクシャフトに連結するピストンを有するノーマルエンジンに比べて、ピストンの上死点付近滞在期間が長い、
    ことを特徴とする請求項3に記載の可変圧縮比エンジン。
  5. 高圧縮比ほど、上死点付近滞在期間が長くなる、
    ことを特徴とする請求項4に記載の可変圧縮比エンジン。
  6. 所定距離を移動して上死点に達する時間が、上死点から所定距離を移動する時間よりも短い、
    ことを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  7. 低圧縮比ほど、所定距離を移動して上死点に達する時間が、上死点から所定距離を移動する時間よりも短くなる、
    ことを特徴とする請求項6に記載の可変圧縮比エンジン。
  8. 1本のコンロッドを介してクランクシャフトに連結するピストンを有するノーマルエンジンに比べて、ピストンのストローク特性が単振動に近い特性である、
    ことを特徴とする請求項3から請求項7までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  9. 前記運転状態制御手段は、前記低負荷域において前記所定負荷よりも高い負荷域での圧縮比よりも高い圧縮比にして希薄空燃比限界を拡大する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  10. 前記運転状態制御手段は、前記低負荷域において希薄空燃比限界付近まで混合気の空燃比を希薄化することで、NOx浄化触媒が不要なほど、エンジンから排出される窒素酸化物を減少させる、
    ことを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  11. 前記運転状態制御手段は、前記低負荷域において希薄空燃比限界付近まで混合気の空燃比を希薄化することで、エンジンから排出される窒素酸化物を略ゼロにする、
    ことを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  12. 前記運転状態制御手段は、前記低負荷域において混合気の空燃比を30以上にする、
    ことを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  13. 前記運転状態制御手段は、前記低負荷域において負荷が低いほど圧縮比を高めて希薄空燃比限界を拡大し、拡大された希薄空燃比限界付近まで空燃比を希薄化する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  14. 前記運転状態制御手段は、前記低負荷域において負荷が低いほど点火エネルギーを増大させる、
    ことを特徴とする請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  15. 前記点火手段は、燃焼室内に複数備えられており、多点点火を行う、
    ことを特徴とする請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  16. 前記点火手段は、1燃焼サイクル内に複数回点火することができる多段点火方式であって、
    前記運転状態制御手段は、前記低負荷域において負荷が低いほど1燃焼サイクル内の点火回数を増加させる、
    ことを特徴とする請求項1から請求項15までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  17. 前記点火手段は、通常の点火装置に加えて高エネルギーの点火装置を備え、
    前記運転状態制御手段は、前記低負荷域において高エネルギー点火装置を使用する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  18. 前記高エネルギー点火装置は、レーザー点火装置である、
    ことを特徴とする請求項17に記載の可変圧縮比エンジン。
  19. 前記運転状態制御手段は、負荷が低いほど前記レーザー点火装置の点火可能領域を拡大する、
    ことを特徴とする請求項18に記載の可変圧縮比エンジン。
  20. 前記高エネルギー点火装置は、燃焼室と隣り合って設けられた副燃焼室の内部で燃料を点火して、燃焼火炎を燃焼室に向けて噴出させる噴孔を副燃焼室に備える、
    ことを特徴とする請求項17に記載の可変圧縮比エンジン。
  21. 燃焼室内にガス流動を生成するガス流動生成手段をさらに備え、
    前記運転状態制御手段は、前記低負荷域において負荷が低いほどガス流動を強化する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項20までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  22. 混合気に排ガスを導入する排ガス導入手段をさらに備え、
    前記運転状態制御手段は、前記低負荷域において混合気に排ガスを導入する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項21までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  23. 混合気に排ガスを導入する排ガス導入手段をさらに備え、
    前記運転状態制御手段は、前記所定負荷よりも高い負荷域において空燃比を略理論空燃比にするとともに、混合気に排ガスを導入する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項22までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  24. 前記運転状態制御手段は、前記所定負荷よりも高い負荷域において負荷が低いほど圧縮比を高圧縮比にする、
    ことを特徴とする請求項23に記載の可変圧縮比エンジン。
  25. 前記排ガス導入手段は、排気弁の開閉時期を変更する排気弁位相変更手段を備え、
    前記排ガスは、排気弁の早期閉作動によって気筒内に残留した排ガスである、
    ことを特徴とする請求項22から請求項24までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  26. 前記排ガス導入手段は、排気通路を流れる排ガスの一部を吸気通路に還流する排ガス還流通路を備え、
    前記排ガスは、前記排ガス還流通路を介して還流された排ガスである、
    ことを特徴とする請求項22から請求項24までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  27. 前記排ガスの導入量は、負荷が低いほど多い、
    ことを特徴とする請求項22から請求項26までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
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