JP4821373B2 - 可変圧縮比エンジン - Google Patents

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Description

この発明は、可変圧縮比エンジンに関する。
エンジンは、空燃比がリーンである方が燃料消費量が少なく燃費が向上する。ところが空燃比がストイキ(空燃比15程度)よりもややリーンの状態(空燃比16〜17程度)では窒素酸化物(NOx)の排出量が非常に多くなる。空燃比がさらにリーンの状態では、空燃比が16程度のときよりはNOxの排出量が減少するものの、それでも依然としてNOxの排出量が多い。またエンジンは希薄空燃比限界を超えては混合気中に含有される燃料が少なすぎて、筒内燃焼が不安定になって運転できない。そこで従来のいわゆるリーンバーンエンジンは、筒内燃焼が不安定にならず、かつ燃費を向上させるために、希薄空燃比限界を超えない範囲で空燃比をリーンにしている。そして、排出される多量のNOxについては触媒で浄化する必要があり、このために使用するNOx浄化触媒(例えばNOxを一旦トラップしてからNOxを浄化するNOxトラップ触媒など)は高価である。またNOxを還元するために燃料又は過濃燃焼ガスを必要とするので燃費低減効果が少ない。
ところで希薄空燃比限界を拡大するには、圧縮比を高くするとよいことが知られている。すなわち圧縮比が高ければ点火時の燃焼室内容積が小さいので、少ない燃料でも着火しやすくなる。そのため空燃比が、よりリーンな範囲でも安定して筒内燃焼するのである。
そこで特許文献1に記載されたエンジンは、シリンダヘッドに設けた可変容積用ピストンによって燃焼室容積を変化させることで圧縮比を可変にし、低負荷時には圧縮比を高めて希薄空燃比限界を拡大して、よりリーンな空燃比での運転を可能にしている。
特開昭60−240837号公報
しかし、前述した従来の可変圧縮比エンジンは、確かに圧縮比を高くすることで希薄燃焼安定限界を拡大でき、空燃比をよりリーンにすることができ、NOxを減少できる。ところがこのようなエンジンでは、空燃比をせいぜい24〜25程度にすることが限界であり、NOxトラップ触媒などを完全に廃止することができるまでNOxを減少することはできない。
本発明は、このような従来の問題点に着目してなされたものであり、NOxの排出量が極小であるほど空燃比が超リーンであってもNOxトラップ触媒等のNOx浄化装置が不要な可変圧縮比エンジンを提供することを目的としている。
本発明は以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。
本発明は、複数のリンク(11,12)を介してクランクシャフト(33)に連結するピストン(32)と、前記複数のリンク(11,12)のうちの少なくともひとつのリンク(12)の動作を規制して前記ピストン(32)の上死点位置を調整して圧縮比を変更する圧縮比変更手段(51〜53)と、所定負荷よりも低い低負荷域において、前記所定負荷よりも高い負荷域での圧縮比よりも高い圧縮比にして均質混合気の希薄空燃比限界を拡大するとともに、その拡大した希薄空燃比限界付近まで均質混合気の空燃比をリーンにする運転状態制御手段(70)とを有することを特徴とする。
複数のリンクを介してクランクシャフトとピストンとを連結する複リンク式可変圧縮比エンジンは、ピストンとクランクシャフトとを1つのリンク(コンロッド)で連結し、圧縮比が一定である通常のエンジンに比べて、ピストンの上死点付近滞在時間が長い。また圧縮比が高いほうが、ピストンの上死点付近滞在時間が長くなるという特性がある。本発明はそのような特性を利用することで、空燃比を30程度以上にしても運転できるようになったのである。そしてこのように運転することで、NOxトラップ触媒等のNOx浄化装置が不要になるほど、NOxの排出量を低減できるようになったのである。
以下では図面等を参照して本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明による可変圧縮比エンジンの第1実施形態を示す図である。
本件発明者らは、従来より、図1に示すようなピストンとクランクシャフトとを2つのリンクで連結する複リンク機構による可変圧縮比エンジン(以下「複リンク式可変圧縮比エンジン」という)について鋭意研究を重ねている。この複リンク式可変圧縮比エンジンは、ピストンとクランクシャフトとを1つのリンク(コンロッド)で連結し、圧縮比が一定である通常のエンジン(以下「ノーマルエンジン」という)に比べて、ピストンが上死点付近に滞在する期間が長いという特性がある(詳細は例えば特開2002-285857号公報)。
そして発明者らのさらなる研究によって、この特性を利用すれば、複リンク式可変圧縮比エンジンの希薄燃焼安定限界を拡大でき、NOx排出量をほとんど無くすことができるということが知見された。
本発明は、発明者らのそのような知見に基づいてなされたものである。
まず最初に複リンク式可変圧縮比エンジンについて説明する。図1は、複リンク式可変圧縮比エンジンを示す図である。
複リンク式可変圧縮比エンジン10は、ピストン32とクランクシャフト33とを2つのリンク(アッパリンク(第1リンク)11、ロアリンク(第2リンク)12)で連結するとともに、コントロールリンク(第3リンク)13でロアリンク12を制御して機関圧縮比を変更する。
アッパリンク11は、上端をピストンピン21を介してピストン32に連結し、下端を連結ピン22を介してロアリンク12の一端に連結する。ピストン32は、燃焼圧力を受け、シリンダブロック31のシリンダ31a内を往復動する。
ロアリンク12は、一端を連結ピン22を介してアッパリンク11に連結し、他端を連結ピン23を介してコントロールリンク13に連結する。また、ロアリンク12は、ほぼ中央の連結孔に、クランクシャフト33のクランクピン33bを挿入し、クランクピン33bを中心軸として回転する。ロアリンク12は左右の2部材に分割可能に構成される。クランクシャフト33は、複数のジャーナル33aとクランクピン33bとを備える。ジャーナル33aは、シリンダブロック31及びラダーフレーム34によって回転自在に支持される。クランクピン33bは、ジャーナル33aから所定量偏心しており、ここにロアリンク12が回転自在に連結する。
コントロールリンク13は、先端に連結ピン23を挿入し、ロアリンク12に回動可能に連結する。またコントロールリンク13は、他端を連結ピン24を介してコントロールシャフト25に連結する。コントロールリンク13は、この連結ピン24を中心として揺動する。またコントロールシャフト25にはギアが形成されており、そのギヤがアクチュエータ51の回転軸52に設けられたピニオン53に噛合する。アクチュエータ51によってコントロールシャフト25が回転させられ、連結ピン24が移動する。
コントローラ70はアクチュエータ51を制御してコントロールシャフト25を回転させて圧縮比を変更する。またコントローラ70は吸気ポートに設けられた燃料噴射弁41の燃料噴射を制御する。さらにコントローラ70はシリンダヘッドに設けられた点火プラグ42の点火時期を制御する。また排気弁61は後述のようにその開閉タイミングを変更可能であり、コントローラ70はその排気弁61の開閉タイミングを制御してEGR量を調整する。コントローラ70は中央演算装置(CPU)、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ70を複数のマイクロコンピュータで構成してもよい。
図2は排気弁の開閉タイミング調整機構を説明する図であり、図2(A)は開弁時の状態、図2(A)は閉弁時の状態を表す。
排気弁の開閉タイミングを調整する機構としては、例えば特開2004-346825号公報のように開閉リフト量と開閉タイミングを変更するものや、特開2000-45733号公報のように電磁駆動機構によって開閉タイミングを変更可能なものがある。ここでは電磁駆動機構によるものを簡単に説明する。
排気弁61は、バルブシート63に着座又は離座することによって排気ポート62を開閉する。排気弁61のバルブステム64には、可動子65が固着されている。可動子65は、磁性材料で形成されている。可動子65は、上側スプリング66及び下側スプリング67と連結する。上側スプリング66及び下側スプリング67は、バルブステム64を遊挿する。可動子65の上下には、開弁用電磁コイル68と閉弁用電磁コイル69とを備える。開弁用電磁コイル68は、下側スプリング67を遊挿する。閉弁用電磁コイル69は、上側スプリング66を遊挿する。
次に、排気弁61の開閉動作について説明する。開弁用電磁コイル68及び閉弁用電磁コイル69への電力供給がともに遮断されている状態では、上側スプリング66及び下側スプリング67の弾性力によって、可動子65は電磁コイル68,69の中間に位置する。開弁用電磁コイル68に通電すると、図2(A)に示すように可動子65は開弁用電磁コイル68に引き寄せられて矢印Cの方向に移動し、排気ポート62を開弁する。一方、閉弁用電磁コイル69に通電すると、図2(B)のように可動子65は閉弁用電磁コイル69に引き寄せられて矢印Dの方向に移動し、排気ポート62を閉弁する。
このようにすれば、排気弁61をクランクシャフトの回転と独立して開閉させることができる。そして排気弁61を早めに閉じることで排ガスを燃焼室内に閉じ込め、この排ガスによってEGR効果を得ることができる。
図3は複リンク式可変圧縮比エンジンによる圧縮比変更方法を説明する図である。
コントロールシャフト25を回転して、連結ピン24の位置を変更することで、機関圧縮比が変更する。例えば図3(A)、図3(C)に示すように連結ピン24を位置Aにすれば、上死点位置が高くなり高圧縮比になる。
そして図3(B)、図3(C)に示すように、連結ピン24を位置Bにすれば、コントロールリンク13が上方へ押し上げられ、連結ピン23の位置が上がる。これによりロアリンク12はクランクピン33bを中心として反時計方向に回転し、連結ピン22が下がり、ピストン上死点(TDC)におけるピストン32の位置が下降する。したがって圧縮比が低圧縮比になる。
図4は、ピストン挙動を示す図であり、図4(A)は図4(B)の点線部の拡大図である。
上述したように、複リンク式可変圧縮比エンジンは、同じ圧縮比であるノーマルエンジンに比べて、ピストンが上死点付近に滞在する期間が長い。この点を図4を参照して説明する。図4には、ノーマルエンジンと同じ圧縮比にした複リンク式可変圧縮比エンジンのピストン挙動が細実線で示されている。この図より、複リンク式可変圧縮比エンジンは、同じ圧縮比であるノーマルエンジンに比べて、ピストンが上死点付近に滞在する期間が長いことが分かる。
さらにピストンが上死点から所定の距離内にあるときを、ピストンが上死点付近にあるとすると、複リンク式可変圧縮比エンジンの高圧縮比のときに上死点付近にあるときの方が、低圧縮比のときに上死点付近にあるときよりも、ピストンの上死点付近滞在期間が長い。すなわち図4(B)において、L1>L2である。
このように複リンク式可変圧縮比エンジンは、ノーマルエンジンに比べてピストンが上死点付近に滞在する期間が長い。さらに圧縮比が高い方がピストンが上死点付近に滞在する期間が長い。ピストンが上死点付近に長く滞在するということは、燃焼中に高圧縮状態が長く維持されるということである。高圧縮状態が長く維持されると、超希薄燃焼であっても比較的大きな燃焼エネルギを得ることができるので燃焼性が安定する。
複リンク式可変圧縮比エンジンはこのような特性を有することから、図5の特性を有する。図5(A)は、空燃比と燃焼安定度との関係を示す図である。図中の細線はノーマルエンジン、太線は複リンク式可変圧縮比エンジンである。
この図を見て分かるように、ノーマルエンジン(圧縮比8〜12程度)において燃焼安定性を確保できる空燃比は22程度である。
一方、複リンク式可変圧縮比エンジンによれば、ピストンの上死点付近滞在時間が長いので、燃焼安定限界が損なわれにくい。そして圧縮比を高くすることで(例えば圧縮比18程度)、空燃比A/Fが30程度まで安定した燃焼をすることができる。
図5(B)は、複リンク式可変圧縮比エンジンにおける空燃比と排出NOx量との関係を示す図である。図中の太線は高圧縮比の場合、細線は低圧縮比の場合である。
この図より、圧縮比が低い方が排出されるNOx量が少ないものの、空燃比を略30以上にしてしまうと、圧縮比にかかわらず、ほとんどNOxが排出されないことが分かる。
このような特性を利用して本発明では圧縮比及び空燃比を以下のように制御するようにした。
図6は、本発明による制御ロジックのメインフローチャートである。
ステップS1においてコントローラ70は、運転状態を検出する。具体的には空気吸入量や燃料噴射量に基づいて負荷を検出する。
ステップS2においてコントローラ70は、運転負荷領域が低負荷領域であるか否かを判定する。低負荷領域のときはステップS3に処理を移し、低負荷領域でなければステップS4に処理を移す。
ステップS3においてコントローラ70は、低負荷運転を行う。具体的な内容は後述する。
ステップS4においてコントローラ70は、運転負荷領域が中負荷領域であるか否かを判定する。中負荷領域のときはステップS5に処理を移し、中負荷領域でなければステップS6に処理を移す。
ステップS5においてコントローラ70は、中負荷運転を行う。具体的な内容は後述する。
ステップS6においてコントローラ70は、高負荷運転を行う。具体的な内容は後述する。
図7は低負荷運転制御のサブルーチンを示すフローチャートである。
コントローラ70は、ステップS31において負荷に応じた圧縮比εを設定し、ステップS32において負荷に応じた空燃比A/Fを設定し、ステップS33において排気弁61の開閉タイミングを制御してEGR量を略ゼロにする。
図8は中負荷運転制御のサブルーチンを示すフローチャートである。
コントローラ70は、ステップS51において負荷に応じた圧縮比εを設定し、ステップS52において負荷に応じた空燃比A/Fを設定し、ステップS53において排気弁61の開閉タイミングを制御して負荷に応じたEGR量に調整する。
図9は高負荷運転制御のサブルーチンを示すフローチャートである。
コントローラ70は、ステップS61において負荷に応じた圧縮比εを設定し、ステップS62において負荷に応じた空燃比A/Fを設定し、ステップS63において排気弁61の開閉タイミングを制御してEGR量を略ゼロにする。
図10は本発明による制御を実行したときの効果を説明する図である。
コントローラ70は運転状態を検出し(S1)、低負荷運転域のときには(S2でYes)、負荷に応じた圧縮比ε(S31;図10(C))、空燃比A/Fに設定するとともに(S32;図10(A))、EGR量を略ゼロにする(S33;図10(B))。このようにすることでNOx排出量は略ゼロになる(図10(D))。このように負荷が低くなるほど空燃比を希薄にし、燃焼安定性を確保するために圧縮比を上げることで、負荷調整のためのスロットリングが必要なく、ノンスロットル運転が実現でき、ポンプロスを低減できる。
また中負荷運転域のときには(S4でYes)、負荷に応じた圧縮比εに設定し(S51;図10(C))、空燃比A/Fをストイキに設定し(S52;図10(A))、負荷に応じてEGR量を制御する(S53;図10(B))。この場合にはNOxが排出されるものの、その排出量は多くなく、NOxトラップ触媒等を使用することなく三元触媒のみでNOxを浄化することができる(図10(D))。このようにEGRガスを導入することで、機関スロットル開度が開きポンプロスを低減できる。また、負荷が低いほど圧縮比を上げることで、燃焼安定性を確保できる。また中負荷運転域における圧縮比を、低負荷運転域の圧縮比よりも低く設定してノッキングを防止する。
さらに高負荷運転域のときには(S4でNo)、負荷に応じた圧縮比ε(S61;図10(C))、空燃比A/Fに設定し(S62;図10(A))、EGR量を略ゼロにする(S63;図10(B))。この場合にもNOxが排出されるものの、その排出量は多くなく、NOxトラップ触媒等を使用することなく三元触媒のみでNOxを浄化することができる(図10(D))。また高負荷運転域における圧縮比を、中負荷運転域の圧縮比よりもさらに低く設定することでノッキングを防止するとともに負荷を確保している。
(第2実施形態)
図11は、本発明による可変圧縮比エンジンの第2実施形態を示す図である。
なお以下に示す各実施形態では前述した実施形態と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付して重複する説明を適宜省略する。
本実施形態では、低負荷域においては圧縮比を最大圧縮比εmaxに設定し(図11(C))、空燃比を最大空燃比(30程度)に設定するとともに(図11(A))、負荷に応じてEGR量を制御する(図11(B))。また中負荷域においては圧縮比をε5に設定し(図11(C))、空燃比A/Fをストイキに設定するとともに(図11(A))、負荷に応じてEGR量を制御する(図11(B))。
本実施形態によれば、低負荷域においてスロットリングを行うが、空燃比をλ2以上に希薄にしないので、燃焼安定性を確保しやすく、機関圧縮比を第1実施形態のようにさらに高圧縮比化する必要がない。
また、EGRを導入して燃焼室内の温度を上昇させ希薄燃焼の燃焼安定性を確保するとともに、スロットリングのポンプロスを低減する。
(第3実施形態)
図12は、本発明による可変圧縮比エンジンの第3実施形態を示す図である。
本実施形態では、第1実施形態と比べてコントロールシャフト25の制御方向及び大きさを変更してある。すなわち第1実施形態ではコントロールシャフト25を右回転するほど高圧縮比にしていたが、本実施形態では左回転するほど高圧縮比になる(図11(A))。また本実施形態のほうがコントロールシャフト25が大きく、コントロールシャフト25の中心から連結ピン24までの距離が長い(図11(A))。このような寸法にすることで、ピストン挙動をより特徴的に、すなわち上死点付近での挙動を極端に設定することができ、ピストン上昇速度を下降速度よりも遅くすることができる。すなわちL31<L32の度合が大きくなる。
また左回転するほど高圧縮比になるようにしたことで、高圧縮比になるほうがピストン上昇が速くなる。すなわちL31<L41になる。また高圧縮比になるほうがピストン下降が遅くなる。すなわちL32>L42になる。
本実施形態によれば、ピストン速度がこのようになるようにしたので、高圧縮比ではピストンの上昇速度が速く上死点に達するまでの期間が短い。そのためプレイグニッション(自己着火)の防止や、圧縮行程での冷却損失の低減を図ることができる。またピストンの下降が遅いのでピストンの上死点付近滞在時間が長く、燃焼安定性を確保できる。
一方、低圧縮比ではピストンの下降速度が速いので、燃焼後期のノッキングを防止できる。
(第4実施形態)
図13は、本発明による可変圧縮比エンジンの第4実施形態のピストン構造を示す図であり、図13(A)は斜視図であり、図13(B)は図13(A)のB−B断面図であり、図13(C)は図13(A)のC−C断面図である。また図14はピストン挙動を示す図である。
可変圧縮比エンジンに図13に示したピストン32を使用してもよい。すなわちピストン32は図13(C)に示されているようにピストンスカートが大幅に短縮されている。
このようなピストン32を使用すれば、図14に示されているようにカウンターウエイトがピストンピン側方を通過できる。
そのためアッパリンク11を最小限の長さとして、ピストン32の下死点位置をクランクシャフト33に最接近させることで、その分のピストンストロークを拡大することができる。なお、このような構成にするためにはピストンスカート部の強度が課題となるが、図14(B)に示すように、複リンク機構の特性を利用し、ピストン32の上死点位置においてアッパリンク11が略直立にすることでピストン32にかかる横方向荷重(スラスト荷重)を低減できる。これにより、ピストンスカート部の強度は確保される。
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明と均等であることは明白である。
例えば、上記実施形態では、排気弁の開閉タイミングによって調整するいわゆる内部EGR方式でEGR量を調整することを例示して説明したが、排気通路を吸気通路とを連通するEGR通路をEGR弁で開閉するいわゆる外部EGR方式によってEGR量を調整してもよい。
本発明による可変圧縮比エンジンの第1実施形態を示す図である。 排気弁の開閉タイミング調整機構を説明する図である。 複リンク式可変圧縮比エンジンによる圧縮比変更方法を説明する図である。 ピストン挙動を示す図である。 複リンク式可変圧縮比エンジンの特性を示す図である。 本発明による制御ロジックのメインフローチャートである。 低負荷運転制御のサブルーチンを示すフローチャートである。 中負荷運転制御のサブルーチンを示すフローチャートである。 高負荷運転制御のサブルーチンを示すフローチャートである。 本発明による制御を実行したときの効果を説明する図である。 本発明による可変圧縮比エンジンの第2実施形態を示す図である。 本発明による可変圧縮比エンジンの第3実施形態を示す図である。 本発明による可変圧縮比エンジンの第4実施形態のピストン構造を示す図である。 ピストン挙動を示す図である。
符号の説明
10 複リンク式可変圧縮比エンジン
11 アッパリンク(第1リンク)
12 ロアリンク(第2リンク)
13 コントロールリンク(第3リンク)
21 ピストンピン
22 連結ピン
23 連結ピン
24 連結ピン
25 コントロールシャフト
32 ピストン
33 クランクシャフト
41 燃料噴射弁
42 点火プラグ
51 アクチュエータ
52 回転軸
53 ピニオン
61 排気弁
70 コントローラ(運転状態制御手段)

Claims (17)

  1. 複数のリンクを介してクランクシャフトに連結するピストンと、
    前記複数のリンクのうちの少なくともひとつのリンクの動作を規制して前記ピストンの上死点位置を調整して圧縮比を変更する圧縮比変更手段と、
    所定負荷よりも低い低負荷域において、前記所定負荷よりも高い負荷域での圧縮比よりも高い圧縮比にして均質混合気の希薄空燃比限界を拡大するとともに、その拡大した希薄空燃比限界付近まで均質混合気の空燃比をリーンにする運転状態制御手段と、
    を有する可変圧縮比エンジン。
  2. 前記運転状態制御手段は、前記低負荷域において希薄空燃比限界付近まで混合気の空燃比をリーンにすることで、NOx浄化触媒が不要なほど、エンジンから排出される窒素酸化物を減少させる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の可変圧縮比エンジン。
  3. 前記運転状態制御手段は、前記低負荷域において希薄空燃比限界付近まで混合気の空燃比をリーンにすることで、エンジンから排出される窒素酸化物を略ゼロにする、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項に記載の可変圧縮比エンジン。
  4. 前記運転状態制御手段は、前記低負荷域において混合気の空燃比を30以上にする、
    ことを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  5. 前記運転状態制御手段は、前記低負荷域において負荷が低いほど圧縮比を高めて希薄空燃比限界を拡大し混合気の空燃比をよりリーンにする、
    ことを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  6. 前記運転状態制御手段は、さらに前記低負荷域において混合気に排ガスを導入する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  7. 前記運転状態制御手段は、さらに前記所定負荷よりも高い負荷域において空燃比を略理論空燃比にするとともに、混合気に排ガスを導入する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  8. 前記運転状態制御手段は、前記所定負荷よりも高い負荷域において負荷が低いほど圧縮比を高圧縮比にする、
    ことを特徴とする請求項に記載の可変圧縮比エンジン。
  9. 排気弁の開閉時期を変更する排気弁位相変更手段をさらに有し、
    前記排ガスは排気弁の早期閉作動によって気筒内に残留した排ガスである、
    ことを特徴とする請求項から請求項までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  10. 排気通路を流れる排ガスの一部を吸気通路に還流する排ガス還流通路をさらに有し、
    前記排ガスは、前記排ガス還流通路を介して還流された排ガスである、
    ことを特徴とする請求項から請求項までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  11. 前記排ガスの導入量は、負荷が低いほど多い、
    ことを特徴とする請求項から請求項10までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  12. 前記複数のリンクは、ピストンピンを介して連結される第1リンクと、前記第1リンクに揺動可能に連結されるとともに前記クランクシャフトに回転可能に装着される第2リンクとであって、
    前記圧縮比変更手段は、前記第2リンクに連結され、その第2リンクの動作を規制して圧縮比を変更する、
    ことを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  13. 1本のコンロッドを介してクランクシャフトに連結するピストンを有するノーマルエンジンに比べて、ピストンの上死点付近滞在期間が長い、
    ことを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  14. 1本のコンロッドを介してクランクシャフトに連結するピストンを有するノーマルエンジンに比べて、ピストンのストローク特性が単振動に近い特性である、
    ことを特徴とする請求項1から請求項13までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  15. 高圧縮比ほど、上死点付近滞在期間が長くなる、
    ことを特徴とする請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  16. 所定距離を移動して上死点に達する時間が、上死点から所定距離を移動する時間よりも長い、
    ことを特徴とする請求項1から請求項15までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
  17. 低圧縮比ほど、所定距離を移動して上死点に達する時間が、上死点から所定距離を移動する時間よりも長くなる、
    ことを特徴とする請求項1から請求項16までのいずれか1項に記載の可変圧縮比エンジン。
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