JP2007239157A - ポリウレタン弾性繊維 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定の三種類の化合物(分子中に3級窒素とセミカルバジド基を複数個づつ含有する化合物と、亜リン酸エステル系酸化防止剤と、フェノール系酸化防止剤)を組み合わせて使用したポリウレタン弾性繊維。
【選択図】なし
Description
ポリウレタン弾性繊維を使用した商品に対しては、劣化や着色に対して十分な安定性が要求されている。従来から、その目的のために、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系化合物、ベンゾトリアゾール系またはベンゾフェノン系またはサルチル酸系の紫外線吸収剤、さらには酸ヒドラジド化合物など種々の化合物を添加することも提案されているが、十分に満足するものはなかった。
また、分子内に3級窒素とセミカルバジド基を有する化合物(特許文献2)に関しては、分子量が高く、かつ分子量分布が狭いことにより、スカム生成を防ぎ、かつ耐光脆化性を大幅に改善することが記載されているが、十分に満足できるものではなかった。この特許の中で、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤との相乗効果についても記載されているが、亜リン酸エステル系酸化防止剤についての記載はない。
また、フェノール系酸化防止剤と、亜リン酸エステル系酸化防止剤と、ヒンダードアミン化合物を配合したポリウレタン組成物(特許文献4)は、NOxによる変色劣化に対して十分に安定化されていると記載されているが、これらの組成では、耐塩素性が低下してしまい、洗濯時に放置され長時間水道水に晒された時に水中の塩素によって着色、脆化するという問題点があった。
分子中に3級窒素とセミカルバジド基を複数個づつ含有する化合物と、亜リン酸エステル系酸化防止剤と、フェノール系酸化防止剤を含有させてなることを特徴とするポリウレタン弾性繊維であり、分子中に3級窒素とセミカルバジド基を複数づつ個含有する化合物が、下記
一般式(1);
で示される基である。但し、化合物(1)中には一般式(5)で示される基が少なくとも3個存在するものとする。}
で示される基であり、他の基が存在する場合にはこの基はグリシジル誘導体基である。]
で表される、分子中に3級窒素とセミカルバジド基を複数個づつ含有する化合物と、亜リン酸エステル系酸化防止剤と、フェノール系酸化防止剤を含有させてなることを特徴とするポリウレタン弾性繊維であり、
並びに、亜リン酸系酸化防止剤が下記一般式(6);
並びに、フェノール系酸化防止剤が下記一般式(7);
で表されるポリウレタン弾性繊維であり、
並びに、分子中に3級窒素とセミカルバジド基を複数個含有する化合物の含有量が0.1〜10重量%、亜リン酸エステル系酸化防止剤の含有量が0.1〜5重量%、フェノール系酸化防止剤の含有量が0.1〜5重量%であるポリウレタン弾性繊維である。
本発明は、分子中に3級窒素とセミカルバジド基を複数個づつ含有する化合物と、亜リン酸エステル系酸化防止剤と、フェノール系酸化防止剤を含有させてなることを特徴とする。
分子中に3級窒素とセミカルバジド基を複数個づつ含有する化合物を製造する手段を例示すると、N,N,N’,N’−テトラグリシジルメタキシリレンジアミン(以下、TGXと記す)あるいは1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(以下、TGHと記す)と、そのエポキシに当量のジアルキルアミン類を反応させた化合物を得る。次いで、この化合物の二級アルコール基の当量とモル量で対応するイソホロンジイソシアネートを、即ち、イソホロンジイソシアネートにある2種のイソシアネート基のうちより反応性の高いイソシアネートを反応せしめて、下記一般式(8);
で表される化合物を得る。次いで、一般式(8)で示す化合物のイソシアネート基に当量のN,N−ジアルキルヒドラジンを反応させて、本発明の化合物を得る。
このポリウレタンには、本発明のポリアミド微粒子以外に、ポリウレタン弾性繊維に通常用いられる他の化合物、例えば紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、艶消し剤、充填剤等を添加してもよい。
このようにして得られたポリウレタンは、公知の乾式紡糸、湿式紡糸、溶融紡糸等で繊維状に成形し、ポリウレタン弾性繊維を製造することができる。
得られたポリウレタン弾性繊維に、ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性シリコン、ポリエーテル変性シリコン、アミノ変性シリコン、鉱物油、鉱物性微粒子、例えばシリカ、コロイダルアルミナ、タルク等、高級脂肪酸金属塩粉末、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等、高級脂肪族カルボン酸、高級脂肪族アルコール、パラフィン、ポリエチレン等の常温で固形状ワックス等の油剤を単独、又は必要に応じて任意に組合わせて付与してもよい。
[NOxガスによる変色]
Ph4.2の水で30分ボイル処理した繊維のかせを、NOxガスによる変色試験に使用した。JIS L 0855−2005に準じて3ユニット、5ユニットの強試験を行った。着色度は、1級・・・褐色、2級・・・黄褐色、3級・・・黄色、4級・・・淡黄色、5級・・・無着色の5ランクに分けて目視判別した。ただし、色相が各級の中間にある場合には、上の級から0.5級を減じる方法で表示した。
Ph4.2の水で30分ボイル処理した繊維のかせを燃焼ガスによる変色試験に使用した。AATCC−23に準じて試験を行った。着色度は、1級・・・褐色、2級・・・黄褐色、3級・・・黄色、4級・・・淡黄色、5級・・・無着色の5ランクに分けて目視判別した。ただし、色相が各級の中間にある場合には、上の級から0.5級を減じる方法で表示した。
Ph4.2の水で30分ボイル処理した繊維のかせを光による変色試験に使用した。フェードメーター(スガ試験機製、U48AU−B型)にて紫外線を24時間照射した。着色度は、1級・・・褐色、2級・・・黄褐色、3級・・・黄色、4級・・・淡黄色、5級・・・無着色の5ランクに分けて目視判別した。ただし、色相が各級の中間にある場合には、上の級から0.5級を減じる方法で表示した。
分子中に3級窒素とセミカルバジド基を複数個づつ含有する化合物の合成については、特公平2−34985号公報に記載の方法で合成した。N,N,N’,N’−テトラグリシジルメタキシリレンジアミンと、そのエポキシ当量にあたるジベンジルアミンを反応させた。この反応生成物に、反応生成物に中に生成した二級アルコール当量と、モル量で等しいイソホロンジイソシアナーとを添加し反応させた。この化合物をNN−ジメチルアセトアミドに溶解した。次に、この化合物溶液に、N、N−ジメチルヒドランジンの40%NN−ジメチルアセトアミド溶液を添加反応させ、所望の化合物(特公平2−34985に記載のNo.A−6)を得た。
フェノール系酸化防止剤の合成方法については、特公平5−24246号公報に記載の方法で合成した。ジシクロペンタジエン1モルに対して、パラクレゾールを1.2モル加え、さらにBF3・(C2H5)2Oを、ジシクロペンタジエンとパラクレゾールの総重量和の7〜3重量%だけ加え、窒素ガス中攪拌下に昇温し、約90℃から約150℃で5時間保った後、トルエンに50%濃度で溶解する。その後、非対称ジメチルヒドラジンを加えBF3を充分取り除いた後、酸性イオン交換樹脂を加える。この混合物を、約60℃から80℃に加熱し、イソブチレンガスを徐々に、イソブチレンが反応しなくなるまで加える。これに、NaFおよび珪藻土を加え酸性イオン交換樹脂を濾別する。その後、反応溶液の温度を徐々に下げると紛体が析出する。それを濾収し、乾燥することにより目的とする特公平5−24246号公報に記載のフェノール系化合物No.A−3を得た。
平均分子量1,800のポリテトラメチレンエーテルグリコール1,500g及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート312gを、窒素ガス気流下60℃において90分間攪拌しつつ反応させて、両末端にイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを得た。ついで、これを室温まで冷却した後、ジメチルアセトアミド2,700gを加え、溶解してポリウレタンプレポリマー溶液を調製した。
エチレンジアミン23.4gおよびジエチルアミン3.7gを乾燥ジメチルアセトアミド1,570gに溶解し、これを前記プレポリマー溶液に室温で添加して、粘度2,200ポイズ(30℃)のポリウレタン溶液を得た。
上記の方法で製造されたポリウレタン溶液に、上記の方法で合成された分子中に3級窒素とセミカルバジド基を複数個づつ含有する化合物、および、上記の方法で合成されたフェノール系酸化防止剤、および、亜リン酸エステル系酸化防止剤として、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー(城北化学社製、JPH3800)を加えて、攪拌混合後、溶液中の気泡を抜くため真空脱泡を行い所望のポリウレタン溶液を得た。次いで、この溶液をホールオリフィスから約200℃の雰囲気中に吐出させて、紡糸、乾燥、仮撚り、オイリングを行い、500m/分で巻き取って44デシテックス、4フィラメントの繊維を得た。3種類の化合物の添加量を変えて、5種類の試験繊維を作り、その性能を評価した。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、4種類の試験繊維を作り、その性能を評価した。結果を表2に示す。
実施例1と同様にして、上記の方法で合成されたフェノール系酸化防止剤を1重量%および水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマー(城北化学社製、JPH3800)を2重量%、ヒンダードアミン安定剤であるLOWILITE62(グレートレーク社製)を3重量%添加し、上記と同様に試験繊維を作った。Ph4.2の水で30分ボイル処理した繊維のかせを、水道水流水中に3日間浸漬したところ、明らかに変色及び強度が低下し、手でしごくと繊維の切れが見られた。実施例1の5種類の試験繊維には問題は見られなかった。
Claims (4)
- 下記一般式(1);
で示される基である。但し、化合物(1)中には一般式(5)で示される基が少なくとも3個存在するものとする。}
で示される基であり、他の基が存在する場合にはこの基はグリシジル誘導体基である。]で表される、分子中に3級窒素とセミカルバジド基を複数個づつ含有する化合物と、亜リン酸エステル系酸化防止剤と、フェノール系酸化防止剤を含有させてなることを特徴とするポリウレタン弾性繊維。 - 分子中に3級窒素とセミカルバジド基を複数個づつ含有する化合物の含有量が0.1〜10重量%、亜リン酸エステル系酸化防止剤の含有量が0.1〜10重量%、フェノール系酸化防止剤の含有量が0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリウレタン弾性繊維。
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